ビール用ジョッキ
【課題】小さい気泡を発生させる微細凹所の形成を容易に行うことができるビール用ジョッキを提供する。
【解決手段】ビール用ジョッキ11のジョッキ本体12の円錐台状の筒部14の内周面14bに微細な微細凹所29を多数箇所に形成する。前記微細凹所29は直径が0.03mm〜0.5mmの範囲に設定され、深さが0.05mm〜0.3mmの範囲に設定されている。ジョッキ本体12の内部にビールを注いだ後に、多数の前記微細凹所29を基点として微細な気泡がより多く発生し、この微細な気泡がビールの液面Sを覆い気泡層Kを形成するので、ビールの変質を防ぐ気泡層Kを長く保持することができる。さらに、多く発生する泡がビールの苦味成分を連れ去ることによりビールの味をよりまろやかにすることができる。
【解決手段】ビール用ジョッキ11のジョッキ本体12の円錐台状の筒部14の内周面14bに微細な微細凹所29を多数箇所に形成する。前記微細凹所29は直径が0.03mm〜0.5mmの範囲に設定され、深さが0.05mm〜0.3mmの範囲に設定されている。ジョッキ本体12の内部にビールを注いだ後に、多数の前記微細凹所29を基点として微細な気泡がより多く発生し、この微細な気泡がビールの液面Sを覆い気泡層Kを形成するので、ビールの変質を防ぐ気泡層Kを長く保持することができる。さらに、多く発生する泡がビールの苦味成分を連れ去ることによりビールの味をよりまろやかにすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微細な泡を多量に発生させて、ビールを美味しく飲むことができビール用ジョッキに関する。
【背景技術】
【0002】
ビールの泡をより多く発生させ、その泡を液面に長時間保持させることにより、液部が空気と触れ合うのを阻止して、劣化を防止できるジョッキとして、特許文献1に示されたものが提案されている。このジョッキは、ガラス、陶器、合成樹脂等で作られた容器の内面に微小な凹凸部が設けられている。そして、微小な凹凸部によって泡発生を促し、長時間泡を保持し続けることができるようになっている。
【0003】
一方、ガラス製ビール用ジョッキとして、特許文献2に開示されたものも提案されている。このジョッキはグラス製のジョッキ本体の内面に、サンドブラスト加工によって細かな突起が形成されている。そして、ジョッキにビールを注いだとき、その細かな突起によってビールの泡立ちをよくするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−70677号公報
【特許文献2】特開平8−242999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ビールを飲むときには、かなり多量の泡を立てて、苦味成分を泡の方へ移行させると(泡に苦味成分が多く集まるのは常識となっている)、液体の方のビールの苦味が少なくなるので、美味しく飲むことができるといわれている。又、細かい泡をジョッキの3分の1くらい作り、この泡層で液面を覆うと、液面が空気に触れないため、ビールが劣化することなく、美味しく飲めるといわれている。
【0006】
本願の発明者は実験により次のような知見を得た。すなわち、ジョッキの内面に直径が0.03〜0.5mmの範囲の細かな凹所を多数形成すると、各微細凹所から小さい泡が多量に発生する。そして、この泡によって、ビールの苦味成分が捕捉されて、ビールの苦味を緩和するとともに、泡がジョッキの上部の泡層に移動するので、泡層が厚くなって、ビールの劣化が防止されて、ビールを美味しく飲むことができるとの知見である。
【0007】
さて、特許文献1に開示されたジョッキは、微小な凹凸部によって泡立ちをよくして、ビールを美味しく飲むことができるが、微小な凹凸部の具体的な構造については開示されていない。ジョッキ本体の製造後に、例えば、サンドブラスト又はバフ等の二次加工によって、微小な凹凸部が形成されるものと推測される。サンドブラストによって、ジョッキの内面に微小な凹凸部を形成する場合、ジョッキ本体の内面に衝突させるブラスト粒子の直径をどのように設定するかによって、形成される凹凸部の寸法は変化する。しかし、どの程度の凹凸部を形成したら確実に泡を発生させ得るか判然としてはいない。
【0008】
特許文献2に開示されたガラス製のビール用ジョッキにも、上述の問題と同様の問題がある。
本発明は上記従来の技術に存在する問題点を解消して、微細な泡を発生させることができる微細凹所の形成を確実かつ容易にできるビール用ジョッキを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ジョッキ本体の外表面に多数の座繰穴を形成し、各座繰穴の底面に内部へ貫通する1つ又は複数個の微細穴を形成するとともに、座繰穴の内部に前記微細穴を封止する封止手段を設けることにより、各微細穴を微細凹所としたことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記封止手段は座繰穴に密嵌される金属、セラミック、若しくは樹脂製の密栓、又は、座繰穴に充填される接着剤であることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記微細凹所は、ジョッキ本体の内周面若しくは底面又は内周面、及び底面のそれぞれ全面又は一部に配設されていることを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記座繰穴から内周面へと貫通形成される微細凹所は、ジョッキ本体の上下方向に関して3分の1より下方に形成されていることを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、ジョッキ本体の外周面に表れる座繰穴が模様を形成していることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記微細凹所の直径は、0.03mm〜0.5mmの範囲に設定されていることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項において、前記ジョッキ本体は、下端から上端に行くに従い小径となる円錐台筒状に形成されていることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の外周面には、上下方向に関して2分の1より下方であって、下端部より上方に位置するように、外周面から隆起する環状突条が設けられていることを要旨とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の上端開口縁の外周側及び内周側の縁部には、円弧状の面取部が形成されていることを要旨とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9において、内周側の前記面取部の円弧の半径は、外周側の面取部の円弧の半径よりも大きく形成されていることを要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の底面は中央部ほど上へ盛り上がる凸レンズ状に形成されていることを要旨とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項において、前記ジョッキ本体は、樹脂材料、金属材料、又はセラミック材からなることを要旨とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の前記微細凹所以外の内面には、ショットブラスト又はバフ仕上げによる微細な凹凸が形成されていることを要旨とする。
【0018】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項において、前記封止手段は透明材料によって形成されていることを要旨とする。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の外周面の取手部がその中心がジョッキの上下方向に関して中央より下方になるように設けられていることを要旨とする。
【0019】
(作用)
この発明はジョッキ本体の外表面から多数の座繰穴を形成し、各座繰穴の底部にジョッキ内周へ貫通する微細穴を設け、座繰穴を封止部材により封止することにより、容易に、かつ確実に泡発生の基点となる微細凹所を多数形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、微細な泡を発生させることができる微細凹所の形成を確実かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明のビール用ジョッキを具体化した一実施形態を示す中央部縦断面図。
【図2】(a)〜(c)は、微細凹所の製造工程を示す拡大説明図、(d)は封止部材の正面図。
【図3】(a)〜(c)は、微細凹所の製造工程を示す拡大説明図。
【図4】ビール用ジョッキを上方から見た斜視図。
【図5】ビール用ジョッキを下方から見た斜視図。
【図6】ビール用ジョッキの正面図。
【図7】ビール用ジョッキの背面図。
【図8】ビール用ジョッキの左側面図。
【図9】ビール用ジョッキの右側面図。
【図10】ビール用ジョッキの平面図。
【図11】ビール用ジョッキの底面図。
【図12】この発明のビール用ジョッキの別の実施形態を示す正面図。
【図13】図12に示すビール用ジョッキの底面図。
【図14】図13のC−C線拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のビール用ジョッキを具体化した一実施形態を図1〜11について説明する。
図4、5に示すように、このビール用ジョッキ11は、くもりが出にくいアルミニュウム合金(JIS規格7075)の無垢のブロック材から削り出し加工により形成されたジョッキ本体12と、該ジョッキ本体12の外周面に一体に同じく削り出し加工により形成された取手部13とによって構成されている。前記ジョッキ本体12は、図1に示すように下端から上端に行くに従い連続的に小径となる有底円錐台状の筒部14と、該筒部14の下端部に一体に形成された底部15とによって構成されている。前記取手部13は、その中心がジョッキの上下方向に関して中央より下方になるように設けられている。
【0023】
前記底部15の外周面には円環状の第1環状突条16が水平方向に隆起するように一体形成されている。前記筒部14の外周面には前記取手部13の下端部と対応する高さに位置するように、円環状の第2環状突条17が水平方向に隆起するように一体形成されている。前記取手部13を用いないで、ジョッキ11を持つとき、筒部14の第2環状突条17の下側の外周面14aを保持することによって、ジョッキ11が滑り落ちるのを防止することができる。なお。前記第2環状突条17はデザインをよくするためのものであるが、保持の便を図るためには、ジョッキ11の外周面14aの上下方向に関して2分の1より下方の位置から下端までの間に設けるのが望ましい。
【0024】
前記筒部14の上端開口縁18には、図1の部分拡大図に示すように断面が円弧状の外側及び内側面取部18a、18bが形成され、唇を上端開口縁18に当てた際に感触がよくなるようにしている。すなわち、外側には半径0.5mm、内側には半径2.2mmの円弧状の面取部が形成されていて、内周側の面取部の円弧の半径は、外周側の面取部の円弧の半径よりも大きく形成されている。
【0025】
前記筒部14の上下方向に関して上側の約3分の1の位置の内周面14bには、第1微細凹所群21が全周に形成されている。該第1微細凹所群21のビール用ジョッキ11の底面からの高さH21は、ビール用ジョッキ11の全高さHの約65%以下に設定されている。又、ビール用ジョッキ11の内部に貯留されるビールBの標準液面Sの液位Hsが前記ビール用ジョッキ11の全高さHの約80%と仮定すると、前記第1微細凹所群21の高さH21は、前記標準液面Sよりも下方に設定されている。
【0026】
前記筒部14の内周面14bには、図1に示すように前記第1微細凹所群21の下方に位置するように、第2微細凹所群22が左右対称状に2箇所に形成されている(図6〜9参照)。前記底部15には、円環状をなす第3微細凹所群24が形成され、その第3微細凹所群24の内側に位置するように、円環状をなす第4微細凹所群25が前記第3微細凹所群24と同心円状に形成されている。
【0027】
次に、前記第1〜第4微細凹所群21,22,24,25の構成について、順次説明する。
まず、第1微細凹所群21の構成は次のとおりである。すなわち、図2に示すように、厚み2.5mmの筒部14の外周から直径2.0mmの座繰穴26が全周にわたって合計86個が、深さ2.2mmで等ピッチに穿孔され(図2(a)参照)。次に、座繰穴26の底面の底板部27(厚さ0.3mm)に対して、その中心から等距離(直径0.75mm)になるように、かつ、正三角形の各頂点に位置するように、3つの直径0.3mmの微細穴27aが貫通形成される(図2(b)参照)。
【0028】
次に、前記座繰穴26に対して、図2(c)に示すように、封止部材28として樹脂材料製(例えば透明アクリル樹脂等の透明材料)の接着剤を充填固化させることにより、微細穴27aを封止する。なお、封止部材28は図2(d)に示すように、金属(例えば、ステンレススチール、真鍮、アルミ合金、銅)や合成樹脂材料、ガラス、宝石又はセラミック材製の先細の駒C(密栓)を座繰穴26に密嵌することにより実現することも可能である。
【0029】
上述のように座繰穴26に対して、封止手段を施すことにより、前記微細穴27aは筒部14の内周面14bにおいて、泡発生の基点となる微細凹所29となる。
この実施形態では、第1微細凹所群21は座繰穴26を86個、各座繰穴26に対して3個ずつの微細凹所29が形成されるので、合計86×3=258個の微細凹所29が形成される(図1,4,5参照)。
【0030】
次に、第2微細凹所群22の構成について説明する。なお、該第2微細凹所群22は左右対称に2箇所に形成されている。
図3(a)に示すように、直径1.5mm、深さ2.2mmの座繰穴26の底板部27の中央に直径0.3mmの微細穴27aが1個開けられているものを、第1の構成要素22aとする。図3(b)に示すように、直径3.0mm、深さ2.2mmの座繰穴26の底板部27に4個の微細穴27a(直径0.3mm)を1つの円周(直径1.0mm)上に形成してなるものを第2の構成要素22bとする。
【0031】
第2微細凹所群22は、第1の構成要素22aを13個(左右で26個)、第2の構成要素22bを26個(左右で52個)ランダムに配置してなっている。従って、微細凹所29は、第1の構成要素22a側の計13×1×2=26個と、第2の構成要素22b側の計52×4=208個、合計26+208=234個からなっている。
【0032】
なお、封止部材28の構成は第1微細凹所群21と同様なので、その説明は省略する。
第2微細凹所群22は、2つのかたまりになっていて、それぞれ風船を模した模様となっている。各風船から下方へ紐を模した複数の線状模様31が刻設されている。従って、第2微細凹所群22の座繰穴26に入れられる封止部材28は色彩を変化させ見栄えを良くする工夫がなされている。
【0033】
次に、第3及び第4微細凹所群24、25について説明する。
第3微細凹所群24は、前記第2の構成要素22bを45個ジョッキの底面の中央部(直径37.89mm)に等ピッチで設けてなるものである。従って、微細凹所29は45×4=180個である。
【0034】
第3の構成要素22cは、図3(c)に示すように、直径2.0mm、深さ2.2mmの座繰穴26の底面に4個の微細穴27a(直径0.3mm)を一つの円周(直径0.75mm)上に形成してなっている。第4微細凹所群25は、前記第3の構成要素22cを36個、ジョッキの底面の中心部(直径20.98mm)に等ピッチで設けてなるものである。従って、前記第3微細凹所群24と同心円状に形成された第4微細凹所群25の微細凹所29は、36×4=144個となる。
【0035】
従って、ビール用ジョッキ11全体では、微細凹所29は、258+234+180+144=816個となる。
この実施形態では、前記微細凹所29の直径を、0.3mmに設定したが、実験によれば、その範囲は0.03〜0.5mmが適当である。直径が0.03mmより小径の穴をドリルで開けることは不可能であったため、効果は確認できなかった。直径0.03mmの微細凹所の場合、泡発生は良好であった。直径0.50mmを越えると、泡の径が大きくなって、ジョッキの内周壁に付着してしまう確率が高まるため不適当である。微細凹所29の深さは、0.05mm〜0.3mmの範囲に設定するのが好ましい。
【0036】
次に、前記のように構成されたビール用ジョッキ11の作用について説明する。
図1に示すように、ビール用ジョッキ11の内部にビールを注ぐと、底部15にビールが衝突し、又、液同士が掻き回されることによって、ビールに多くの泡が発生し、ビールの内部を上昇して、泡がビールの標準液面Sよりも上に表出して泡層Kとなって滞留する。このとき多数の泡によってビールに含まれる苦味成分が捕捉されて、泡層Kに移動するので、ビールはその苦味成分が低減され美味しくなる。
【0037】
前記第1〜第4微細凹所群21、22、24、25の多数の微細凹所29は、ビールが標準液面Sまで貯留された状態で、ビールの液によって全て覆われることになる。このとき多数の微細凹所29からは、次々に泡が発生して上昇し、徐々に消え行く泡層Kへ泡を補充する。そして、第1、2微細凹所群21、22からの泡はジョッキ周縁部へと上昇し、第3、4微細凹所群24、25からの泡はジョッキ中央部へ上がり、泡層全体の消失を満遍なく防止することができる。
【0038】
このため泡層Kの層厚が長時間維持されて、ビールの液面が空気に触れるのを長時間にわたって防止することができるので、ビールの劣化を抑制できる。
上記実施形態のビール用ジョッキ11によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0039】
(1)上記実施形態では、円錐台状の筒部14の外周面に座繰穴26を形成して、その座繰穴26の底板部27に微細穴27aを形成し、座繰穴26の内部に封止部材28を設け、前記微細穴27aと封止部材28によって微細凹所29を形成するようにした。このためビールの泡発生の基点となる微細凹所29を容易に形成することができる。
【0040】
(2)上記実施形態では、筒部14の外周面14aの座繰穴26に設けられる各封止部材28の色彩を変化させることによって、筒部14の外周面14aに形成される第1,2微細凹所群21、22の意匠性を向上することができる。
【0041】
(3)上記実施形態では、前記筒部14を下部から上部へ行くにほど小径となる円錐台形状にしたので、泡層Kの面積を小さくできる。従って、泡層Kの厚さを真円筒状のジョッキと比較して、厚くすることができる。
【0042】
(4)上記実施形態では、前記第1、2微細凹所群21,22を筒部14の内周面14bに設けたので、そこから発生した泡は泡層Kの外周部へと補充されるとともに、第3、4微細凹所群24、25から発生した泡は泡層Kの中央部へと補充されるので、泡層K全体が平均して長時間維持される。
【0043】
(5)上記実施形態では、ジョッキ本体12の上下方向に関して中央と下端との間に外周面14aから隆起する環状突条17を設けたので、ジョッキ本体12を直接持つとき、その下側を持てば、滑り落ちを防止できる。
【0044】
(6)上記実施形態では、前記ジョッキ本体12の上端開口縁18に円弧状の面取部18a、18bを設けたので、ビールを飲むとき、同部に対する唇の接触感覚をソフトにして、ビールを飲み易くすることができる。
【0045】
(7)上記実施形態では、図1に示すように、ジョッキ本体12の底部15が中央部ほど盛り上がる凸レンズ状に形成されている。このためテーブルTにジョッキ11を置いたときのテーブルTとの接触面積が小さくなる。従って、ジョッキ11を持ち上げるとき、水等によって生ずる引き離し抵抗を軽減できる。
【0046】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図12及び図13に示すように、ジョッキの形状や座繰穴によって形成される外周面と底面の模様を変更すること。又、外周面の微細凹所群の位置をジョッキ下端部に変更すること。
【0047】
・図14に示すように、微細穴27aの封止手段を接着剤43により行うこと。
・図2(b)に示す微細穴27aの配列円周の直径を、0.75mmから1.0mmに変更すること。図3(b)に示す微細穴27aの配列円周の直径を、1.0mmから1.5mm又は0.75mmに変更すること。図3(c)に示す微細穴27aの配列円周の直径を、0.75mmから1.0mmに変更すること。
【0048】
・図示しないが、前記ジョッキ本体12の内面にショットブラスト又はバフ仕上により、微細な凹凸部を設けること。それは内面全体、あるいは一部(底面のみ、下半内周面のみ、底面と下半内周面のみ、内周面上下方向下から3分の2の位置までのみ、同部と底面のみの態様を含む)でもよい。
【0049】
・前記微細凹所29を、ジョッキ本体12の内周面若しくは底面又は内周面、及び底面のそれぞれ全面又は一部に配設すること。
・微細凹所29の設けられる位置及び数は標準液面S以下であれば制限はない。
【0050】
・ジョッキの材質は合成樹脂、アルミニュウム、ステンレススチール、銅合金、ジュラルミン等の金属材料、セラミック、ガラス等が可能である。
・封止部材28を透明なものにすること。この形態ではジョッキ本体12内部の光が外部に漏れるので、内部に光源を設ける飾り用置物とすることができる。
【0051】
・ジョッキの材料がアルミニュウムの場合、アルマイト処理を行い、表面を硬化してもよい。この場合、着色することもできるので、意匠性は向上する。
・ジョッキを塗装により着色したり、模様を描いたりすることも可能である。
【0052】
・取手部13を省略すること。この場合、環状突条17を図1のP位置のどこかに1つ又は複数設けて、持つときの滑り止めとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
11…ジョッキ、12…ジョッキ本体、13…取手部、14a…外周面、14b…内周面、17…環状突条、18…上端開口縁、18a…面取部、26…座繰穴、27a…微細穴、29…微細凹所、43…接着剤。
【技術分野】
【0001】
本発明は微細な泡を多量に発生させて、ビールを美味しく飲むことができビール用ジョッキに関する。
【背景技術】
【0002】
ビールの泡をより多く発生させ、その泡を液面に長時間保持させることにより、液部が空気と触れ合うのを阻止して、劣化を防止できるジョッキとして、特許文献1に示されたものが提案されている。このジョッキは、ガラス、陶器、合成樹脂等で作られた容器の内面に微小な凹凸部が設けられている。そして、微小な凹凸部によって泡発生を促し、長時間泡を保持し続けることができるようになっている。
【0003】
一方、ガラス製ビール用ジョッキとして、特許文献2に開示されたものも提案されている。このジョッキはグラス製のジョッキ本体の内面に、サンドブラスト加工によって細かな突起が形成されている。そして、ジョッキにビールを注いだとき、その細かな突起によってビールの泡立ちをよくするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−70677号公報
【特許文献2】特開平8−242999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ビールを飲むときには、かなり多量の泡を立てて、苦味成分を泡の方へ移行させると(泡に苦味成分が多く集まるのは常識となっている)、液体の方のビールの苦味が少なくなるので、美味しく飲むことができるといわれている。又、細かい泡をジョッキの3分の1くらい作り、この泡層で液面を覆うと、液面が空気に触れないため、ビールが劣化することなく、美味しく飲めるといわれている。
【0006】
本願の発明者は実験により次のような知見を得た。すなわち、ジョッキの内面に直径が0.03〜0.5mmの範囲の細かな凹所を多数形成すると、各微細凹所から小さい泡が多量に発生する。そして、この泡によって、ビールの苦味成分が捕捉されて、ビールの苦味を緩和するとともに、泡がジョッキの上部の泡層に移動するので、泡層が厚くなって、ビールの劣化が防止されて、ビールを美味しく飲むことができるとの知見である。
【0007】
さて、特許文献1に開示されたジョッキは、微小な凹凸部によって泡立ちをよくして、ビールを美味しく飲むことができるが、微小な凹凸部の具体的な構造については開示されていない。ジョッキ本体の製造後に、例えば、サンドブラスト又はバフ等の二次加工によって、微小な凹凸部が形成されるものと推測される。サンドブラストによって、ジョッキの内面に微小な凹凸部を形成する場合、ジョッキ本体の内面に衝突させるブラスト粒子の直径をどのように設定するかによって、形成される凹凸部の寸法は変化する。しかし、どの程度の凹凸部を形成したら確実に泡を発生させ得るか判然としてはいない。
【0008】
特許文献2に開示されたガラス製のビール用ジョッキにも、上述の問題と同様の問題がある。
本発明は上記従来の技術に存在する問題点を解消して、微細な泡を発生させることができる微細凹所の形成を確実かつ容易にできるビール用ジョッキを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ジョッキ本体の外表面に多数の座繰穴を形成し、各座繰穴の底面に内部へ貫通する1つ又は複数個の微細穴を形成するとともに、座繰穴の内部に前記微細穴を封止する封止手段を設けることにより、各微細穴を微細凹所としたことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記封止手段は座繰穴に密嵌される金属、セラミック、若しくは樹脂製の密栓、又は、座繰穴に充填される接着剤であることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記微細凹所は、ジョッキ本体の内周面若しくは底面又は内周面、及び底面のそれぞれ全面又は一部に配設されていることを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記座繰穴から内周面へと貫通形成される微細凹所は、ジョッキ本体の上下方向に関して3分の1より下方に形成されていることを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、ジョッキ本体の外周面に表れる座繰穴が模様を形成していることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記微細凹所の直径は、0.03mm〜0.5mmの範囲に設定されていることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項において、前記ジョッキ本体は、下端から上端に行くに従い小径となる円錐台筒状に形成されていることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の外周面には、上下方向に関して2分の1より下方であって、下端部より上方に位置するように、外周面から隆起する環状突条が設けられていることを要旨とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の上端開口縁の外周側及び内周側の縁部には、円弧状の面取部が形成されていることを要旨とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9において、内周側の前記面取部の円弧の半径は、外周側の面取部の円弧の半径よりも大きく形成されていることを要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の底面は中央部ほど上へ盛り上がる凸レンズ状に形成されていることを要旨とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項において、前記ジョッキ本体は、樹脂材料、金属材料、又はセラミック材からなることを要旨とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の前記微細凹所以外の内面には、ショットブラスト又はバフ仕上げによる微細な凹凸が形成されていることを要旨とする。
【0018】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項において、前記封止手段は透明材料によって形成されていることを要旨とする。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の外周面の取手部がその中心がジョッキの上下方向に関して中央より下方になるように設けられていることを要旨とする。
【0019】
(作用)
この発明はジョッキ本体の外表面から多数の座繰穴を形成し、各座繰穴の底部にジョッキ内周へ貫通する微細穴を設け、座繰穴を封止部材により封止することにより、容易に、かつ確実に泡発生の基点となる微細凹所を多数形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、微細な泡を発生させることができる微細凹所の形成を確実かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明のビール用ジョッキを具体化した一実施形態を示す中央部縦断面図。
【図2】(a)〜(c)は、微細凹所の製造工程を示す拡大説明図、(d)は封止部材の正面図。
【図3】(a)〜(c)は、微細凹所の製造工程を示す拡大説明図。
【図4】ビール用ジョッキを上方から見た斜視図。
【図5】ビール用ジョッキを下方から見た斜視図。
【図6】ビール用ジョッキの正面図。
【図7】ビール用ジョッキの背面図。
【図8】ビール用ジョッキの左側面図。
【図9】ビール用ジョッキの右側面図。
【図10】ビール用ジョッキの平面図。
【図11】ビール用ジョッキの底面図。
【図12】この発明のビール用ジョッキの別の実施形態を示す正面図。
【図13】図12に示すビール用ジョッキの底面図。
【図14】図13のC−C線拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のビール用ジョッキを具体化した一実施形態を図1〜11について説明する。
図4、5に示すように、このビール用ジョッキ11は、くもりが出にくいアルミニュウム合金(JIS規格7075)の無垢のブロック材から削り出し加工により形成されたジョッキ本体12と、該ジョッキ本体12の外周面に一体に同じく削り出し加工により形成された取手部13とによって構成されている。前記ジョッキ本体12は、図1に示すように下端から上端に行くに従い連続的に小径となる有底円錐台状の筒部14と、該筒部14の下端部に一体に形成された底部15とによって構成されている。前記取手部13は、その中心がジョッキの上下方向に関して中央より下方になるように設けられている。
【0023】
前記底部15の外周面には円環状の第1環状突条16が水平方向に隆起するように一体形成されている。前記筒部14の外周面には前記取手部13の下端部と対応する高さに位置するように、円環状の第2環状突条17が水平方向に隆起するように一体形成されている。前記取手部13を用いないで、ジョッキ11を持つとき、筒部14の第2環状突条17の下側の外周面14aを保持することによって、ジョッキ11が滑り落ちるのを防止することができる。なお。前記第2環状突条17はデザインをよくするためのものであるが、保持の便を図るためには、ジョッキ11の外周面14aの上下方向に関して2分の1より下方の位置から下端までの間に設けるのが望ましい。
【0024】
前記筒部14の上端開口縁18には、図1の部分拡大図に示すように断面が円弧状の外側及び内側面取部18a、18bが形成され、唇を上端開口縁18に当てた際に感触がよくなるようにしている。すなわち、外側には半径0.5mm、内側には半径2.2mmの円弧状の面取部が形成されていて、内周側の面取部の円弧の半径は、外周側の面取部の円弧の半径よりも大きく形成されている。
【0025】
前記筒部14の上下方向に関して上側の約3分の1の位置の内周面14bには、第1微細凹所群21が全周に形成されている。該第1微細凹所群21のビール用ジョッキ11の底面からの高さH21は、ビール用ジョッキ11の全高さHの約65%以下に設定されている。又、ビール用ジョッキ11の内部に貯留されるビールBの標準液面Sの液位Hsが前記ビール用ジョッキ11の全高さHの約80%と仮定すると、前記第1微細凹所群21の高さH21は、前記標準液面Sよりも下方に設定されている。
【0026】
前記筒部14の内周面14bには、図1に示すように前記第1微細凹所群21の下方に位置するように、第2微細凹所群22が左右対称状に2箇所に形成されている(図6〜9参照)。前記底部15には、円環状をなす第3微細凹所群24が形成され、その第3微細凹所群24の内側に位置するように、円環状をなす第4微細凹所群25が前記第3微細凹所群24と同心円状に形成されている。
【0027】
次に、前記第1〜第4微細凹所群21,22,24,25の構成について、順次説明する。
まず、第1微細凹所群21の構成は次のとおりである。すなわち、図2に示すように、厚み2.5mmの筒部14の外周から直径2.0mmの座繰穴26が全周にわたって合計86個が、深さ2.2mmで等ピッチに穿孔され(図2(a)参照)。次に、座繰穴26の底面の底板部27(厚さ0.3mm)に対して、その中心から等距離(直径0.75mm)になるように、かつ、正三角形の各頂点に位置するように、3つの直径0.3mmの微細穴27aが貫通形成される(図2(b)参照)。
【0028】
次に、前記座繰穴26に対して、図2(c)に示すように、封止部材28として樹脂材料製(例えば透明アクリル樹脂等の透明材料)の接着剤を充填固化させることにより、微細穴27aを封止する。なお、封止部材28は図2(d)に示すように、金属(例えば、ステンレススチール、真鍮、アルミ合金、銅)や合成樹脂材料、ガラス、宝石又はセラミック材製の先細の駒C(密栓)を座繰穴26に密嵌することにより実現することも可能である。
【0029】
上述のように座繰穴26に対して、封止手段を施すことにより、前記微細穴27aは筒部14の内周面14bにおいて、泡発生の基点となる微細凹所29となる。
この実施形態では、第1微細凹所群21は座繰穴26を86個、各座繰穴26に対して3個ずつの微細凹所29が形成されるので、合計86×3=258個の微細凹所29が形成される(図1,4,5参照)。
【0030】
次に、第2微細凹所群22の構成について説明する。なお、該第2微細凹所群22は左右対称に2箇所に形成されている。
図3(a)に示すように、直径1.5mm、深さ2.2mmの座繰穴26の底板部27の中央に直径0.3mmの微細穴27aが1個開けられているものを、第1の構成要素22aとする。図3(b)に示すように、直径3.0mm、深さ2.2mmの座繰穴26の底板部27に4個の微細穴27a(直径0.3mm)を1つの円周(直径1.0mm)上に形成してなるものを第2の構成要素22bとする。
【0031】
第2微細凹所群22は、第1の構成要素22aを13個(左右で26個)、第2の構成要素22bを26個(左右で52個)ランダムに配置してなっている。従って、微細凹所29は、第1の構成要素22a側の計13×1×2=26個と、第2の構成要素22b側の計52×4=208個、合計26+208=234個からなっている。
【0032】
なお、封止部材28の構成は第1微細凹所群21と同様なので、その説明は省略する。
第2微細凹所群22は、2つのかたまりになっていて、それぞれ風船を模した模様となっている。各風船から下方へ紐を模した複数の線状模様31が刻設されている。従って、第2微細凹所群22の座繰穴26に入れられる封止部材28は色彩を変化させ見栄えを良くする工夫がなされている。
【0033】
次に、第3及び第4微細凹所群24、25について説明する。
第3微細凹所群24は、前記第2の構成要素22bを45個ジョッキの底面の中央部(直径37.89mm)に等ピッチで設けてなるものである。従って、微細凹所29は45×4=180個である。
【0034】
第3の構成要素22cは、図3(c)に示すように、直径2.0mm、深さ2.2mmの座繰穴26の底面に4個の微細穴27a(直径0.3mm)を一つの円周(直径0.75mm)上に形成してなっている。第4微細凹所群25は、前記第3の構成要素22cを36個、ジョッキの底面の中心部(直径20.98mm)に等ピッチで設けてなるものである。従って、前記第3微細凹所群24と同心円状に形成された第4微細凹所群25の微細凹所29は、36×4=144個となる。
【0035】
従って、ビール用ジョッキ11全体では、微細凹所29は、258+234+180+144=816個となる。
この実施形態では、前記微細凹所29の直径を、0.3mmに設定したが、実験によれば、その範囲は0.03〜0.5mmが適当である。直径が0.03mmより小径の穴をドリルで開けることは不可能であったため、効果は確認できなかった。直径0.03mmの微細凹所の場合、泡発生は良好であった。直径0.50mmを越えると、泡の径が大きくなって、ジョッキの内周壁に付着してしまう確率が高まるため不適当である。微細凹所29の深さは、0.05mm〜0.3mmの範囲に設定するのが好ましい。
【0036】
次に、前記のように構成されたビール用ジョッキ11の作用について説明する。
図1に示すように、ビール用ジョッキ11の内部にビールを注ぐと、底部15にビールが衝突し、又、液同士が掻き回されることによって、ビールに多くの泡が発生し、ビールの内部を上昇して、泡がビールの標準液面Sよりも上に表出して泡層Kとなって滞留する。このとき多数の泡によってビールに含まれる苦味成分が捕捉されて、泡層Kに移動するので、ビールはその苦味成分が低減され美味しくなる。
【0037】
前記第1〜第4微細凹所群21、22、24、25の多数の微細凹所29は、ビールが標準液面Sまで貯留された状態で、ビールの液によって全て覆われることになる。このとき多数の微細凹所29からは、次々に泡が発生して上昇し、徐々に消え行く泡層Kへ泡を補充する。そして、第1、2微細凹所群21、22からの泡はジョッキ周縁部へと上昇し、第3、4微細凹所群24、25からの泡はジョッキ中央部へ上がり、泡層全体の消失を満遍なく防止することができる。
【0038】
このため泡層Kの層厚が長時間維持されて、ビールの液面が空気に触れるのを長時間にわたって防止することができるので、ビールの劣化を抑制できる。
上記実施形態のビール用ジョッキ11によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0039】
(1)上記実施形態では、円錐台状の筒部14の外周面に座繰穴26を形成して、その座繰穴26の底板部27に微細穴27aを形成し、座繰穴26の内部に封止部材28を設け、前記微細穴27aと封止部材28によって微細凹所29を形成するようにした。このためビールの泡発生の基点となる微細凹所29を容易に形成することができる。
【0040】
(2)上記実施形態では、筒部14の外周面14aの座繰穴26に設けられる各封止部材28の色彩を変化させることによって、筒部14の外周面14aに形成される第1,2微細凹所群21、22の意匠性を向上することができる。
【0041】
(3)上記実施形態では、前記筒部14を下部から上部へ行くにほど小径となる円錐台形状にしたので、泡層Kの面積を小さくできる。従って、泡層Kの厚さを真円筒状のジョッキと比較して、厚くすることができる。
【0042】
(4)上記実施形態では、前記第1、2微細凹所群21,22を筒部14の内周面14bに設けたので、そこから発生した泡は泡層Kの外周部へと補充されるとともに、第3、4微細凹所群24、25から発生した泡は泡層Kの中央部へと補充されるので、泡層K全体が平均して長時間維持される。
【0043】
(5)上記実施形態では、ジョッキ本体12の上下方向に関して中央と下端との間に外周面14aから隆起する環状突条17を設けたので、ジョッキ本体12を直接持つとき、その下側を持てば、滑り落ちを防止できる。
【0044】
(6)上記実施形態では、前記ジョッキ本体12の上端開口縁18に円弧状の面取部18a、18bを設けたので、ビールを飲むとき、同部に対する唇の接触感覚をソフトにして、ビールを飲み易くすることができる。
【0045】
(7)上記実施形態では、図1に示すように、ジョッキ本体12の底部15が中央部ほど盛り上がる凸レンズ状に形成されている。このためテーブルTにジョッキ11を置いたときのテーブルTとの接触面積が小さくなる。従って、ジョッキ11を持ち上げるとき、水等によって生ずる引き離し抵抗を軽減できる。
【0046】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図12及び図13に示すように、ジョッキの形状や座繰穴によって形成される外周面と底面の模様を変更すること。又、外周面の微細凹所群の位置をジョッキ下端部に変更すること。
【0047】
・図14に示すように、微細穴27aの封止手段を接着剤43により行うこと。
・図2(b)に示す微細穴27aの配列円周の直径を、0.75mmから1.0mmに変更すること。図3(b)に示す微細穴27aの配列円周の直径を、1.0mmから1.5mm又は0.75mmに変更すること。図3(c)に示す微細穴27aの配列円周の直径を、0.75mmから1.0mmに変更すること。
【0048】
・図示しないが、前記ジョッキ本体12の内面にショットブラスト又はバフ仕上により、微細な凹凸部を設けること。それは内面全体、あるいは一部(底面のみ、下半内周面のみ、底面と下半内周面のみ、内周面上下方向下から3分の2の位置までのみ、同部と底面のみの態様を含む)でもよい。
【0049】
・前記微細凹所29を、ジョッキ本体12の内周面若しくは底面又は内周面、及び底面のそれぞれ全面又は一部に配設すること。
・微細凹所29の設けられる位置及び数は標準液面S以下であれば制限はない。
【0050】
・ジョッキの材質は合成樹脂、アルミニュウム、ステンレススチール、銅合金、ジュラルミン等の金属材料、セラミック、ガラス等が可能である。
・封止部材28を透明なものにすること。この形態ではジョッキ本体12内部の光が外部に漏れるので、内部に光源を設ける飾り用置物とすることができる。
【0051】
・ジョッキの材料がアルミニュウムの場合、アルマイト処理を行い、表面を硬化してもよい。この場合、着色することもできるので、意匠性は向上する。
・ジョッキを塗装により着色したり、模様を描いたりすることも可能である。
【0052】
・取手部13を省略すること。この場合、環状突条17を図1のP位置のどこかに1つ又は複数設けて、持つときの滑り止めとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
11…ジョッキ、12…ジョッキ本体、13…取手部、14a…外周面、14b…内周面、17…環状突条、18…上端開口縁、18a…面取部、26…座繰穴、27a…微細穴、29…微細凹所、43…接着剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョッキ本体の外表面に多数の座繰穴を形成し、各座繰穴の底面に内部へ貫通する1つ又は複数個の微細穴を形成するとともに、座繰穴の内部に前記微細穴を封止する封止手段を設けることにより、各微細穴を微細凹所としたことを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項2】
請求項1において、前記封止手段は座繰穴に密嵌される金属、セラミック、若しくは樹脂製の密栓、又は、座繰穴に充填される接着剤であることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記微細凹所は、ジョッキ本体の内周面若しくは底面又は内周面、及び底面のそれぞれ全面又は一部に配設されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記座繰穴から内周面へと貫通形成される微細凹所は、ジョッキ本体の上下方向に関して3分の1より下方に形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、ジョッキ本体の外周面に表れる座繰穴が模様を形成していることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項において、前記微細凹所の直径は、0.03mm〜0.5mmの範囲に設定されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、前記ジョッキ本体は、下端から上端に行くに従い小径となる円錐台筒状に形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の外周面には、上下方向に関して2分の1より下方であって、下端部より上方に位置するように、外周面から隆起する環状突条が設けられていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の上端開口縁の外周側及び内周側の縁部には、円弧状の面取部が形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項10】
請求項9において、内周側の前記面取部の円弧の半径は、外周側の面取部の円弧の半径よりも大きく形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の底面は中央部ほど上へ盛り上がる凸レンズ状に形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項において、前記ジョッキ本体は、樹脂材料、金属材料、又はセラミック材からなることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の前記微細凹所以外の内面には、ショットブラスト又はバフ仕上げによる微細な凹凸が形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項において、前記封止手段は透明材料によって形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の外周面の取手部がその中心がジョッキの上下方向に関して中央より下方になるように設けられていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項1】
ジョッキ本体の外表面に多数の座繰穴を形成し、各座繰穴の底面に内部へ貫通する1つ又は複数個の微細穴を形成するとともに、座繰穴の内部に前記微細穴を封止する封止手段を設けることにより、各微細穴を微細凹所としたことを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項2】
請求項1において、前記封止手段は座繰穴に密嵌される金属、セラミック、若しくは樹脂製の密栓、又は、座繰穴に充填される接着剤であることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記微細凹所は、ジョッキ本体の内周面若しくは底面又は内周面、及び底面のそれぞれ全面又は一部に配設されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記座繰穴から内周面へと貫通形成される微細凹所は、ジョッキ本体の上下方向に関して3分の1より下方に形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、ジョッキ本体の外周面に表れる座繰穴が模様を形成していることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項において、前記微細凹所の直径は、0.03mm〜0.5mmの範囲に設定されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、前記ジョッキ本体は、下端から上端に行くに従い小径となる円錐台筒状に形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の外周面には、上下方向に関して2分の1より下方であって、下端部より上方に位置するように、外周面から隆起する環状突条が設けられていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の上端開口縁の外周側及び内周側の縁部には、円弧状の面取部が形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項10】
請求項9において、内周側の前記面取部の円弧の半径は、外周側の面取部の円弧の半径よりも大きく形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の底面は中央部ほど上へ盛り上がる凸レンズ状に形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項において、前記ジョッキ本体は、樹脂材料、金属材料、又はセラミック材からなることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の前記微細凹所以外の内面には、ショットブラスト又はバフ仕上げによる微細な凹凸が形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項において、前記封止手段は透明材料によって形成されていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項において、前記ジョッキ本体の外周面の取手部がその中心がジョッキの上下方向に関して中央より下方になるように設けられていることを特徴とするビール用ジョッキ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−200310(P2011−200310A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68385(P2010−68385)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(502000595)株式会社 ダイニチ (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(502000595)株式会社 ダイニチ (4)
【Fターム(参考)】
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