説明

ピアノの消音機構

【課題】消音演奏モード中、ストッパレールを打弦阻止位置に確実に保持できることで、消音演奏モードによる演奏を適切に行うことができるピアノの消音機構を提供する。
【解決手段】消音機構1では、演奏モードが消音演奏モードに設定されるのに伴い、押圧レバー37が、レバー支点41を中心として回動し、駆動レバー32を押圧することにより、駆動レバー32が駆動ロッド25とともに、レバー支点41の軸線と平行な軸線上のロッド支点RPを中心として回動する。その結果、駆動ロッド25の押圧部26がストッパレール21を押圧することによって、ストッパレール21は、打弦阻止位置に移動し、保持される。また、ストッパレール21が打弦阻止位置に保持されている状態において、ロッド支点RPと、押圧レバー37との駆動レバー25の接触点TPとを結ぶ直線L1、および、レバー支点41と接触点TPとを結ぶ直線L2が互いにほぼ直交している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマーによる弦の打弦を、通常演奏モード中に許容するとともに、消音演奏モード中に阻止するためのピアノの消音機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のピアノの消音機構として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このピアノは、グランド型のものであり、複数の鍵や、弦を打弦する複数のハンマー、各鍵の回動に伴って作動し、ハンマーを回動させるアクション、消音機構を備えている。この消音機構は、ハンマーの回動を阻止するためのストッパレールと、このストッパレールを駆動するための駆動機構を備えている。以下、このピアノを演奏者から見た手前側を「前」、奥側を「後」として説明する。ストッパレールは、被押圧部を有し、ハンマーシャンクの上方に配置されており、ハンマーによる打弦を許容する打弦許容位置と、ハンマーによる打弦を阻止する打弦阻止位置とに、移動自在になっている。また、ストッパレールには、これを打弦許容位置に保持するための第1ばねが取り付けられている。
【0003】
上記の駆動機構は、回動自在に設けられた駆動ロッドと、駆動ロッドの途中に一体に設けられた押圧部と、駆動ロッドの左端部に固定された駆動レバーを有している。これらの押圧部および駆動レバーは、駆動ロッドから前方に若干、突出している。また、駆動レバーには、その前端部に第2ばねが、その前後方向の中央部にワイヤが、それぞれ取り付けられている。このワイヤには、ピアノの演奏モードを切り換えるために操作される操作レバーが、接続されている。
【0004】
上述した従来の消音機構では、演奏モードは、操作レバーが操作されていない状態では通常演奏モードに設定され、操作レバーが操作されている状態では、消音演奏モードに設定される。この通常演奏モード中、第2ばねの付勢力が駆動レバーに作用することによって、これと一体の駆動ロッドの押圧部は、ストッパレールの被押圧部に上方から対向した状態に保持されている。また、ストッパレールは、第1ばねの付勢力によって、打弦許容位置に保持されている。この状態で鍵が押鍵されると、アクションが作動することによって、ハンマーが上方に回動し、弦を打弦する。
【0005】
上記の状態から、操作レバーが操作され、演奏モードが消音演奏モードに設定されると、ワイヤが引き下げられる。これにより、駆動レバーに、これを下方に回動させるモーメントが作用する結果、駆動ロッドは、第2ばねの付勢力に抗して回動する。この回動の途中、駆動ロッドの押圧部が、ストッパレールの被押圧部を押圧することによって、ストッパレールは、第1ばねの付勢力に抗して下方に移動し、打弦阻止位置に保持される。この状態で鍵が押鍵されると、ハンマーの回動の途中、弦を打弦する直前で、ハンマーがストッパレールに当接することによって、ハンマーのそれ以上の回動が阻止され、弦の打弦が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−227542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の消音機構では、消音演奏モード中、ワイヤの引張力で、駆動レバーが、駆動ロッドとともに、第2ばねの付勢力に抗して下方に回動することによって、駆動ロッドの押圧部が被押圧部を押圧する結果、ストッパレールが、第1ばねの付勢力に抗して下方に移動し、打弦阻止位置に保持される。
【0008】
この場合、駆動ロッドから前方に突出する駆動レバーの前端部に第2ばねが取り付けられていることから、駆動ロッドおよび駆動レバーには、第2ばねの付勢力による比較的大きなモーメントが作用する。また、押圧部が駆動ロッドから前方に突出していることから、駆動ロッドおよび駆動レバーには、第1ばねの付勢力による比較的大きなモーメントが作用する。これに対して、従来の消音機構では、ワイヤが駆動レバーの前後方向の中央部に取り付けられているにすぎないので、消音演奏モード中、上記のモーメントにワイヤの引張力が抗しきれず、それにより、駆動ロッドが駆動レバーとともに上方に回動する結果、ストッパレールを打弦阻止位置に確実に保持できないおそれがある。その場合には、ハンマーによる打弦を阻止できず、消音演奏モードによる演奏を適切に行うことができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、消音演奏モード中、ストッパレールを打弦阻止位置に確実に保持でき、それにより、消音演奏モードによる演奏を適切に行うことができるピアノの消音機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、複数の鍵と、複数の鍵の押鍵に伴って回動する複数のハンマーを有するとともに、回動するハンマーによる弦の打弦を許容する通常演奏モードと、弦の打弦を阻止する消音演奏モードとに、演奏モードが切り換えて演奏されるピアノの消音機構であって、複数のハンマーの並び方向に延びるとともに、ハンマーの通過を許容することによって、ハンマーによる打弦を許容する打弦許容位置と、ハンマーが当接することによって、ハンマーによる打弦を阻止する打弦阻止位置とに移動可能なストッパレールと、複数のハンマーの並び方向に延び、ロッド支点を中心として回動自在に設けられるとともに、ストッパレールを押圧するための押圧部を有する駆動ロッドと、駆動ロッドと一体の駆動レバーと、通常演奏モードと消音演奏モードに演奏モードを切り換えるために操作される操作部材と、ロッド支点の軸線と平行な軸線上のレバー支点を中心として、回動自在に設けられるとともに、操作部材に連結され、演奏モードを消音演奏モードに設定するために、操作部材の操作に伴って回動し、駆動レバーを押圧することにより、駆動レバーを駆動ロッドとともに回動させることで、押圧部にストッパレールを押圧させることによって、ストッパレールを、打弦阻止位置に移動させ、保持するための押圧レバーと、を備え、駆動レバーおよび押圧レバーは、ストッパレールが打弦阻止位置に保持されている状態において、ロッド支点と、押圧レバーとの駆動レバーの接触点とを結ぶ直線、および、レバー支点と接触点とを結ぶ直線が互いにほぼ直交するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
このピアノの消音機構によれば、通常演奏モード中、ストッパレールが打弦許容位置に位置する。この状態で鍵が押鍵されると、ハンマーが回動し、ストッパレールがハンマーの通過を許容することによって、ハンマーが弦を打弦し、通常演奏モードによる演奏が行われる。一方、この状態から、操作部材が操作され、演奏モードが消音演奏モードに設定されると、それに伴い、押圧レバーが、レバー支点を中心として回動し、駆動レバーを押圧することにより、駆動レバーが駆動ロッドとともに、レバー支点の軸線と平行な軸線上のロッド支点を中心として回動する。その結果、駆動ロッドの押圧部がストッパレールを押圧することによって、ストッパレールは、打弦阻止位置に移動し、保持される。この状態で鍵が押鍵されると、ハンマーが回動し、その途中でストッパレールと当接することによって、ハンマーによる打弦が阻止され、消音演奏モードによる演奏が行われる。
【0012】
以上のように、消音演奏モード中、押圧レバーが駆動レバーを押圧することにより、ストッパレールが打弦阻止位置に保持されるので、ハンマーがストッパレールに当接した際に、押圧レバーには、ストッパレールや駆動ロッド、駆動レバーを介して、反力が作用する。この場合、駆動レバーが回動自在に設けられていることから、この反力の方向は、駆動レバーの回動中心であるロッド支点と、押圧レバーとの駆動レバーの接触点(以下「レバー接触点」という)とを結ぶ直線に直交する直線が延びる方向と同じになる。
【0013】
これに対して、上述した構成によれば、ストッパレールが打弦阻止位置に保持されている状態において、ロッド支点とレバー接触点とを結ぶ直線、および、押圧レバーの回動中心であるレバー支点とレバー接触点とを結ぶ直線が、互いにほぼ直交するように、駆動レバーおよび押圧レバーが構成されている。これにより、消音演奏モード中、上述した反力の作用点からレバー支点までの腕の長さが短くなるので、この反力によって押圧レバーに作用するモーメントを非常に小さくすることができ、したがって、押圧レバーが回動するのを防止することができる。これにより、駆動レバーが押圧レバーで押圧された所定の回動位置に保持されるので、ストッパレールを打弦阻止位置に確実に保持することができ、したがって、ハンマーによる打弦を確実に阻止でき、消音演奏モードによる演奏を適切に行うことができる。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のピアノの消音機構において、駆動レバーは、駆動ロッドと一体のレバー本体と、レバー本体に、駆動レバーの回動方向に移動可能に設けられ、押圧レバーに接触する接触部材と、レバー本体に対して、接触部材を駆動レバーの回動方向に移動させることにより、押圧レバーとの接触部材の接触点の位置を調整するための調整機構と、を有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、駆動ロッドと一体のレバー本体に対して、押圧レバーに接触する接触部材が、駆動レバーの回動方向に移動自在になっており、調整機構により、レバー本体に対して、接触部材を駆動レバーの回動方向に移動させることで、この押圧レバーとの接触部材の接触点(レバー接触点)の位置が調整される。
【0016】
ストッパレールを所望の打弦阻止位置にセットするために、押圧レバーの回動角度を変えることによって、押圧レバーで駆動レバーを押圧した状態における駆動レバーの回動位置を調整するときには、駆動レバーおよび押圧レバーが前述したように構成されているので、押圧レバーの角度変化に対する駆動レバーの調整範囲が非常に小さい。このため、必要な駆動レバーの調整量が大きいときには、ストッパレールを所望の打弦阻止位置にセットできない場合がある。これに対して、上述した構成によれば、調整機構により、押圧レバーとは独立して、駆動レバーの回動方向における、レバー本体に対するレバー接触点の位置を調整できるので、押圧レバーで駆動レバーを押圧した状態におけるレバー本体の回動位置を、適切に調整することができる。これにより、必要な駆動レバーの調整量が大きい場合にも、ストッパレールを所望の打弦阻止位置にセットすることができ、ひいては、ストッパレールの安定した適正な打弦阻止動作を確保することができる。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のピアノの消音機構において、調整機構は、レバー本体および接触部材の一方に、駆動レバーの回動方向に進退自在にねじ込まれるとともに、先端がレバー本体および接触部材の他方に接触する調整ねじを有することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、押圧レバーが、接触部材に接触するとともに、駆動レバーを押圧していることから、レバー本体および接触部材の一方に対して、調整ねじを駆動レバーの回動方向に進退させると、調整ねじの先端が接触しているレバー本体および接触部材の他方が、調整ねじと一緒に駆動レバーの回動方向に移動する。これにより、駆動レバーの回動方向における、レバー本体に対するレバー接触点(押圧レバーとの接触部材の接触点)の位置が調整される結果、押圧レバーで駆動レバーを押圧した状態におけるレバー本体の回動位置が、調整される。このように、構成が比較的単純な調整ねじを用いて、押圧レバーで駆動レバーを押圧した状態におけるレバー本体の回動位置の調整を、容易にかつ無段階で精度良く行うことができ、ひいては、ストッパレールを所望の打弦阻止位置に精度良くセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態による消音機構を適用したグランド型の消音ピアノの鍵盤装置を、離鍵状態において示す側断面図である。
【図2】図1の消音機構やハンマーなどを、離鍵状態において示す側面図である。
【図3】図1の消音機構やハンマーなどを、離鍵状態において示す斜視図である。
【図4】レール支持部材、駆動ロッドおよびロッド支持部材を拡大して示す側面図である。
【図5】駆動レバーを駆動ロッドとともに、(a)前側から見た拡大図、(b)左側から見た拡大図、(c)後側から見た拡大図である。
【図6】通常演奏モード中の消音機構の動作を説明するための図である。
【図7】消音演奏モード中の消音機構の動作を説明するための図である。
【図8】消音演奏モード中、ストッパレールが打弦阻止位置に保持されている状態における駆動レバーおよび押圧レバーの位置関係を説明するための図である。
【図9】調整機構によるレバー接触点の位置の調整を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態による消音機構1を適用したグランド型の消音ピアノ2の鍵盤装置を、離鍵状態において示している。以下の説明では、消音ピアノ2を演奏者から見た場合の手前側(同図の右側)を「前」、奥側(同図の左側)を「後」とし、さらに左側および右側をそれぞれ「左」および「右」とする。
【0021】
図1に示すように、この消音ピアノ2は、棚板3と、棚板3に引出し自在に載置された筬4と、筬4に載置された複数の鍵5と、鍵5ごとに設けられ、弦Sを打弦するハンマー6(いずれも1つのみ図示)と、鍵5の押鍵に伴ってハンマー6を回動させるためのアクション11と、消音機構1を備えている。この消音ピアノ2では、演奏モードが、ハンマー6による弦Sの打弦を許容することによってアコースティックな演奏音を発生させる通常演奏モードと、ハンマー6による弦Sの打弦を阻止するとともに、鍵5の押鍵情報に応じて楽音発生装置(図示せず)によって電子的な演奏音を発生させる消音演奏モードに、切り換えられる。
【0022】
鍵5は、その中央に形成されたバランスピン孔(図示せず)を介して、筬4に立設されたバランスピン(図示せず)に回動自在に支持されている。また、弦Sは、フレームの前端部に打ち込まれたチューニングピンと、チューニングピンよりも後方に埋め込まれたヒッチピン(いずれも図示せず)との間に張られ、鍵5やハンマー6の上方において、前後方向に延びている。
【0023】
アクション11は、ウィッペンレール7に取り付けられており、鍵5の後部上方に配置されている。ウィッペンレール7は、複数の鍵5の全体にわたって左右方向に延びており、筬4の左右の端部とその中間の所定の位置に設けられた複数のブラケット9(1つのみ図示)に渡されている。また、アクション11は、いずれも鍵5ごとに設けられたウィッペン12、レペティションレバー13およびジャック14を有している。各ウィッペン12は、その後端部において、ウィッペンレール7に回動自在に取り付けられており、鍵5の後部に載置されている。また、レペティションレバー13およびジャック14は、ウィッペン12に回動自在に取り付けられている。
【0024】
上記のハンマー6は、前後方向に延びるハンマーシャンク6aと、ハンマーシャンク6aの後端部に取り付けられたハンマーヘッド6bを有している。また、ハンマー6は、ハンマーシャンク6aの前端部において、ハンマーシャンクフレンジ6cを介してハンマーシャンクレール8に回動自在に支持されており、図1に示す離鍵状態では、上述したレペティションレバー13に載置されている。ハンマーシャンクレール8は、複数の鍵5の全体にわたって左右方向に延びており、上述した複数のブラケット9に渡されている。
【0025】
図1〜図3に示すように、消音機構1は、ハンマー6による弦Sの打弦を阻止するためのストッパレール21と、ストッパレール21を支持する複数のレール支持部材22(1つのみ図示)と、ストッパレール21を駆動するための駆動ロッド25と、駆動ロッド25を支持する複数のロッド支持部材27(1つのみ図示)と、駆動ロッド25を駆動するための駆動機構31を有している。なお、図2および図3では、便宜上、アクション11などの一部の部品を省略している。
【0026】
ストッパレール21は、金属製の板材で構成され、複数のハンマー5の全体にわたって、左右方向に延びており、弦Sとハンマー6の間に、ハンマーシャンク6aの後部付近に対向するように配置されている。また、ストッパレール21は、高中音域レールおよび低音域レールに区分されており、これらの高中音域レールおよび低音域レールは、高中音域および低音域の全体にわたって、それぞれ延びている。
【0027】
さらに、ストッパレール21には、レール支持部材22に対応する所定の複数の位置に、上下方向に貫通する前後2つの孔がそれぞれ形成されている。ストッパレール21は、ねじ21aを、これらの孔のそれぞれに上方から挿入し、ロックナット21bを介して、レール支持部材22の後述するねじ孔にねじ込むことにより、レール支持部材22に固定されている。また、ねじ21aには、保持部材21cが設けられている。この保持部材21cはねじ21aにねじ込まれており、ストッパレール21は、保持部材21cとねじ21aの頭部に挟持されることによって、ねじ21aに対して上下方向に動かないように保持されている。また、ストッパレール21の高さ位置は、レール支持部材22に対するねじ21aのねじこみ量を調整することによって、調整される。さらに、ストッパレール21の下面には、レール支持部材22に対応する部分を除いて、ゴムまたは発泡ウレタンなどの弾性材料で構成されたクッション材21dが取り付けられている。
【0028】
複数のレール支持部材22は、ブラケット9に対応する位置に配置されている。図1〜図4に示すように、各レール支持部材22は、曲げ加工された金属板で構成されており、本体部22aと、この本体部22aから前方に延びるアーム部22bを一体に有している。本体部22aの上端部は、左方または右方に若干、延びる取付部22cになっており、この取付部22cには、上述したねじ21aをねじ込むためのねじ孔が形成されている。また、本体部22aの下端部には、側断面がU字状の係合部22dが設けられている。さらに、レール支持部材22は、アーム部22bの前端部において、ピン状の支点22eを介して上記のロッド支持部材27に回動自在に取り付けられている。以上の構成により、レール支持部材22は、ストッパレール21とともに、この支点22eを中心として回動自在になっている。
【0029】
上記の駆動ロッド25は、1本の丸棒で構成されており、複数のハンマー6の全体にわたって、左右方向に延びている。駆動ロッド25には、レール支持部材22に対応する位置に、L字状の複数の押圧部26(1つのみ図示)が設けられており、押圧部26は、上述したレール支持部材22の係合部22dに係合している。また、駆動ロッド25の左端部には、その径方向に貫通するねじ孔25aが形成されている(図5(c)参照)。
【0030】
複数のロッド支持部材27は、レール支持部材22と同様、ブラケット9に対応する位置に配置されている。各ロッド支持部材27は、曲げ加工された金属板で構成されており、その前端部が左方または右方に若干、延びる第1被取付部27aになっており、第1被取付部27aにおいて、前述したハンマーシャンクレール8を介してブラケット9にねじ止めされている。また、ロッド支持部材27の後部の下端部は、左方または右方に若干、延びる第2被取付部27bになっており、ロッド支持部材27は、第2被取付部27bにおいて、前述したウィッペンレール7を介してブラケット9にねじ止めされている。さらに、ロッド支持部材27の前部には、左右一対の側壁から成る第1取付部27cが設けられており、第1取付部27cには、取付孔が左右方向に貫通するように形成されている。レール支持部材22は、これらの取付孔に上述した支点22eを通すことによって、ロッド支持部材27に回動自在に取り付けられている。
【0031】
さらに、ロッド支持部材27の後端部は、左方または右方に若干、延びる第2取付部27dになっており、この第2取付部27dには、駆動ロッド25を取り付けるための金具28が設けられている。この金具28は、側断面が半円状の本体部28aと、この本体部28aの前端から上下に延びる被取付部28b,28bで構成されており、各被取付部28bには、前後方向に貫通する孔が形成されている。金具28は、駆動ロッド25を本体部28aに通した状態で、ねじ28cを、各被取付部28bの孔を介して第2取付部27dにねじ込むことにより、取り付けられている。これにより、駆動ロッド25は、その軸線を中心として、ロッド支持部材27に回動自在に支持されている。また、複数のロッド支持部材27のうち、最も左側(低音側)に配置されたものには、その下部に、左方に若干、突出する突起27eが設けられている(図2および図4参照)。
【0032】
図2に示すように、前述した駆動機構31は、演奏モードを切り換えるための操作レバー(図示せず)と、この操作レバーの操作に伴って連動することにより、駆動ロッド25を駆動する駆動レバー32および押圧レバー37を有している。
【0033】
図2に示すように、駆動レバー32は、押圧レバー37の前側に配置されている。図2および図5に示すように、駆動レバー32は、駆動ロッド25に固定されたレバー本体33と、このレバー本体33に設けられ、押圧レバー37に接触する接触部材34と、レバー本体33に対する接触部材34の位置を調整するための調整機構35などで構成されている。
【0034】
レバー本体33は、曲げ加工された金属板で構成されており、左右方向に互いに間隔を隔てて配置された左右の側壁33a,33bと、両側壁33a,33bの前端を互いに連結する前壁33cを一体に有している。右側壁33bおよび前壁33cは、互いに同じ長さを有し、上下方向に延び、左側壁33aは、右側壁33bおよび前壁33cよりも上方に延びており、左側壁33aの下部および右側壁33bの上部が、互いに対向している。また、左側壁33aの下端部および右側壁33bの上端部には、互いに対向する位置に、左右方向に貫通する被取付孔33d,33eがそれぞれ形成されている。さらに、前壁33cには、これらの被取付孔33d,33eに対応する位置に、前後方向に貫通する孔33fが形成されている。以上の構成のレバー本体33は、被取付孔33d,33eに駆動ロッド25を挿入した状態で、ねじ33gを、前壁33cの孔33fを介して、駆動ロッド25の前述したねじ孔25aにねじ込むことにより、駆動ロッド25の左端部に一体に固定されている。これにより、レバー本体33は、駆動ロッド25の軸線を中心として、駆動ロッド25と一体に回動自在になっている。
【0035】
また、左側壁33aの前側の上端部には、取付孔33hが形成されている。この取付孔33hには、引張コイルばねで構成された第1ばね36の一端部が掛け止めされており、第1ばね36の他端部は、前述したロッド支持部材27の突起27eに掛け止めされている。この第1ばね36によって、レバー本体33は、駆動ロッド25とともに、図2の時計回りに付勢されている。さらに、前壁33cの下端部には、調整機構35の後述する調整ねじ35aを取り付けるためのねじ孔33iが、前後方向に貫通するように形成されている。また、右側壁33bには、被取付孔33eのすぐ下側に、接触部材34を取り付けるためのピン状の支点33jが設けられており、左方に若干、延びている。
【0036】
上記の接触部材34は、曲げ加工された金属板で構成され、側壁34aと、側壁34aの後端から右方に延びる後壁34bを一体に有している。側壁34aは、レバー本体33の左側壁33aのすぐ下側に配置されており、右側壁33bの上部以外の部分に対向している。後壁34bは、レバー本体33の前壁33cの上部以外の部分に対向している。また、側壁34aには、その前側の上端部に、左右方向に貫通する被取付孔34cが形成されている。接触部材34は、この被取付孔34cに、軸受け34dを介して上述した本体部33の支点33jが挿入されることにより、本体部33に、支点33jを中心として回動自在に取り付けられている。
【0037】
以上の構成により、駆動ロッド25および支点33jが前述したように左右方向に延びているので、接触部材34は、レバー本体33に対して、レバー本体33を含む駆動レバー32の回動方向に回動可能である。また、後壁34bには、後方から押圧レバー37が接触している。
【0038】
調整機構35は、調整ねじ35aで構成されており、その先端には、キャップ35bが取り付けられている。調整ねじ35aは、前述したレバー本体33のねじ孔33iに、前方からねじ込まれており、キャップ35bは、接触部材34の後壁34bに、前方から接触している。以上の構成により、調整ねじ35aを回すと、調整ねじ35aは、レバー本体33に対して、前後方向に進退する。この場合、上述したように、接触部材34が支点33jを中心として駆動レバー32の回動方向に回動自在になっていることと、後壁34bに、押圧レバー37が後方から、キャップ35bが前方から、それぞれ接触していることから、調整ねじ35aがレバー本体33に対して前後方向に進退するのに伴い、接触部材34は、支点33jを中心として駆動レバー32の回動方向に回動する。また、調整ねじ35aには、レバー本体33に対して調整ねじ35aを進退した位置に保持するためのロックナット35cが設けられている。
【0039】
図2に示すように、前述した押圧レバー37は、本体部38と、本体部38に設けられたローラ39を有している。本体部38は、上下方向に延びる基部38aと、基部38aの途中から後方に若干、延びる被支持部38bを一体に有しており、金属板を曲げ加工することによって、上下方向に直交する断面が「コ」字状に形成されている。被支持部38bには、左右方向に貫通する孔が形成されており、押圧レバー37は、駆動ロッド25と平行に左右方向に延びるピン状のレバー支点41に、この孔を通すことによって、レバー支点41を中心として回動自在に支持されている。レバー支点41は、消音ピアノ2のピアノ本体に固定された金具(いずれも図示せず)に設けられている。
【0040】
また、基部38aの上端部には、左右の両外側に突出するピン38cが設けられており、このピン38cに、上記のローラ39が回動自在に取り付けられている。ローラ39は、本体部38よりも前側に突出しており、接触部材34の後壁34bの上部に、後方から接触している。さらに、基部38aの上端部には、ピン38cよりも後ろ側に、取付孔38dが形成されている。この取付孔38dには、引張コイルばねで構成された第2ばね42の一端部が掛け止めされており、第2ばね42の他端部は、上記の金具に掛け止めされている。この第2ばね42によって、押圧レバー37は、図2の反時計回りに付勢されている。また、基部38aの下端部には、接続部材38eが、左右方向に延びる軸線を中心として回動自在に設けられている。この接続部材38eには、ワイヤ51(操作部材)の一端部が接続されており、ワイヤ51の他端部は、前述した操作レバーに接続されている。このワイヤ51には、消音演奏モード中、操作レバーの操作に伴って引張力が作用し、ワイヤ51をそのように引張力が作用した状態に保持するための保持機構が設けられている。
【0041】
次に、図6や図7を参照しながら、各演奏モードにおける消音機構1の動作について、アクション11やハンマー6の動作とともに説明する。通常演奏モードで演奏を行う場合には、操作レバーは非操作状態に保持される。この状態では、押圧レバー37は、第2ばね42の付勢力によって、図6の反時計回りに回動した位置にあり、駆動レバー32は、第1ばね36の付勢力によって、駆動ロッド25とともに、同図の時計回りに回動した位置にある。これにより、通常演奏モード中、駆動ロッド25の押圧部26が、レール支持部材22を介してストッパレール21を上方に押圧することによって、ストッパレール21は、図6に示す上方の打弦許容位置に保持される。
【0042】
この状態で、鍵5が押鍵されると、鍵5がバランスピンを中心として、図1の時計回りに回動するのに伴い、アクション11の前述したウィッペン12が、鍵5によって突き上げられる。これにより、ウィッペン12は、レペティションレバー13およびジャック14と一緒に上方に回動し、この回動に伴い、ジャック14がハンマー6を突き上げることによって、ハンマー6が時計回りに回動する。その結果、図6に示すように、ハンマー6のハンマーヘッド6bが、弦Sを打弦し、通常演奏モードによる演奏が行われる。
【0043】
この通常演奏モードから、演奏モードを消音演奏モードに設定するために、操作レバーが操作されると、それにより、ワイヤ51が操作レバー側に引っ張られることによって、押圧レバー37の接続部材38eが後方に移動する結果、押圧レバー37は、第2ばね42の付勢力に抗して、図6の時計回りに回動した後、ストッパ(図示せず)に当接する。この押圧レバー37の回動に伴い、ローラ39が、接触部材34に沿って下方に摺動しながらこれを前方に押圧し、それにより、駆動レバー32が、駆動ロッド25とともに、第1ばね36の付勢力に抗して図6の反時計回りに回動する。これにより、駆動ロッド25の押圧部26が、レール支持部材22を介してストッパレール21を下方に押圧することによって、ストッパレール21は、図7に示す下方の打弦阻止位置に移動し、保持される。
【0044】
この状態で、鍵5が押鍵されると、上述した通常演奏モードの場合と同様、ハンマー6が時計回りに回動する。この回動の途中、図7に示すように、ハンマーヘッド6bが弦Sを打弦する直前で、ハンマーシャンク6aの後部が、打弦阻止位置に位置するストッパレール21に、クッション材21dを介して当接することにより、ハンマー6のそれ以上の回動が阻止される結果、打弦が阻止される。これに伴い、前述した楽音発生装置から演奏音が発生し、消音演奏モードによる演奏が行われる。
【0045】
また、消音演奏モード中、上述したように、駆動レバー32および押圧レバー37が第1および第2のばね36,42の付勢力に抗して回動し、押圧レバー37が駆動レバー32を押圧することにより、ストッパレール21が打弦阻止位置に保持される。このため、ハンマー6がストッパレール21に当接した際に、押圧レバー37には、ハンマー6や、第1ばね36、第2ばね42からの反力が作用する。
【0046】
これに対して、図8に示すように、消音演奏モード中、ストッパレール21が上述した打弦阻止位置に保持されている状態において、駆動レバー32の回動中心であるロッド支点RPと、押圧レバー37との駆動レバー32の接触点(以下「レバー接触点」という)TPとを結ぶ直線L1、および、レバー支点41とレバー接触点TPを結ぶ直線L2が、互いにほぼ直交している。
【0047】
以上により、本実施形態によれば、消音演奏モード中、上述した反力の作用点からレバー支点41までの腕の長さが短くなるので、この反力によって押圧レバー37に作用するモーメントを非常に小さくすることができ、したがって、押圧レバー37が回動するのを防止することができる。これにより、駆動レバー32が押圧レバー37で押圧された所定の回動位置に保持されるので、ストッパレール21を打弦阻止位置に確実に保持することができ、したがって、ハンマー6による打弦を確実に阻止でき、消音演奏モードによる演奏を適切に行うことができる。
【0048】
また、調整ねじ35aを回すことでレバー本体33に対して進退させることにより、接触部材34が、レバー本体33に対し、支点33jを中心として、駆動レバー32の回動方向に回動する。これにより、図9に示すように、押圧レバー37とは独立して、駆動レバー32の回動方向における、レバー本体33に対するレバー接触点TPの位置が調整される結果、押圧レバー37で駆動レバー32を押圧した状態におけるレバー本体33の回動位置が、調整される。これにより、必要な駆動レバー32の調整量が大きい場合にも、ストッパレール21を所望の打弦阻止位置にセットすることができ、ひいては、ストッパレール21の安定した適正な打弦阻止動作を確保することができる。この場合、接触部材34がレバー本体33に対して駆動レバー32の回動方向に回動するので、図8を用いて説明した接触部材34および押圧レバー37の位置関係を保持しながら、レバー本体33の回動位置を調整することができる。
【0049】
さらに、構成が比較的単純な調整ねじ35aを用いて、押圧レバー37で駆動レバー32を押圧した状態におけるレバー本体33の回動位置の調整を、容易にかつ無段階で精度良く行うことができ、ひいては、ストッパレール21を所望の打弦阻止位置に精度良くセットすることができる。
【0050】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、ストッパレール21を、駆動ロッド25の押圧部26によって、レール支持部材22を介して押圧しているが、直接、押圧してもよい。また、実施形態では、駆動レバー32のレバー本体33を、駆動ロッド25と別体に構成するとともに、駆動ロッド25に一体に固定しているが、駆動ロッド25と一体に構成してもよい。さらに、実施形態では、接触部材34を、レバー本体33に対し、支点33jを中心として駆動レバー32の回動方向に回動自在に設けているが、駆動レバー32の回動方向にスライド自在に設けてもよい。また、実施形態では、調整ねじ35aをレバー本体33にねじ込むとともに、その先端部に設けられたキャップ35bを接触部材34に接触させているが、逆に、調整ねじ35aを接触部材34にねじ込むとともに、キャップ35bをレバー本体33に接触させてもよい。さらに、実施形態において、キャップ35bを接触部材34に接触させずに、固定してもよく、上述したように調整ねじ35aを接触部材34にねじ込む場合には、キャップ35bをレバー本体33に固定してもよい。
【0051】
また、実施形態では、本発明における調整機構を、調整ねじ35aなどで構成しているが、レバー本体33に対して、接触部材34を駆動レバー32の回動方向に移動させることにより、レバー接触点TPの位置を調整できるのであれば、他の機構を用いてもよい。例えば、接触部材34を駆動レバー32の回動方向の所定の複数の位置に保持する複数のストッパを用いて、レバー接触点TPの位置を段階的に調整する調整機構を用いてもよい。さらに、実施形態では、操作レバーを押圧レバー37に、ワイヤ51を介して接続しているが、リンク機構などを介して接続してもよい。また、実施形態では、ピアノは、グランド型であるが、アップライト型でもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、各部材の形状や配置などといった細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
S 弦
1 消音機構
2 消音ピアノ
5 鍵
6 ハンマー
21 ストッパレール
25 駆動ロッド
26 押圧部
32 駆動レバー
33 レバー本体
34 接触部材
35 調整機構
35a 調整ねじ
37 押圧レバー
41 レバー支点
51 ワイヤ(操作部材)
RP ロッド支点
TP レバー接触点(押圧レバーとの駆動レバーの接触点)
L1 ロッド支点RPとレバー接触点TPとを結ぶ直線
L2 レバー支点41とレバー接触点TPとを結ぶ直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鍵と、当該複数の鍵の押鍵に伴って回動する複数のハンマーを有するとともに、前記回動するハンマーによる弦の打弦を許容する通常演奏モードと、前記弦の打弦を阻止する消音演奏モードとに、演奏モードが切り換えて演奏されるピアノの消音機構であって、
前記複数のハンマーの並び方向に延びるとともに、前記ハンマーの通過を許容することによって、当該ハンマーによる打弦を許容する打弦許容位置と、前記ハンマーが当接することによって、当該ハンマーによる打弦を阻止する打弦阻止位置とに移動可能なストッパレールと、
前記複数のハンマーの並び方向に延び、ロッド支点を中心として回動自在に設けられるとともに、前記ストッパレールを押圧するための押圧部を有する駆動ロッドと、
当該駆動ロッドと一体の駆動レバーと、
前記通常演奏モードと前記消音演奏モードに前記演奏モードを切り換えるために操作される操作部材と、
前記ロッド支点の軸線と平行な軸線上のレバー支点を中心として、回動自在に設けられるとともに、前記操作部材に連結され、前記演奏モードを前記消音演奏モードに設定するために、前記操作部材の操作に伴って回動し、前記駆動レバーを押圧することにより、当該駆動レバーを前記駆動ロッドとともに回動させることで、前記押圧部に前記ストッパレールを押圧させることによって、当該ストッパレールを、前記打弦阻止位置に移動させ、保持するための押圧レバーと、を備え、
前記駆動レバーおよび前記押圧レバーは、前記ストッパレールが前記打弦阻止位置に保持されている状態において、前記ロッド支点と、前記押圧レバーとの前記駆動レバーの接触点とを結ぶ直線、および、前記レバー支点と前記接触点とを結ぶ直線が互いにほぼ直交するように構成されていることを特徴とするピアノの消音機構。
【請求項2】
前記駆動レバーは、
前記駆動ロッドと一体のレバー本体と、
当該レバー本体に、前記駆動レバーの回動方向に移動可能に設けられ、前記押圧レバーに接触する接触部材と、
前記レバー本体に対して、前記接触部材を前記駆動レバーの回動方向に移動させることにより、前記押圧レバーとの前記接触部材の接触点の位置を調整するための調整機構と、を有することを特徴とする、請求項1に記載のピアノの消音機構。
【請求項3】
前記調整機構は、前記レバー本体および前記接触部材の一方に、前記駆動レバーの回動方向に進退自在にねじ込まれるとともに、先端が前記レバー本体および前記接触部材の他方に接触する調整ねじを有することを特徴とする、請求項2に記載のピアノの消音機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−224027(P2010−224027A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68626(P2009−68626)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)