説明

ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤台紙付き音符・音名入り(または階名入り)読譜練習用貼り剥がし自在シート

【課題】読譜練習にかかる労力と時間を軽減し、演奏を楽しめるように、ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤台紙付き音符・音名入り(または階名入り)読譜練習用貼り剥がし自在シートを提供する。
【解決手段】ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤を表した台紙1と、白鍵用のト音記号表記のシート2aとヘ音記号表記のシート2bを設け、黒鍵用の♯系表記のシート3aをハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記する。また黒鍵用の♭系表記のシート3bをハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記とする。またドイツ語、イタリア語、フランス語、ロシア語、中国語、韓国語の音名または階名を記載したシートを用い、それらの国でも使えるように工夫されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤の上に音符・音名(または階名)を書いたシートを直接貼り付け、学習者がテキストの音符を見て、瞬時に鍵盤の位置を把握出来るように工夫した、ピアノ鍵盤台紙付き音符・音名入り(または階名入り)読譜練習用貼り剥がし自在シートに関するものである。
ここで言うピアノ等鍵盤楽器とはピアノのほかに電子ピアノ、電子オルガン、キーボード、鍵盤ハーモニカなどを含めた楽器を指す。
【背景技術】
【0002】
従来、レコードやCD、パソコン・携帯のダウンロードが一般家庭に普及する以前の音楽習得は、楽譜を読んで目から音の情報を得ることが不可欠の要素であった。
その後、オーディオ機器の発達や音楽ソフトの開発は、著しく進歩し、現在では教材の楽譜などに、CDが一緒にセットされている場合も、多く見受けられる。
学習者にとっては、譜面を読む前から曲の全容がわかり、音はおろか曲の表情まで、すべての音楽情報を耳から得ることが出来るようになった。
このことは、時間の短縮、読譜の労力軽減を求めるニーズにうまく合致し、いろいろな曲を、短時間に効率的に弾けるようになった。
この一方で、専門的な音楽教育を受ける場合を除き、一般的な学習者にとっては、読譜そのものが大きな課題となってしまった。
読譜の訓練は、地道な努力の積み重ねと長い時間を要するものだが、音楽環境が時代と共に変化しているにも関わらず、その変化に対応する学習補助用具を使った指導法は、一般的には行われていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのために、次のような問題点があった。
(イ)曲の演奏をする上で、楽譜に書かれた音を正確に読み取ることは基本であるが、音符と鍵盤の位置とを瞬時に頭の中で一致させるのは、訓練が必要である。
このことに、費やす時間と労力は、指導者・学習者双方にとって負担がかかる。
(ロ)図3でも明らかであるが、高音域・低音域の音符は、五線内に収まらず複数の加線が増える。
このことが、学習者が苦労する一因となっている。
曲のレベルが上がると使う鍵盤の広がりに伴い、さらなる読譜力が必要である。
(ハ)図1で示したように、ピアノ等鍵盤楽器のハ音nの周辺は、同じ音を、ト音記号表記とヘ音記号表記が、譜面上に混在する場所である。
特に、低年齢の学習者は混乱しやすい。
(ニ)音楽教室等のグループレッスンにおいて、子供たちを相手に鍵盤の指示を行うときに、弾く位置を全員の子供が理解していないと、時間的効率が悪くレッスンの質にも影響を及ぼす。
(ホ)日本では、音名には複数の表記がある。それは元々クラシックがドイツ・イタリアから入り、ジャズなどのポピュラー音楽がアメリカから入ってきたことに由来する。
その例は以下の通りである。
学校教育では、歌を歌う時、歌詞唱の他に階名唱を行う。
階名唱にも、移動ド唱法と固定ド唱法の2つの形式がある。
また曲の調性を表す時は、日本語音名を使用する。
クラシックを専門的に学ぶ場合はドイツ・イタリア語音名が多く使用される。
ポピュラーを学ぶ場合は英語音名が使用され、演奏上必要な和音の名称を表すコードネームは英語表記が使われる。
このように、1つの鍵盤に対して複数の表記があるため、学習者にとっては、学ぼうとする音楽の種類が変わるたびに、音名を何通りも覚え直す必要があり、煩雑で効率が悪い。
〈ヘ〉既存のシール等を、ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤上に演奏の目印として使うことは、一般の通念からも好ましくない。
剥がした後も、ベタツキが残ったり、ピアノ等鍵盤楽器に損傷を与える可能性もある。
指導者にとっては、自身のピアノ等鍵盤楽器を傷め、剥がしたあとのベタツキや剥がし残りが、生徒や自分自身の演奏の妨げになる心配がある。
発表会場などは、ピアノ等鍵盤楽器に損害を与える可能性のあることは、許可されない。
しかし、演奏のポジションを間違えて、発表会で残念な結果に終わる学習者が見受けられる。
(ト)学習者が家で練習するとき、同じ間違いを繰り返すことはしばしば起こる。
白鍵だけでなく、黒鍵も非常に間違えやすいのは、譜面の♯・♭を見過ごしやすいためである。
譜面では、曲の調性に従って、♯や♭を五線の左端に記載する決まりがあり、学習者は♯や♭を落として弾くことが非常に多い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(イ)ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤を表した台紙(1)を設ける。
(ロ)白鍵用のト音記号表記のシート(2a)を設ける。
(ハ)白鍵用のヘ音記号表記のシート(2b)を設ける。
(ニ)黒鍵用の♯系表記のシート(ハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記とする)(3a)を設ける。
(ホ)黒鍵用の♭系表記のシート(ハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記とする)(3b)を設ける。
(ヘ)本シートに用いる各国の音名または階名表記(4)は、図5と図6に示す様に、日本語・英語・ドイツ語・イタリア語・フランス語・ロシア語・中国語・韓国語を設ける。
以上のように構成されたピアノ等鍵盤楽器の鍵盤台紙付き音符・音名入り(または階名入り)読譜練習用貼り剥がし自在シートである。
【発明の効果】
【0005】
(イ)本シートに記載された、五線譜付き音符の部分を活用した場合の効果を説明する。
楽譜に読めない音符があれば、本シートに書かれた同じ音符を探し、台紙の位置からどの鍵盤かすぐに把握でき、読譜に要する時間を短縮する。
これは、指導者・学習者双方にとっての負担を大きく軽減する。
(ロ)本シートが、オクターブ毎に色分けされている効果を説明する。
演奏の音域が広がると音符は五線に収まらず、加線が増えていくことは図1で示した通りである。
このことは、学習者が読譜をする上で、混乱をきたす要因となる。
高音域や低音域に広がった音符が、どの鍵盤を指すかは、色分けされた本シートを鍵盤に貼り付ければ、瞬時に把握できる。
特に低年齢の子供たちほど、色に対して敏感で興味を示す傾向があるため、その傾向は顕著である。
(ハ)本シートが、白鍵用のト音記号表記(2a)と白鍵用のヘ音記号表記(2b)の両方が用意されている効果を説明する。
図1で示す様に、一般的に高音域はト音記号、低音域はヘ音記号で表記されるが、楽譜上では、ハ音の周辺はト音記号とヘ音記号が、入り混じって記譜される。
このことは学習の初歩段階では、読譜する時に混乱する一因となる。
本シートは図1の通り、中央ハの周辺の鍵盤には、ト音記号と、ヘ音記号の2通りの表記が用意されている。
そのため、どちらかを選んで使用できるので、演奏の際の混乱を防げる。
(ニ)本シートはピアノ等鍵盤楽器のほかに、電子オルガンや学校教材の鍵盤ハーモニカにも使用できる利点を説明する。
音楽教室などのグループレッスンにおいては、一つの鍵盤を指示するときも、全員の手の位置を確認しなくてはならない。
レッスン前に、本シートを複数の電子オルガンに貼っておくことで、弾く鍵盤の場所を生徒がすぐに把握でき、時間の有効活用が可能である。
どのシートを使うかは、その日のレッスンの内容に応じて、指導者の意図により選ぶことができる。
同様に、学校音楽の現場においても、鍵盤ハーモニカに本シートを活用すれば、時間の有効活用に繋がる。
(ホ)本シートの音名または階名部分を使用した場合の効果を説明する。
日本の音楽教育の場に使用される音名を整理し、各国語表記が用意してあるため、使用者の学習目的に合わせて使用できる。
調性を考える時は、日本語音名のハ・ニ・ホ・ヘ・ト・イ・ロで表記された本シートを使用すると、調性がすぐに理解できる。
クラシックの勉強にはドイツ・イタリア語音名表記の本シートを使うと、音名が理解しやすい。
ポピュラー音楽を学ぶ時は、英語音名の本シートを使うことで、ポピュラー譜に出てくるコードネームの基本となる音名を理解できる。
(ヘ)本シートの裏面に、貼り剥がし自在の接着剤を使用した効果を説明する。
従来、ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤にシールなどを目印として貼ることは、指導者・学習者どちら側にも抵抗感があった。
本シートは、貼り剥がし自在の接着剤を裏面に使用しているため、ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤を傷めたり、ベタツキを残すことがない。
このために、本シートは指導者宅、学習者宅、音楽教室、発表会場など、幅広い場所で使用できる。
指導者宅のピアノ等鍵盤楽器に使用しても、自身の練習にも支障がない。
さらに発表会などで目印として使うことで、演奏のポジションを間違えて最後まで弾いてしまうミスも減らせる。
(ト)本シートの台紙にはピアノ等鍵盤楽器の鍵盤図が付いていることの効果を説明する。
家での練習の際に、台紙と同じ場所の鍵盤に、本シートを貼り付ければよいので、容易に使える。
このため、低年齢の子供たちから大人の初心者に至るまで、年齢を問わず使え、再度の間違いが軽減できる。
特に、♯や♭を見落としがちな黒鍵に、本シートを使用することは非常に有効である。
どこでどんな時に使う場合でも、本シートが不要になったら、鍵盤図に戻して貼り付け、必要な時に再利用できることは、利点が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】 ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤を表した台紙(1)に、白鍵用のト音記号表記およびヘ音記号表記のシート(2a・2b)や黒鍵用の♯系表記および♭系表記のシート(3a・3b)を貼り付けた状態を表わした説明図である。
【図2】 本シートの図1の要部を拡大した説明図である。
【図3】 上部の図は、ピアノ等鍵盤楽器の全鍵盤を音符に表した説明図である。下部の図は、オクターブ毎に色分けした白鍵用シート(2a・2b)を、ピアノ等鍵盤楽器の白鍵に貼り付けた状態を表した説明図である。
【図4】 上部は白鍵用シート、下部は黒鍵用シートの例を示した説明図である。
【図5】 本シートに用いる各国の音名表記を表した表の説明図である。
【図6】 本シートに用いる各国の階名表記を表した表の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤を表した台紙(1)に本シート(2a・2b)(3a・3b)を貼り付けた状態を表した説明図である。
本シート(2a・2b)(3a・3b)を剥がして、実際のピアノ等鍵盤楽器の鍵盤に貼り付けて使用する。
図2は、図1の要部の説明図である。
図3の上部の図は、ピアノ等鍵盤楽器の全鍵盤を音符に表した説明図である。
下部の図は、ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤に、本シートを貼り付けた状態を表す縮小した説明図である。
鍵盤図の下部に書いてある色の名前は、本シートのオクターブ毎の色分けを表した説明図である。
図4は、上部は白鍵用シート、下部は黒鍵用シートの例を示す拡大図である。
図5は、本シートに用いる各国の音名表記を表した表である。
図6は、本シートに用いる各国の階名表記を表した表である。
本シートには、図5および図6で示す、音名または階名表記のバリエーションがすべて用意されている。
そのため、本シートの使用国、使用者、音楽学習の目的により、必要なシートを選択して使用することができる。
発明を実施するための形態について説明する。
(イ)ピアノ鍵盤等鍵盤楽器の鍵盤を表した台紙(1)を設ける。
(ロ)白鍵用のト音記号表記のシート(2a)を設ける。
(ハ)白鍵用のヘ音記号表記のシート(2b)を設ける。
(ニ)黒鍵用の♯系表記のシート(ハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記とする)(3a)を設ける。
(ホ)黒鍵用の♭系表記のシート(ハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記とする)(3b)を設ける。
(ヘ)本シートに用いる各国の音名または階名表記(4)は、図5と図6に示す様に、日本語・英語・ドイツ語・イタリア語・フランス語・ロシア語・中国語・韓国語を設ける。
以上のように構成されたピアノ等鍵盤楽器の鍵盤台紙付き音符・音名入り(または階名入り)読譜練習用貼り剥がし自在シートである。
以下に使用法の例を挙げる。
(イ)楽譜上の音符が、どの鍵盤を示すかがわからないときに、その音符が書かれた本シート(2a、2b)(3a・3b)を選ぶ。
(ロ)選んだ本シート(2a、2b)(3a、3b)をピアノ等鍵盤楽器の鍵盤台紙から剥がす。
〈ハ〉剥がした本シート(2a、2b)(3a、3b)を、実際のピアノ等鍵盤楽器の鍵盤に貼り付ける。
図1で示す様に、ハ音の周辺は、同一音に対してト音記号表記と、ヘ音記号表記が混在するため、白鍵用のト音記号表記およびヘ音記号表記のシート(2a・2b)は演奏する楽譜の記譜形式に応じて、どちらかを選ぶ。
(ニ)黒鍵用シート(3a・3b)は演奏曲の調性により♯系、♭系のどちらか必要なものを選んで使用する。
(ホ)利用場所は次の通りである。
指導者宅・学習者宅・音楽教室のグループレッスン、または個人レッスン・学校・発表会場など。
貼り剥がし自在のシートのため、音楽教室や学校では授業前に貼っておき、授業後に剥がしたりすることも、自由にできる。
(ヘ)音名または階名表記(4)は日本語・英語・ドイツ語・イタリア語・フランス語・ロシア語・中国語・韓国語があるため、以上の国々で使用可能である。
日本では、英語表記はポピュラー譜に多用されるため、コードネームを理解する上の基礎として使用する。
(ト)本シートの裏面は、貼り剥がし自在の接着剤を使用し、再利用できるため、不要のときはピアノ等鍵盤楽器の鍵盤台紙に戻しておく。
【符号の説明】
【0008】
1 ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤を表した台紙
2a 白鍵用のト音記号表記のシート
2b 白鍵用のヘ音記号表記のシート
3a 黒鍵用の♯系表記のシート(ハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記とする。)
3b 黒鍵用の♭系表記のシート(ハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記とする。)
4 本シートに用いる各国の音名または階名表記

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤を表した台紙(1)を設ける。
(ロ)白鍵用のト音記号表記のシート(2a)を設ける。
(ハ)白鍵用のヘ音記号表記のシート(2b)を設ける。
(ニ)黒鍵用の♯系表記のシート(ハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記とする)(3a)を設ける。
(ホ)黒鍵用の♭系表記のシート(ハ音より高音域はト音記号表記、ろ音より低音域はヘ音記号表記とする)(3b)を設ける。
(ヘ)本シートに用いる各国の音名または階名表記(4)は、図5と図6に示す様に、日本語・英語・ドイツ語・イタリア語・フランス語・ロシア語・中国語・韓国語を設ける。
本シートに用いる各国の階名表記はすべて固定ドとする。
以上のように構成されたピアノ等鍵盤楽器の鍵盤台紙付き音符・音名入り(または、階名入り)読譜練習用貼り剥がし自在シート

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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