ピペット装置
【課題】ピペット装置を提供する。
【解決手段】筐体上部に可動駆動要素を備えた駆動要素と、筐体上部に配置されたスピゴット受け具と、その内部の爪受け具と筐体上部と下部によって形成される変位チャンバーを備える変位装置と、筐体下部に配置され、チャンネルを経由して変位チャンバーに接続されるピペット先端を取り外し自在に保持する座と、筐体下部に配置されてスピゴット受け具内に挿入されるスピゴットと、スピゴット上に配置され、スピゴットがスピゴット受け具内への挿入時に爪受け具に嵌合する爪を備えるスナップフックと、爪受け具から爪を持ち上げて外すスピゴット軸の横断方向に偏向可能なばね状シャフトと、スピゴット上で可動する嵌合解除輪と、嵌合解除輪の変位によりスナップフックを反り返し、シャフトおよび嵌合解除輪上のくさびギアと、スピゴットがスピゴット受け具中への挿入時に、駆動要素と変位装置を結合する結合装置とを備える。
【解決手段】筐体上部に可動駆動要素を備えた駆動要素と、筐体上部に配置されたスピゴット受け具と、その内部の爪受け具と筐体上部と下部によって形成される変位チャンバーを備える変位装置と、筐体下部に配置され、チャンネルを経由して変位チャンバーに接続されるピペット先端を取り外し自在に保持する座と、筐体下部に配置されてスピゴット受け具内に挿入されるスピゴットと、スピゴット上に配置され、スピゴットがスピゴット受け具内への挿入時に爪受け具に嵌合する爪を備えるスナップフックと、爪受け具から爪を持ち上げて外すスピゴット軸の横断方向に偏向可能なばね状シャフトと、スピゴット上で可動する嵌合解除輪と、嵌合解除輪の変位によりスナップフックを反り返し、シャフトおよび嵌合解除輪上のくさびギアと、スピゴットがスピゴット受け具中への挿入時に、駆動要素と変位装置を結合する結合装置とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の上部と、筐体の上部に取り外し自在に接続可能な筐体の下部を備え、ピペット先端を取り外し自在に保持するための少なくとも1個の座を有するピペット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピペット装置は研究室で用いられ、特に液体の投与に用いられる。これらは先端開口部を経由してピペット先端に汲み上げられ、吐出される。空気ばねピペットでは、ガスの変位装置がピペット装置に一体化され、座の孔を通って、ピペット先端に連通接続される。変位装置によって空気ばねはが変位されることにより、液体はピペット先端内に吸引され、そこから吐出される。多くの場合、変位装置はその内部に可動のプランジャを備えるシリンダにより構成される。
【0003】
ピペット先端はその座に取り外し自在に保持されるので、使用後、新しいピペット先端と交換することができる。これによって、後続の投与への持越し、およびそれによる汚染を防止することができる。1回使用のピペット先端は、プラスチック製の手頃な価格のものを入手可能である。
【0004】
空気ばねピペットでは、変位装置、特にピペット筐体の下部で汚染が発生することがある。したがって、筐体の下部と筐体の上部の2つの部分からなるピペット筐体を実現し、例えばオートクレーブ処理のために互いに分離可能とすることが望ましい。さらに、ピペット装置を異なる容量範囲で用いるために、筐体の下部を変位装置と交換することが望ましい。最終的に、1チャンネルピペットは複数チャンネルピペットに変更することができ、または複数チャンネルピペットのチャンネル数を変更させることができる。
【0005】
欧州特許第EP0428500B1号から、筐体の下部に変位装置を備えるピペット装置は周知であり、ユニオンナットを介して変位装置の駆動装置を備える筐体の上部のシャフトにネジ込み可能である。しかし、筐体の下部の交換は困難で時間がかかり、問題が多い。ネジ山を使用するため、組み立ては手間がかかる。さらに、ネジ山接続のため、筐体の下部が筐体の上部から意図せずに容易に分離することがある。
【0006】
英国特許第21616398A号から、筐体の下部と筐体の上部の間にスナップ接続を備えるピペットが知られている。筐体の下部は、筐体の上部の受け具に嵌合するフック形状のフランジを有する結合具を介して、筐体の上部に接続される。スナップ接続が、筐体の下部と筐体の上部を互いに確実に接続するような寸法であるとき、スナップ接続の部品を互いに解除するのは困難である。スナップ接続の強度が低下すると、使用のとき、筐体の下部と筐体の上部が意図せずに互いに分離する危険性がある。
【特許文献1】欧州特許第EP0428500B1号
【特許文献1】英国特許第21616398A号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、筐体の上部と筐体の下部を互いに容易に分離することができるとともに、互いに精度よく接続することができるピペット装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を備えるピペット装置によって解決される。ピペット装置の有利な実施形態は従属請求項に示される。
【0009】
すなわち、本発明によるピペット装置は、
筐体の上部と、
筐体の上部に配置され、可動駆動要素を備える駆動装置と、
筐体の上部に配置されたスピゴット受け具と、
スピゴット受け具内部の少なくとも1個の爪受け具と、
筐体の下部と、
筐体の下部に配置され、変位チャンバーを備える少なくとも1個の変位装置と、
筐体の下部に配置され、チャンネルを経由して変位チャンバーに接続されている、ピペット先端を取り外し自在に保持するための少なくとも1個の座と、
筐体の下部に配置されて、スピゴット受け具内に挿入されるスピゴットと、
前記スピゴット上に配置されて、スピゴットがスピゴット受け具内に挿入されるとき爪受け具内に嵌合するための爪、および爪を爪受け具の外へ外すためにスピゴットの軸を横断して反り返し可能なバネ性シャフトを備える少なくとも1個のスナップフックと、
スピゴット上で動くことの可能な嵌合解除輪と、
嵌合解除輪を一方向に変位すると軸心方向にスナップフックを反り返し、嵌合解除輪を前記と反対方向に変位するとスナップフックを軸心から径方向に戻る、シャフト上のくさびギアおよび嵌合解除輪と、
スピゴットがスピゴット受け具内に挿入されるとき駆動要素と変位装置を結合する結合装置と、を有する。
【0010】
本発明によるピペット装置は、筐体の上部と筐体の下部の間にスナップ接続を有する。このスナップ接続は特に堅固に実現することが可能であるので、筐体の上部と筐体の下部は互いに安全に接続される。
【0011】
しかし、スナップ接続は嵌合解除輪を変位させることによって簡単かつ簡単な作用によって解除することができるので、取り外しは容易に可能である。すなわち、スナップフックを偏向(反り返す)させる力は、シャフト上と嵌合解除輪上に形成されたくさびギアによって大きく低減される。したがって、スナップフック大きなバネ力に抗して、比較的小さい力で嵌合解除輪を変位させることが可能である。その結果、特に堅固なスナップフックを実現することができ、またはそれぞれその予備張力の下に、爪を爪受け具中に嵌合することができる。また、本発明は、取り外しのために大きい力で同時に偏向しなければならないいくつかのスナップフックが提供されるとき有利である。
【0012】
本発明は、変位装置の異なる実施形態を含む。例えば、メンブレンとして実現される可動壁を備える変位チャンバーでこれに対処することができる。変位装置は、内部でプランジャが動くことのできるシリンダであることが好ましい。本発明は、プランジャとシリンダが筐体の下部に配置されることの実現、ならびに、シリンダだけが筐体の下部に配置され、プランジャは筐体の上部に設けられて、筐体の下部と筐体の上部が接続されるときシリンダ内部に挿入されることの実現を含む。
【0013】
正確な投与のために、筐体の下部を筐体の上部に規定された嵌合が必要である。一実施形態によれば、このためにスピゴット受け具の圧力ばね装置が筐体の上部に設けられ、スピゴット受け具に挿入されるスピゴットをスピゴットの挿入方向と反対方向に押圧する。これによって、スピゴットは、スピゴット受け具中でその爪との決まった位置を取るので、筐体の上部と筐体の下部は互いに正確な位置を取る。さらに、爪が爪受け具から持ち上げられると直ちに、圧力ばね装置は筐体の上部と筐体の下部を互いに押圧するので、取り外しは容易になる。その結果、嵌合が解除されるとき、筐体の上部と筐体の下部は自動的に互いに離れるので、使用者は嵌合解除輪の起動に集中することができる。
【0014】
一実施形態によれば、スピゴットは、挿入方向にスナップフックの前に配置されたスリーブ部と、スナップフックの側部に配置された少なくとも1個の接続橋とを有し、スナップフックと接続橋は基底部で接続され、スリーブ部、接続橋、およびスナップフックは中空の円筒状スピゴットを形成し、スピゴットがスピゴット受け具内に挿入されないとき、そこから爪がいくらか外側へ向けて突出する。挿入方向の先端に配置されたスリーブ部および円筒形状はスピゴットをスピゴット受け具内に挿入するのを容易にする。外側に突出する爪は爪受け具内に挿入されると、それらを内部に格納することができる。変位装置は、中空シリンダの開口部を経由してその前方側に駆動装置の駆動要素と連結することができる。例えば、基底部は、例えば、円錐または円筒状突出部として実現されるピペット先端の座に固定して接続される。
【0015】
例えば、スナップフック受け具は、スピゴット受け具の内周に周辺方向に制限されて展延する窪みとして実現される。一実施形態によれば、それはスピゴット受け具の内周を周回する輪状溝であるので、筐体の下部はスピゴット受け具にそれに対する任意の回転位置で挿入可能であり、または筐体の上部と筐体の下部はそれぞれ嵌合位置で互いに旋回可能である。
【0016】
一実施形態によれば、スピゴットは、挿入方向にスナップフックの前に配置されスピゴットがスピゴット受け具内に挿入されるとき、圧力ばね装置に対して押し圧する接続要素を有する。これは、爪が爪受け具内に入るまで適度なばね張力を徐々に作り上げ、およびこのばね張力により筐体の下部の筐体の上部に対する決まったな位置、ならびに解除の場合その自動的な分離を補助する。
【0017】
原理的にスナップフックは、その偏向された状態(反らした状態)でスピゴットの軸に斜めに導くことができる。一実施形態によれば、スナップフックは偏向されない状態でスピゴットの軸に実質上平行に配向される。これは本質的に円筒形状のスピゴットの実現を可能にし、筐体の上部と筐体の下部をスピゴット軸に関して任意の角度位置で挿入することが容易になる。
【0018】
一実施形態によれば、ピペット装置はスナップ鉤を1個だけ有する。他の実施形態によれば、ピペット装置はスピゴットの周辺に対称的に分配されたいくつかのスナップフックを有する。これによって、筐体の上部の上に筐体の下部が特に安全に固定される。さらに、スピゴット上に均一に作用している装着力は、筐体の上部と筐体の下部の正確な位置を決定し、取り付けと取り外しを容易にする。
【0019】
筐体の上部と筐体の下部の接続を容易にする一実施形態によれば、スピゴット受け具中に挿入するとき爪はその端部に羽縁部を有し、および/またはスピゴット受け具は外側に向けて導かれた拡大部を有する。
【0020】
本発明はシャフトおよび嵌合輪上の異なるくさびギアの実現を含む。一実施形態によれば、くさびギアは、外側へ向かって突出するシャフト上の突起、および突起上のくさび面および/または嵌合輪の内周上のくさび面を有する。したがって、くさび面を備える突起が含まれ、くさび面上を嵌合輪が滑る。さらに、くさび面のない突起が含まれ、その上を嵌合輪の内周上のくさび面が滑る。さらに、突起および内周は、各々互いに滑るくさび面を備えて実現することができる。
【0021】
一実施形態によれば、くさび面はスピゴットの方向に導かれ、嵌合解除輪はスピゴットに軸に沿って可動である。したがって、スナップフックの偏向(反り返し)は嵌合解除輪の軸に沿った反り返しによる変位によって行われる。
【0022】
一実施形態によれば、スピゴットは軸停止部を有し、嵌合解除輪はその間で動くことができる。停止部によって、嵌合解除輪はスピゴットに係留されて接続される。さらに、停止部は嵌合解除輪の変位範囲を制限する。
【0023】
一実施形態によれば、くさび面はスピゴットの周面に沿って導かれ、嵌合解除輪は少なくとも1個の受け具を有し、その中にスナップフックのシャフト上の突起を回転してはめ込むことが可能である。この実施形態において、嵌合解除輪を回転することによって、突起が受け具から滑り出て嵌合解除輪の内部周辺へ入るので、スナップフックは偏向する。この目的のために、受け具の展延部は嵌合解除輪の周方向での移動が制限される。例えば、それは周方向の突起の展延部よりもいくらか大きいので、同部品は容易に回転して取り出すことができる。嵌合するためには、受け具の中に突起を回転してはめ込む必要がある。この実施形態においてさえ、スナップフックの突起は嵌合解除輪の受け具に入ることができるスピゴットの位置に予め嵌合解除輪を保持する軸停止部を存在させることができる。
【0024】
一実施形態によれば、シャフトは外側へ突出する停止部を有し、嵌合解除輪は嵌合解除輪の周方向への移動の制限された展延部を有する停止部用の受け具溝を有し、突起が受け具中に嵌合するその回転位置から、突起が受け具側部の嵌合解除輪の内部周辺近くに位置する回転位置へ回転することが可能になる。停止部は嵌合輪の回転範囲を制限するので、同部品は爪受け具内の嵌合位置から嵌合しない位置へスナップフックを偏向することができる。さらに、受け具溝はスピゴット上の嵌合解除輪の軸状変位を防止することができるので、突起は常に受け具の中に簡単に回転してはめ込むことができる。
【0025】
1チャンネルピペットにおいて、嵌合解除輪の手動変位は容易に可能である。多チャンネルピペットにおいて、嵌合解除輪の手動変位は筐体の下部の横方向張り出しによって妨害される。特に多チャンネルピペットについては、嵌合解除輪は一実施形態において、その先端側の外周に沿って歯を有し、筐体の上部はスピゴット受け具に対して軸に形成された歯と嵌合する作用位置と取外位置との間を可動な要素である歯を有する排出装置を有し、排出装置が起動されないとき歯と嵌合せず、排出装置の起動によって歯と嵌合させることができる。歯が排出装置の起動によって嵌合されると、嵌合解除輪はあらゆる回転が防止される。その結果、筐体の下部を回転することによって、固定された嵌合解除輪の受け具からスナップ鉤の突起を回転して取り出すことが可能であり、爪受け具からその爪とともにスナップフックを持ち上げることができる。筐体の張り出し下部の回転は容易に可能である。さらに、本実施形態は、排出装置が起動されるときだけ分離が可能なので、筐体の上部と筐体の下部が意図せずに離れることを防ぐ。特にこのため、本実施形態は1チャンネルピペットにおいて有利である。また、特に、既存のピペット先端用排出装置を使用することは有利である。しかし、嵌合解除輪の位置固定用の特殊な排出装置、この場合筐体の下部用の排出装置を備えるピペット装置の実施も本発明に含まれる。
【0026】
さらに他の実施形態によれば、筐体の上部に誘導される排出ロッドに取り外し自在に、または固定して接続され、および、筐体の下部、例えば、排出スリーブまたは排出プレートに誘導されるピペット先端用の排出装置に取り外し自在に、または固定して接続された排出伝達具の下側に、軸状歯が配置される。
【0027】
一実施形態によれば、ピペット装置は1チャンネルピペットである。
【0028】
さらに他の実施形態によれば、ピペット装置は多チャンネルピペットである。筐体の下部を交換することによって、1チャンネルピペットから多チャンネルピペットへ、またはその逆へ変換することのできるピペット装置も含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以降、添付の実施例図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0030】
以下の説明において、「頂部」および「底部」の表示はピペット操作時のピペット装置の向きと関連し、ピペット装置は、筐体の上部に備わった支柱(直立部分)を上にし、筐体の下部およびこの下部に保持されたピペット先端を下にしている。
【0031】
図1〜6によれば、1チャンネル(流路)ピペット装置は、筐体の上部1の円筒状中空チャンバー4の軸方向に伸びる昇降ロッドとして構成した可動駆動要素3(movable drive element)を有する駆動装置2を備える筐体の上部1を有する。駆動要素3はその縦軸方向に沿って移動可能である。
【0032】
駆動装置2は駆動ボタン5を有し、このボタンは戻りばね6に抗して駆動することができる。駆動ボタン5を押圧することによって、駆動要素3は底部に向かって動くことが可能である。駆動ボタン5を解除した後、駆動要素3は戻りばね6によって、図1に示す元の位置に戻される。
【0033】
固定容量ピペットとしての実現において、駆動要素3のストロークは1つだけ定めることが可能である。投与容量を調節可能なピペットとしての実現において、駆動装置2は、駆動要素3のストロークを調節可能な装置、およびそれぞれの投与容量設定を表示する表示装置を備える。
【0034】
中空チャンバー4において、コイルばねとして実現される圧力ばね装置7は、上部リブ8に支持され、この上部リブは中空チャンバー4の内周側に配置されてその上部コイルばね9の押し付け動作によって中空チャンバー4に保持される。
【0035】
圧力ばね装置7の底部までおよぶ中空チャンバー4の底部は、スピゴット受け具10(差込み口受け具)である。スピゴット受け具10は筐体開口11を経由して底部側に接近可能である。筐体開口11は円錐形の拡大部12を有する。筐体開口11の上部寄りに、爪受け具13がスピゴット受け具10内にあり、リング溝として実現され、スピゴット受け具10の内周面を周回する。
【0036】
筐体の上部1は、例えば硬質プラスチック材料から作られる。例えば、駆動装置2およびバネ6、7など、筐体の上部に固定される部品は、部分的または全体を金属および/またはプラスチックにより作られる。
【0037】
さらに、ピペット装置は筐体の下部14を有する。筐体の下部は変位系15を備え、その内部で軸に沿って動くことの可能なプランジャ17を備えるシリンダ16として実現される。プランジャ17とシリンダ16の間には封止系18がある。プランジャ17は頂部にプランジャ受け皿19を有する。プランジャ受け皿19とシリンダの上部側16の間にはプランジャ戻りばね20がある。2個のばね6または20のうちの1つは省略することもできる。
【0038】
筐体の下部14は、その底部側に、ピペット先端上に締め付けるためのそれぞれ円筒状またはわずかに円錐形の突起21(lug)を有する。シリンダ16は、チャンネル22を経由して突起中の中心開口23に接続する。
【0039】
変位装置15は、部分的または全体を金属および/またはプラスチックにより作られる。
【0040】
突起21の上部に、つまり、筐体の下部14に円錐部分24を有する。突起21および円錐部分24は互いに1個の基底部を形成する。その上部に、筐体の下部14は本質的に円筒状スピゴット(差込み口)25として実現される。スピゴット25は、図2に示すように、底部側に、互いに直径方向に対面する2個のスナップフック26’、26”を有し、円錐部分24および上端部の外側に向かって突出する爪28’、28”に接続された各々1個のシャフト27’、27”を有する。各シャフト27’、27”のほぼ中間に、くさび形状を有し、または外側にそれぞれくさび面30’、30”を有する外側へ向かって突出する突起29’、29”を有する。くさび面30’、30”はスピゴット25の軸方向に導かれ、シャフト27’、27”に対する突起29’、29”の高さは、この内部で底部から上部に向けて高くなっている。
【0041】
頂部で、爪28’、28”は円錐そぎ端31を有する。
【0042】
スナップフック26’、26”は偏向しない状態でスピゴット25の軸にほぼ平行に整列される(図1参照)。それらはスピゴット25の軸に向かって弾性的に偏向可能である。この目的のために、筐体の下部14の円錐領域24および突起21はそれと一体的に製造され、弾力性のある硬質のプラスチック材料から作られる。
【0043】
さらに、スピゴット25は、図2に示すように、互いに直径方向に対面する2個の接続橋33’、33”を有する接続要素32を有する。接続橋33’、33”はスピゴット25の軸に平行に配置される。スナップフック26’、26”の上部で、それらは、完全に周回する中空円筒状スリーブ部34によって互いに接続される。頂部側で、スリーブ部34は、内部に向かって突出し中央の孔36の形成されたフランジ35を有し、その孔36を通って駆動要素3を挿入可能とする。プランジャ戻りばねは受け皿19をフランジ35に対して押圧し、それによってプランジャ17を上部20に向かって押圧する。
【0044】
接続橋33’、33”およびスナップフック26’、26”のシャフト27’、27”も中空円筒状である。偏向されない状態(反り返の作用していない静止状態)において、シャフト27’、27”は接続フック33を補って中空円筒体などにし、それ自体頂部で中空円筒状スリーブ34によって補足される。その結果、中空円筒状スピゴット25が上述の要素によって互いに形成される。
【0045】
中空の円筒状嵌合解除輪37はスピゴット25上に軸上に可動に配置される。嵌合解除輪37の内径は、突起29’、29”の下方でスピゴット25の外径をわずかに大きい。嵌合解除輪37は下部軸停止部38と上部軸停止部39(図3参照)の間で軸に沿って動くことが可能である。下部軸停止部38は、円錐部分24の頂部で外側へ向かって突出し、互いに直径方向に対面する2個の突起によって形成される。上部軸停止部39は、接続橋33’、33”上の外側へ向かって突出する突起39によって形成される。
【0046】
停止部38は、嵌合解除輪37が突起29’、29”を露出する位置から突起29’、29”を覆う位置へ動くことができるように配置される。嵌合解除輪37の内部直径は、それがその内部周辺で滑り面30’、30”の上を滑り、突起29’、29”上へ押し込まれるとき、スナップフック26’、26”をスピゴット25の軸に向かって偏向(反り返す)可能な寸法にされる。
【0047】
筐体の上部1および筐体の下部14は以下のように取り扱われる。
【0048】
筐体上部と下部を装着するためには、スピゴット25と共に筐体の下部14をスピゴット受け具10に挿入する。それによって、円錐そぎ端31、31”は拡大部12の上を滑り、スナップフック26’、26”は内部に向かって反り返される。圧力ばね装置7はスピゴット25の接続要素32によって圧縮される。駆動要素3は孔36に押し込まれ、受け皿19に接触する。最終的に、爪28’、28”は爪受け具13の中に格納される。圧力ばね装置7はその底部側で爪28’、28”を爪受け具13に対して押圧するので、所定の位置が維持される。バネ受け皿19はプランジャ戻りばね20によって駆動要素3への所定の近接固定が保たれる(図1参照)。
【0049】
また、装着の際に、最初に嵌合解除輪37を上部停止部39まで押し込み、スナップフック26’、26”が弾性的に内部に向かって現れるようにして行うことができる。爪28’、28”が爪受け具13の高さにあるとき、嵌合解除輪37は爪28’、28”が爪受け具に嵌合するように下方に押し込む必要がある。
【0050】
ピペット先端を突起21に締め付けた後、ピペット内の液体を先端から吐出/ピペット内に液体を吸引するために、起動ボタン5を起動してシリンダないの気柱を変位装置15によって動かすことができる。
【0051】
取り外すためには、爪28’、28”が爪受け具13から持ち上がるように嵌合解除輪37を上方に押し込む。これは嵌合解除輪37が上部停止部39に近接するとき達成される。圧力ばね装置7は筐体の下部14を筐体の上部1の外に押すので、それは容易に取り出すことができる(図5参照)。
【0052】
図7〜13の実施例の説明において、図1〜6の実施例のものと本質的に一致する部品は同じ参照番号を付すに留める。
【0053】
筐体の上部は同一の方法で実現される。この実施例では、筐体の上部が、中空チャンバー4の側部に軸に導かれた、排出ロッド41を誘導するシャフト40を有することが重要である。筐体の上部1の上部端部で、排出ロッド41は排出ボタン42と接続される。筐体と排出ロッド41の間の排出ばね43は排出ロッド41を元の上部位置に押し戻す。底部で、排出ロッド41はその底部に筐体の上部1から立ち上がる差込み端部44を有する。
【0054】
筐体の下部45はスピゴット25を有し、これは上述のスピゴットとは異なり、スナップフック26’、26”上に、スピゴットの周辺方向に導かれるくさび面47’、47”を備える突起46’、46”を有する。さらに、外側へ向かって突出する停止部48’、48”は、各突起46’、46”の下方のスナップフック26’、26”上に同時に存在する。
【0055】
嵌合解除輪37は、互いに径方向に対面する2個の受け具49’、49”を有するスピゴット25上にあり、受け具に突起46’、46”を回転してはめ込むことができる。受け具49’、49”は、突起46’、46”のほぼ全体長さに周辺方向に展延する。受け具49’、49”は、図10に示すように、嵌合解除輪37の貫通孔として実現することができる。
【0056】
受け具49’、49”の下方に、嵌合解除輪37は互いに直径方向に対面する2個の受け具溝50’、50”を有し、これも貫通孔として実現される。停止部48’、48”は受け具溝50’、50”の中に配置することができる。受け具溝50’、50”は、停止部48’、48”が受け具溝50’、50”の内部で動くことが可能なように、スピゴット25の周辺領域の周りに展延する。受け具溝50’、50”の軸状展延部は、停止部48’、48”の軸方向の上側の展延部にあるので、停止部48’、48”が輪状溝50’、50”に嵌合するとき、嵌合解除輪37はスピゴット25の軸方向に動かないように保持される。
【0057】
輪状溝50’、50”との協働において、停止部48’、48”は、突起46’、46”をそれらが完全に受け具49’、49”中に嵌合する図7に示した位置から、それらが嵌合解除輪37の内部周辺に近接して配置される位置に受け具49’、49”に沿って持ってくることができるように、スピゴット上の嵌合解除輪37の回転可能性を制限する。嵌合解除輪37を図7に示した位置から図10に示した位置に回転するとき、くさび面47’、47”は、スナップフック26’、26”が徐々にスピゴット軸に向かって変位するように、受け具49’、49”の上を滑る。
【0058】
その外部周辺で、図13に示すように、嵌合解除輪37は互いに直径方向に対面する領域に、軸に沿ってに上側に向かって導かれる各々1個の歯51’、51”を有する。
【0059】
さらに、排出伝達具52はスピゴット25の外側に誘導されて軸に沿って動くことが可能である。排出伝達具52はスピゴット25に平行に導かれる差込み受け具53を有し、その中に排出ロッド41の差込み端部44を押し込むことができる。底部に、排出伝達具52は下方に導かれる周回軸状歯54を有し、これは排出伝達具52が下方に押し込まれるとき、歯51’、51”に嵌合する。
【0060】
筐体の下部45の一方の側に配置された排出橋55’、55”を介して、排出伝達具52はピペット先端を上げるための突起に設けられた排出プレートに接続される。多チャンネル用のそれらの排出具の実現は当業者には既知であり、ここでは詳細に論じない。
【0061】
スピゴット25の軸上に起動ロッド56が展延し、これはスピゴット下方で筐体の広げられた領域中の横梁57に接続される。横梁57は図示されないいくつかの平行な変位装置のプランジャに接続され、これはピペット先端を上げるための突起につなげて接続される。さらに詳細に示さないこれらの多チャンネルピペットの実現も、当業者に既知である。
【0062】
起動ロッド56は頂部に受け皿19を有する。プランジャ戻りばね20は、同品がフランジ35に対して上方に押し圧されるように受け皿19に力を加える。
【0063】
筐体の上部1と共体の下部45を接続するために、スピゴット25は爪28’、28”が爪受け具13中に格納されるまでスピゴット受け具10中に挿入される。圧力ばね装置7は、爪28’、28”の下側を爪受け具13の底部壁近くに固定して保持する。
【0064】
さらに、スピゴット25を搭載するとき、駆動要素3はプレート19に接近して配置される。その結果、投与工程は駆動装置2の駆動によって行うことができる。
【0065】
排出ロッド41の差込端部44は排出伝達具52の差込み受け具53中に押し込まれる。スピゴット25がスピゴット受け具中に挿入されるとき、それは排出伝達具52中に侵入する。この中で、排出伝達具52は、ばねの予備張力の下で排出伝達具に接近して配置される排出橋55’、55”に接触する。この状態はスピゴット25が差込み受け具53中に格納されるとき達成される。その結果、突起上に置かれたピペット先端は排出ボタン42を起動することによって排出することができる。
【0066】
筐体の下部45を筐体の上部1に対して自由な回転位置に持ってくることが可能である。
【0067】
取り外すためには、軸状歯51’、51”が軸状歯54に嵌合するように排出ボタン42が起動される。これによって、嵌合解除輪37はその回転位置に保たれる。その後、突起46’、46”の回転取り外しは筐体の下部45を揺動することによって達成することができる。これによって、爪28’、28”は爪受け具13から持ち上げられ、圧力ばね装置7は筐体の下部45を筐体の上部1の外へ押し出す。
【0068】
これを支持するために、それは筐体の下部45に引き下げてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】筐体の上部およびスピゴットが嵌合された状態を示す縦断面図である。
【図2】図1のII〜II矢視断面図である。
【図3】筐体上部の縦断面およびスピゴットが嵌合された筐体下部の全体図である。
【図4】図3のIV〜IV矢視断面図である。
【図5】嵌合解除された筐体下部を示す縦断面図である。
【図6】図5のVI〜VI矢視断面図である。
【図7】筐体の上部および嵌合された状態の多チャンネルピペット装置の筐体下部の縦断面図である。
【図8】図7のVIII〜VIII矢視断面図である。
【図9】排出伝達具がスナップを閉じた位置および嵌合フックを嵌合した筐体下部の全体図である。
【図10】排出伝達具がスナップを閉じた位置および嵌合鉤を解除した筐体下部の縦断面図である。
【図11】図10のXI〜XI矢視断面図である。
【図12】嵌合鉤を解除した排出伝達具を有する筐体下部の部分図である。
【図13】差込み受け具の嵌合の解除された状態を示す筐体下部の拡大図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の上部と、筐体の上部に取り外し自在に接続可能な筐体の下部を備え、ピペット先端を取り外し自在に保持するための少なくとも1個の座を有するピペット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピペット装置は研究室で用いられ、特に液体の投与に用いられる。これらは先端開口部を経由してピペット先端に汲み上げられ、吐出される。空気ばねピペットでは、ガスの変位装置がピペット装置に一体化され、座の孔を通って、ピペット先端に連通接続される。変位装置によって空気ばねはが変位されることにより、液体はピペット先端内に吸引され、そこから吐出される。多くの場合、変位装置はその内部に可動のプランジャを備えるシリンダにより構成される。
【0003】
ピペット先端はその座に取り外し自在に保持されるので、使用後、新しいピペット先端と交換することができる。これによって、後続の投与への持越し、およびそれによる汚染を防止することができる。1回使用のピペット先端は、プラスチック製の手頃な価格のものを入手可能である。
【0004】
空気ばねピペットでは、変位装置、特にピペット筐体の下部で汚染が発生することがある。したがって、筐体の下部と筐体の上部の2つの部分からなるピペット筐体を実現し、例えばオートクレーブ処理のために互いに分離可能とすることが望ましい。さらに、ピペット装置を異なる容量範囲で用いるために、筐体の下部を変位装置と交換することが望ましい。最終的に、1チャンネルピペットは複数チャンネルピペットに変更することができ、または複数チャンネルピペットのチャンネル数を変更させることができる。
【0005】
欧州特許第EP0428500B1号から、筐体の下部に変位装置を備えるピペット装置は周知であり、ユニオンナットを介して変位装置の駆動装置を備える筐体の上部のシャフトにネジ込み可能である。しかし、筐体の下部の交換は困難で時間がかかり、問題が多い。ネジ山を使用するため、組み立ては手間がかかる。さらに、ネジ山接続のため、筐体の下部が筐体の上部から意図せずに容易に分離することがある。
【0006】
英国特許第21616398A号から、筐体の下部と筐体の上部の間にスナップ接続を備えるピペットが知られている。筐体の下部は、筐体の上部の受け具に嵌合するフック形状のフランジを有する結合具を介して、筐体の上部に接続される。スナップ接続が、筐体の下部と筐体の上部を互いに確実に接続するような寸法であるとき、スナップ接続の部品を互いに解除するのは困難である。スナップ接続の強度が低下すると、使用のとき、筐体の下部と筐体の上部が意図せずに互いに分離する危険性がある。
【特許文献1】欧州特許第EP0428500B1号
【特許文献1】英国特許第21616398A号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、筐体の上部と筐体の下部を互いに容易に分離することができるとともに、互いに精度よく接続することができるピペット装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を備えるピペット装置によって解決される。ピペット装置の有利な実施形態は従属請求項に示される。
【0009】
すなわち、本発明によるピペット装置は、
筐体の上部と、
筐体の上部に配置され、可動駆動要素を備える駆動装置と、
筐体の上部に配置されたスピゴット受け具と、
スピゴット受け具内部の少なくとも1個の爪受け具と、
筐体の下部と、
筐体の下部に配置され、変位チャンバーを備える少なくとも1個の変位装置と、
筐体の下部に配置され、チャンネルを経由して変位チャンバーに接続されている、ピペット先端を取り外し自在に保持するための少なくとも1個の座と、
筐体の下部に配置されて、スピゴット受け具内に挿入されるスピゴットと、
前記スピゴット上に配置されて、スピゴットがスピゴット受け具内に挿入されるとき爪受け具内に嵌合するための爪、および爪を爪受け具の外へ外すためにスピゴットの軸を横断して反り返し可能なバネ性シャフトを備える少なくとも1個のスナップフックと、
スピゴット上で動くことの可能な嵌合解除輪と、
嵌合解除輪を一方向に変位すると軸心方向にスナップフックを反り返し、嵌合解除輪を前記と反対方向に変位するとスナップフックを軸心から径方向に戻る、シャフト上のくさびギアおよび嵌合解除輪と、
スピゴットがスピゴット受け具内に挿入されるとき駆動要素と変位装置を結合する結合装置と、を有する。
【0010】
本発明によるピペット装置は、筐体の上部と筐体の下部の間にスナップ接続を有する。このスナップ接続は特に堅固に実現することが可能であるので、筐体の上部と筐体の下部は互いに安全に接続される。
【0011】
しかし、スナップ接続は嵌合解除輪を変位させることによって簡単かつ簡単な作用によって解除することができるので、取り外しは容易に可能である。すなわち、スナップフックを偏向(反り返す)させる力は、シャフト上と嵌合解除輪上に形成されたくさびギアによって大きく低減される。したがって、スナップフック大きなバネ力に抗して、比較的小さい力で嵌合解除輪を変位させることが可能である。その結果、特に堅固なスナップフックを実現することができ、またはそれぞれその予備張力の下に、爪を爪受け具中に嵌合することができる。また、本発明は、取り外しのために大きい力で同時に偏向しなければならないいくつかのスナップフックが提供されるとき有利である。
【0012】
本発明は、変位装置の異なる実施形態を含む。例えば、メンブレンとして実現される可動壁を備える変位チャンバーでこれに対処することができる。変位装置は、内部でプランジャが動くことのできるシリンダであることが好ましい。本発明は、プランジャとシリンダが筐体の下部に配置されることの実現、ならびに、シリンダだけが筐体の下部に配置され、プランジャは筐体の上部に設けられて、筐体の下部と筐体の上部が接続されるときシリンダ内部に挿入されることの実現を含む。
【0013】
正確な投与のために、筐体の下部を筐体の上部に規定された嵌合が必要である。一実施形態によれば、このためにスピゴット受け具の圧力ばね装置が筐体の上部に設けられ、スピゴット受け具に挿入されるスピゴットをスピゴットの挿入方向と反対方向に押圧する。これによって、スピゴットは、スピゴット受け具中でその爪との決まった位置を取るので、筐体の上部と筐体の下部は互いに正確な位置を取る。さらに、爪が爪受け具から持ち上げられると直ちに、圧力ばね装置は筐体の上部と筐体の下部を互いに押圧するので、取り外しは容易になる。その結果、嵌合が解除されるとき、筐体の上部と筐体の下部は自動的に互いに離れるので、使用者は嵌合解除輪の起動に集中することができる。
【0014】
一実施形態によれば、スピゴットは、挿入方向にスナップフックの前に配置されたスリーブ部と、スナップフックの側部に配置された少なくとも1個の接続橋とを有し、スナップフックと接続橋は基底部で接続され、スリーブ部、接続橋、およびスナップフックは中空の円筒状スピゴットを形成し、スピゴットがスピゴット受け具内に挿入されないとき、そこから爪がいくらか外側へ向けて突出する。挿入方向の先端に配置されたスリーブ部および円筒形状はスピゴットをスピゴット受け具内に挿入するのを容易にする。外側に突出する爪は爪受け具内に挿入されると、それらを内部に格納することができる。変位装置は、中空シリンダの開口部を経由してその前方側に駆動装置の駆動要素と連結することができる。例えば、基底部は、例えば、円錐または円筒状突出部として実現されるピペット先端の座に固定して接続される。
【0015】
例えば、スナップフック受け具は、スピゴット受け具の内周に周辺方向に制限されて展延する窪みとして実現される。一実施形態によれば、それはスピゴット受け具の内周を周回する輪状溝であるので、筐体の下部はスピゴット受け具にそれに対する任意の回転位置で挿入可能であり、または筐体の上部と筐体の下部はそれぞれ嵌合位置で互いに旋回可能である。
【0016】
一実施形態によれば、スピゴットは、挿入方向にスナップフックの前に配置されスピゴットがスピゴット受け具内に挿入されるとき、圧力ばね装置に対して押し圧する接続要素を有する。これは、爪が爪受け具内に入るまで適度なばね張力を徐々に作り上げ、およびこのばね張力により筐体の下部の筐体の上部に対する決まったな位置、ならびに解除の場合その自動的な分離を補助する。
【0017】
原理的にスナップフックは、その偏向された状態(反らした状態)でスピゴットの軸に斜めに導くことができる。一実施形態によれば、スナップフックは偏向されない状態でスピゴットの軸に実質上平行に配向される。これは本質的に円筒形状のスピゴットの実現を可能にし、筐体の上部と筐体の下部をスピゴット軸に関して任意の角度位置で挿入することが容易になる。
【0018】
一実施形態によれば、ピペット装置はスナップ鉤を1個だけ有する。他の実施形態によれば、ピペット装置はスピゴットの周辺に対称的に分配されたいくつかのスナップフックを有する。これによって、筐体の上部の上に筐体の下部が特に安全に固定される。さらに、スピゴット上に均一に作用している装着力は、筐体の上部と筐体の下部の正確な位置を決定し、取り付けと取り外しを容易にする。
【0019】
筐体の上部と筐体の下部の接続を容易にする一実施形態によれば、スピゴット受け具中に挿入するとき爪はその端部に羽縁部を有し、および/またはスピゴット受け具は外側に向けて導かれた拡大部を有する。
【0020】
本発明はシャフトおよび嵌合輪上の異なるくさびギアの実現を含む。一実施形態によれば、くさびギアは、外側へ向かって突出するシャフト上の突起、および突起上のくさび面および/または嵌合輪の内周上のくさび面を有する。したがって、くさび面を備える突起が含まれ、くさび面上を嵌合輪が滑る。さらに、くさび面のない突起が含まれ、その上を嵌合輪の内周上のくさび面が滑る。さらに、突起および内周は、各々互いに滑るくさび面を備えて実現することができる。
【0021】
一実施形態によれば、くさび面はスピゴットの方向に導かれ、嵌合解除輪はスピゴットに軸に沿って可動である。したがって、スナップフックの偏向(反り返し)は嵌合解除輪の軸に沿った反り返しによる変位によって行われる。
【0022】
一実施形態によれば、スピゴットは軸停止部を有し、嵌合解除輪はその間で動くことができる。停止部によって、嵌合解除輪はスピゴットに係留されて接続される。さらに、停止部は嵌合解除輪の変位範囲を制限する。
【0023】
一実施形態によれば、くさび面はスピゴットの周面に沿って導かれ、嵌合解除輪は少なくとも1個の受け具を有し、その中にスナップフックのシャフト上の突起を回転してはめ込むことが可能である。この実施形態において、嵌合解除輪を回転することによって、突起が受け具から滑り出て嵌合解除輪の内部周辺へ入るので、スナップフックは偏向する。この目的のために、受け具の展延部は嵌合解除輪の周方向での移動が制限される。例えば、それは周方向の突起の展延部よりもいくらか大きいので、同部品は容易に回転して取り出すことができる。嵌合するためには、受け具の中に突起を回転してはめ込む必要がある。この実施形態においてさえ、スナップフックの突起は嵌合解除輪の受け具に入ることができるスピゴットの位置に予め嵌合解除輪を保持する軸停止部を存在させることができる。
【0024】
一実施形態によれば、シャフトは外側へ突出する停止部を有し、嵌合解除輪は嵌合解除輪の周方向への移動の制限された展延部を有する停止部用の受け具溝を有し、突起が受け具中に嵌合するその回転位置から、突起が受け具側部の嵌合解除輪の内部周辺近くに位置する回転位置へ回転することが可能になる。停止部は嵌合輪の回転範囲を制限するので、同部品は爪受け具内の嵌合位置から嵌合しない位置へスナップフックを偏向することができる。さらに、受け具溝はスピゴット上の嵌合解除輪の軸状変位を防止することができるので、突起は常に受け具の中に簡単に回転してはめ込むことができる。
【0025】
1チャンネルピペットにおいて、嵌合解除輪の手動変位は容易に可能である。多チャンネルピペットにおいて、嵌合解除輪の手動変位は筐体の下部の横方向張り出しによって妨害される。特に多チャンネルピペットについては、嵌合解除輪は一実施形態において、その先端側の外周に沿って歯を有し、筐体の上部はスピゴット受け具に対して軸に形成された歯と嵌合する作用位置と取外位置との間を可動な要素である歯を有する排出装置を有し、排出装置が起動されないとき歯と嵌合せず、排出装置の起動によって歯と嵌合させることができる。歯が排出装置の起動によって嵌合されると、嵌合解除輪はあらゆる回転が防止される。その結果、筐体の下部を回転することによって、固定された嵌合解除輪の受け具からスナップ鉤の突起を回転して取り出すことが可能であり、爪受け具からその爪とともにスナップフックを持ち上げることができる。筐体の張り出し下部の回転は容易に可能である。さらに、本実施形態は、排出装置が起動されるときだけ分離が可能なので、筐体の上部と筐体の下部が意図せずに離れることを防ぐ。特にこのため、本実施形態は1チャンネルピペットにおいて有利である。また、特に、既存のピペット先端用排出装置を使用することは有利である。しかし、嵌合解除輪の位置固定用の特殊な排出装置、この場合筐体の下部用の排出装置を備えるピペット装置の実施も本発明に含まれる。
【0026】
さらに他の実施形態によれば、筐体の上部に誘導される排出ロッドに取り外し自在に、または固定して接続され、および、筐体の下部、例えば、排出スリーブまたは排出プレートに誘導されるピペット先端用の排出装置に取り外し自在に、または固定して接続された排出伝達具の下側に、軸状歯が配置される。
【0027】
一実施形態によれば、ピペット装置は1チャンネルピペットである。
【0028】
さらに他の実施形態によれば、ピペット装置は多チャンネルピペットである。筐体の下部を交換することによって、1チャンネルピペットから多チャンネルピペットへ、またはその逆へ変換することのできるピペット装置も含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以降、添付の実施例図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0030】
以下の説明において、「頂部」および「底部」の表示はピペット操作時のピペット装置の向きと関連し、ピペット装置は、筐体の上部に備わった支柱(直立部分)を上にし、筐体の下部およびこの下部に保持されたピペット先端を下にしている。
【0031】
図1〜6によれば、1チャンネル(流路)ピペット装置は、筐体の上部1の円筒状中空チャンバー4の軸方向に伸びる昇降ロッドとして構成した可動駆動要素3(movable drive element)を有する駆動装置2を備える筐体の上部1を有する。駆動要素3はその縦軸方向に沿って移動可能である。
【0032】
駆動装置2は駆動ボタン5を有し、このボタンは戻りばね6に抗して駆動することができる。駆動ボタン5を押圧することによって、駆動要素3は底部に向かって動くことが可能である。駆動ボタン5を解除した後、駆動要素3は戻りばね6によって、図1に示す元の位置に戻される。
【0033】
固定容量ピペットとしての実現において、駆動要素3のストロークは1つだけ定めることが可能である。投与容量を調節可能なピペットとしての実現において、駆動装置2は、駆動要素3のストロークを調節可能な装置、およびそれぞれの投与容量設定を表示する表示装置を備える。
【0034】
中空チャンバー4において、コイルばねとして実現される圧力ばね装置7は、上部リブ8に支持され、この上部リブは中空チャンバー4の内周側に配置されてその上部コイルばね9の押し付け動作によって中空チャンバー4に保持される。
【0035】
圧力ばね装置7の底部までおよぶ中空チャンバー4の底部は、スピゴット受け具10(差込み口受け具)である。スピゴット受け具10は筐体開口11を経由して底部側に接近可能である。筐体開口11は円錐形の拡大部12を有する。筐体開口11の上部寄りに、爪受け具13がスピゴット受け具10内にあり、リング溝として実現され、スピゴット受け具10の内周面を周回する。
【0036】
筐体の上部1は、例えば硬質プラスチック材料から作られる。例えば、駆動装置2およびバネ6、7など、筐体の上部に固定される部品は、部分的または全体を金属および/またはプラスチックにより作られる。
【0037】
さらに、ピペット装置は筐体の下部14を有する。筐体の下部は変位系15を備え、その内部で軸に沿って動くことの可能なプランジャ17を備えるシリンダ16として実現される。プランジャ17とシリンダ16の間には封止系18がある。プランジャ17は頂部にプランジャ受け皿19を有する。プランジャ受け皿19とシリンダの上部側16の間にはプランジャ戻りばね20がある。2個のばね6または20のうちの1つは省略することもできる。
【0038】
筐体の下部14は、その底部側に、ピペット先端上に締め付けるためのそれぞれ円筒状またはわずかに円錐形の突起21(lug)を有する。シリンダ16は、チャンネル22を経由して突起中の中心開口23に接続する。
【0039】
変位装置15は、部分的または全体を金属および/またはプラスチックにより作られる。
【0040】
突起21の上部に、つまり、筐体の下部14に円錐部分24を有する。突起21および円錐部分24は互いに1個の基底部を形成する。その上部に、筐体の下部14は本質的に円筒状スピゴット(差込み口)25として実現される。スピゴット25は、図2に示すように、底部側に、互いに直径方向に対面する2個のスナップフック26’、26”を有し、円錐部分24および上端部の外側に向かって突出する爪28’、28”に接続された各々1個のシャフト27’、27”を有する。各シャフト27’、27”のほぼ中間に、くさび形状を有し、または外側にそれぞれくさび面30’、30”を有する外側へ向かって突出する突起29’、29”を有する。くさび面30’、30”はスピゴット25の軸方向に導かれ、シャフト27’、27”に対する突起29’、29”の高さは、この内部で底部から上部に向けて高くなっている。
【0041】
頂部で、爪28’、28”は円錐そぎ端31を有する。
【0042】
スナップフック26’、26”は偏向しない状態でスピゴット25の軸にほぼ平行に整列される(図1参照)。それらはスピゴット25の軸に向かって弾性的に偏向可能である。この目的のために、筐体の下部14の円錐領域24および突起21はそれと一体的に製造され、弾力性のある硬質のプラスチック材料から作られる。
【0043】
さらに、スピゴット25は、図2に示すように、互いに直径方向に対面する2個の接続橋33’、33”を有する接続要素32を有する。接続橋33’、33”はスピゴット25の軸に平行に配置される。スナップフック26’、26”の上部で、それらは、完全に周回する中空円筒状スリーブ部34によって互いに接続される。頂部側で、スリーブ部34は、内部に向かって突出し中央の孔36の形成されたフランジ35を有し、その孔36を通って駆動要素3を挿入可能とする。プランジャ戻りばねは受け皿19をフランジ35に対して押圧し、それによってプランジャ17を上部20に向かって押圧する。
【0044】
接続橋33’、33”およびスナップフック26’、26”のシャフト27’、27”も中空円筒状である。偏向されない状態(反り返の作用していない静止状態)において、シャフト27’、27”は接続フック33を補って中空円筒体などにし、それ自体頂部で中空円筒状スリーブ34によって補足される。その結果、中空円筒状スピゴット25が上述の要素によって互いに形成される。
【0045】
中空の円筒状嵌合解除輪37はスピゴット25上に軸上に可動に配置される。嵌合解除輪37の内径は、突起29’、29”の下方でスピゴット25の外径をわずかに大きい。嵌合解除輪37は下部軸停止部38と上部軸停止部39(図3参照)の間で軸に沿って動くことが可能である。下部軸停止部38は、円錐部分24の頂部で外側へ向かって突出し、互いに直径方向に対面する2個の突起によって形成される。上部軸停止部39は、接続橋33’、33”上の外側へ向かって突出する突起39によって形成される。
【0046】
停止部38は、嵌合解除輪37が突起29’、29”を露出する位置から突起29’、29”を覆う位置へ動くことができるように配置される。嵌合解除輪37の内部直径は、それがその内部周辺で滑り面30’、30”の上を滑り、突起29’、29”上へ押し込まれるとき、スナップフック26’、26”をスピゴット25の軸に向かって偏向(反り返す)可能な寸法にされる。
【0047】
筐体の上部1および筐体の下部14は以下のように取り扱われる。
【0048】
筐体上部と下部を装着するためには、スピゴット25と共に筐体の下部14をスピゴット受け具10に挿入する。それによって、円錐そぎ端31、31”は拡大部12の上を滑り、スナップフック26’、26”は内部に向かって反り返される。圧力ばね装置7はスピゴット25の接続要素32によって圧縮される。駆動要素3は孔36に押し込まれ、受け皿19に接触する。最終的に、爪28’、28”は爪受け具13の中に格納される。圧力ばね装置7はその底部側で爪28’、28”を爪受け具13に対して押圧するので、所定の位置が維持される。バネ受け皿19はプランジャ戻りばね20によって駆動要素3への所定の近接固定が保たれる(図1参照)。
【0049】
また、装着の際に、最初に嵌合解除輪37を上部停止部39まで押し込み、スナップフック26’、26”が弾性的に内部に向かって現れるようにして行うことができる。爪28’、28”が爪受け具13の高さにあるとき、嵌合解除輪37は爪28’、28”が爪受け具に嵌合するように下方に押し込む必要がある。
【0050】
ピペット先端を突起21に締め付けた後、ピペット内の液体を先端から吐出/ピペット内に液体を吸引するために、起動ボタン5を起動してシリンダないの気柱を変位装置15によって動かすことができる。
【0051】
取り外すためには、爪28’、28”が爪受け具13から持ち上がるように嵌合解除輪37を上方に押し込む。これは嵌合解除輪37が上部停止部39に近接するとき達成される。圧力ばね装置7は筐体の下部14を筐体の上部1の外に押すので、それは容易に取り出すことができる(図5参照)。
【0052】
図7〜13の実施例の説明において、図1〜6の実施例のものと本質的に一致する部品は同じ参照番号を付すに留める。
【0053】
筐体の上部は同一の方法で実現される。この実施例では、筐体の上部が、中空チャンバー4の側部に軸に導かれた、排出ロッド41を誘導するシャフト40を有することが重要である。筐体の上部1の上部端部で、排出ロッド41は排出ボタン42と接続される。筐体と排出ロッド41の間の排出ばね43は排出ロッド41を元の上部位置に押し戻す。底部で、排出ロッド41はその底部に筐体の上部1から立ち上がる差込み端部44を有する。
【0054】
筐体の下部45はスピゴット25を有し、これは上述のスピゴットとは異なり、スナップフック26’、26”上に、スピゴットの周辺方向に導かれるくさび面47’、47”を備える突起46’、46”を有する。さらに、外側へ向かって突出する停止部48’、48”は、各突起46’、46”の下方のスナップフック26’、26”上に同時に存在する。
【0055】
嵌合解除輪37は、互いに径方向に対面する2個の受け具49’、49”を有するスピゴット25上にあり、受け具に突起46’、46”を回転してはめ込むことができる。受け具49’、49”は、突起46’、46”のほぼ全体長さに周辺方向に展延する。受け具49’、49”は、図10に示すように、嵌合解除輪37の貫通孔として実現することができる。
【0056】
受け具49’、49”の下方に、嵌合解除輪37は互いに直径方向に対面する2個の受け具溝50’、50”を有し、これも貫通孔として実現される。停止部48’、48”は受け具溝50’、50”の中に配置することができる。受け具溝50’、50”は、停止部48’、48”が受け具溝50’、50”の内部で動くことが可能なように、スピゴット25の周辺領域の周りに展延する。受け具溝50’、50”の軸状展延部は、停止部48’、48”の軸方向の上側の展延部にあるので、停止部48’、48”が輪状溝50’、50”に嵌合するとき、嵌合解除輪37はスピゴット25の軸方向に動かないように保持される。
【0057】
輪状溝50’、50”との協働において、停止部48’、48”は、突起46’、46”をそれらが完全に受け具49’、49”中に嵌合する図7に示した位置から、それらが嵌合解除輪37の内部周辺に近接して配置される位置に受け具49’、49”に沿って持ってくることができるように、スピゴット上の嵌合解除輪37の回転可能性を制限する。嵌合解除輪37を図7に示した位置から図10に示した位置に回転するとき、くさび面47’、47”は、スナップフック26’、26”が徐々にスピゴット軸に向かって変位するように、受け具49’、49”の上を滑る。
【0058】
その外部周辺で、図13に示すように、嵌合解除輪37は互いに直径方向に対面する領域に、軸に沿ってに上側に向かって導かれる各々1個の歯51’、51”を有する。
【0059】
さらに、排出伝達具52はスピゴット25の外側に誘導されて軸に沿って動くことが可能である。排出伝達具52はスピゴット25に平行に導かれる差込み受け具53を有し、その中に排出ロッド41の差込み端部44を押し込むことができる。底部に、排出伝達具52は下方に導かれる周回軸状歯54を有し、これは排出伝達具52が下方に押し込まれるとき、歯51’、51”に嵌合する。
【0060】
筐体の下部45の一方の側に配置された排出橋55’、55”を介して、排出伝達具52はピペット先端を上げるための突起に設けられた排出プレートに接続される。多チャンネル用のそれらの排出具の実現は当業者には既知であり、ここでは詳細に論じない。
【0061】
スピゴット25の軸上に起動ロッド56が展延し、これはスピゴット下方で筐体の広げられた領域中の横梁57に接続される。横梁57は図示されないいくつかの平行な変位装置のプランジャに接続され、これはピペット先端を上げるための突起につなげて接続される。さらに詳細に示さないこれらの多チャンネルピペットの実現も、当業者に既知である。
【0062】
起動ロッド56は頂部に受け皿19を有する。プランジャ戻りばね20は、同品がフランジ35に対して上方に押し圧されるように受け皿19に力を加える。
【0063】
筐体の上部1と共体の下部45を接続するために、スピゴット25は爪28’、28”が爪受け具13中に格納されるまでスピゴット受け具10中に挿入される。圧力ばね装置7は、爪28’、28”の下側を爪受け具13の底部壁近くに固定して保持する。
【0064】
さらに、スピゴット25を搭載するとき、駆動要素3はプレート19に接近して配置される。その結果、投与工程は駆動装置2の駆動によって行うことができる。
【0065】
排出ロッド41の差込端部44は排出伝達具52の差込み受け具53中に押し込まれる。スピゴット25がスピゴット受け具中に挿入されるとき、それは排出伝達具52中に侵入する。この中で、排出伝達具52は、ばねの予備張力の下で排出伝達具に接近して配置される排出橋55’、55”に接触する。この状態はスピゴット25が差込み受け具53中に格納されるとき達成される。その結果、突起上に置かれたピペット先端は排出ボタン42を起動することによって排出することができる。
【0066】
筐体の下部45を筐体の上部1に対して自由な回転位置に持ってくることが可能である。
【0067】
取り外すためには、軸状歯51’、51”が軸状歯54に嵌合するように排出ボタン42が起動される。これによって、嵌合解除輪37はその回転位置に保たれる。その後、突起46’、46”の回転取り外しは筐体の下部45を揺動することによって達成することができる。これによって、爪28’、28”は爪受け具13から持ち上げられ、圧力ばね装置7は筐体の下部45を筐体の上部1の外へ押し出す。
【0068】
これを支持するために、それは筐体の下部45に引き下げてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】筐体の上部およびスピゴットが嵌合された状態を示す縦断面図である。
【図2】図1のII〜II矢視断面図である。
【図3】筐体上部の縦断面およびスピゴットが嵌合された筐体下部の全体図である。
【図4】図3のIV〜IV矢視断面図である。
【図5】嵌合解除された筐体下部を示す縦断面図である。
【図6】図5のVI〜VI矢視断面図である。
【図7】筐体の上部および嵌合された状態の多チャンネルピペット装置の筐体下部の縦断面図である。
【図8】図7のVIII〜VIII矢視断面図である。
【図9】排出伝達具がスナップを閉じた位置および嵌合フックを嵌合した筐体下部の全体図である。
【図10】排出伝達具がスナップを閉じた位置および嵌合鉤を解除した筐体下部の縦断面図である。
【図11】図10のXI〜XI矢視断面図である。
【図12】嵌合鉤を解除した排出伝達具を有する筐体下部の部分図である。
【図13】差込み受け具の嵌合の解除された状態を示す筐体下部の拡大図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の上部(1)と、
筐体の上部(1)に配置され、可動駆動要素(3)を備える駆動装置(2)と、
筐体の上部(1)に配置されたスピゴット受け具(10)と、
スピゴット受け具(10)内部の少なくとも1個の爪受け具(13)と、
筐体の下部(14)と、
筐体の下部(14)に配置され、変位チャンバー(16)を備える少なくとも1個の変位装置(15)と、
筐体の下部(14、45)に配置され、チャンネル(22)を経由して変位チャンバー(16)に接続されている、ピペット先端を取り外し自在に保持するための少なくとも1個の座(21)と、
筐体の下部(14、45)に配置されて、スピゴット受け具(10)内に挿入されるスピゴット(25)と、
前記スピゴット(25)上に配置されて、スピゴット(25)がスピゴット受け具(10)内に挿入されるとき爪受け具(13)内に嵌合するための爪(28’、28”)、および爪(28’、28”)を爪受け具(13)の外へ外すためにスピゴット(25)の軸を横断して反り返し可能なバネ性シャフト(27’、27”)を備える少なくとも1個のスナップフック(26’、26”)と、
スピゴット上で動くことの可能な嵌合解除輪(37)と、
嵌合解除輪(37)を一方向に変位すると軸心方向にスナップフック(26’、26”)を反り返し、嵌合解除輪(37)を前記と反対方向に変位するとスナップフック(26’、26”)を軸心から径方向に戻る、シャフト(27’、27”)上のくさびギア(29’、29”、46’、46”)および嵌合解除輪(37)と、
スピゴット(25)がスピゴット受け具(10)内に挿入されるとき駆動要素(3)と変位装置(15)を結合する結合装置(3、19)と、
を備えるピペット装置。
【請求項2】
圧力ばね装置(7)が筐体の上部(1)のスピゴット受け具(10)に設けられ、スピゴット受け具(10)に挿入されるスピゴット(25)をスピゴット(25)の挿入方向と反対方向に押圧する請求項1に記載のピペット装置。
【請求項3】
前記スピゴット(25)が、挿入方向にスナップフック(26’、26”)の前に配置されたスリーブ部(34)と、スナップフック(26’、26”)に沿って配置された少なくとも1個の接続橋(33’、33”)とを有し、スナップ鉤(26’、26”)と接続橋(33’、33”)は基底部(24)で接続され、スリーブ部(34)、接続橋(33’、33”)、およびスナップフック(26’、26”)は中空の円筒状スピゴット(25)を形成し、スピゴット(25)がスピゴット受け具(10)内に挿入されないとき、そこから爪(28’、28”)が外側へ向けて突出する請求項1または2に記載のピペット装置。
【請求項4】
前記スナップフック(26’、26”)が、反り返しのない状態でスピゴット(25)の軸に本質的に平行に配向される請求項1から3のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項5】
前記スピゴット(25)の周辺に対称的に分配されたいくつかのスナップフック(26’、26”)を有する請求項1から4のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項6】
前記爪(28’、28”)が、その端部にスピゴット受け具(10)に挿入されるとき、先行する羽縁部(18)を有し、および/またはスピゴット受け具(10)が外側へ導かれる拡大部(12)を有する請求項1から5のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項7】
前記くさびギア(29’、29”)が軸(27’、27”)上に外側へ突出する突起(29’、29”)と、突起(29’、29”)上のくさび面(30’、30”)と、および/または嵌合輪(37)の内部周辺のくさび面とを有する請求項1から6のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項8】
前記くさび面(30’、30”)がスピゴット(25)の方向に導かれ、嵌合解除輪(37)がスピゴット(25)上で軸に沿って移動可能である請求項1から7のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項9】
前記スピゴット(25)が軸停止部(38、39)を有し、その間を嵌合解除輪(37)が動くことが可能である請求項1から8のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項10】
前記くさび面(47’、47”)がスピゴット(25)の周辺方向に導かれ、嵌合解除輪(37)が少なくとも1個の受け具(49’、49”)を有し、その中に突起(46’、46”)を回転してはめ込むことが可能である請求項7から9のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項11】
前記シャフト(27’、27”)が外側へ向かって突出する停止部(48’、48”)を有し、前記嵌合解除輪(37)が、嵌合解除輪(37)の周方向に制限された展延部を有して、嵌合解除輪(37)を突起(46’、46”)が受け具(49’、49”)に嵌合するその回転位置から、突起(46’、46”)が受け具(49’、49”)の側部の嵌合解除輪(37)の内周面に接近して配置される回転位置へ回転することを可能にする、停止部(48’、48”)のための受け具溝(50’、50”)を有する請求項10または11に記載のピペット装置。
【請求項12】
嵌合解除輪(37)がその周辺に軸状に導かれた歯(51’、51”)を有し、筐体の上部(1)がスピゴット受け具(10)に対して軸に沿って移動可動な要素(52)の先端周りに歯(54)を有する排出装置(41〜44)を有し、排出装置(41〜44)が起動されないとき歯(51’、51”)と嵌合せず、排出装置(41〜44)の起動によって歯(51’、51”)に嵌合させることができる請求項1から3のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項13】
前記歯(54)が、筐体の上部(1)へ誘導する排出ロッド(41)、および筐体の下部(45)へ誘導するピペット先端用排出具に接続される排出伝達具(52)の下部側に配置される請求項12に記載のピペット装置。
【請求項14】
1チャンネルピペットである請求項1から13のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項15】
多チャンネルピペットである請求項1から13のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項1】
筐体の上部(1)と、
筐体の上部(1)に配置され、可動駆動要素(3)を備える駆動装置(2)と、
筐体の上部(1)に配置されたスピゴット受け具(10)と、
スピゴット受け具(10)内部の少なくとも1個の爪受け具(13)と、
筐体の下部(14)と、
筐体の下部(14)に配置され、変位チャンバー(16)を備える少なくとも1個の変位装置(15)と、
筐体の下部(14、45)に配置され、チャンネル(22)を経由して変位チャンバー(16)に接続されている、ピペット先端を取り外し自在に保持するための少なくとも1個の座(21)と、
筐体の下部(14、45)に配置されて、スピゴット受け具(10)内に挿入されるスピゴット(25)と、
前記スピゴット(25)上に配置されて、スピゴット(25)がスピゴット受け具(10)内に挿入されるとき爪受け具(13)内に嵌合するための爪(28’、28”)、および爪(28’、28”)を爪受け具(13)の外へ外すためにスピゴット(25)の軸を横断して反り返し可能なバネ性シャフト(27’、27”)を備える少なくとも1個のスナップフック(26’、26”)と、
スピゴット上で動くことの可能な嵌合解除輪(37)と、
嵌合解除輪(37)を一方向に変位すると軸心方向にスナップフック(26’、26”)を反り返し、嵌合解除輪(37)を前記と反対方向に変位するとスナップフック(26’、26”)を軸心から径方向に戻る、シャフト(27’、27”)上のくさびギア(29’、29”、46’、46”)および嵌合解除輪(37)と、
スピゴット(25)がスピゴット受け具(10)内に挿入されるとき駆動要素(3)と変位装置(15)を結合する結合装置(3、19)と、
を備えるピペット装置。
【請求項2】
圧力ばね装置(7)が筐体の上部(1)のスピゴット受け具(10)に設けられ、スピゴット受け具(10)に挿入されるスピゴット(25)をスピゴット(25)の挿入方向と反対方向に押圧する請求項1に記載のピペット装置。
【請求項3】
前記スピゴット(25)が、挿入方向にスナップフック(26’、26”)の前に配置されたスリーブ部(34)と、スナップフック(26’、26”)に沿って配置された少なくとも1個の接続橋(33’、33”)とを有し、スナップ鉤(26’、26”)と接続橋(33’、33”)は基底部(24)で接続され、スリーブ部(34)、接続橋(33’、33”)、およびスナップフック(26’、26”)は中空の円筒状スピゴット(25)を形成し、スピゴット(25)がスピゴット受け具(10)内に挿入されないとき、そこから爪(28’、28”)が外側へ向けて突出する請求項1または2に記載のピペット装置。
【請求項4】
前記スナップフック(26’、26”)が、反り返しのない状態でスピゴット(25)の軸に本質的に平行に配向される請求項1から3のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項5】
前記スピゴット(25)の周辺に対称的に分配されたいくつかのスナップフック(26’、26”)を有する請求項1から4のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項6】
前記爪(28’、28”)が、その端部にスピゴット受け具(10)に挿入されるとき、先行する羽縁部(18)を有し、および/またはスピゴット受け具(10)が外側へ導かれる拡大部(12)を有する請求項1から5のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項7】
前記くさびギア(29’、29”)が軸(27’、27”)上に外側へ突出する突起(29’、29”)と、突起(29’、29”)上のくさび面(30’、30”)と、および/または嵌合輪(37)の内部周辺のくさび面とを有する請求項1から6のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項8】
前記くさび面(30’、30”)がスピゴット(25)の方向に導かれ、嵌合解除輪(37)がスピゴット(25)上で軸に沿って移動可能である請求項1から7のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項9】
前記スピゴット(25)が軸停止部(38、39)を有し、その間を嵌合解除輪(37)が動くことが可能である請求項1から8のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項10】
前記くさび面(47’、47”)がスピゴット(25)の周辺方向に導かれ、嵌合解除輪(37)が少なくとも1個の受け具(49’、49”)を有し、その中に突起(46’、46”)を回転してはめ込むことが可能である請求項7から9のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項11】
前記シャフト(27’、27”)が外側へ向かって突出する停止部(48’、48”)を有し、前記嵌合解除輪(37)が、嵌合解除輪(37)の周方向に制限された展延部を有して、嵌合解除輪(37)を突起(46’、46”)が受け具(49’、49”)に嵌合するその回転位置から、突起(46’、46”)が受け具(49’、49”)の側部の嵌合解除輪(37)の内周面に接近して配置される回転位置へ回転することを可能にする、停止部(48’、48”)のための受け具溝(50’、50”)を有する請求項10または11に記載のピペット装置。
【請求項12】
嵌合解除輪(37)がその周辺に軸状に導かれた歯(51’、51”)を有し、筐体の上部(1)がスピゴット受け具(10)に対して軸に沿って移動可動な要素(52)の先端周りに歯(54)を有する排出装置(41〜44)を有し、排出装置(41〜44)が起動されないとき歯(51’、51”)と嵌合せず、排出装置(41〜44)の起動によって歯(51’、51”)に嵌合させることができる請求項1から3のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項13】
前記歯(54)が、筐体の上部(1)へ誘導する排出ロッド(41)、および筐体の下部(45)へ誘導するピペット先端用排出具に接続される排出伝達具(52)の下部側に配置される請求項12に記載のピペット装置。
【請求項14】
1チャンネルピペットである請求項1から13のいずれかに記載のピペット装置。
【請求項15】
多チャンネルピペットである請求項1から13のいずれかに記載のピペット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−61820(P2007−61820A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234210(P2006−234210)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(591121683)エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフト (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(591121683)エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフト (23)
【Fターム(参考)】
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