ピペット装置
【課題】容易に操作できるピペット装置を提供する。
【解決手段】計量容積の調節装置を有するピペット装置であって、送りねじ16が、第1の雄ねじ23.1と、該第1の雄ねじのねじ山形態とは異なる、ねじ山形態を有する少なくとも1つの更なる雄ねじ23.2とを有し、送りねじナット17が、少なくとも1つの関連の雌ねじ24を有するか、あるいは前記送りねじナットが、第1の雌ねじ24.1と、該第1の雌ねじのねじ山形態とは異なる、ねじ山形態を有する少なくとも1つの更なる雌ねじ24.2とを有し、前記送りねじが、少なくとも1つの関連の雄ねじ23を有しており、前記送りねじの前記さらなる雄ねじまたは前記送りねじナットの前記さらなる雌ねじにおいて、前記送りねじナットが、少なくとも部分的に、前記送りねじの雄ねじの外径および/または内径の位置hで、前記送りねじの軸Aに対する半径方向Rについて、前記送りねじまでのすき間dを有する。
【解決手段】計量容積の調節装置を有するピペット装置であって、送りねじ16が、第1の雄ねじ23.1と、該第1の雄ねじのねじ山形態とは異なる、ねじ山形態を有する少なくとも1つの更なる雄ねじ23.2とを有し、送りねじナット17が、少なくとも1つの関連の雌ねじ24を有するか、あるいは前記送りねじナットが、第1の雌ねじ24.1と、該第1の雌ねじのねじ山形態とは異なる、ねじ山形態を有する少なくとも1つの更なる雌ねじ24.2とを有し、前記送りねじが、少なくとも1つの関連の雄ねじ23を有しており、前記送りねじの前記さらなる雄ねじまたは前記送りねじナットの前記さらなる雌ねじにおいて、前記送りねじナットが、少なくとも部分的に、前記送りねじの雄ねじの外径および/または内径の位置hで、前記送りねじの軸Aに対する半径方向Rについて、前記送りねじまでのすき間dを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのピペット端を着脱可能に接続するための手段、少なくとも1つの変位装置、変位装置の変位部材を駆動するための駆動装置、および計量容積を調節するための送りねじナットと送りねじとを有する調節装置を備えているピペット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピペット装置は、実験室において、とくには液体を計量するために使用されている。液体が、ピペット端に取り上げられ、排出される。空気クッションピペットにおいては、気体のための変位装置がピペット装置に一体化され、少なくとも1つのピペット端に連絡可能に接続される。空気クッションが変位装置によって変位させられることで、液体がピペット端へと吸い込まれ、ピペット端から排出される。多くの場合、変位装置は、プランジャを有するシリンダであり、プランジャがシリンダ内で可動である。少なくとも1つのピペット端を着脱可能に接続するための手段は、たとえば、装着コーン(=put−up cone)または行き止まり穴(=blind hole)として実現される。装着コーンの前側または行き止まり穴の底部の穴が、変位装置の変位チャンバへと接続される。
【0003】
ピペット端は、使用後に新しいピペット端で置き換えることができるよう、ピペット装置へと着脱可能に接続される。これにより、次の計量において、残り物の持ち越しおよび汚染を回避することができる。使い捨てのピペット端が、プラスチックから手軽な価格で入手可能である。
【0004】
ピペット装置によって採取および排出される液体の計量容積を、調節装置によって調節することができる。計量容積を調節するために、シリンダにおいてプランジャが実行することができる行程の移動量が変更される。この目的のために、ストッパ(プランジャを動かす引き上げロッドの対向ストッパと協働する)が、引き上げロッドの行程の移動量を制限するようにずらされる。ストッパは、送りねじ(引き上げロッドを貫いて案内され、変位チャンバに対して固定である送りねじナットへとねじ込むことができる)の前側に配置される。対向ストッパは、引き上げロッドから半径方向に突き出しているワッシャまたはビードである。他方では、行程の移動量は、引き上げロッドまたはプランジャのビードと協働するもう1つのストッパによって制限される。
【0005】
従来からのピペット装置においては、送りねじナットおよび送りねじが、別個に製造され、ねじ山を備えている。製造公差ゆえ、送りねじがナットにおいてすき間を有しており、これが不正確な計量につながる可能性がある。
【0006】
さらに、プラスチック材料で作られる送りねじナットが最初はねじ山のない穴を備えて製造され、次いで外側にねじ山が設けられた金属製の送りねじを穴へとねじ込むことによって、送りねじナットの内側のねじ山が形成されるピペット装置が存在する。このようにすることで、送りねじナットと送りねじとの間のすき間は回避される。しかしながら、それらは、計量容積の調節範囲(たとえば、0.5〜10μl、10〜100μl、100〜1000μl)が相違するさまざまな大きさのピペット装置の計量容積の調節に、きわめて大きな力を要するという欠点を抱えている。すなわち、ねじ山が急であるほど、ねじ山の摩擦が小さくなるため、計量容積の調節に要する力が、調節範囲が小さいピペット装置においては、調節範囲の大きいピペット装置において計量容積を調節するために要する力よりも大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここから出発し、本発明は、さまざまな調節範囲について所定の調節力にてより容易に操作することができるピペット装置を提供するという目的にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有するピペット装置によって達成される。ピペット装置の好都合な実施の形態が、従属請求項に示されている。
【0009】
本発明によるピペット装置は、
・少なくとも1つのピペット端を着脱可能に接続するための手段、および変位チャンバと該変位チャンバ内に可動に配置された変位部材とを有し、前記少なくとも1つのピペット端へと液体を吸い込み、該少なくとも1つのピペット端から液体を排出する少なくとも1つの変位装置、あるいはシリンダと該シリンダ内で移動可能なプランジャとを有する少なくとも1つのシリンジを着脱可能に接続するための手段、
・前記変位部材またはシリンジのプランジャを駆動するための引き上げロッド、
・前記引き上げロッドを駆動するための駆動手段、および
・送りねじナットおよび送りねじを備えており、構成部品たる送りねじナットおよび送りねじの一方が、前記変位チャンバまたは接続されたシリンジのシリンダに対して静止しており、他方の構成部品が、前記静止している構成部品に対してねじ回転可能であるとともに、前記引き上げロッドの対向ストッパと関係するストッパを有している計量容積を調節するための調節装置
を有しており、
・前記送りねじが、第1の雄ねじと、該第1の雄ねじのねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雄ねじとを有し、前記送りねじナットが、少なくとも1つの関連の雌ねじを有するか、あるいは前記送りねじナットが、第1の雌ねじと、該第1の雌ねじのねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雌ねじとを有し、前記送りねじが、少なくとも1つの関連の雄ねじを有しており、
・前記送りねじの前記さらなる雄ねじまたは前記送りねじナットの前記さらなる雌ねじにおいて、前記送りねじナットが、少なくとも部分的に、前記送りねじの雄ねじの外径および/または内径の位置で、前記送りねじの軸に対する半径方向について、前記送りねじまでのすき間を特徴としている。
【0010】
好ましくは、前記送りねじナットの前記関連の雌ねじまたは前記送りねじの前記関連の雄ねじが、少なくとも部分的に、前記送りねじを前記送りねじナットへとねじ込み、あるいは前記送りねじナットを前記送りねじへとねじ込むことによって、生成され、あるいはすでに生成されている。
【0011】
本発明によるピペット装置は、送りねじの追加の少なくとも第2の雄ねじまたは送りねじナットの雌ねじにおいて、少なくとも部分的に、送りねじの雄ねじの外径および/または内径の位置で、送りねじの軸に対する半径方向について、送りねじナットと送りねじとの間にすき間が存在し、これによって、ピペット装置のユーザの所望に沿った所定の調節力が可能になり、とくには調節力の軽減が可能になることを特徴とする。送りねじナットと雄ねじとの間のすき間は、好ましくは0.015mmよりも大であるべきであり、より好ましくは0.020mm〜0.06mmの範囲にあるべきである。
【0012】
本発明のピペット装置においては、好ましくは、送りねじナットの少なくとも1つの雌ねじが、第1の雄ねじと第1の雄ねじのねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雄ねじとを備える送りねじをねじ込むことによって形成され、あるいはこのような送りねじへと送りねじナットをねじ込むことによって形成される。代案としては、送りねじの少なくとも1つの雄ねじが、送りねじを第1の雌ねじと異なる形状のねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雌ねじとを備える送りねじナットへとねじ込むことによって形成され、あるいはこのような送りねじナットを送りねじへとねじ込むことによって形成される。以下では、簡略化のために、基本的には、送りねじが静止している送りねじナットへとねじ込まれる事例を検討する。しかしながら、その説明は、送りねじナットを静止している送りねじへとねじ込む事例にも当てはまる。
【0013】
送りねじナットの雌ねじが、第1の雄ねじおよびさらなる雄ねじを備える送りねじによって形成される場合には、送りねじナットが、当初は穴を有することができ、そこに少なくとも1つの雌ねじを送りねじをねじ込むことによって形成することができる。さらには、送りねじナットに、あらかじめ途中まで製造され、送りねじをねじ込むことによって完成される雌ねじを、前もって設けてもよい。さらには、送りねじナットを当初は穴なしで実現し、セルフタップねじのように実現される送りねじをねじ込むことによって、穴および雌ねじを生成することも可能である。
【0014】
送りねじの雄ねじが、第1の雌ねじおよび少なくとも1つのさらなる雌ねじを備える送りねじナットによって形成される場合には、送りねじが、円柱形の丸棒であってよく、そこに少なくとも1つの雄ねじを送りねじナットをねじ込むことによって形成することができる。さらには、送りねじに、少なくとも1つの途中まで製造された雄ねじを前もって設け、送りねじナットをねじ込むことによって完成させてもよい。
【0015】
第1の雄ねじまたは第1の雌ねじのそれぞれを、少なくとも1つの異なるねじ山サイズおよび/または異なるねじ山形状を有することで、それぞれ少なくとも1つのさらなる雄ねじまたは少なくとも1つのさらなる雌ねじと異なるように形作ることができる。異なるように形作られるねじの寸法は、たとえば、外径および/または内径および/またはピッチ径および/またはねじ山の角度および/またはねじ山のピッチである。しかしながら、好ましくは、ねじ山のピッチには違いが存在しない。異なるように形作られるねじ山の形態は、三角形の形状を有するねじ山、台形の形状を有するねじ山、丸いねじ山、または鋸歯状のねじ山である。上述のねじ山のパラメータまたは用語のそれぞれは、ねじについての関連の基準(たとえば、ISO)における定義に従って使用されている。
【0016】
雄ねじがあらかじめ設けられた送りねじが送りねじナットへとねじ込まれるとき、少なくとも1つの相補的な雌ねじが送りねじナットに形成され、送りねじがすき間なしで送りねじナットに保持されることが確実にされる。同様に、送りねじが雌ねじがあらかじめ設けられた送りねじナットへとねじ込まれるとき、少なくとも1つの相補的な雄ねじが送りねじに形成され、送りねじがすき間なしで送りねじナットに保持されることが確実にされる。このとき、送りねじの第1の雄ねじまたは送りねじナットの第1の雌ねじをそれぞれ、送りねじと送りねじナットとの間のねじ接続が充分な引き抜き抵抗を特徴とするように、選択することができる。送りねじを送りねじナットに対して回転させるために加えるべき調節力、またはこのために加えなければならないトルクは、送りねじの第1の雄ねじおよび少なくとも1つのさらなる雄ねじまたは送りねじナットの第1の雌ねじおよび少なくとも1つのさらなる雌ねじのそれぞれのねじ山の形態の種々の形状に依存して決まる。したがって、前記雄ねじまたは雌ねじのそれぞれの種々の形状を決定することによって、調節力を決定することができる。これにより、所定の調節力を有するピペット装置を提供することができる。とくには、計量容積の調節範囲がさまざまであるピペット装置を、ほぼ同じ調節力を有するように実現することが可能である。
【0017】
送りねじナットの雌ねじが、雄ねじを備える送りねじを送りねじナットのねじ山なしの穴へとねじ込むことによって形成される従来からのピペット装置においては、調節のための調節力を、実際のところ、雄ねじの寸法によって左右することができる。しかしながら、大きなピッチにおいてこのために必要な雄ねじおよび雌ねじの摩擦面の拡大が、送りねじの直径が小さいために不可能である。小さいピッチにおいては、摩擦力を左右できる可能性が、摩擦面を小さくしなければならない場合に引き抜き抵抗の喪失を伴うため、限定的である。対照的に、本発明によるピペット装置においては、送りねじおよび送りねじナットの異なる形状のねじ山の形態ゆえに、たとえピッチが互いに大きく異なっても、基本的に同じ調節力を、充分な荷重支持力とともに実現することができる。
【0018】
これにより、第1の雄ねじおよび少なくとも1つのさらなる雄ねじまたは第1の雌ねじおよび少なくとも1つのさらなる雌ねじのそれぞれの形状を決定することによって、送りねじをねじ込むために必要な力を決定または軽減することができる。したがって、計量容積の調節範囲が相違するさまざまな大きさのピペット装置を、ユーザに優しいやり方で同じ調節力を備えるように実現することができる。送りねじナットの雌ねじまたは送りねじの雄ねじが、送りねじをねじ込むことによって生成される点で、調節装置のすき間の自由度および良好な計量精度が保証される。
【0019】
好ましい実施の形態によれば、計量容積を調節するための調節装置の全調節範囲において、前記さらなる雄ねじが、送りねじによって生成される雌ねじに螺合し、あるいは送りねじナットによって生成される雄ねじが、前記さらなる雌ねじに螺合する。これにより、調節装置を全調節範囲にわたって所定のトルクで調節できることが確実にされる。
【0020】
一実施の形態においては、送りねじまたは送りねじナットが1条(=single started)であり、前記さらなる雄ねじが前記第1の雄ねじへと追加され、あるいは前記さらなる雌ねじが前記第1の雌ねじへと追加される。これは、とくには、さらなる雄ねじが第1の雄ねじよりも顕著でない場合、またはさらなる雌ねじが第1の雌ねじよりも顕著でない場合に、好都合である。より顕著でないねじ山形態の断面が、より顕著なねじ山形態の断面を部分的にのみ満たす。
【0021】
これは、雌ねじが送りねじによって生成される場合に、以下の結果を有する。第1の雄ねじを有する送りねじを送りねじナットへとねじ込むことによって、第1の雄ねじに相補的な雌ねじが、送りねじナットに生成される。第1の雄ねじが雌ねじに螺合するとき、荷重支承深さが最大であり、すなわち送りねじの軸に対して垂直に測定される雄ねじおよび雌ねじのねじ山の側面の重なり合いが、最大値を有する。送りねじがさらなる雄ねじによって送りねじナットへとねじ込まれるとき、さらなる雄ねじのねじ山形態はあまり顕著でないため、荷重支承深さが小さくなる。荷重支承深さが小さくなることで、雌ねじと雄ねじとの間の摩擦が小さくなる。雌ねじと雄ねじとの間の摩擦は、さらなる雄ねじが、ねじ山形態の先端に位置するきわめて強い摩擦がもはや存在しないように、第1の雄ねじと違って先端を有していないねじ山の形態を特徴とする場合に、とくに大きく低減される。これにより、送りねじをねじ込むために加えなければならないトルクを、所定の値まで削減することができる。
【0022】
雌ねじを生成するために、送りねじを、最初は第1の雄ねじにて、その後にさらなる雄ねじにて、送りねじナットへとねじ込むことが可能であり、あるいは最初にさらなる雄ねじにて、その後に第1の雄ねじにて、送りねじナットへとねじ込むことが可能である。必要であれば、雌ねじが、最初の第1の雄ねじまたはさらなる雄ねじのねじ込みにて予備的に形成され、さらなる雄ねじまたは第1の雄ねじをねじ込むことによって完成される。
【0023】
雄ねじが、さらなる雌ねじが第1の雌ねじよりも顕著でない1条ねじの送りねじナットによって生成される場合には、同様の様相で、雄ねじが第1の雌ねじに螺合するときに最大の荷重支承深さが存在し、雄ねじがさらなる雌ねじに螺合するときに荷重支承深さが小さくなり、ねじ込み時に加えなければならないトルクに相応の影響を及ぼす。
【0024】
1条の送りねじまたは送りねじナットにおいては、調節装置の調節範囲を、調節範囲においてはさらなる雄ねじだけが雌ねじに螺合し、あるいはさらなる雌ねじだけが雄ねじに螺合するように保証する手段によって、制限することができる。このとき、このことを、ピペット装置のケーシング内に配置されて送りねじの軸方向の移動範囲を制限する手段によって行うことができる。そのような手段を、第1の雄ねじが雌ねじを形成された後、または第1の雌ねじが雄ねじを形成された後で、ケーシング内に設置することができる。雄ねじが1条ねじの送りねじナットによって形成される場合、送りねじは、螺合が生じないように調節範囲の送りねじナットの第1の雌ねじを通って案内される小さな直径を有することができる。
【0025】
一実施の形態によれば、送りねじまたは送りねじナットが複数条(=multi started)であり、複数条のねじ山のうちの第1のねじ山経路が、前記第1の雄ねじまたは前記第1の雌ねじによってもたらされ、複数条のねじ山のうちのさらなるねじ山経路が、前記さらなる雄ねじまたは前記さらなる雌ねじによってもたらされる。ねじ山を形成する複数条の送りねじが、送りねじナットへとねじ込まれるとき、そこに複数条の雌ねじが生成される。第1の雄ねじが第1の雌ねじを形成し、さらなる雄ねじがさらなる雌ねじを形成する。第1の雄ねじのねじ山形態が、さらなる雄ねじのねじ山形態と相違するように形作られているため、第1の雄ねじと第1の雌ねじとの間の摩擦面は、さらなる雄ねじとさらなる雌ねじとの間の摩擦面よりも大きくなり、あるいは小さくなる。結果として、調節力のうちの第1の雄ねじに該当する部分は、さらなる雄ねじに該当する部分よりも小さくなり、あるいは大きくなる。したがって、第1の雄ねじおよびさらなる雄ねじのねじ山形態の形状を選択することによって、所望のトルクを実現することができる。とくには、これを、さらなる雄ねじの形状を変更するが、第1の雄ねじの形状はそのままにすることによって、達成することができる。送りねじナットにおける送りねじのすき間のない配置および充分な引き抜き力を、さらなる問題を抱えることなく実現することができる。
【0026】
送りねじが、ねじを形成する複数条の送りねじナットへとねじ込まれる場合にも、調節
力またはねじ込みのために必要なトルクに、同様な効果がもたらされる。
【0027】
一実施の形態によれば、雌ねじが、送りねじを送りねじナットの平坦な円柱形の穴へとねじ込むことによって生成される。結果として、雌ねじが、送りねじを送りねじナットへとねじ込むことによって完全に生成される。同様の実施の形態においては、送りねじの雄ねじが、平坦な円柱形の丸棒をねじを形成する送りねじナットへとねじ込むことによって生成される。
【0028】
さらなる実施の形態においては、雌ねじが、送りねじを内向きに突き出した突出部が設けられた送りねじナットの穴へとねじ込むことによって生成される。結果として、雌ねじが、穴の内向きに突き出した突出部に形成される。これによって、雌ねじを生成するために加えなければならないねじ込みモーメントが、軽減される。さらに、調節時に打ち勝たなければならない雌ねじと雄ねじとの間の摩擦力も小さくなり、それにもかかわらず、送りねじナットにおける送りねじの良好な案内が実現される。好ましくは、前記突出部は、内向きに突き出しかつ穴の軸方向に延びているリブである。同様の実施の形態によれば、雄ねじが、外向きに突き出した突出部が設けられた送りねじを、ねじを形成する送りねじナットへとねじ込むことによって生成される。外向きに突き出した突出部は、好ましくは送りねじの軸方向に延びている。
【0029】
さらなる実施の形態によれば、雌ねじが、送りねじを途中まであらかじめ製造された雌ねじを備えている送りねじナットへとねじ込むことによって生成される。途中まであらかじめ製造された雌ねじが、送りねじをねじ込むことによって完成される。これに必要なトルクは、雌ねじが完全に送りねじをねじ込むことによって製作される実施の形態に比べ、大幅に小さくなる。途中まであらかじめ製造された雌ねじは、残りの部分については柔らかい円柱である穴に存在することができ、あるいは内向きに突き出した突出部を備える穴に存在することができ、送りねじをねじ込むことによって完成させることができる。同様の実施の形態によれば、雄ねじが、途中まであらかじめ製造された雄ねじを有している送りねじをねじ込むことによって生成される。
【0030】
送りねじまたは送りねじナットを適切に実現することによって、雌ねじを送りねじによって生成することができ、あるいは雄ねじを送りねじナットによって生成することができ、機械加工および/または非機械加工のやり方で生成することができる。好ましくは、非機械加工のやり方で製造が行われる。機械加工による製造のために、送りねじを、一種のタップに実現でき、あるいは送りねじナットを、一種のダイスに実現できる。非機械加工のやり方においては、雌ねじまたは雄ねじを、一種の溝なしタップに実現された送りねじまたは送りねじナットによって製造することができる。雌ねじまたは雄ねじに、好ましくは縦溝が設けられる。
【0031】
たとえば、台形の形状を有するねじ山、丸いねじ山、または鋸歯状のねじ山など、さまざまな種類のねじ山を、第1の雄ねじおよびさらなる雄ねじならびに第1の雌ねじおよびさらなる雌ねじについて、考慮することができる。好ましくは、第1の雄ねじまたは第1の雌ねじが、三角形の形状を有するねじ山であり、さらなる雄ねじまたはさらなる雌ねじが、台形の形状を有するねじ山である。
【0032】
送りねじナットおよび送りねじに、さまざまな材料を使用することができる。雌ねじが送りねじによって製作される場合、好ましくは、送りねじナットが、少なくとも雌ねじの領域において、少なくとも雄ねじの領域における送りねじよりも柔らかい材料である。なぜならば、これによって雌ねじの生成が容易になるからである。本発明は、送りねじナットのうちの雌ねじが生成される領域のみが、送りねじの第1およびさらなる雄ねじよりも柔らかい材料で構成されている実施の形態も包含する。さらに、本発明は、送りねじが第1およびさらなる雄ねじの領域においてのみ雌ねじの領域の送りねじナットよりも硬い材料で構成される実施の形態も包含する。より柔らかい材料からなる内側層を備えている送りねじナット、またはより硬い材料からなる外側層を備えている送りねじのそれぞれが、それぞれ内側または外側に配置された適切な材料のスリーブを特徴とすることができる。さらなる実施の形態によれば、送りねじナットが、少なくとも雌ねじの領域において、プラスチックで製作され、さらには/あるいは送りねじが、少なくとも雄ねじの領域において、金属で製作される。好ましくは、送りねじナットの全体が、より柔らかい材料で構成され、送りねじの全体が、より硬い材料で構成される。同様に、雄ねじが送りねじナットによって製作される場合には、雄ねじの製作を容易にするために、送りねじを、少なくとも雄ねじの領域について、少なくとも雌ねじの領域の送りねじナットよりも柔らかい材料で構成できる。
【0033】
プラスチック材料は、好ましくは、硬質の高温に耐えるプラスチック材料である。硬質プラスチックは摩耗が少なく、したがって時間とともに送りねじナットと送りねじとの間の摩擦が大きく変化することが、回避される。高温に耐えるプラスチックを、それらの機械的特性を損なうことなく蒸気養生させることができる。適切なプラスチック材料は、PEEK(ポリエーテルケトン)またはPEI(ポリエーテルイミド)である。
【0034】
摩擦パートナーたる送りねじナット−送りねじの材料として、プラスチック材料を使用し、とくには上述したものを使用する場合、本発明の利点はきわめて顕著になり、すなわち摩擦パートナーの間の摩擦が、さらなる雌ねじまたは雄ねじの別のねじ山形態によって軽減される。金属としては、たとえば黄銅またはステンレス鋼などである。
【0035】
一実施の形態によれば、送りねじナットにおいて送りねじを動かすためのトルクが、最大で約50mNm、すなわち55×10−3Nmである。好ましくは、最大で約40mNmである。公差によって引き起こされる上記上限からの逸脱も、可能である。
【0036】
引き上げロッドを、送りねじの完全に外側に配置することができる。好ましくは、ストッパが、送りねじまたは送りねじナットの前側によって形成される。好ましい実施の形態によれば、送りねじが、引き上げロッドを部分的に収容するチャネルを特徴とする。さらに好ましくは、チャネルが送りねじの全体を貫いて延びており、対向ストッパおよび駆動手段が、送りねじの別々の側に配置される。
【0037】
引き上げロッドの駆動手段は、たとえば駆動モータである。好ましい実施の形態によれば、引き上げロッドの駆動手段が、操作ボタンである。操作ボタンを、好ましくは、荷重が解放されたときに引き上げロッドを出発位置(引き上げロッドが、変位チャンバから最も遠くに位置する)へと移動させるばね装置の作用に逆らって操作することができる。
【0038】
さらなる実施の形態によれば、送りねじナットが、変位チャンバに対して静止しており、送りねじを、送りねじナットに対してねじ回転させることができる。
【0039】
本発明を、本発明の実現の例についての添付の図面によって、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ピペット装置の側面図である。
【図2】同じピペット装置のケーシング上部の縦断面である。
【図2.1】同じケーシング上部の縦断面であり、細部が円によって囲まれている。
【図2.2】図2.1の細部2.2である。
【図2.3】図2.1の細部2.3である。
【図2.4】図2.1の細部2.4である。
【図3】従来からのピペット装置の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図4】本発明によるピペット装置の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図5】ピペット装置のための別の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図6】ピペット装置のための別の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図7】ピペット装置のための別の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図8】同じピペット装置の1チャネルのケーシング下部の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
「上」、「下」、「水平」、「垂直」、および「前」、「後」という表示は、図面におけるピペット装置の向きを基準にする。ここでは、液体をピペット装置の下方に位置する容器から採取し、あるいはそのような容器へと排出するために、ピペット装置へと接続されたピペット端が先端の開口を下側に位置させて配置されるピペット装置の向きが取り扱われる。
【0042】
図1、2、および8によるピペット装置は、ケーシング上部2およびケーシング下部3を有する手持ちされるように形作られた縦長のケーシングを有している。
【0043】
図2によれば、ケーシング上部2が、駆動手段4および計量容積を調節するための調節装置5を特徴としている。
【0044】
図8によれば、ケーシング下部3が、その下端に、ピペット端7を装着するためのコーン6と、変位装置8とを備えており、変位装置8が、シリンダ9の形態の変位チャンバおよびプランジャ10の形態の変位部材を有している。プランジャ10の動きを、駆動手段4によって駆動することができる。
【0045】
図2によれば、調節スリーブ11が、回転可能であるが軸方向に対しては静止するように、ケーシング上部2の上部領域に取り付けられている。調節スリーブ11は、上側において調節リング12へとスプラインで接続されており、調節リング12は、上側においてケーシング上部2から突き出している縦溝付きの制御部13を特徴としている。調節リング12内に制御ボタン14が配置され、制御部13よりもさらに上側へと向かってケーシング上部2から突き出している。
【0046】
制御ボタン14は、ケーシング上部2の送りねじ16を貫いて案内されている引き上げロッド15へと接続されている。送りねじ16が、ケーシング上部に固定される引き上げ本体18と一緒に一部品にて実現される送りねじナット17へとねじ込まれている。
【0047】
上側において、送りねじ16は、送りねじ16へとスプラインで接続されたフォロワ19を有している。フォロワ19は、その外周に、正反対に外へと突き出す2つの斜めでない半径方向の突出部を有しており、これらの半径方向の突出部が、調節スリーブ11の内周を軸方向に延びている溝20に係合する。
【0048】
送りねじ16は、その下側に、外側に向かって半径方向に突き出すリブ21の形態の端部ストッパを有しており、図示の最上方位置において、リブ21が引き上げ本体18の内側の段部22に当接し、段部22と協働する。
【0049】
図3によれば、従来からのピペット装置においては、三角形の形状を有するねじ山として実現された雄ねじ23を有する金属製の送りねじ16が、プラスチック材料で作られた送りねじナット17へとねじ込まれる。これにより、送りねじナット17の穴25に雌ねじ24が形成される。この構成においては、送りねじ16と送りねじナット17との間の摩擦面26が比較的大きく、それゆえに、送りねじ16を回転させるために大きなトルクを加えなければならない。計量容積のさまざまな調節範囲を特徴とするさまざまな大きさのピペット装置において、雄ねじ23のピッチは異なる。結果として、摩擦面および調節時に加えなければならないトルクが、さまざまである。
【0050】
図4および5によって、送りねじナット17に少なくとも1つの雌ねじ24を形成する送りねじ16の螺合を、例として説明する。
【0051】
図4によれば、1条の送りねじ16が、第1の部位の第1の雄ねじ23.1と、その隣の第2の部位の第2の雄ねじ23.2とを特徴としている。第1の雄ねじ23.1が、第2の雄ねじ23.2よりも大きい外径を有している。第1の雄ねじ23.1および第2の雄ねじ23.2の谷径、ねじ山の角度、およびピッチは、一致している。第1の雄ねじ23.1は、三角形の形状を有するねじ山として実現され、第2の雄ねじ23.2は、台形の形状を有するねじ山として実現されている。計量容積の調節範囲において、送りねじ16は、第2の雄ねじ23.2においてのみ送りねじナット17へとねじ込まれる。摩擦面26が少なくなり、結果として、加えなければならないトルクも小さくなる。とくには、このようにすることで、摩擦の強い雄ねじ23.1の先端の雌ねじ24への係合が回避される。
【0052】
図5によれば、本発明の一変種においては、送りねじ16に、2条の雄ねじ23が設けられる。ここでは、第2の雄ねじ23.2が、第1の雄ねじ23.1よりも深く切られている。
【0053】
送りねじ16が、ねじ山なしの穴25のみが設けられた送りねじナット17へとねじ込まれるとき、2条の雌ねじ24が形成される。送りねじ16の第2の雄ねじ23.2が、第1の雄ねじ23.1よりも深く切られているため、摩擦面26が小さくなり、したがって回転力も小さくなる。とくには、摩擦の強い雌ねじ24の先端の第2の雄ねじ23.2への係合が回避される。第2の雄ねじ23.2の深さを、さまざまに設定することが可能であり、したがって所望のあらゆる調節力を実現することができる。このようにすることで、送りねじナット17における送りねじ16の案内および荷重支持力は、基本的に損なわれることがない。
【0054】
ねじ山の寸法(たとえば、図4の第1または第2の雄ねじ23.1、23.2の外径や、図5の雄ねじ23.1、23.2の内径)をさまざまにすることで、所望のあらゆる調節力を実現することができる。これにより、さまざまな計量範囲のピペット装置であって、調節のために加えなければならない力が等しいピペット装置を提供することができる。
【0055】
図6および7によって、少なくとも1つの雄ねじを形成する送りねじナット17への送りねじ16の螺合を、例として説明する。
【0056】
図6によれば、1条ねじの送りねじナット17が、第1の部位の第1の雌ねじ24.1と、隣接する部位のさらなる(第2の)雌ねじ24.2とを有している。第1の雌ねじ24.1および第2の雌ねじ24.2は、同じ外径および同じねじ山の角度を有している。第1の雌ねじ24.1の内径が、第2の雌ねじ24.2の内径よりも小さい。
【0057】
送りねじ16の平坦な円柱形の素材を第1の雌ねじ24.1へとねじ込むことで、深く切られた1条ねじの雄ねじ23が、送りねじ16に形成される。雄ねじ23の摩擦力は、第2の雌ねじ24.2の領域において小さい。なぜならば、第2の雌ねじ24.2が、先端において雄ねじ23に螺合することがないからである。
【0058】
図7によれば、2条ねじの送りねじナット17が、内径の小さい第1の雌ねじ24.1と、内径の大きいさらなる(第2の)雌ねじ24.2とを有している。雌ねじ24.1および24.2の外径は、一致している。
【0059】
送りねじ16の平坦な円柱形の素材をねじ込むことで、第1の雄ねじ23.1とさらなる(第2の)雄ねじ23.2とを有する2条ねじの雄ねじが、送りねじ16に形成される。第1の雄ねじ23.1の第1の雌ねじ24.1への螺合の領域においては、摩擦面が、第2の雄ねじ23.2の第2の雌ねじ24.2への螺合の領域における摩擦面よりも大きい。すでにこれによって、摩擦力を制御することが可能である。加えて、送りねじナットの一部分(図7の左側の部分)において、第1の雌ねじ24.1の先端が24.3において取り除かれ、第2の雌ねじ24.2の先端が24.4において取り除かれているため、先端がおねじ23.1、23.2へと螺合することがなく、摩擦力がさらに大きく低減される。
【0060】
図4〜7の本発明の変種のすべてにおいて、送りねじナット(17)は、送りねじ(16)の第2の雄ねじ(23.2)または送りねじナット(17)の第2の雌ねじ(24.2)において、送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置hで、送りねじ(16)の軸Aに対する半径方向Rについて、送りねじ(16)とのすき間dを特徴としている。ここで、軸Aは対称の軸であり、スピンドルが回転可能である場合、スピンドルの回転軸でもある。周知のとおり、半径方向Rは、軸Aに垂直に位置し、この軸から離れるように向いている。位置hによって、回転軸に垂直な平面が指定され、雄ねじ(23.2、23)の外径および内径はそれぞれ、この位置hの平面において半径方向Rに位置している。このやり方で定義されるすき間dは、好ましくは0.015mmよりも大きく、とくに好ましくは、たとえばd=0.0025mmおよびd=0.050mmなど、0.020mmから0.060mmまでの範囲で選択される。
【0061】
図2によれば、引き上げロッド15が、外へと突き出したワッシャ27の形態の上部ストッパを有しており、このワッシャ27の形態の上部ストッパが、図示の位置において、対向ストッパを形成する送りねじ16の下方前面28に当接する。この上部ストッパが、上側へと向かう引き上げロッド15の行程の移動量を制限する。
【0062】
引き上げ本体18の下端には、ワッシャ形のキャリア29が取り付けられており、キャリア29は、その直径に横方向に突き出したコンソール状の部位30を有しており、この部位30に計算器31が取り付けられている。引き上げロッド15は、ワッシャ形のキャリア29を貫いて案内されている。
【0063】
調節スリーブ11は、下方の外周に歯車32を有しており、計算器31が、始動ローラ上のさらなる歯車33を特徴としている。計算器31の小さな数字ホイール34を、ケーシング上部2の外側から透明なカバーを特徴とする窓35を介して視認することができる。
【0064】
調節スリーブ11と計算器31とを連結するために、一式の歯車が、軸上に移動可能に取り付けられている。この歯車一式が、歯車一式のうちの第1の歯車が調節スリーブ11の歯車32と噛み合い、歯車一式のうちの第2の歯車(第1の歯車にスプラインで接続されている)が始動ローラ上のさらなる歯車33と噛み合う位置にて、螺旋ばねによって軸方向のストッパに押し付けられている。歯車一式を、第1および第2の歯車を係合から外すために、ばねの作用に逆らって軸方向に変位させることができる。
【0065】
上述の歯車一式、軸、および螺旋ばねからなる構成は、図1においては隠されている。この構成は、DE 10 2005 033 378 A1またはUS 2007 014 696 A1のそれぞれにおいて、とくには段落[0048]〜[0050]で図4および5によって詳しく説明されている。これに関する説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【0066】
オーバーストロークシステム36のポット状のホルダ35が、引き上げ本体18の下方でケーシング上部2に配置されている。ホルダ35は、ケーシング上部に固定されたオーバーストロークシステム36のキャリア37の雌ねじへとねじ込み可能に配置された雄ねじを有している。
【0067】
ホルダ35は、引き上げロッド15のワッシャ27のための皿状の下部ストッパを収容している。下部ストッパは、ホルダ35の内側へと曲げられた上縁の下方に配置されている。ホルダ35の底部に自立するオーバーストロークばねが、下部ストッパをホルダ35の上縁に押し付けている。
【0068】
引き上げロッド15が、下部ストッパの中央の通路を貫き、螺旋ばねとして実現されたオーバーストロークばねを貫き、ホルダ35の底部の中央の通路を貫いて案内されている。
【0069】
皿状のストッパ、ホルダの内向きに曲げられた上縁、およびオーバーストロークばねは、図1においては隠されている。この構成は、基本的には、DE 10 2005 033 378 A1またはUS 2007 014 696 A1のそれぞれにおいて、図2および3ならびに段落[0053]〜[0055]によって詳しく説明されている。これに関する説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【0070】
ホルダ35の下方には、ベベルギアユニット39の被駆動歯車38が、オーバーストロークシステム36のケーシングに対して静止しているキャリア37に、引き上げロッド15と同心に、回転可能に取り付けられている。被駆動歯車38は、内周から突き出しているリブを有しており、被駆動歯車がホルダ35へとスプラインによって接続されるが、ホルダ35が被駆動歯車38に対して軸方向に変位可能であるよう、これらのリブが、ホルダ35の外周の軸方向の溝に係合している。
【0071】
ベベルギアユニット39の駆動歯車40が、キャリア37に回転可能に取り付けられた軸41を介して外部からアクセスできる工具適用機構42へと接続されている。
【0072】
工具を工具適用機構42へと装着して、回転させることで、ケーシングに対して静止しているキャリア47のホルダ35を、別の位置へとねじによって動かすことができる。結果として、下方へと向かう引き上げロッド15の行程の移動経路を制限する下部ストッパが動かされ、オーバーストロークが可能になるが、オーバーストロークには、オーバーストロークばねを変形させる必要がある。
【0073】
ホルダ35の外周には、しるしが設けられたケーシングの窓を通して外部から読み取ることができる目盛り43が存在している。同様の構成が、DE 10 2005 033 378 A1またはUS 2007 014 696 A1のそれぞれにおいて、図7および段落[0061]によって説明されている。これに関する説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【0074】
さらなる螺旋ばね44が、ワッシャ形のキャリア29とケーシングに対して静止しているキャリア37との間に存在し、ケーシング上部2の引き上げ本体18を下側から支持している。
【0075】
オーバーストロークシステム36の下方には、複数の基本的に円柱形の部位45.1、45.2、45.3を特徴とするケーシング上部2の収容部45が存在している。収容部45は、ケーシング上部2の下端の軸方向の開口に向かって、段階的に大きくなっている。
【0076】
引き上げロッド15は、その下端において、収容部45の上部45.3へと突き出している。さらに、追加の螺旋ばね47が、収容部45の上部45.3においてケーシング上部2に配置されている。この追加の螺旋ばね47は、その上端においてケーシング上部2に固定されている。収容部45は、中央の部位45.2の下縁に、内側に向かって突き出しているワッシャ状の突出部48を有しており、この突出部48が、ケーシング下部3を固定するように機能する。
【0077】
さらに、ピペット装置1は、取り出し装置49を有している。また、調節リング13の下方でケーシング上部2に取り出しボタン50を有している。取り出しボタン50は、引き上げロッド15と平行にケーシング上部2を貫いて延びている取り出しロッド51へと接続されている。
【0078】
取り出しロッド51は、取り出しボタン50が図示の出発位置へと押されるよう、さらなる螺旋ばね52を介してケーシング上部2に支持されている。この出発位置から、取り出しボタン50をさらなる螺旋ばね52の作用に逆らって押し込むことができる。
【0079】
取り出しロッドの下端は、収容部45の下部45.1の横方向の広がり部分53へと突き出している。
【0080】
図5によれば、ピペット装置1のケーシング下部3は、上部の円筒形の部位54に位置し、側面のスリットによって円筒形の部位54の残りの部分から分離されている2つの弾性舌55を特徴としている。さらに、弾性舌55の上端が、円筒形の部位54の上部に対してスリット56によって分離されている。下部において、弾性舌55は、円筒形の部位54の残りの部分へと一体に接続されている。それぞれの弾性舌55が、外側に向かって突き出すフック57を上端に有しており、フック57から距離をあけて、下側に向かって面取りされたくさび状の突起58を有している。
【0081】
ロック解除リング59が、円筒形の部位54の外側に配置されている。ロック解除リング59は、上側に向かって動かされたときにくさび状の突起58を押し、弾性舌55を多少なりとも変形させる。
【0082】
円筒形の部位54の下方において、ケーシング下部3は、短い円錐形の移行部60を有しており、移行部60の下方に、下側に向かって円錐状にわずかに先細りにされた縦長の中央部を有している。コーン6が、中央部61の下端に配置されている。
【0083】
ケーシング下部3は、変位装置8を収容している。変位装置8は、コーン6内に、プランジャ10が組み合わせられたシリンダ9を有している。図示の出発位置において、プランジャ10は、下端をコーン6の上端のシール62に位置させて配置されている。
【0084】
プランジャ10は、中央部61の軸方向の通路63を貫いて案内され、上側において、やはり円柱形(直径はより大きい)であるプランジャホルダ64に保持されている。プランジャホルダ64は、その外周において、円柱形の通路63に案内されている。
【0085】
プランジャホルダ64は、円筒形の部位54の円柱形の中空空間65を貫いて上側に向かって延びており、上側に、図示の位置において円筒形の部位54から突き出している皿状の押し板66を有している。
【0086】
円筒形の部位54は、その上側においてプランジャホルダ67を支えている。プランジャホルダ67は、複数のアーム68を備えており、そのそれぞれが円筒形の部位54の上端に同時に固定され、他端において円形のディスク69を支えており、ディスク69の下面に押し板66が当接している。この位置において、プランジャホルダ67は、螺旋ばねとして実現され、一端が円筒形の部位54の底部に支持され、他端が押し板66に支持されているプランジャ戻しばね70によって保持されている。プランジャホルダ67は、円形のディスク69に中央の通路71を有しており、この通路71を貫いて、引き上げロッド15の下部を押し板66に当接するまで挿入することができる。
【0087】
取り出し装置49が、ケーシング下部に取り出しスリーブ72を有している。取り出しスリーブ72は、外側において円筒形の部位54およびコーン6に案内されている。したがって、取り出しスリーブ72の内側の外形が、ケーシング下部3の上述の部位の外側の外形に一致している。
【0088】
さらに、取り出しスリーブ72は、上縁に横方向に突き出した段部73を有しており、段部73が、取り出しロッド51の下端を押し込むための軸方向の穴74を特徴としている。
【0089】
ピペット装置は、以下のやり方で使用される。
【0090】
ケーシング上部2およびケーシング下部3を、フック57がワッシャ状の突起48の背後の所定の位置にはまり込むまで、円筒形の部位54を収容部へと軸方向に挿入し、取り出しロッド51を取り出しスリーブ71の穴73へと押し込むことによって、互いに接続することができる。そのようにするとき、さらなる螺旋ばね47が、円筒形の部位によっていくぶんか圧縮され、付勢される。
【0091】
ケーシング上部2およびケーシング下部3を接続した後で、引き上げロッド15が、通路71を通過して、下端において押し板61に当接する。
【0092】
採取量を調節するために、調節リング13が、計算器31が所望の量を示すまで回転させられる。調節リング13を回転させるとき、調節スリーブ5を介してフォロワ19も回転させられる。結果として、送りねじが雄ねじ24において回転し、ワッシャ27を引き連れてケーシング上部2において軸方向に変位し、これによって引き上げロッド15をも軸方向に変位させる。このとき、フォロワ19の半径方向の突起が、調節スリーブ11の内面の溝20に沿って軸方向に変位する。これにより、制御ボタン14を操作したときに実行できる引き上げロッド15の行程の移動量が変更される。さまざまな調節範囲を有するさまざまなピペット装置の調節モーメントが、ほぼ同じである。
【0093】
さらに、ピペット端7は、上端の開口75によってコーン6の下端に固定されている。ピペット端7が、液体の採取および排出のための下端の開口76を有している。
【0094】
ピペット端7がコーン6に装着されるとき、装着力は、装着が進むにつれて大きくなる。装着力がさらなる螺旋ばね47の付勢力を超えると、ケーシング下部2がコーン6と一緒に、螺旋ばね47の作用に逆らって上方へと押される。ピペット端7の上縁が、ストッパを形成している取り出しスリーブ72の下縁に突き当たると、ケーシング下部3のさらなる上昇は防止される。このようにして、装着力および取り出しに必要とされる取り出し力が、特定の値へと制限される。以上は、EP 1557222 A2またはUS 2005 155 439 A1のそれぞれにおいて、とくには段落[0080]で詳しく説明されている。これに関する説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【0095】
採取のために、制御ボタン14が下方へと押され、プランジャ10がシリンダ9から空気を追い出す。次いで、ピペット端7が、下端の開口76にて採取すべき液体へと浸漬される。その後に、制御ボタン14が放される。プランジャ10および引き上げロッド15が、プランジャ戻しばね70によって出発位置へと押し戻される。そのようにするときに、プランジャ10が、液体をピペット端7へと下端の開口76を通って吸い込む。
【0096】
その後に、ピペット装置1が、ピペット端7が取り付けられた状態で送出場所へと向けられる。ピペット端7に収容された液体が、制御ボタン14を押してプランジャ10を再びシリンダ9へと下げ、ワッシャ27が下部ストッパに当接するまで空気を押し出すことによって排出される。液体の残りの部分を、オーバーストロークによって吹き出させることができる。制御ボタン14の解放後に、プランジャ10および引き上げロッド15は、プランジャ戻しばね70の作用によって出発位置へと戻る。
【0097】
ピペット端を取り外すために、取り出しボタン50が押される。結果として、取り出しスリーブが下方へと移動し、ピペット端7をコーン6に向かって押す。
【0098】
ケーシング下部3をケーシング上部2から取り外すために、最初に取り出しスリーブ72が取り外され、次いでロック解除リング59が上方へといくらか動かされ、結果としてフック57が内側に向かってスナップされる。これにより、ケーシング下部2が解放され、付勢されていたさらなる螺旋ばね47によって押し下げられる。
【0099】
ケーシング上部2は、上述の単一チャネルのケーシング下部3への接続に代えて、多チャネルのケーシング下部への接続にも適している。基本的に、多チャネルのケーシング下部を、EP 1557222 A2またはUS 2005 155 439 A1のそれぞれの図3および4に示され、段落[0083]〜[0095]に記載されているように、使用することができる。これに関するEP 1557222 A2またはUS 2005 155 439 A1のそれぞれにおける説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。しかしながら、EP 1557222 A2またはUS 2005 155 439 A1のそれぞれに記載の多チャネルのケーシング下部へのバヨネット接続部と異なり、多チャネルのケーシング下部の上部の円筒形の部位54に弾性舌55およびロック解除リング59を備える接続部が、図5に示したとおりケーシング上部2との接続に使用される。
【0100】
製造業者の較正において、ホルダ35上の目盛り43が、工具適用機構42へと適用された工具によって、ゼロ点へと設定される。製造業者の較正は、計算器31が調節スリーブ11から切り離された状態で行われる。このとき、計算器31が、表示される計量容積が測定によって実際に計量された計量容積に一致するまで調節される。
【0101】
密度、蒸気圧、温度、などといった逸脱した媒体および周囲の状態に合わせたピペット装置1の一時的な再較正のために、オーバーストロークシステムが、工具適用機構42へと適用された工具を回転させることによって調節される。その後に、ユーザは、目盛り43をゼロ点へと回転させて戻すことによって、製造業者による較正へと復帰することができる。これは、DE 10 2005 033 378 A1またはUS 2007 014 696 A1のそれぞれにおいて、とくには段落[0058]および[0059]に詳しく説明されており、それらは、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのピペット端を着脱可能に接続するための手段、少なくとも1つの変位装置、変位装置の変位部材を駆動するための駆動装置、および計量容積を調節するための送りねじナットと送りねじとを有する調節装置を備えているピペット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピペット装置は、実験室において、とくには液体を計量するために使用されている。液体が、ピペット端に取り上げられ、排出される。空気クッションピペットにおいては、気体のための変位装置がピペット装置に一体化され、少なくとも1つのピペット端に連絡可能に接続される。空気クッションが変位装置によって変位させられることで、液体がピペット端へと吸い込まれ、ピペット端から排出される。多くの場合、変位装置は、プランジャを有するシリンダであり、プランジャがシリンダ内で可動である。少なくとも1つのピペット端を着脱可能に接続するための手段は、たとえば、装着コーン(=put−up cone)または行き止まり穴(=blind hole)として実現される。装着コーンの前側または行き止まり穴の底部の穴が、変位装置の変位チャンバへと接続される。
【0003】
ピペット端は、使用後に新しいピペット端で置き換えることができるよう、ピペット装置へと着脱可能に接続される。これにより、次の計量において、残り物の持ち越しおよび汚染を回避することができる。使い捨てのピペット端が、プラスチックから手軽な価格で入手可能である。
【0004】
ピペット装置によって採取および排出される液体の計量容積を、調節装置によって調節することができる。計量容積を調節するために、シリンダにおいてプランジャが実行することができる行程の移動量が変更される。この目的のために、ストッパ(プランジャを動かす引き上げロッドの対向ストッパと協働する)が、引き上げロッドの行程の移動量を制限するようにずらされる。ストッパは、送りねじ(引き上げロッドを貫いて案内され、変位チャンバに対して固定である送りねじナットへとねじ込むことができる)の前側に配置される。対向ストッパは、引き上げロッドから半径方向に突き出しているワッシャまたはビードである。他方では、行程の移動量は、引き上げロッドまたはプランジャのビードと協働するもう1つのストッパによって制限される。
【0005】
従来からのピペット装置においては、送りねじナットおよび送りねじが、別個に製造され、ねじ山を備えている。製造公差ゆえ、送りねじがナットにおいてすき間を有しており、これが不正確な計量につながる可能性がある。
【0006】
さらに、プラスチック材料で作られる送りねじナットが最初はねじ山のない穴を備えて製造され、次いで外側にねじ山が設けられた金属製の送りねじを穴へとねじ込むことによって、送りねじナットの内側のねじ山が形成されるピペット装置が存在する。このようにすることで、送りねじナットと送りねじとの間のすき間は回避される。しかしながら、それらは、計量容積の調節範囲(たとえば、0.5〜10μl、10〜100μl、100〜1000μl)が相違するさまざまな大きさのピペット装置の計量容積の調節に、きわめて大きな力を要するという欠点を抱えている。すなわち、ねじ山が急であるほど、ねじ山の摩擦が小さくなるため、計量容積の調節に要する力が、調節範囲が小さいピペット装置においては、調節範囲の大きいピペット装置において計量容積を調節するために要する力よりも大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここから出発し、本発明は、さまざまな調節範囲について所定の調節力にてより容易に操作することができるピペット装置を提供するという目的にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有するピペット装置によって達成される。ピペット装置の好都合な実施の形態が、従属請求項に示されている。
【0009】
本発明によるピペット装置は、
・少なくとも1つのピペット端を着脱可能に接続するための手段、および変位チャンバと該変位チャンバ内に可動に配置された変位部材とを有し、前記少なくとも1つのピペット端へと液体を吸い込み、該少なくとも1つのピペット端から液体を排出する少なくとも1つの変位装置、あるいはシリンダと該シリンダ内で移動可能なプランジャとを有する少なくとも1つのシリンジを着脱可能に接続するための手段、
・前記変位部材またはシリンジのプランジャを駆動するための引き上げロッド、
・前記引き上げロッドを駆動するための駆動手段、および
・送りねじナットおよび送りねじを備えており、構成部品たる送りねじナットおよび送りねじの一方が、前記変位チャンバまたは接続されたシリンジのシリンダに対して静止しており、他方の構成部品が、前記静止している構成部品に対してねじ回転可能であるとともに、前記引き上げロッドの対向ストッパと関係するストッパを有している計量容積を調節するための調節装置
を有しており、
・前記送りねじが、第1の雄ねじと、該第1の雄ねじのねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雄ねじとを有し、前記送りねじナットが、少なくとも1つの関連の雌ねじを有するか、あるいは前記送りねじナットが、第1の雌ねじと、該第1の雌ねじのねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雌ねじとを有し、前記送りねじが、少なくとも1つの関連の雄ねじを有しており、
・前記送りねじの前記さらなる雄ねじまたは前記送りねじナットの前記さらなる雌ねじにおいて、前記送りねじナットが、少なくとも部分的に、前記送りねじの雄ねじの外径および/または内径の位置で、前記送りねじの軸に対する半径方向について、前記送りねじまでのすき間を特徴としている。
【0010】
好ましくは、前記送りねじナットの前記関連の雌ねじまたは前記送りねじの前記関連の雄ねじが、少なくとも部分的に、前記送りねじを前記送りねじナットへとねじ込み、あるいは前記送りねじナットを前記送りねじへとねじ込むことによって、生成され、あるいはすでに生成されている。
【0011】
本発明によるピペット装置は、送りねじの追加の少なくとも第2の雄ねじまたは送りねじナットの雌ねじにおいて、少なくとも部分的に、送りねじの雄ねじの外径および/または内径の位置で、送りねじの軸に対する半径方向について、送りねじナットと送りねじとの間にすき間が存在し、これによって、ピペット装置のユーザの所望に沿った所定の調節力が可能になり、とくには調節力の軽減が可能になることを特徴とする。送りねじナットと雄ねじとの間のすき間は、好ましくは0.015mmよりも大であるべきであり、より好ましくは0.020mm〜0.06mmの範囲にあるべきである。
【0012】
本発明のピペット装置においては、好ましくは、送りねじナットの少なくとも1つの雌ねじが、第1の雄ねじと第1の雄ねじのねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雄ねじとを備える送りねじをねじ込むことによって形成され、あるいはこのような送りねじへと送りねじナットをねじ込むことによって形成される。代案としては、送りねじの少なくとも1つの雄ねじが、送りねじを第1の雌ねじと異なる形状のねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雌ねじとを備える送りねじナットへとねじ込むことによって形成され、あるいはこのような送りねじナットを送りねじへとねじ込むことによって形成される。以下では、簡略化のために、基本的には、送りねじが静止している送りねじナットへとねじ込まれる事例を検討する。しかしながら、その説明は、送りねじナットを静止している送りねじへとねじ込む事例にも当てはまる。
【0013】
送りねじナットの雌ねじが、第1の雄ねじおよびさらなる雄ねじを備える送りねじによって形成される場合には、送りねじナットが、当初は穴を有することができ、そこに少なくとも1つの雌ねじを送りねじをねじ込むことによって形成することができる。さらには、送りねじナットに、あらかじめ途中まで製造され、送りねじをねじ込むことによって完成される雌ねじを、前もって設けてもよい。さらには、送りねじナットを当初は穴なしで実現し、セルフタップねじのように実現される送りねじをねじ込むことによって、穴および雌ねじを生成することも可能である。
【0014】
送りねじの雄ねじが、第1の雌ねじおよび少なくとも1つのさらなる雌ねじを備える送りねじナットによって形成される場合には、送りねじが、円柱形の丸棒であってよく、そこに少なくとも1つの雄ねじを送りねじナットをねじ込むことによって形成することができる。さらには、送りねじに、少なくとも1つの途中まで製造された雄ねじを前もって設け、送りねじナットをねじ込むことによって完成させてもよい。
【0015】
第1の雄ねじまたは第1の雌ねじのそれぞれを、少なくとも1つの異なるねじ山サイズおよび/または異なるねじ山形状を有することで、それぞれ少なくとも1つのさらなる雄ねじまたは少なくとも1つのさらなる雌ねじと異なるように形作ることができる。異なるように形作られるねじの寸法は、たとえば、外径および/または内径および/またはピッチ径および/またはねじ山の角度および/またはねじ山のピッチである。しかしながら、好ましくは、ねじ山のピッチには違いが存在しない。異なるように形作られるねじ山の形態は、三角形の形状を有するねじ山、台形の形状を有するねじ山、丸いねじ山、または鋸歯状のねじ山である。上述のねじ山のパラメータまたは用語のそれぞれは、ねじについての関連の基準(たとえば、ISO)における定義に従って使用されている。
【0016】
雄ねじがあらかじめ設けられた送りねじが送りねじナットへとねじ込まれるとき、少なくとも1つの相補的な雌ねじが送りねじナットに形成され、送りねじがすき間なしで送りねじナットに保持されることが確実にされる。同様に、送りねじが雌ねじがあらかじめ設けられた送りねじナットへとねじ込まれるとき、少なくとも1つの相補的な雄ねじが送りねじに形成され、送りねじがすき間なしで送りねじナットに保持されることが確実にされる。このとき、送りねじの第1の雄ねじまたは送りねじナットの第1の雌ねじをそれぞれ、送りねじと送りねじナットとの間のねじ接続が充分な引き抜き抵抗を特徴とするように、選択することができる。送りねじを送りねじナットに対して回転させるために加えるべき調節力、またはこのために加えなければならないトルクは、送りねじの第1の雄ねじおよび少なくとも1つのさらなる雄ねじまたは送りねじナットの第1の雌ねじおよび少なくとも1つのさらなる雌ねじのそれぞれのねじ山の形態の種々の形状に依存して決まる。したがって、前記雄ねじまたは雌ねじのそれぞれの種々の形状を決定することによって、調節力を決定することができる。これにより、所定の調節力を有するピペット装置を提供することができる。とくには、計量容積の調節範囲がさまざまであるピペット装置を、ほぼ同じ調節力を有するように実現することが可能である。
【0017】
送りねじナットの雌ねじが、雄ねじを備える送りねじを送りねじナットのねじ山なしの穴へとねじ込むことによって形成される従来からのピペット装置においては、調節のための調節力を、実際のところ、雄ねじの寸法によって左右することができる。しかしながら、大きなピッチにおいてこのために必要な雄ねじおよび雌ねじの摩擦面の拡大が、送りねじの直径が小さいために不可能である。小さいピッチにおいては、摩擦力を左右できる可能性が、摩擦面を小さくしなければならない場合に引き抜き抵抗の喪失を伴うため、限定的である。対照的に、本発明によるピペット装置においては、送りねじおよび送りねじナットの異なる形状のねじ山の形態ゆえに、たとえピッチが互いに大きく異なっても、基本的に同じ調節力を、充分な荷重支持力とともに実現することができる。
【0018】
これにより、第1の雄ねじおよび少なくとも1つのさらなる雄ねじまたは第1の雌ねじおよび少なくとも1つのさらなる雌ねじのそれぞれの形状を決定することによって、送りねじをねじ込むために必要な力を決定または軽減することができる。したがって、計量容積の調節範囲が相違するさまざまな大きさのピペット装置を、ユーザに優しいやり方で同じ調節力を備えるように実現することができる。送りねじナットの雌ねじまたは送りねじの雄ねじが、送りねじをねじ込むことによって生成される点で、調節装置のすき間の自由度および良好な計量精度が保証される。
【0019】
好ましい実施の形態によれば、計量容積を調節するための調節装置の全調節範囲において、前記さらなる雄ねじが、送りねじによって生成される雌ねじに螺合し、あるいは送りねじナットによって生成される雄ねじが、前記さらなる雌ねじに螺合する。これにより、調節装置を全調節範囲にわたって所定のトルクで調節できることが確実にされる。
【0020】
一実施の形態においては、送りねじまたは送りねじナットが1条(=single started)であり、前記さらなる雄ねじが前記第1の雄ねじへと追加され、あるいは前記さらなる雌ねじが前記第1の雌ねじへと追加される。これは、とくには、さらなる雄ねじが第1の雄ねじよりも顕著でない場合、またはさらなる雌ねじが第1の雌ねじよりも顕著でない場合に、好都合である。より顕著でないねじ山形態の断面が、より顕著なねじ山形態の断面を部分的にのみ満たす。
【0021】
これは、雌ねじが送りねじによって生成される場合に、以下の結果を有する。第1の雄ねじを有する送りねじを送りねじナットへとねじ込むことによって、第1の雄ねじに相補的な雌ねじが、送りねじナットに生成される。第1の雄ねじが雌ねじに螺合するとき、荷重支承深さが最大であり、すなわち送りねじの軸に対して垂直に測定される雄ねじおよび雌ねじのねじ山の側面の重なり合いが、最大値を有する。送りねじがさらなる雄ねじによって送りねじナットへとねじ込まれるとき、さらなる雄ねじのねじ山形態はあまり顕著でないため、荷重支承深さが小さくなる。荷重支承深さが小さくなることで、雌ねじと雄ねじとの間の摩擦が小さくなる。雌ねじと雄ねじとの間の摩擦は、さらなる雄ねじが、ねじ山形態の先端に位置するきわめて強い摩擦がもはや存在しないように、第1の雄ねじと違って先端を有していないねじ山の形態を特徴とする場合に、とくに大きく低減される。これにより、送りねじをねじ込むために加えなければならないトルクを、所定の値まで削減することができる。
【0022】
雌ねじを生成するために、送りねじを、最初は第1の雄ねじにて、その後にさらなる雄ねじにて、送りねじナットへとねじ込むことが可能であり、あるいは最初にさらなる雄ねじにて、その後に第1の雄ねじにて、送りねじナットへとねじ込むことが可能である。必要であれば、雌ねじが、最初の第1の雄ねじまたはさらなる雄ねじのねじ込みにて予備的に形成され、さらなる雄ねじまたは第1の雄ねじをねじ込むことによって完成される。
【0023】
雄ねじが、さらなる雌ねじが第1の雌ねじよりも顕著でない1条ねじの送りねじナットによって生成される場合には、同様の様相で、雄ねじが第1の雌ねじに螺合するときに最大の荷重支承深さが存在し、雄ねじがさらなる雌ねじに螺合するときに荷重支承深さが小さくなり、ねじ込み時に加えなければならないトルクに相応の影響を及ぼす。
【0024】
1条の送りねじまたは送りねじナットにおいては、調節装置の調節範囲を、調節範囲においてはさらなる雄ねじだけが雌ねじに螺合し、あるいはさらなる雌ねじだけが雄ねじに螺合するように保証する手段によって、制限することができる。このとき、このことを、ピペット装置のケーシング内に配置されて送りねじの軸方向の移動範囲を制限する手段によって行うことができる。そのような手段を、第1の雄ねじが雌ねじを形成された後、または第1の雌ねじが雄ねじを形成された後で、ケーシング内に設置することができる。雄ねじが1条ねじの送りねじナットによって形成される場合、送りねじは、螺合が生じないように調節範囲の送りねじナットの第1の雌ねじを通って案内される小さな直径を有することができる。
【0025】
一実施の形態によれば、送りねじまたは送りねじナットが複数条(=multi started)であり、複数条のねじ山のうちの第1のねじ山経路が、前記第1の雄ねじまたは前記第1の雌ねじによってもたらされ、複数条のねじ山のうちのさらなるねじ山経路が、前記さらなる雄ねじまたは前記さらなる雌ねじによってもたらされる。ねじ山を形成する複数条の送りねじが、送りねじナットへとねじ込まれるとき、そこに複数条の雌ねじが生成される。第1の雄ねじが第1の雌ねじを形成し、さらなる雄ねじがさらなる雌ねじを形成する。第1の雄ねじのねじ山形態が、さらなる雄ねじのねじ山形態と相違するように形作られているため、第1の雄ねじと第1の雌ねじとの間の摩擦面は、さらなる雄ねじとさらなる雌ねじとの間の摩擦面よりも大きくなり、あるいは小さくなる。結果として、調節力のうちの第1の雄ねじに該当する部分は、さらなる雄ねじに該当する部分よりも小さくなり、あるいは大きくなる。したがって、第1の雄ねじおよびさらなる雄ねじのねじ山形態の形状を選択することによって、所望のトルクを実現することができる。とくには、これを、さらなる雄ねじの形状を変更するが、第1の雄ねじの形状はそのままにすることによって、達成することができる。送りねじナットにおける送りねじのすき間のない配置および充分な引き抜き力を、さらなる問題を抱えることなく実現することができる。
【0026】
送りねじが、ねじを形成する複数条の送りねじナットへとねじ込まれる場合にも、調節
力またはねじ込みのために必要なトルクに、同様な効果がもたらされる。
【0027】
一実施の形態によれば、雌ねじが、送りねじを送りねじナットの平坦な円柱形の穴へとねじ込むことによって生成される。結果として、雌ねじが、送りねじを送りねじナットへとねじ込むことによって完全に生成される。同様の実施の形態においては、送りねじの雄ねじが、平坦な円柱形の丸棒をねじを形成する送りねじナットへとねじ込むことによって生成される。
【0028】
さらなる実施の形態においては、雌ねじが、送りねじを内向きに突き出した突出部が設けられた送りねじナットの穴へとねじ込むことによって生成される。結果として、雌ねじが、穴の内向きに突き出した突出部に形成される。これによって、雌ねじを生成するために加えなければならないねじ込みモーメントが、軽減される。さらに、調節時に打ち勝たなければならない雌ねじと雄ねじとの間の摩擦力も小さくなり、それにもかかわらず、送りねじナットにおける送りねじの良好な案内が実現される。好ましくは、前記突出部は、内向きに突き出しかつ穴の軸方向に延びているリブである。同様の実施の形態によれば、雄ねじが、外向きに突き出した突出部が設けられた送りねじを、ねじを形成する送りねじナットへとねじ込むことによって生成される。外向きに突き出した突出部は、好ましくは送りねじの軸方向に延びている。
【0029】
さらなる実施の形態によれば、雌ねじが、送りねじを途中まであらかじめ製造された雌ねじを備えている送りねじナットへとねじ込むことによって生成される。途中まであらかじめ製造された雌ねじが、送りねじをねじ込むことによって完成される。これに必要なトルクは、雌ねじが完全に送りねじをねじ込むことによって製作される実施の形態に比べ、大幅に小さくなる。途中まであらかじめ製造された雌ねじは、残りの部分については柔らかい円柱である穴に存在することができ、あるいは内向きに突き出した突出部を備える穴に存在することができ、送りねじをねじ込むことによって完成させることができる。同様の実施の形態によれば、雄ねじが、途中まであらかじめ製造された雄ねじを有している送りねじをねじ込むことによって生成される。
【0030】
送りねじまたは送りねじナットを適切に実現することによって、雌ねじを送りねじによって生成することができ、あるいは雄ねじを送りねじナットによって生成することができ、機械加工および/または非機械加工のやり方で生成することができる。好ましくは、非機械加工のやり方で製造が行われる。機械加工による製造のために、送りねじを、一種のタップに実現でき、あるいは送りねじナットを、一種のダイスに実現できる。非機械加工のやり方においては、雌ねじまたは雄ねじを、一種の溝なしタップに実現された送りねじまたは送りねじナットによって製造することができる。雌ねじまたは雄ねじに、好ましくは縦溝が設けられる。
【0031】
たとえば、台形の形状を有するねじ山、丸いねじ山、または鋸歯状のねじ山など、さまざまな種類のねじ山を、第1の雄ねじおよびさらなる雄ねじならびに第1の雌ねじおよびさらなる雌ねじについて、考慮することができる。好ましくは、第1の雄ねじまたは第1の雌ねじが、三角形の形状を有するねじ山であり、さらなる雄ねじまたはさらなる雌ねじが、台形の形状を有するねじ山である。
【0032】
送りねじナットおよび送りねじに、さまざまな材料を使用することができる。雌ねじが送りねじによって製作される場合、好ましくは、送りねじナットが、少なくとも雌ねじの領域において、少なくとも雄ねじの領域における送りねじよりも柔らかい材料である。なぜならば、これによって雌ねじの生成が容易になるからである。本発明は、送りねじナットのうちの雌ねじが生成される領域のみが、送りねじの第1およびさらなる雄ねじよりも柔らかい材料で構成されている実施の形態も包含する。さらに、本発明は、送りねじが第1およびさらなる雄ねじの領域においてのみ雌ねじの領域の送りねじナットよりも硬い材料で構成される実施の形態も包含する。より柔らかい材料からなる内側層を備えている送りねじナット、またはより硬い材料からなる外側層を備えている送りねじのそれぞれが、それぞれ内側または外側に配置された適切な材料のスリーブを特徴とすることができる。さらなる実施の形態によれば、送りねじナットが、少なくとも雌ねじの領域において、プラスチックで製作され、さらには/あるいは送りねじが、少なくとも雄ねじの領域において、金属で製作される。好ましくは、送りねじナットの全体が、より柔らかい材料で構成され、送りねじの全体が、より硬い材料で構成される。同様に、雄ねじが送りねじナットによって製作される場合には、雄ねじの製作を容易にするために、送りねじを、少なくとも雄ねじの領域について、少なくとも雌ねじの領域の送りねじナットよりも柔らかい材料で構成できる。
【0033】
プラスチック材料は、好ましくは、硬質の高温に耐えるプラスチック材料である。硬質プラスチックは摩耗が少なく、したがって時間とともに送りねじナットと送りねじとの間の摩擦が大きく変化することが、回避される。高温に耐えるプラスチックを、それらの機械的特性を損なうことなく蒸気養生させることができる。適切なプラスチック材料は、PEEK(ポリエーテルケトン)またはPEI(ポリエーテルイミド)である。
【0034】
摩擦パートナーたる送りねじナット−送りねじの材料として、プラスチック材料を使用し、とくには上述したものを使用する場合、本発明の利点はきわめて顕著になり、すなわち摩擦パートナーの間の摩擦が、さらなる雌ねじまたは雄ねじの別のねじ山形態によって軽減される。金属としては、たとえば黄銅またはステンレス鋼などである。
【0035】
一実施の形態によれば、送りねじナットにおいて送りねじを動かすためのトルクが、最大で約50mNm、すなわち55×10−3Nmである。好ましくは、最大で約40mNmである。公差によって引き起こされる上記上限からの逸脱も、可能である。
【0036】
引き上げロッドを、送りねじの完全に外側に配置することができる。好ましくは、ストッパが、送りねじまたは送りねじナットの前側によって形成される。好ましい実施の形態によれば、送りねじが、引き上げロッドを部分的に収容するチャネルを特徴とする。さらに好ましくは、チャネルが送りねじの全体を貫いて延びており、対向ストッパおよび駆動手段が、送りねじの別々の側に配置される。
【0037】
引き上げロッドの駆動手段は、たとえば駆動モータである。好ましい実施の形態によれば、引き上げロッドの駆動手段が、操作ボタンである。操作ボタンを、好ましくは、荷重が解放されたときに引き上げロッドを出発位置(引き上げロッドが、変位チャンバから最も遠くに位置する)へと移動させるばね装置の作用に逆らって操作することができる。
【0038】
さらなる実施の形態によれば、送りねじナットが、変位チャンバに対して静止しており、送りねじを、送りねじナットに対してねじ回転させることができる。
【0039】
本発明を、本発明の実現の例についての添付の図面によって、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ピペット装置の側面図である。
【図2】同じピペット装置のケーシング上部の縦断面である。
【図2.1】同じケーシング上部の縦断面であり、細部が円によって囲まれている。
【図2.2】図2.1の細部2.2である。
【図2.3】図2.1の細部2.3である。
【図2.4】図2.1の細部2.4である。
【図3】従来からのピペット装置の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図4】本発明によるピペット装置の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図5】ピペット装置のための別の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図6】ピペット装置のための別の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図7】ピペット装置のための別の送りねじおよび送りねじナットの拡大縦断面である。
【図8】同じピペット装置の1チャネルのケーシング下部の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
「上」、「下」、「水平」、「垂直」、および「前」、「後」という表示は、図面におけるピペット装置の向きを基準にする。ここでは、液体をピペット装置の下方に位置する容器から採取し、あるいはそのような容器へと排出するために、ピペット装置へと接続されたピペット端が先端の開口を下側に位置させて配置されるピペット装置の向きが取り扱われる。
【0042】
図1、2、および8によるピペット装置は、ケーシング上部2およびケーシング下部3を有する手持ちされるように形作られた縦長のケーシングを有している。
【0043】
図2によれば、ケーシング上部2が、駆動手段4および計量容積を調節するための調節装置5を特徴としている。
【0044】
図8によれば、ケーシング下部3が、その下端に、ピペット端7を装着するためのコーン6と、変位装置8とを備えており、変位装置8が、シリンダ9の形態の変位チャンバおよびプランジャ10の形態の変位部材を有している。プランジャ10の動きを、駆動手段4によって駆動することができる。
【0045】
図2によれば、調節スリーブ11が、回転可能であるが軸方向に対しては静止するように、ケーシング上部2の上部領域に取り付けられている。調節スリーブ11は、上側において調節リング12へとスプラインで接続されており、調節リング12は、上側においてケーシング上部2から突き出している縦溝付きの制御部13を特徴としている。調節リング12内に制御ボタン14が配置され、制御部13よりもさらに上側へと向かってケーシング上部2から突き出している。
【0046】
制御ボタン14は、ケーシング上部2の送りねじ16を貫いて案内されている引き上げロッド15へと接続されている。送りねじ16が、ケーシング上部に固定される引き上げ本体18と一緒に一部品にて実現される送りねじナット17へとねじ込まれている。
【0047】
上側において、送りねじ16は、送りねじ16へとスプラインで接続されたフォロワ19を有している。フォロワ19は、その外周に、正反対に外へと突き出す2つの斜めでない半径方向の突出部を有しており、これらの半径方向の突出部が、調節スリーブ11の内周を軸方向に延びている溝20に係合する。
【0048】
送りねじ16は、その下側に、外側に向かって半径方向に突き出すリブ21の形態の端部ストッパを有しており、図示の最上方位置において、リブ21が引き上げ本体18の内側の段部22に当接し、段部22と協働する。
【0049】
図3によれば、従来からのピペット装置においては、三角形の形状を有するねじ山として実現された雄ねじ23を有する金属製の送りねじ16が、プラスチック材料で作られた送りねじナット17へとねじ込まれる。これにより、送りねじナット17の穴25に雌ねじ24が形成される。この構成においては、送りねじ16と送りねじナット17との間の摩擦面26が比較的大きく、それゆえに、送りねじ16を回転させるために大きなトルクを加えなければならない。計量容積のさまざまな調節範囲を特徴とするさまざまな大きさのピペット装置において、雄ねじ23のピッチは異なる。結果として、摩擦面および調節時に加えなければならないトルクが、さまざまである。
【0050】
図4および5によって、送りねじナット17に少なくとも1つの雌ねじ24を形成する送りねじ16の螺合を、例として説明する。
【0051】
図4によれば、1条の送りねじ16が、第1の部位の第1の雄ねじ23.1と、その隣の第2の部位の第2の雄ねじ23.2とを特徴としている。第1の雄ねじ23.1が、第2の雄ねじ23.2よりも大きい外径を有している。第1の雄ねじ23.1および第2の雄ねじ23.2の谷径、ねじ山の角度、およびピッチは、一致している。第1の雄ねじ23.1は、三角形の形状を有するねじ山として実現され、第2の雄ねじ23.2は、台形の形状を有するねじ山として実現されている。計量容積の調節範囲において、送りねじ16は、第2の雄ねじ23.2においてのみ送りねじナット17へとねじ込まれる。摩擦面26が少なくなり、結果として、加えなければならないトルクも小さくなる。とくには、このようにすることで、摩擦の強い雄ねじ23.1の先端の雌ねじ24への係合が回避される。
【0052】
図5によれば、本発明の一変種においては、送りねじ16に、2条の雄ねじ23が設けられる。ここでは、第2の雄ねじ23.2が、第1の雄ねじ23.1よりも深く切られている。
【0053】
送りねじ16が、ねじ山なしの穴25のみが設けられた送りねじナット17へとねじ込まれるとき、2条の雌ねじ24が形成される。送りねじ16の第2の雄ねじ23.2が、第1の雄ねじ23.1よりも深く切られているため、摩擦面26が小さくなり、したがって回転力も小さくなる。とくには、摩擦の強い雌ねじ24の先端の第2の雄ねじ23.2への係合が回避される。第2の雄ねじ23.2の深さを、さまざまに設定することが可能であり、したがって所望のあらゆる調節力を実現することができる。このようにすることで、送りねじナット17における送りねじ16の案内および荷重支持力は、基本的に損なわれることがない。
【0054】
ねじ山の寸法(たとえば、図4の第1または第2の雄ねじ23.1、23.2の外径や、図5の雄ねじ23.1、23.2の内径)をさまざまにすることで、所望のあらゆる調節力を実現することができる。これにより、さまざまな計量範囲のピペット装置であって、調節のために加えなければならない力が等しいピペット装置を提供することができる。
【0055】
図6および7によって、少なくとも1つの雄ねじを形成する送りねじナット17への送りねじ16の螺合を、例として説明する。
【0056】
図6によれば、1条ねじの送りねじナット17が、第1の部位の第1の雌ねじ24.1と、隣接する部位のさらなる(第2の)雌ねじ24.2とを有している。第1の雌ねじ24.1および第2の雌ねじ24.2は、同じ外径および同じねじ山の角度を有している。第1の雌ねじ24.1の内径が、第2の雌ねじ24.2の内径よりも小さい。
【0057】
送りねじ16の平坦な円柱形の素材を第1の雌ねじ24.1へとねじ込むことで、深く切られた1条ねじの雄ねじ23が、送りねじ16に形成される。雄ねじ23の摩擦力は、第2の雌ねじ24.2の領域において小さい。なぜならば、第2の雌ねじ24.2が、先端において雄ねじ23に螺合することがないからである。
【0058】
図7によれば、2条ねじの送りねじナット17が、内径の小さい第1の雌ねじ24.1と、内径の大きいさらなる(第2の)雌ねじ24.2とを有している。雌ねじ24.1および24.2の外径は、一致している。
【0059】
送りねじ16の平坦な円柱形の素材をねじ込むことで、第1の雄ねじ23.1とさらなる(第2の)雄ねじ23.2とを有する2条ねじの雄ねじが、送りねじ16に形成される。第1の雄ねじ23.1の第1の雌ねじ24.1への螺合の領域においては、摩擦面が、第2の雄ねじ23.2の第2の雌ねじ24.2への螺合の領域における摩擦面よりも大きい。すでにこれによって、摩擦力を制御することが可能である。加えて、送りねじナットの一部分(図7の左側の部分)において、第1の雌ねじ24.1の先端が24.3において取り除かれ、第2の雌ねじ24.2の先端が24.4において取り除かれているため、先端がおねじ23.1、23.2へと螺合することがなく、摩擦力がさらに大きく低減される。
【0060】
図4〜7の本発明の変種のすべてにおいて、送りねじナット(17)は、送りねじ(16)の第2の雄ねじ(23.2)または送りねじナット(17)の第2の雌ねじ(24.2)において、送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置hで、送りねじ(16)の軸Aに対する半径方向Rについて、送りねじ(16)とのすき間dを特徴としている。ここで、軸Aは対称の軸であり、スピンドルが回転可能である場合、スピンドルの回転軸でもある。周知のとおり、半径方向Rは、軸Aに垂直に位置し、この軸から離れるように向いている。位置hによって、回転軸に垂直な平面が指定され、雄ねじ(23.2、23)の外径および内径はそれぞれ、この位置hの平面において半径方向Rに位置している。このやり方で定義されるすき間dは、好ましくは0.015mmよりも大きく、とくに好ましくは、たとえばd=0.0025mmおよびd=0.050mmなど、0.020mmから0.060mmまでの範囲で選択される。
【0061】
図2によれば、引き上げロッド15が、外へと突き出したワッシャ27の形態の上部ストッパを有しており、このワッシャ27の形態の上部ストッパが、図示の位置において、対向ストッパを形成する送りねじ16の下方前面28に当接する。この上部ストッパが、上側へと向かう引き上げロッド15の行程の移動量を制限する。
【0062】
引き上げ本体18の下端には、ワッシャ形のキャリア29が取り付けられており、キャリア29は、その直径に横方向に突き出したコンソール状の部位30を有しており、この部位30に計算器31が取り付けられている。引き上げロッド15は、ワッシャ形のキャリア29を貫いて案内されている。
【0063】
調節スリーブ11は、下方の外周に歯車32を有しており、計算器31が、始動ローラ上のさらなる歯車33を特徴としている。計算器31の小さな数字ホイール34を、ケーシング上部2の外側から透明なカバーを特徴とする窓35を介して視認することができる。
【0064】
調節スリーブ11と計算器31とを連結するために、一式の歯車が、軸上に移動可能に取り付けられている。この歯車一式が、歯車一式のうちの第1の歯車が調節スリーブ11の歯車32と噛み合い、歯車一式のうちの第2の歯車(第1の歯車にスプラインで接続されている)が始動ローラ上のさらなる歯車33と噛み合う位置にて、螺旋ばねによって軸方向のストッパに押し付けられている。歯車一式を、第1および第2の歯車を係合から外すために、ばねの作用に逆らって軸方向に変位させることができる。
【0065】
上述の歯車一式、軸、および螺旋ばねからなる構成は、図1においては隠されている。この構成は、DE 10 2005 033 378 A1またはUS 2007 014 696 A1のそれぞれにおいて、とくには段落[0048]〜[0050]で図4および5によって詳しく説明されている。これに関する説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【0066】
オーバーストロークシステム36のポット状のホルダ35が、引き上げ本体18の下方でケーシング上部2に配置されている。ホルダ35は、ケーシング上部に固定されたオーバーストロークシステム36のキャリア37の雌ねじへとねじ込み可能に配置された雄ねじを有している。
【0067】
ホルダ35は、引き上げロッド15のワッシャ27のための皿状の下部ストッパを収容している。下部ストッパは、ホルダ35の内側へと曲げられた上縁の下方に配置されている。ホルダ35の底部に自立するオーバーストロークばねが、下部ストッパをホルダ35の上縁に押し付けている。
【0068】
引き上げロッド15が、下部ストッパの中央の通路を貫き、螺旋ばねとして実現されたオーバーストロークばねを貫き、ホルダ35の底部の中央の通路を貫いて案内されている。
【0069】
皿状のストッパ、ホルダの内向きに曲げられた上縁、およびオーバーストロークばねは、図1においては隠されている。この構成は、基本的には、DE 10 2005 033 378 A1またはUS 2007 014 696 A1のそれぞれにおいて、図2および3ならびに段落[0053]〜[0055]によって詳しく説明されている。これに関する説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【0070】
ホルダ35の下方には、ベベルギアユニット39の被駆動歯車38が、オーバーストロークシステム36のケーシングに対して静止しているキャリア37に、引き上げロッド15と同心に、回転可能に取り付けられている。被駆動歯車38は、内周から突き出しているリブを有しており、被駆動歯車がホルダ35へとスプラインによって接続されるが、ホルダ35が被駆動歯車38に対して軸方向に変位可能であるよう、これらのリブが、ホルダ35の外周の軸方向の溝に係合している。
【0071】
ベベルギアユニット39の駆動歯車40が、キャリア37に回転可能に取り付けられた軸41を介して外部からアクセスできる工具適用機構42へと接続されている。
【0072】
工具を工具適用機構42へと装着して、回転させることで、ケーシングに対して静止しているキャリア47のホルダ35を、別の位置へとねじによって動かすことができる。結果として、下方へと向かう引き上げロッド15の行程の移動経路を制限する下部ストッパが動かされ、オーバーストロークが可能になるが、オーバーストロークには、オーバーストロークばねを変形させる必要がある。
【0073】
ホルダ35の外周には、しるしが設けられたケーシングの窓を通して外部から読み取ることができる目盛り43が存在している。同様の構成が、DE 10 2005 033 378 A1またはUS 2007 014 696 A1のそれぞれにおいて、図7および段落[0061]によって説明されている。これに関する説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【0074】
さらなる螺旋ばね44が、ワッシャ形のキャリア29とケーシングに対して静止しているキャリア37との間に存在し、ケーシング上部2の引き上げ本体18を下側から支持している。
【0075】
オーバーストロークシステム36の下方には、複数の基本的に円柱形の部位45.1、45.2、45.3を特徴とするケーシング上部2の収容部45が存在している。収容部45は、ケーシング上部2の下端の軸方向の開口に向かって、段階的に大きくなっている。
【0076】
引き上げロッド15は、その下端において、収容部45の上部45.3へと突き出している。さらに、追加の螺旋ばね47が、収容部45の上部45.3においてケーシング上部2に配置されている。この追加の螺旋ばね47は、その上端においてケーシング上部2に固定されている。収容部45は、中央の部位45.2の下縁に、内側に向かって突き出しているワッシャ状の突出部48を有しており、この突出部48が、ケーシング下部3を固定するように機能する。
【0077】
さらに、ピペット装置1は、取り出し装置49を有している。また、調節リング13の下方でケーシング上部2に取り出しボタン50を有している。取り出しボタン50は、引き上げロッド15と平行にケーシング上部2を貫いて延びている取り出しロッド51へと接続されている。
【0078】
取り出しロッド51は、取り出しボタン50が図示の出発位置へと押されるよう、さらなる螺旋ばね52を介してケーシング上部2に支持されている。この出発位置から、取り出しボタン50をさらなる螺旋ばね52の作用に逆らって押し込むことができる。
【0079】
取り出しロッドの下端は、収容部45の下部45.1の横方向の広がり部分53へと突き出している。
【0080】
図5によれば、ピペット装置1のケーシング下部3は、上部の円筒形の部位54に位置し、側面のスリットによって円筒形の部位54の残りの部分から分離されている2つの弾性舌55を特徴としている。さらに、弾性舌55の上端が、円筒形の部位54の上部に対してスリット56によって分離されている。下部において、弾性舌55は、円筒形の部位54の残りの部分へと一体に接続されている。それぞれの弾性舌55が、外側に向かって突き出すフック57を上端に有しており、フック57から距離をあけて、下側に向かって面取りされたくさび状の突起58を有している。
【0081】
ロック解除リング59が、円筒形の部位54の外側に配置されている。ロック解除リング59は、上側に向かって動かされたときにくさび状の突起58を押し、弾性舌55を多少なりとも変形させる。
【0082】
円筒形の部位54の下方において、ケーシング下部3は、短い円錐形の移行部60を有しており、移行部60の下方に、下側に向かって円錐状にわずかに先細りにされた縦長の中央部を有している。コーン6が、中央部61の下端に配置されている。
【0083】
ケーシング下部3は、変位装置8を収容している。変位装置8は、コーン6内に、プランジャ10が組み合わせられたシリンダ9を有している。図示の出発位置において、プランジャ10は、下端をコーン6の上端のシール62に位置させて配置されている。
【0084】
プランジャ10は、中央部61の軸方向の通路63を貫いて案内され、上側において、やはり円柱形(直径はより大きい)であるプランジャホルダ64に保持されている。プランジャホルダ64は、その外周において、円柱形の通路63に案内されている。
【0085】
プランジャホルダ64は、円筒形の部位54の円柱形の中空空間65を貫いて上側に向かって延びており、上側に、図示の位置において円筒形の部位54から突き出している皿状の押し板66を有している。
【0086】
円筒形の部位54は、その上側においてプランジャホルダ67を支えている。プランジャホルダ67は、複数のアーム68を備えており、そのそれぞれが円筒形の部位54の上端に同時に固定され、他端において円形のディスク69を支えており、ディスク69の下面に押し板66が当接している。この位置において、プランジャホルダ67は、螺旋ばねとして実現され、一端が円筒形の部位54の底部に支持され、他端が押し板66に支持されているプランジャ戻しばね70によって保持されている。プランジャホルダ67は、円形のディスク69に中央の通路71を有しており、この通路71を貫いて、引き上げロッド15の下部を押し板66に当接するまで挿入することができる。
【0087】
取り出し装置49が、ケーシング下部に取り出しスリーブ72を有している。取り出しスリーブ72は、外側において円筒形の部位54およびコーン6に案内されている。したがって、取り出しスリーブ72の内側の外形が、ケーシング下部3の上述の部位の外側の外形に一致している。
【0088】
さらに、取り出しスリーブ72は、上縁に横方向に突き出した段部73を有しており、段部73が、取り出しロッド51の下端を押し込むための軸方向の穴74を特徴としている。
【0089】
ピペット装置は、以下のやり方で使用される。
【0090】
ケーシング上部2およびケーシング下部3を、フック57がワッシャ状の突起48の背後の所定の位置にはまり込むまで、円筒形の部位54を収容部へと軸方向に挿入し、取り出しロッド51を取り出しスリーブ71の穴73へと押し込むことによって、互いに接続することができる。そのようにするとき、さらなる螺旋ばね47が、円筒形の部位によっていくぶんか圧縮され、付勢される。
【0091】
ケーシング上部2およびケーシング下部3を接続した後で、引き上げロッド15が、通路71を通過して、下端において押し板61に当接する。
【0092】
採取量を調節するために、調節リング13が、計算器31が所望の量を示すまで回転させられる。調節リング13を回転させるとき、調節スリーブ5を介してフォロワ19も回転させられる。結果として、送りねじが雄ねじ24において回転し、ワッシャ27を引き連れてケーシング上部2において軸方向に変位し、これによって引き上げロッド15をも軸方向に変位させる。このとき、フォロワ19の半径方向の突起が、調節スリーブ11の内面の溝20に沿って軸方向に変位する。これにより、制御ボタン14を操作したときに実行できる引き上げロッド15の行程の移動量が変更される。さまざまな調節範囲を有するさまざまなピペット装置の調節モーメントが、ほぼ同じである。
【0093】
さらに、ピペット端7は、上端の開口75によってコーン6の下端に固定されている。ピペット端7が、液体の採取および排出のための下端の開口76を有している。
【0094】
ピペット端7がコーン6に装着されるとき、装着力は、装着が進むにつれて大きくなる。装着力がさらなる螺旋ばね47の付勢力を超えると、ケーシング下部2がコーン6と一緒に、螺旋ばね47の作用に逆らって上方へと押される。ピペット端7の上縁が、ストッパを形成している取り出しスリーブ72の下縁に突き当たると、ケーシング下部3のさらなる上昇は防止される。このようにして、装着力および取り出しに必要とされる取り出し力が、特定の値へと制限される。以上は、EP 1557222 A2またはUS 2005 155 439 A1のそれぞれにおいて、とくには段落[0080]で詳しく説明されている。これに関する説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【0095】
採取のために、制御ボタン14が下方へと押され、プランジャ10がシリンダ9から空気を追い出す。次いで、ピペット端7が、下端の開口76にて採取すべき液体へと浸漬される。その後に、制御ボタン14が放される。プランジャ10および引き上げロッド15が、プランジャ戻しばね70によって出発位置へと押し戻される。そのようにするときに、プランジャ10が、液体をピペット端7へと下端の開口76を通って吸い込む。
【0096】
その後に、ピペット装置1が、ピペット端7が取り付けられた状態で送出場所へと向けられる。ピペット端7に収容された液体が、制御ボタン14を押してプランジャ10を再びシリンダ9へと下げ、ワッシャ27が下部ストッパに当接するまで空気を押し出すことによって排出される。液体の残りの部分を、オーバーストロークによって吹き出させることができる。制御ボタン14の解放後に、プランジャ10および引き上げロッド15は、プランジャ戻しばね70の作用によって出発位置へと戻る。
【0097】
ピペット端を取り外すために、取り出しボタン50が押される。結果として、取り出しスリーブが下方へと移動し、ピペット端7をコーン6に向かって押す。
【0098】
ケーシング下部3をケーシング上部2から取り外すために、最初に取り出しスリーブ72が取り外され、次いでロック解除リング59が上方へといくらか動かされ、結果としてフック57が内側に向かってスナップされる。これにより、ケーシング下部2が解放され、付勢されていたさらなる螺旋ばね47によって押し下げられる。
【0099】
ケーシング上部2は、上述の単一チャネルのケーシング下部3への接続に代えて、多チャネルのケーシング下部への接続にも適している。基本的に、多チャネルのケーシング下部を、EP 1557222 A2またはUS 2005 155 439 A1のそれぞれの図3および4に示され、段落[0083]〜[0095]に記載されているように、使用することができる。これに関するEP 1557222 A2またはUS 2005 155 439 A1のそれぞれにおける説明は、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。しかしながら、EP 1557222 A2またはUS 2005 155 439 A1のそれぞれに記載の多チャネルのケーシング下部へのバヨネット接続部と異なり、多チャネルのケーシング下部の上部の円筒形の部位54に弾性舌55およびロック解除リング59を備える接続部が、図5に示したとおりケーシング上部2との接続に使用される。
【0100】
製造業者の較正において、ホルダ35上の目盛り43が、工具適用機構42へと適用された工具によって、ゼロ点へと設定される。製造業者の較正は、計算器31が調節スリーブ11から切り離された状態で行われる。このとき、計算器31が、表示される計量容積が測定によって実際に計量された計量容積に一致するまで調節される。
【0101】
密度、蒸気圧、温度、などといった逸脱した媒体および周囲の状態に合わせたピペット装置1の一時的な再較正のために、オーバーストロークシステムが、工具適用機構42へと適用された工具を回転させることによって調節される。その後に、ユーザは、目盛り43をゼロ点へと回転させて戻すことによって、製造業者による較正へと復帰することができる。これは、DE 10 2005 033 378 A1またはUS 2007 014 696 A1のそれぞれにおいて、とくには段落[0058]および[0059]に詳しく説明されており、それらは、ここでの言及によって本出願へと取り入れられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも1つのピペット端(7)を着脱可能に接続するための手段(6)、および変位チャンバ(9)と該変位チャンバ(9)内に可動に配置された変位部材(10)とを有し、前記少なくとも1つのピペット端(7)へと液体を吸い込み、該少なくとも1つのピペット端(7)から液体を排出する少なくとも1つの変位装置(9、10)、あるいはシリンダと該シリンダ内で移動可能なプランジャとを有する少なくとも1つのシリンジを着脱可能に接続するための手段、
・前記変位部材(10)またはシリンジのプランジャを駆動するための引き上げロッド(15)、
・前記引き上げロッド(15)を駆動するための駆動手段(14)、および
・送りねじナット(17)および送りねじ(16)を備えており、構成部品たる送りねじナット(17)および送りねじ(16)の一方が、前記変位チャンバ(9)または接続されたシリンジのシリンダに対して静止しており、他方の構成部品が、前記静止している構成部品に対してねじ回転可能であるとともに、前記引き上げロッド(15)の対向ストッパ(27)と関係するストッパ(28)を有している計量容積を調節するための調節装置(5)
を有しているピペット装置であって、
・前記送りねじ(16)が、第1の雄ねじ(23.1)と、該第1の雄ねじ(23.1)のねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雄ねじ(23.2)とを有し、前記送りねじナット(17)が、少なくとも1つの関連の雌ねじ(24)を有するか、あるいは前記送りねじナット(17)が、第1の雌ねじ(24.1)と、該第1の雌ねじのねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雌ねじ(24.2)とを有し、前記送りねじ(16)が、少なくとも1つの関連の雄ねじ(23)を有しており、
・前記送りねじ(16)の前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記送りねじナット(17)の前記さらなる雌ねじ(24.2)において、前記送りねじナット(17)が、少なくとも部分的に、前記送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置(h)で、前記送りねじ(16)の軸(A)に対する半径方向(R)について、前記送りねじ(16)までのすき間(d)を特徴としているピペット装置。
【請求項2】
前記送りねじナット(17)の前記関連の雌ねじ(24)または前記送りねじ(16)の前記関連の雄ねじ(23)が、少なくとも部分的に、前記送りねじ(16)を前記送りねじナット(17)へとねじ込み、あるいは前記送りねじナット(17)を前記送りねじ(16)へとねじ込むことによって、生成され、あるいは生成されていることを特徴とする請求項1に記載のピペット装置。
【請求項3】
前記第1の雄ねじ(23.1)または前記第1の雌ねじ(24.1)が、前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記さらなる雌ねじ(24.2)とは別の外径、および/または別の内径、および/または別のねじ山の角度、および/または別のピッチ径、および/または別のねじ山の形状を有している請求項1または2に記載のピペット装置。
【請求項4】
前記調節装置(5)の全調節範囲において、前記さらなる雄ねじ(23.2)が前記送りねじ(16)によって生成される前記雌ねじ(24)に螺合し、あるいは前記送りねじナット(17)によって生成される前記雄ねじ(23)が、前記さらなる雌ねじ(24.2)に螺合する請求項1〜3のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項5】
前記送りねじ(16)または前記送りねじナット(17)が、1条であり、前記さらなる雄ねじ(23.2)が前記第1の雄ねじ(23.1)へと追加され、あるいは前記さらなる雌ねじ(24.2)が前記第1の雌ねじ(24.1)へと追加される請求項1〜4のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項6】
前記送りねじ(16)または前記送りねじナット(17)が、複数条であり、第1のねじ山経路が、前記第1の雄ねじ(23.1)または前記第1の雌ねじ(24.1)によってもたらされ、さらなるねじ山経路が、前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記さらなる雌ねじ(24.2)によってもたらされる請求項1〜4のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項7】
前記雌ねじ(24)が、前記送りねじ(16)を前記送りねじナット(17)の平坦な円柱形の穴(25)へとねじ込むことによって生成され、あるいは前記雄ねじ(23)が、平坦な円柱形の送りねじ(16)を前記送りねじナット(17)へとねじ込むことによって生成される請求項1〜6のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項8】
前記雌ねじ(24)が、前記送りねじ(16)を内向きに突き出した突出部が設けられた前記送りねじナット(17)の穴(25)へとねじ込むことによって生成され、あるいは前記雄ねじ(23)が、外向きに突き出した突出部が設けられた前記送りねじ(16)を前記送りねじナット(17)へとねじ込むことによって生成される請求項1〜7のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項9】
前記雌ねじ(24)が、前記送りねじ(16)を途中まであらかじめ製造された雌ねじを備えている送りねじナット(17)へとねじ込むことによって生成され、あるいは前記雄ねじ(23)が、途中まであらかじめ製造された雄ねじを備えている前記送りねじ(16)をねじ込むことによって生成される請求項1〜8のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項10】
前記雄ねじ(24)または前記雌ねじが、機械加工および/または非機械加工のやり方で製造される請求項1〜9のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項11】
前記第1の雄ねじ(23.1)または前記第1の雌ねじ(24.1)が、三角形の形状を有するねじ山であり、前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記さらなる雌ねじ(24.2)が、台形の形状を有するねじ山である請求項1〜10のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項12】
前記送りねじナット(17)が、少なくとも前記送りねじ(16)によって前記雌ねじ(24)が生成される領域において、少なくとも前記雄ねじ(23)の領域の前記送りねじ(16)よりも柔らかい材料で作られており、あるいは前記送りねじ(16)が、少なくとも前記送りねじナット(17)によって前記雄ねじ(23)が生成される領域において、少なくとも前記雌ねじ(24)の領域の前記送りねじナット(17)よりも柔らかい材料で作られている請求項1〜11のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項13】
前記送りねじナット(17)が、少なくとも前記送りねじ(16)によって前記雌ねじ(24)が生成される領域において、プラスチックで作られており、あるいは前記送りねじ(16)が、少なくとも前記送りねじナット(17)によって前記雄ねじ(23)が生成される領域において、プラスチックで作られている請求項1〜12のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項14】
前記雌ねじ(24)を生成する前記送りねじ(16)が、少なくとも前記雄ねじ(23.1、23.2)の領域において、金属で作られており、あるいは前記雄ねじ(23)を生成する前記送りねじナット(17)が、少なくとも前記雌ねじ(24)の領域において、金属で作られている請求項1〜13のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項15】
前記送りねじナット(17)において前記送りねじ(16)を動かすためのトルクが、最大で約50mNmである請求項1〜14のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項16】
前記送りねじ(16)の前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記送りねじナット(17)の前記さらなる雌ねじ(24.2)において、前記送りねじナット(17)が、前記送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置(h)で、前記送りねじ(16)の軸(A)に対する半径方向(R)について、前記送りねじ(16)までのすき間(d)を特徴としていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項17】
前記送りねじ(16)の前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記送りねじナット(17)の前記さらなる雌ねじ(24.2)において、前記送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置(h)で、前記送りねじ(16)の軸(A)に対する半径方向(R)について、前記送りねじナット(17)の前記送りねじ(16)までのすき間が、0.015mmよりも大きいことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項18】
前記送りねじ(16)の前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記送りねじナット(17)の前記さらなる雌ねじ(24.2)において、前記送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置(h)で、前記送りねじ(16)の軸(A)に対する半径方向(R)について、前記送りねじナット(17)の前記送りねじ(16)までのすき間が、0.020mm〜0.060mmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項1】
・少なくとも1つのピペット端(7)を着脱可能に接続するための手段(6)、および変位チャンバ(9)と該変位チャンバ(9)内に可動に配置された変位部材(10)とを有し、前記少なくとも1つのピペット端(7)へと液体を吸い込み、該少なくとも1つのピペット端(7)から液体を排出する少なくとも1つの変位装置(9、10)、あるいはシリンダと該シリンダ内で移動可能なプランジャとを有する少なくとも1つのシリンジを着脱可能に接続するための手段、
・前記変位部材(10)またはシリンジのプランジャを駆動するための引き上げロッド(15)、
・前記引き上げロッド(15)を駆動するための駆動手段(14)、および
・送りねじナット(17)および送りねじ(16)を備えており、構成部品たる送りねじナット(17)および送りねじ(16)の一方が、前記変位チャンバ(9)または接続されたシリンジのシリンダに対して静止しており、他方の構成部品が、前記静止している構成部品に対してねじ回転可能であるとともに、前記引き上げロッド(15)の対向ストッパ(27)と関係するストッパ(28)を有している計量容積を調節するための調節装置(5)
を有しているピペット装置であって、
・前記送りねじ(16)が、第1の雄ねじ(23.1)と、該第1の雄ねじ(23.1)のねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雄ねじ(23.2)とを有し、前記送りねじナット(17)が、少なくとも1つの関連の雌ねじ(24)を有するか、あるいは前記送りねじナット(17)が、第1の雌ねじ(24.1)と、該第1の雌ねじのねじ山形態とは異なるように形作られたねじ山形態を有する少なくとも1つのさらなる雌ねじ(24.2)とを有し、前記送りねじ(16)が、少なくとも1つの関連の雄ねじ(23)を有しており、
・前記送りねじ(16)の前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記送りねじナット(17)の前記さらなる雌ねじ(24.2)において、前記送りねじナット(17)が、少なくとも部分的に、前記送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置(h)で、前記送りねじ(16)の軸(A)に対する半径方向(R)について、前記送りねじ(16)までのすき間(d)を特徴としているピペット装置。
【請求項2】
前記送りねじナット(17)の前記関連の雌ねじ(24)または前記送りねじ(16)の前記関連の雄ねじ(23)が、少なくとも部分的に、前記送りねじ(16)を前記送りねじナット(17)へとねじ込み、あるいは前記送りねじナット(17)を前記送りねじ(16)へとねじ込むことによって、生成され、あるいは生成されていることを特徴とする請求項1に記載のピペット装置。
【請求項3】
前記第1の雄ねじ(23.1)または前記第1の雌ねじ(24.1)が、前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記さらなる雌ねじ(24.2)とは別の外径、および/または別の内径、および/または別のねじ山の角度、および/または別のピッチ径、および/または別のねじ山の形状を有している請求項1または2に記載のピペット装置。
【請求項4】
前記調節装置(5)の全調節範囲において、前記さらなる雄ねじ(23.2)が前記送りねじ(16)によって生成される前記雌ねじ(24)に螺合し、あるいは前記送りねじナット(17)によって生成される前記雄ねじ(23)が、前記さらなる雌ねじ(24.2)に螺合する請求項1〜3のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項5】
前記送りねじ(16)または前記送りねじナット(17)が、1条であり、前記さらなる雄ねじ(23.2)が前記第1の雄ねじ(23.1)へと追加され、あるいは前記さらなる雌ねじ(24.2)が前記第1の雌ねじ(24.1)へと追加される請求項1〜4のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項6】
前記送りねじ(16)または前記送りねじナット(17)が、複数条であり、第1のねじ山経路が、前記第1の雄ねじ(23.1)または前記第1の雌ねじ(24.1)によってもたらされ、さらなるねじ山経路が、前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記さらなる雌ねじ(24.2)によってもたらされる請求項1〜4のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項7】
前記雌ねじ(24)が、前記送りねじ(16)を前記送りねじナット(17)の平坦な円柱形の穴(25)へとねじ込むことによって生成され、あるいは前記雄ねじ(23)が、平坦な円柱形の送りねじ(16)を前記送りねじナット(17)へとねじ込むことによって生成される請求項1〜6のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項8】
前記雌ねじ(24)が、前記送りねじ(16)を内向きに突き出した突出部が設けられた前記送りねじナット(17)の穴(25)へとねじ込むことによって生成され、あるいは前記雄ねじ(23)が、外向きに突き出した突出部が設けられた前記送りねじ(16)を前記送りねじナット(17)へとねじ込むことによって生成される請求項1〜7のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項9】
前記雌ねじ(24)が、前記送りねじ(16)を途中まであらかじめ製造された雌ねじを備えている送りねじナット(17)へとねじ込むことによって生成され、あるいは前記雄ねじ(23)が、途中まであらかじめ製造された雄ねじを備えている前記送りねじ(16)をねじ込むことによって生成される請求項1〜8のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項10】
前記雄ねじ(24)または前記雌ねじが、機械加工および/または非機械加工のやり方で製造される請求項1〜9のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項11】
前記第1の雄ねじ(23.1)または前記第1の雌ねじ(24.1)が、三角形の形状を有するねじ山であり、前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記さらなる雌ねじ(24.2)が、台形の形状を有するねじ山である請求項1〜10のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項12】
前記送りねじナット(17)が、少なくとも前記送りねじ(16)によって前記雌ねじ(24)が生成される領域において、少なくとも前記雄ねじ(23)の領域の前記送りねじ(16)よりも柔らかい材料で作られており、あるいは前記送りねじ(16)が、少なくとも前記送りねじナット(17)によって前記雄ねじ(23)が生成される領域において、少なくとも前記雌ねじ(24)の領域の前記送りねじナット(17)よりも柔らかい材料で作られている請求項1〜11のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項13】
前記送りねじナット(17)が、少なくとも前記送りねじ(16)によって前記雌ねじ(24)が生成される領域において、プラスチックで作られており、あるいは前記送りねじ(16)が、少なくとも前記送りねじナット(17)によって前記雄ねじ(23)が生成される領域において、プラスチックで作られている請求項1〜12のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項14】
前記雌ねじ(24)を生成する前記送りねじ(16)が、少なくとも前記雄ねじ(23.1、23.2)の領域において、金属で作られており、あるいは前記雄ねじ(23)を生成する前記送りねじナット(17)が、少なくとも前記雌ねじ(24)の領域において、金属で作られている請求項1〜13のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項15】
前記送りねじナット(17)において前記送りねじ(16)を動かすためのトルクが、最大で約50mNmである請求項1〜14のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項16】
前記送りねじ(16)の前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記送りねじナット(17)の前記さらなる雌ねじ(24.2)において、前記送りねじナット(17)が、前記送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置(h)で、前記送りねじ(16)の軸(A)に対する半径方向(R)について、前記送りねじ(16)までのすき間(d)を特徴としていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項17】
前記送りねじ(16)の前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記送りねじナット(17)の前記さらなる雌ねじ(24.2)において、前記送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置(h)で、前記送りねじ(16)の軸(A)に対する半径方向(R)について、前記送りねじナット(17)の前記送りねじ(16)までのすき間が、0.015mmよりも大きいことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項18】
前記送りねじ(16)の前記さらなる雄ねじ(23.2)または前記送りねじナット(17)の前記さらなる雌ねじ(24.2)において、前記送りねじ(16)の雄ねじ(23.2、23)の外径および/または内径の位置(h)で、前記送りねじ(16)の軸(A)に対する半径方向(R)について、前記送りねじナット(17)の前記送りねじ(16)までのすき間が、0.020mm〜0.060mmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のピペット装置。
【図1】
【図2】
【図2.1】
【図2.2】
【図2.3】
【図2.4】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図2.1】
【図2.2】
【図2.3】
【図2.4】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−89082(P2010−89082A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−210933(P2009−210933)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(591121683)エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフト (23)
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf AG
【住所又は居所原語表記】Barkhausenweg 1, D−22339 Hamburg, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210933(P2009−210933)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(591121683)エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフト (23)
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf AG
【住所又は居所原語表記】Barkhausenweg 1, D−22339 Hamburg, Germany
【Fターム(参考)】
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