説明

ピボテッドバケットコンベヤ

【課題】ピボテッドバケットコンベヤのバケットを選択的に個別に転倒させて、任意のバケットからばら物状物品を排出することができ、転倒開始時にバケットに設けられた転倒用のローラが入口カムとの衝突で破損しないようにすることを目的とする。
【解決手段】ピボテッドバケットコンベヤ1は2条の無端状チェーン2の間に、揺動自在にバケット3を吊下げ支持して、搬出ステーション5を含む循環経路に沿って進行する。搬出ステーション入口に、バケット3に設けられた第1,第2ローラ17,18が当接する揺動可能な第1,第2入口カム19,24が設けられ、入口から出口に亘って、第1,第2固定カム41,43が設けられる。入口カム19,24を起立させると、ローラ17,18が固定カム41,43上に誘導されてバケットが転倒し、倒伏させると、固定カム41,43下面側に誘導されてバケットは転倒しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体、ばら物、塊状体等のばら物状物品を搬送するピボテッドバケットコンベヤに関し、特に、循環走行するピボテッドバケットコンベヤのバケットに投入収容されたばら物状物品を適宜の搬出ステーションにおいて、個別的にバケットを転倒させて排出することが可能なピボテッドバケットコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体、ばら物、塊状体等ばら物状物品の投入ステーション、搬出ステーションを含む循環経路に沿って進行し、低所の投入ステーションでバケットに投入されたばら物状物品を垂直方向又は斜め上方に搬送して高所に設けられた搬出ステーションで排出するようにしたピボテッドバケットコンベヤは周知である。
【0003】
従来、搬出ステーションにおいて、略々水平方向に進行するバケットを転倒させてばら物状物品を排出するようにしたピボテッドバケットコンベヤとして、バケットの一方側板の下部後方寄りに回転自在な第1ローラを設けると共に、他方側板の下部前方寄りに回転自在な第2ローラを設け、これら第1ローラ及び第2ローラがガイドされる台形状の第1ガイド及び第2ガイドをピボテッドバケットコンベヤの進行方向左右に設けて、第1ローラ及び第2ローラが台形状の第1ガイド及び第2ガイドに当接することにより、バケットを転倒させるようにしたピボテッドバケットコンベヤが公知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭58−95029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示されているピボテッドバケットコンベヤは、ばら物状物品を排出するために、傾斜面が前後に形成された台形状の第1ガイド及び第2ガイドを上方に移動停止させ、進行するバケットの第1ローラ及び第2ローラをこれらガイドに当接させてバケットを転倒、復帰させる場合、転倒中のバケット、転倒完了のバケット、復帰中のバケット等が同時に台形状の第1ガイド及び第2ガイドに沿って移動しているため、複数個のバケットをまとめて転倒させることはできるが、任意のバケットを1個ずつ個別に転倒させることができない、という問題があった。また、ばら物状物品を収容し進行しているバケットの第1ローラ又は第2ローラが停止状態にある第1ガイド、第2ガイドの傾斜面に衝突するため、バケットに衝撃が生じバケット、ローラの破損の原因になる、という問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題点を解決し、ピボテッドバケットコンベヤのバケットを選択的に個別に転倒させて、任意のバケットからばら物状物品を排出することができ、さらに、ばら物状物品を収容し進行しているバケットを転倒させるとき、転倒開始時にバケット、ローラ等が衝突時の衝撃で破損しないようにすることができるピボテッドバケットコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バケットを転倒させてばら物状物品を排出する場合、転倒手段としてバケットの両側板に設けられている第1ローラ及び第2ローラと転倒用の入口カムとの当接、非当接を適宜に行なえるようにすると、バケットを個別に転倒させることができ、排出、非排出をバケット毎に行なえるようになる、という構想に基づいて前記課題を解決したものである。
【0007】
前記構想に基づいて、請求項1に係る本発明は、外リンク及び内リンクを連結して形成された2条の無端状チェーンの間に、前記いずれか一方のリンクのプレート中央部で支軸により揺動自在にバケットを吊下げ支持して、ばら物状物品の搬出ステーションを含む循環経路に沿って進行するピボテッドバケットコンベヤであって、前記バケットの一方側板の下部後方寄りに回転自在な第1ローラが設けられると共に、他方側板の下部前方寄りに回転自在な第2ローラが設けられ、前記搬出ステーション入口の左右いずれか一方の側には、バケットの進行時に、最初に前記第1ローラが当接してバケットの傾倒を開始させる第1入口カムが揺動可能に設けられると共に、他方の側には、前記第2ローラが当接して既に傾倒を開始しているバケットを転倒させる第2入口カムが揺動可能に設けられ、前記搬出ステーションの入口から出口に亘って、前記第2入口カムにより転倒されたバケットの転倒姿勢を維持しつつ、第2ローラを出口方向にガイドする第2固定カムが設けられると共に、出口手前において第1ローラを出口方向にガイドする第1固定カムが設けられ、前記搬出ステーション出口には、前記第2ローラを最初に第2固定カムから下方に誘導する第2出口カム、及び次に第1ローラを第1固定カムから下方に誘導する第1出口カムが設けられているピボテッドバケットコンベヤ、という構成としたものである。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記請求項1記載のピボテッドバケットコンベヤにおいて、前記第1入口カム及び第2入口カムは、それぞれ第1カム軸及び第2カム軸に固定され、該第1カム軸及び第2カム軸が揺動機構により同時に同じ方向に回動され、第1入口カム及び第2入口カムが連動して揺動する、という構成としたものである。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記請求項2記載のピボテッドバケットコンベヤにおいて、前記揺動機構は、アクチュエータにより往復運動するロッドと、前記第2カム軸に回転自在に装着されると共に、下端部が前記ロッド先端に形成された凹溝に入り込んで枢支されているフリーレバーと、前記第2カム軸に固定され、且つフリーレバーの当接部に当接する突起部を下端に有する第2揺動レバーと、前記第1カム軸に固定された第1揺動レバーと、第1揺動レバー及び第2揺動レバーそれぞれの上端に枢支した連結レバーとで構成され、該フリーレバーの上端と前記第2揺動レバーの上端との間に引張コイルばねが張設され、該引張コイルばねの力で前記フリーレバーの当接部が前記第2揺動レバーの突起部に押し付けられている、という構成としたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る本発明によれば、バケットの一方側板の下部後方寄りに回転自在な第1ローラが設けられると共に、他方側板の下部前方寄りに回転自在な第2ローラが設けられ、搬出ステーション入口の左右いずれか一方の側には、バケットの進行時に、最初に第1ローラが当接してバケットの傾倒を開始させる第1入口カムが揺動可能に設けられると共に、他方の側には、第2ローラが当接して既に傾倒を開始しているバケットを転倒させる第2入口カムが揺動可能に設けられ、搬出ステーションの入口から出口に亘って、第2入口カムにより転倒されたバケットの転倒姿勢を維持しつつ、第2ローラを出口方向にガイドする第2固定カムが設けられると共に、出口手前において第1ローラを出口方向にガイドする第1固定カムが設けられているので、第1入口カム及び第2入口カムを揺動して起立させ、第1ローラ及び第2ローラをこれら入口カムに当接させて第1固定カム及び第2固定カム上面に誘導することにより、バケットを転倒させてばら物状物品を排出することができる。また、第1入口カム及び第2入口カムを倒伏し、第1ローラ及び第2ローラが当接しないようにすると、これら第1、第2ローラが第1、第2固定カムの下面側に入り、バケットを転倒させないようにすることができる。その結果、搬出ステーションが数箇所配設されている場合でも、適宜に任意の搬出ステーションで任意のバケットを選択的に個別に転倒させてばら物状物品を排出することが可能となるので、搬送仕分効率の向上を図ることができる。
【0011】
また、搬出ステーション出口には、第2ローラを最初に第2固定カムから下方に誘導する第2出口カム、及び次に第1ローラを第1固定カムから下方に誘導する第1出口カムが設けられているので、転倒して進行してきたバケットをスムーズに復帰させることができる。さらに、バケットの転倒、非転倒を出口側のカムを作動させることなく、入口側の第1入口カム、第2入口カムのみの切替えで行なえばよいので、小さな駆動源(モータ)でバケットの転倒、非転倒の切替えを容易に行なうことができる。
【0012】
請求項2に係る本発明によれば、第1入口カム及び第2入口カムは、それぞれ第1カム軸及び第2カム軸に固定され、該第1カム軸及び第2カム軸が揺動機構により同時に同じ方向に回動され、第1入口カム及び第2入口カムが連動して揺動するので、第1、第2ローラを適宜に第1、第2固定カムの上面あるいは下面に誘導することができ、その結果、バケットを選択して個別に転倒、非転倒とすることができる。
【0013】
請求項3に係る本発明によれば、揺動機構が、アクチュエータにより往復運動するロッドと、前記第2カム軸に回転自在に装着されると共に、下端部が前記ロッド先端に形成された凹溝に入り込んで枢支されているフリーレバーと、前記第2カム軸に固定され、且つフリーレバーの当接部に当接する突起部を下端に有する第2揺動レバーと、前記第1カム軸に固定された第1揺動レバーと、第1揺動レバー及び第2揺動レバーそれぞれの上端に枢支した連結レバーとで構成されているので、ロッドの往復運動により、第1揺動レバー及び第2揺動レバーを連動して揺動することができ、ひいては第1入口カム及び第2入口カムを揺動して、バケットの転倒、非転倒の切替えを容易に行なうことができる。
【0014】
また、揺動機構は、第1入口カム、第2入口カムにそれぞれ第1ローラ、第2ローラが衝突、当接するとき、引張コイルばねが伸びることにより、その衝撃を緩和することができ、これら第1、第2ローラの破損を防止することができ、バケットへの衝撃を緩和することができる。さらに、第2入口カム先端と、第2固定カム後端との間に何らかの事情でバケット3の第2ローラが挟まった場合、引張コイルばねが伸びて第2揺動レバー及び第2入口カムが傾動するので、第2入口カム、第2ローラ、揺動機構等の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施例を図1〜図8に基づいて説明する。図1はピボテッドバケットコンベヤの概略説明図、図2はバケット3をチェーン2に装着する態様を示す拡大斜視図、図3は、搬出ステーション5におけるバケットの転倒作動を外観的に示す概略説明図、図4は手前側チェーン2の図示を省略した搬出ステーション5における要部斜視図であり、図5〜図7は揺動機構の作動説明図で、図5は第1、第2入口カム(図示略)を図4に示すような起立状態に保持するために、第1、第2揺動レバーを起立させている状態の説明図、図6は第1、第2入口カム(図示略)を倒伏状態にするために、第1、第2揺動レバーを倒伏させている状態の説明図、図7は第1、第2入口カム(図示略)が起立状態にあるときに、第2入口カム先端と第2固定カム後端との間に第2ローラが挟まったりして第2入口カムが倒伏される場合、引張コイルばねが伸びて第1、第2揺動レバーが傾動している状態の説明図、図8はバケット3の転倒作動説明図である。
【0016】
図1に示すように、ピボテッドバケットコンベヤ1は、無端状のチェーン2とバケット3を備え、2条の無端状チェーン2の間に揺動自在にバケット3を吊下げ支持して、投入ステーション4、搬出ステーション5を含む循環経路に沿って、水平方向あるいは垂直方向に進行し、投入ステーション4で投入されたばら物状物品を搬出ステーション5で適宜に排出する。なお、図1における符号6a、6cは水平走行部、6bは垂直走行部、7a、7b、7c、7d、7e、7fはスプロケット、Mはスプロケット7c駆動用モータ、8はケーシングであり、スプロケット7fはテークアップ機構に装着される。
【0017】
以下詳述するが、ピボテッドバケットコンベヤ1は、搬出ステーション5に、揺動可能なバケット転倒用の第1、第2入口カム19,24、第1、第2固定カム44,42、及び第1、第2出口カム52,46等を備え、搬出ステーション5で任意のバケット3を転倒させてばら物状物品を排出する。
【0018】
図2に一部拡大して示すように、チェーン2は、外リンク11及び内リンク12が連結して形成され、上縁にフランジ3aを有するバケット3が、2条の無端状チェーン2,2の間に、両側チェーン2,2の外リンク11のプレート11a,11aの中央部で支軸15により揺動自在に吊下げ支持される。この場合、バケット3の重心が底部近傍になるように比較的上部に設けた支軸15で吊下げ支持される。なお、図2における符号13は外リンク11を構成する延長ピン、14は延長ピン13の延長部に回転自在に装着されたサイドローラであり、このサイドローラ14は投入ステーション4でチェーン2を屈曲させる場合に使用するもので、搬出ステーション5では特に使用されないのでここでは説明を省略する。
【0019】
図2、図4に示すように、バケット3の一方側板(同図においては進行方向右側側板)3bの下部後方寄りに回転自在にバケット3傾倒用の第1ローラ17が設けられる。また、反対側の他方側板(同図においては進行方向左側側板)3cの下部前方寄りに回転自在なバケット3転倒用の第2ローラ18が設けられる。すなわち、第1ローラ17及び第2ローラ18がバケット3の左右両側に進行方向前後に位置がずれるように設けられる。
【0020】
図3、図4に示すように、チェーン2に吊持されたバケット3の進行に伴って、バケット3は、搬出ステーション5の入口5aで転倒し、中央区間5bを進行してばら物状物品を排出し、出口5cで復帰する。なお、図3、図4においては、手前側のチェーンの図示を省略している。
【0021】
図4に示すように、搬出ステーション入口5aのバケット進行方向右側には、最初に第1ローラ17が当接してバケット3の傾倒を開始させる第1入口カム19が揺動可能に設けられる。この第1入口カム19は第1カム軸20の右端に固定されて揺動可能であり、第1カム軸20の左端には、第1揺動レバー21が固定される。第1カム軸20は、ケーシング8のパネルに取付けた軸受22で支持される。
【0022】
搬出ステーション入口5aのバケット進行方向左側には、既に第1入口カム19に当接して傾倒を開始しているバケット3を転倒させる第2入口カム24が揺動可能に設けられる。この場合、第2入口カム24に第2ローラ18が当接してバケット3は転倒される。
【0023】
この第2入口カム24は、第2カム軸25に固定され、第2入口カム24の傾斜面24a先端が後記する第2固定カム43の後端部43a下面に当接している。また、この第2カム軸25の左側寄りには、第2揺動レバー26が固定され、最外左側にフリーレバー28が回転自在に装着される。なお、第2カム軸25は、ケーシング8のパネルに取付けた軸受31で支持される。
【0024】
図5に示すように、第1揺動レバー21の上端及び第2揺動レバー26の上端は、ピン30a,30bにより枢支した連結レバー30で連結される。また、第2揺動レバー26上端と第2カム軸25に支承されたフリーレバー28の上端との間に引張コイルばね29が張設される。なお、引張コイルばね29は一端がボルトなどの係止具29aで第2揺動レバー26に係止され、他端がボルトなどの係止具29bでフリーレバー28に係止される。
【0025】
第2揺動レバー26下端には、例えばボルト、ピン等の突起部27が設けられ、この突起部27が引張コイルばね29の力でフリーレバー28に設けられた当接部28bに押し付けられ、フリーレバー28の揺動により、第2揺動レバー26及び第2入口カム24は第2カム軸25と共に回動する。
【0026】
図3、図4、図5等に示すように、ロッド33の先端には凹溝33aが形成され、この凹溝33a内にフリーレバー28の下端部28aが入り込んで支軸34により枢支される。このフリーレバー28は、ロッド33の往復運動により第2カム軸25を中心に回転する(図5〜図7参照。)。
【0027】
ロッド33は、シリンダー35、ギヤボックス36、電動機37等で構成されるアクチュエータ38により往復運動する。なお、アクチュエータとしては、電動機以外にソレノイドの電気系アクチュエータ、油圧、空気圧等の流体系アクチュエータを用いても構わない。
【0028】
揺動機構39により、上記第1入口カム19及び第2入口カム24は同時に同じ方向に揺動する。揺動機構39は、往復運動するロッド33と、ロッド33によって揺動するフリーレバー28と、引張コイルばね29と、前記第1カム軸20に固定された第1揺動レバー21と、前記第2カム軸25に固定された第2揺動レバー26と、第1揺動レバー21上端及び第2揺動レバー26上端に枢支した連結レバー30とで構成される。
【0029】
搬出ステーション5の入口5aから出口5cに亘る中央区間5bの右側には、第1入口カム19から間隔をあけて、出口5c手前に第1ローラ17を出口方向にガイドする第1固定カム41が設けられる。図4に示すように、この第1固定カム41の後端部41aは、第2固定カム43の後端部43aより進行方向前方にある。
【0030】
搬出ステーション5の入口5aから出口5cに亘る中央区間5bの左側には、第2入口カム24により転倒されたバケット3の転倒姿勢を維持しつつ、第2ローラ18を出口方向にガイドする第2固定カム43が第2入口カム24に連続して設けられる。
【0031】
また、搬出ステーション5の出口5cの左側には、第2ローラ18を最初に第2固定カム43から下方に誘導し、バケット3を復帰させ始める第2出口カム44が設けられる。この第2出口カム44は、ピン45で第2固定カム43に上方に回動可能に装着され、ストッパ46で下方に回動しない構造になっている。
【0032】
搬出ステーション5の出口5cの右側には、第1ローラ17を第1固定カム41から下方に誘導し、バケット3の復帰を完了させる第1出口カム42が設けられている。この第1出口カム42も前記第2出口カム44と同じように、上方には回動可能であるが、下方に回動しないようになっている。
【0033】
前記揺動機構39の作動は次のとおりである。バケット3を転倒させるときは、第1、第2入口カム19,24を図4あるいは図8に示すような起立状態に保持する。この場合、図5に示すように、ロッド33を後退させて、フリーレバー28に取付けられた引張コイルばね29の牽引力により第1揺動レバー21及び第2揺動レバー26を起立させる。このようにすると、第1、第2カム軸20,25に固定されている第1、第2入口カム19,24は起立状態に保持され、第1、第2ローラ17,18が衝突、当接走行してバケット3が転倒される。
【0034】
この場合、第1、第2入口カム19,24に第1、第2ローラ17,18が衝突しても、第2揺動レバー26とフリーレバー28との間に引張コイルばね29が張設されているので、この引張コイルばね29の張力がクッションとなり、第1、第2ローラ17,18及びバケット3への衝撃が緩和される。
【0035】
バケット3を転倒させないようにするときは、第1、第2入口カム(図示略)を倒伏状態にする。この場合、図6に示すように、ロッド33を前進させて、第1、第2揺動レバー21,26を揺動させる。このようにすると、第1、第2カム軸20,25に固定されている第1、第2入口カム19,24は倒伏し、第1ローラ17は第1入口カム19に当接しないで通過する。また、第2入口カム24が倒伏すると、その傾斜面24a先端と第2固定カム43の後端部43aとの間に間隙が形成される。その結果、バケット3が進行すると、第1ローラ17は第1入口カム19に当接しないで通過し、また、第2ローラ18も第2入口カム24に当接しないで通過して第2固定カム43の下面側に入って移行し、バケット3は転倒しない。
【0036】
また、第1、第2入口カム19,24が起立状態にあるとき、図5に示すように、揺動機構39は第1揺動レバー21及び第2揺動レバー26が起立状態にある。このとき第2入口カム24の傾斜面24a先端と第2固定カム43の後端部43aとの間に何らかの事情で第2ローラ18が挟まることがある。この場合、第2入口カム24の倒伏に伴って、図7に示すように、第2揺動レバー26が引張コイルばね29の張力に抗して傾動する。このとき引張コイルばね29が伸張するので、第2ローラ18の破損、揺動機構39の破損が防止され、バケット3は転倒しないで進行する。
【0037】
上記構成からなるピボテッドバケットコンベヤ1の作用は、以下のとおりである。ピボテッドバケットコンベヤ1は、循環経路を進行し、搬出ステーション5において、バケット3からばら物状物品を排出したり、あるいは排出しないで通過する。
【0038】
バケット3を転倒させてばら物状物品を排出するときは、アクチュエータ38を作動させて、図8に示すように、第1入口カム19及び第2入口カム24を揺動機構39により起立状態にする。この場合、揺動機構39は図5に示す状態にある。進行するチェーン2により揺動自在に吊下げ支持されたバケット3は、搬出ステーション入口5aにおいて、最初に第1ローラ17が第1入口カム19の傾斜面19aに当接し走行することにより傾倒が開始される。次いで、第2ローラ18が第2入口カム24の傾斜面24aに当接し、傾斜面24aから第2固定カム43上にガイドされてバケット3は転倒される。そして、中央区間5bで転倒を保持しつつ進行してばら物状物品がバケット3から排出され、出口5cで第2出口カム44上面を第2ローラ18が走行して復帰が始まり、次いで、第1出口カム42上面を第2ローラ16が走行して復帰が完了する(図3、図4参照。)。
【0039】
搬出ステーション5でばら物状物品を排出しない場合(図示省略)は、アクチュエータ38を作動させて、第1入口カム19及び第2入口カム24を揺動機構39により倒伏状態にする。進行するチェーン2により揺動自在に吊下げ支持されたバケット3は、搬出ステーション入口5aにおいて、第1ローラ17は第1入口カム19に当接しないで通過し、また、第2ローラ18も第2入口カム24に当接しないで通過する。そして、第2ローラ18は第2固定カム43の下面側に沿って走行し、次いで、第1ローラ17も第1固定カム41の下面側に沿って走行し、バケット3は中央区間5bを転倒しないで進行する。そして、出口5cでは、第2ローラ18が第2出口カム44を上方に持ち上げ、次いで第1ローラ17が第1出口カム42を持ち上げてそれぞれ下面に沿って走行し、ばら物状物品を排出しないで搬出ステーション5から出て進行する。
【0040】
次に、効果について説明する。バケット3両側板3b、3cにそれぞれ第1、第2ローラ17,18が設けられ、搬出ステーション5入口の右側に第1入口カム19が揺動可能に設けられると共に、左側に第2入口カム24が揺動可能に設けられ、搬出ステーションの入口から出口に亘って、第2ローラ18を出口方向にガイドする第2固定カム43が設けられると共に、出口手前に第1ローラ17を出口方向にガイドする第1固定カム41が設けられているので、第1,第2入口カム19,24を揺動して起立させ、第1,第2ローラ17,18を第1,第2入口カム19,24に当接走行させて第1,第2固定カム41,43上面に誘導することにより、バケット3を転倒させてばら物状物品を排出することができる。
【0041】
第1,第2入口カム19,24を倒伏し、第1,第2ローラ17,18が当接しないようにすると、第1、第2ローラ17,18が第1、第2固定カム41,43の下面側に入り、バケット3を転倒させないようにすることができる。その結果、搬出ステーション5が数箇所配設されている場合でも、適宜に任意の搬出ステーション5で任意のバケット3を個別に転倒させてばら物状物品を排出することが可能となるので、搬送仕分効率の向上を図ることができる。
【0042】
搬出ステーション5出口には、第2ローラ18を最初に第2固定カム43から下方に誘導する第2出口カム44、及び次に第1ローラ17を第1固定カム41から下方に誘導する第1出口カム42が設けられているので、転倒して進行してきたバケット3をスムーズに復帰させることができる。さらに、バケット3の転倒、非転倒を出口側の第1,第2出口カム42,44を作動させることなく、入口側の第1,第2入口カム19,24のみの切替えで行なえばよいので、小さな駆動源(モータ)でバケットの転倒、非転倒の切替えを容易に行なうことができる。
【0043】
また、第1,第2入口カム19,24は、それぞれ第1,第2カム軸20,25に固定され、この第1,第2カム軸20,25が揺動機構39により同時に同じ方向に回動され、第1,第2入口カム19,24が連動して揺動するので、第1、第2ローラ17,18を適宜に第1、第2固定カム41,43の上面あるいは下面に誘導することができ、その結果、バケット3を選択して個別に転倒、非転倒とすることができる。
【0044】
揺動機構39が、アクチュエータ38により往復運動するロッド33と、第2カム軸25に固定され、突起部27を下端に有する第2揺動レバー26と、第1カム軸20に固定された第1揺動レバー21と、第1,第2揺動レバー21,26上端に枢支した連結レバー30とで構成されているので、ロッド33の往復運動により、第1揺動レバー21及び第2揺動レバー26を連動して揺動することができ、ひいては第1入口カム19及び第2入口カム24を揺動して、バケット3の転倒、非転倒の切替えを容易に行なうことができる。
【0045】
第2カム軸25にフリーレバー28が回転自在に装着されると共に、フリーレバー28下端28aがロッド33先端に形成された凹溝33aに入り込んで枢支され、フリーレバー28の上端と第2揺動レバー26の上端との間に引張コイルばね29が張設されているので、第1,第2入口カム19,24にそれぞれ第1,第2ローラ17,18が衝突、当接するときの衝撃を緩和することができ、これら第1、第2ローラ17,18の破損を防止することができ、バケット3への衝撃を緩和することができる。さらに、第2入口カム24のの傾斜面24a先端と、第2固定カム43後端部43aとの間に何らかの事情で第2ローラ18が挟まった場合、引張コイルばね29が伸びて第2揺動レバー26及び第2入口カム24が傾動するので、第2入口カム24、第2ローラ18、揺動機構39等の破損を防止することができる。
【0046】
以上、実施例について説明したが、外リンク11のプレート11aでバケット3を吊下げ支持する代わりに、内リンク12のプレート12aの中央部で支軸15により揺動自在にバケット3を吊下げ支持するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例を示し、ピボテッドバケットコンベヤの概略説明図である。
【図2】同上、バケットをチェーンに装着する態様を示す拡大斜視図である。
【図3】同上、搬出ステーションにおけるバケットの転倒作動を外観的に示す概略説明図である。
【図4】同上、搬出ステーションにおける要部斜視図である。
【図5】同上、揺動機構の作動説明図である。
【図6】同上、揺動機構の作動説明図である。
【図7】同上、揺動機構の作動説明図である。
【図8】同上、バケットの転倒作動説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ピボテッドバケットコンベヤ 2 無端状のチェーン
2a チェーンローラ 3 バケット
3a フランジ 3b ローラ
3b 一方側板 3c 他方側板
4 投入ステーション 5 搬出ステーション
5a 搬出ステーションの入口 5b 中央区間
5c 出口 6a、6c 水平走行部
6b 垂直走行部
7a、7b、7c、7d、7e、7f スプロケット
8 ケーシング M 駆動用モータ
11 外リンク 11a 外プレート
12 内リンク 12a 内プレート
13 延長ピン 14 サイドローラ
15 支軸 17 第1ローラ
18 第2ローラ 19 第1入口カム
19a 傾斜面 20 第1カム軸
21 第1揺動レバー 22 第1カム軸の軸受
24 第2入口カム 24a 傾斜面
25 第2カム軸 26 第2揺動レバー
27 突起部 28 フリーレバー
28a 下端部 28b 当接部
29 引張コイルばね 29a,29b 係止具
30 連結レバー 30a,30b ピン
31 第2カム軸の軸受 33 ロッド
33a 凹溝 34 支軸
35 シリンダー 36 ギヤボックス
37 電動機 38 アクチュエータ
39 揺動機構 41 第1固定カム
41a 後端部 42 第1出口カム
43 第2固定カム 43a 後端部
44 第2出口カム 45 ピン
46 ストッパ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外リンク及び内リンクを連結して形成された2条の無端状チェーンの間に、前記いずれか一方のリンクのプレート中央部で支軸により揺動自在にバケットを吊下げ支持して、ばら物状物品の搬出ステーションを含む循環経路に沿って進行するピボテッドバケットコンベヤであって、
前記バケットの一方側板の下部後方寄りに回転自在な第1ローラが設けられると共に、他方側板の下部前方寄りに回転自在な第2ローラが設けられ、
前記搬出ステーション入口の左右いずれか一方の側には、バケットの進行時に、最初に前記第1ローラが当接してバケットの傾倒を開始させる第1入口カムが揺動可能に設けられると共に、他方の側には、前記第2ローラが当接して既に傾倒を開始しているバケットを転倒させる第2入口カムが揺動可能に設けられ、
前記搬出ステーションの入口から出口に亘って、前記第2入口カムにより転倒されたバケットの転倒姿勢を維持しつつ、第2ローラを出口方向にガイドする第2固定カムが設けられると共に、出口手前において第1ローラを出口方向にガイドする第1固定カムが設けられ、
前記搬出ステーション出口には、前記第2ローラを最初に第2固定カムから下方に誘導する第2出口カム、及び次に第1ローラを第1固定カムから下方に誘導する第1出口カムが設けられていることを特徴とするピボテッドバケットコンベヤ。
【請求項2】
前記第1入口カム及び第2入口カムは、それぞれ第1カム軸及び第2カム軸に固定され、該第1カム軸及び第2カム軸が揺動機構により同時に同じ方向に回動され、第1入口カム及び第2入口カムが連動して揺動することを特徴とする請求項1記載のピボテッドバケットコンベヤ。
【請求項3】
前記揺動機構は、アクチュエータにより往復運動するロッドと、前記第2カム軸に回転自在に装着されると共に、下端部が前記ロッド先端に形成された凹溝に入り込んで枢支されているフリーレバーと、前記第2カム軸に固定され、且つフリーレバーの当接部に当接する突起部を下端に有する第2揺動レバーと、前記第1カム軸に固定された第1揺動レバーと、第1揺動レバー及び第2揺動レバーそれぞれの上端に枢支した連結レバーとで構成され、該フリーレバーの上端と前記第2揺動レバーの上端との間に引張コイルばねが張設され、該引張コイルばねの力で前記フリーレバーの当接部が前記第2揺動レバーの突起部に押し付けられていることを特徴とする請求項2記載のピボテッドバケットコンベヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate