説明

ピュリファイヤ

【課題】異物混入を防ぎながら、サクションフードから本体内の空気を吸い上げる際の空気の流入を確保することができるピュリファイヤを提供する。
【解決手段】本体内の空気を吸い出すサクションフード5を有するピュリファイヤ1において、前記サクションフード5から吸い出される空気を前記本体2内に流入させる開口部9と、前記開口部を覆うカバー10とを設け、前記カバー10が前記開口部9を覆った状態にあっても完全閉鎖とはせずに、前記開口部9における前記本体2と前記カバー10との間に間隙を設け、前記間隙から前記本体2内に空気が流入できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピュリファイヤに関し、詳しくは、製粉工程のうちの純化工程で用いるピュリファイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
小麦粉の製粉における純化工程は、セモリナ中に介在する皮部を分離してセモリナを高度に純化する工程である。この工程は、ピュリファイヤと呼ばれる装置によって実施される。このピュリファイヤの一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1は、ピュリファイヤの風胴部天井の一部を透明材質にすることにより内部を視認可能にした構成を開示している。
【0004】
特許文献1に記載のピュリファイヤでは、その風胴部天井にサクションフードを設け、本体内の空気を吸い上げる構造をしているため、本体下部にその空気の流入口としての開口部を設けており、この開口部は、ピュリファイヤ内で篩をスルーしたストックの状態を確認するサンプル採取の際にも利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−156385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載のピュリファイヤでは、その本体下部に設けた開口部は稼働時に空気の流入を確保するため、常に開放した状態であった。こうなると、その開口部から異物が混入するおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、異物混入を防ぎながら、サクションフードから本体内の空気を吸い上げる際の空気流入路を確保することができるピュリファイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するために、本体内の空気を吸い出すサクションフードを有するピュリファイヤにおいて、前記サクションフードから吸い出される空気を前記本体内に流入させる開口部と、前記開口部を覆うカバーとを設け、前記カバーが前記開口部を覆った状態にあっても完全閉鎖とはせずに、前記開口部における前記本体と前記カバーとの間に間隙を設け、前記間隙から前記本体内に空気が流入できるように構成したことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記カバーがその上部を蝶番によって前記本体に吊持されていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記カバーを前記本体に固定する固定手段が、前記カバーに設けた鉄プレートと前記本体に設けた磁石とが吸着固定するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異物混入を防ぎながら、サクションフードから本体内の空気を吸い上げる際の空気の流入を確保することができるピュリファイヤを提供することができる。
【0012】
すなわち、本発明によれば、カバーによって開口部を覆うので、開口部からの異物混入を防ぐことができる。また、カバーによって開口部を覆ったときに、カバーと本体との間に間隙が形成されるようにしたので、この間隙によって開口部からピュリファイヤ本体内への空気の流入を阻害せず、サクションフードから本体内の空気を吸い上げる際の空気の流入を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるピュリファイヤの一実施の形態の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示したピュリファイヤ1の向きを変えた斜視図である。
【図3】図1に示したピュリファイヤ1の左側面図である。
【図4】図1に示したピュリファイヤ1の右側面図である。
【図5】図1に示したピュリファイヤ1の正面図である。
【図6】図1に示したピュリファイヤ1の本体2の内部構造を、図1の方向VIから見た概略模式図である。
【図7】ピュリファイヤ1の開口部9の周辺を拡大して示す斜視図である。
【図8】ピュリファイヤ1の開口部9の周辺を、図7の方向VIIIから見た側面図である。
【図9】図7の状態から鉄プレート35を磁石31から外してカバー10を持ち上げた状態を示す斜視図である。
【図10】図9の状態からカバー10をさらに上げ、鉄プレート33と磁石32とが吸着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0015】
なお、本実施の形態では、粉粒体である小麦のセモリナを純化するピュリファイヤを例に説明するが、本発明はこれに限られるものではなく、他の粉粒体に適用するものであってもかまわない。
【0016】
図1は本発明によるピュリファイヤの一実施の形態の外観を示す斜視図であり、図2は図1に示したピュリファイヤの向きを変えた斜視図であり、図3は図1に示したピュリファイヤの左側面図であり、図4は図1に示したピュリファイヤの右側面図であり、図5は図1に示したピュリファイヤの正面図である。
【0017】
本実施形態のピュリファイヤ1は、投入口4から本体2内にセモリナを投入し、本体2内を搬送して純化を行う。なお、本実施形態のピュリファイヤ1は、投入口4を2つ設け、本体2内を2列でセモリナの搬送を行うが、本発明はこれに限られず、投入口を1つまたは3つ以上設けて、その数だけの列でセモリナを搬送するものであってもよい。
【0018】
また、本実施形態のピュリファイヤ1は、本体2の天井には本体2内の空気を吸い上げるサクションフード5を1つ設けているが、本発明はこれに限られず、複数のサクションフードを設けてもよい。
【0019】
ピュリファイヤ1の本体2は、支持脚3によって支えられており、その上で揺動可能に構成されている。詳しくは後述するが、投入口4から本体2内に投入されたセモリナは、本体2の揺動によって本体2内を搬送され、後述する篩を通り抜けて最下段まで落下したセモリナ(以下「ストック」ともいう)は、排出口6から下方へと排出される。一方、最下段まで落下せずに篩の上を最後まで搬送されたセモリナはオーバー排出箱11に排出される。なお、本体2内の篩は、篩取出口12から取り出し交換可能とされている。
【0020】
また、投入口4から本体2内に投入されたセモリナは、左側面上方の監視窓7からその状態が監視可能となっており、さらに搬送中のセモリナは、正面上方の監視窓8からその状態が監視可能となっている。
【0021】
本体2の正面下方には開口部9が設けられている。この開口部9は、サクションフード5から吸い上げる空気の流入口であるとともに、排出口6から下方へと排出されるストックの状態を確認するためにサンプル採取する際のサンプル採取口である。本実施の形態では、この開口部9の手前側にカバー10が設けられている。
【0022】
次に、本実施形態のピュリファイヤ1の動作について図面を参照してさらに説明する。図6は、図1に示したピュリファイヤ1の本体2の内部構造を、図1の方向VIから見た概略模式図である。
【0023】
図示しない電源が投入され、ピュリファイヤ1が稼働すると、電動機15が駆動し、本体2を揺動させる。また、サクションフード5から本体2内の空気が吸い上げられる。
【0024】
その後、投入口4から本体2内に投入されたセモリナは、投入ゲート20によって幅方向にほぼ均等に拡散されながら、篩21aへと搬送される。本実施形態では、21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21hおよび21iの9枚の篩が設けられているが、4枚×3段で12枚の篩が設けられている形態でもよい。これらの篩の目開き等は、適宜目的に応じて調節される。
【0025】
ピュリファイヤ1は、本体2の揺動およびサクションフード5からの空気の吸い上げによって、投入されたセモリナを、図6の左側から右側へと搬送する。なお、篩21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21hおよび21iは、右側が下がるよう傾斜している。本体2内の空気は、開口部9から流入し、篩21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21hおよび21iや空気流路22を通過し、サクションフード5から吸い上げられる。
【0026】
搬送中、篩21a、21dおよび21gのいずれかを通り抜けて落下し、その後、篩21b、21eおよび21hのいずれかを通り抜けて落下し、さらに篩21c、21fおよび21iのいずれかを通り抜けて落下したセモリナは、シャッター23を介してストック排出チャンネル24に達し、排出口6から下方へと排出される。
【0027】
また、搬送中、篩21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21hおよび21iのいずれかを通り抜けなかったセモリナは、オーバー排出口25からオーバー排出箱11に排出される。
【0028】
なお、セモリナの搬送中には、サクションフード5から本体2内の空気が吸い上げられ、このとき開口部9から空気が流入し、下から上への空気の流れを形成し、これによって流動層が形成されて、セモリナの純化が行われる。
【0029】
次に、本実施形態のピュリファイヤ1の開口部9の周辺構造について説明する。
【0030】
図7はピュリファイヤ1の開口部9の周辺を拡大して示す斜視図である。また、図8は図7の方向VIIIから見た側面図である。
【0031】
本実施形態のピュリファイヤ1の開口部9の手前側にはカバー10が設けられている。このカバー10は、たとえばアクリル製の透明な板状部材であり、その上部を蝶番34によって本体2に吊持されており、蝶番34の軸を中心にほぼ180°の範囲で回動可能である。
【0032】
カバー10の表側の左右両端には鉄プレート33を設け、その裏側には鉄プレート35を設けている。本体2には磁石31および32が設けられており、磁石31はカバー10を降ろしたときに鉄プレート35と対向する位置に設けられ、磁石32はカバー10を上げたときに鉄プレート33と対向する位置に設けられている。
【0033】
ピュリファイヤ1の稼働中、カバー10を降ろすと、鉄プレート35と磁石31とが吸着し、カバー10は図7および図8に示す状態に固定される。このとき、図8に示すように、カバー10と本体2との間に空隙Aが設けられており、開口部9が塞がれてしまうことを防いでいる。本実施形態によれば、カバー10を降ろすことによって開口部9の前面を覆うことができるので本体2内への異物混入を防止することができる。また、カバー10を降ろした場合であっても、カバー10と本体2との間には空隙Aが設けられており、この空隙Aによって開口部9が塞がれてしまうことを防ぎ、サクションフード5から本体2内の空気を吸い上げる際の空気流入路を確保することができる。
【0034】
上述のように、カバー10は蝶番34の軸を中心に回動可能である。鉄プレート35を磁石31から外してカバー10を持ち上げた状態を図9に示す。カバー10をさらに上げ、鉄プレート33と磁石32とが吸着した状態を図10に示す。
【0035】
図10に示すように、鉄プレート33を磁石32に吸着固定し、カバー10を上方に固定している。この状態では開口部9が完全に露出し、シャッター23を開いてストックを確認することが可能である。この確認作業中、カバー10が上方に固定されているので、カバー10を手で押さえる必要がなく、作業者は両手でストックの確認作業を行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、本体内に空気を流入させる開口部を備えながらも、異物混入を防ぐ必要がある装置、特にピュリファイヤに適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ピュリファイヤ
2 本体
3 支持脚
4 投入口
5 サクションフード
6 排出口
7、8 監視窓
9 開口部
10 カバー
11 オーバー排出箱
12 篩取出口
15 電動機
20 投入ゲート
21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i 篩
22 空気流路
23 シャッター
24 スルー排出チャンネル
25 オーバー排出口
31、32 磁石
33、35 鉄プレート
34 蝶番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内の空気を吸い出すサクションフードを有するピュリファイヤにおいて、
前記サクションフードから吸い出される空気を前記本体内に流入させる開口部と、前記開口部を覆うカバーとを設け、前記カバーが前記開口部を覆った状態にあっても完全閉鎖とはせずに、前記開口部における前記本体と前記カバーとの間に間隙を設け、前記間隙から前記本体内に空気が流入できるように構成した
ことを特徴とするピュリファイヤ。
【請求項2】
前記カバーがその上部を蝶番によって前記本体に吊持されていることを特徴とする請求項1に記載のピュリファイヤ。
【請求項3】
前記カバーを前記本体に固定する固定手段が、前記カバーに設けた鉄プレートと前記本体に設けた磁石とが吸着固定するものであることを特徴とする請求項2に記載のピュリファイヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−253371(P2010−253371A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105594(P2009−105594)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(301049777)日清製粉株式会社 (128)
【Fターム(参考)】