説明

ピラゾリノン誘導体の製造方法

【課題】高品質のピラゾリノン誘導体(3)をより良好な収率で製造すること。
【解決手段】ピラゾリノン化合物(1)と酸ハロゲン化物(2)とを塩基存在下、水と有機溶媒との混合溶媒中で反応させて反応混合物を得、該反応混合物を油水分離し、得られた水層を酸と混合してピラゾリノン誘導体(3)が析出した水性スラリーを得、該水性スラリーを、前記水層を酸と混合した際の温度より高い温度で熱処理した後、固液分離することにより、ピラゾリノン誘導体(3)を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(1)
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で示される化合物〔以下、ピラゾリノン化合物(1)ということがある。〕と、式(2)
【0004】
【化2】

【0005】
(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルキニル基を表す。)で示される化合物〔以下、酸ハロゲン化物(2)ということがある。〕とを塩基存在下で反応させ、式(3)
【0006】
【化3】

【0007】
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びYはそれぞれ前記と同じ意味を表す。)で示される化合物〔以下、ピラゾリノン誘導体(3)ということがある。〕を製造する方法に関する。ピラゾリノン誘導体(3)は、例えば、農薬の原料として有用である。
【背景技術】
【0008】
ピラゾリノン誘導体(3)を製造する方法として、例えば特開2000−226374号公報(特許文献1)には、ピラゾリノン化合物(1)と酸ハロゲン化物(2)とを塩基存在下、水と有機溶媒との混合溶媒中で反応させて反応混合物を得、該反応混合物を油水分離することなく酸処理した後、溶媒抽出する方法が記載されている。また特開2007−302619号公報(特許文献2)には、ピラゾリノン化合物(1)と酸ハロゲン化物(2)とを塩基存在下、水と有機溶媒との混合溶媒中で反応させて反応混合物を得、該反応混合物を油水分離することなく酸処理して、ピラゾリノン誘導体(3)が析出した水性スラリーを得、これをろ過する方法が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2000−226374号公報
【特許文献2】特開2007−302619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、かかる従来の方法では、ピラゾリノン誘導体(3)の収率が必ずしも十分なものではなかった。また、生成物として、目的物であるピラゾリノン誘導体(3)の他に、2分子のピラゾリノン化合物(1)がカルボニル基によって繋がった構造を持つ尿素化合物(以下、単に尿素化合物ということがある。)が含まれることから、品質上、必ずしも満足しうるものではなかった。そこで、本発明の目的は、該尿素化合物の含有量がより低減された高品質のピラゾリノン誘導体(3)をより良好な収率で製造しうる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は鋭意研究を行った結果、ピラゾリノン化合物(1)と酸ハロゲン化物(2)とを塩基存在下、水と有機溶媒との混合溶媒中で反応させて反応混合物を得、該反応混合物を油水分離し、得られた水層を酸と混合してピラゾリノン誘導体(3)が析出した水性スラリーを得、該水性スラリーを、前記水層を酸と混合した際の温度より高い温度で熱処理した後、固液分離することにより、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、式(1)
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で示される化合物と、式(2)
【0015】
【化5】

【0016】
(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルキニル基を表す。)で示される化合物とを、塩基存在下、水と有機溶媒との混合溶媒中で反応させて反応混合物を得、該反応混合物を油水分離し、得られた水層を酸と混合して式(3)
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びYはそれぞれ前記と同じ意味を表す。)で示される化合物が析出した水性スラリーを得、該水性スラリーを、前記水層を酸と混合した際の温度より高い温度で熱処理した後、固液分離することを特徴とする式(3)で示される化合物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、尿素化合物の含有量がより低減された高品質のピラゾリノン誘導体(3)をより良好な収率で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明について詳細に説明する。ピラゾリノン化合物(1)を示す式(1)
【0021】
【化7】

【0022】
(式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
【0023】
において、R、R、R、R及びRの少なくとも1つがハロゲン原子であるか又はハロゲン原子で置換されたメチル基である場合、このハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることができる。また、ハロゲン原子で置換されたメチル基は、モノフルオロメチル基やモノクロロメチル基の如きモノハロメチル基であってもよいし、ジフルオロメチル基やジクロロメチル基の如きジハロメチル基であってもよいし、トリフルオロメチル基やトリクロロメチル基の如きトリハロメチル基であってもよい。R6が炭素数1〜5のアルキル基である場合、このアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
【0024】
酸ハロゲン化物(2)を示す式(2)
【0025】
【化8】

【0026】
(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルキニル基を表す。)
【0027】
において、Rが炭素数1〜5のアルキル基である場合、このアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。Rが炭素数3〜5のアルケニル基である場合、このアルケニル基としては、例えば、アリル基(2−プロペニル基)、メタリル基(2−メチル−2−プロペニル基)、クロチル基(2−ブテニル基)等が挙げられる。Rが炭素数3〜5のアルキニル基である場合、このアルキニル基としては、例えば、2−プロピニル基、2−ブチニル基又は3−ブチニル基等が挙げられる。
【0028】
ピラゾリノン化合物(1)と酸ハロゲン化物(2)との反応は、塩基存在下で行われる。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩等の無機塩基や、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。上記無機塩基を使用する場合、水溶液として使用することもできる。好ましくはアルカリ金属水酸化物の水溶液を用いる。
【0029】
酸ハロゲン化物(2)の使用量は、ピラゾリノン化合物(1)1モルに対して、通常0.5〜5モルであり、好ましくは0.9〜1.5モルである。反応に用いる塩基の使用量は、ピラゾリノン化合物(1)1モルに対し、通常1〜5モルであり、好ましくは1.5〜2.5モルである。
【0030】
反応は、塩基存在下、水と有機溶媒との混合溶媒中で行う。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族炭化水素、n−へキサン、n−へプタンのような脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンのような脂環式炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランのようなエーテル、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール等の有機溶媒が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。水と有機溶媒とは、予め反応器に添加しておいてもよいし、ピラゾリノン化合物(1)又は酸ハロゲン化物(2)と混合して添加してもよい。
【0031】
水の使用量は、ピラゾリノン化合物(1)1重量部に対し、通常1〜20重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。有機溶媒の使用量は、ピラゾリノン化合物(1)1重量部に対し、通常1〜20重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。
【0032】
反応温度は通常0〜100℃、好ましくは10〜50℃である。また、反応は、通常、常圧付近で行われるが、必要により加圧下又は減圧下で行われてもよい。反応方式としては、連続式、半連続式、回分式のいずれも採用することができる。
【0033】
混合順序には特に制限はなく、ピラゾリノン化合物(1)と塩基との混合物に酸ハロゲン化物(2)を加えてもよく、酸ハロゲン化物(2)にピラゾリノン化合物(1)と塩基との混合物を加えてもよい。
【0034】
かくして反応混合物が得られ、この反応混合物を油水分離した後、該水層を酸と混合して目的物である式(3)
【0035】
【化9】

【0036】
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びYはそれぞれ前記と同じ意味を表す。)
【0037】
で示されるピラゾリノン誘導体(3)が析出した水性スラリーを得る。
【0038】
水層と混合する酸としては、例えば、塩化水素や硫酸等が挙げられ、その水溶液が好ましく用いられる。酸の使用量は、ピラゾリノン化合物(1)1モルに対し、通常0.5〜5モルであり、好ましくは0.7〜1.5モルである。品質面、操作面から酸と混合した後の水層のpHは5以上であることが好ましく、また、ピラゾリノン誘導体(3)を十分に析出させるため、酸と混合した後の水層のpHは9以下であることが好ましい。pHの調整は、酸の使用量を調整することで行うことができる。水層と酸との混合順序については、水層に酸を加えてもよく、酸に水層を加えてもよいが、水層に酸を加えるのが好ましい。尚、酸を混合する前の水層は、ピラゾリノン誘導体(3)が溶解した状態であるのが好ましい。
【0039】
水層に酸を加える場合、その時間は、前記尿素化合物が、ピラゾリノン誘導体(3)に取り込まれる量を抑制するため、3時間以上であるのが好ましい。一方、生産性の観点から20時間以下であるのが好ましい。
【0040】
水層を酸と混合する際の混合温度は、10℃以上40℃未満であるのが好ましく、10℃以上35℃以下であるのがより好ましい。前記尿素化合物の取り込み量を抑制する観点からは、該温度が高い方が好ましいが、高すぎるとピラゾリノン誘導体(3)の収率が低下する傾向がある。また、水層と酸との混合は、通常、常圧付近で行われるが、必要により加圧下又は減圧下で行われてもよい。混合方式としては、連続式、半連続式、回分式のいずれも採用することができる。
【0041】
次いで、得られた水性スラリーを熱処理する。この熱処理は、前述した水層を酸と混合する際の温度より高い温度で処理するものであり、その温度は40℃以上70℃以下であるのが好ましい。このように、水性スラリーを所定の温度で熱処理することにより、析出したピラゾリノン誘導体(3)に含有される尿素化合物の量を低減させることができる。該熱処理の時間は、通常0.5〜10時間、好ましくは0.5〜5時間であり、その圧力は、通常、常圧付近であるが、必要により加圧又は減圧であってもよい。
【0042】
水性スラリーを熱処理した後、固液分離を行う。かかる固液分離は、通常、熱処理した水性スラリーを冷却したのちに行われる。分離方法は、例えば、冷却した水性スラリーをろ過や遠心分離などの公知の分離手段によって行うことができる。さらに、固液分離して得られる析出物を水や有機溶媒によって洗浄することにより、目的物であるピラゾリノン誘導体(3)を固体として得ることができる。
【0043】
かくして、より良好な収率で、より高品質なピラゾリノン誘導体(3)を得ることができる。尚、必要に応じて、再結晶やカラムクロマトグラフィー等の手段により更に精製することも可能である。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0045】
実施例1
還流冷却器、温度計、攪拌器、滴下ロートを備えたガラス製反応器に、3−アミノ−4−(2−メチルフェニル)−ピラゾリン−5−オン〔式(1)においてRがメチル基、R、R、R、R及びRが水素原子である化合物〕35.00g(0.185モル)、メタノール70.00g、水12.57g、キシレン105.14g及び25%水酸化ナトリウム水溶液31.08gを入れ攪拌した。この水溶液に20%塩酸を加えてpHを約12.0に調整し、15℃にてアリルクロロチオホルメート〔式(2)においてXが塩素原子、Yが硫黄原子、Rがアリル基である化合物〕26.79g(0.196モル)とキシレン22.96gの混合溶液を2時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度でさらに2時間攪拌した。アリルクロロチオホルメートの滴下及びその後の保温中、25%水酸化ナトリウム溶液を併注して反応系内のpHを約10.7に保った。その後、反応混合物を1時間30分間静置した後、油水分離して得られた水層に25℃にて20%塩酸32.77gを5時間かけて滴下し、1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン〔式(3)においてRがメチル基、R、R、R、R、R及びRが水素原子、Yが硫黄原子、Rがアリル基である化合物〕を析出させた。このときのpHは6.5であった。この析出物を含む水性スラリーを65℃まで4時間かけて昇温した後、該温度で30分保温して熱処理し、次いで20℃まで2時間かけて冷却した後、30分保温した。その後、この水性スラリーをろ過し、ろ上物をメタノール水で洗浄し、1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オンを49.92g得た。これを高速液体クロマトグラフィーにより分析し、純度を絶対検量線法により算出し、原料である3−アミノ−4−(2−メチルフェニル)−ピラゾリン−5−オンに対する収率を求めた。その結果、純度98.1%、収率86.0%であった。また、副生物である尿素化合物の含有量を面積百分率法にて算出したところ、その含有量は0.04%であった。
【0046】
比較例1
実施例1と同様の反応器に、3−アミノ−4−(2−メチルフェニル)−ピラゾリン−5−オン30.00g(0.159モル)、メタノール60.00g、水14.98g、キシレン90.12g及び25%水酸化ナトリウム水溶液26.64gを入れ攪拌した。この水溶液に20%塩酸を加えてpHを12.0に調整し、15℃にてアリルクロロチオホルメート22.96g(0.168モル)とキシレン19.68gの混合溶液を2時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度でさらに2時間攪拌した。アリルクロロチオホルメートの滴下及びその後の保温中、25%水酸化ナトリウム溶液を併注して反応系内のpHを約10.7に保った。その後、反応混合物を1時間30分間静置した後、油水分離して得られた水層に25℃にて10%塩酸54.63gを5時間かけて滴下し、1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オンを析出させた。このときのpHは6.5であった。この析出物を含む水層をろ過した。ろ上物をn−へキサン、次いでメタノール水で洗浄し、1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オンを49.64g得た。実施例1と同様に分析したところ、純度97.2%、収率86.9%であった。上記尿素化合物の含有量は0.49%であった。
【0047】
比較例2
実施例1と同様の反応器に、3−アミノ−4−(2−メチルフェニル)−ピラゾリン−5−オン45.01g(0.238モル)、メタノール90.01g、水16.17g、キシレン135.18g及び25%水酸化ナトリウム水溶液39.96gを入れ攪拌した。この水溶液に20%塩酸を加えてpHを12.0に調整し、10℃にてアリルクロロチオホルメート34.44g(0.252モル)とキシレン29.52gの混合溶液を2時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度でさらに2時間攪拌した。アリルクロロチオホルメートの滴下及びその後の保温中、25%水酸化ナトリウム溶液を併注して反応系内のpHを約10.7に保った。その後、反応混合物を30分間静置した後、油水分離して得られた水層を40℃に昇温し、次いで該水層に20%塩酸39.52gを5時間かけて滴下し、1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン〔一般式(3)においてRがメチル基、R、R、R、R、R及びRが水素原子、Yが硫黄原子、Rがアリル基である化合物〕を析出させた。このときのpHは6.5であった。次いで、この析出物を含む水性スラリーを25℃に冷却した後、ろ過した。ろ上物をメタノール水で洗浄し、1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オンを57.84g得た。実施例1と同様に分析したところ、純度97.8%、収率76.1%であった。上記尿素化合物の含有量は0.04%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で示される化合物と、式(2)
【化2】

(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルキニル基を表す。)で示される化合物とを、塩基存在下、水と有機溶媒との混合溶媒中で反応させて反応混合物を得、該反応混合物を油水分離し、得られた水層を酸と混合して式(3)
【化3】

(式中、R、R、R、R、R、R、R及びYはそれぞれ前記と同じ意味を表す。)で示される化合物が析出した水性スラリーを得、該水性スラリーを、前記水層を酸と混合した際の温度より高い温度で熱処理した後、固液分離することを特徴とする式(3)で示される化合物の製造方法。
【請求項2】
水層と酸との混合温度が10℃以上40℃未満である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
熱処理温度が40℃以上70℃以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
水性スラリーにおける水層のpHが5〜9である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
式(1)で示される化合物が3−アミノ−4−(2−メチルフェニル)−ピラゾリン−5−オンである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
式(2)で示される化合物がアリルクロロチオホルメートである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−298709(P2009−298709A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152621(P2008−152621)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)