説明

ピリミジン化合物の新規製造方法

【課題】有害生物の防除効力を有する4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物を効率的かつ経済的な方法によって、高収率で得ることができる工業的に応用可能な製造方法を提供する。
【解決手段】式(I)


〔式中、Rは水素原子またはハロゲン原子、
は水素原子またはメチル基、
およびRは結合して、C4−C7ポリメチレン基等を表す。〕
で示される4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物を高収率で得ることができ、工業的に応用可能な製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物の新規製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO04/099160号明細書には、4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物が有害生物防除に優れた効力があることが記載されている。
【0003】
【特許文献1】WO04/099160号明細書 特許文献1の中には、4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物の製造方法が記載されているが、この方法を用いて当該化合物を工業的に製造しようとした場合、水素化ナトリウムを使用し、中間体を一旦単離する必要があり、さらに、得られた4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物の粗生成物を純度の高い製品として得るためには、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の煩雑な精製操作を行う必要もあり、作業効率および経済性の点から、工業的製造方法の改良が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、有機塩基と炭酸カリウムを用いた、中間体の単離や煩雑な精製操作を行う必要のない方法によって、有害生物の防除効力を有する4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物を高収率で得ることができる工業的製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記式(I)で示される4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物を高収率で得ることができる工業的製造方法を見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の発明1〜6に示される。すなわち、本発明は、
[発明1]
式(II))

〔式中、Rは水素原子またはハロゲン原子を表す。〕
で示される化合物(II)と、
式(III)

〔式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。〕
で示される化合物(III)とを、有機塩基と炭酸カリウムの存在下、アルキルベンゼン中で反応させ、
式(IV)

〔式中、RおよびRは前記と同じ意味を表す。〕
で示される化合物(IV)に導き、この化合物(IV)を単離することなく、
式(V)

〔式中、RおよびRは結合して、C4−C7ポリメチレン基を形成する。
(ここで、C4−C7ポリメチレン基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された低級アルキル基、および低級アルキル基からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。)〕
で示される化合物(V)またはその塩と反応させることを特徴とする
式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表す。〕
で示される4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物(I)の製造方法。
[発明2]
有機塩基がトリエチルアミンである発明1記載の製造方法。
[発明3]
がフッ素である発明1または2記載の製造方法。
[発明4]
がメチル基である発明1〜3のいずれか1つに記載される製造方法。
[発明5]
およびRが結合して形成するC4−C7ポリメチレン基が、2,4−ジメチルペンタメチレン基である、すなわち、式(V)の化合物が3,5−ジメチルピペリジンである発明1〜4のいずれか1つに記載される製造方法。
[発明6]
アルキルベンゼンがトルエンである発明1〜5のいずれか1つに記載される製造方法。
[発明7]
有機塩基の量が、式(II)で示される化合物1モルに対して、0.01〜5モルの割合である発明1〜6のいずれか1つに記載される製造方法。
[発明8]
有機塩基の量が、式(II)で示される化合物1モルに対して、0.05〜0.5モルの割合である発明1〜6のいずれか1つに記載される製造方法。
[発明9]
有機塩基と炭酸カリウムのモル比が、有機塩基:炭酸カリウム=1:2〜1:30である発明1〜8のいずれか1つに記載される製造方法。
[発明10]
有機塩基と炭酸カリウムのモル比が、有機塩基:炭酸カリウム=1:4〜1:25である発明1〜8のいずれか1つに記載される製造方法。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、有機塩基と炭酸カリウムを用いた、中間体の単離や煩雑な精製操作を行う必要のない方法によって、有害生物の防除効力を有する4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物を高収率で得ることができる工業的製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書の上記および下記の記載において用いられる本発明の範囲に包含される種々の定義の適当な例ならびに実例を以下に詳細に説明する。
【0008】
「低級」なる語は、特に断りのない限り、1〜6個あるいは2〜6個の炭素原子を有する基を意味し、好ましくは、1〜4または2〜4個の炭素原子を有する基でもよい。
【0009】
「1個またはそれ以上」の適当な例としては1〜6個でもよく、好ましくは1〜4個でもよい。
【0010】
「低級アルキル基」の好ましい例としては、直鎖または分枝状のC1−C6アルキル基が挙げられ、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、 n-ヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。
【0011】
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは、フッ素原子および塩素原子が挙げられる。
【0012】
「ハロゲン原子で置換された低級アルキル基」の好ましい例としては、例えば、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、6,6,6−トリフルオロへキシル等が挙げられ、特に好ましくは、トリフルオロメチルが挙げられる。
【0013】
「アルキルベンゼン」の好ましい例としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが挙げられ、特に好ましくは、トルエンが挙げられる。
【0014】
「有機塩基」の好ましい例としては、例えば、第3級アミン化合物が挙げられ、さらに好ましくは、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデック−7−エン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノン−5−エンが挙げられ、特に好ましくは、トリエチルアミンが挙げられる。
【0015】
およびRが結合して形成するC4−C7ポリメチレン基(但し、該ポリメチレン基はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された低級アルキル基および低級アルキル基からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。)の好ましい例としては、例えば、2,4−ジメチルペンタメチレンが挙げられる。
【0016】
本発明における塩の好ましい例としては、例えば、無機酸付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、有機カルボン酸スルホン酸付加塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等)との塩等の酸付加塩が挙げられる。
【0017】
本発明におけるRおよびRが結合して形成するC4−C7ポリメチレン基が、2,4−ジメチルペンタメチレン基である4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物は、下記式(Ia)
式(Ia)

〔式中、RおよびRは前記と同じ意味を表す。〕で示される。
【0018】
本発明におけるRおよびRが結合して形成するC4−C7ポリメチレンには、環上の置換基によっては、立体配置および/または相対配置にかかる異性体が存在するが、本発明は単一の異性体、またはそれ以上の異性体が任意の割合で混合している混合物のいずれをも包含するものである。
【0019】
次に、本発明製造方法について説明する。
【0020】
(前半工程)
式(II)で示される化合物と式(III)で示される化合物とを有機塩基と炭酸カリウムの存在下で反応させることにより、式(IV)で示される化合物を製造することができる。


〔式中、RおよびRは前記と同じ意味を表す。〕
【0021】
該反応は、アルキルベンゼン溶媒中で行われる。
アルキルベンゼンとしては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが挙げられる。
【0022】
該反応に用いられる有機塩基としては、例えば、第3級アミン化合物があげられ、具体的には、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデック−7−エン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノン−5−エンが挙げられ、好ましくは、トリエチルアミンが挙げられる。
【0023】
該反応に用いられる有機塩基の量は、溶媒の種類、有機塩基の種類および反応温度等の条件により、適宜変更し得るものであるが、製造コストおよび反応収率の点から、好ましくは、式(II)で示される化合物1モルに対して0.01〜5モルの割合であり、より好ましくは、0.05〜0.5モルの割合である。
【0024】
該反応に用いられる炭酸カリウムの量は、溶媒の種類、有機塩基の種類および反応温度等の条件により適宜変更し得るものであるが、製造コストおよび反応収率の点から、好ましくは、式(II)で示される化合物1モルに対して0.01〜5モルの割合であり、さらに好ましくは0.5〜1.5モルの割合である。
【0025】
該反応に用いられる有機塩基と炭酸カリウムのモル比は、溶媒の種類、有機塩基の種類および反応温度等の条件により、適宜変更し得るものであるが、製造コストおよび反応収率の点から、好ましくは、有機塩基:炭酸カリウム=1:2〜1:30であり、さらに好ましくは、有機塩基:炭酸カリウム=1:4〜1:25である。
【0026】
該反応に用いられる式(III)で示される化合物の量は、製造コストおよび反応収率の点から、好ましくは、式(II)で示される化合物1モルに対して1〜3モルの割合であり、さらに好ましくは1〜1.3モルの割合である。
【0027】
該反応の反応温度は、用いられる溶媒および有機塩基等の条件により、適宜、決められるものであるが、反応温度は通常−20〜150℃または溶媒の沸点温度までの範囲であり、好ましくは10〜50℃の範囲である。
【0028】
該反応の反応時間は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等により反応の進行状況を確認することにより、適宜、決められるものであるが、通常0.1〜48時間の範囲であり、好ましくは3時間〜24時間の範囲である。
【0029】
反応終了後は、単離および精製操作を行うことなく、式(V)で示される化合物との反応による後半工程を開始することができるが、式(V)で示される化合物を加える前に、水を加えることで、未反応の式(II)で示される原料化合物の残量が減少し、その結果、後半工程において式(II)で示される化合物の残存が原因となる副反応を抑制することができる。
【0030】
(後半工程)
【0031】
式(I)で示される化合物は、前記の前半工程で製造される式(IV)で示される化合物を含む反応液に、式(V)で示される化合物またはその塩を加えて反応させることにより製造することができる。

〔式中、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表す。〕
【0032】
該反応は、前半工程で用いた溶媒、もしくは該溶媒と水との混合物の存在下で行われる。
【0033】
反応に用いられる式(V)で示される化合物の量は、製造コストおよび反応収率の点から、好ましくは、式(II)で示される化合物1モルに対して、通常1〜1.5モルの割合である。
【0034】
該反応の反応温度は、通常0〜60℃の範囲であり、反応時間は通常1〜48時間の範囲である。
【0035】
後半工程において、通常、塩基を新たに加える必要はないが、未反応原料が残る場合には炭酸カリウムを追加することで、反応を完結させることができる。
【0036】
反応終了後は、例えば、反応混合物中の有機層を水、希塩酸などで洗浄した後、濃縮することで、式(I)で示される化合物を単離することができる。
【0037】
以下に、実施例、参考製剤例および試験例等を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1



トルエン220.0gに、4,5,6−トリフルオロピリミジン110.0g、炭酸カリウム114.6gおよびトリエチルアミン16.6gを加えた混合物に、2−ブチン−1−オール60.4gを25〜30℃で1時間かけて滴下し、30℃で撹拌する。その後、反応混合物中に水220.0gを滴下し、撹拌する。次いで、3,3−ジメチルピロリジン85.4gを滴下し、該混合物を30℃で撹拌した後、反応混合物を静置する。有機層と水層に分離した後、水層を除去し、有機層を5%塩酸220.0gで1回、水220.0gで1回洗浄する。有機層を濃縮して4−(2−ブチニルオキシ)−5−フルオロ−6−(3,3−ジメチルピロリジン−1−イル)ピリミジン(以下、本化合物(1)と記す。)を得る。
【0039】
実施例2


トルエン220.0gに4,6−ジフルオロピリミジン110.0g、炭酸カリウム132.3gおよびトリエチルアミン19.2gを加えた混合物に、2−ブチン−1−オール69.8gを25〜30℃で1時間かけて滴下し、30℃で撹拌する。その後、反応混合物中に水220.0gを滴下し、撹拌する。次いで、3−トリフルオロメチルピペリジン152.4gを滴下し、該混合物を30℃で撹拌した後、反応混合物を静置する。有機層と水層に分離した後、水層を除去し、有機層を5%塩酸220.0gで1回、水220.0gで1回洗浄する。有機層を濃縮して4−(2−ブチニルオキシ)−6−(3−トリフルオロメチルピペリジノ)ピリミジン(以下、本化合物(2)と記す。)を得る。
【0040】
製造例3

トルエン220.0gに4,5,6−トリフルオロピリミジン110.0g、炭酸カリウム114.6gおよびトリエチルアミン16.6gを加えた混合物に、2−ブチン−1−オール60.4gを25〜30℃で1時間かけて滴下し、30℃で8時間撹拌した。その後、反応混合物中に水220.0gを滴下し、さらに14時間撹拌した。次いで、3,5−ジメチルピペリジン(シス:トランス=約7:3の混合物)97.5gを滴下し、該混合物を30℃で6時間撹拌した後、反応混合物を静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を除去した後、有機層を5%塩酸220.0gで1回、水220.0gで1回洗浄した。有機層を濃縮して、4−(2−ブチニルオキシ)−5−フルオロ−6−(3,5−ジメチルピペリジノ)ピリミジン(以下、本化合物(3)と記す。)213.8g(収率94%)を得た。製品純度96%(HPLC)
【0041】
製造例4

トルエン220.0gに4,6−ジフルオロピリミジン110.0g、炭酸カリウム132.3gおよびトリエチルアミン19.2gを加えた混合物に、2−ブチン−1−オール69.8gを25〜30℃で1時間かけて滴下し、30℃で撹拌する。その後、反応混合物中に水220.0gを滴下し、撹拌する。次いで、シス−2,6−ジメチルヘキサハイドロアゼピン126.6gを滴下し、該混合物を30℃で撹拌した後、反応混合物を静置する。有機層と水層に分離した後、水層を除去し、有機層を5%塩酸220.0gで1回、水220.0gで1回洗浄する。有機層を濃縮して1−(6−(2−ブチニルオキシ)ピリミジン−4−イル)−シス−2,6−ジメチルヘキサハイドロアゼピン(以下、本化合物(4)と記す。)を得る。
【0042】
次に、本化合物の参考製剤例を示す。なお、部は重量部を表す。
【0043】
参考製剤例1
【0044】
本化合物(1)〜(4)9部を、キシレン37.5部およびジメチルホルムアミド37.5部に溶解し、これにポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル10部およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部を加え、よく撹拌混合して乳剤を得る。
【0045】
参考製剤例2
本化合物(1)〜(4)9部を、ラウリル硫酸ナトリウム4部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、合成含水酸化珪素微粉末20部および珪素土65部を混合した中に加え、よく撹拌混合して水和剤を得る。
【0046】
参考製剤例3
本化合物(1)〜(4)3部、合成含水酸化珪素微粉末5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベントナイト30部およびクレー57部を加え、よく撹拌混合し、次いで、これらの混合物に適当量の水を加え、さらに撹拌し、増粒機で製粒し、通風乾燥して粒剤を得る。
【0047】
参考製剤例4
本化合物(1)〜(4)4.5部、合成含水酸化珪素微粉末1部、凝集剤としてドリレスB(三共社製)1部、クレー7部を乳鉢でよく混合した後にジュースミキサーで撹拌混合する。得られた混合物にカットクレー86.5部を加えて、充分撹拌混合し、粉剤を得る。
【0048】
参考製剤例5
本化合物(1)〜(4)10部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩50部を含むホワイトカーボン35部および水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより、製剤を得る。
【0049】
本化合物が有害生物の防除効力を有することを試験例にて示す。
【0050】
試験例
参考製剤例5により得られる供試化合物の製剤を有効成分濃度が500ppmとなるように水で希釈し、試験用散布液を調製する。
一方、ポリエチレンカップにキャベツを植えて第一本葉が展開するまで生育させ、第一本葉を残して他の葉は切除し、これにシルバーリーフコナジラミ成虫を放して約24時間産卵させる。こうして80〜100卵程度産卵されたキャベツを8日間温室内に保持し、該キャベツ上の卵から幼虫が孵化してきた状態のところに、上記の試験用散布液を20ml/カップの割合で散布する。散布7日後に生存幼虫数を数える。
【0051】
この試験の結果、本化合物(1)〜(4)の試験用散布液を処理したキャベツ葉において、十分な防除効果が確かめられる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、有機塩基と炭酸カリウムを用いた、中間体の単離や煩雑な精製操作を行う必要のない方法によって、有害生物の防除効力を有する4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物を高収率で得ることができる工業的製造方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)

〔式中、Rは水素原子またはハロゲン原子を表す。〕
で示される化合物(II)と、
式(III)

〔式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。〕
で示される化合物(III)とを、有機塩基と炭酸カリウムの存在下、アルキルベンゼン中で反応させ、
式(IV)

〔式中、RおよびRは前記と同じ意味を表す。〕
で示される化合物(IV)に導き、この化合物(IV)を単離することなく、
式(V)

〔式中、RおよびRは結合して、C4−C7ポリメチレン基を形成する。
(ここで、C4−C7ポリメチレン基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された低級アルキル基、および低級アルキル基からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。)〕
で示される化合物(V)またはその塩と反応させることを特徴とする
式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表す。〕
で示される4−アミノ−6−アルキニルオキシピリミジン化合物(I)の製造方法。
【請求項2】
有機塩基がトリエチルアミンである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
がフッ素である請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
がメチル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載される製造方法。
【請求項5】
およびRが結合して形成するC4−C7ポリメチレン基が、2,4−ジメチルペンタメチレン基である、すなわち、式(V)の化合物が3,5−ジメチルピペリジンである請求項1〜4のいずれか1項に記載される製造方法。
【請求項6】
アルキルベンゼンがトルエンである請求項1〜5のいずれか1項に記載される製造方法。
【請求項7】
有機塩基の量が、式(II)で示される化合物1モルに対して、0.01〜5モルの割合である請求項1〜6のいずれか1項に記載される製造方法。
【請求項8】
有機塩基の量が、式(II)で示される化合物1モルに対して、0.05〜0.5モルの割合である請求項1〜6のいずれか1項に記載される製造方法。
【請求項9】
有機塩基と炭酸カリウムのモル比が、有機塩基:炭酸カリウム=1:2〜1:30である請求項1〜8のいずれか1項に記載される製造方法。
【請求項10】
有機塩基と炭酸カリウムのモル比が、有機塩基:炭酸カリウム=1:4〜1:25である請求項1〜8のいずれか1項に記載される製造方法。

【公開番号】特開2007−314504(P2007−314504A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270442(P2006−270442)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】