説明

ピロリン酸四カリウムを含む口腔ケア組成物

本発明は、口腔用として許容できるビヒクル、ならびに脱感作および抗歯石に有効な量のピロリン酸四カリウムを含む、脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 象牙質知覚過敏症は歯髄の炎症による歯痛閾値の低下を表わす。象牙質知覚過敏症は熱刺激、浸透刺激および電気刺激に応答して急性歯痛を引き起こす可能性があり、集団の最高30%が経験していると思われる。
【0002】
[0002] 象牙質知覚過敏症を処置するためのさまざまな治療法がある。一般用医薬品(OTC)の脱感作歯磨剤は、過敏な歯を処置するための最も一般的な選択肢である。種々の化学成分が過敏な歯を処置するために探求され、象牙質知覚過敏症を軽減する臨床効力を示し、OTC脱感作歯磨剤に装入されている。特に広く用いられている脱感作剤は塩化ストロンチウムおよび硝酸カリウムである。8週間にわたる初期臨床試験で、5重量%の硝酸カリウムを含有する歯磨剤は歯の知覚過敏症の軽減において10重量%の塩化ストロンチウムを含有する歯磨剤より有意に優れているこが認められた。
【0003】
[0003] したがって、硝酸カリウムが多くの市販の脱感作歯磨剤中に配合されている。
[0004] 歯石(dental calculus)(tartar、calcified plaque(石灰化歯垢)とも呼ばれる)は歯周疾患を引き起こす主因であり、有病率が著しく、一般に集団の最高90%に存在する。歯石は歯科医が除去することができ、歯石阻害剤として作用する抗歯石剤を含有する歯磨剤を用いて歯の表面に歯石が沈着するのを抑えることにより予防することもできる。
【0004】
[0005] 多くの研究でピロリン酸四ナトリウムが有効な歯石阻害剤となることが示され、市販の歯石防除用の歯磨剤中に広く用いられている。
[0006] U.S. Pat. No. 4,931,273には、4.3〜7重量%のピロリン酸アルカリ金属塩を含む抗歯石剤(少なくとも4.3重量%のピロリン酸四カリウム単独、または最高2.7重量%のピロリン酸四ナトリウムと混合したものを含む)を含有する、抗歯石用の歯磨剤が開示されている。
【0005】
[0007] U.S. Pat. No. 5,505,933には、抗歯石に有効な割合の抗歯石剤(ピロリン酸四カリウムであってもよい)および脱感作カリウム塩、たとえば硝酸カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、またはそれらのうち2種類以上の混合物を含有する、脱感作、抗歯石用の歯磨剤が開示されている。一例において、歯磨剤は特に2.5重量%のピロリン酸四カリウムおよび5重量%の硝酸カリウムを含有する。
【0006】
[0008] U.S. Pat. No. 5,374,417およびU.S. Pat. No. 5,486,350にはそれぞれ、抗歯石剤としてのピロリン酸四カリウム、および脱感作剤としてのカリウム塩、たとえば硝酸カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、またはそれらのうち2種類以上の混合物を含有する、脱感作、抗歯石用の歯磨剤が開示されている。一例において、歯磨剤は特に2.5重量%のピロリン酸四カリウムおよび5重量%の硝酸カリウムを含有する。
【0007】
[0009] 抗歯石剤としてのピロリン酸四カリウムの使用が知られているにもかかわらず、良好な脱感作および歯石防除の効果を示す効率的なコストで製造できる脱感作のための口腔ケア組成物、特に歯磨剤を提供することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】U.S. Pat. No. 4,931,273
【特許文献2】U.S. Pat. No. 5,505,933
【特許文献3】U.S. Pat. No. 5,374,417
【特許文献4】U.S. Pat. No. 5,486,350
【発明の概要】
【0009】
[0010] 本発明は、口腔ケア組成物、特に脱感作および歯石防除の効果を兼ね備えた組成物に関する。
[0011] 本発明には、口腔用として許容できるビヒクル、ならびに脱感作および抗歯石に有効な量のピロリン酸四カリウムを含む、脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物が含まれる。
【0010】
[0012] ピロリン酸四カリウムは、組成物の重量を基準として約1から約8重量%まで、好ましくは約3から約6重量%まで、より好ましくは約4から約5重量%までの量で存在することができる。一般に、ピロリン酸四カリウムは組成物の重量を基準として約4重量%の量で存在する。
【0011】
[0013] ピロリン酸四カリウムは、組成物中の唯一のカリウム塩を構成することができる。
[0014] 組成物はさらに、抗歯石量のトリポリリン酸ナトリウムを含むことができる。トリポリリン酸ナトリウムは、組成物の重量を基準として約1から約10重量%まで、より好ましくは組成物の重量を基準として約1から約8重量%までの量で存在することができる。一般に、トリポリリン酸四ナトリウムは組成物の重量を基準として約7重量%の量で存在する。
【0012】
[0015] 本発明の態様は、歯の表面から歯石を除去する方法であって、口腔の歯の表面を本発明の口腔ケア組成物と接触させることを含む方法をも提供する。
[0016] 本発明の態様は、歯の表面から歯石を除去する方法であって、口腔の歯の表面を本発明の口腔ケア組成物と接触させることを含む方法をも提供する。
【0013】
[0017] 本発明の態様は、過敏な歯を処置し、かつ歯の表面から歯石を除去する方法であって、過敏な歯の表面を本発明の口腔ケア組成物と接触させることを含む方法をも提供する。
【0014】
[0018] 本発明には、脱感作および抗歯石防除の効果を付与する二重機能活性剤として有効量のピロリン酸四カリウムを、口腔用として許容できるビヒクル中に含む、脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物も含まれる。
【0015】
[0019] 本発明はさらに、脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物における、脱感作および抗歯石防除の効果を付与する二重機能活性剤としてのピロリン酸四カリウムの使用を含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0020] 全体において使用する範囲は、その範囲内にある数値のそれぞれおよびすべてを記述するための略記として用いられる。その範囲内の数値はいずれもその範囲の境界として選択できる。さらに、本明細書に引用するすべての参考文献の全体を本明細書に援用する。本発明の開示における定義と引用する参考文献における定義が矛盾する場合、本発明の開示が支配する。
【0017】
[0021] 本発明は、口腔用として許容できるビヒクル、ならびに脱感作および抗歯石に有効な量のピロリン酸四カリウムを含む、脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物を広く包含する。
【0018】
[0022] 本発明は、ピロリン酸四カリウムが口腔ケア組成物、特に歯磨剤中で二重機能、すなわち脱感作効果を付与する第1機能および歯石防除効果を付与する第2機能を提供できるという本発明者らによる知見を基礎とする。これらの2つの機能を、ピロリン酸四カリウムの単一活性剤により達成できる。追加のカリウム系脱感作剤を付与する必要はない。
【0019】
[0023] この二重機能添加剤という技術的解決策は、脱感作効果を提供する既知の歯磨剤と比較して著しいコスト削減をも提供する。その理由は、一定の脱感作効果を付与するために歯磨剤中に一定の濃度のカリウムイオン、一般に歯磨組成物の重量を基準として約1.95%のカリウムイオンを付与するためには、ピロリン酸四カリウムを唯一のカリウム源として使用するコストは、カリウム源が硝酸カリウム(約4倍以上高価)、クエン酸カリウム(約2倍以上高価)、または塩化カリウム(約2.5倍以上高価)である場合より著しく低いことである。
【0020】
[0024] ピロリン酸四カリウムは、組成物の重量を基準として約3から約6重量%まで、より好ましくは約4から約5重量%までの量で存在することができる。一般に、ピロリン酸四カリウムは組成物の重量を基準として約4重量%の量で存在する。
【0021】
[0025] ピロリン酸四カリウムは、組成物中の唯一のカリウム塩を構成することができる。
[0026] 組成物はさらに、抗歯石量のトリポリリン酸四ナトリウムを含むことができる。トリポリリン酸四ナトリウムは、ピロリン酸四カリウムに加えてさらに歯石阻害効果を付与するために、比較的低いレベルで場合により存在することができる。トリポリリン酸四ナトリウムは、組成物の重量を基準として約1から約5重量%までの量で存在することができる。一般に、トリポリリン酸四ナトリウムは組成物の重量を基準として約2重量%の量で存在する。
【0022】
[0027] 本発明の口腔ケア組成物は、歯の表面から歯石を除去する方法であって口腔の歯の表面を本発明の口腔ケア組成物と接触させることを含む方法に使用できる。
[0028] 本発明の口腔ケア組成物は、過敏な歯を処置する方法であって過敏な歯の表面を本発明の口腔ケア組成物と接触させることを含む方法に使用できる。
【0023】
[0029] 本発明の口腔ケア組成物は、過敏な歯を処置しかつ歯の表面から歯石を除去する方法であって過敏な歯の表面を本発明の口腔ケア組成物と接触させることを含む方法に使用できる。
【0024】
[0030] 本発明には、脱感作および抗歯石防除の効果を付与する二重機能活性剤として有効量のピロリン酸四カリウムを、口腔用として許容できるビヒクル中に含む、脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物も含まれる。
【0025】
[0031] 本発明はさらに、脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物における、脱感作および抗歯石防除の効果を付与する二重機能活性剤としてのピロリン酸四カリウムの使用を含む。
【0026】
[0032] 本発明の口腔ケア組成物におけるピロリン酸四カリウムは、細菌の細胞壁にあるカルシウムを錯化できるキレート化剤として作用することができる。このカルシウム結合により細菌細胞壁が脆弱になり、細菌溶解が促進される。ピロリン酸四カリウムは水和形および非水和形の両方であってよい。本発明組成物においてそのようなキレート化剤として有用なピロリン酸塩の有効量は、一般に少なくとも1.0%のピロホスフェートイオン、約1.5%から約6%まで、約3.5%から約6%までのそのイオンを付与するのに十分なものである。
【0027】
[0033] ピロリン酸四カリウムを装入する好ましい態様の口腔ケア組成物はキャリヤーを含み、それは種々の成分、たとえば少なくとも1種類の研磨剤、少なくとも1種類のフッ化物源、少なくとも1種類の界面活性剤、少なくとも1種類のビタミン、少なくとも1種類のポリマー、少なくとも1種類の着香剤、少なくとも1種類の酵素、少なくとも1種類の保湿剤、および/または少なくとも1種類の保存剤、ならびにその組合わせを含むことができる。本発明の組成物に使用するための食品用ピロリン酸四カリウムは広く市販されている。
【0028】
[0034] 特定の態様において、研磨剤は口腔ケア組成物中に約1〜50重量%の量で存在する。特定の態様において、フッ化物源は約0.01〜5重量%の量で存在する。特定の態様において、着香剤は約0.01〜5重量%の量で存在する。特定の態様において、テープまたはストリップは、さらに少なくとも1種類の保湿剤を約0.01〜40重量%の量で含有する。
【0029】
[0035] 口腔ケア組成物はさらに、1種類以上のフッ化物イオン源を含有することができる。多様なフッ化物イオン供与物質を可溶性フッ化物の供給源として本発明の組成物中に使用できる。適切なフッ化物イオン供与物質の例は下記にみられる:U.S. Pat. No. 3,535,421, Brinerらに付与;U.S. Pat. No. 4,885,155, Parran Jr.らに付与;およびU.S. Pat. No. 3,678,154, Widderらに付与;これらを本明細書に援用する。
【0030】
[0036] 代表的なフッ化物イオン源には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:フッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、モノフルオロリン酸(MFP)ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、ならびにスズのフッ化物、たとえばフッ化スズ(II)および塩化スズ(II)、ならびにその組合わせ。ある特定の態様は、フッ化スズ(II)またはフッ化ナトリウム、およびその混合物を含有する。
【0031】
[0037] ある態様において、本発明の口腔ケア組成物は、25ppm〜5,000ppmのフッ化物イオンを供給するのに十分な量のフッ化物イオン源またはフッ素付与成分を含有することもできる。
【0032】
[0038] フッ化物イオン源は、1態様において組成物の約0.01%から3.0%まで、または他の態様において約0.03%から1.0%(重量)までのレベルで本発明の組成物に添加することができる。
【0033】
[0039] 組成物中に場合により含有される他の作用剤は、界面活性剤または適合性界面活性剤の混合物であってもよい。適切な界面活性剤は、広いpH範囲にわたって妥当な程度に安定なもの、たとえば陰イオン、陽イオン、非イオンまたは双性イオン界面活性剤である。
【0034】
[0040] 適切な界面活性剤は、より詳細にたとえば下記に記載されている:U.S. Pat. No. 3,959,458, Agricolaらに付与;U.S. Pat. No. 3,937,807, Haefeleらに付与;およびU.S. Pat. No. 4,051,234, Gieskeらに付与;これらを本明細書に援用する。
【0035】
[0041] 特定の態様において、本発明に有用な陰イオン界面活性剤には、アルキル基中に10から18個までの炭素原子をもつアルキル硫酸の水溶性塩類、および10から18個までの炭素原子をもつ脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩類が含まれる。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシネートナトリウム、およびヤシ−モノグリセリドスルホネートナトリウムは、このタイプの陰イオン界面活性剤の例である。陰イオン界面活性剤の混合物も使用できる。
【0036】
[0042] 他の態様において、有用な陽イオン界面活性剤は、8から18個までの炭素原子を含む1つの長いアルキル鎖をもつ脂肪族第四級アンモニウム化合物の誘導体として広く定義できる;たとえばラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ジイソブチルフェノキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヤシ−アルキルトリメチルアンモニウムニトリット、セチルピリジニウムフルオリド、およびその混合物。
【0037】
[0043] 具体的な陽イオン界面活性剤は、U.S. Pat. No. 3,535,421(Brinerに付与,本明細書に援用する)に記載された第四級アンモニウムフルオリドである。ある陽イオン界面活性剤は組成物中で殺菌剤としても作用することができる。
【0038】
[0044] 組成物中に使用できる具体的な非イオン界面活性剤は、アルキレンオキシド基(親水性)と脂肪族性またはアルキル芳香族性であってもよい有機疎水性化合物との縮合により製造される化合物として広く定義できる。適切な非イオン界面活性剤の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:Pluronic類、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物との縮合から誘導される生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、およびそれらの物質の混合物。
【0039】
[0045] 特定の態様において、双性イオン性の合成界面活性剤を使用でき、これらは脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウムおよびスルホニウム化合物の誘導体として広く記載でき、これらにおいて脂肪族基は直鎖または分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうち1つは8から18個までの炭素原子を含むことができ、陰イオン性の水可溶化基、たとえばカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェートまたはホスホネートを含むことができる。組成物に装入するのに適した界面活性剤の具体例にはアルキル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンネートナトリウム、ココアミドプロピルベタインおよびpolysorbate 20、ならびにその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
[0046] 界面活性剤または適合性界面活性剤の混合物は、本発明の組成物中に全組成物の約0.1%から約5.0%まで、他の態様において約0.3%から約3.0%まで、他の態様において約0.5%から約2.0%(重量)まで存在することができる。個々のストリップまたはテープにおける界面活性剤の用量(すなわち1回量)は、約0.001〜0.05重量%、0.003〜0.03重量%、他の態様において約0.005〜0.02重量%である。
【0041】
[0047] 本発明の実施に際して用いられる着香剤には、精油、および種々の芳香性アルデヒド、エステル、アルコール類、ならびにこれらに類する物質が含まれるが、これらに限定されない。精油の例には、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、サッサフラス、チョウジ、セージ、ユーカリ、マヨラマ、シナモン、レモン、ライム、グレープフルーツおよびオレンジの油が含まれる。同様に有用なものは、メントール、カルボン(carvone)およびアネトールなどの化学物質である。ある態様は、ペパーミントおよびスペアミントの油を使用する。
【0042】
[0048] 組成物は、場合により1種類以上のポリマーをも含有する。そのような物質は当技術分野で周知であり、それらの遊離酸または部分的もしくは完全に中和された水溶性アルカリ金属(たとえば、カリウムおよびナトリウム)塩またはアンモニウム塩の形で用いられる。ある態様には、約30,000〜約1,000,000の分子量(M.W.)をもつ、無水マレイン酸またはマレイン酸と他の重合性エチレン性不飽和モノマー、たとえばメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1コポリマーが含まれる。これらのコポリマーは、たとえばGAF Chemicals CorporationのGantrez AN 139(M.W.500,000)、AN 119(M.W.250,000)およびS-97医薬用(M.W.70,000)として入手できる。
【0043】
[0049] 他のポリマーには下記のものが含まれる:無水マレイン酸とアクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、N−ビニル−2−ピロリドンまたはエチレンとの1:1コポリマー、後者はたとえばMonsanto EMA No. 1103, M.W. 10,000およびEMA Grade 61として入手できる;ならびにアクリル酸とメタクリル酸メチルもしくはヒドロキシエチル、アクリル酸メチルもしくはエチル、イソブチルビニルエーテルまたはN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1コポリマー。
【0044】
[0050] 一般に適切なものは、活性化された炭素−炭素オレフィン性二重結合および少なくとも1つのカルボキシル基を含むオレフィン性またはエチレン性不飽和カルボン酸、すなわち重合に際して容易に機能するオレフィン性二重結合を含む酸が、そのモノマー分子中にカルボキシル基に対してアルファ−ベータ位に、または末端メチレン基の一部としてオレフィン性二重結合が存在するため、重合したものである。そのような酸の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アルファ−クロロアクリル酸、クロトン酸、ベータ−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アルファ−クロロソルビン酸、ケイ皮酸、ベータ−スチリルアクリル酸、ムコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、アルファ−フェニルアクリル酸、2−ベンジルアクリル酸、2−シクロヘキシルアクリル酸、アンゲリカ酸、ウンベリカ酸、フマル酸、マレイン酸、および酸無水物である。そのようなカルボン酸モノマーと共重合しうる他の種々のオレフィン性モノマーには、酢酸ビニル、塩化ビニル、マレイン酸ジメチルなどが含まれる。コポリマーは水溶性であるのに十分なカルボン酸塩の基を含む。
【0045】
[0051] 他のクラスのポリマー作用剤には、置換アクリルアミドのホモポリマーおよび/または非置換スルホン酸およびその塩類のホモポリマーを含有する組成物が含まれ、特にその際、ポリマーはアクリルアミドアルカンスルホン酸、たとえば2−アクリルアミド 2 メチルプロパンスルホン酸から選択される不飽和スルホン酸をベースとし、1,000〜2,000,000の分子量をもつ;U.S. Pat. No. 4,842,847(1989年6月27日、Zahidに付与)に記載され、これを本明細書に援用する。
【0046】
[0052] 他の有用なクラスのポリマー作用剤には、ポリアミノ酸、特にある割合の陰イオン界面活性アミノ酸、たとえばアスパラギン酸、グルタミン酸およびホスホセリンを含有するものが含まれる;U.S. Pat. No. 4,866,161(Sikesら)に開示され、これを本明細書に援用する。
【0047】
[0053] 本発明の口腔ケア組成物は、場合により1種類以上の酵素を含有することもできる。有用な酵素には、利用できるプロテアーゼ、グルカノヒドロラーゼ、エンドグリコシダーゼ、アミラーゼ、ムタナーゼ、リパーゼおよびムチナーゼ、またはその適合性混合物が含まれる。特定の態様において、酵素はプロテアーゼ、デキストラナーゼ、エンドグリコシダーゼおよびムタナーゼである。他の態様において、酵素はパパイン、エンドグリコシダーゼ、またはデキストラナーゼとムタナーゼの混合物である。本発明に使用するのに適したさらに他の酵素は下記に開示されている:U.S. Pat. No. 5,000,939, Dringらに付与; U.S. Pat. No. 4,992,420; U.S.Pat. No. 4,355,022; U.S.Pat. No. 4,154,815; U.S.Pat. No. 4,058,595; U.S.Pat. No. 3,991,177;およびU.S. Pat. No. 3,696,191;これらのすべてを本明細書に援用する。本発明において酵素または数種類の適合性酵素の混合物は、1態様において約0.002%から約2.0%まで、または他の態様において約0.05%から約1.5%まで、またはさらに他の態様において約0.1%から約0.5%までを構成する。
【0048】
[0054] 本発明の口腔ケア組成物中には水が存在してもよい。市販の口腔用組成物の調製に用いる水は脱イオンされかつ有機不純物を含まないものとすべきである。水は一般に組成物の残部を構成し、口腔用組成物の約10%から50%まで、約20%から40%まで、約10%から15%(重量)まで含まれる。この量の水には、添加した遊離水と、他の物質と共に、たとえばソルビトールまたは本発明のピロリン酸四カリウム成分と共に導入される量とを合わせたものが含まれる。
【0049】
[0055] 口腔ケア組成物を調製する際、望ましい粘稠度を付与するために時にはある種の増粘剤を添加する必要がある。特定の態様において、増粘剤はカルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ならびにセルロースエーテルの水溶性塩類、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムである。天然ゴム、たとえばカラヤゴム、アラビアゴムおよびトラガントゴムを装入することもできる。組成物のテキスチャーをさらに改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムまたは超微粒子状シリカを増粘組成物の成分として使用できる。全組成物の0.5重量%から5.0重量%までの量の増粘剤を使用できる。
【0050】
[0056] 口腔ケア組成物の特定の態様において、組成物が空気に曝された際に硬化するのを防ぐために保湿剤を装入することも望ましい。ある保湿剤は、歯磨組成物に望ましい甘味または香味を付与することもできる。保湿剤は、純粋な保湿剤を基準として一般に、1態様において歯磨組成物の約15%から70%まで、または他の態様において約30%から65%(重量)まで含まれる。
【0051】
[0057] 適切な保湿剤には、食用多価アルコール、たとえばグリセリン、ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコールおよび他のポリオール、ならびにこれらの保湿剤の混合物が含まれる。グリセリンとソルビトールの混合物を特定の態様において本発明の練り歯磨組成物の保湿剤成分として使用できる。
【0052】
[0058] 前記成分のほかに、本発明の態様は多様な任意の歯磨成分を含有することができ、それらのうち若干を以下に記載する。任意成分にはたとえば接着剤、起泡剤(sudsing agent)、着香剤、甘味剤、追加の抗歯垢剤、研磨剤、および着色剤が含まれるが、これらに限定されない。これらおよび他の任意成分はさらに下記に記載されている:U.S. Pat. No. 5,004,597, Majetiらに付与; U.S. Pat. No. 3,959,458, Agricolaらに付与; およびU.S. Pat. No. 3,937,807, Haefeleらに付与;これらのすべてを本明細書に援用する。
【0053】
[0059] 多数の参考文献を引用した;それらの開示内容全体を本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔用として許容できるビヒクル、ならびに脱感作および抗歯石に有効な量のピロリン酸四カリウムを含む、脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物。
【請求項2】
ピロリン酸四カリウムが、組成物の重量を基準として約1から約8重量%までの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ピロリン酸四カリウムが、組成物の重量を基準として約3から約6重量%までの量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ピロリン酸四カリウムが、組成物の重量を基準として約4から約5重量%までの量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ピロリン酸四カリウムが、組成物の重量を基準として約4重量%の量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ピロリン酸四カリウムが、組成物中の唯一のカリウム塩を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
さらに抗歯石量のトリポリリン酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
トリポリリン酸ナトリウムが、組成物の重量を基準として約1から約10重量%までの量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
トリポリリン酸ナトリウムが、組成物の重量を基準として約7重量%の量で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
歯の表面から歯石を除去する方法であって、口腔の歯の表面を請求項1に記載の口腔ケア組成物と接触させることを含む方法。
【請求項11】
過敏な歯を処置する方法であって、過敏な歯の表面を請求項1に記載の口腔ケア組成物と接触させることを含む方法。
【請求項12】
過敏な歯を処置し、かつ歯の表面から歯石を除去する方法であって、過敏な歯の表面を請求項1に記載の口腔ケア組成物と接触させることを含む方法。
【請求項13】
脱感作および抗歯石防除の効果を付与する二重機能活性剤として有効量のピロリン酸四カリウムを、口腔用として許容できるビヒクル中に含む、脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物。
【請求項14】
ピロリン酸四カリウムが、組成物の重量を基準として約4重量%の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ピロリン酸四カリウムが、組成物中の唯一のカリウム塩を構成する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
脱感作、抗歯石用の口腔ケア組成物における、脱感作および抗歯石防除の効果を付与する二重機能活性剤としてのピロリン酸四カリウムの使用。
【請求項17】
ピロリン酸四カリウムが、組成物の重量を基準として約4重量%の量で存在する、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
ピロリン酸四カリウムが、組成物中の唯一のカリウム塩を構成する、請求項17に記載の使用。

【公表番号】特表2012−522778(P2012−522778A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503396(P2012−503396)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/039311
【国際公開番号】WO2010/114548
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】