説明

ピロー型カートン

【課題】平らな場所に安定した状態で置くことができるようにしたピロー型カートンを提供すること。
【解決手段】正面パネル、天面パネル、背面パネル及び底面パネルにより構成される胴部と、天面パネルの両サイドにそれぞれ内向き湾曲状の折線を介して連設された側面外側パネル16と、底面パネルの両サイドにそれぞれ内向き湾曲状の折線を介して連設された側面内側パネル17とを有し、側面外側パネル16には、両端に脚部を残して切り欠かれた形状で凹部16bが形成されている。側面内側パネル17を折り曲げてその上から側面外側パネル16を重ねるようにして差込み片16を側面内側パネル17のスリットに差し込んで胴部の両サイドを順次閉じる。天面パネルと底面パネルが湾曲させられて上下2面がアーチ状になっているとともに、胴部の両サイドでは側面外側パネルの脚部が前後に足16aを形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙で構成された包装容器であるカートンの技術分野に属し、詳しくは、天面と底面の上下2面がアーチ状となったピロー型カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙器用の板紙を打ち抜いたブランクを組み立てて形成されるカートンは、直方体形状をしたものが一般的に用いられているが、商品の多様化を図るために変形を施したカートン、例えば、天面と底面を湾曲させて上下2面をアーチ状としたいわゆるピロー型カートンが知られている。このピロー型カートンは、角形のカートンとは違った趣のある外観をしているので、ギフト用としての体裁上の観点により、あるいは内容物の特性などにより適宜用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭59−40253号公報
【特許文献2】実開平5−51719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したようなピロー型カートンの使い方は種々考えられるが、例えばファーストフード等において、中身(固形物、粒状)とトッピング(粉状、粒状)を入れて回転させたり揺らしたりすると、アーチ状の天面や底面に中身が沿って転がりやすいため、四角いカートンに比べると、トッピングを万遍なく中身に付着させることができるという使い方ができる。このような使い方を考えた場合、店頭での陳列時や顧客が食べる際には、販売台やテーブルの上に置いた状態で安定性のあることが好ましい。しかしながら、従来のピロー型カートンは、平らな場所に置くとアーチ状の底面が接地するため安定しないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、平らな場所に安定した状態で置くことができるようにしたピロー型カートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明のピロー型カートンは、正面パネル、天面パネル、背面パネル及び底面パネルにより構成される胴部と、天面パネルの両サイドにそれぞれ内向き湾曲状の折線を介して連設された側面外側パネルと、底面パネルの両サイドにそれぞれ内向き湾曲状の折線を介して連設された側面内側パネルとを有し、側面外側パネルには、両端に脚部を残して切り欠かれた形状で凹部が形成され、その凹部の底の部分に差込み片が設けられており、側面内側パネルには、前記差込み片に対応するスリットが中央に形成されており、側面内側パネルを折り曲げてその上から側面外側パネルを重ねるようにして差込み片をスリットに差し込んで胴部の両サイドを順次閉じることにより、天面パネルと底面パネルが湾曲させられて上下2面がアーチ状になっているとともに、胴部の両サイドでは側面外側パネルの脚部が前後に足を形成していることを特徴とする。
【0007】
上記のピロー型カートンにおいて、正面パネルから天面パネルにかけて開封用のジッパーが設けられていることが好ましい。
【0008】
また、上記のピロー型カートンにおいて、各コーナーがウェブコーナーになっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のピロー型カートンは、組み立てた状態では、湾曲した天面パネルと底面パネルによりそれぞれ天面と底面が湾曲した形状になるが、側面外側パネルの両端にある脚部によって周囲4箇所に足が形成されるため、この足が接地することでカートン自体の揺動が防止されるので、平らな場所に安定した状態で置くことができる。
【0010】
そして、正面パネルから天面パネルにかけて開封用のジッパーがあることで、簡単に開封することができるとともに、上部を開封した状態で卓上等に置くことができる。
【0011】
また、各コーナーがウェブコーナーになっていることにより、内容物が外に漏れるのが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るピロー型カートンの一例を示す示す斜視図である。
【図2】図1のカートンを形成するブランクの展開図である。
【図3】図2のブランクをサック貼りした状態で示す平面図である。
【図4】図1のカートンをその表示片を起こした状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1に示すピロー型カートンCは、紙器用の板紙を打ち抜いて形成された図2に示す1枚ブランクBを組み立てて形成される。この例で説明するカートンCは、ファーストフードにおいて使用されるもので、店頭にて中身(固形物、粒状)とトッピング(粉状、粒状)を入れるようになっている。
【0015】
ブランクBは、図2に示すように、互いに平行な折線a,b,c,dを介して、正面パネル11、天面パネル12、背面パネル13、底面パネル14及び糊代パネル15がこの順で連設されており、天面パネル12の両サイドにそれぞれ内向き湾曲状(円弧状)の折線eを介して側面外側パネル16が連設され、底面パネル14の両サイドにそれぞれ内向き湾曲状(円弧状)の折線fを介して側面内側パネル17が連設されている。
【0016】
底面パネル14の両サイドにある側面内側パネル17は、外側の端縁が内側の折線fと反対向きの湾曲状で、図示のように中程が膨らんだ形状になっている。そして、各側面内側パネル17の両側辺には折線gを介してそれぞれ三角形状の折込み片17aが連設され、背面パネル13と糊代パネル15の両側辺にはそれぞれ折線h,iを介して三角形状の折込み片13a,15aが連設され、隣接する折込み片同士、すなわち折込み片13aと折込み片17aが放射状のミシン目線αで、折込み片15aと折込み片17aが放射状のミシン目線βでそれぞれ連設されており、この隣接する折込み片同士からなる三角部分がウェブコーナー部を構成している。なお、背面パネル13の両側片にある折込み片13aは押罫と切込を交互に設けた所謂リード罫を介して設けられている。
【0017】
天面パネル12の両サイドにある側面外側パネル16には、両端に脚部16aを残して台形状に切り欠かれた凹部16bが形成され、その凹部16bの底の部分に折曲げ可能な差込み片16cが設けられており、この差込み片16cに対応して、側面内側パネル17の中央に、両端が湾曲し真ん中に切込みを有する差込み用のスリット17bが形成されている。また、このブランクBでは、各側面外側パネル16に、引起しが可能な表示片16dが2つずつ区画されている。
【0018】
正面パネル11には、先端縁の中央に摘み部分11aが形成され、その摘み部分11aの両側から末広がり状に延びる開封用の2本のジッパーxが形成されており、天面パネル12には、正面パネル11のジッパーxに連続して同じく開封用の2本のジッパーyが、両サイドにある内向き湾曲状の折線eと平行に、背面パネル13との境界に至るまで形成されている。正面パネル11と天面パネル12のジッパーx,yは、図示のように連続する「く」の字状切込みにより形成されている。これらのジッパーで囲まれる部分が開封部分を形成するようになっている。
【0019】
正面パネル11の摘み片11aは、切込みにより区画された凸部11bを有し、その凸部11bの両側の折線jで折曲げ可能になっている。そして、この摘み片11aの凸部11bに対応して、糊代パネル15の中央に、両端が湾曲し真ん中に切込みを有する差込み用のスリット15bが形成されている。
【0020】
このブランクBは、サック貼りしたものを店頭に送り、そこで中身とトッピングが入った状態に組み立てる。その手順は次のようである。
【0021】
まず第一に、折線a,cのところで、ブランクBを畳むようにして折り曲げ、正面パネル11におけるジッパーxの外側部分の裏面と糊代パネル15の表面とを貼り合わせて図3に示すようにサック貼りし、このようにサック貼りしたブランクBを複数枚まとめて店頭に送る。
【0022】
店頭では、サック貼りした図3の状態のブランクBを角筒状に起こしてから、その角筒のどちらか一方の開口を閉じる。この場合、側面内側パネル17をその両側のウェブコーナー部を折込みながら折線fで内側に折り曲げ、次いで側面外側パネル16を重ねるように折線eで折り曲げて、差込み片16aをスリット17bに差し込んで固定する。そして、もう一方の開口から中身とトッピングを入れ、先ほど閉じたのと同様にしてこちらの方も閉じる。
【0023】
これにより、図1に示すピロー型カートンCが形成される。そして、側面内側パネル17と側面外側パネル16が突っ張った形で天面パネル12と底面パネル14が湾曲した状態になり、天面と底面が湾曲した形状のカートンとなる。
【0024】
このピロー型カートンCは、内容物である中身とトッピングが回転するように手で数回回せば、トッピングは中身に均一に付着することになる。この作業において、ダストフラップをウェブコーナーにしているので、中身やトッピングが外に漏れないようになっている。このようにまぶした状態で店頭に陳列しておき、顧客に提供するのであるが、側面外側パネル16の両端にある脚部16aによって周囲4箇所に足が形成され、これらが接地部分となるため、陳列時や顧客が食べる時には、揺動しない安定した状態で販売台やテーブルなどの平らな場所に置くことができる。
【0025】
なお、図1のピロー型カートンCは、中身とトッピングを入れたものを店頭に並べる場合、側面外側パネル16に設けた表示片16dを利用し、この部分を必要に応じて起こすことによって中の商品アイテムが一目で分かるようにすることができる。
【0026】
このピロー型カートンCを開封するには、正面パネル11の摘み片11aを指先で摘んで折線jで折り曲げつつ持ち上げながら、正面パネル11のジッパーxを破断し、そのまま後方へと引っ張って天面パネル12のジッパーyも破断することで、背面パネル13との境界をヒンジとして開封部分を持ち上げ、正面パネル11から天面パネル12にかけて大きな開口を形成する。また、開封したピロー型カートンCを閉じるときは、開封部分を元に戻し、摘み部分11aの凸部11bを糊代パネル15のスリット15bに引っ掛けるように差し込んで係止する。
【0027】
以上、本発明を実施するための形態について詳細に説明してきたが、本発明によるピロー型カートンは、上記の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のピロー型カートンは、ファーストフードの店頭にて中身(固形物、粒状)とトッピング(粉状、粒状)を入れるという利用の仕方だけでなく、その他の食品を直詰めするような場合にも好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
C ピロー型カートン
B ブランク
11 正面パネル
11a 摘み部分
11b 凸部
12 天面パネル
13 背面パネル
13a 折込み片
14 底面パネル
15 糊代パネル
15a 折込み片
16 側面外側パネル
16a 脚部
16b 凹部
16c 差込み片
16d 表示片
17 側面内側パネル
17a 折込み片
17b スリット
a〜j 折線
α,β ミシン目線
x,y ジッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面パネル、天面パネル、背面パネル及び底面パネルにより構成される胴部と、天面パネルの両サイドにそれぞれ内向き湾曲状の折線を介して連設された側面外側パネルと、底面パネルの両サイドにそれぞれ内向き湾曲状の折線を介して連設された側面内側パネルとを有し、側面外側パネルには、両端に脚部を残して切り欠かれた形状で凹部が形成され、その凹部の底の部分に差込み片が設けられており、側面内側パネルには、前記差込み片に対応するスリットが中央に形成されており、側面内側パネルを折り曲げてその上から側面外側パネルを重ねるようにして差込み片をスリットに差し込んで胴部の両サイドを順次閉じることにより、天面パネルと底面パネルが湾曲させられて上下2面がアーチ状になっているとともに、胴部の両サイドでは側面外側パネルの脚部が前後に足を形成していることを特徴とするピロー型カートン。
【請求項2】
前面パネルから天面パネルにかけて開封用のジッパーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のピロー型カートン。
【請求項3】
各コーナーがウェブコーナーになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のピロー型カートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−35847(P2012−35847A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175059(P2010−175059)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】