説明

ファイルサーバの負荷分散装置、負荷分散装置用プログラム、及び負荷分散方法

【課題】 ファイルサーバ群により構成されるストレージシステムにおいて、ファイルサーバの容量に空きがない場合でもファイルサーバ間の負荷分散を可能とする。
【解決手段】 クライアント100とストレージシステム200との間に負荷分散装置300を設け、負荷分散装置300は、ファイルサーバ201a〜201cに新たなファイルサーバ201dの接続を検出したことをトリガに、当該ファイルサーバ201dを含めたファイルサーバ201a〜201d間で負荷分散されるように第一のファイル再配置を行い、第一のファイル再配置が完了したところで、当該ファイルサーバ201d内のファイルを空にして元のファイルサーバ201a〜201c内で負荷分散されるように第二のファイル再配置を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファイルサーバの負荷分散装置、負荷分散装置用プログラム、及び負荷分散方法に関し、特に、ファイルサーバの着脱を伴う負荷分散システムにおけるファイルサーバの負荷分散装置、負荷分散装置用プログラム、及び負荷分散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NAS(Network Attached Storage)のような、ネットワーク内のファイルサーバ群(クラスタ)全体を1つの仮想ファイルサーバとするストレージシステムでは、一部のファイルサーバにアクセス負荷が高いデータが偏在すると、ファイルサーバ群全体としてのアクセス性能が低下するという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するため、従来、ネットワーク内の各ファイルサーバのアクセス負荷の偏りを防ぎ、ファイルサーバ群全体としてのアクセス性能を向上する負荷分散技術が考案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ネットワーク上に複数の記憶装置を有するファイル蓄積管理システムにおいて、記憶装置上の各ファイルのアクセス要求の傾向をモニタし、ファイルの配置を動的に変化させることにより、アクセス負荷の偏りを防ぎ、ファイルアクセスを高速化するシステムが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−320261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の負荷分散技術においては、各ファイルサーバの容量に余裕がない場合は、ファイルサーバ間でのファイルの移動ができないため、アクセス負荷の分散が困難になるという問題があった。
(発明の目的)
本発明の目的は、上述の従来の課題である、ファイルサーバの容量に余裕がない場合に、アクセス負荷の分散ができなくなるという問題を解決したファイルサーバの負荷分散装置、負荷分散装置用プログラム、及び負荷分散方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の負荷分散装置は、ストレージシステム内の複数のファイルサーバへのファイルアクセスを監視し、ファイル毎のアクセス負荷をアクセス負荷記憶手段に保存するアクセス負荷監視手段と、前記ストレージシステムへの追加ファイルサーバの接続を検出するプラグ監視手段と、前記プラグ監視手段により前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバから、前記ストレージシステム内の全てのファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるようにファイルを選択して、前記追加ファイルサーバへ移動する第一のファイル再配置を行い、前記第一のファイル再配置終了後、前記追加ファイルサーバへ移動したファイルを、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該複数のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する第二のファイル再配置を行うファイル再配置手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の負荷分散装置は、第1の負荷分散装置において、前記ファイル再配置手段が、前記プラグ監視手段により前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、モード記憶手段に保存されたファイル再配置操作に関するモードが追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置のみを行い、前記モードが一時追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置と前記第二のファイル再配置を行う、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の負荷分散装置は、第2の負荷分散装置において、前記ファイル再配置手段が、クライアントから削除対象ファイルサーバを指定した空作成モードを指示された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記削除対象ファイルサーバのファイルを、前記削除対象ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該削除対象のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の負荷分散装置用プログラムは、コンピュータを、ストレージシステム内の複数のファイルサーバへのファイルアクセスを監視し、ファイル毎のアクセス負荷をアクセス負荷記憶手段に保存するアクセス負荷監視手段と、前記ストレージシステムへの追加ファイルサーバの接続を検出するプラグ監視手段と、前記プラグ監視手段により前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバから、前記ストレージシステム内の全てのファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるようにファイルを選択して、前記追加ファイルサーバへ移動する第一のファイル再配置を行い、前記第一のファイル再配置終了後、前記追加ファイルサーバへ移動したファイルを、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該複数のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する第二のファイル再配置を行うファイル再配置手段と、して機能させることを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の負荷分散装置用プログラムは、第1の負荷分散装置用プログラムにおいて、前記ファイル再配置手段が、前記プラグ監視手段により前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、モード記憶手段に保存されたファイル再配置操作に関するモードが追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置のみを行い、前記モードが一時追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置と前記第二のファイル再配置を行う、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の負荷分散装置用プログラムは、第2の負荷分散装置用プログラムにおいて、前記ファイル再配置手段が、クライアントから削除対象ファイルサーバを指定した空作成モードを指示された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記削除対象ファイルサーバのファイルを、前記削除対象ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該削除対象のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の負荷分散方法は、負荷分散装置が、ストレージシステム内の複数のファイルサーバへのファイルアクセスを監視し、ファイル毎のアクセス負荷をアクセス負荷記憶手段に保存するアクセス負荷監視ステップと、前記ストレージシステムへの追加ファイルサーバの接続を検出するプラグ監視ステップと、前記プラグ監視ステップにより前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバから、前記ストレージシステム内の全てのファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるようにファイルを選択して、前記追加ファイルサーバへ移動する第一のファイル再配置を行い、前記第一のファイル再配置終了後、前記追加ファイルサーバへ移動したファイルを、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該複数のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する第二のファイル再配置を行うファイル再配置ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の負荷分散方法は、第1の負荷分散方法において、前記ファイル再配置ステップが、前記プラグ監視ステップにより前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、モード記憶手段に保存されたファイル再配置操作に関するモードが追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置のみを行い、前記モードが一時追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置と前記第二のファイル再配置を行う、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の負荷分散方法は、第2の負荷分散方法において、前記ファイル再配置ステップが、クライアントから削除対象ファイルサーバを指定した空作成モードを指示された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記削除対象ファイルサーバのファイルを、前記削除対象ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該削除対象のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果は、ネットワークにより接続された複数のファイルサーバから成るファイルサーバ群により構成されるストレージシステムにおいて、各ファイルサーバの容量に余裕がない場合でも、各ファイルサーバの間で負荷分散を実行できることである。
【0017】
その理由は、負荷分散装置が、新たなファイルサーバの接続を検出したことをトリガに、当該ファイルサーバを含めて負荷分散がされるように第一のファイル再配置を行い、第一のファイル再配置が完了したところで、当該ファイルサーバ内のファイルを空にして元のファイルサーバ群内で負荷分散されるように第二のファイル再配置を行うためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1に本発明の実施の形態における負荷分散システムの構成を示す。図1を参照すると、本発明の実施の形態における負荷分散システムは、クライアント100、ストレージシステム200、負荷分散装置300により構成される。クライアント100と負荷分散装置300、ストレージシステム200と負荷分散装置300は、それぞれネットワークを介して接続される。ここで、クライアント100は、ストレージシステム200の利用者側の装置である。ストレージシステム200は、複数のファイルサーバ201をネットワークで接続し、全体として仮想ファイルサーバを提供するものである。ファイルサーバ201は、固定型の記憶媒体を持つ記憶装置202を実装したサーバで、クライアント100の要求に従い、記憶装置202上のデータのリード/ライトといったアクセスを行う。
【0020】
負荷分散装置300は、クライアント100がファイルサーバ201を利用する上でのアクセスポイントであり、ファイルのアクセス負荷監視とファイル再配置によるアクセス負荷分散を行う。負荷分散装置300は、プログラム制御により動作する情報処理装置であり、モード指定実行部301、アクセス負荷監視部302、ファイルサーバ負荷計算部303、プラグ監視部304、イベント処理部305、ファイル再配置部306、ファイルアクセス制御部307、モード記憶部351、アクセス負荷記憶部352、ファイルサーバ負荷記憶部353、プラグ状態記憶部354、及びファイル所在記憶部355により構成される。
【0021】
ここで、モード記憶部351は、ファイルサーバ201の接続、切断時のファイル再配置操作に関して、ユーザが指定したモードを記憶管理する。アクセス負荷記憶部352は、図9に示すように、ファイル毎のアクセス負荷を記憶管理する。アクセス負荷としては、単位時間あたりのアクセス回数(アクセス頻度)やデータ転送量を用いることができる。ファイルサーバ負荷記憶部353は、図10に示すようにファイルサーバ201毎のアクセス負荷情報を記憶管理する。プラグ状態記憶部354は、図11に示すように、ストレージシステム200内で認識されているファイルサーバ201の接続状態を記憶管理する。ファイル所在記憶部355は、図12に示すように、ファイル毎にその所在(どのファイルサーバ201にあるか)を記憶管理する。
【0022】
モード指定実行部301は、ユーザよりファイルサーバ201の接続時のファイル再配置操作に関するモード(「追加モード」、「一時追加モード」)を受付け、モード記憶部351に格納する。また、ユーザより取り外しの準備動作の要求(「空作成モード」)を受付け、イベント処理部305に通知する。
【0023】
アクセス負荷監視部302は、各ファイルを常時監視してファイル毎のアクセス負荷を取得し、アクセス負荷記憶部352の内容を更新する。
【0024】
ファイルサーバ負荷計算部303は、アクセス負荷記憶部352の内容を参照してファイルサーバ201毎のアクセス負荷を計算し、ファイルサーバ負荷記憶部353の内容を更新する。
【0025】
プラグ監視部304は、ストレージシステム200へのファイルサーバ201の物理的な接続状態を常時監視し、ファイルサーバ201の接続あるいは切断の事象が新たに発生した場合、プラグ状態記憶部354の内容を更新する。また、ファイルサーバ201の接続の事象が発生した場合、即時にイベント処理部305に通知する。
【0026】
イベント処理部305は、プラグ監視部304からファイルサーバ201の接続の事象の通知を受けた場合、あるいは、モード指定実行部301から準備動作の通知を受けた場合、モード記憶部351とプラグ状態記憶部354を参照し、ファイル再配置部306の実行内容を決定し、ファイル再配置部306にファイル再配置の実行を指示する。
【0027】
ファイル再配置部306は、イベント処理部305からの指示に基づき、ファイルをファイルサーバ201間で移動・再配置する。また、再配置後のファイルの所在に応じて、ファイル所在記憶部355の内容を更新する。
【0028】
ファイルアクセス制御部307は、クライアント100からの要求によりデータアクセスを行う場合にファイル所在記憶部355を参照し、ストレージシステム200内のどのファイルサーバ201にデータがあるかを判断し、データへのアクセスを行う。
【0029】
次に、本発明の実施の形態の動作について図面を参照して説明する。
【0030】
本発明の実施の形態においては、モード記憶部351に記憶されるモードとして、「追加モード」、「空作成モード」、及び「一時追加モード」の3つを使用するものとする。「追加モード」は、ストレージシステム200にファイルサーバ201を追加して負荷分散を行うものであり、図2に示すように、空のファイルサーバ201をストレージシステム200に追加すると、自動的に、追加されたファイルサーバ201も含めた全てのファイルサーバ201間でアクセス負荷の分散を行うようにファイルの再配置を行う。「空きサーバ作成モード」は、ストレージシステム200からファイルサーバ201を切り離す準備として使用するものであり、図3に示すように、ユーザにより指定されたファイルサーバ201が空となるようにファイルの再配置を行う。「一時追加モード」は、ストレージシステム200内のファイルサーバ201の容量に余裕がない時に、一時的に追加された空きのファイルサーバ201を利用してアクセス負荷の分散を行うものであり、図4に示すように、空のファイルサーバ201を追加すると、自動的に、追加されたファイルサーバ201も含めた全てのファイルサーバ201間でアクセス負荷の分散を行うようにファイルの再配置を行い、次に、追加されたファイルサーバ201が空となるように、再度、ファイルの再配置を行う。以下、各モードの動作を詳細に説明する。
【0031】
「追加モード」
図5に「追加モード」の動作フローを示す。ここでは、ストレージシステム200上のファイルサーバ201a〜201cに、空のファイルサーバ201dが追加される場合を例に説明する。
【0032】
アクセス負荷監視部302は、ストレージシステム200内の各ファイルサーバ201のファイルアクセスを監視し、アクセス負荷の情報と統計をアクセス負荷記憶部352にファイル毎に記録しているものとする。ただし、負荷分散のために実行されるファイル再配置に関するファイルアクセスは、アクセス負荷の統計に計上しない。
【0033】
モード指定実行部301は、事前にクライアント100から、ユーザによる「追加モード」の指定を受付ける(ステップS101)。モード指定実行部301は指定されたモードをモード記憶部351に保存する(ステップS102)。
【0034】
ファイルサーバ201dがストレージシステム200に追加されると、プラグ監視部304は、ファイルサーバ201dの接続を検出し、プラグ状態記憶部354にファイルサーバ201dを追加し(ステップS103)、イベント処理部305にファイルサーバ201dの接続を通知する(ステップS104)。
【0035】
イベント処理部305は、モード記憶部351の内容から「追加モード」であることを確認する(ステップS105)。イベント処理部305は、プラグ状態記憶部354を参照し、ファイルサーバ201dが存在することを確認し、ファイルサーバ201dにアクセスし、ファイルサーバ201dが空であることを確認する(ステップS106)。イベント処理部305は、ファイルサーバ負荷計算部303に、各ファイルサーバ201の負荷計算を指示する(ステップS107)。
【0036】
ファイルサーバ負荷計算部303は、アクセス負荷記憶部352及びファイル所在記憶部355を参照し、ファイル毎のアクセス負荷を取得し、ファイルサーバ201毎に集計してファイルサーバ負荷記憶部353に記録する(ステップS108)。
【0037】
イベント処理部305は、ファイルサーバ201dを指定し、ファイルサーバ201の接続に伴うファイル再配置(ファイルサーバ201a〜201cからファイルサーバ201dへファイル再配置)を行うことをファイル再配置部306に指示する(ステップS109)。
【0038】
ファイル再配置部306は、アクセス負荷記憶部352、ファイルサーバ負荷記憶部353の内容を基に、ファイルサーバ201a〜201cから追加されたファイルサーバ201dへ移動するファイルを決定する(ステップS110)。ファイルサーバ201dへ移動するファイルは、移動後のファイルサーバ201a〜201dのアクセス負荷が分散されるように選択される。ファイル再配置部306は、選択したファイルをファイルサーバ201a〜201cからファイルサーバ201dへ移動する(ステップS111)。ファイル再配置部306は、再配置後のファイルの所在に応じて、ファイル所在記憶部355を更新する(ステップS112)。
【0039】
イベント処理部305は、移動が完了すると、移動完了をモード指定実行部301を通じてクライアント100に通知する(ステップS114、115)。
【0040】
クライアント100からデータアクセスを行う要求があった場合、ファイルアクセス制御部307は、ファイル所在記憶部355を参照し、ストレージシステム200内のどのファイルサーバ201にデータがあるかを判断し、データへのアクセスを行う。
【0041】
「空作成モード」
図6に「空作成モード」の動作フローを示す。ここでは、ストレージシステム200上のファイルサーバ201a〜201dから、ファイルサーバ201dを取り外す場合を例に説明する。
【0042】
モード指定実行部301は、クライアント100から、ユーザによる「空作成モード」の指定を取り外し対象のファイルサーバ201の情報(ファイルサーバ201d)と共に受付ける(ステップS201)。モード指定実行部301は、指定されたモードをモード記憶部351に保存し、イベント処理部305に「空作成モード」が指定されたことを通知する(ステップS202)。
【0043】
イベント処理部305は、プラグ状態記憶部354を参照し、指定されたファイルサーバ201dが存在することを確認し、ファイルサーバ201dにアクセスし、ファイルサーバ201dが空で無いことを確認する(ステップS203)。イベント処理部305は、ファイルサーバ負荷計算部303に、各ファイルサーバ201の負荷計算を指示する(ステップS204)。
【0044】
ファイルサーバ負荷計算部303は、アクセス負荷記憶部352及びファイル所在記憶部355を参照し、ファイル毎のアクセス負荷を取得し、ファイルサーバ201毎に集計してファイルサーバ負荷記憶部353に記録する(ステップS205)。
【0045】
イベント処理部305は、ファイルサーバ201dを指定し、ファイルサーバ201の切断に伴うファイル再配置(ファイルサーバ201dを空にし、ファイルサーバ201a〜201cでファイル再配置)を行うことをファイル再配置部306に指示する(ステップS206)。
【0046】
ファイル再配置部306は、アクセス負荷記憶部352、ファイルサーバ負荷記憶部353の内容を基に、ファイルサーバ201dの全てのファイルについて、移動先のファイルサーバ201a〜201cを決定する(ステップS207)。ファイルサーバ201d内のファイルの移動先は、移動後のファイルサーバ201a〜201cのアクセス負荷が分散されるように選択される。ここで、再配置すべきファイルが移動先ファイルサーバ201a〜201cの容量の限界を超える場合は、ファイル再配置部306は、移動先ファイルシステムの容量超過のため、移動不可能であることをイベント処理部305、モード指定実行部301を通じてクライアント100に通知しても良い。ファイル再配置部306は、選択された移動先に従って、ファイルサーバ201dからファイルサーバ201a〜201cへファイルの移動を行う(ステップS208)。ファイル再配置部306は、再配置後のファイルの所在に応じて、ファイル所在記憶部355を更新する(ステップS209)。
【0047】
イベント処理部305は、移動が完了した場合、移動完了をモード指定実行部301を通じてクライアント100に通知する(ステップS211、212)。
【0048】
ファイルサーバ201dがストレージシステム200から取り外されると、プラグ監視部304は、ファイルサーバ201dの切断を検知し、プラグ状態記憶部354からファイルサーバ201dを削除する(ステップS213)。
【0049】
「一時追加モード」
図7、図8に「一時追加モード」の動作フローを示す。ここでは、ストレージシステム200上のファイルサーバ201a〜201cに、空のファイルサーバ201dを一時的に追加する場合を例に説明する。
【0050】
モード指定実行部301は、事前にクライアント100から、ユーザによる「一時追加モード」の指定を受付ける(ステップS301)。モード指定実行部301は指定されたモードをモード記憶部351に保存する(ステップS302)。
【0051】
ファイルサーバ201dがストレージシステム200に追加されると、プラグ監視部304は、ファイルサーバ201dの接続を検出し、プラグ状態記憶部354にファイルサーバ201dを追加し(ステップS303)、イベント処理部305にファイルサーバ201dの接続を通知する(ステップS304)。
【0052】
イベント処理部305は、モード記憶部351の内容から「一時追加モード」であることを確認する(ステップS305)。イベント処理部305は、プラグ状態記憶部354を参照し、ファイルサーバ201dが存在することを確認し、ファイルサーバ201dにアクセスし、ファイルサーバ201dが空であることを確認する(ステップS306)。イベント処理部305は、ファイルサーバ負荷計算部303に、各ファイルサーバ201の負荷計算を指示する(ステップS307)。
【0053】
ファイルサーバ負荷計算部303は、アクセス負荷記憶部352及びファイル所在記憶部355を参照し、ファイル毎のアクセス負荷を取得し、ファイルサーバ201毎に集計してファイルサーバ負荷記憶部353に記録する(ステップS308)。
【0054】
イベント処理部305は、ファイルサーバ201dを指定し、ファイルサーバ201の接続に伴うファイル再配置(ファイルサーバ201a〜201cからファイルサーバ201dへファイル再配置)を行うことをファイル再配置部306に指示する(ステップS309)。
【0055】
ファイル再配置部306は、アクセス負荷記憶部352、ファイルサーバ負荷記憶部353の内容を基に、ファイルサーバ201a〜201cから追加されたファイルサーバ201dへ移動するファイルを決定する(ステップS310)。ファイルサーバ201dへ移動するファイルは、移動後のファイルサーバ201a〜201dのアクセス負荷が分散されるように選択される。ファイル再配置部306は、選択したファイルをファイルサーバ201a〜201cからファイルサーバ201dへ移動する(ステップS311)。ファイル再配置部306は、再配置後のファイルの所在に応じて、ファイル所在記憶部355を更新する(ステップS312)。
【0056】
イベント処理部305は、移動が完了すると、ファイルサーバ負荷計算部303に、各ファイルサーバ201の負荷計算を再度指示する(ステップS314)。
【0057】
ファイルサーバ負荷計算部303は、アクセス負荷記憶部352及びファイル所在記憶部355を参照し、ファイル毎のアクセス負荷を取得し、ファイルサーバ201毎に集計してファイルサーバ負荷記憶部353に記録する(ステップS315)。
【0058】
イベント処理部305は、イベント処理部305は、ファイルサーバ201dを指定し、ファイルサーバ201の切断に伴うファイル再配置(ファイルサーバ201dを空にし、ファイルサーバ201a〜201cでファイル再配置)を行うことをファイル再配置部306に指示する(ステップS316)。
【0059】
ファイル再配置部306は、アクセス負荷記憶部352、ファイルサーバ負荷記憶部353の内容を基に、ファイルサーバ201dの全てのファイルについて、移動先のファイルサーバ201a〜201cを決定する(ステップS317)。ファイルサーバ201d内のファイルの移動先は、移動後のファイルサーバ201a〜201cのアクセス負荷が分散されるように選択される。ファイル再配置部306は、選択された移動先に従って、ファイルサーバ201dからファイルサーバ201a〜201cへファイルの移動を行う(ステップS318)。ファイル再配置部306は、再配置後のファイルの所在に応じて、ファイル所在記憶部355を更新する(ステップS319)。
【0060】
イベント処理部305は、移動が完了した場合、移動完了をモード指定実行部301を通じてクライアント100に通知する(ステップS321、322)。
【0061】
ファイルサーバ201dがストレージシステム200から取り外されると、プラグ監視部304は、ファイルサーバ201dの切断を検知し、プラグ状態記憶部354からファイルサーバ201dを削除する(ステップS323)。
【0062】
以上により、本発明の実施の形態の動作が完了する。
【0063】
本発明の実施の形態によれば、ネットワークにより接続された複数のファイルサーバから成るファイルサーバ群により構成されるストレージシステムにおいて、各ファイルサーバの容量に余裕がない場合でも、各ファイルサーバの間で負荷分散を実行できる。
【0064】
その理由は、負荷分散装置が、新たなファイルサーバの接続を検出したことをトリガに、当該ファイルサーバを含めて負荷分散がされるように第一のファイル再配置を行い、第一のファイル再配置が完了したところで、当該ファイルサーバ内のファイルを空にして元のファイルサーバ群内で負荷分散されるように第二のファイル再配置を行うためである。
【0065】
また、本発明の実施の形態によれば、ネットワークにより接続された複数のファイルサーバから成るファイルサーバ群により構成されるストレージシステムにおいて、ファイルサーバの追加による負荷分散、またはファイルサーバの一時的な追加による負荷分散をユーザが容易に実行することができる。その理由は、ユーザがファイルサーバ接続検出時の動作を決める動作モードを負荷分散装置に対して設定し、負荷分散装置は、新たなファイルサーバの接続を検出したことをトリガに、当該動作モードに応じて、当該ファイルサーバを含めて負荷分散がされるような第一のファイル再配置を行うか、第一のファイル再配置に加えて、当該ファイルサーバ内のファイルを空にして元のファイルサーバ群内で負荷分散されるように第二のファイル再配置を行うように動作するためである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、ファイルサーバ群あるいはデータベースサーバ群を仮想ファイルサーバとみなす、ネットワークを利用したクラスタ形態のファイルサーバシステムに利用できる。また、小規模のファイルサーバシステムから、音楽配信、ビデオオンデマンド用などに代表される大容量ファイルサーバシステムまで、ストレージシステムの規模を問わず広範囲に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における「追加モード」の動作の概略を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における「空作成モード」の動作の概略を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における「一時追加モード」の動作の概略を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における「追加モード」の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における「空作成モード」の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態における「一時追加モード」の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における「一時追加モード」の動作(図7の続き)を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態において、アクセス負荷記憶部が記憶管理する内容を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態において、ファイルサーバ負荷記憶部が記憶管理する内容を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態において、プラグ状態記憶部が記憶管理する内容を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態において、ファイル所在記憶部が記憶管理する内容を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
100 クライアント
200 ストレージシステム
201 ファイルサーバ
202 記憶装置
300 負荷分散装置
301 モード指定実行部
302 アクセス負荷監視部
303 ファイルサーバ負荷計算部
304 プラグ監視部
305 イベント処理部
306 ファイル再配置部
307 ファイルアクセス制御部
351 モード記憶部
352 アクセス負荷記憶部
353 ファイルサーバ負荷記憶部
354 プラグ状態記憶部
355 ファイル所在記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレージシステム内の複数のファイルサーバへのファイルアクセスを監視し、ファイル毎のアクセス負荷をアクセス負荷記憶手段に保存するアクセス負荷監視手段と、
前記ストレージシステムへの追加ファイルサーバの接続を検出するプラグ監視手段と、
前記プラグ監視手段により前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバから、前記ストレージシステム内の全てのファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるようにファイルを選択して、前記追加ファイルサーバへ移動する第一のファイル再配置を行い、前記第一のファイル再配置終了後、前記追加ファイルサーバへ移動したファイルを、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該複数のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する第二のファイル再配置を行うファイル再配置手段と、
を備えたことを特徴とする負荷分散装置。
【請求項2】
前記ファイル再配置手段は、前記プラグ監視手段により前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、モード記憶手段に保存されたファイル再配置操作に関するモードが追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置のみを行い、前記モードが一時追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置と前記第二のファイル再配置を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の負荷分散装置。
【請求項3】
前記ファイル再配置手段は、クライアントから削除対象ファイルサーバを指定した空作成モードを指示された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記削除対象ファイルサーバのファイルを、前記削除対象ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該削除対象のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する、
ことを特徴とする請求項2記載の負荷分散装置。
【請求項4】
コンピュータを、
ストレージシステム内の複数のファイルサーバへのファイルアクセスを監視し、ファイル毎のアクセス負荷をアクセス負荷記憶手段に保存するアクセス負荷監視手段と、
前記ストレージシステムへの追加ファイルサーバの接続を検出するプラグ監視手段と、
前記プラグ監視手段により前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバから、前記ストレージシステム内の全てのファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるようにファイルを選択して、前記追加ファイルサーバへ移動する第一のファイル再配置を行い、前記第一のファイル再配置終了後、前記追加ファイルサーバへ移動したファイルを、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該複数のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する第二のファイル再配置を行うファイル再配置手段と、
して機能させることを特徴とする負荷分散装置用プログラム。
【請求項5】
前記ファイル再配置手段は、前記プラグ監視手段により前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、モード記憶手段に保存されたファイル再配置操作に関するモードが追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置のみを行い、前記モードが一時追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置と前記第二のファイル再配置を行う、
ことを特徴とする請求項4記載の負荷分散装置用プログラム。
【請求項6】
前記ファイル再配置手段は、クライアントから削除対象ファイルサーバを指定した空作成モードを指示された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記削除対象ファイルサーバのファイルを、前記削除対象ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該削除対象のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する、
ことを特徴とする請求項5記載の負荷分散装置用プログラム。
【請求項7】
負荷分散装置が、
ストレージシステム内の複数のファイルサーバへのファイルアクセスを監視し、ファイル毎のアクセス負荷をアクセス負荷記憶手段に保存するアクセス負荷監視ステップと、
前記ストレージシステムへの追加ファイルサーバの接続を検出するプラグ監視ステップと、
前記プラグ監視ステップにより前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバから、前記ストレージシステム内の全てのファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるようにファイルを選択して、前記追加ファイルサーバへ移動する第一のファイル再配置を行い、前記第一のファイル再配置終了後、前記追加ファイルサーバへ移動したファイルを、前記追加ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該複数のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する第二のファイル再配置を行うファイル再配置ステップと、
を含むことを特徴とする負荷分散方法。
【請求項8】
前記ファイル再配置ステップは、前記プラグ監視ステップにより前記追加ファイルサーバの接続が検出された場合、モード記憶手段に保存されたファイル再配置操作に関するモードが追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置のみを行い、前記モードが一時追加モードの場合は、前記第一のファイル再配置と前記第二のファイル再配置を行う、
ことを特徴とする請求項7記載の負荷分散方法。
【請求項9】
前記ファイル再配置ステップは、クライアントから削除対象ファイルサーバを指定した空作成モードを指示された場合、前記アクセス負荷記憶手段の内容を基に、前記削除対象ファイルサーバのファイルを、前記削除対象ファイルサーバを除いた複数のファイルサーバ間のアクセス負荷が分散されるように、当該削除対象のファイルサーバから移動先となるファイルサーバを選択して移動する、
ことを特徴とする請求項8記載の負荷分散方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−234264(P2008−234264A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72271(P2007−72271)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000213301)中部日本電気ソフトウェア株式会社 (56)
【Fターム(参考)】