説明

ファイル名変更管理システム及びファイル名変更管理プログラム

【課題】ファイルの関連性が分かり易く、容易に管理できるファイル名変更管理システム及びファイル名変更管理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】コンピュータにおける対象ファイルに対する操作情報を記録する操作情報記録部5、前記対象ファイルの基ファイルを特定する基ファイル特定手段7、前記対象ファイルと前記基ファイルとの修正度を取得する修正度取得手段10、前記基ファイルの名称及び前記修正度に基づいて許容範囲を取得し、前記新名称が前記許容範囲内であるかを判定する名称変更判定手段11、前記判定結果に基づいて制御する制御手段12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルの名称変更を管理するファイル名変更管理システム及びファイル名変更管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンピュータに記録されたファイルの名称は、「*」や「?」等の予約文字の使用禁止や、同一フォルダ(ディレクトリ)にファイル名の重複禁止といった制限を除けば自由にファイル名を変更することが可能であった。
【0003】
また、ファイル毎やフォルダ毎に読み取り、書き込み等の制限が設定可能なときには、ファイル毎やフォルダ毎に設定されたユーザ権限に基づいてファイル名の変更の可否を制限することが可能であった。
【0004】
さらに、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に記憶された特定のデータファイルを監視して、当該データファイルに対する改ざんを防止するデータファイル監視装置もある。このデータファイル監視装置は、データファイルのファイル内容の変更を禁止するファイル内容変更禁止手段と、コンピュータに記憶されているファイル属性が読み取り専用ファイルのファイル属性の変更処理を検出するファイル属性変更検出手段と、ファイル属性変更検出手段によって監視対象のファイルのファイル属性の変更が検出されると、再び読み取り専用にファイル属性を変更するファイル属性読み取り専用設定手段とを備え、ファイル属性が読み取り専用に設定されている監視対象のファイルの移動、削除、ファイル名変更等の処理を中止していた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−188307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使用禁止の予約文字、ユーザ権限、ファイル属性などによりファイル名の変更を制限できるが、これらを予め定義・設定する必要がある。また、これらの制限以外ではファイル名を自由に変更でき、ファイルの名称だけではファイル同士の関連性が分かりづらかった。
【0006】
本発明は、係る問題に鑑み、ファイルの関連性が分かり易く、容易に管理できるファイル名変更管理システム及びファイル名変更管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るファイル名変更管理システムは、対象ファイルを現名称から新名称に名称変更することを管理するファイル名変更管理システムであって、コンピュータにおけるファイルに対する操作情報を記録する操作情報記録部、操作情報から対象ファイルの基ファイルを特定する基ファイル特定手段、対象ファイルと基ファイルとの修正度を取得する修正度取得手段、修正度に基づいて名称変更の許容範囲を取得し、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内の変更であるかを判定する名称変更判定手段、及び判定結果に基づいて制御する制御手段を備えるファイル名変更管理システムである。
また、本発明に係るファイル名変更管理プログラムは、コンピュータにおけるファイルに対する操作情報を記録する操作情報記録部を有する、対称ファイルを現名称から新名称に名称変更することを管理するファイル名変更管理システムとして機能させるファイル名称変更管理プログラムであって、コンピュータを、操作情報から対象ファイルの基ファイルを特定する基ファイル特定手段、対象ファイルと基ファイルとの修正度を取得する修正度取得手段、修正度に基づいて名称変更の許容範囲を取得し、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内の変更であるかを判定する名称変更判定手段、及び判定結果に基づいて制御する制御手段として機能させるファイル名変更管理プログラムである。
【0008】
これにより、対象ファイルの名称変更操作が検出されると、対象ファイルの派生基である操作情報を操作情報記録部から抽出し、この操作情報から基ファイルを特定する。この基ファイルに係る情報と対象ファイルに係る情報とを比較してこれらの修正度を取得する。たとえば、修正度が大きい場合は名称変更の許容範囲を大きくし、一方、修正度が小さい場合は許容範囲を小さくするなど、修正度から名称変更の許容範囲を決定する。そして、対象ファイルの新名称が、基ファイルの名称から名称変更の許容範囲内の変更に含まれるか否かを判定する。これにより、基ファイルからの修正度に応じて対象ファイルの名称変更が制御され、ファイルの名称から対象ファイルと基ファイルとの関係が容易に判断できる。また、基ファイルから派生するファイルは全て基ファイルに基づきその名称が制限されているため、たとえば、基ファイルとの修正度が小さいファイルの名称どうしは関連したものとなる。これにより、基ファイルとの関係だけでなく、基ファイルに由来するファイルどうしの関係もファイルの名称で予想可能となる。さらに、ファイルも名称変更が基ファイルとの修正度に応じて制御されると、名称変更の制御内容を予め設定しておく必要がなく、名称変更の管理が容易となる。
【0009】
また、類義語を記録した類義語記録部、及び基ファイルの名称及び新名称から単語を抽出する単語抽出手段を備え、名称変更判定手段は、類義語記録部を参照して基ファイルの名称の単語と新名称の単語とを対比し、対比結果に基づき新名称が基ファイルの名称から許容範囲内の変更であるかを判定してもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上にしてなる本発明に係る、ファイル名変更管理システム及びファイル名変更管理プログラムは、ファイルの名称変更が基ファイルとの修正度に応じて制御されることにより、ファイルの関連性が分かり易く、名称変更を容易に管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の第1実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。本発明のファイル名変更管理システム(以下、管理システムと称する。)1は、現名称から新名称に名称変更する対象ファイルの基ファイルとの関連性に応じて対象ファイルの名称変更を監視するシステムである。
【0012】
図1に示すように、管理システム1は、コンピュータCにおけるユーザの操作を表す操作情報を取得する操作情報取得手段4、取得した操作情報により名称変更を監視する操作判定手段6、また、操作情報取得手段4で取得した操作情報を記録する操作情報記録部5、操作情報記録部5の操作情報から対象ファイルの基ファイルを特定する基ファイル特定手段7、対象ファイルと基ファイルとの修正度を取得する修正度取得手段10、修正度に基づいて名称変更の許容範囲を取得し、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内であるかを判定する名称変更判定手段11、及び判定結果に基づいて制御する制御手段12、制御に応じて実行する実行手段13を備えている。管理システム1は、ファイル名変更管理プログラム(以下、管理プログラムと称する。)2をコンピュータCにインストールすることにより、各手段として機能する。なお、各手段は、ハードウエアで実現されてもよいし、ソフトウエアで実現されてもよい。
【0013】
コンピュータCは、処理部、記録部R、入力部3及び表示部を備え、プログラムに従って演算を行う機械であって、たとえば1つまたは複数の端末で構成されていてもよいし、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバおよびクライアント端末で構成されていてもよい。処理部は、各装置の制御やデータの演算、加工を行うCPU等であり、記録部Rは、情報やプログラム等を記録する装置であって、ハードディスク等の外部記録装置及び情報を一時的に記録する半導体記録装置等を含む。入力部3は、文字を入力したり、ファイルを指定してコンピュータCを操作する入力機器であって、例えば、キーボード、マウスやタッチスクリーン等のポインティングデバイスなどである。表示部は、操作画面を有し、記録部等に記録されたファイル等を操作画面に表示するものである。
【0014】
操作情報取得手段4は、操作情報を取得し、操作情報を操作情報記録部5に記憶するとともに操作判定手段6に送信する。操作情報は、端末においてその入力部3などを用いたユーザの操作やアプリケーションの指示によって発生した通知や要求を示す情報、通知や要求に従って端末が実行した処理の履歴を示す情報などを含む。操作情報は、たとえば、操作の処理種別、操作の処理対象、日時情報を含む。操作の処理種別は、入力部3などを用いてユーザにより操作された内容、および端末において実行される又は実行された内容であり、「名称変更」、「コピー」、「削除」等の情報である。操作の処理対象は、操作の処理種別で操作、処理されたファイル等の対象を識別する情報であって、たとえば、現名称および新名称を含むファイルの名称などのファイル識別情報である。なお、現名称は名称変更しようとする対象ファイルが現在有する名称であり、新名称は対象ファイルの名称を変更するために入力部3による入力などで指定された名称である。また、ファイルはデータを記録したものであって、フォルダやアプリケーションなども含む。さらに、ファイルはコンピュータC内に記憶されていてもよいし、外部記録装置や他の端末、サーバに記憶されていてもよい。日時情報は操作の時間を表し、当該操作情報を生成した日時等の情報である。さらに、操作情報は、操作が行われた端末を識別する端末識別情報、当該端末のログインユーザを識別するユーザ識別情報を含めてもよい。
【0015】
操作情報記録部5は、操作情報取得手段4から取得した操作情報が記録される。
【0016】
操作判定手段6は、操作情報取得手段4から取得した操作情報の処理種別が名称変更に該当するか否かを判定する。そして、処理種別が名称変更に該当するときには、その名称変更の操作情報を基ファイル特定手段7に送信する。一方、処理種別が名称変更に該当しないときには、判定結果を制御手段12に送信し、処理種別が名称変更に該当しないとする判定結果に基づく制御内容、たとえばコピーや削除など操作情報の処理の実行を制御手段12は実行手段13に指示する。ここで、名称変更は、ファイルの名称を現名称から新名称に変更するファイル名変更、現名称のファイルとは別のファイルとして保存するとともにそのファイルに新名称を新たに付けるファイル保存や名前を付けて保存などである。
【0017】
基ファイル特定手段7は、操作判定手段6から取得した名称変更の操作情報から対象ファイルを特定し、その対象ファイルの基ファイルを、操作情報記録部5に記録された操作情報に基づき特定して、基ファイルの操作情報および名称変更の操作情報を修正度取得手段10に送信する。
【0018】
具体的には、名称変更の操作情報に含まれる処理対象から対象ファイルの現名称を特定するとともに、操作情報から日時情報を取得する。この対象ファイルの現名称および日時情報を基に、この日時情報の名称変更時より過去であって、対象ファイルの現名称に関する派生基の操作情報を操作情報記録部5から抽出する。抽出した操作情報の中から基ファイルを特定しその操作情報を取得して、基ファイルの操作情報を得る。そして、基ファイルの操作情報および名称変更の操作情報を修正度取得手段10に送信する。ここで、派生基のファイルは、現名称のファイル含み、この他に、そのファイルが名称変更やコピーなどがされている場合には、名称変更やコピー前のファイルなどを含むことができる。基ファイルは、対象ファイルの派生基のファイルの所定または任意のファイルである。
【0019】
例えば、図2(a)に示すように、対象ファイルを現名称「An-1」から新名称「An」に名称変更しようとしている場合について説明する。まず、2004年9月2日に顧客情報のリストを1件保存した顧客情報ファイル「A0」を新規作成してから、2004年11月10日にこのファイルを「A0」から「A1」に名称変更し、2005年3月25日に顧客情報を追加してリスト数を35件にしたファイル「A1」を上書保存する。続いて、顧客情報の追加、上書保存、名称変更などの操作を繰り返してから、2008年6月27日にリスト数が80件まで顧客情報を追加したファイル「An-1」を上書保存した。次に、2008年7月2日に顧客情報を追加してリスト数を100件にした後、現名称「An-1」の対象ファイルに新名称「An」を新たに付けて保存しようとしている。
【0020】
図2(b)に示すように、この名称変更の操作情報から日時情報「20080702」および対象ファイルの現名称「An-1」を特定し、日時情報が2008年7月2日以前の日時を示し、かつ処理対象が現名称「An-1」および現名称から派生する名称「An-2」・・・「A1」、「A0」を有する操作情報を操作情報記録部5から抽出する。これにより、図2(c)に示すような、2008年7月2日の名称変更時以前に対象ファイル「An-1」を操作した内容を示す派生基の操作情報が抽出され、この中から任意または所定の基ファイルの操作情報を取得する。なお、操作情報記録部5から全ての派生基の操作情報を取得した後、そこから基ファイルの操作情報を抽出したが、これに限定されず、名称変更の日時情報および対象ファイルの現名称に加えて任意または所定の抽出条件を基に操作情報記録部5から基ファイルの操作情報のみを取得することもできる。
【0021】
この場合、対象ファイルは、名称変更前のそれぞれのファイル、つまり2004年9月2日に新規作成されたファイル「A0」〜2008年6月27日に上書保存したファイル「An-1」から派生したファイルである。よって、対象ファイルの派生基ファイルはこれらのファイル「A0」〜「An-1」であって、対象ファイルの基ファイルは派生基ファイルのうち任意または所定のファイルとなる。なお、所定のファイルとしては、所定日時のファイルや所定日数前のファイル、最も古いファイル「A0」としてもよいし、新規作成したファイル「A0」としてもよいし、名称変更から所定の操作回数前のファイルとしてもよいし、名称変更の直前の操作のファイル「An-1」としてもよい。
【0022】
修正度取得手段10は、基ファイル特定手段7から基ファイルの操作情報および名称変更の操作情報を受けて、対象ファイルに関する情報と基ファイルに関する情報とを比較し、これらの修正度を取得する。そして、修正度、基ファイルの操作情報、および名称変更の操作情報を変更判定手段11に送信する。ここで、修正度は、基ファイルと対象ファイルとの類似や相違などであって、たとえば基ファイルから対象ファイルへ変化が少なければ、これらのファイルの関係性が強く、修正度は小さくなる。たとえば、基ファイルに対する対象ファイルの修正量、または基ファイルから対象ファイルまでの修正回数等の要素の単又は複数の組み合せである。基ファイルに対する対象ファイルの修正量はデータ容量の差やデータ内容の差分量などであり、また、基ファイルから対象ファイルまでの修正回数は操作回数や上書保存回数などである。
【0023】
基ファイルに対する対象ファイルの修正量の場合、修正度取得手段10は、基ファイルの操作情報から基ファイルの名称を取得し、基ファイルの名称を基にファイル記録部(図示せず)またはファイル取得部(図示せず)から基ファイルまたはその属性情報などを取得する。また、名称変更の操作情報から対象ファイルの現名称を得て、この現名称を基にファイル記録部(図示せず)またはファイル取得部(図示せず)から対象ファイルまたはその属性情報などを取得する。そして、基ファイルおよび対象ファイルについてその内容や属性情報などを比較し、データ容量の差やデータ内容の差分量やその割合などの修正量を求める。なお、ファイル記録部はコンピュータCの中にあってもよいし、サーバや外部記録部、他の端末などコンピュータCの外にあってもよい。また、ファイル記録部に記録されたファイルはバックアップファイルなどデータの写しを取って保存されたファイルであってもよい。ファイル取得部はコンピュータCの中にあって、コンピュータCの外にあるファイル記録部からファイルやその属性情報などを取得するものである。
【0024】
別の方法として、操作情報が属性情報を有する場合には、修正度取得手段10は、基ファイルの操作情報から基ファイルの属性情報を取得し、名称変更の操作情報から対象ファイルの属性情報を取得して、基ファイルおよび対象ファイルについて属性情報を比較し、データ容量の差やデータ内容の差分量の差などの修正量を求める。属性情報は、データ容量や、顧客情報のリスト数などのデータ内容などファイルが固有に有する情報などである。
【0025】
例えば図2(a)の例において、基ファイルを新規作成したファイル「A0」とすると、基ファイル「A0」のリスト数は1件であり、対象ファイル「An-1」のリスト数は100件であるので、対象ファイルのデータ内容量100件に対するデータ内容の差分量99件で、この修正度は99%となる。また、基ファイルを名称変更直前のファイル「An-1」とすると、基ファイル「An-1」のリスト数は80件であるので、対象ファイルのデータ内容量100件に対するデータ内容の差分量20件で、修正度は20%となる。
【0026】
また、基ファイルに対する対象ファイルの修正回数の場合、修正度取得手段10は、基ファイル特定手段7から名称変更の操作情報および基ファイルを含む派生基のファイル全ての操作情報を取得する。そして、名称変更の操作情報の日時情報と基ファイルの操作情報の日時情報との間に日時情報が含まれる操作情報を特定し、これらの操作情報の数から修正回数を算出する。図2(a)の場合、基ファイルを2008年6月27日のファイル「An-1」とすると、名称変更の日時「2008年7月2日」から基ファイルの日時「2008年6月27日」までの間に含まれる操作情報はないので、修正回数は1回であり、修正度は1となる。なお、この場合は、操作回数を修正回数としているが、これに限定されず、上書保存回数などとすることもできる。また、修正度取得手段10は基ファイル特定手段7から操作情報を得て、それを基に修正回数を得たが、基ファイル特定手段7で操作情報の数を算出し、この操作情報の数を基ファイル特定手段7から修正度取得手段10は受けて、これを修正回数とすることもできる。
【0027】
名称変更判定手段11は、修正度取得手段10から修正度、基ファイルの操作情報および名称変更の操作情報を取得し、修正度に基づいて名称変更の許容範囲を取得し、対象ファイルの新名称が基ファイルの名称から許容範囲内であるかを判定し、この判定結果を制御手段12に送信する。
【0028】
この修正度と許容範囲との関係はこれらを表す式や表などの所定の基準によって予め定められる。例えば、図5(a)および(b)に示すように、修正量や修正回数など修正度が小さいほど、対象ファイルは基ファイルから一致している可能性が高く、これらのファイルは関係しているため、基ファイルの名称から新名称への名称変更量が小さくなるように名称変更の許容範囲は設定される。これにより、基ファイルから近い名称への変更が許され、新名称は基ファイルの名称と類似した名称となるため、これらの名称は関連したものとなる。一方、修正度が大きいほど、対象ファイルは基ファイルから異なる可能性が高く、これらのファイルは関連性が低いため、基ファイルの名称から新名称への名称変更量が大きくなるように名称変更の許容範囲は設定される。これにより、基ファイルから異なる名称への変更が許され、新名称は基ファイルの名称と違った名称となる。
【0029】
図4(a)に示す例では、基ファイルの操作情報から基ファイルの名称「ライセンス管理表」を特定し、名称変更の操作情報から対象ファイルの新名称「ソフトウエア管理リスト」を特定する。これらを比較すると、対象ファイルの新名称11文字のうちの9文字が基ファイルの名称と非類似であるので、基ファイルの名称から新名称への名称変更割合は82%となる。図5(a)に示す修正度と許容範囲との関係を示す所定基準を参照し、修正度が75%以上であれば、許容範囲が80%以上となり、名称変更割合および許容範囲を比較すると、名称変更割合は許容範囲に含まれ、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内の変更であると判定される。一方、修正度が70%未満であれば、許容範囲が80%未満となるため、名称変更割合は許容範囲に含まれず、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内の変更でないと判定される。
【0030】
なお、修正量に応じた許容範囲によって名称変更を判定したが、これに限定されず、修正回数、修正量及び修正回数の両方を組み合わせて許容範囲に入っているか否か判定するようにしてもよい。
【0031】
制御手段12は、名称変更判定手段11の判定結果を受け、これに基づきコンピュータCを制御する。制御内容としては、たとえば、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内の変更である判定結果であれば、名称変更を許可する制御である。また、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内の変更でない判定結果であれば、名称変更を無効にしたり、名称変更不可や名称変更の許容範囲などを示す警告を表示部の操作画面に表示したりする制御である。また、操作判定手段6から操作情報が名称変更でないとの判定結果を受けると、操作情報を許可するなどの制御内容を決め、実行手段13に送信する。
【0032】
実行手段13は、制御手段12の制御内容を実行し、たとえば、制御内容に応じて対象ファイルの名称変更を実行したり、名称変更を拒否したり、警告を表示したりする。
【0033】
つぎに、図3のフロー図に基づき、管理システム1及び管理プログラム2の処理の流れの一例について説明する。
【0034】
操作情報取得手段4が入力部3の操作などによる操作情報を取得し(S1)、取得した操作情報を操作情報記録部5および操作判定手段6に送信すると、操作情報記録部5は取得した操作情報を記録し(S2)、操作判定手段6は取得した操作情報の処理種別が名称変更か否かを判定する(S3)。名称変更でないのときには、その判定結果が制御手段12に送信されて、制御手段12は判定結果に基づき対象ファイルの名称変更を無効とするなどの制御内容を実行手段13に送信し、実行手段13は制御を実行する(S5)。一方、ステップ3(S3)において、処理種別が名称変更であるときには、操作判定手段6が名称変更の操作情報を基ファイル特定手段7に送信して、ステップ4(S4)に移行する。
【0035】
ステップ4(S4)では、基ファイル特定手段7は、名称変更の操作情報から対象ファイルおよび名称変更時を特定し、対象ファイルの現名称および日時情報に基づいて、基ファイルの操作情報を操作情報記録部5から抽出することにより、基ファイルを特定する。そして、名称変更の操作情報および基ファイルの操作情報を修正度取得手段10に送信する。
【0036】
修正度取得手段10は、名称変更の操作情報から対象ファイルの現名称を取得すると共に、基ファイルの操作情報から基ファイルの名称を取得する。そして、これらの名称を基にファイル記録部やファイル取得部などからファイルやその属性情報などファイルに関する情報を得て、これらを比較し、基ファイルと対象ファイルとの修正量を修正度として取得する(S6)。そして、名称変更判定手段11に修正度、名称変更の操作情報および基ファイルの操作情報を送信する。
【0037】
名称変更判定手段11は、図5(a)および(b)に示すような修正度と名称変更の許容範囲を規定する関係基準を用いて、修正度から許容範囲を得る。また、名称変更の操作情報より対象ファイルの新名称を特定し、基ファイルの操作情報から基ファイルの名称を特定する。この新名称および基ファイルの名称を比較し、これらの名称変更割合を算出する。この名称変更割合と許容範囲とを比べ、名称変更割合が許容範囲に含まれるか否かにより、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内であるかを判定する(S7)。そして、判定結果を制御手段12に送信する。
【0038】
制御手段12は、判定結果に応じて制御内容を決定し、実行手段13に制御内容を送信して、実行手段13は制御内容を実行する。たとえば、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内の変更であるとの判定結果であれば、名称変更を許可する制御内容を実行手段13に制御内容を送信し、実行手段13が入力部3から入力された新名称に対象ファイルの名称を変更する(S8)。一方、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内の変更でないとの判定結果であれば、名称変更を無効し、かつメッセージ表示する制御内容を実行手段13に制御内容を送信し、実行手段13が名称変更をできない旨のエラーメッセージを表示する(S9)。
【0039】
このように、基ファイルから対象ファイルへの修正度が小さく、基ファイルと対象ファイルとの内容が似て関連性が大きいと、名称変更の許容範囲が基ファイルの名称と新名称との相違が小さくなるように制限されることにより、対象ファイルの新名称は基ファイルの名称と類似するものとなる。一方、さらに、基ファイルから対象ファイルへの修正度が大きく、基ファイルと対象ファイルとの内容が異なり関連性が小さい場合、基ファイルの名称と新名称との相違が大きくなるように、たとえば90%以上と名称変更の範囲が設定されると、新名称のうちの90%以上が基ファイルの名称と非類似でなければ名称変更が許容されず、許容される新名称は基ファイルの名称と異なるものとなる。これにより、ファイルの名称から基ファイルとの関係が容易に判断できる。
また、上記のようにファイルの名称変更が管理されると、基ファイルから派生する全ファイルの名称が基ファイルとの関連性で制限されるため、基ファイルとの修正度が小さいファイルの名称どうしは類似したものとなり、基ファイルに由来するファイルどうしの関係もファイルの名称で予想可能となる。
【0040】
本発明の第2実施形態の管理システム1は、図6に示すように、第1実施形態の管理システムとほぼ同様であるが、名称変更判定手段11が単語抽出手段8および類義語記録部9を有する点が異なる。なお、第1実施例と同様な部分についてはその説明は省略する。
【0041】
名称変更判定手段11は単語抽出手段8および類義語記録部9を有する。基ファイルの操作情報および名称変更の操作情報のそれぞれから基ファイルの名称および対象ファイルの現名称を特定し、これらを単語抽出手段8に渡し、単語抽出手段8で抽出された基ファイルの名称の単語および現名称の単語を類義語記録部9を参照して、これらが類義語であるか否かを対比し、対比結果により新名称が基ファイルの名称から許容範囲内であるか否かを判定する。
【0042】
単語抽出手段8は、辞書データの参照や分かち書き等の方法などによって、基ファイルの名称および現名称から単語を抽出する。
【0043】
類義語記録部9は、意味の似かよっている語を記録した辞書などである。たとえば、「ソフトウエア」、「アプリケーション」、「プログラム」、「ファイル」などは類似する用語として記録されている。また、これらの意味が類似する複数の単語を類義語グループとして記録し、同一のグループ内の単語を類義語とすることができる。
【0044】
図4(b)に示す例では、基ファイルの操作情報から基ファイルの名称「クライアント情報XXX」を特定し、名称変更の操作情報から対象ファイルの新名称「顧客情報XYZ」を特定する。単語抽出手段8は特定した名称から単語を抽出し、これらの単語を類義語記録部9を参照して対比すると、「顧客」と「クライアント」は類似し、「情報」については一致し、「XYZ」が「XXX」と非類似であるので、対象ファイルの新名称3単語のうち1単語が基ファイルの名称と非類似である。よって、基ファイルの名称から新名称への名称変更割合は33%となる。そして、図5(a)に示す修正度と許容範囲との関係基準を参照すると、修正度が25%以上50%未満であれば、許容範囲が20%以上50%未満であるため、名称変更割合と許容範囲を比べ、名称変更割合は許容範囲に含まれ、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内であると判定される。一方、修正度が25%未満および50%以上であれば、許容範囲が20%未満および50%以上と、名称変更割合は許容範囲に含まれないことにより、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内でないと判定される。
【0045】
なお、修正量に応じた許容範囲によって名称変更を判定したが、これに限定されず、修正回数、修正量及び修正回数の両方を組み合わせて許容範囲に入っているか否か判定するようにしてもよい。
【0046】
図3に示すように、管理システム1及び管理プログラム2の処理の流れの一例について説明する。なお、第1実施形態と同様の部分についての説明は省略する。
【0047】
ステップ7(S7)において、名称変更判定手段11は、名称変更の操作情報より対象ファイルの新名称を特定し、基ファイルの操作情報から基ファイルの名称を特定する。この新名称および基ファイルの名称から、単語抽出手段8は単語を抽出し、名称変更判定手段11は、類義語記録部9を参照し、新名称の単語および基ファイルの名称の単語のそれぞれが類似するか否かを比較し、これらの名称変更割合を算出する。名称変更割合が許容範囲に含まれるか否かにより、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内であるかを判定する。
【0048】
上記実施例において、類義語記録部9に代えて、または共に、可変部記録部(図示せず)を名称変更判定手段11が有することができる。この可変部記録部は、名称変更の許容範囲に関わらず名称変更が許容される部分を記録したリストなどである。可変部は、たとえば、日付やバージョンなどファイルの内容を表すものではなく、ファイルを識別するなどのために付されるものである。この場合、名称変更判定手段11は、可変部記録部を参照して、単語抽出手段8で抽出された対象ファイルの新名称「顧客20070101」の単語および基ファイルの名称「顧客20081231」の単語が可変部であるか否かを判断し、これらの名称のうち「20070101」、「20081231」を可変部と判定する。そして、可変部でない単語「顧客」について一致するか否か、または類似するか否かを判定する。これらは一致するので、新名称と基ファイルの名称との名称変更割合は0%と算出される。名称変更割合が許容範囲に含まれるかで、新名称が基ファイルの名称から許容範囲内であるかを判定する。なお、日付け変更のときには、基ファイルの名称の日付けより過去の日付けへの変更は制限、即ち名称変更割合に含めるようにしてもよい。
【0049】
なお、上記実施例では、単語抽出手段8、類義語記録部9、可変部記録部が名称変更判定手段11に設けられていたが、これに限定されず、これらの手段や記録部を名称変更判定手段11と別に設けることもできる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0051】
なお、上述の全実施形態では、各手段どうしの情報の受け渡しについて、操作情報の全てを送取得したが、これに限定されず、たとえば、ファイルの名称、その属性情報などその後の処理で必要な情報のみとすることもできる。
【0052】
また、上記全ての実施例では、基ファイルの名称の文字数に関わらず、修正度と名称変更の許容範囲との関係を設定したが、文字数が少ないほど、1文字の違いでも名称変更割合が大きくなるため、基ファイルの名称の文字数に応じて、修正度と名称変更の許容範囲との関係を示す所定基準や条件などを設定することができる。
【0053】
そして、この修正度と名称変更との関係において、修正度が大きいほど名称変更量が大きくなるように許容範囲を設定したが、これに限定されない。たとえば、図5(a)において、修正度が大きいほど、許容範囲を広く、たとえば、修正度が75%以上で許容範囲が100%以下と設定することもできる。また、基ファイルの名称から新名称への名称変更割合を求めたが、これに限定されず、基ファイルの名称と新名称との差などの名称変更量が用いることができる。
【0054】
さらに、上記全ての実施例では、制御内容としては、名称変更の許可、名称変更を無効、警告表示などとしたが、これに限定されない。たとえば、ユーザが使用している端末、それを管理している端末、その他の端末やサーバなどに警告表示を表示したり、メールしたり通知することもできる。
【0055】
また、上述の全実施形態では、管理システム1及び管理プログラム2は、上記各手段、及び入力部3などを1台のコンピュータCに備えていたが、複数台のコンピュータによって構成してもよい。例えば、単又は複数のクライアントコンピュータとサーバコンピュータとをネットワークを介して通信可能に構成し、サーバコンピュータが、操作情報取得手段4、操作情報記録部5、操作判定手段6、基ファイル特定手段7、修正度取得手段10、名称変更判定手段11および制御手段12の全てまたは一部を備えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1実施形態に係るファイル名変更管理システム及びファイル名変更管理プログラムのブロック図である。
【図2】(a)〜(c)は基ファイルと名称変更対象ファイルとの説明図である。
【図3】ファイル名変更処理のフロー図である。
【図4】(a)〜(c)は名称変更割合の算出例を示す説明図。
【図5】(a),(b)は修正度に応じて名称変更の許容範囲を設定した例を示す説明図。
【図6】第2実施形態に係るファイル名変更管理システム及びファイル名変更管理プログラムのブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ファイル名変更管理システム
2 ファイル名変更管理プログラム
3 入力部
4 操作情報取得手段
5 操作情報記録部
6 操作判定手段
7 基ファイル特定手段
8 単語抽出手段
9 類義語記録部
10 修正度取得手段
11 名称変更判定手段
12 制御手段
13 実行手段
C コンピュータ
R 記録部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象ファイルを現名称から新名称に名称変更することを管理するファイル名変更管理システムであって、
コンピュータにおけるファイルに対する操作情報を記録する操作情報記録部、
前記操作情報から前記対象ファイルの基ファイルを特定する基ファイル特定手段、
前記対象ファイルと前記基ファイルとの修正度を取得する修正度取得手段、
前記修正度に基づいて前記名称変更の許容範囲を取得し、前記新名称が前記基ファイルの名称から前記許容範囲内の変更であるかを判定する名称変更判定手段、及び
前記判定結果に基づいて制御する制御手段
を備えるファイル名変更管理システム。
【請求項2】
類義語を記録した類義語記録部、及び
前記基ファイルの名称及び前記新名称から単語を抽出する単語抽出手段を備え、
前記名称変更判定手段は、前記類義語記録部を参照して前記基ファイルの名称の単語と前記新名称の単語とを対比し、前記対比結果に基づき前記新名称が前記基ファイルの名称から前記許容範囲内の変更であるかを判定する
請求項1記載のファイル名称管理システム。
【請求項3】
コンピュータにおけるファイルに対する操作情報を記録する操作情報記録部を有する、対称ファイルを現名称から新名称に名称変更することを管理するファイル名変更管理システムとして機能させるファイル名称変更管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記操作情報から前記対象ファイルの基ファイルを特定する基ファイル特定手段、
前記対象ファイルと前記基ファイルとの修正度を取得する修正度取得手段、
前記修正度に基づいて前記名称変更の許容範囲を取得し、前記新名称が前記基ファイルの名称から前記許容範囲内の変更であるかを判定する名称変更判定手段、及び
前記判定結果に基づいて制御する制御手段
として機能させるファイル名変更管理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−33444(P2010−33444A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196623(P2008−196623)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】