説明

ファクシミリ装置、通信制御方法、および装置のプログラム

【課題】仮に発呼後に発着呼衝突が発生した場合であっても、誤接続の発生を確実に防止する。
【解決手段】受信信号におけるCNG(コーリングトーン)の有無を検出する検出手段と、発呼処理後に検出手段でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置、通信制御方法、および装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ファクシミリ装置等の通信で、ユーザにより指定された送信先に対して発呼したタイミングでたまたま自装置に対して発呼してくる他端末がある場合など、自装置からの発呼と自装置への着呼が衝突してしまうことがある。こうした発着呼衝突が発生した場合、一般にファクシミリ装置は、送信動作から受信動作に自動で移行する。
【0003】
また、従来のファクシミリ装置として、発呼と着呼が衝突した場合でも発呼を優先するため、相手先端末からのダイヤルトーンが検出されない場合にCNG(コーリングトーン)の有無を検出し、CNGが検出されない場合にダイヤルパルスを送信し、FAX送信を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−112557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のファクシミリ装置で発着呼衝突が発生した場合、自装置に対して発呼してきた他端末が送信動作から受信動作に自動で移行してしまい、結果的に、ユーザが指定した送信先ではなく、たまたま発呼してきて発着呼衝突した別な端末にドキュメントが誤送信されてしまう虞があった。
【0006】
また、上述した特許文献1のものは、ダイヤルトーンが検出された時点でCNGの検出を止めてダイヤルパルスの送信に移行するものであり、ダイヤルトーン検出後の発着呼衝突による誤送信を防止することについてまで考慮されたものではなかった。
すなわち、通信相手先端末からのダイヤルトーンを検出し、ダイヤル番号を発呼したとしても、そのダイヤル番号を交換機が認識する前に交換機が自装置に対して着信動作してきた場合には、発着呼衝突が発生することとなり、上述のような誤送信を引き起こす虞があった。
このように、ダイヤルトーンを検出してダイヤル発呼した後に他端末がCNGを送信してきた場合の誤接続を防止することについてまで考慮されたものではなかった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、仮に発呼後に発着呼衝突が発生した場合であっても、誤接続の発生を確実に防止することができるファクシミリ装置、通信制御方法、および装置のプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明に係るファクシミリ装置は、受信信号におけるCNGの有無を検出する検出手段と、発呼処理後に検出手段でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る通信制御方法は、受信信号におけるCNGの有無を発呼処理後に監視するCNG監視工程と、CNG監視工程でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、受信信号におけるCNGの有無を発呼処理後に監視するCNG監視手順と、CNG監視手順でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断手順と、をファクシミリ装置のコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、仮に発呼後に発着呼衝突が発生した場合であっても、誤接続の発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態としてのファクシミリ装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態としてのファクシミリ装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係るファクシミリ装置、通信制御方法、および装置のプログラムを適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
本実施形態のファクシミリ装置は、自装置が発呼した際に、他端末が自装置に対してCNGを送信して発呼動作をしていると判断した場合、回線を切断し、CNGを送信してきていた他端末が送信動作から受信動作に移行してもドキュメントを送信しないようにする。
このため、ダイヤル発呼後の受信信号を監視し、CNGが検出された場合、回線を開放し、誤接続を確実に防止する。
【0015】
次に、本実施形態としてのファクシミリ装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態としてのファクシミリ装置の構成例を示すブロック図である。
【0016】
符合1はファクシミリ装置の通信制御部である。
符合2は通信制御部内の信号送出制御部である。信号送出制御部2ではモデム5から送出するためのデータを作成し、必要な信号の間隔を信号毎に調整し、モデム5に通知する。
【0017】
符合3は通信制御部内の信号解析制御部である。モデム5で受けた信号を解析し、受信した信号を特定し、対応する信号の情報を信号送出制御部2に通知する。
符合4はトーン(トーナル信号)検出制御部である。モデム5で受信されたトーンの周波数や周期を解析し、トーンの種別を判別する。
【0018】
符合5は公衆電話網(PSTN)を介して通信相手先のファクシミリ装置との間で送受信される信号や画像データを変調・復調するモデムである。
符合6はPSTNに接続するための回線制御部(NCU)である。回線の接続と切断を行う。
【0019】
次に、本実施形態としてのファクシミリ装置の動作例について、図2を参照して説明する。
【0020】
ファクシミリ装置は、送信指示の入力等のトリガにより原稿のファクシミリ送信を行う場合、まず、ダイヤル発呼処理としてNCU6が送信先のダイヤル番号(DP/PB)を回線に送出する(ステップS1)。
【0021】
指定された送信先番号の情報を回線に送出した後、トーン検出制御部4は、受信信号からCNGが検出されるか否かを監視する(ステップS2)。
受信信号からCNGが検出された場合、誤送信になる可能性があるため、回線を切断する(ステップS5)。
【0022】
トーン検出制御部4がCNGを監視している際、信号受信制御部3は、被呼局識別信号(CED:Called StationIdentification signal)、被呼端末識別信号(CSI:CalledSubscriber Identification signal)、ディジタル識別信号(DIS:DigitalTransmit Command signal)といった相手端末の初期識別信号が検出されるか否かを監視する。受信信号からこうした初期識別信号を検出すると(ステップS3;Yes)、信号送出制御部2は所定のファクシミリ通信手順に従って信号を作成し、モデム5から信号を変調して応答する。こうして、トーン検出制御部4によるCNG監視を終了させ、FAX送信処理を行う(ステップS4)。
【0023】
以上のように、上述した実施形態によれば、発呼後に受信信号からCNGを検出した場合にドキュメントを送信せず、回線を切断することで、誤接続が発生する可能性を回避する。
このため、たまたま発呼してきた他端末への誤送信を確実に防止することができる。
【0024】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0025】
また、上述した実施形態としてのファクシミリ装置を実現するための処理手順をプログラムとして記録媒体に記録することにより、本発明の実施形態による上述した各機能を、その記録媒体から供給されるプログラムによって、システムを構成するコンピュータのCPUに処理を行わせて実現させることができる。
この場合、上記の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
すなわち、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体および該記録媒体から読み出された信号は本発明を構成することになる。
この記録媒体としては、例えばハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROM等を用いてよい。
【0026】
この本発明に係るプログラムによれば、当該プログラムによって制御されるファクシミリ装置に、上述した実施形態における各機能を実現させることができる。
【0027】
〔付記〕
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限定されるものではない。
【0028】
〔付記1〕
受信信号におけるCNG(コーリングトーン)の有無を検出する検出手段と、
発呼処理後に前記検出手段でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断手段と、を備えたことを特徴とするファクシミリ装置。
【0029】
〔付記2〕
発呼処理後、受信信号における相手端末からの識別信号を監視する識別信号監視手段を備え、
前記切断手段は、発呼処理後、前記識別信号監視手段により識別信号が検出されるまでの間に前記検出手段でCNGが検出された場合、回線接続を切断することを特徴とする付記1記載のファクシミリ装置。
【0030】
〔付記3〕
ファクシミリ送信処理を行う送信手段を備え、
前記送信手段は、前記検出手段でCNGが検出されることなく前記識別信号監視手段により識別信号が検出された場合にファクシミリ送信処理を行うことを特徴とする付記2記載のファクシミリ装置。
【0031】
〔付記4〕
受信信号におけるCNG(コーリングトーン)の有無を発呼処理後に監視するCNG監視工程と、
前記CNG監視工程でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断工程と、を備えたことを特徴とする通信制御方法。
【0032】
〔付記5〕
発呼処理後、受信信号における相手端末からの識別信号を監視する識別信号監視工程を備え、
前記切断工程では、発呼処理後、前記識別信号監視工程により識別信号が検出されるまでの間に前記CNG監視工程でCNGが検出された場合、回線接続を切断することを特徴とする付記4記載の通信制御方法。
【0033】
〔付記6〕
前記CNG監視工程でCNGが検出されることなく前記識別信号監視工程により識別信号が検出された場合、ファクシミリ送信処理を行う送信工程を備えたことを特徴とする付記5記載の通信制御方法。
【0034】
〔付記7〕
受信信号におけるCNG(コーリングトーン)の有無を発呼処理後に監視するCNG監視手順と、
前記CNG監視手順でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断手順と、をファクシミリ装置のコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0035】
〔付記8〕
発呼処理後、受信信号における相手端末からの識別信号を監視する識別信号監視手順を前記ファクシミリ装置のコンピュータに実行させ、
前記切断手順では、発呼処理後、前記識別信号監視手順により識別信号が検出されるまでの間に前記CNG監視手順でCNGが検出された場合、回線接続を切断することを特徴とする付記7記載のプログラム。
【0036】
〔付記9〕
前記CNG監視手順でCNGが検出されることなく前記識別信号監視手順により識別信号が検出された場合、ファクシミリ送信処理を行う送信手順を前記ファクシミリ装置のコンピュータに実行させることを特徴とする付記8記載のプログラム。
【符号の説明】
【0037】
1 通信制御部
2 信号送出制御部
3 信号受信制御部
4 トーン検出制御部
5 モデム
6 NCU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号におけるCNG(コーリングトーン)の有無を検出する検出手段と、
発呼処理後に前記検出手段でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断手段と、を備えたことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
発呼処理後、受信信号における相手端末からの識別信号を監視する識別信号監視手段を備え、
前記切断手段は、発呼処理後、前記識別信号監視手段により識別信号が検出されるまでの間に前記検出手段でCNGが検出された場合、回線接続を切断することを特徴とする請求項1記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
ファクシミリ送信処理を行う送信手段を備え、
前記送信手段は、前記検出手段でCNGが検出されることなく前記識別信号監視手段により識別信号が検出された場合にファクシミリ送信処理を行うことを特徴とする請求項2記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
受信信号におけるCNG(コーリングトーン)の有無を発呼処理後に監視するCNG監視工程と、
前記CNG監視工程でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断工程と、を備えたことを特徴とする通信制御方法。
【請求項5】
受信信号におけるCNG(コーリングトーン)の有無を発呼処理後に監視するCNG監視手順と、
前記CNG監視手順でCNGが検出された場合、回線接続を切断する切断手順と、をファクシミリ装置のコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−169835(P2012−169835A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28741(P2011−28741)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】