説明

ファクシミリ装置

【課題】 オペレータの手を煩わすことなく、蓄積されたファイルを転送することができるファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】 着呼時に受けた着番号に対応する蓄積ファイルを、着呼時に受信した発番号へファクシミリ送信するファイル転送機能を有するシステム制御手段4を備えたファクシミリ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機及びファクシミリ装置に関連して、以下の(1)〜(3)に示す通信前情報通知サービスでは、着呼側は着呼時に交換機から送出される情報(通信前情報)を受ける。
(1)発呼元電話番号通知サービス(ナンバーディスプレーサービス):発呼側の電話番号を通知する。
(2)着番号通知サービス(モデムダイヤルインサービス):ダイアルイン番号(着番号)を通知する。
(3)ネームディスプレーサービス:発呼側の発信企業名(氏名)を着呼側に通知する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、あるファクシミリ装置内に蓄積してあるファイルを、遠隔地にあるファクシミリ装置などにおいても出力したいというユーザーの要望がある。
ただし、このとき、ファイルを蓄積しているファクシミリ装置側のオペレータに、該当ファイルのファクシミリ送信を促す等の作業を依頼せずに、遠隔地側のファクシミリ装置からファイル転送に必要な一連の処理すべてを行える機能が望まれている。
そこで、本発明は上記したような点を鑑みてなされたものであり、オペレータの手を煩わすことなく、蓄積されたファイルを転送することができるファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、着呼時に受けた発番号を予め登録してある発番号と比較する比較手段と、前記比較手段で比較した結果、着呼時に受けた着番号に対応する蓄積ファイルを、着呼時に受信した発番号へファクシミリ送信するファイル転送手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のファクシミリ装置において、複数の発番号を記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載のファクシミリ装置において、前記ファイル転送手段は、着呼時に受けた着番号に対応する蓄積ファイルが存在しなかった場合、ファイル転送を行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のファクシミリ装置は、着呼時に受けた発番号を予め登録してある発番号と比較し、一致した場合に、着呼時に受けた着番号に対応する蓄積ファイルを、着呼時に受信した発番号へファクシミリ送信する機能を有することにより、遠隔地から当該ファクシミリ装置に発呼することにより、当該ファクシミリ装置側のオペレータの手を煩わすことなく、蓄積されたファイルを転送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るファクシミリ装置のブロック構成図である。
図において、スキャナ1は、原稿画像を読み取り画情報として出力する。プロッタ2は、画像を記録紙に記録する。符号化復号部3は、MH方式などの既知の符号化方式により、送信する画情報を符号化によりデータ圧縮を行う一方、受信した画情報を復号化して元の画情報を再生する。システム制御部4は、全体を制御するマイクロコンピュータである。第1の記憶部5は、記憶しているファイルデータのIDと着番号とを関係付けるテーブルを記憶する。このテーブルは、当該ファクシミリ装置の管理者によって予め登録される。
第2の記憶部6は、受信した発番号及び着番号を一時的に記憶する。第3の記憶部7は、当該ファクシミリ装置の管理者が予め登録した発番号を記憶することができる。この第3の記憶部7には複数の発番号を登録することができる。
本実施の形態のファクシミリ装置においては、受信した発番号が第3の記憶部7に登録されている登録番号と一致した場合に限り、着呼時に受けた着番号に対応する蓄積ファイルを、着呼時に受信した発番号へファクシミリ送信するファイル転送機能が起動する。
網制御装置8は、電話回線と電話機13が接続されている。そして、発着信を行うための回線制御を行う。モデム9は、画情報を変復調して伝送すると共に、伝送制御のための各種手順信号の伝送を行う。操作表示部10は、装置の動作状態を表示する一方、オペレータが各種操作を行う。
第4の記憶部11はローカルストレージ等によって構成され、スキャナ等で取り込んだファイルデータを記憶する。システムバス12は、上記各部が相互間で各種制御信号やデータをやり取りする信号ラインである。
【0007】
以下、このような本実施の形態のファクシミリ装置の詳細な動作を、図2、図3、図4のフローチャートに沿って説明する。
当該ファクシミリ装置の管理者は、当該ファクシミリ装置内に蓄積しているファイルデータの自動転送を行う発番号、及び、蓄積ファイルのIDと着番号の対応テーブル(表)を予め第1の記憶部5及び第3の記憶部7へ登録しておく。発番号を複数登録できる。図2乃至図4に示す制御処理はシステム制御部4によって実行される。
本実施の形態のファクシミリ装置は、まず、図2に示すように、受信待機中に回線から送られてくる情報受信端末起動信号を監視する(S101)。
情報受信端末起動信号を受信すると(S101で「はい」)、回線を閉結し(S102)、通信前情報(V.23モデム信号)を受信すると共に、同信号から発番号及び着番号を取り出し、第2の記憶部6に一時的に記憶する(S103)。次に、第2の記憶部6に一時的に記憶した受信した発番号を、第3の記憶部7に登録されている発番号群と比較し(複数の発番号を登録可能)、第3の記憶部7に一致する番号が存在するか否かを確認する(S104)。
比較した結果、第2の記憶部6に記憶されている発番号と一致する発番号が第3の記憶部7に存在しなかった場合(図3に示すS105で「いいえ」)、回線を解放し(交換機へ受信完了信号送出)(S106)、交換機が発する16Hzの呼び出し信号を受信して(S107)、一般的なファクシミリ受信を行う(S108)。
一方、第2の記憶部6に記憶されている発番号と一致する発番号が第3の記憶部7が存在した場合(S105の「はい」)、第2の記憶部6に記憶されている受信した着番号が、第1の記憶部5に登録されている対応テーブルの着番号のいずれか一つと一致するか否かを比較、確認する(S109)。
比較の結果、受信した着番号と一致する番号が第1の記憶部5の対応テーブルに存在するか否かのチェックを行い、チェックの結果、第2の記憶部6に記憶されている着番号と一致する着番号が第1の記憶部5に存在しなかった場合(S110の「いいえ」)、回線を解放し(交換機へ受信完了信号送出)(S106)、交換機が発する16Hzの呼び出し信号を受信して(S107)、一般的なファクシミリ受信を行う(S108)。
【0008】
一方、チェックの結果、第2の記憶部6に記憶されている着番号と一致する着番号が第1の記憶部5に存在した場合(S110の「はい」)、当該呼を終了させるために、3秒以上時間を置いてから回線を解放する(S111)。これによりNTT交換機から、送信側、受信側に対して話中音が発信され、呼が終了する。その後、回線を再び閉結し(S112)、第2の記憶部6に記憶している発番号へ自動発呼する(S113)。
第2の記憶部6に記憶した着番号に対応するファイルのIDを第1の記憶部5の対応テーブルから検索し(S114)、該当するIDを持つファイルデータを第4の記憶部11から読み出す。そして読み出したファイルデータをファクシミリ通信上で送信して(S115)して処理を終える。
このように構成すれば、離れた位置にあるファクシミリ装置から本実施の形態のファクシミリ装置に発呼するだけで、オペレータの手を煩わすことなく、本実施の形態のファクシミリ装置に蓄積されているファイルを離れた位置にあるファクシミリ装置に転送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係るファクシミリ装置のブロック構成図である。
【図2】本実施の形態に係るファクシミリ装置における制御動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態に係るファクシミリ装置における制御動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態に係るファクシミリ装置における制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0010】
1 スキャナ、2 プロッタ、3 符号化復号化、4 システム制御部、5 第1の記憶部、6 第2の記憶部、7 第3の記憶部、8 網制御装置、9 モデム、10 操作表示部、11 第4の記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着呼時に受けた発番号を予め登録してある発番号と比較する比較手段と、前記比較手段で比較した結果、着呼時に受けた着番号に対応する蓄積ファイルを、着呼時に受信した発番号へファクシミリ送信するファイル転送手段と、を備えることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
請求項1記載のファクシミリ装置において、複数の発番号を記憶する記憶手段を備えていることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項3】
請求項1記載のファクシミリ装置において、前記ファイル転送手段は、着呼時に受けた着番号に対応する蓄積ファイルが存在しなかった場合、ファイル転送を行わないことを特徴とするファクシミリ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−20057(P2006−20057A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195642(P2004−195642)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】