説明

ファットバーンゾーン指示装置

【課題】人あるいはペットの動物の運動中に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲に入っているか否かを容易に知り得るようにすることにある。
【解決手段】運動量対応情報検出手段2と、その運動量対応情報検出手段が検出した運動量対応情報から運動負荷を算出する運動負荷算出手段4と、その運動負荷算出手段が算出した運動負荷を所定の基準下限値および基準上限値と比較して、前記算出した運動負荷が前記基準下限値以上で前記基準上限値以下であった場合に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲に入っていると判定するファットバーンゾーン判定手段4と、そのファットバーンゾーン判定手段が運動負荷適正範囲に入っていると判定した場合に、運動負荷適正と表示するファットバーンゾーン表示手段6とを具えてなる、ファットバーンゾーン指示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体脂肪を効率良く燃焼させる運動負荷適正範囲であるファットバーンゾーンを指示する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の歩数計や、歩数計に併設されたカロリー計、あるいはフィットネスクラブ等でダイエット用に使用される運動機器等において表示される数値は、運動開始から現在までの総カロリー消費量や総運動量である。
【0003】
このような総カロリー消費量や総運動量は重要な指標であるが、体脂肪を効率良く燃焼させるためには、ファットバーンゾーンと呼ばれる適正な運動負荷の範囲がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファットバーンゾーンに入っているか否かは、基本的には、毎分心拍数120程度というように、単位時間当たりの心拍数で判定するのが望ましいが、単位時間当たりの歩数や体の振動、あるいは運動器具の動作回数等の情報であっても、その運動の種類に応じた係数を乗じることで、それぞれの運動に対するファットバーンゾーンにあるか否かを知ることができる。
【0005】
しかしながら、従来の上述の如き歩数計や運動機器では、運動中に運動量がファットバーンゾーンにあるか否かを知ることはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、この発明のファットバーンゾーン指示装置は、運動量対応情報検出手段と、その運動量対応情報検出手段が検出した運動量対応情報から運動負荷を算出する運動負荷算出手段と、その運動負荷算出手段が算出した運動負荷を所定の基準下限値および基準上限値と比較して、前記算出した運動負荷が前記基準下限値以上で前記基準上限値以下であった場合に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲に入っていると判定するファットバーンゾーン判定手段と、そのファットバーンゾーン判定手段が運動負荷適正範囲に入っていると判定した場合に、運動負荷適正と表示するファットバーンゾーン表示手段と、を具えてなるものである。
【発明の効果】
【0007】
かかるファットバーンゾーン指示装置にあっては、このファットバーンゾーン指示装置を装着した人あるいはペットの動物が運動すると、運動量対応情報検出手段がその人あるいはペットの動物の運動による振動等の運動対応情報を検出し、運動負荷算出手段が、運動量対応情報検出手段が検出した運動量対応情報からその人あるいはペットの動物の運動負荷を算出し、ファットバーンゾーン判定手段が、運動負荷算出手段が算出したその人あるいはペットの動物の運動負荷を所定の基準下限値および基準上限値と比較して、算出した運動負荷が基準下限値以上で基準上限値以下であった場合に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲に入っていると判定し、そしてファットバーンゾーン表示手段が、ファットバーンゾーン判定手段が運動負荷適正範囲に入っていると判定した場合に、運動負荷適正と表示する。
【0008】
従って、この発明のファットバーンゾーン指示装置によれば、人あるいはペットの動物の運動中に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲に入っていることを表示するので、人あるいはペットの動物は、体脂肪を効率良く燃焼させる運動を行うことができる。
【0009】
なお、この発明においては、前記ファットバーンゾーン判定手段は、前記運動負荷算出手段が算出した運動負荷が前記基準下限値未満の場合に運動負荷過小であると判定するとともに、前記運動負荷算出手段が算出した運動負荷が前記基準上限値を超えている場合に運動負荷過大であると判定し、前記ファットバーンゾーン表示手段は、前記ファットバーンゾーン判定手段が運動負荷過小であると判定した場合に運動負荷過小と表示するとともに、前記ファットバーンゾーン判定手段が運動負荷過大であると判定した場合に運動負荷過大と表示するものでも良く、このようにすれば、例えば毎分心拍数が150を超えて筋収縮のエネルギー源への脂質の利用が期待できないような運動負荷過大の場合に、運動負荷を減らして適正範囲内に維持することができる。
【0010】
また、この発明においては、前記運動量対応情報は、心拍であり、前記運動負荷は、単位時間当たりの心拍数であると好ましいが、これらの代わりに、前記運動量対応情報は、ウオーキングやジョギング等での加速度や振動、および筋肉トレーニング等で発揮される力のうちの少なくとも一種類の情報であり、前記運動負荷は、単位時間当たりのカロリー消費量であっても良い。
【0011】
すなわち、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲であるファットバーンゾーンは諸説があるものの、人の場合、例えば最高心拍数の60%〜75%の心拍数の運動負荷状態といわれており、最高心拍数は年齢によって異なり、男性は(220−年齢)、女性は(210−年齢)といわれている。従って、ファットバーンゾーンを心拍数で表すと、年齢30歳の男性であれば(220−30)×0.6〜0.75で、114〜143拍/分の運動負荷状態となり、年齢30歳の女性であれば(210−30)×0.6〜0.75で、108〜135拍/分の運動負荷状態となる。このファットバーンゾーンの下限値より心拍数が低い運動負荷状態では充分に脂肪が燃焼せず、一方このファットバーンゾーンの上限値より心拍数が高い運動負荷状態では呼吸が速く浅くなって脂肪燃焼に必要な酸素が不足し、糖分が主にエネルギーとして使われるようになって脂肪燃焼がされなくなる。
【0012】
ウオーキングでの心拍数は、例えば年齢30代の人がゆっくり歩き(分速60m)で120拍/分、速歩き(分速90m)で151拍/分、年齢50代の人がゆっくり歩き(分速60m)で110拍/分、速歩き(分速90m)で137拍/分とのデータがあるので、ファットバーンゾーンはこれらの範囲と重なっている。これを単位時間当たりの消費カロリーの面から見ると、ゆっくり歩き(分速60m)では2.5Kcal/分、速歩き(分速90m)では4.0Kcal/分となるので、この発明においては、ファットバーンゾーンを単位時間当たりの消費カロリー数で定義することもできる。
【0013】
そして、この発明においては、前記運動量対応情報検出手段が検出した運動量対応情報から運動開始から現在までの総運動量および総カロリー消費量のうちの少なくとも一方を算出する総量算出手段と、その総量算出手段が算出した総運動量および総カロリー消費量のうちの少なくとも一方を表示する総量表示手段と、をさらに具えていても良く、このようにすれば、人あるいはペットの動物の総運動量や総カロリー消費量も知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を実施例により、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明のファットバーンゾーン指示装置の一実施例の構成を示すブロック線図、図2は、上記実施例のファットバーンゾーン指示装置の外観を示す正面図である。
【0015】
この実施例のファットバーンゾーン指示装置は、図2に示すように、図示しない面ファスナー付ベルトで人やペットの動物(例えば愛玩犬)の体の一部(例えば脚)等に装着可能な携帯用のケーシング1を具え、そのケーシング1は図2に示すように、運動量対応情報検出手段としての振動センサ2と、ドライバ3と、運動負荷算出手段、ファットバーンゾーン判定手段および総量算出手段としてのマイクロコンピュータ(マイコン)4と、基準タイマ5と、ファットバーンゾーン表示手段としてのファットバーンゾーン表示部6と、総量表示手段としての数値表示部7と、バッテリ8と、利用者または利用する動物の種類、年齢、体重および日時の設定用の図示しない押しボタンスイッチとを具えている。なお、人以外の動物に用いる場合は、その動物の種類に対応した専用の装置としても良く、そうすれば装置構成をより簡易にすることができる。
【0016】
ここで、振動センサ2は、例えば錘を結合されてその錘の揺動を検出するピエゾ素子からなり、ケーシング1を装着した人やペットの動物体の運動(例えばウオーキング)による振動を検出して電気信号で出力し、ドライバ3は振動センサ2が出力した電気信号を増幅するとともにデジタル信号に変換する。
【0017】
マイコン4は、ドライバ3が出力したデジタル信号による振動回数(例えば歩数)を計数するとともに、基準タイマ5が出力する一定時間(例えば1分)毎の信号により、その一定時間毎の振動回数(例えば毎分の歩数)を記録し、その振動回数を、あらかじめメモリ内に記憶した所定範囲の体重毎および所定範囲の年齢毎の、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷の下限値(例えば体重60kgの40歳の人で例えば毎分90歩)および上限値(例えば体重60kgの40歳の人で例えば毎分120歩)と比較して、その一定時間毎の振動回数が運動負荷下限値以上で運動負荷上限値以下の場合に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲(ファットバーンゾーン)に入っていると判定し、また、その一定時間毎の振動回数が運動負荷下限値未満の場合に、体脂肪を効率良く燃焼させるためには運動負荷が過小であると判定し、逆に、その一定時間毎の振動回数が運動負荷上限値を越えている場合に、体脂肪を効率良く燃焼させるためには運動負荷が過大であると判定する。
【0018】
そして表示部6は、図2に示すように、例えば各々LEDからなる運動負荷適正ランプ6aと運動負荷過小ランプ6bと運動負荷過大ランプ6cとを有し、マイコン4の上記各判定結果に従ってそれらのランプを点灯させて、マイコン4の判定結果を表示する。
【0019】
さらにマイコン4は、上記設定された利用者または利用する動物の種類、年齢および体重と、その日の午前0時から現在までの上記振動回数の累積値と、基準タイマ5が出力する一定時間(例えば1分)毎の信号とから、その日の午前0時から現在までの総消費カロリー数と、現在のカロリー消費率(単位時間(例えば1時間)当たりの消費カロリー数)とを計算する。
【0020】
そして数値表示部7は、各々例えば液晶からなる総消費カロリー数表示部7aとカロリー消費率表示部7bとを有していて、上記利用者または利用する動物の種類、年齢、体重および日時の設定の際にはそれらの数値をそれらの表示部7a,7bに表示し、設定終了後は、マイコン4がそれぞれ求めた上記その日の午前0時から現在までの総消費カロリー数と現在のカロリー消費率とを、総消費カロリー数表示部7aとカロリー消費率表示部7bとにそれぞれ表示する。なお、バッテリ8は、振動センサ2、ドライバ3、マイコン4、基準タイマ5、ファットバーンゾーン表示部6および数値表示部7に電源を供給する。
【0021】
かかるファットバーンゾーン指示装置にあっては、このファットバーンゾーン指示装置を装着した人あるいはペットの動物が運動すると、振動センサ2がその人あるいはペットの動物の運動による振動を検出し、マイコン4が、振動センサ2が検出した振動回数からその人あるいはペットの動物の運動負荷を算出し、さらにマイコン4が、先に算出したその人あるいはペットの動物の運動負荷を所定の基準下限値および基準上限値と比較して、算出した運動負荷が基準下限値以上で基準上限値以下であった場合に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲に入っていると判定し、そしてファットバーンゾーン表示部6が、マイコン4が運動負荷適正範囲に入っていると判定した場合に、運動負荷適正と表示する。
【0022】
従って、この実施例のファットバーンゾーン指示装置によれば、人あるいはペットの動物の運動中に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲に入っていることを表示するので、人あるいはペットの動物は、体脂肪を効率良く燃焼させる運動を行うことができる。
【0023】
また、この実施例のファットバーンゾーン指示装置によれば、マイコン4は、先に算出した運動負荷が前記基準下限値未満の場合に運動負荷過小であると判定するとともに、その算出した運動負荷が前記基準上限値を超えている場合に運動負荷過大であると判定し、ファットバーンゾーン表示部6は、マイコン4が運動負荷過小であると判定した場合に運動負荷過小と表示するとともに、マイコン4が運動負荷過大であると判定した場合に運動負荷過大と表示するので、例えば毎分心拍数が150を超えて筋収縮のエネルギー源への脂質の利用が期待できないような運動負荷過大の場合に、運動負荷を減らして適正範囲内に維持することができる。
【0024】
また、この実施例のファットバーンゾーン指示装置によれば、前記運動量対応情報は、ウオーキングやジョギング等での振動であり、前記運動負荷は、単位時間当たりの歩数であるので、心拍数を計測するよりも容易に、運動負荷適正範囲に入っていることを検出することができる。
【0025】
そして、この実施例のファットバーンゾーン指示装置によれば、振動センサ2が検出した振動回数から、マイコン4が、午前0時ひいては運動開始から現在までの総消費カロリー数と現在のカロリー消費率とを算出し、数値表示部7が、そのマイコン4が算出した総消費カロリー数と現在のカロリー消費率とを表示するので、人あるいはペットの動物の総運動量や総カロリー消費量も容易に知ることができる。
【0026】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、前記運動量対応情報は、心拍でも良く、その場合に前記運動負荷は、単位時間当たりの心拍数であっても良い。また前記運動量対応情報は、加速度または力でも良く、その場合に前記運動負荷は、その加速度または力を出すための単位時間当たりの消費カロリー数でも良い。そしてファットバーンゾーンの定義は、上記例以外のものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
かくしてこの発明のファットバーンゾーン指示装置によれば、人あるいはペットの動物の運動中に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲に入っていることを表示するので、人あるいはペットの動物は、体脂肪を効率良く燃焼させる運動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明のファットバーンゾーン指示装置の一実施例の構成を示すブロック線図である。
【図2】上記実施例のファットバーンゾーン指示装置の外観を示す正面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ケーシング
2 振動センサ
3 ドライバ
4 マイクロコンピュータ(マイコン)
5 基準タイマ
6 ファットバーンゾーン表示部
6a 運動負荷適正表示ランプ
6b 運動負荷過大表示ランプ
6c 運動負荷過小表示ランプ
7 数値表示部
7a 総消費カロリー数
7b カロリー消費率
8 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動量対応情報検出手段と、
その運動量対応情報検出手段が検出した運動量対応情報から運動負荷を算出する運動負荷算出手段と、
その運動負荷算出手段が算出した運動負荷を所定の基準下限値および基準上限値と比較して、前記算出した運動負荷が前記基準下限値以上で前記基準上限値以下であった場合に、体脂肪を効率良く燃焼させるための運動負荷適正範囲に入っていると判定するファットバーンゾーン判定手段と、
そのファットバーンゾーン判定手段が運動負荷適正範囲に入っていると判定した場合に、運動負荷適正と表示するファットバーンゾーン表示手段と、
を具えてなる、ファットバーンゾーン指示装置。
【請求項2】
前記ファットバーンゾーン判定手段は、前記運動負荷算出手段が算出した運動負荷が前記基準下限値未満の場合に運動負荷過小であると判定するとともに、前記運動負荷算出手段が算出した運動負荷が前記基準上限値を超えている場合に運動負荷過大であると判定し、
前記ファットバーンゾーン表示手段は、前記ファットバーンゾーン判定手段が運動負荷過小であると判定した場合に運動負荷過小と表示するとともに、前記ファットバーンゾーン判定手段が運動負荷過大であると判定した場合に運動負荷過大と表示する、請求項1記載のファットバーンゾーン指示装置。
【請求項3】
前記運動量対応情報は、加速度、振動および力のうちの少なくとも一種類の情報であり、
前記運動負荷は、単位時間当たりのカロリー消費量である、請求項1または2記載のファットバーンゾーン指示装置。
【請求項4】
前記運動量対応情報は、心拍であり、
前記運動負荷は、単位時間当たりの心拍数である、請求項1または2記載のファットバーンゾーン指示装置。
【請求項5】
前記運動量対応情報検出手段が検出した運動量対応情報から運動開始から現在までの総運動量および総カロリー消費量のうちの少なくとも一方を算出する総量算出手段と、
その総量算出手段が算出した総運動量および総カロリー消費量のうちの少なくとも一方を表示する総量表示手段と、
をさらに具える、請求項1から4までの何れか記載のファットバーンゾーン指示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−61828(P2008−61828A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243085(P2006−243085)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(592059448)原田電子工業株式会社 (20)