説明

ファブリックを製紙機械内に設置するための多層ロープハーネス

ファブリックを製紙機械に設置するための多層ファブリック装着ハーネスが開示される。装着ハーネスは、紙幅方向にファブリックの端に取り付ける支持剛性部材(410)とその幅にわたって間隔をおいた複数の開口部(420)とを備えた第1の部分(400)を有する。第1の層(430)は、自己整合ループを形成するために開口部を通って順次組み合わされたロープによって形成される。第2のロープは、第2の層(440)用の自己整合ループを形成するために第1の層のループを通って順次組み合わされる。引きリング(450)は、第2の層のループを集め、これを使用してファブリックを製紙機械に引く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙技術に関する。より具体的には、本発明は、継ぎ合わせ可能な製紙機のファブリックを抄紙機に引くのに使用されるリーダーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
製紙過程中に、繊維性スラリーすなわちセルロース繊維の水系分散を、抄紙機の形成セクションの可動形成ファブリックに置くことによって、セルロース繊維ウェブが形成される。大量の水が形成ファブリックを通ってスラリーから排出され、形成ファブリックの表面にセルロース繊維ウェブを残す。
【0003】
新規に形成されたセルロース繊維ウェブは、形成セクションからプレスセクションへ進み、これは一連のプレスニップを含む。セルロース繊維ウェブは、プレスファブリックによって支持されるプレスニップを通って進むか、または、しばしばそうであるように、2つのそのようなプレスファブリックの間を進む。プレスニップにおいて、セルロース繊維ウェブは圧縮力を受け、圧縮力がウェブから水を搾り、ウェブ内のセルロース繊維を互いに接着しセルロース繊維ウェブを紙シートにする。水は、単数または複数のプレスファブリックによって受け入れられ、理想的には紙シートに戻らない。
【0004】
紙シートは最終的にはドライヤーセクションへ進み、これは、少なくとも1つの一連の回転可能なドライヤードラムまたはシリンダを含み、これは蒸気によって内部的に加熱される。新規に形成された紙シートは、ドライヤーファブリックによって一連のドラムの各々のまわりに順次に、曲がりくねった経路に方向づけられ、これは、紙シートをドラムの表面に対して近接して保持する。加熱されたドラムは、蒸発によって紙シートの含水量を所望のレベルへ減少する。
【0005】
形成、プレスおよびドライヤーのファブリックは、すべて抄紙機上でエンドレスループの形態を取り、コンベヤのやり方で機能することを認識するべきである。製紙は、かなりの速度で進行する連続過程であることをさらに認識するべきである。すなわち、繊維性スラリーは、形成セクションの形成ファブリックに連続して置かれ、一方、新規に製造された紙シートは、ドライヤーセクションから出た後に、連続してロールに巻かれる。
【0006】
上記に暗示されるように、形成ファブリックは、製造されている紙製品を形成しかつこれをプレスセクションへ運ぶように機能する。しかし、形成ファブリックは、水の除去およびシート形成の問題にも対処する必要がある。すなわち、形成ファブリックは、水が通過するのを可能にし(すなわち、排水の速度を制御する)、一方、同時に、繊維および他の固体が水とともに通過するのを防止するように設計される。排水の発生が速すぎたり遅すぎたりする場合には、シートの品質および機械の効率が損害を受ける。排水を制御するために、一般に空隙容量と称される水を排出するための形成ファブリック内の空間が、厳密に設計されなければならない。
【0007】
プレスファブリックはまた、紙シートの表面の仕上げにも参加する。すなわち、プレスファブリックは、滑らかな表面および均一に弾性のある構造物を有するように設計され、そのため、プレスニップを通って進む中で、滑らかでマークのない表面が紙に与えられる。プレスファブリックは、プレスニップの湿った紙から搾り出される大量の水を受け入れる。したがって、空隙容量は、水を出すための経路を提供するためにプレスファブリック内においても重要である。ファブリックは、全耐用年数の間、水に対して適切な透過性も有さなければならない。最後に、プレスファブリックは、湿った紙から受け入れた水が、プレスニップから出るときに紙へ戻り紙を再湿潤するのを防止することができなければならない。
【0008】
織られたファブリックは、多くの異なる形態を取る。たとえば、エンドレスに織られてもよく、または、平らに織られて、その後、シームを備えたエンドレス形態にされてもよい。織られたファブリックは典型的に、エンドレスループの形態であるか、または、そのような形態に継ぎ合わせ可能であり、そのまわりに長手方向に測定された特定の長さと、それを横切って横方向に測定された特定の幅と、を有する。抄紙機構成は幅広く変動するため、抄紙機クロージング製造業者は、その顧客の抄紙機の特定の位置に嵌るために必要な寸法へ、プレスファブリックおよび他の抄紙機クロージングを作る必要がある。言うまでもないが、この必要条件は、各ファブリックが典型的に順序づけなければならないため、製造過程を能率的にするのを困難にする。
【0009】
現代の製紙機械のファブリックは、5から33フィートを超える幅と、40から400フィートを超える長さと、およそ100から3,000ポンドを超える重量と、を有してもよい。これらのファブリックは、摩耗し、交換する必要がある。ファブリックの交換は、機械を休止し、摩耗したファブリックを取り除き、ファブリックを設置するように設定し、新しいファブリックを設置することに関与することが多い。多くのファブリックはエンドレスであるが、抄紙機のプレスセクションに使用されるものの約半数はオンマシン継ぎ合わせ可能である。いくつかの製紙業プロセスベルト(PIPB)は、オンマシン継ぎ合わせ能力があるように企図されており、たとえば、「トランスベルト(Transbelt)」(登録商標)として公知のいくつかの転写ベルトである。ファブリックの設置は、ファブリック本体を機械に引き、ファブリックの端を結合してエンドレスベルトを形成することを含む。ほぼすべてのドライヤーファブリックは、今日では、シームのいくつかの型を有する。
【0010】
ファブリック本体を抄紙機に装着する重要な態様は、ファブリックにわたって均一な張力があるということである。均一な張力が達成されずファブリックの一方のセクションが他方より引く場合には、ファブリックはファブリックの幅にわたって泡立つかまたはうねる可能性がある。
【0011】
ファブリック本体を装着する別の態様は、ファブリック本体シームに対する損傷を防止する。設置中にシームを損傷する機会を回避するか最小限にするために、シーム自体において不均一な張力、重量および圧力は、回避されなければならない。
【0012】
ステープル、縫合および/または接着材料を使用することによってジッパーおよびベルクロ型リーダーをファブリックに取り付けることが一般的な慣習である。しかし、これらの取付方法は、ファブリック表面を損傷する可能性があるため、ファブリックを損傷しない方法を使用することが好ましい。
【0013】
ファブリック、特に非常に長いものを装着するさらなる態様は、ファブリック本体を機械に適切に整列配置し、そのため、ファブリックは走行方向(MD)に正しくガイドし、振動したり機械の一方の側へ進んだりしない。ファブリックが不良にガイドするかまたは進む場合には、抄紙機の支持フレームに接触してファブリックを損傷する可能性がある。
【0014】
抄紙機上で一緒に結合されることができるシームを備えたファブリックおよびベルト用に、様々な型のリーダーが設置を補助するように試みた。設置および操作中にファブリック本体および機械を損傷する可能性を回避するか最小限にするために、リーダーは、ファブリック本体にわたって均一な張力があるように設計されなければならない。そのようなリーダーを設計するためにいくつかの試みがなされた。
【0015】
特許文献1および特許文献2は、両方ともRhyneに付与され、それには、ファブリック本体を抄紙機に設置するための装置および方法が記載されている。方法は、前縁と、複数のロープが取り付けられる、前縁に隣接して配置された複数の間隔をおいた空のグロメットと、を有する自己整合ファブリック装着ハーネスを提供するステップと、装着ハーネスおよびライン受取装置を通って引きロープを固定するステップと、引きロープを引くステップと、装着ハーネスを通って引きロープを再調整してファブリックにわたって均一な張力を達成するように試みるステップと、を含む。
【0016】
いくつかのリーダーは、方形または矩形であり、走行方向(MD)かまたは紙幅方向(CD)のいずれかに長い寸法を有する。複数のロープまたはストラップが、リーダーの幅にわたって均一に間隔をおいた場所でリーダーに取り付けられる。取り付けられた製紙機のファブリックまたはベルトを備えたリーダーは、ファブリック走行を通して引かれる。製紙機のファブリックまたはベルトの端は、一緒にされ、シームによって結合されファブリックをエンドレスにする。リーダーは除去され、ファブリックは使える状態である。しかし、複数のロープまたはストラップは、ファブリック走行において静止機器で動きが取れなくなることがあり、ファブリックを裂いてこれを損傷するのでなければ、困難な時間のかかる設置を発生させる。
【0017】
業界で現在使用されているリーダーの中には、台形を形成するために除去された頂点を有し、二等辺三角形のように形状づけられたものもある。リーダーは、典型的に、織られた材料から作られるが、材料は不織であることも可能である。リーダーの基部はジッパーを有し、これを使用してリーダーを、抄紙機に設置されているファブリックの端に取り付ける。ファブリックを機械に引くために1本のロープのみが頂点近傍に取り付けられるため、そのような設計は好適である。織られた材料から三角形が切り取られるときには、織りのヤーンシステムの一方は基部から頂点へまっすぐに行き、他方はそれに対して90度の角度である。
【0018】
図1のAは、先行技術のリーダー10の上面図である。リーダー10は、二等辺三角形のような形状であり、織られた材料から作られる。リーダー10の基部12は、その縁12に沿ったジッパーの一方の半体を有し、これを使用してリーダー10を、抄紙機に設置されているファブリックの端に取り付け、それに対してジッパーの他方の半体がファブリックまたはベルトに取り付けられる。製紙工場の人員は、穴14が設けられた頂点近傍にロープを取り付け、ファブリックを機械に引くことができる。織られた材料から三角形が切り取られるときには、織りのヤーンシステムの一方は基部から頂点へまっすぐに行き、他方はそれに対して90度の角度である。ロープが図1のBに示されたように引かれるときには、力が、リーダーおよび取り付けられたファブリック16にわたって不均一に分布され、ファブリック本体を側部18に束ねさせる。
【0019】
全幅の鋼バーは、良好な重量/張力分布のためにリーダーの基部に挿入されてもよい。しかし、バーは重く、厚く、時として、2つのプレスロールによってまたはシューと対向するロールとによって形成されたニップを通って進むことが困難である。
【0020】
この種類のリーダーでは、三角形/台形の頂点で4フィート幅(紙幅方向すなわちCD)鋼強化バーを備えてさえ、ロープが引かれるときに、リーダーのまわりにおよび取り付けられたファブリック本体にわたって、力が均一に分布される。上記頂点が引かれるときには、力の大半は、リーダーの中心4フィート上に分布される。これは、ファブリックの中心を一団にし、継ぎ合わせるのをより困難にし、抄紙機に引かれている間に、ファブリックまたはベルト16およびリーダー10の縁をドループ18および20にすることが多い。
【0021】
この種類のリーダーの欠点は、荷重が常にその中心下に集中されることである。これによって、リーダーの中心とそれに取り付けられたファブリックとの両方が、縁に導かれ、機械を通って引きながら、中心に波を形成し、設置中に走行を通ってファブリックを継ぎ合わせかつガイドするのをさらに困難にする。これは、ファブリック走行を通って引かれている間に、ファブリックの縁を垂れさせることが多い。いずれのファブリック縁ドループまたはバンチング/波打ち(すなわち、比較的平らなファブリックプロファイルからのいずれの逸脱)のため、ファブリックが、静止機器で動きが取れなくなることがあるか、または、2つのプレスロールの間に形成されたギャップを通って容易に通ることができないことがある。ロープを縁の下に挿入することによって、ファブリックとリーダーの縁との両方が垂れるのを補正しようと試みると、普通、結果として、縁が巻き上がり、折り重なることになり、これもまた望ましくない。
【0022】
オンマシン継ぎ合わせ可能なファブリックまたはベルトを設置するための上述の種類の方法および装置は、特定の利点を有するが、上記に検討したような結果として伴う不利点も有する。
【特許文献1】米国特許第5,306,393号明細書
【特許文献2】米国特許第5,429,719号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、製紙ファブリックの装着を補助するための装置である。装置は、ファブリックにわたって均一な荷重を形成しかつファブリックのシーム区域を損傷することなくファブリックを整列配置する問題に解決を与える。
【0024】
したがって、本発明の主な目的は、今まで述べられてきた装置の欠点を克服することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、より容易な設置および継ぎ合わせのためにファブリック製造に荷重を均一に分布する抄紙機にファブリックを設置するための装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
したがって、本発明は、ファブリックを製紙機械に設置するための多層ファブリック装着ハーネスである。装着ハーネスは、紙幅方向にファブリックの端に取り付ける支持剛性部材とその幅にわたって間隔をおいた複数の開口部とを備えた第1の部分を有する。第1の層は、自己整合ループを形成するために開口部を通って順次組み合わされたロープによって形成される。第2のロープは、第2の層用の自己整合ループを形成するために第1の層のループを通って順次組み合わされる。引きリングは、第2の層のループを集め、これを使用してファブリックを製紙機械に引く。
【0027】
本発明の他の態様は、引きリングがデルタ形状であってもよいことを含む。第1の部分は、織られたファブリックであってもよい。好ましくは、第1の部分の幅は、紙幅方向におけるファブリックの幅に釣り合っている。開口部はグロメットであることが好ましく、支持剛性部材は、第1の部分にわたって挿入された金属バーであることが好ましい。第1の部分は、ジッパー手段、ピンシーム、糸抜き、または、他の縫合方法によってファブリックに取り付けられてもよい。
【0028】
本発明の別の実施の形態は、好適な実施形態に類似した多層ファブリック装着ハーネスであるが、第1の層の自己整合ループを第2の層の自己整合ループに摺動可能にリンクさせる複数のロープスパンから構成されるスパニング層をさらに具備する。
【0029】
本発明をより完全に理解するために、下記の説明および添付の図面が参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
初めに、図2は、製紙機械のプレスセクションの側面図を示す。図3は、典型的な製紙機械の乾燥セクションの側面図を示す。これらのセクションに使用されるファブリックの経路は、その中に例示される。本発明を使用して、ファブリックをそのような製紙機械に装着する。
【0031】
本発明による多層ファブリック装着ハーネスは、ファブリックを抄紙機に装着するのを補助するためにリーダーに取り付けられたロープハーネスである。ハーネスは、セルフレベリングであり、少なくとも2つの層から作られ、各層は、連続した長さのロープから作られている。リーダーは、剛性部材によって横に支持される。たとえば、金属バーが、リーダーの幅全体を通って挿入されてもよい。ロープの第1の層(またはレベル)は、リーダーの一方の縁で開口部へロープを締め、リーダーの幅にわたって一連の開口部を通ってロープを緩く巻き付け、リーダーの他方の縁で開口部へロープの端を締めることによって、形成される。ロープの第2の層は、第1の層のループとプルリングとの間にロープを組み合わせることによって形成される。使用されるリングは、摩擦および抗力を減少するために、デルタ形状であることが好ましく、それは、張力下にもたらされたときにロープのループがリングの一方の側に束になるときに円形リングで発生してもよい。ロープの第1および第2の層を接続するための他の手段、たとえば、バー、各ループ交差点におけるリング、または、他の接続装置が使用されてもよい。
【0032】
次に、本発明の好適な実施形態が図4を参照して説明される。多層ファブリック装着ハーネスは、リーダー部分400と、第1のロープハーネス層430と、第2のロープハーネス層440と、プルリング450と、を具備する。リーダーは、織られたファブリック材料から作られることが好ましく、製紙機械に装着されるべきファブリックの端に紙幅方向に取り付けられる。リーダーは、その幅にわたって剛性支持部材410を有してもよい。この部材は、リーダー材料の上に折られたフラップ119によって作られたポケットまたはスリーブ内に挿入された金属バーであってもよい。部材は、リーダーの幅にわたって引き荷重を均一に分布するために十分なCD剛性を有するべきでありながら、製紙機械を通って容易に通るのに十分であるように薄く軽くなければならない。リーダーの幅にわたって、一連の均一に間隔をおいた開口部420またはグロメットがある。グロメットを使用して、リーダーをハーネスの第1のロープ層へ接続する。第1の層430は、ロープの一方の端をリーダーの端グロメットに取り付けることによって、形成される。次いで、ロープは、連続したグロメットを通って緩く組み合わされ、それによって、一連のループを形成する。次いで、ロープの端は、リーダーの他方の端で端グロメットに取り付けられる。第2の層440は、同様に、ロープの一方の端を第1の層の第1のループに取り付けることによって形成される。次いで、ロープは、連続した第1の層のループを通って緩く組み合わされ、それによって、第2の一連のループを形成する。次いで、ロープの端は、第1の層の最後のループに取り付けられる。第2の層のループは集められ、プルリング450を通って貫く。プルリングが封止リングである場合には、ループが形成されるときには第2の層のロープはリングを通って貫かなければならない。プルリングがリーダーから離れた方向に引かれるときには、絡み合った第1および第2の層のロープは張力をかける。絡み合ったループは固定して取り付けられないため(すなわち、単に互いに交差しているだけである)、ロープは摺動することができ、それによってハーネスが自己整合するのを可能にする。引く力は、自己整合ハーネスループによってリーダーにわたって分布される。ハーネスを引くために、別のロープがプルリングに取り付けられてもよい。
【0033】
リーダーは、その基部400で取付手段によってファブリックに取り付けられる。好適な実施形態において、リーダーはジッパーによってファブリックに取り付けられ、その半分は、リーダーの基部400に取り付けられる。ジッパーの他方の半分は、ファブリックの端にまたは端近くに取り付けられる。この目的に適切な他の手段もまたを使用されてもよい。
【0034】
あるいは、リーダーは、2002年6月21日に出願された米国特許出願第10/177,821号に開示されたような糸抜き区域によって取り付けられてもよく、その内容は、参照してここに組み込まれる。そのような糸抜き区域は、リーダーの幅に実質的に平行して走るものである。糸抜き区域はおよそ1”幅であり、複数の走行方向ヤーンから形成される。糸抜き区域は、リーダーの2つの固いファブリック部分を接続する。糸抜き区域は、ファブリックの端で、シームループまたは他のシーム機構の上に置かれる。次いで、ピントルが糸抜きおよびシームループを通って進んでもよく、それによって、リーダーの一方の側をファブリックに固定する。ひとたびファブリックが設置されると、ピントルは除去され、リーダーを取り外す。
【0035】
同様に、ハーネスロープをリーダーへ固定するために望ましいようなインターバルで開口部を形成するために、糸抜きが使用されてもよい。これによって、グロメットを使用せずに引きロープまたはケーブルの安定した取付を可能にし、引き操作中にファブリックにわたって均一な張力を可能にするために、そのように位置決めするのを可能にするが、それは、必要に応じて、使用中に再位置決めされることが可能であるからである。
【0036】
糸抜き区域をリーダーの幅全体にまたは実質的に幅全体に延在させることが好ましいが、必須ではないことに注意されたい。これは、ロープまたはケーブルを取り付けるべき区域に存在するだけであってもよい。これは、当然ながら、ある程度まで、使用中にロープまたはケーブルの再位置決めを限定し、様々な用途における張力の変化を調節する。糸抜き区域がリーダーの幅を延在する場合には、特定の用途のためにロープまたはケーブルの好適な場所をその上にマークすることが望ましい。
【0037】
糸抜き区域の走行方向ヤーンの数は、ファブリックを引くために必要な強さを提供するのに十分でなければならないが、ハーネスロープをそのような区域内に(およびそれを通って)挿入するのを不可能にするほど大きくてはいけないことに注意しなければならない。
【0038】
ファブリックが抄紙機に設置されるべきときには、リーダー400はファブリックに取り付けられ、ロープはプルリング450に取り付けられて、機械の構成要素を通ってそのまわりにファブリックを引く。ハーネスの設計および剛性支持部材のため、リーダーに加えられた荷重は、ファブリックにわたって均一に分布される。ファブリックの縁は垂れず、荷重の分布は非常に均一である。さらに、リーダーの設計のため、比較的重い荷重で繰り返し使用することが可能である。
【0039】
本発明による多層ロープハーネスの別の実施形態が、図5に示される。この実施形態による多層ファブリック装着ハーネスは、リーダー部分500と、第1のロープハーネス層530と、スパニング層560と、第2のロープハーネス層540と、プルリング550と、を具備する。リーダーは、その幅にわたって剛性支持部材510を有することが好ましい。リーダーの幅にわたって、一連の均一に間隔をおいた開口部520またはグロメットがある。第1および第2の層は、図4を参照して記載されたやり方と類似のやり方で形成される。しかし、図5に示されるように、複数のロープスパンから構成されたスパニング層が、第1の層の自己整合ループを第2の層の自己整合ループに摺動可能にリンクさせる。スパンは、ロープから作られることが好ましく、第1および第2の層のループを摺動可能に取り付けるためのループまたはリングを有する。引きロープがリーダーから離れた方向に引かれるときには、第1および第2の層の、および、スパニング層のロープが、張力をかける。スパンは固定して取り付けられないため、ロープは摺動することができ、それによってハーネスが自己整合することが可能になる。
【0040】
さらに、本発明において、ロープの長さは、ケーブルまたは編まれた/組まれたウェビング材料から作られてもよい。したがって、他の(ウェビング)材料をロープ材料代用にしてもよい。
【0041】
加えて、リーダーが織られたファブリック材料から作られる一方、強化されたおよび強化されていないスパンボンドを含む不織材料もまた使用されてもよい。編まれた材料を使用することもできる。三軸織材料を使用することもできる。
【0042】
ファブリックが平らであるため、本発明の設計は、荷重を均一して分布し、より容易な装着および継ぎ合わせを可能にする。リーダーはまた、ファブリックを平らに保ちサクションボックスまたはシャワー等の静止要素に接触するのを防止する荷重分布のため、ファブリックを機械に均一に引く。
【0043】
上記に対する修正は当業者には明らかであるが、本発明の範囲を超えて本発明にそのような修正をもたらすものではない。したがって、本発明の目的および利点は実現され、好適な実施形態が開示されここに詳細に記載されているが、その範囲はそれによって限定されるべきではなく、範囲は添付の特許請求の範囲のものによって決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】Aは先行技術のリーダーの上面図であり、Bは引かれた後の、Aのリーダーに取り付けられたファブリックの側面図である。
【図2】製紙に使用されるプレスセクションを例示する側面図である。
【図3】製紙に使用されるドライヤーセクションを例示する側面図である。
【図4】本発明による多層ロープハーネスの好適な実施形態の上面図である。
【図5】本発明による多層ロープハーネスの別の実施形態の上面図である。
【符号の説明】
【0045】
10 リーダー
12 リーダーの基部
14 穴
16 ファブリック
18 側部
20 側部
400 リーダー部分
430 第1の層
440 第2の層
500 リーダー部分
530 第1のロープハーネス層
540 第2のロープハーネス層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファブリックを製紙機械に設置するための多層ファブリック装着ハーネスであって、
第1の部分であって、紙幅方向に前記ファブリックの端に取り付けるための第1の取付縁と、紙幅方向に前記第1の部分の幅にわたって間隔をおいた複数の開口部と、前記第1の部分の全幅にわたる支持剛性部材と、を有する第1の部分と、
前記ハーネスの第1の層用の自己整合ループを形成するために前記複数の開口部を通って順次組み合わされた第1のロープであって、前記第1のロープの第1の端は前記第1の部分の第1の縁開口部に取り付けられ、前記第1のロープの第2の端は前記第1の縁開口部から前記第1の部分の他方の縁の第2の縁開口部に取り付けられる第1のロープと、
前記ハーネスの第2の層用の自己整合ループを形成するために前記第1の層の前記自己整合ループを通って順次組み合わされる第2のロープであって、前記第2のロープの第1の端は前記第1の層の第1のループに取り付けられ、前記第2のロープの第2の端は前記第1の層の最後のループに取り付けられる第2のロープと、
前記ファブリックを前記製紙機械に引く際に使用されるために、前記第2の層の前記自己整合ループを集める引きリングと、
を具備する、多層ファブリック装着ハーネス。
【請求項2】
前記引きリングはデルタ形状である、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。
【請求項3】
前記第1の部分は織られたファブリックである、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。
【請求項4】
前記第1の部分の前記幅は、紙幅方向における前記ファブリックの幅に釣り合っている、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。
【請求項5】
前記開口部はグロメットである、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。
【請求項6】
前記開口部は糸抜き区域によって形成される、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。
【請求項7】
前記支持剛性部材は、前記第1の部分の前記幅にわたって挿入された金属バーである、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。
【請求項8】
前記第1の部分は、ジッパー手段によって前記ファブリックに取り付けられるか、または、ファブリックループに縫合される/ピン止めされる、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。
【請求項9】
前記第1の部分は、糸抜き区域によって前記ファブリックに取り付けられる、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。
【請求項10】
前記第1の層の前記自己整合ループを前記第2の層の前記自己整合ループに摺動可能にリンクさせる複数のロープスパンから構成されるスパニング層をさらに具備する、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。
【請求項11】
前記第1および第2のロープは、ロープ材料の代わりにウェビング材料から作られてもよい、請求項1に記載のファブリック装着ハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−506553(P2006−506553A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553493(P2004−553493)
【出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/034338
【国際公開番号】WO2004/046461
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(591097414)アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】