説明

ファンヒータ

【課題】燃料や燃料の不完全燃焼により発生する臭い、その他の室内の臭いを除去でき、また室内のウイルス等を不活化できるファンヒータを提供する。
【解決手段】一端に温風吹出口4を有すると共に他端に外気吸込口3を有する通気路9を備える。通気路9に燃料燃焼部12で発生した燃焼ガスを温風吹出口4から吹き出すファン10を設ける。放電電極16に高電圧を印加することで放電電極16の放電部16bに保持される水を静電霧化して帯電微粒子水を生成する静電霧化装置14を備える。静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を通気路9に供給する供給手段15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料を燃焼するための燃料燃焼部を備えたファンヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石油ファンヒータやガスファンヒータ等のファンヒータが暖房装置として利用されている。一般的なファンヒータは例えば特許文献1のように一端に外気吸込口を設けると共に他端に温風吹出口を設けた通気路を備え、通気路に燃料燃焼部及び該燃料燃焼部で発生した燃焼ガスを温風吹出口から吹き出すファンを設けている。
【0003】
ところでこの種のファンヒータは燃料燃焼部で燃料を燃焼するものであるので、燃料や、燃料燃焼の開始時(点火時)や燃料燃焼の終了直後に生じる不完全燃焼により発生する臭いが室内に居る使用者にとっては不快となる。また室内には前記ファンヒータが発する臭いの他にも、体臭や、食品、料理、タバコなどの生活臭、カーテンやソファに染み付いた付着臭等の臭いも存在し、さらに冬場の低湿環境での活動が活発になるインフルエンザなどのウイルス、花粉、ノミやダニの屍骸等のアレルゲン、カビや一般生菌等も存在し、これらも室内環境を悪化させる要因となる。
【0004】
ここで特許文献1に示すファンヒータにはマイナスイオン発生装置を設けてあり、マイナスイオン発生装置で発生させたマイナスイオンにより室内に居る人にリラックス効果を与えるようになっているが、上記室内環境を改善できるものではい。
【特許文献1】特開2005−61672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、不完全燃焼により発生する臭いや、燃料自体から発する臭い、その他室内の臭いを除去でき、また室内のウイルス等を不活化できるファンヒータを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載のファンヒータは、一端に温風吹出口4を有すると共に他端に外気吸込口3を有する通気路9を備え、通気路9に燃料燃焼部12で発生した燃焼ガスを温風吹出口4から吹き出すファン10を設けたファンヒータにおいて、放電電極16に高電圧を印加することで放電電極16の放電部16bに保持される水を静電霧化して帯電微粒子水を生成する静電霧化装置14と、該静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を通気路9に供給する供給手段15を備えて成ることを特徴とする。上記静電霧化装置14及び供給手段15を備えることで、静電霧化装置14で生成した脱臭効果や除菌効果の高い帯電微粒子水をファンヒータの暖房運転時や暖房運転の前後に通気路9に供給することができ、またこの帯電微粒子水をファン10による送風に乗せて室内に広く行き渡らせることができる。
【0007】
また通気路9はファン10よりも下流側で主流路41とバイパス路42に分岐し、主流路41に前記燃料燃焼部12で発生した燃焼ガスを供給すると共に該主流路41の燃焼ガスが供給される部分よりも下流側にバイパス路42の下流端を接続し、該バイパス路42に静電霧化装置14の放電電極16の放電部16bを配設することも好ましい。バイパス路42に放電電極16の放電部16bを配設してあるので、ファンヒータの暖房運転時に静電霧化を生じさせる時には放電電極16の放電部16bの近傍に燃焼ガスが混合される前の温度の低い空気を通過させることができ、放電電極16の放電部16bに保持された水や放電部16bで生じた帯電微粒子水が蒸発し難くなる。
【0008】
また請求項3に記載のファンヒータは、一端に温風吹出口4を有すると共に他端に外気吸込口3を有する通気路9を備え、通気路9に燃料燃焼部12で発生した燃焼ガスを温風吹出口4から吹き出すファン10を設けたファンヒータにおいて、放電電極16に高電圧を印加することで放電電極16に保持される水を静電霧化して帯電微粒子水を生成する静電霧化装置14と、該静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水をファンヒータの外部に供給する供給手段15を備えて成ることを特徴とする。上記静電霧化装置14及び供給手段15を備えることで、静電霧化装置14で生成した脱臭効果や除菌効果の高い帯電微粒子水をファンヒータの暖房運転時や暖房運転の前後にファンヒータの外部に供給して、室内に広く行き渡らせることができる。
【0009】
また請求項4に記載のファンヒータは、一端に温風吹出口4を有すると共に他端に外気吸込口3を有する通気路9を備え、通気路9に燃料燃焼部12で発生した燃焼ガスを温風吹出口4から吹き出すファン10を設けたファンヒータにおいて、放電電極16に高電圧を印加することで放電電極16に保持される水を静電霧化して帯電微粒子水を生成する静電霧化装置14を備え、該静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を通気路9に供給するための通気路側供給口45とファンヒータの外部に供給するための外部側供給口46を備え、燃料燃焼部12による燃料燃焼時には静電霧化装置14で発生させた帯電微粒子水を外部側供給口46を介してファンヒータの外部に供給すると共に、燃料燃焼部12の非燃焼時には静電霧化装置14で発生させた帯電微粒子水を通気路側供給口45を介して通気路9に供給する供給手段15を設けて成ることを特徴とする。上記静電霧化装置14及び供給手段15を備えているので、燃料燃焼部12による燃料燃焼時(即ちファンヒータの暖房運転時)には静電霧化装置14で生成した脱臭効果や除菌効果の高い帯電微粒子水を外部側供給口46を介してファンヒータの外部に供給して室内に広く行き渡らせることができる。また燃料燃焼部12の非燃焼時(即ちファンヒータの暖房運転の前後)には静電霧化装置14で生じた脱臭効果や除菌効果の高い帯電微粒子水を通気路側供給口45を介して通気路9に供給することができ、また該帯電微粒子水をファン10により室内に広く行き渡らせることができる。
【0010】
また少なくとも前記燃料燃焼部12による燃料燃焼の終了から所定時間が経過するまでの間、静電霧化装置14による帯電微粒子水の生成及び該生成した帯電微粒子水の前記供給手段15による供給を行う制御部39を設けることも好ましい。燃料燃焼部12による燃料燃焼の終了後に特に発生しやすい燃料の不完全燃焼による臭いを静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水により除去できる。
【0011】
また少なくとも前記燃料燃焼部12による燃料燃焼時及び燃料燃焼の終了から所定時間が経過するまでの間、静電霧化装置14による帯電微粒子水の生成及び該生成した帯電微粒子水の前記供給手段15による供給を行い、前記燃料燃焼部12の燃料燃焼の終了から所定時間が経過するまでの間における静電霧化装置14の単位時間当たりの霧化量を燃料燃焼部12による燃料燃焼時よりも増加させる制御部39を設けることも好ましい。特に燃料燃焼部12による燃料燃焼の終了後に特に発生しやすい燃料の不完全燃焼による臭いを静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水により効率良く除去できる。
【0012】
また燃料燃焼部12による燃料燃焼の開始よりも所定時間前に静電霧化装置14による帯電微粒子水の生成及び該生成した帯電微粒子水の前記供給手段15による供給を開始する制御部39を設けることも好ましい。燃料燃焼部12による燃料燃焼の開始直後に発生しやすい燃料の不完全燃焼による臭いを静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水により除去できる。
【0013】
またファンヒータの外部の湿度を検知するための湿度検知手段を備え、該湿度検知手段で検知した湿度に基づいて静電霧化装置14の動作時における単位時間当たりの霧化量を調節する制御部39を設けることも好ましい。このように制御することで、例えば検知した室内の湿度が低くウイルスが活動しやすい場合には静電霧化装置14の単位時間当たりの霧化量を増加させるといった制御を行い、インフルエンザや風邪などの感染を効率良く防ぐことができる。
【0014】
また前記ファン10による単位時間当たりの送風量を可変とし、静電霧化装置14の動作時における単位時間当たりの霧化量をファン10の単位時間当たりの送風量に基づいて調節する制御部39を設けることも好ましい。このように制御することで、ファン10の単位時間当たりの送風量が大きく室内の隅々にまで帯電微粒子水を拡散させることが可能な時に静電霧化装置14の単位時間当たりの霧化量を増加させるといった制御を行い、静電霧化装置14で生じた帯電微粒子水を効率良く利用できる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、ファンヒータの暖房運転時や暖房運転の前後に静電霧化装置で生成した帯電微粒子水を通気路に供給し、該帯電微粒子水をファンにより室内に広く行き渡らせることができ、この帯電微粒子水により室内の生活臭の脱臭を行い、ウイルス、アレルゲン、カビや一般生菌等を不活化でき、また温風吹出口から室内に吹き出される空気に含まれた燃料や燃料の不完全燃焼によって生じる臭いも除去でき、またこの臭いは通気路内に供給した帯電微粒子水により発生元となる燃料燃焼部に近い位置で効果的に除去できる。
【0016】
また請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明の効果に加えて、暖房運転時に静電霧化を生じさせる場合、放電電極の放電部の近傍に燃焼ガスによって加熱されていない温度の低い空気を通過させることができ、放電電極の放電部に保持された水や放電部で生じた帯電微粒子水が蒸発し難くなり、静電霧化装置により帯電微粒子水を効率良く生成できる。
【0017】
また請求項3に係る発明では、ファンヒータの暖房運転時や暖房運転の前後に静電霧化装置で生成した帯電微粒子水をファンヒータの外部に供給して室内に広く行き渡らせることができ、この帯電微粒子水により室内の生活臭の脱臭を行い、ウイルス、アレルゲン、カビや一般生菌等を不活化でき、また温風吹出口から室内に吹き出される空気に含まれた燃料や燃料の不完全燃焼によって生じる臭いを除去できる。
【0018】
また請求項4に係る発明では、燃料燃焼部による燃料燃焼時(即ちファンヒータの暖房運転時)には静電霧化装置で生成した帯電微粒子水を外部側供給口を介してファンヒータの外部である室内に供給し、また燃料燃焼部の非燃焼時(暖房運転の前後)には静電霧化装置で生じた帯電微粒子水を通気路側供給口を介して通気路に供給し、ファンによる送風に乗せて室内に広く行き渡らせることができ、このように室内に供給された帯電微粒子水により室内の生活臭の脱臭を行い、ウイルス、アレルゲン、カビや一般生菌等を不活化でき、またこの場合、温風吹出口から室内に吹き出される空気に含まれた燃料や燃料の不完全燃焼によって生じる臭いを除去できる。また非燃焼時には通気路内に供給した帯電微粒子水により燃料や燃料の不完全燃焼によって生じる臭いを発生元となる燃料燃焼部に近い位置で効果的に除去できる。
【0019】
また請求項5に係る発明では、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係る発明の効果に加えて、燃料燃焼部による燃料燃焼の終了後に特に発生しやすい不完全燃焼による臭いを静電霧化装置で生成した帯電微粒子水により除去できる。
【0020】
また請求項6に係る発明では、請求項5に係る発明の効果に加えて、特に燃料燃焼部による燃料燃焼の終了後に特に発生しやすい不完全燃焼による臭いを静電霧化装置で生成した帯電微粒子水により効率良く除去できる。
【0021】
また請求項7に係る発明では、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に係る発明の効果に加えて、燃料燃焼部による燃料燃焼の開始直後に発生しやすい不完全燃焼による臭いを静電霧化装置で生成した帯電微粒子水により除去できる。
【0022】
また請求項8に係る発明では、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に係る発明の効果に加えて、例えば検知した室内の湿度が低くウイルスが活動しやすい場合には静電霧化装置の単位時間当たりの霧化量を増加させるといった制御を行って、インフルエンザや風邪などの感染を効率良く防ぐことができる。
【0023】
また請求項9に係る発明では、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に係る発明の効果に加えて、例えばファンの単位時間当たりの送風量が大きく室内の隅々にまで帯電微粒子水を拡散させることが可能な時に静電霧化装置の単位時間当たりの霧化量を増加させるといった制御を行って、静電霧化装置で生じた帯電微粒子水を効率良く利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。本実施形態の一例のファンヒータは燃料燃焼部12で燃焼する燃料として石油を用いる石油ファンヒータであって、図1に示すように外郭を室内の床上に設置される筐体1で構成している。筐体1には前後に貫通する風洞部2を形成してあり、筐体1の背面部から開口する風洞部2の一端開口で外気吸込口3を構成し、筐体1の前面部1aから開口する風洞部2の他端開口で温風吹出口4を構成している。なお温風吹出口4には上下方向に複数並設した羽板からなるルーバ6を設けてあり、また外気吸込口3には通風可能なカバー7を設けている。
【0025】
風洞部2の底壁部上には燃焼室として上端を閉塞した筒状の燃焼塔8を立設してあり、風洞部2内の燃焼塔8内を除く空間部分で通気路9を構成している。即ち通気路9は一端に温風吹出口4を有すると共に他端に外気吸込口3を有している。通気路9の外気吸込口3側の端部(即ち上流側端部)にはプロペラファンからなるファン10を配設してあり、ファン10を運転することで筐体1の外部の空気が外気吸込口3から通気路9内に吸い込まれ温風吹出口4から吹き出される。
【0026】
燃焼塔8の下方に位置する筐体1の下部には燃焼装置として燃料を燃焼するバーナ11を内装してあり、該バーナ11と燃焼塔8で燃料燃焼部12を構成している。燃焼塔8の外気吸込口3と反対側の面である前面の上端部には排気口13を形成してあり、バーナ11による燃焼塔8内の燃料燃焼で生じた燃焼ガスは排気口13を介して前方の通気路9に供給される。なお燃料燃焼部12には図示しない点火手段及び消化手段を設けてあり、燃料燃焼の開始及び終了は筐体1に内装した制御部39(図4参照)によって制御される。
【0027】
ここで本例のファンヒータは、静電霧化装置14と、該静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を通気路9に供給する供給手段15を備えている。
【0028】
図3に静電霧化装置14の概略構成図を示す。静電霧化装置14は放電電極16に高電圧を印加することで放電電極16に保持される水を静電霧化して帯電微粒子水を生成するもので、放電電極16及び対向電極17を備えた霧化ブロック18と、放電電極16に供給された水を静電霧化するために放電電極16に高電圧を印加する高電圧印加部19と、ペルチェ冷却制御回路27を備えている。
【0029】
また静電霧化装置14は放電電極16に水を供給する水供給手段として放電電極16を冷却する冷却手段を備え、冷却手段により放電電極16の表面に空気中の水分を結露させて、放電電極16の放電部16bに静電霧化に利用される結露水を供給できるようになっている。
【0030】
冷却手段は霧化ブロック18に設けたペルチェユニット21で構成される。ペルチェユニット21は、熱伝導性の高いアルミナや窒化アルミニウムからなる絶縁板22の片面側に回路23を形成してある一対のペルチェ回路板24a、24bを、互いの回路23側が向かい合うように対向させ、多数列設してあるBiTe系の熱電素子25を両ペルチェ回路板24a、24b間で挟持すると共に隣接する熱電素子25同士を両側の回路23、23で電気的に接続してペルチェモジュール26を構成し、ペルチェ冷却制御回路27からペルチェ入力線28を介して為される熱電素子25への通電により一方のペルチェ回路板24a側から他方のペルチェ回路板24b側に向けて熱が移動するように設けたものであり、ペルチェモジュール26の一方の側が冷却側、他方の側が放熱側となる。
【0031】
ペルチェモジュール26の冷却側のペルチェ回路板24aの外側にはセラッミック、アルミナや窒化アルミニウム等からなり、高熱伝導性及び電気的絶縁性の高い冷却用絶縁板29を接続し、また放熱側のペルチェ回路板24bの外側にはアルミニウム等の金属からなる高熱伝導性の放熱板又は放熱フィンからなる放熱部30を接続している。冷却用絶縁板29のペルチェモジュール26と反対側の面には放電電極16を立設してあり、このように冷却用絶縁板29に接続された放電電極16はペルチェモジュール26の冷却側のペルチェ回路板24aに熱的に接続される。これにより前述のペルチェ冷却制御回路27により熱電素子25に通電を行うことで、ペルチェ回路板24aを介して放電電極16が冷却され、放電電極16の表面に静電霧化に利用される結露水が発生することとなる。
【0032】
上記放電電極16は胴や胴合金等の熱伝導性の良い材料により形成してあり、ペルチェモジュール26側の端部を除く主部16aは棒状に形成してある。放電電極16の主部16aの先端部は球状や先端が尖った錘状の部分を備え、その最先端が放電部16bとなり霧化部となる。
【0033】
放電電極16の主部16aの先端側の放電電極16に対向する位置にはステンレス(例えばSUS304)などの腐食に強い材料により形成された環状の対向電極17を配置してあり、該対向電極17の中央の孔17aの中心線上に放電電極16の放電部16bが位置している。対向電極17はペルチェモジュール26を覆う樹脂製のハウジング31により保持してあり、該ハウジング31はペルチェユニット21の放熱部30に螺子からなる固着具32で固着してある。そしてこのように一体化された放電電極16、対向電極17、ペルチェユニット21、ハウジング31により霧化ブロック18は構成されている。
【0034】
霧化ブロック18の放電電極16及び対向電極17は高電圧印加部19に夫々高圧リード線33を介して接続され、高電圧印加部19から放電電極16と対向電極17との間に高電圧が印加されるようになっている。
【0035】
上記静電霧化装置14で静電霧化を生じさせるには、ペルチェ冷却制御回路27によりペルチェユニット21の熱電素子25に通電した状態で高電圧印加部19により放電電極16と対向電極17に高電圧を印加する。これにより放電電極16の放電部と対向電極17との間で電界が形成されると共に放電電極16の先端に電界が集中し、放電電極16の先端の電荷が高密度となり、電荷の反発力で放電電極16の放電部の表面に保持された水が弾けて分裂・飛散(レーリー分裂)を繰り返して静電霧化が行われる。この静電霧化により粒径が3〜数十nm程度のナノメータサイズで強い電荷を持つ帯電微粒子水が発生し、該帯電微粒子水は放電電極16の先端側に位置する対向電極17の中央の孔17aから外部に放出される。ここで生成される帯電微粒子水は反応性に富む活性種(ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイド等の脱臭・除菌の源となる物質)を有し、この活性種の働きで臭気成分を除去でき、またウイルス、アレルゲン、カビや一般生菌等を不活化でき、また粒子径がナノメータサイズと非常に小さいため拡散しやすく、また浸透もしやすいものである。
【0036】
図2に示すようにファンヒータの筐体1の内部には通気路9に隣接する霧化装置収納部34を形成してあり、霧化装置収納部34内には静電霧化装置14の霧化ブロック18を収納している。霧化装置収納部34内の空間と通気路9内の空間を隔てる隔壁35は風洞部2の前壁部2aで構成してあり、該隔壁35の上下方向の中央部には供給口36を設けている。霧化ブロック18の放電電極16の先端及び対向電極17の孔17aは供給口36を介して通気路9内に臨み、霧化ブロック18で生成された帯電微粒子水は通気路9内に供給されるようになっている。即ち本例では霧化ブロック18及び供給口36で供給手段15を構成している。
【0037】
また前記隔壁35の一端部(上端部)及び他端部(下端部)には通気路9に連通する空気流入口37及び空気流出口38を設けてあり、空気流入口37は通気路9の排気口13に対応する位置又は排気口13よりも下流側の位置で開口し、また空気流出口38は通気路9の空気流入口37よりも下流側の位置で開口している。このためファン10の運転時には通気路9を流れる空気の一部が空気流入口37から霧化装置収納部34内に流入した後、空気流出口38から通気路9内に戻り、該霧化装置収納部34内の空間が通気路9のバイパスとして機能する。このように霧化ブロック18を収納した霧化装置収納部34内に通気路9からの空気を通過させることで、霧化装置収納部34内を流れる空気を霧化ブロック18の放熱部30の近傍に通過させて放熱部30を冷却でき、ペルチェユニット21による結露水の生成量を増加させ、静電霧化装置14による静電霧化を安定して生じさせることができる。
【0038】
上記ファンヒータを利用して暖房を行うには、使用者が筐体1の外面等に設けた動作開始/停止スイッチからなる操作部40を操作して図5に示すように制御部39に暖房開始の指令をする。制御部39は暖房開始指令の信号を受けると、まずファン10の運転を開始し、これと同時又は直後にペルチェ冷却制御回路27によりペルチェユニット21の熱電素子25に通電すると共に高電圧印加部19により放電電極16と対向電極17に高電圧を印加して静電霧化装置14の動作を開始する。これにより静電霧化装置14の霧化ブロック18においては静電霧化が生じ、放電電極16で生じた帯電微粒子水は供給口36から通気路9内に供給され、また該帯電微粒子水はファン10で生じた風に乗って温風吹出口4から室内に吹き出される。
【0039】
この後、制御部39は前記静電霧化装置14の動作の開始(即ち熱電素子への通電及び放電電極16及び対向電極17間への電圧印加)から所定時間後に燃料燃焼部12による燃料燃焼を開始して暖房運転を開始する。このように燃料燃焼部12及びファン10を同時に動作させると、燃焼塔8内で発生した燃焼ガスは排気口13から通気路9に供給され、ここでファン10により外気吸込口3から通気路9内に吸い込まれた空気と混合され、この後、温風吹出口4を介して温風として吹き出される。またこの暖房運転時においても静電霧化装置14の霧化ブロック18においては静電霧化が生じているので、放電電極16で生じた帯電微粒子水は供給口36から通気路9内に供給され、ファン10で生じた風と共に帯電微粒子水が温風吹出口4から室内に吹き出される。
【0040】
上記暖房運転を停止するには使用者が動作開始/停止スイッチからなる操作部40を操作して図5に示すように制御部39に暖房停止の指令をする。制御部39は暖房停止指令の信号を受けると、燃料燃焼部12での燃料燃焼を終了し、この所定時間後(好ましくは5分〜10分後)にペルチェ冷却制御回路27によるペルチェユニット21の熱電素子25への通電を停止すると共に高電圧印加部19による放電電極16と対向電極17間への電圧印加を停止して、静電霧化装置14の動作を終了し、該静電霧化装置14の動作の終了と同時又は直後にファン10を停止する。
【0041】
上記のように本例のファンヒータは、上記暖房運転時や暖房運転の前後における静電霧化装置14の動作時において、静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を供給手段15により通気路9に供給することができる。従ってこの暖房運転時及び暖房運転の前後における静電霧化装置14の動作時においては、ファン10により通気路9内を流れる空気に乗せて温風吹出口4から帯電微粒子水を室内に吹き出し、該帯電微粒子水を室内に広く行き渡らせることができ、この帯電微粒子水により室内の生活臭の脱臭を行い、ウイルス、アレルゲン、カビや一般生菌等を不活化でき、また温風吹出口4から室内に吹き出される空気に含まれた燃料や燃料の不完全燃焼によって生じる臭いも除去できる。しかも燃料や燃料の不完全燃焼によって生じる臭いは通気路9内に供給した帯電微粒子水により臭いの発生元となる燃料燃焼部12(燃焼塔8)に近い位置で効果的に除去できる。
【0042】
また本例では放電電極16に水を供給する水供給手段をペルチェユニット21で構成してあるので、帯電微粒子水の基となる水を補充する必要がなく手間が省ける。また静電霧化装置14の動作時には暖房運転時や暖房運転の前後のいずれにおいても、霧化ブロック18の放熱部30をファン10により霧化装置収納部34内に流入させた空気によって冷却できる。このため静電霧化装置14の動作時にはペルチェユニット21により放電電極16を確実に冷却でき、帯電微粒子水の基となる結露水を確実に生成できる。なお蒸気暖房運転時においては空気流入口37から霧化装置収納部34内に流入する空気は排気口13から出た燃焼ガスと混合した後のものでって温度は高いが、ペルチェユニット21による結露水生成時の放熱部30の温度よりも低く、即ち暖房運転時においても放熱部30は充分に冷却されるものである。
【0043】
なお、本例では暖房運転時及び暖房運転の前後において静電霧化装置14による帯電微粒子水の生成及び該生成した帯電微粒子水の供給手段15による供給を行うようにしたが、暖房運転時のみ、暖房運転の前のみ、暖房運転の後にのみ、加えて暖房運転時及び暖房運転の前、暖房運転時及び暖房運転の後、暖房運転の前後に、静電霧化装置14による帯電微粒子水の生成及び該生成した帯電微粒子水の供給手段15による供給を行うようにしても良い。
【0044】
図6及び図7に本発明のファンヒータの他例を示す。なお以下の説明では上記一例と同一の構成については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0045】
本例の通気路9はファン10よりも下流側で主流路41とバイパス路42に分岐している。主流路41は図1の一例における通気路9のファン10よりも下流側で且つ排気口13よりも上流側の位置よりも下流側の部分で構成される。即ち主流路41には排気口13を設けてあり、該排気口13を介して燃料燃焼部12で発生した燃焼ガスが供給されるようになっている。バイパス路42は筐体1の天面部1b及び前面部1aと天面部1b及び前面部1aの夫々に対向する風洞部2の天壁部2b及び前壁部2aとで形成される。バイパス路42の上流端となる一端は風洞部2の天壁部2bから開口し、風洞部2に連通している。またバイパス路42の下流端となる他端は風洞部2の前壁部2aから開口し、主流路41における排気口13よりも下流側に連通接続されている。
【0046】
上記筐体1内に形成されたバイパス路42には静電霧化装置14の霧化ブロック18を設けてあり、放電電極16の放電部16bはバイパス路42に配置されている。放電電極16の放電部16bで生成された帯電微粒子水は電圧印加により放電電極16及び対向電極17間に形成される電界の作用を受けて対向電極17の孔17aからバイパス路42に供給されるようになっている。即ち本例では霧化ブロック18で静電霧化装置14によって生成した帯電微粒子水を通気路9に供給する供給手段15を構成している。
【0047】
しかして本例のファンヒータにあっては、通気路9をファン10よりも下流側で主流路41とバイパス路42に分岐し、主流路41に燃料燃焼部12で発生した燃焼ガスを供給すると共に主流路41の燃焼ガスが供給される部分よりも下流側にバイパス路42の下流端を接続したので、ファン10の運転時には外気吸込口3から通気路9内に流入した空気は主流路41とバイパス路42に分かれる。このうち主流路41に流れた空気には排気口13から排出された燃焼ガスと混合され、またバイパス路42に流れた空気は霧化ブロック18の近傍を通過した後に主流路41に戻って前記燃焼ガスと混合された空気に合流し、この後、温風吹出口4から吹き出される。
【0048】
ここでバイパス路42には放電電極16の放電部16bを配設してあるので、暖房運転時においては、放電電極16の放電部16bの近傍に燃焼ガスによって加熱されていない温度の低い空気を通過させることができ、放電電極16の放電部16bに保持された水や放電部16bで生じた帯電微粒子水が蒸発し難くなり、静電霧化装置14により帯電微粒子水を効率良く生成できる。また本例のバイパス路42にはペルチェユニット21の放熱部30を配設しているので、放熱部30の近傍に燃焼ガスによって加熱されていない温度の低い空気を通過させることができ、ペルチェユニット21の放熱部30を効率良く冷却してペルチェユニット21による結露水の生成量を増加させることができる。
【0049】
図8及び図9に本発明のファンヒータの更に他例を示す。なお以下の説明では上記一例と同一の構成については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0050】
本例のファンヒータは一例の供給手段15に替えて静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を筐体1の外部に供給する供給手段15を備えている。
【0051】
ファンヒータの筐体1内には分岐路43を形成してあり、分岐路43は筐体1の天面部1b及び前面部1aと天面部1b及び前面部1aの夫々に対向する風洞部2の天壁部2b及び前壁部2aとで構成される。分岐路43の一端は風洞部2の天壁部2bから開口し、通気路9のファン10よりも下流側で且つ排気口13よりも上流側の位置に連通している。また分岐路43の他端は筐体1の前面部1aから開口して供給口44を構成し、該供給口44は筐体1の前面部1aに設けた温風吹出口4の直上に位置し、温風吹出口4と隣接している。
【0052】
上記通気路9から分岐した分岐路43の下流側端部には静電霧化装置14の霧化ブロック18を設けてあり、該霧化ブロック18の放電電極16の先端及び対向電極17の孔17aは供給口44を介して筐体1の外部前方に臨み、霧化ブロック18で生成された帯電微粒子水は供給口44から筐体1の外部に吐出され、通気路9を介して温風吹出口4から吹き出される空気に混合されるようになっている。即ち本例では霧化ブロック18及び分岐路43の供給口44で供給手段15を構成している。
【0053】
即ち本例のファンヒータにあっては、通気路9のファン10よりも下流側で且つ排気口13よりも上流側の位置から分岐した分岐路43を設け、分岐路43の下流端である供給口44を筐体1の外部に向けて開口してあるので、ファン10の運転時には、外気吸込口3から通気路9内に流入した空気は通気路9と分岐路43に分かれ、通気路9に流れた空気には排気口13から排出された燃焼ガスと混合され、また分岐路43に流れた空気は霧化ブロック18の近傍を通過した後に供給口44から吐出される。
【0054】
そして上記暖房運転時や暖房運転の前後の静電霧化装置14の動作時には、供給手段15により静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を筐体1の外部に供給して室内に広く行き渡らせることができ、この帯電微粒子水により室内の生活臭の脱臭を行い、ウイルス、アレルゲン、カビや一般生菌等を不活化できる。またこの場合、温風吹出口4から室内に吹き出される空気に含まれた燃料の臭いや燃料を不完全燃焼することによって生じる臭いを除去できる。また暖房運転時及び暖房運転の前後においては供給口44から吐出した帯電微粒子水を温風吹出口4から吹き出される空気に供給し、この空気に含まれる燃料の臭い等を効果的に除去できる。
【0055】
また本例では霧化ブロック18を分岐路43に設けて放電電極16の放電部16bを分岐路43に配設しているので、暖房運転時の静電霧化装置14の動作時においては、放電電極16の放電部16bの近傍に燃焼ガスによって加熱されていない温度の低い空気を通過させることができ、放電電極16の放電部16bに保持された水や放電部16bで生じた帯電微粒子水が蒸発し難くなり、帯電微粒子水を効率良く生成できる。また本例の分岐路43にはペルチェユニット21の放熱部30を配設しているので、放熱部30の近傍に燃焼ガスによって加熱されていない温度の低い空気を通過させることができ、ペルチェユニット21の放熱部30を効率良く冷却してペルチェユニット21による結露水の生成量を増加させ、霧化量を増加することができる。
【0056】
なお図8及び図9の例では帯電微粒子水を吐出する供給口44を温風吹出口4の開口方向と同じ前方に開口したが、図10に示すように温風吹出口4の前方部に向けて下方に開口させ、供給口44から吐出した帯電微粒子水を温風吹出口4から吹き出される空気に供給させるようにしても良い。
【0057】
図11及び図12に本発明のファンヒータの更に他例を示す。なお以下の説明では上記一例と同一の構成については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0058】
本例のファンヒータには静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を通気路9に吐出するための通気路側供給口45と筐体1の外部に吐出するための外部側供給口46を備え、また暖房運転時(即ち燃料燃焼部12による燃料燃焼時)には静電霧化装置14で発生させた帯電微粒子水を外部側供給口46を介して筐体1の外部に吐出すると共に、暖房運転の前後における静電霧化装置14の動作時(即ち燃料燃焼部12の非燃焼時)には静電霧化装置14で発生させた帯電微粒子水を通気路側供給口45を介して通気路9に吐出する供給手段15を設けている。
【0059】
詳述すると、本例の筐体1内には上記図8に示す例と同様に分岐路43を形成してあり、分岐路43は筐体1の天面部1b及び前面部1aと天面部1b及び前面部1aの夫々に対向する風洞部2の天壁部2b及び前壁部2aとで構成される。分岐路43の一端は風洞部2の天壁部2bから開口し、通気路9のファン10よりも下流側で且つ排気口13よりも上流側の位置に連通している。また分岐路43の他端は筐体1の前面部1aから開口して外部側供給口46を構成している。外部側供給口46は筐体1の前面部1aに設けた温風吹出口4の直上に位置し、温風吹出口4と隣接している。
【0060】
分岐路43の外部側供給口46よりもやや上流側の位置(風洞部2の前壁部2a)には通気路9の排気口13よりも下流側で且つ温風吹出口4よりも上流側に位置に連通する通気路側供給口45を形成してあり、分岐路43は通気路側供給口45を介して通気路9に通じる経路と、外部側供給口46を介して筐体1の外部へ流れる経路とに分岐している。
【0061】
分岐路43の通気路側供給口45よりも上流側には静電霧化装置14の霧化ブロック18を設けている。霧化ブロック18の放電電極16の先端及び対向電極17の孔17aは下方を向き、この方向はファン10によって分岐路43を流れる空気の流れ方向と同一の方向である。
【0062】
分岐路43において霧化ブロック18の下流側で且つ霧化ブロック18からの帯電微粒子水の放出方向となる下方には流路を切替える手段として回動自在の羽根47を設けてあり、制御部39は羽根47の回動角度を変更することで分岐路43内を流れてきた空気及び霧化ブロック18から放出された帯電微粒子水を通気路側供給口45側又は外部側供給口46側のいずれか一方に切替えて供給できるようになっている。
【0063】
上記霧化ブロック18で生成された帯電微粒子水は放電電極16の放電部16bから下方に放出され、この帯電微粒子水は羽根47により分岐路43の経路を通気路側供給口45側に切替えた状態では通気路側供給口45を介して通気路9に供給され、また羽根47により分岐路43の経路を外部側供給口46側に切替えた状態では外部側供給口46を介して筐体1の外部に吐出され、温風吹出口4から吹き出される空気と混合される。
【0064】
そして制御部39は羽根47の回動を制御することで、燃料燃焼部12による燃料燃焼時(即ち上記暖房運転時)には静電霧化装置14で生じた帯電微粒子水を外部側供給口46を介して筐体1の外部に供給し、また燃料燃焼部12の非燃焼時(上記暖房運転の前後)には静電霧化装置14で生じた帯電微粒子水を通気路側供給口45を介して通気路9に供給するように設定してある。即ち本例では霧化ブロック18、羽根47、制御部39により供給手段15を構成している。
【0065】
しかして本例のファンヒータでは上記暖房運転時における静電霧化装置14の動作時には、供給手段15により静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を外部側供給口46を介して筐体1の外部に吐出して室内に広く行き渡らせることができ、この帯電微粒子水により室内の生活臭の脱臭を行い、ウイルス、アレルゲン、カビや一般生菌等を不活化できる。またこの場合、温風吹出口4から室内に吹き出される空気に含まれた燃料の臭いや燃料を不完全燃焼することによって生じる臭いを除去できる。また外部側供給口46から吐出した帯電微粒子水を温風吹出口4から吹き出される空気に供給し、この空気に含まれる燃料の臭い等を効果的に除去できる。
【0066】
また暖房運転の前後における静電霧化装置14の動作時には供給手段15により静電霧化装置14で生成した帯電微粒子水を通気路側供給口45を介して通気路9に吐出できる。従ってこの暖房運転の前後においては、ファン10により通気路9内を流れる空気に乗せて温風吹出口4から帯電微粒子水を室内に吹き出し、該帯電微粒子水を室内に広く行き渡らせることができ、この帯電微粒子水により室内の生活臭の脱臭を行い、ウイルス、アレルゲン、カビや一般生菌等を不活化できる。また温風吹出口4から室内に吹き出される空気に含まれた燃料や燃料を不完全燃焼することによって生じる臭いも除去できる。さらには通気路9内に帯電微粒子水を供給できるので、燃料燃焼部12で燃料を不完全燃焼することによって生じる臭いや、燃料自体から発する臭いを発生元となる燃料燃焼部12(燃焼塔8)に近い位置で効果的に除去できる。
【0067】
また本例では放電電極16の放電部16bを分岐路43に配設したので、静電霧化装置14で静電霧化を生じさせる場合、放電電極16の放電部16bの近傍に燃焼ガスによって加熱されていない温度の低い空気を通過させることができ、放電電極16の放電部16bに保持された水や放電部16bで生じた帯電微粒子水が蒸発し難くなり、静電霧化装置14により帯電微粒子水を効率良く生成できる。
【0068】
なお上記各例では制御部39により図5に示すように制御したが、制御部39により図13や、図14、図16に示すように制御しても良い。
【0069】
図13の例では、暖房運転後(即ち燃料燃焼部12の燃料燃焼の終了から所定時間が経過するまでの間)における静電霧化装置14の動作時の単位時間当たりの霧化量を暖房運転時(即ち燃料燃焼部12による燃料燃焼時)よりも増加させるようにしてある。このように制御することで、静電霧化装置14で生じた帯電微粒子水により燃料燃焼部12の燃料燃焼の終了から所定時間が経過するまでの間に不完全燃焼によって生じる臭いをより効率良く除去できる。なお上記図13や、以下の図14、図16の各例における静電霧化装置14で発生させる単位時間当たりの霧化量の調節は、高電圧印加部19によって放電電極16及び対向電極17間への印加電圧値を調節することや、放電電極16からの放電電流が増加するようにペルチェ冷却制御回路27による熱電素子25への通電量を変更して冷却割合を変更することで行われる。
【0070】
また図14に示す例のファンヒータは図15に示すようにファンヒータの外部(室内)の湿度を検知するための湿度検知手段として湿度センサ48を設けてあり、制御部39は暖房運転時において湿度センサ48によりファンヒータの外部の湿度を定期的に検知する。そしてここで検知した湿度が所定値(図示例では湿度40%)以上である場合には静電霧化装置14の動作時の単位時間当たりの霧化量を所定の値とし、また前記湿度センサ48で検知した湿度が前記所定値未満でない場合には静電霧化装置14の動作時の単位時間当たりの霧化量を前記湿度が所定値以上である場合よりも増加させ2倍程度とする。
【0071】
このように湿度検知手段で検知した湿度に基づいて静電霧化装置14の動作時における単位時間当たりの霧化量を調節することで、検知した室内の湿度が低くウイルスが活動しやすい場合には静電霧化装置14の単位時間当たりの霧化量を増加させてインフルエンザや風邪などの感染を効率良く防ぐことができ、本発明のように冬場で利用されるファンヒータにとっては特に有効である。
【0072】
また図16に示すファンヒータは図17に示すようにファンヒータの外部(室内)の温度を検知するための温度検知手段として温度センサ49を設けてあり、また筐体1の外面等に設けたスイッチからなる目標温度設定部50を備えている。制御部39は暖房運転時において温度センサ49で定期的に室内の温度を検知し、この検知した温度と目標温度設定部50により設定した温度を比較し、温度センサ49で検知した温度が目標温度設定部50により設定した温度よりも低い場合には、燃料燃焼部12による燃焼割合(燃料の単位時間当たりの燃焼量)及びファン10により発生させる単位時間当たりの送風量を増加し、また温度センサ49で検知した温度が目標温度設定部50により設定した温度よりも高い場合には燃料燃焼部12による燃焼割合及びファン10により発生させる単位時間当たりの送風量を減少するように設定してある。
【0073】
そしてこの暖房運転時における静電霧化装置14の動作時には図16のようにファン10により発生させる単位時間当たりの風量が所定値以下であるか否かを定期的に判定し、所定値以下である場合は静電霧化装置14の動作時の単位時間当たりの霧化量を所定の値とし、また所定値を超える場合は静電霧化装置14の動作時の単位時間当たりの霧化量を前記風量が所定値以上である場合よりも増加させる。
【0074】
このようにファン10による単位時間当たりの送風量を可変とし、静電霧化装置14の動作時における単位時間当たりの霧化量をファン10の単位時間当たりの送風量に基づいて調節することで、ファン10の単位時間当たりの送風量が大きく室内の隅々にまで帯電微粒子水を拡散させることが可能な時に静電霧化装置14の単位時間当たりの霧化量を増加させることができ、静電霧化装置14で生じた帯電微粒子水を効率良く利用できる。
【0075】
なお上記実施形態の各例ではファンヒータを石油ファンヒータとしたが、燃焼燃料として燃料ガスを用いるガスファンヒータであっても良い。また静電霧化装置14の水供給手段はペルチェユニット21で構成したが、例えば水供給手段をタンク等の水貯留部から搬送経路を介して放電電極16に水を搬送するものとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態の一例のファンヒータを示す側断面図である。
【図2】同上の要部拡大図である。
【図3】同上の静電霧化装置を概念的に示した断面図である。
【図4】同上のブロック図である。
【図5】同上のフローチャートである。
【図6】他例のファンヒータを示す側断面図である。
【図7】同上の要部拡大図である。
【図8】更に他例のファンヒータを示す側断面図である。
【図9】同上の要部拡大図である。
【図10】更に他例のファンヒータを示す要部拡大断面図である。
【図11】更に他例のファンヒータを示す側断面図である。
【図12】同上の要部拡大図である。
【図13】更に他例のファンヒータのフローチャートである。
【図14】更に他例のファンヒータのフローチャートである。
【図15】同上のファンヒータのブロック図である。
【図16】更に他例のファンヒータのフローチャートである。
【図17】同上のファンヒータのブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
3 外気吸込口
4 温風吹出口
9 通気路
10 ファン
12 燃料燃焼部
14 静電霧化装置
15 供給手段
16 放電電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に温風吹出口を有すると共に他端に外気吸込口を有する通気路を備え、通気路に燃料燃焼部で発生した燃焼ガスを温風吹出口から吹き出すファンを設けたファンヒータにおいて、放電電極に高電圧を印加することで放電電極の放電部に保持される水を静電霧化して帯電微粒子水を生成する静電霧化装置と、該静電霧化装置で生成した帯電微粒子水を通気路に供給する供給手段を備えて成ることを特徴とするファンヒータ。
【請求項2】
通気路はファンよりも下流側で主流路とバイパス路に分岐し、主流路に前記燃料燃焼部で発生した燃焼ガスを供給すると共に該主流路の燃焼ガスが供給される部分よりも下流側にバイパス路の下流端を接続し、該バイパス路に静電霧化装置の放電電極の放電部を配設して成ることを特徴とする請求項1に記載のファンヒータ。
【請求項3】
一端に温風吹出口を有すると共に他端に外気吸込口を有する通気路を備え、通気路に燃料燃焼部で発生した燃焼ガスを温風吹出口から吹き出すファンを設けたファンヒータにおいて、放電電極に高電圧を印加することで放電電極に保持される水を静電霧化して帯電微粒子水を生成する静電霧化装置と、該静電霧化装置で生成した帯電微粒子水をファンヒータの外部に供給する供給手段を備えて成ることを特徴とするファンヒータ。
【請求項4】
一端に温風吹出口を有すると共に他端に外気吸込口を有する通気路を備え、通気路に燃料燃焼部で発生した燃焼ガスを温風吹出口から吹き出すファンを設けたファンヒータにおいて、放電電極に高電圧を印加することで放電電極に保持される水を静電霧化して帯電微粒子水を生成する静電霧化装置を備え、該静電霧化装置で生成した帯電微粒子水を通気路に供給するための通気路側供給口とファンヒータの外部に供給するための外部側供給口を備え、燃料燃焼部による燃料燃焼時には静電霧化装置で発生させた帯電微粒子水を外部側供給口を介してファンヒータの外部に供給すると共に、燃料燃焼部の非燃焼時には静電霧化装置で発生させた帯電微粒子水を通気路側供給口を介して通気路に供給する供給手段を設けて成ることを特徴とするファンヒータ。
【請求項5】
少なくとも前記燃料燃焼部による燃料燃焼の終了から所定時間が経過するまでの間、静電霧化装置による帯電微粒子水の生成及び該生成した帯電微粒子水の前記供給手段による供給を行う制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のファンヒータ。
【請求項6】
少なくとも前記燃料燃焼部による燃料燃焼時及び燃料燃焼の終了から所定時間が経過するまでの間、静電霧化装置による帯電微粒子水の生成及び該生成した帯電微粒子水の前記供給手段による供給を行い、前記燃料燃焼部の燃料燃焼の終了から所定時間が経過するまでの間における静電霧化装置の単位時間当たりの霧化量を燃料燃焼部による燃料燃焼時よりも増加させる制御部を設けて成ることを特徴とする請求項5に記載のファンヒータ。
【請求項7】
燃料燃焼部による燃料燃焼の開始よりも所定時間前に静電霧化装置による帯電微粒子水の生成及び該生成した帯電微粒子水の前記供給手段による供給を開始する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のファンヒータ。
【請求項8】
ファンヒータの外部の湿度を検知するための湿度検知手段を備え、該湿度検知手段で検知した湿度に基づいて静電霧化装置の動作時における単位時間当たりの霧化量を調節する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のファンヒータ。
【請求項9】
前記ファンによる単位時間当たりの送風量を可変とし、静電霧化装置の動作時における単位時間当たりの霧化量をファンの単位時間当たりの送風量に基づいて調節する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のファンヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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