説明

ファースト・フード食品

【目的】 本考案はファースト・フード食品に関し、例えば駅の構内または溝外、広場、競技場等の野外、さらには劇場に設けた売店において販売し、簡易に食そうとするものである。
【構成】 空気を含む多数の空隙部3を有し、表皮近くに硬い皮殻部1aを形成したブレッド本体1内の収容部2に、液体状乃至は半流動状の食料品7を収容する構成にて販売の店頭にて簡単な調理にて供給し、ナイフ、フォーク等の器具を使用しないで食し、また保温性に富み、持ち運びに簡便である。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はファースト・フード食品に関し、例えば駅の構内または構外、広場、競技場等の野外、さらには劇場等に設けた売店において販売し、簡易に食そうとするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば駅の構内または構外、広場、競技場等の野外、さらには劇場等に設けた売店において販売し、食するファースト・フード食品としては、廉価に供給出来得るという条件を充足するほか、ハンバーガー、ホットドック、ポテトチップス等のように、販売を行う際に店先において加熱したり、揚げたりするだけの比較的簡単な調理方法を施すだけで足り、また店頭で食する際に、ナイフ、フォーク等の器具を使用しないで手で持って頬張るだけの比較的簡単な取扱で食するもの、または店先では何等の調理を施さずに製パン工場において生産されるものとしてサンドウィッチ、菓子パン等があった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながらハンバーガー、ホットドック、ポテトチップス等は、上記のように比較的簡単な調理方法を施すだけで器具を使用することなく比較的簡単な取扱で食することができる利点があるが、内容物自体が水分に欠けるので、牛乳、コーヒー、ジュース、スープ等の飲物と一緒に食することが多かった。
しかもハンバーガー、ホットドック等はパン部のほか、パン部に挟み込むための具の種類と量とに限りがあるので、単調な味しか味わうことができなかった。
【0004】
またハンバーガー、およびホットドック等は外側から内部まで全体的に暖め易いが、冬期等においては冷め易いという不都合があった。
【0005】
そこで本考案は、販売の店頭において比較的簡単な取扱で調理を行って供給することができ、飲物を格別に用意したり、ナイフ、フォーク等の器具を使用しなくても簡単な取扱で喉につかえることなく容易に食することができ、しかも断熱性に富み内部に収容した食料品が外気に影響されないようになし、また持ち運びも簡便に行おうとすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記課題に鑑みてなされたものであり、空気を含んだ多数の空隙部を有すると共に表皮近くは密なる皮殻とし、且つ表皮は硬めに形成したブレッド本体の内部部分をくり抜いて収納部と蓋部とを形成し、前記収納部内に液体状乃至は半流動状の食料品としてのクラム・チャウダー、クラブ・チャウダー、ビーフ・シチュー、カレーの何れかを収容するという手段を採用した。
【0007】
また本考案は、フランスパンの中身をくり抜いて形成され、一部が蓋となるブレッド本体の収容部に、液体状乃至は半流動状の食料品を収容するという手段を採用した。
【0008】
また本考案は、フランスパンの中身をくり抜いて形成され、一部が開閉自在な蓋を設けたブレッド本体の収納部内に液体状乃至は半流動状の食料品を収容するという手段を採用した。
【0009】
【作用】
空気を含む多数の空隙部を有することにより断熱性に富み、表皮近くに形成したブレッド本体の密で硬めの皮殻により保形性を有し、しかもブレッド本体の内部部分をくり抜いた収容部内に液体状乃至は半流動状の食料品を収容して食する。
【0010】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図1に従って説明する。
1はブレッド本体であり、このブレッド本体1は例えばフランスパンの内部部分をくり抜くことにより、内方に開口する収容部2を形成する。
そしてこのブレッド本体1は、製パン工場において焼かれることにより表皮近くに形成される密で中部部分よりも硬目で保形性を有した皮殻部1aと、この皮殻部1aの内側には内部部分をくり抜くことにより空気を含だ多数の空隙部3を有して断熱性を発揮するような比較的柔軟性に富んだスポンジ状部1bとから形成される。
【0011】
4は前記ブレッド本体1の上方部に形成される蓋であり、この蓋4は図1に示すように前記収容部2を横切るように切込み5を入れることにより形成され、しかも蓋4は連結部4aを介して前記ブレッド本体1に連結された状態でブレッド本体1に矢印イ方向に開閉可能に被冠されることにより容器の一部をなす。また蓋4は連結部4aを用いることなく、完全に切込み5を入れることにより、ブレッド本体1とは分離されるものをブレッド本体1の収容部2の上部に開閉可能に被冠するようにしてもよい。
【0012】
6は前記ブレッド本体1の収容部2の内側に形成される可食性膜であり、この可食性膜6としては加熱により凝固する卵白のほか、澱粉のり、ゼリー、バター、チーズ、アルギン酸カルシウムに水を加えて混練したもの、マンナンにカルシウムを加えて混練したもの等がある。
またこれらの可食性膜6は後記食料品7の味に調和するように、塩、砂糖、胡椒またはカレー等の香辛料等を混入させることもできる。
【0013】
7は前記ブレッド本体1の収容部2内に収容した液体状乃至は半流動状の食料品であり、この食料品7には蛤をベースとした蛤味のクラム・チャウダー、蟹をベースとした蟹味のクラブ・チャウダー、ビーフ・シチューのほかカレー等がある。またカレーにはビーフ・カレー、チキン・カレー、魚または魚介類をベースとしたシーフード・カレー、マッシュルーム・カレー等がある。
【0014】
本考案の一実施例は以上の構成からなり、例えば駅の構内または構外、広場、競技場等に設けた売店等にて販売し、食する場合には、例えばフランスパンにより形成されるブレッド本体1の収容部2内に加熱されり、冷やされたクラム・チャウダー、クラブ・チャウダー、ビーフ・シチュー、カレー等の液体状乃至半流動状の食料品7を収容して顧客に販売してもよいが、保存および運搬に適するようにするためにブレッド本体1の収容部2内に液体状乃至半流動状の食料品7を収容したものを冷凍することにより工場にて大量生産したものを前記売店等において加熱し、解凍処理して販売したり、さらに加熱して販売するようにしてもよい。
【0015】
このように液体状乃至は半流動状の食料品7が、フランスパンの中身をくり抜いたブレッド本体1の収容部2内に収容されているので、従来のホット・ドッグやハンバーガー等のファースト・フードに較べて水分に富む。従って、ブレッド本体1がフランスパンのように硬い場合でも、ジュース、牛乳、コーヒー等の飲物と一緒に飲み込まなくても喉につかえることなく容易に食すことができる。
【0016】
この際、ブレッド本体1の内側には加熱によって凝固して薄膜となる卵白のほか、澱粉のり、ゼリー、バター、チーズ、アルギン酸ナトリウムに水を加えて混練したもの、マンナンにカルシウムを加えて水で混混したもの等によりなる可食性膜6が形成されているので、液体状乃至は半流動状の食料品7はブレッド本体1には浸透せずに外部に洩れ出るのが防止される。この可食性膜6の厚みは食料品7の収容量や加熱温度を考慮して厚薄容易に加減することができる。
この可食性膜6に、食料品7と調和するような塩、胡椒、カレー等の香辛料や砂糖等の味覚品を混入しておけば、食料品7の味を損なうことなく、美味しく食することもできる。
【0017】
しかも食料品7は、蛤味のクラム・チャウダー、蟹味のクラブ・チャウダー、ビーフ・シチュー、カレーのように種類が豊富であるので、老若男女が自己の嗜好にあうものを選択して美味しく、食することができる。
この際、栄養のバランスを考えて野菜サラダ、フルーツサラダ、海草サラダ等のサラダ類とセット販売すれば、ビタミン、ミネラル、繊維素等を補充して採ることができる。
【0018】
また加熱した液体状または半流動状の前記食料品7は、空気を含んだ多数の空隙部3を有するスポンジ状部1bを内側に形成したブレッド本体1の収容部2内に収容されるので、断熱に富む。このため、冬期等、周囲の気温は低い場合においても食料品7は加熱されることにより冷めずに暖をとったり、また夏期等、周囲の気温が高い場合には食料品7を冷やして冷たい状態で食することができる。
【0019】
さらに液体状または半流動状の食料品7は、フランスパンの内部部分をくり抜いた残余物として表皮近くが密で且つ硬い皮殻部1aのブレッド本体1内に形成される収容部2に収容され、しかもブレッド本体1の上方には蓋4を開閉可能に設けることにより外気に触れないように包囲されているので、ブレッド本体1が容器自体になることにより保形性を発揮するとともに保温性に富んだ状態で食料品7が外部に溢れることなく持帰品として運搬できる。
【0020】
【考案の効果】
以上のように本考案は、販売の店頭において比較的簡単な取扱で調理を行って顧客に供給することができ、飲物を格別に用意したり、ナイフ、フォーク等の器具を使用しなくても簡単な取扱で食することができる。
しかも断熱性に優れ、外気に影響されないので冷めにくく、または冷やされた状態で食することができるとともに持ち運びにも簡便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す一部切欠正面図である。
【符号の説明】
1 ブレッド本体
1a 皮殻部
1b スポンジ状部
2 収容部
3 空隙部
4 蓋
5 切込み
6 可食性膜
7 食料品

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 空気を含んだ多数の空隙部を有すると共に表皮近くは密なる皮殻とし、且つ表皮は硬めに形成したブレッド本体の内部部分をくり抜いて収納部と蓋部とを形成し、前記収納部に液体状乃至は半流動状の食料品としてのクラム・チャウダー、クラブ・チャウダー、ビーフ・シチュー、カレーの何れかを収容することを特徴とするファースト・フード食品。
【請求項2】 フランスパンの中身をくり抜いて形成され、一部が蓋となるブレッド本体の収納部に、液体状乃至は半流動状の食料品を収容したことを特徴とするファースト・フード食品。
【請求項3】 フランスパンの中身をくり抜いて形成され、一部が開閉自在な蓋を設けたブレッド本体の収納部内に液体状乃至は半流動状の食料品を収容したことを特徴とするファースト・フード食品。
【請求項4】 前記ブレッド本体の収納部の内側に可食性膜を成形することにより前記食料品を前記ブレッド本体に対して浸透を防止可能に収容することを特徴とした請求項1、請求項2、または請求項3の何れかに記載のファースト・フード食品。
【請求項5】 前記可食性膜が卵白、澱粉のり、ゼリー、バター、チーズ、アルギン酸カルシウムに水を加えて混練したもの、またはマンナンにカルシウムを加えて水で混練したもの何れかであることを特徴とする請求項4に記載のファースト・フード食品。

【図1】
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【登録番号】第3002422号
【登録日】平成6年(1994)7月13日
【発行日】平成6年(1994)9月27日
【考案の名称】ファースト・フード食品
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平6−2861
【出願日】平成6年(1994)3月28日
【出願人】(594052962)株式会社太陽 (1)
【代理人】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外1名)