説明

フィスカルプリンター

【課題】新たなステータス表示器を設けることなく、無線通信モジュールのステータスを筐体の外部から知得することが可能なフィスカルプリンターを提供すること。
【解決手段】フィスカルプリンター1は、フィスカル制御モジュール31のステータスを表示する第2ステータス表示器13にGSM/GPRSモジュール32のステータスを表示させるセレクター33を備える。フィスカル制御モジュール31のフィスカル制御用CPU27はGSM/GPRSモジュール32の動作異常を検出する第1、第2動作異常検出部38、39と、セレクター33に切換制御信号Cを出力する表示制御部40を備える。動作異常が検出されると表示制御部40が切換制御信号Cの信号レベルを切り換えてセレクター33を制御し、ステータス表示器の表示をフィスカル制御モジュール31のステータスからGSM/GPRSモジュール32のステータスに切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信モジュールを搭載したフィスカルプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
フィスカルプリンターはPOSシステムのキャッシュレジスターに通信可能に接続されて使用され、キャッシュレジスターからの販売取引に関する情報に基づいてレシートを発行する。また、フィスカルプリンターは販売取引に関する情報から課税額の総計などを算出したフィスカル情報を生成し、このフィスカル情報を記憶保持する。フィスカルプリンターが記憶するべきフィスカル情報は各国の法律で定められている。
【0003】
このようなフィスカルプリンターは、特許文献1に記載されている。同文献のフィスカルプリンターは、印刷制御用のファームウェア等を記憶している印刷制御用メモリーおよび印刷制御用CPUを搭載するプリンターメイン基板(プリンター制御モジュール)と、フィスカルメモリーおよびフィスカルメモリー書き込み制御用CPUを搭載するフィスカルメモリー基板(フィスカル制御モジュール)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−276593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィスカル情報は税務鑑査用データなどとして用いられるので、フィスカルプリンターにはフィスカル情報の改竄を防止するための措置が講じられている。例えば、筐体に収納された回路基板に容易にアクセスすることができないように、筐体は金属製とされている。また、同様の理由から、通信インターフェース、電源コネクタ、プリンター制御モジュールのステータスを表示するステータス表示器、フィスカル制御モジュールのステータスを表示するステータス表示器等を設ける際に筐体に形成される穴の数は、可能な限り少なくなるように設計されている。さらに、製造工程において電子基板が筐体内に組み込まれてフィスカルプリンターが完成体となると、保護シールなどによる封緘が施され、その後に分解されることがないように保護される。
【0006】
近年、フィスカルプリンターにGSM(Global System for Mobile Communications)/GPRS(General Packet Radio Service)モジュールといった無線通信モジュールを搭載することを法律によって義務付けた国がある。ここで、無線通信モジュールをフィスカルプリンターに搭載する場合には、フィスカルプリンターの出荷時等において、無線通信モジュールが正常に動作するか否かを確認するために、筐体の外部から無線通信モジュールの動作を確認するための手段が必要となる。すなわち、フィスカルプリンターは完成体となった後に分解することができないので、その動作確認を外部から行う手段が必要となる。しかし、動作確認を行うために無線通信モジュール用の新たなステータス表示器を設けるとすれば、このステータス表示器用の穴を筐体に新たに形成しなければならないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、この点に鑑みて、無線通信モジュール用のステータス表示器を新たに設けることなく、無線通信モジュールのステータスを筐体の外部から知得することが可能なフィスカルプリンターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のフィスカルプリンターは、フィスカル情報を記憶保持するためのフィスカル制御モジュールと、前記フィスカル制御モジュールのステータスを表示するステータス表示器と、外部の機器と前記フィスカル制御モジュールとの間で無線通信を行うための無線通信モジュールと、前記フィスカル制御モジュールのステータスに換えて、前記無線通信モジュールのステータスを前記ステータス表示器に表示させるセレクターと、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、フィスカル制御モジュールのステータスを表示するステータス表示器に無線通信モジュールのステータスを表示させることができる。従って、無線通信モジュールのステータスを表示するためのステータス表示器を新たに設けなくても、無線通信モジュールの動作状態を筐体の外側から知得することができる。また、フィスカル制御モジュールのステータスを表示するステータス表示器は、フィスカルプリンターが標準的に搭載しているものであり、当該ステータス表示器の穴を筐体に新たに形成する必要がないので、外部からの電子基板へのアクセスによってフィスカル情報が改竄される危険性が高まることを回避できる。
【0010】
本発明において、前記無線通信モジュールの動作異常を検出するための動作異常検出部と、前記無線通信モジュールの動作異常が検出された場合に、前記セレクターを制御して前記ステータス表示器の表示を前記無線通信モジュールのステータスとする表示制御部と、を有することが望ましい。このようにすれば、無線通信モジュールに動作異常が発生したときに、無線通信モジュールのステータスをステータス表示器に表示させることができる。
【0011】
本発明において、前記フィスカル制御モジュールは、前記動作異常検出部および前記表示制御部を備えていることが望ましい。このようにすれば、フィスカル制御モジュールによって無線通信モジュールの動作異常を検出できる。
【0012】
本発明において、無線通信モジュールの動作異常を検出するためには、前記無線通信モジュールは、電力が供給されると一定電圧を出力する電圧出力部を備えており、前記動作異常検出部は、前記電圧出力部からの出力電圧を監視する電圧監視部と、前記出力電圧に基づいて前記無線通信モジュールに動作異常が発生しているか否かを判定する判定部とを備えている構成を採用することができる。
【0013】
本発明において、無線通信モジュールの動作異常を検出するためには、前記動作異常検出部は、前記無線通信モジュールに制御指令を送信する制御指令送信部と、前記制御指令に対する前記無線通信モジュールからの応答に基づいて当該無線通信モジュールに動作異常が発生しているか否かを判定する判定部とを備えている構成を採用することができる。
【0014】
本発明において、無線通信モジュールの動作異常を検出するためには、前記無線通信モジュールは、電力が供給されると一定周期の信号を出力する信号出力部を備えており、前記動作異常検出部は、前記信号出力部からの信号を監視して、前記信号が一定周期で検出されなかった場合に、前記無線通信モジュールに動作異常が発生していると判定する判定部とを備えている構成を採用することができる。
【0015】
本発明において、外部の機器と前記フィスカル制御モジュールとの間で有線通信を行うための有線通信モジュールを有し、前記表示制御部は、前記有線通信モジュールを介して外部の機器から供給された表示切換指令に基づいて前記セレクターを制御して、前記ステータス表示器の表示をフィスカル制御モジュールのステータスと前記無線通信モジュールのステータスとの間で切り換えることが望ましい。このようにすれば、出荷時における動作確認の際などに、フィスカルプリンターを完成体とした後にフィスカルプリンターと外部の機器を有線通信モジュールを介して接続して、外部の機器から表示切換指令を送信することにより、ステータス表示器に無線通信モジュールのステータスを表示させて、無線通信モジュールの動作検査を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フィスカル制御モジュールのステータスを表示するステータス表示器に無線通信モジュールのステータスを表示させることができる。従って、無線通信モジュールのステータスを表示するためのステータス表示器を新たに設けなくても、無線通信モジュールの動作状態を筐体の外側から知得することができる。また、フィスカル制御モジュールのステータスを表示するステータス表示器は、フィスカルプリンターが標準的に搭載しているものであり、当該ステータス表示器の穴を筐体に新たに形成する必要がないので、外部からの電子基板へのアクセスによってフィスカル情報が改竄される危険性が高まることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】フィスカルプリンターの制御系の主要部分を示す概略ブロック図である。
【図2】ステータスの表示切換動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したフィスカルプリンターの実施の形態を説明する。
【0019】
図1は本実施の形態に係るフィスカルプリンターの制御系の主要部分を示す概略ブロック図である。フィスカルプリンター1は、POSシステムを構成しているキャッシュレジスター等のコンピューター2に通信可能に接続されて使用される。フィスカルプリンター1は、コンピューター2の側から供給される販売取引に関する情報に基づいてレシートを発行する。また、フィスカルプリンター1は、レシートが発行される毎にレシートに印刷された決済情報であるレシート情報を記憶保持する。さらに、フィスカルプリンター1は、販売取引に関する情報から課税額の総計などを算出したフィスカル情報を生成し、このフィスカル情報を記憶保持する。
【0020】
フィスカルプリンター1は金属製の筐体3を備えている。筐体3には、インターフェース基板4、プリンター制御基板5、フィスカルメモリー基板6、フィスカル制御基板7、エレクトリックジャーナル制御基板8、無線通信制御基板9が収納されている。各基板4〜9は、それぞれに構成されている電子回路に物理的にアクセスすることができないように、エポキシ樹脂などで封止されている。筐体3には、電源コネクター10、通信インターフェース11、第1ステータス表示器12、第2ステータス表示器13、無線通信用のアンテナ14が取り付けられている。通信インターフェース11は、例えば、パラレル接続用のインターフェース、USB接続用のインターフェース、LANケーブル接続用のインターフェースなど、有線通信用のインターフェースである。第1ステータス表示器12および第2ステータス表示器13のそれぞれは、赤色、緑色、青色の各LEDがパッケージ化された1つのフルカラーLEDである。
【0021】
インターフェース基板4には、通信インターフェース11を介してコンピューター2との間で通信を行うためのインターフェース用CPU21が搭載されている。通信インターフェース11およびインターフェース基板4に構成されている電子回路は通信インターフェースモジュール22(有線通信モジュール)を構成している。
【0022】
プリンター制御基板5には、印刷制御用CPU23および印刷制御用のプログラム等が記憶されている印刷制御用ROM24が搭載されている。プリンター制御基板5に構成されている電子回路はプリンター制御モジュール25であり、このプリンター制御モジュール25は一般のプリンターと同様の印刷制御機能を備えている。プリンター制御モジュール25のステータス(動作状態)は第1ステータス表示器12に表示される。
【0023】
フィスカルメモリー基板6には、フィスカル情報を記憶保持するためのフィスカルメモリー26が搭載されている。フィスカルメモリー26は追記型の不揮発性メモリーであり、例えば、OTP−ROM(One Time Programmable Read Only Memory)やシリアルフラッシュメモリーが用いられている。
【0024】
フィスカル制御基板7には、フィスカル制御用CPU27および監視用CPU28が搭載されている。フィスカル制御用CPU27は、コンピューター2からの販売取引に関する情報に基づいてフィスカル情報を生成するとともに、生成したフィスカル情報をフィスカルメモリー26に記憶保持させる。監視用CPU28はフィスカル制御用CPU27の制御動作を監視しており、フィスカル情報の生成および記憶保持を行うためのプログラムが改竄された場合に、この改竄を検出する。
【0025】
エレクトリックジャーナル制御基板8には、レシート情報を記憶保持するためのエレクトリックジャーナルメモリー29およびエレクトリックジャーナルメモリー制御用CPU30が搭載されている。エレクトリックジャーナルメモリー制御用CPU30はフィスカル制御用CPU27からレシート情報を受け取り、このレシート情報をエレクトリックジャーナルメモリー29に記憶保持する。エレクトリックジャーナルメモリー29は追記型の不揮発性メモリーであり、例えば、OTP−ROM(One Time Programmable Read Only Memory)やNANDフラッシュメモリーが用いられている。
【0026】
ここで、フィスカルメモリー基板6およびエレクトリックジャーナル制御基板8に構成されている電子回路は、フィスカル情報の生成および記憶保持を行うためのフィスカル制御モジュール31を構成している。フィスカル制御モジュール31のステータスは第2ステータス表示器13に表示される。
【0027】
無線通信制御基板9には、GSM/GPRSモジュール(無線通信モジュール)32、セレクター33、および、タイマー回路(動作異常検出部)34が搭載されている。GSM/GPRSモジュール32はフィスカルプリンター1とコンピューター2を無線通信によって接続することを可能にする。GSM/GPRSモジュール32は、電力が供給されると、供給電圧よりも低い所定値の電圧を出力する電圧モニター(電圧出力部)35を備えている。また、GSM/GPRSモジュール32は、電力が供給されると、一定周期のパルス信号Pを出力する信号出力部36を備えている。
【0028】
セレクター33は、第2ステータス表示器13に、フィスカル制御モジュール31のステータスと、GSM/GPRSモジュール32のステータスを選択的に表示させるための電子回路である。セレクター33にはフィスカル制御用CPU27からフィスカル制御モジュール31のステータスを示す第1ステータス信号S1、および、GSM/GPRSモジュール32からGSM/GPRSモジュール32のステータスを示す第2ステータス信号S2が入力される。また、セレクター33には、フィスカル制御用CPU27およびタイマー回路34から切換制御信号Cが入力される。セレクター33からは、第1ステータス信号S1および第2ステータス信号S2のうち切換制御信号Cに基づいて選択されたいずれか一方のステータス信号が出力される。より具体的には、切換制御信号CとしてLOWレベルの信号が入力されている場合には、セレクター33から第1ステータス信号S1を出力し、HIGHレベルの信号が入力されている場合には、セレクター33から第2ステータス信号S2を出力する。セレクター33から出力されたステータス信号は第2ステータス表示器13に入力される。これにより、第2ステータス表示器13には、フィスカル制御モジュール31のステータス或いはGSM/GPRSモジュール32のステータスが表示される。
【0029】
タイマー回路34には、GSM/GPRSモジュール32からパルス信号Pが入力されている。タイマー回路34は、パルス信号Pを監視して、このパルス信号Pが一定周期で検出されなかった場合に、GSM/GPRSモジュール32に動作異常が発生していると判定する判定部37を備えている。本例では、GSM/GPRSモジュール32からは1秒間のLOWレベルのパルス信号Pが5秒周期で出力されている。判定部37は、GSM/GPRSモジュール32からLOWレベルのパルス信号Pが入力されるとタイマーによるカウントをクリアするものであり、タイマーのカウントが5秒周期でクリアされない場合に、GSM/GPRSモジュール32に動作異常が発生していると判定して、GSM/GPRSモジュール32の動作異常を検出する。
【0030】
また、判定部37は、セレクター33に対して切換制御信号Cを出力している。判定部37は、切換制御信号Cとして通常はLOWレベルの信号を出力しており、GSM/GPRSモジュール32の動作異常を検出するとこの切換制御信号CをHIGHレベルの信号に切り換える。タイマー回路34から出力される切換制御信号CがLOWレベルの信号からHIGHレベルの信号に切り換わることによって、セレクター33が制御され、第2ステータス表示器13の表示は、フィスカル制御モジュール31のステータスからGSM/GPRSモジュール32のステータスに切り換わる。
【0031】
ここで、フィスカル制御用CPU27(フィスカル制御モジュール31)は、通信インターフェースモジュール22、或いは、GSM/GPRSモジュール32を介して、コンピューター2の側から販売取引に関する情報の供給を受ける。また、フィスカル制御用CPU27は、取得した販売取引に関する情報に基づいて、レシートの印刷に必要な情報を印刷制御用CPU23に供給し、レシート情報をエレクトリックジャーナルメモリー制御用CPU30に供給する。これにより、レシートが発行され、レシート情報がエレクトリックジャーナルメモリー29に記憶保持される。さらに、フィスカル制御用CPU27は、販売取引に関する情報に基づいてフィスカル情報を生成し、このフィスカル情報をフィスカルメモリー26に記憶保持する。
【0032】
また、フィスカル制御用CPU27は、GSM/GPRSモジュール32の動作異常を検出するための第1動作異常検出部38および第2動作異常検出部39、並びに、セレクター33に切換制御信号Cを出力する表示制御部40を備えており、GSM/GPRSモジュール32の動作異常が検出された場合に、セレクター33を制御して、ステータス表示器の表示をフィスカル制御モジュール31のステータスからGSM/GPRSモジュール32のステータスに切り換える。
【0033】
第1動作異常検出部38は電圧モニター35からの出力電圧を監視する電圧監視部41と、この出力電圧に基づいてGSM/GPRSモジュール32に動作異常が発生しているか否かを判定する第1判定部42を備えている。第1判定部42はGSM/GPRSモジュール32が出力している電圧が所定値よりも低い場合、本例では、0Vの場合に、GSM/GPRSモジュール32がハードウエア異常に陥っていると判定して、GSM/GPRSモジュール32の動作異常を検出する。
【0034】
第2動作異常検出部39は、フィスカル制御用CPU27とGSM/GPRSモジュール32の間を接続しているUART(通信回路)を介してGSM/GPRSモジュール32に当該GSM/GPRSモジュール32を初期化する初期化指令を送信する制御指令送信部43と、初期化指令に対するGSM/GPRSモジュール32からの応答に基づいてGSM/GPRSモジュール32に動作異常が発生しているか否かを判定する第2判定部44を備えている。第2判定部44は、初期化指令に対して、GSM/GPRSモジュール32からの初期化が終了した旨の応答を待つ。そして、この応答が所定時間内にない場合に、GSM/GPRSモジュール32に通信不良が発生していると判定して、GSM/GPRSモジュール32の動作異常を検出する。
【0035】
表示制御部40は、切換制御信号Cとして通常はLOWレベルの信号を出力しており、第1動作異常検出部38および第2動作異常検出部39のうちの少なくとも一方によってGSM/GPRSモジュール32に動作異常が検出された場合に、切換制御信号CをHIGHレベルの信号に切り換える。表示制御部40から出力される切換制御信号CがLOWレベルの信号からHIGHレベルの信号に切り換わることによって、セレクター33が制御され、第2ステータス表示器13の表示は、フィスカル制御モジュール31のステータスからGSM/GPRSモジュール32のステータスに切り換わる。
【0036】
また、表示制御部40は、通信インターフェースモジュール22を介して外部の機器からフィスカル制御用CPU27に表示切換指令が供給された場合には、この表示切換指令に基づいて、切換制御信号Cの信号のレベルを、LOWレベルとHIGHレベルの間で切り換える。
【0037】
なお、外部の機器から供給される表示切換指令としては、第1表示切換指令と第2表示切換指令がある。第1表示切換指令は、第2ステータス表示器13にフィスカル制御モジュールのステータスを表示させるための指令であり、フィスカル制御用CPU27が第2表示切換指令の供給を受けた場合には、表示制御部40は切換制御信号CとしてLOWレベルの信号を出力する。第2表示切換指令は、第2ステータス表示器13にGSM/GPRSモジュール32のステータスを表示させるための指令であり、フィスカル制御用CPU27が第2表示切換指令の供給を受けた場合には、表示制御部40は切換制御信号CとしてHIGHレベルの信号を出力する状態を維持する。
【0038】
(フィスカルプリンター使用時におけるステータスの表示切換動作)
図2は第2ステータス表示器13におけるステータスの表示切換動作の一例を示すフローチャートである。フィスカルプリンター1に電源が投入されると、タイマー回路34およびフィスカル制御用CPU27の表示制御部40からは、切換制御信号CとしてLOWレベルの信号が出力される。これにより、セレクター33からはフィスカル制御モジュール31の第1ステータス信号S1が出力され、第2ステータス表示器13にはフィスカル制御モジュール31のステータスが表示される。また、フィスカルプリンター1に電源が投入されると、フィスカル制御用CPU27の第1動作異常検出部38は、GSM/GPRSモジュール32の電圧モニター35の出力電圧の値を確認する(ステップST1)。
【0039】
ここで、電圧モニター35の出力電圧が異常電圧(0V)の場合には(ステップST2)、第1動作異常検出部38はGSM/GPRSモジュール32がハードウエア異常に陥っていると判定する(ステップST3)。ハードウエア異常が検出されると、フィスカル制御用CPU27の表示制御部40は切換制御信号CとしてHIGHレベルの信号を出力し、セレクター33から出力されるステータス信号を第1ステータス信号S1からGSM/GPRSモジュール32の第2ステータス信号S2に切り換える(ステップST4)。これにより、第2ステータス表示器13にはGSM/GPRSモジュール32のステータスが表示される(ステップST5)。本例では、第2ステータス表示器13が予め定めた第1設定色で点灯して、GSM/GPRSモジュール32がハードウエア動作異常に陥っていることを知らせる。
【0040】
ステップST2において、電圧モニター35の出力電圧が所定の値の場合には、GSM/GPRSモジュール32の動作異常は検出されていないので、フィスカル制御用CPU27はGSM/GPRSモジュール32に初期化指令を送信し、GSM/GPRSモジュール32を初期化する(ステップST6)。
【0041】
ここで、初期化指令に対して所定時間内に応答がない場合には(ステップST7)、第2動作異常検出部39はGSM/GPRSモジュール32に通信不良が発生していると判定する(ステップST8)。通信不良が検出されると、フィスカル制御用CPU27の表示制御部40は、切換制御信号Cの信号レベルをLOWレベルからHIGHレベルに切り換えて、セレクター33から出力されるステータス信号を第1ステータス信号S1からGSM/GPRSモジュール32の第2ステータス信号S2に切り換える(ステップST9)。これにより、第2ステータス表示器13にはGSM/GPRSモジュール32のステータスが表示される(ステップST10)。本例では、第2ステータス表示器13が予め定めた第2設定色で点灯して、GSM/GPRSモジュール32がハードウエア異常に陥っていることを知らせる。
【0042】
ステップST7において、初期化指令に対して所定時間内に応答があった場合には、GSM/GPRSモジュール32の初期化が完了した状態となっている。初期化が完了すると、GSM/GPRSモジュール32は無線通信によって通信指令が入力されるのを待つスリープモードとなる(ステップST11)。また、GSM/GPRSモジュール32からはパルス信号Pが一定周期で出力される(ステップST12)。
【0043】
ここで、タイマー回路34の判定部37は、パルス信号Pが一定周期で出力されているかを監視しており(ステップST13)、5秒以内の周期的なパルス信号Pを確認できない場合には、GSM/GPRSモジュール32に動作異常が発生したと判定する(ステップST14)。動作異常が検出されると、タイマー回路34は切換制御信号Cの信号レベルをLOWレベルからHIGHレベルに切り換えて、セレクター33から出力されるステータス信号を第1ステータス信号S1からGSM/GPRSモジュール32の第2ステータス信号S2に切り換える(ステップST15)。これにより、第2ステータス表示器13にはGSM/GPRSモジュール32のステータスが表示される(ステップST16)。本例では、第2ステータス表示器13が予め定めた第3設定色で点灯して、GSM/GPRSモジュール32で動作異常が発生したことを知らせる。
【0044】
ステップST13において、タイマー回路34の判定部37が5秒以内の周期的なパルス信号Pを確認している場合には、LOWレベルのパルス信号Pが出力されるタイミングでGSM/GPRSモジュール32が周期的に動作モードとなり(ステップST17)、無線通信による通信指令を確認する(ステップST18)。
【0045】
ステップST19において、通信指令を確認(受信)した場合には、通信指令に基づく無線通信処理を行う(ステップST20)。しかる後に、スリープモードに戻り(ステップST11)、それ以降の動作を繰り返す。また、ステップST19において、通信指令を受信していない場合には、ステップST20の無線通信処理を行うことなくスリープモードに戻り(ステップST11)、それ以降の動作を電源が切断されるまで繰り返す。
【0046】
ここで、上記のステータスの表示切換動作とは別に、GSM/GPRSモジュール32の動作状態を確認する場合には、通信インターフェース11を介してフィスカルプリンター1に接続したコンピューター2などから、フィスカルプリンター1に第2表示切換指令を送信する。
【0047】
これによりフィスカル制御用CPU27の表示制御部40は、切換制御信号CとしてHIGHレベルの信号を出力する状態となり、第2ステータス表示器13にはGSM/GPRSモジュール32のステータスが表示される。従って、第2ステータス表示器13の表示によって、GSM/GPRSモジュール32の動作状態を確認できる。なお、GSM/GPRSモジュール32の動作状態およびフィスカル制御モジュール31の動作状態を確認した後に、通信インターフェース11を介してフィスカルプリンター1に接続したコンピューター2からフィスカルプリンター1に第1表示切換指令を送信すれば、第2ステータス表示器13にはフィスカル制御モジュール31のステータスが表示され、フィスカルプリンター1は、図2に示すステータスの表示切換動作を行うことが可能な状態に戻る。
【0048】
(作用効果)
本例によれば、フィスカル制御モジュール31のステータスを表示する第2ステータス表示器13にGSM/GPRSモジュール32のステータスを表示させることができる。従って、フィスカルプリンター1にフィスカル制御モジュール31のステータスを表示するためのステータス表示器を新たに設けなくても、フィスカル制御モジュール31の動作状態を筐体3の外部から知得することができる。また、新たにステータス表示器を設ける必要がないので、筐体3に新たな穴を形成する必要がなく、外部からの電子基板へのアクセスによってフィスカル情報が改竄される危険性が高まることを回避できる。さらに、GSM/GPRSモジュール32のステータスを表示するためにステータス表示器を新たに設ける必要がないので、消費電力の増加を抑制できる。
【0049】
なお、上記の例ではタイマー回路34はハードウエアによって実現されているが、フィスカル制御用CPU27において、ソフトウエアによって同様の機能を実現することもできる。また、上記の例においてインターフェース基板4に構成されて通信インターフェースモジュールを構成している電子回路は、フィスカル制御基板7上に構成されていてもよく、この場合には、通信インターフェースモジュール22とフィスカル制御モジュール31は一体に構成される。
【符号の説明】
【0050】
1・・フィスカルプリンター、2・・コンピューター、3・・筐体、4・・インターフェース基板、5・・プリンター制御基板、6・・フィスカルメモリー基板、7・・フィスカル制御基板、8・・エレクトリックジャーナル制御基板、9・・無線通信制御基板、10・・電源コネクター、11・・通信インターフェース、12・・第1ステータス表示器、13・・第2ステータス表示器、14・・アンテナ、21・・インターフェース用CPU、22・・通信インターフェースモジュール(有線通信モジュール)、23・・印刷制御用CPU、24・・印刷制御用ROM、25・・プリンター制御モジュール、26・・フィスカルメモリー、27・・フィスカル制御用CPU、28・・監視用CPU、29・・エレクトリックジャーナルメモリー、30・・エレクトリックジャーナルメモリー制御用CPU、31・・フィスカル制御モジュール、32・・GSM/GPRSモジュール(無線通信モジュール)、33・・セレクター、34・・タイマー回路(動作異常検出部)、35・・電圧モニター(電圧出力部)、36・・信号出力部、37・・タイマー回路の判定部、38・・第1動作異常検出部、39・・第2動作異常検出部、40・・表示制御部、41・・電圧監視部、42・・第1動作異常検出部の第1判定部、43・・制御指令送信部、44・・第2動作異常検出部の第2判定部、C・・切換制御信号、P・・パルス信号、S1・・フィスカル制御モジュールの第1ステータス信号、S2・・GSM/GPRSモジュールの第2ステータス信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィスカル情報を記憶保持するためのフィスカル制御モジュールと、
前記フィスカル制御モジュールのステータスを表示するステータス表示器と、
外部の機器と前記フィスカル制御モジュールとの間で無線通信を行うための無線通信モジュールと、
前記フィスカル制御モジュールのステータスに換えて、前記無線通信モジュールのステータスを前記ステータス表示器に表示させるセレクターと、
を有することを特徴とするフィスカルプリンター。
【請求項2】
請求項1において、
前記無線通信モジュールの動作異常を検出するための動作異常検出部と、
前記無線通信モジュールの動作異常が検出された場合に、前記セレクターを制御して前記ステータス表示器の表示を前記無線通信モジュールのステータスとする表示制御部と、
を有することを特徴とするフィスカルプリンター。
【請求項3】
請求項2において、
前記フィスカル制御モジュールは、前記動作異常検出部および前記表示制御部を備えていることを特徴とするフィスカルプリンター。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記無線通信モジュールは、電力が供給されると一定電圧を出力する電圧出力部を備えており、
前記動作異常検出部は、前記電圧出力部からの出力電圧を監視する電圧監視部と、前記出力電圧に基づいて前記無線通信モジュールに動作異常が発生しているか否かを判定する判定部とを備えていることを特徴とするフィスカルプリンター。
【請求項5】
請求項2または3において、
前記動作異常検出部は、前記無線通信モジュールに制御指令を送信する制御指令送信部と、前記制御指令に対する前記無線通信モジュールからの応答に基づいて当該無線通信モジュールに動作異常が発生しているか否かを判定する判定部とを備えていることを特徴とするフィスカルプリンター。
【請求項6】
請求項2または3において、
前記無線通信モジュールは、電力が供給されると一定周期の信号を出力する信号出力部を備えており、
前記動作異常検出部は、前記信号出力部からの信号を監視して、前記信号が一定周期で検出されなかった場合に、前記無線通信モジュールに動作異常が発生していると判定する判定部を備えていることを特徴とするフィスカルプリンター。
【請求項7】
請求項2ないし6のうちのいずれかの項において、
外部の機器と前記フィスカル制御モジュールとの間で有線通信を行うための有線通信モジュールを有し、
前記表示制御部は、前記有線通信モジュールを介して外部の機器から供給された表示切換指令に基づいて前記セレクターを制御して、前記ステータス表示器の表示を前記フィスカル制御モジュールのステータスと前記無線通信モジュールのステータスとの間で切り換えることを特徴とするフィスカルプリンター。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−45268(P2013−45268A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182249(P2011−182249)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】