説明

フィルタのエレメント交換用治具

【課題】エレメント交換時の安全性や作業性を向上できる治具の実現。
【解決手段】本発明に係るフィルタのエレメント交換用治具は、複数の長尺筒状エレメント2が並列に配置されたフィルタ1のエレメント交換用治具であって、使用済みのフィルタを取り付ける板状の取付部11,12と、前記取付部の表裏を反転するように回転可能に軸支する治具本体部21〜24と、前記取付部を回転操作すると共に、前記フィルタの上下が反転するように前記取付部を回転させた状態で保持するハンドル部31と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ビールろ過工程で微生物や不純物を除去するために使用されるキャンドルフィルタのエレメント交換用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、
例えば、特許文献1には、複数の筒状フィルタを直列に組み立てるための治具が記載されている。
【0003】
また、ビールろ過工程で使用されるキャンドルフィルタのエレメント交換は、専用の治具にフィルタを固定した状態でフィルタ自体を作業者が手で持って180度回転させて行っている。
【特許文献1】特許第3416237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、作業者が重量物であるフィルタ自体を手で持って回転させるため、作業中に指を挟んだりすることがあり安全性に欠けている。また、フィルタが回り過ぎないように押さえておく作業者と、エレメントの交換作業を行う作業者が必要であり作業性に欠けている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、エレメント交換時の安全性や作業性を向上できる治具を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係るフィルタのエレメント交換用治具は、複数の長尺筒状エレメント2が並列に配置されたフィルタ1のエレメント交換用治具であって、使用済みのフィルタを取り付ける板状の取付部11,12と、前記取付部の表裏を反転するように回転可能に軸支する治具本体部21〜24と、前記取付部を回転操作すると共に、前記フィルタの上下が反転するように前記取付部を回転させた状態で保持するハンドル部31と、を有する。
【0007】
また、好ましくは、前記フィルタの上下が反転した状態の前記取付部を元の状態に戻す際に前記フィルタの重量と前記取付部の自重により加速される当該取付部の回転力を吸収するショックアブソーバ41を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、治具の操作性やエレメント交換時の安全性を向上できる治具を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0010】
図1は本発明に係る実施形態のフィルタのエレメント交換用治具を示す正面図(a)、側面図(b)、平面図(c)、及びキャンドルフィルタの外観図(d)である。図2は図1の軸受部の部分拡大図である。
【0011】
本実施形態は、図1(d)に示すように、ビールろ過工程で微生物や不純物を除去するために使用されるキャンドルフィルタのエレメント交換用治具である。
【0012】
キャンドルフィルタ1は、複数の長尺の筒状エレメント2が並列に密に配置されて全体の外観が円筒状に構成される。各エレメント2には珪藻土が担持されおり、このエレメント2の内部にビール液を通過させることにより、珪藻土がビール液中の不要な微生物や不純物をトラップする。このエレメント2は使用により詰まってくるので所定の使用回数ごとに交換する必要がある。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態の治具10は、このキャンドルフィルタ1を取り付けるための取付部11と、取付部11の表裏を反転するように回転可能に軸支する治具本体部21と、取付部11を回転操作するためのハンドル部31と、を有する。
【0014】
上記取付部11は、円形状の開口部12が形成された矩形状の天板部13と、天板部13の対向する2辺から下方に延びる脚部14と、これら脚部14から外方に突出する回転軸15とを有し、これら回転軸15が治具本体部21の軸受部24で軸支される。
【0015】
上記治具本体部21は、平板状の底板部22と、この底板部22から立設されて上端部に軸支部24が形成された互いに対向する枠部23とを有する。、
上記ハンドル部31は、上記取付部11の回転軸15の少なくとも一方(両方に設けても良い)に連結されており、作業者がハンドル部31を回転操作することで上記取付部11の表裏を反転するように回転できる。
【0016】
また、上記治具本体部21又はハンドル部31には、上記取付部11の脚部14又は回転軸15をフィルタの上下が反転した状態で保持する保持部(不図示)が設けられる。
【0017】
更に、上記ハンドル部31と上記治具本体部21との間にはショックアブソーバ41が配置されている。ショックアブソーバ41は、例えばガス式又は油圧式のシリンダで構成されており、一端部がハンドル部31の内輪部分32、他端部が治具本体部21の枠部23の連結部分25に夫々回転自在に連結されており、フィルタの上下が反転した状態の取付部11を元の状態に戻す際にフィルタの重量と取付部11の自重により加速される当該取付部11の回転力を吸収する。
【0018】
更に、上記ハンドル部31と軸受部24との間にはカバー板42が設けられており、ハンドル部31を操作している作業者が取付部11の軸受部24やショックアブソーバ41等の可動部分に容易に手を差し入れられないようにして保護している。
【0019】
尚、上記取付部11の脚部14の一方の下端部であって、当該取付部11の回転軸15より下方にバランスウェイトを設けても良い。
【0020】
作業者は、ホイスト等でフィルタを吊り上げて上記取付部11に装着した後、ハンドル部31を回転操作してフィルタの上下を反転させた状態に保持して、フィルタから使用後のエレメントを取り外し、新品のエレメントに交換することができる。
【0021】
上記構成によれば、カバー板42により治具の可動部分に作業者が容易に手を差し入れられないため、作業中に指を挟んだりすることを防止し安全性を高めることができる。また、ハンドル部31を設けたことで、作業者がフィルタが回り過ぎないように押さえておく必要がなくなり、エレメントの交換作業を行う効率良く行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上説明した治具は、キャンドルフィルタのエレメント交換用に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の用途にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る実施形態のフィルタのエレメント交換用治具を示す正面図(a)、側面図(b)、平面図(c)、及びキャンドルフィルタの外観図(d)である。
【図2】図1の軸受部の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0024】
1 キャンドルフィルタ
2 エレメント
11 取付部
21 治具本体部
31 ハンドル部
41 ショックアブソーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の長尺筒状エレメントが並列に配置されたフィルタのエレメント交換用治具であって、
使用済みのフィルタを取り付ける板状の取付部と、
前記取付部の表裏を反転するように回転可能に軸支する治具本体部と、
前記取付部を回転操作すると共に、前記フィルタの上下が反転するように前記取付部を回転させた状態で保持するハンドル部と、を有することを特徴とする治具。
【請求項2】
前記フィルタの上下が反転した状態の前記取付部を元の状態に戻す際に前記フィルタの重量と前記取付部の自重により加速される当該取付部の回転力を吸収するショックアブソーバを有することを特徴とする請求項1に記載の治具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−229556(P2008−229556A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75342(P2007−75342)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】