フィルタの製造方法及び液晶表示素子の製造方法
【課題】カラーフィルタと遮光フィルタとを、これらの上面がカラーフィルタの配列領域からその周囲の画面外領域20bに亘って規則的な凹凸面になるように形成する。
【解決手段】基板4上に、カラーフィルタの配列領域からその周囲の画面外領域20bに亘って第一の遮光フィルタ9を格子形状に形成した後、第二の遮光フィルタ10を、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込んで形成し、カラーフィルタ7の色要素7R,7G,7Bを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込んで形成する。
【解決手段】基板4上に、カラーフィルタの配列領域からその周囲の画面外領域20bに亘って第一の遮光フィルタ9を格子形状に形成した後、第二の遮光フィルタ10を、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込んで形成し、カラーフィルタ7の色要素7R,7G,7Bを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込んで形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルタの製造方法及び液晶表示素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を表示する液晶表示素子は、画面エリアに複数の画素が行方向及び列方向に配列されている。そして、液晶層を挟んで対向する第一と第二の基板の何れか一方の基板には、1つの画素に対して1つの色要素が対応するように配列された複数の色要素を有するカラーフィルタが形成されている。
【0003】
また、この一方の基板には、画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタが形成されている。この遮光フィルタは、前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成され、画面エリアを囲む領域においてはベタ膜状に形成されている。そして、カラーフィルタの色要素は、格子形状に形成された遮光フィルタの各開口部に対応するように配置されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−271748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶表示素子は、表示ムラの無い良好な表示品質を得るために、液晶層の層厚を均一にすることが望まれている。そのため、基板上に形成されたカラーフィルタ及び遮光フィルタの上に透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成し、フィルタ上を平坦面化することが考えられている。オーバーコート膜は、カラーフィルタ及び遮光フィルタの上に透明樹脂をスピンコート法等により塗布することにより形成される。
【0006】
しかし、上記従来のカラーフィルタ及び遮光フィルタの表面が、画面エリアでは、遮光フィルタとカラーフィルタの色要素とが交互に並んだ微細な凹凸面になっているのに対し、画面エリアを囲む領域では、遮光フィルタがベタ膜状に形成された平坦面になっている。
【0007】
そして、微細な凹凸面になっている表面と、平坦になっている表面とでは、その表面形状の違いにより、透明樹脂に対する表面張力が異なるため、透明樹脂の塗布性も異なることになる。このような場合には、塗布性の異なる2つの領域の境界部付近において膜面が大きく波打ったような形状のオーバーコート膜が形成されてしまう。
【0008】
そのため、上記従来の液晶表示素子は、画面エリアとこの画面エリアを囲む領域との境界付近で液晶層厚の異なる部分ができ、その部分に表示ムラが発生することが問題になっていた。
【0009】
この発明は、表示ムラの無い良好な表示品質を得ることができるフィルタの製造方法及び液晶表示素子の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、複数の色要素を有しているとともに画面エリアに配置されたカラーフィルタと、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタと、を備え、
前記カラーフィルタが一つの画素に対して一つのの色要素が対応するように配置されているとともに、前記遮光フィルタが前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成されているフィルタの製造方法であって、
前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に第一の遮光フィルタとして第一の遮光材料を格子形状または縞形状に形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記画面エリアを囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に第二の遮光フィルタとして第二の遮光材料を埋め込む第2の工程と、
前記第2の工程の後、または前記第2の工程に先立って、前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に前記カラーフィルタの色要素として着色材料を埋め込む第3の工程と、
を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のフィルタの製造方法において、
前記第一の遮光フィルタは、前記第一の遮光材料として第一の黒色フォトレジストを所定の厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜を格子形状または縞形状にパターニングすることにより形成し、
前記第二の遮光フィルタは、前記第二の遮光材料として第二の黒色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第二の黒色フォトレジスト膜のうちの前記画面を囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより形成し、
前記カラーフィルタの色要素は、前記着色材料として着色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した着色フォトレジスト膜のうちの前記カラーフィルタの配列領域の前記第一の遮光フィルタの間に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより形成することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載のフィルタの製造方法において、前記第二の黒色フォトレジストと前記着色フォトレジストは、同じ厚さに塗布することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記請求項2に記載のフィルタの製造方法において、前記第二の黒色フォトレジストは、前記第一の黒色フォトレジストと同じ黒色フォトレジストであることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1から4の何れかに記載のフィルタの製造方法において、前記第2の工程及び前記第3の工程の後に、前記第一及び第二の遮光フィルタと前記色要素の上に、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に亘って透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成する第4の工程をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、画面エリアに複数の画素が行方向及び列方向に配列され、液晶層を挟んで対向配置された第一の基板と第二の基板の何れか一方の基板に、複数の色要素を有しているとともに画面エリアに配置されたカラーフィルタと、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタとが設けられ、前記カラーフィルタが一つの画素に対して一つの色要素が対応するように配置されているとともに、前記遮光フィルタが前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成されている液晶表示素子の製造方法であって、
前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に第一の遮光フィルタとして第一の遮光材料を格子形状または縞形状に形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記画面エリアを囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に第二の遮光フィルタとして第二の遮光材料を埋め込む第2の工程と、
前記第2の工程の後、または前記第2の工程に先立って、前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に前記カラーフィルタの色要素として着色材料を埋め込む第3の工程と、
前記第2の工程及び前記第3の工程の後に、前記第一及び第二の遮光フィルタと前記色要素の上に、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に亘って透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成する第4の工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、表示ムラの無い良好な表示品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の製造方法により製造された液晶表示素子の断面図。
【図2】第一の遮光フィルタの形成方法を示す図。
【図3】第一の遮光フィルタを形成した状態の断面図。
【図4】第一の遮光フィルタの平面形状を示す図。
【図5】第二の遮光フィルタの形成方法を示す図。
【図6】第二の遮光フィルタを形成した状態の断面図。
【図7】第一及び第二の遮光フィルタの平面形状を示す図。
【図8】カラーフィルタの第一の色要素の形成方法を示す図。
【図9】赤色要素を形成した状態の断面図。
【図10】カラーフィルタの第二の色要素の形成方法を示す図。
【図11】緑色要素を形成した状態の断面図。
【図12】カラーフィルタの第三の色要素の形成方法を示す図。
【図13】青色要素を形成した状態の断面図。
【図14】第一及び第二の遮光フィルタと三色の色要素の平面形状を示す図。
【図15】オーバーコート膜を形成した状態の断面図。
【図16】比較例の液晶表示素子の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施例]
図1はこの発明の製造方法により製造された液晶表示素子1の断面図である。なお、図では液晶表示素子1の中央部付近の図示を省略している。この液晶表示素子1は、画面エリア20aに複数の画素が行方向及び列方向に配列されたドットマトリックス型液晶表示素子である。
【0019】
この液晶表示素子1は、液晶層2を挟んで対向配置された透明な第一の基板3と透明な第二の基板4とを備えている。そして、第一の基板3には透明な画素電極5が画素毎に形成されている。また、第二の基板4には透明な共通電極6が画素の配列領域全体に亘って一枚膜状に形成されている。
【0020】
この液晶表示素子1は、TFT(薄膜トランジスタ)をスイッチング素子としたアクティブマトリックス型液晶表示素子であり、図1では省略しているが、第一の基板3に、各画素電極5にそれぞれ対応させて配置され、対応する画素電極5に接続されたTFTと、各行のTFTに前記TFTをオン/オフさせる走査信号を供給する走査信号線と、各列のTFTにデータ信号を供給するデータ信号線とが設けられている。
【0021】
また、第一の基板3と第二の基板4の何れか一方の基板、例えば第二の基板4には、カラーフィルタ7及び遮光フィルタ8が形成されている。カラーフィルタ7は、一つの画素に対して一つの色要素が対応するように配置された複数の色要素を有している。例えば、複数の色要素としては、赤色要素7Rと緑色要素7Gと青色要素7Bとを有している。
【0022】
一方、遮光フィルタ8は、カラーフィルタ7が配置される画面エリア20aにおいては、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状に形成され、画面エリア20aを囲む領域(以下、画面外領域という)20bにおいてはベタ膜状に形成されている。
【0023】
この遮光フィルタ8は、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10とを有している。第一の遮光フィルタ9は、画面エリア20aに加え、画面エリア20aを囲む画面外領域20bにおいても所定の範囲に亘って前記格子形状に形成されている。なお、この実施例では、画面エリア20aと第二の基板4の各辺との間の領域全体を画面外領域20bとし、第一の遮光フィルタ9を、画面エリア20aに加え、画面外領域20bのうちの基板4の辺部に近い部分を除く範囲に亘って形成している。
【0024】
そして、カラーフィルタ7の色要素7R,7G,7Bは、格子形状に形成された第一の遮光フィルタ9のうち、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の各開口部に、該開口部を塞ぐように埋め込んで配置されている。また、第二の遮光フィルタ10は、格子形状に形成された第一の遮光フィルタ9のうち画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の各開口部に、該開口部を塞ぐように埋め込んで配置されている。
【0025】
なお、この液晶表示素子1では、赤色要素7Rが設けられた赤色画素と、緑色要素7Gが設けられた緑色画素と、青色要素7Bが設けられた青色画素とが、行方向においては赤色画素、緑色画素、青色画素の順に交互に並ぶように、列方向においては同色の画素が連続して並ぶように配置している。
【0026】
前記第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10は、黒色の遮光材料により形成されている。そして、第一の遮光フィルタ9は、高い遮光性が得られる厚さに形成され、第二の遮光フィルタ10は、第一の遮光フィルタ9よりも僅かに薄い厚さに形成されている。
【0027】
また、カラーフィルタ7としての赤色要素7Rと緑色要素7Gと青色要素7Bは、第二の遮光フィルタ10と同様に、第一の遮光フィルタ9よりも僅かに薄い厚さに形成されている。
【0028】
この実施例では、第一の遮光フィルタ9を1.4μmの厚さに形成し、第二の遮光フィルタ10を1.3μmの厚さに形成するとともに、赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bをそれぞれ前記第二の遮光フィルタ10の厚さと同じ1.3μmの厚さに形成している。
【0029】
また、前記第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10及び色要素7R,7G,7Bの上には、透明樹脂の塗布膜からなるオーバーコート膜11が2μm程度の厚さに形成されており、このオーバーコート膜11の上に共通電極6が形成されている。
【0030】
さらに、第一の基板3上には、前記各画素電極5を覆って形成された第一の配向膜12が設けられ、第二の基板4上には、前記共通電極6を覆って形成された第二の配向膜13が設けられている。
【0031】
そして、第一の基板3と第二の基板4は、前記配向膜12,13の形成面同士を所定の間隙をあけて対向させて配置され、画面エリアを囲む枠状のシール材14を介して貼り合わされており、これらの基板3,4間の間隙の前記シール材14で囲まれた領域に、液晶層2が設けられている。
【0032】
また、第一の基板3の外面には、第一の偏光板15がその吸収軸を所定の方向に向けて配置され、第二の基板4の外面には、第二の偏光板16がその吸収軸を所定の方向に向けて配置されている。
【0033】
なお、この液晶表示素子1における液晶分子の配向モードは、液晶分子を第一と第二の基板3,4間においてツイスト配向させたTN型またはSTN型、液晶分子を分子長軸を一方向に揃えてホモジニアス配向させた非ツイストの水平配向型、液晶分子を基板3,4面に対して垂直な方向に分子長軸を向けて配向させた垂直配向型、液晶分子をベンド配向させたベンド配向型等の何れのモードでもよい。
【0034】
前記液晶表示素子1の製造において、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10とを有する遮光フィルタ8と、赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bを有するカラーフィルタ7は、次のような工程で形成する。
【0035】
(第1の工程)
まず、第1の工程において、第二の基板(以下、単に基板という)4上の画面エリア20a及び前記画面エリア20aを囲む画面外領域20bに、第一の遮光フィルタ9として第一の遮光材料を、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って連続した格子形状に形成する。
【0036】
この第一の遮光フィルタ9は、第一の遮光材料として、ポジ型の第一の黒色フォトレジスト(黒色の顔料を添加したフォトレジスト)を所定の厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜を格子形状にパターニングすることにより形成する。
【0037】
即ち、第一の遮光フィルタ9の形成においては、まず、図2のように、基板4上に、ポジ型の第一の黒色フォトレジストをスピンコート法等により所定の厚さに塗布する。そして、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜9aを乾燥させて基板4に密着させた後に、第一の黒色フォトレジスト膜9aを、画面エリア20a及び画面外領域29bに対応する格子形状の遮光部21aを形成した第一の露光マスク21を用いて露光処理する。
【0038】
次に、露光処理した第一の黒色フォトレジスト膜9aを現像処理することにより、この第一の黒色フォトレジスト膜9aの露光部分を除去し、図3及び図4のように、前記第一の黒色フォトレジスト膜9aを画面エリア20aから画面外領域20bに亘って連続した格子形状にパタ−ニングした第一の遮光フィルタ9を形成する。
【0039】
なお、この実施例では、第一の露光マスク21の各遮光部21aを図2のような幅に形成することにより、第一の遮光フィルタ9のうちの外周の枠部を、格子形状の縦横の各桟部の幅よりも広い幅に形成している。
【0040】
前記第一の遮光フィルタ9の形成において、基板4上に塗布した第一の黒色フォトレジスト膜9aを乾燥させると、溶剤の蒸発等によるフォトレジストの収縮により、前記第一の黒色フォトレジスト膜9a膜厚が薄くなる。
【0041】
そのため、この製造方法では、前記第一の黒色フォトレジストを、乾燥による膜厚の減少分を見込んで、形成する第一の遮光フィルタ9の厚さよりも所定の割合だけ厚く塗布し、所望の厚さ(例えば1.4μm)の第一の遮光フィルタ9を形成するようにしている。
【0042】
(第2の工程)
次に、第2の工程において、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に、第二の遮光フィルタ10として第二の遮光材料を埋め込む。この第二の遮光材料は、ポジ型の第二の黒色フォトレジストであり、この実施例では、前記第一の遮光フィルタ9の形成に用いた第一の黒色フォトレジストと同じ黒色フォトレジストを用いている。
【0043】
即ち、第二の遮光フィルタ10の形成においては、まず、図5のように、第一の遮光フィルタ9が形成された基板4上に、ポジ型の第二の黒色フォトレジストをスピンコート法等により前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布する。そして、塗布した第二の黒色フォトレジスト膜10aを乾燥させて基板4に密着させた後に、この第二の黒色フォトレジスト膜10aを、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に対応する遮光部22aを形成した第二の露光マスク22を用いて露光処理する。
【0044】
次に、露光処理した第二の黒色フォトレジスト膜10aを現像処理することにより、この第二の黒色フォトレジスト膜10aのうちの露光部分、つまり画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去し、図6及び図7のように、前記画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に残された第二の黒色フォトレジスト膜10aからなる第二の遮光フィルタ10を形成する。
【0045】
この第二の遮光フィルタ10の形成においても、第二の黒色フォトレジストを、乾燥による膜厚の減少分を見込んで、形成する第二の遮光フィルタ10の厚さよりも所定の割合だけ厚く塗布することにより、所望の厚さ(例えば1.4μm)の第一の遮光フィルタ9を形成することができる。
【0046】
この製造方法では、前記第二の黒色フォトレジストを、前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布することにより、第一の遮光フィルタ9よりも薄い厚さ(例えば1.3μm)の第一の遮光フィルタ9を形成している。
【0047】
(第3の工程)
次に、第3の工程において、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部にカラーフィルタ7の赤、緑,青の色要素7R,7G,7Bとして赤、緑、青の各色の着色材料を埋め込むことにより、各色の色要素7R,7G,7Bを形成する。この実施例では、各色の着色材料として、その色の顔料を添加した着色フォトレジストを用いている。
【0048】
赤、緑,青の色要素7R,7G,7Bは、例えば、赤色要素7R、緑色要素7G、青色要素7Bの順で形成する。
【0049】
まず、図8のように、第一の遮光フィルタ9及び第二の遮光フィルタ10が形成された基板4上に、赤色のポジ型着色フォトレジスト(以下、赤色フォトレジストという)をスピンコート法等により前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布する。そして、塗布した赤色フォトレジスト膜7Raを乾燥させて基板4に密着させた後に、この赤色フォトレジスト膜7Raを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの赤色要素7Rを埋め込む開口部に対応する遮光部23aを形成した第三の露光マスク23を用いて露光処理する。
【0050】
次に、露光処理した赤色フォトレジスト膜7Raを現像処理することにより、この赤色フォトレジスト膜7Raの露光部分、つまり画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの赤色要素7Rを埋め込む開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去し、図9のように、前記第一の遮光フィルタ9の開口部に残された赤色フォトレジスト膜7Raからなる赤色要素7Rを形成する。
【0051】
次に、図10のように、第一の遮光フィルタ9及び第二の遮光フィルタ10と赤色要素7Rが形成された基板4上に、緑色のポジ型着色フォトレジスト(以下、緑色フォトレジストという)を、スピンコート法等により前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布する。そして、塗布した緑色フォトレジスト膜7Gaを乾燥させて基板4に密着させた後に、この緑色フォトレジスト膜7Gaを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの緑色要素7Gを埋め込む開口部に対応する遮光部24aを形成した第三の露光マスク24を用いて露光処理する。
【0052】
次に、露光処理した緑色フォトレジスト膜7Gaを現像処理することにより、この緑色フォトレジスト膜7Gaの露光部分、つまり画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの緑色要素7Gを埋め込む開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去し、図11のように、前記第一の遮光フィルタ9の開口部に残された赤色フォトレジスト膜7Raからなる赤色要素7Rを形成する。
【0053】
次に、図12のように、第一の遮光フィルタ9及び第二の遮光フィルタ10と赤色要素7R及び緑色要素Gが形成された基板4上に、青色のポジ型着色フォトレジスト(以下、青色フォトレジストという)を、スピンコート法等により前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布する。そして、塗布した青色フォトレジスト膜7Baを乾燥させて基板4に密着させた後に、この青色フォトレジスト膜7Baを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの青色要素7Bを埋め込む開口部に対応する遮光部25aを形成した第三の露光マスク25を用いて露光処理する。
【0054】
次に、露光処理した青色フォトレジスト膜7Baを現像処理することにより、この青色フォトレジスト膜7Baの露光部分、つまり画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの青色要素7Bを埋め込む開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去し、図13のように、前記第一の遮光フィルタ9の開口部に残された青色フォトレジスト膜7Baからなる青色要素7Bを形成する。
【0055】
このように、赤、緑,青の色要素7R,7G,7Bは、基板4上のうちの画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に赤、緑、青の着色フォトレジストを埋め込むことにより、図14のように配列させて形成される。
【0056】
この色要素7R,7G,7Bの形成においても、各色の着色フォトレジストを、乾燥による膜厚の減少分を見込んで、形成する色要素7R,7G,7Bの厚さよりも所定の割合だけ厚く塗布することにより、所望の厚さ(例えば1.4μm)の色要素7R,7G,7Bを形成することができる。
【0057】
この製造方法では、各色の着色フォトレジストをそれぞれ、前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布することにより、第一の遮光フィルタ9よりも薄い厚さ(例えば1.3μm)の色要素7R,7G,7Bを形成している。
【0058】
さらに、この製造方法では、赤、緑、青の着色フォトレジストをそれぞれ、前記第二の黒色フォトレジストの塗布厚と同じ厚さに塗布することにより、第二の遮光フィルタ10と赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bとを同じ厚さに形成している。
【0059】
(第4の工程)
次に、第4の工程において、図15のように、第一及び第二の遮光フィルタ9,10と色要素7R,7G,7Bの上に、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って、透明樹脂の塗布膜からなるオーバーコート膜11を形成する。
【0060】
このオーバーコート膜11は、ポリイミド樹脂またはアクリル樹脂等の透明樹脂をスピンコート法等により塗布し、塗布された透明樹脂を硬化させることにより形成する。なお、このオーバーコート膜11の形成においても、前記透明樹脂は、溶剤の蒸発等による膜厚の減少分を見込んで、形成するオーバーコート膜11の厚さよりも所定の割合だけ厚く塗布する。
【0061】
前記オーバーコート膜11を形成した後は、このオーバーコート膜11の上にITO膜を成膜して共通電極6を形成し、さらにその上に例えばポリイミド等を塗布して第二の配向膜13を形成する。
【0062】
この後は、第一の基板3と第二の基板4とを枠状のシール材14を介して貼り合わせ、これらの基板3,4間の間隙に液晶を充填するとともに、第一の基板3の外面に第一の偏光板15を貼り付け、第二の基板4の外面に第二の偏光板16を貼り付けて、図1に示した液晶表示素子1を製造する。
【0063】
このように、上記製造方法では、第二の基板4上に画面エリア20aから画面外領域20bに亘って、第一の遮光フィルタ9を格子形状に形成した後、第二の遮光フィルタ10を、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込んで形成し、赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込んで形成している。
【0064】
そのため、上記製造方法によれば、形成されたカラーフィルタ7及び遮光フィルタ8の表面が、画面エリア20aにおいて第一の遮光フィルタ9と色要素7R,7G,7Bとが交互に並び、画面エリア20aを囲む画面外領域20bにおいて第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10とが交互に並んだ形状の面になる。
【0065】
即ち、上記実施例では、基板4上に第一の黒色フォトレジストを所定の厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜9aを格子形状にパターニングすることにより第一の遮光フィルタ9を形成した後、前記基板4上に第二の黒色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第二の黒色フォトレジスト膜10aのうちの画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより第二の遮光フィルタ10を形成しているため、第二の遮光フィルタ10は、第一の遮光フィルタ9よりも薄い厚さに形成される。
【0066】
また、上記実施例では、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10を形成した基板4上に、着色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した着色フォトレジスト膜7Ra,7Ga,7Baのうちの画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより色要素7R,7G,7Bを形成しているため、色要素7R,7G,7Bは、第一の遮光フィルタ9よりも薄い厚さに形成される。
【0067】
さらに、上記実施例では、前記第二の黒色フォトレジストと各色の着色フォトレジストとを同じ厚さに塗布しているため、第二の遮光フィルタ10と色要素7R,7G,7Bは同じ厚さに形成される。
【0068】
従って、形成されたカラーフィルタ7及び遮光フィルタ8の表面は、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って、色要素7R,7G,7B及び第二の遮光フィルタ10の表面に対して第一の遮光フィルタ9の表面が僅かに突出した微細な凹凸面になる。
【0069】
このように、上記製造方法で形成されたカラーフィルタ7及び遮光フィルタ8は、その表面が、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って同じ形状の微細な凹凸面になっている。
【0070】
そのため、オーバーコート膜11を形成する面の透明樹脂に対する表面張力が、画面エリア20aにおいても画面外領域20bにおいても同じであり、従って透明樹脂を、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って均等に塗布し、膜面が平坦なオーバーコート膜11を形成することができる。
【0071】
前記オーバーコート膜11は、第二の遮光フィルタ10及び色要素7R,7G,7Bの上の部分の厚さが、第一の遮光フィルタ9の表面と第二の遮光フィルタ10及び色要素7R,7G,7Bの表面との段差の20倍程度になる厚さに形成するのが望ましい。
【0072】
上記実施例では、第一の遮光フィルタ9を1.4μmの厚さに形成し、第二の遮光フィルタ10と色要素7R,7G,7Bをそれぞれ1.3μmの厚さに形成しているため、第一の遮光フィルタ9の表面と第二の遮光フィルタ10及び色要素7R,7G,7Bの表面との段差は0.1μmである。
【0073】
従って、前記オーバーコート膜11は、第二の遮光フィルタ10上及び色要素7R,7G,7B上の厚さが2μm程度になる厚さに形成するのが望ましく、このようにすることにより、膜厚が比較的薄く、しかも画面エリア20aから画面外領域20bに亘って膜面が平坦なオーバーコート膜11を得ることができる。
【0074】
そのため、上記製造方法で製造された液晶表示素子1は、図1のように、第一の基板3と第二の基板4との間の液晶層2の層厚が、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って均一である。
【0075】
一方、図16に示した比較例の液晶表示素子1aは、第二の基板4上の画面エリア20aに格子形状遮光フィルタ8aを形成し、画面エリア20aの周囲の画面外領域20bにベタ膜状遮光フィルタ8bを形成し、カラーフィルタ7の赤、緑,青の色要素7R,7G,7bを、前記基板4上の格子形状遮光フィルタ8aの開口部に埋め込んで形成したものである。なお、図16において、図1に示した液晶表示素子1と同じものについては、図に同符号を付してその説明を省略する。
【0076】
この比較例の液晶表示素子1aの製造において、格子形状遮光フィルタ8aとベタ膜状遮光フィルタ8bは、基板4上に黒色フォトレジストを塗布し、塗布された黒色フォトレジストを露光及び現像処理することにより、一括して同じ厚さに形成されている。また、色要素7R,7G,7bは、上記実施例と同じ方法により、格子形状遮光フィルタ8a及びベタ膜状遮光フィルタ8bよりも薄い厚さに形成されている。
【0077】
そして、前記色要素7R,7G,7bが配列したカラーフィルタ7と格子形状遮光フィルタ8a及びベタ膜状遮光フィルタ8bの上には、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って、透明樹脂の塗布膜からなるオーバーコート膜11が、色要素7R,7G,7b上の部分の厚さが2μmになるように形成されており、その上に共通電極6及び第二の配向膜13が形成されている。
【0078】
この比較例の液晶表示素子1aは、カラーフィルタ7及び遮光フィルタ8a,8bの表面が、画面エリア20aでは、格子形状遮光フィルタ8aと色要素7R,7G,7bとが交互に並んだ微細な凹凸面になっているのに対し、画面エリア20aを囲む画面外領域20bでは、ベタ膜状遮光フィルタ8bの膜面からなる平坦面になっている。
【0079】
そして、微細な凹凸面になっている表面と、平坦になっている表面とでは、その表面形状の違いにより、透明樹脂に対する表面張力が異なるため、透明樹脂の塗布性も異なることになる。
【0080】
そのため、比較例の液晶表示素子1aは、透明樹脂の塗布性の異なる2つの領域の境界部付近、つまり画面エリア20aと画面外領域20bとの境界部付近において膜面が大きく波打ったような形状のオーバーコート膜11が形成されてしまう。
【0081】
従って、比較例の液晶表示素子1aは、画面エリア20aと画面外領域20bの境界部付近に液晶層厚の異なる部分ができ、その部分に表示ムラが発生する。
【0082】
前記比較例の液晶表示素子1aに対して、上記実施例の製造方法で製造された液晶表示素子1は、図1のように、第一の基板3と第二の基板4との間の液晶層2の層厚が、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って均一であるため、表示ムラの無い良好な表示品質を得ることができる。
【0083】
また、上記実施例では、第一の遮光フィルタ9を第一の黒色フォトレジストにより形成し、第二の遮光フィルタ10を前記第一の黒色フォトレジストと同じ黒色フォトレジストからなる第二の黒色フォトレジストにより形成しているため、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10とが交互に並んでいる画面外領域20bが平面的にはベタ膜のように見える。なお、同じ黒色フォトレジストにより形成された遮光フィルタでも、その厚さによって黒色の濃さが異なるが、形成された第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10の厚さの差が0.1μm程度であれば、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10は同じ濃さの黒色に見える。そのため、画面外領域20bの平面的な外観を、ベタ膜からなる遮光フィルタが形成されているような外観にすることができる。
【0084】
但し、前記第一の黒色フォトレジストと第二の黒色フォトレジストは、濃さの異なる黒色フォトレジストでもよい。その場合は、画面外領域20bの平面的な外観が、格子形状に形成された第一の遮光フィルタ9と、その開口部に埋め込まれた第二の遮光フィルタ10とが交互に並んだ外観になる。
【0085】
なお、上記実施例の製造方法では、第1の工程により、画面エリア20a及び画面外領域20bに第一の遮光フィルタ9として第一の遮光材料を格子形状に形成した後、第2の工程により、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に第二の遮光フィルタ10として第二の遮光材料を埋め込み、その後に、第3の工程により、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部にカラーフィルタ7の色要素7R,7G,7Bとして着色材料を埋め込んでいるが、前記第3の工程による着色材料の埋め込みは、前記第2の工程に先立って行ってもよい。
【0086】
また、上記実施例の製造方法で製造された液晶表示素子1は、各色の画素を、行方向においては赤色画素、緑色画素、青色画素の順に交互に並ぶように、列方向においては同色の画素が連続して並ぶように配置したものであるが、この発明は、列方向の画素配列(同じデータ信号線からデータ信号を供給される同色の画素の配列を、行毎に行方向に1.5ピッチずらして配列したデルタ配列型の液晶表示素子の製造にも適用することができる。
【0087】
さらに、上記実施例では、第一の遮光フィルタ9を格子形状に形成しているが、第一の遮光フィルタ9は、カラーフィルタの配列領域から前記画面外領域20bに亘って、各行の色要素間に対応する横縞形状または各列の色要素間に対応する縦縞形状のパターンに形成してもよい。
【0088】
また、上記実施例では、第一の遮光フィルタ9及び第二の遮光フィルタと赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bをポジ型のフォトレジストにより形成しているが、これらはネガ型のフォトレジストにより形成してもよい。
【0089】
また、この発明は、図1に示した液晶表示素子1に限らず、例えば、各画素の液晶分子の配向状態を、第一の基板3に互いに絶縁させて設けられた第一電極と第二電極との間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて制御する横電界制御型の液晶表示素子の製造にも適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1…液晶表示素子、3,4…基板、5…画素電極、6…共通電極、7…カラーフィルタ、7R…赤色要素、7G…緑色要素、7B…青色要素、8…遮光フィルタ、9…第一の遮光フィルタ、10…第二の遮光フィルタ、9a…第一の黒色フォトレジスト膜、10a…第二の黒色フォトレジスト膜、7Ra,7Ga,7Ba…着色フォトレジスト膜、11…オーバーコート膜、20a…画面エリア、20b…画面エリアを囲む領域
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルタの製造方法及び液晶表示素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を表示する液晶表示素子は、画面エリアに複数の画素が行方向及び列方向に配列されている。そして、液晶層を挟んで対向する第一と第二の基板の何れか一方の基板には、1つの画素に対して1つの色要素が対応するように配列された複数の色要素を有するカラーフィルタが形成されている。
【0003】
また、この一方の基板には、画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタが形成されている。この遮光フィルタは、前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成され、画面エリアを囲む領域においてはベタ膜状に形成されている。そして、カラーフィルタの色要素は、格子形状に形成された遮光フィルタの各開口部に対応するように配置されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−271748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶表示素子は、表示ムラの無い良好な表示品質を得るために、液晶層の層厚を均一にすることが望まれている。そのため、基板上に形成されたカラーフィルタ及び遮光フィルタの上に透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成し、フィルタ上を平坦面化することが考えられている。オーバーコート膜は、カラーフィルタ及び遮光フィルタの上に透明樹脂をスピンコート法等により塗布することにより形成される。
【0006】
しかし、上記従来のカラーフィルタ及び遮光フィルタの表面が、画面エリアでは、遮光フィルタとカラーフィルタの色要素とが交互に並んだ微細な凹凸面になっているのに対し、画面エリアを囲む領域では、遮光フィルタがベタ膜状に形成された平坦面になっている。
【0007】
そして、微細な凹凸面になっている表面と、平坦になっている表面とでは、その表面形状の違いにより、透明樹脂に対する表面張力が異なるため、透明樹脂の塗布性も異なることになる。このような場合には、塗布性の異なる2つの領域の境界部付近において膜面が大きく波打ったような形状のオーバーコート膜が形成されてしまう。
【0008】
そのため、上記従来の液晶表示素子は、画面エリアとこの画面エリアを囲む領域との境界付近で液晶層厚の異なる部分ができ、その部分に表示ムラが発生することが問題になっていた。
【0009】
この発明は、表示ムラの無い良好な表示品質を得ることができるフィルタの製造方法及び液晶表示素子の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、複数の色要素を有しているとともに画面エリアに配置されたカラーフィルタと、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタと、を備え、
前記カラーフィルタが一つの画素に対して一つのの色要素が対応するように配置されているとともに、前記遮光フィルタが前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成されているフィルタの製造方法であって、
前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に第一の遮光フィルタとして第一の遮光材料を格子形状または縞形状に形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記画面エリアを囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に第二の遮光フィルタとして第二の遮光材料を埋め込む第2の工程と、
前記第2の工程の後、または前記第2の工程に先立って、前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に前記カラーフィルタの色要素として着色材料を埋め込む第3の工程と、
を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のフィルタの製造方法において、
前記第一の遮光フィルタは、前記第一の遮光材料として第一の黒色フォトレジストを所定の厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜を格子形状または縞形状にパターニングすることにより形成し、
前記第二の遮光フィルタは、前記第二の遮光材料として第二の黒色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第二の黒色フォトレジスト膜のうちの前記画面を囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより形成し、
前記カラーフィルタの色要素は、前記着色材料として着色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した着色フォトレジスト膜のうちの前記カラーフィルタの配列領域の前記第一の遮光フィルタの間に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより形成することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載のフィルタの製造方法において、前記第二の黒色フォトレジストと前記着色フォトレジストは、同じ厚さに塗布することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記請求項2に記載のフィルタの製造方法において、前記第二の黒色フォトレジストは、前記第一の黒色フォトレジストと同じ黒色フォトレジストであることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1から4の何れかに記載のフィルタの製造方法において、前記第2の工程及び前記第3の工程の後に、前記第一及び第二の遮光フィルタと前記色要素の上に、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に亘って透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成する第4の工程をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、画面エリアに複数の画素が行方向及び列方向に配列され、液晶層を挟んで対向配置された第一の基板と第二の基板の何れか一方の基板に、複数の色要素を有しているとともに画面エリアに配置されたカラーフィルタと、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタとが設けられ、前記カラーフィルタが一つの画素に対して一つの色要素が対応するように配置されているとともに、前記遮光フィルタが前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成されている液晶表示素子の製造方法であって、
前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に第一の遮光フィルタとして第一の遮光材料を格子形状または縞形状に形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記画面エリアを囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に第二の遮光フィルタとして第二の遮光材料を埋め込む第2の工程と、
前記第2の工程の後、または前記第2の工程に先立って、前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に前記カラーフィルタの色要素として着色材料を埋め込む第3の工程と、
前記第2の工程及び前記第3の工程の後に、前記第一及び第二の遮光フィルタと前記色要素の上に、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に亘って透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成する第4の工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、表示ムラの無い良好な表示品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の製造方法により製造された液晶表示素子の断面図。
【図2】第一の遮光フィルタの形成方法を示す図。
【図3】第一の遮光フィルタを形成した状態の断面図。
【図4】第一の遮光フィルタの平面形状を示す図。
【図5】第二の遮光フィルタの形成方法を示す図。
【図6】第二の遮光フィルタを形成した状態の断面図。
【図7】第一及び第二の遮光フィルタの平面形状を示す図。
【図8】カラーフィルタの第一の色要素の形成方法を示す図。
【図9】赤色要素を形成した状態の断面図。
【図10】カラーフィルタの第二の色要素の形成方法を示す図。
【図11】緑色要素を形成した状態の断面図。
【図12】カラーフィルタの第三の色要素の形成方法を示す図。
【図13】青色要素を形成した状態の断面図。
【図14】第一及び第二の遮光フィルタと三色の色要素の平面形状を示す図。
【図15】オーバーコート膜を形成した状態の断面図。
【図16】比較例の液晶表示素子の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施例]
図1はこの発明の製造方法により製造された液晶表示素子1の断面図である。なお、図では液晶表示素子1の中央部付近の図示を省略している。この液晶表示素子1は、画面エリア20aに複数の画素が行方向及び列方向に配列されたドットマトリックス型液晶表示素子である。
【0019】
この液晶表示素子1は、液晶層2を挟んで対向配置された透明な第一の基板3と透明な第二の基板4とを備えている。そして、第一の基板3には透明な画素電極5が画素毎に形成されている。また、第二の基板4には透明な共通電極6が画素の配列領域全体に亘って一枚膜状に形成されている。
【0020】
この液晶表示素子1は、TFT(薄膜トランジスタ)をスイッチング素子としたアクティブマトリックス型液晶表示素子であり、図1では省略しているが、第一の基板3に、各画素電極5にそれぞれ対応させて配置され、対応する画素電極5に接続されたTFTと、各行のTFTに前記TFTをオン/オフさせる走査信号を供給する走査信号線と、各列のTFTにデータ信号を供給するデータ信号線とが設けられている。
【0021】
また、第一の基板3と第二の基板4の何れか一方の基板、例えば第二の基板4には、カラーフィルタ7及び遮光フィルタ8が形成されている。カラーフィルタ7は、一つの画素に対して一つの色要素が対応するように配置された複数の色要素を有している。例えば、複数の色要素としては、赤色要素7Rと緑色要素7Gと青色要素7Bとを有している。
【0022】
一方、遮光フィルタ8は、カラーフィルタ7が配置される画面エリア20aにおいては、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状に形成され、画面エリア20aを囲む領域(以下、画面外領域という)20bにおいてはベタ膜状に形成されている。
【0023】
この遮光フィルタ8は、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10とを有している。第一の遮光フィルタ9は、画面エリア20aに加え、画面エリア20aを囲む画面外領域20bにおいても所定の範囲に亘って前記格子形状に形成されている。なお、この実施例では、画面エリア20aと第二の基板4の各辺との間の領域全体を画面外領域20bとし、第一の遮光フィルタ9を、画面エリア20aに加え、画面外領域20bのうちの基板4の辺部に近い部分を除く範囲に亘って形成している。
【0024】
そして、カラーフィルタ7の色要素7R,7G,7Bは、格子形状に形成された第一の遮光フィルタ9のうち、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の各開口部に、該開口部を塞ぐように埋め込んで配置されている。また、第二の遮光フィルタ10は、格子形状に形成された第一の遮光フィルタ9のうち画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の各開口部に、該開口部を塞ぐように埋め込んで配置されている。
【0025】
なお、この液晶表示素子1では、赤色要素7Rが設けられた赤色画素と、緑色要素7Gが設けられた緑色画素と、青色要素7Bが設けられた青色画素とが、行方向においては赤色画素、緑色画素、青色画素の順に交互に並ぶように、列方向においては同色の画素が連続して並ぶように配置している。
【0026】
前記第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10は、黒色の遮光材料により形成されている。そして、第一の遮光フィルタ9は、高い遮光性が得られる厚さに形成され、第二の遮光フィルタ10は、第一の遮光フィルタ9よりも僅かに薄い厚さに形成されている。
【0027】
また、カラーフィルタ7としての赤色要素7Rと緑色要素7Gと青色要素7Bは、第二の遮光フィルタ10と同様に、第一の遮光フィルタ9よりも僅かに薄い厚さに形成されている。
【0028】
この実施例では、第一の遮光フィルタ9を1.4μmの厚さに形成し、第二の遮光フィルタ10を1.3μmの厚さに形成するとともに、赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bをそれぞれ前記第二の遮光フィルタ10の厚さと同じ1.3μmの厚さに形成している。
【0029】
また、前記第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10及び色要素7R,7G,7Bの上には、透明樹脂の塗布膜からなるオーバーコート膜11が2μm程度の厚さに形成されており、このオーバーコート膜11の上に共通電極6が形成されている。
【0030】
さらに、第一の基板3上には、前記各画素電極5を覆って形成された第一の配向膜12が設けられ、第二の基板4上には、前記共通電極6を覆って形成された第二の配向膜13が設けられている。
【0031】
そして、第一の基板3と第二の基板4は、前記配向膜12,13の形成面同士を所定の間隙をあけて対向させて配置され、画面エリアを囲む枠状のシール材14を介して貼り合わされており、これらの基板3,4間の間隙の前記シール材14で囲まれた領域に、液晶層2が設けられている。
【0032】
また、第一の基板3の外面には、第一の偏光板15がその吸収軸を所定の方向に向けて配置され、第二の基板4の外面には、第二の偏光板16がその吸収軸を所定の方向に向けて配置されている。
【0033】
なお、この液晶表示素子1における液晶分子の配向モードは、液晶分子を第一と第二の基板3,4間においてツイスト配向させたTN型またはSTN型、液晶分子を分子長軸を一方向に揃えてホモジニアス配向させた非ツイストの水平配向型、液晶分子を基板3,4面に対して垂直な方向に分子長軸を向けて配向させた垂直配向型、液晶分子をベンド配向させたベンド配向型等の何れのモードでもよい。
【0034】
前記液晶表示素子1の製造において、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10とを有する遮光フィルタ8と、赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bを有するカラーフィルタ7は、次のような工程で形成する。
【0035】
(第1の工程)
まず、第1の工程において、第二の基板(以下、単に基板という)4上の画面エリア20a及び前記画面エリア20aを囲む画面外領域20bに、第一の遮光フィルタ9として第一の遮光材料を、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って連続した格子形状に形成する。
【0036】
この第一の遮光フィルタ9は、第一の遮光材料として、ポジ型の第一の黒色フォトレジスト(黒色の顔料を添加したフォトレジスト)を所定の厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜を格子形状にパターニングすることにより形成する。
【0037】
即ち、第一の遮光フィルタ9の形成においては、まず、図2のように、基板4上に、ポジ型の第一の黒色フォトレジストをスピンコート法等により所定の厚さに塗布する。そして、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜9aを乾燥させて基板4に密着させた後に、第一の黒色フォトレジスト膜9aを、画面エリア20a及び画面外領域29bに対応する格子形状の遮光部21aを形成した第一の露光マスク21を用いて露光処理する。
【0038】
次に、露光処理した第一の黒色フォトレジスト膜9aを現像処理することにより、この第一の黒色フォトレジスト膜9aの露光部分を除去し、図3及び図4のように、前記第一の黒色フォトレジスト膜9aを画面エリア20aから画面外領域20bに亘って連続した格子形状にパタ−ニングした第一の遮光フィルタ9を形成する。
【0039】
なお、この実施例では、第一の露光マスク21の各遮光部21aを図2のような幅に形成することにより、第一の遮光フィルタ9のうちの外周の枠部を、格子形状の縦横の各桟部の幅よりも広い幅に形成している。
【0040】
前記第一の遮光フィルタ9の形成において、基板4上に塗布した第一の黒色フォトレジスト膜9aを乾燥させると、溶剤の蒸発等によるフォトレジストの収縮により、前記第一の黒色フォトレジスト膜9a膜厚が薄くなる。
【0041】
そのため、この製造方法では、前記第一の黒色フォトレジストを、乾燥による膜厚の減少分を見込んで、形成する第一の遮光フィルタ9の厚さよりも所定の割合だけ厚く塗布し、所望の厚さ(例えば1.4μm)の第一の遮光フィルタ9を形成するようにしている。
【0042】
(第2の工程)
次に、第2の工程において、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に、第二の遮光フィルタ10として第二の遮光材料を埋め込む。この第二の遮光材料は、ポジ型の第二の黒色フォトレジストであり、この実施例では、前記第一の遮光フィルタ9の形成に用いた第一の黒色フォトレジストと同じ黒色フォトレジストを用いている。
【0043】
即ち、第二の遮光フィルタ10の形成においては、まず、図5のように、第一の遮光フィルタ9が形成された基板4上に、ポジ型の第二の黒色フォトレジストをスピンコート法等により前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布する。そして、塗布した第二の黒色フォトレジスト膜10aを乾燥させて基板4に密着させた後に、この第二の黒色フォトレジスト膜10aを、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に対応する遮光部22aを形成した第二の露光マスク22を用いて露光処理する。
【0044】
次に、露光処理した第二の黒色フォトレジスト膜10aを現像処理することにより、この第二の黒色フォトレジスト膜10aのうちの露光部分、つまり画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去し、図6及び図7のように、前記画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に残された第二の黒色フォトレジスト膜10aからなる第二の遮光フィルタ10を形成する。
【0045】
この第二の遮光フィルタ10の形成においても、第二の黒色フォトレジストを、乾燥による膜厚の減少分を見込んで、形成する第二の遮光フィルタ10の厚さよりも所定の割合だけ厚く塗布することにより、所望の厚さ(例えば1.4μm)の第一の遮光フィルタ9を形成することができる。
【0046】
この製造方法では、前記第二の黒色フォトレジストを、前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布することにより、第一の遮光フィルタ9よりも薄い厚さ(例えば1.3μm)の第一の遮光フィルタ9を形成している。
【0047】
(第3の工程)
次に、第3の工程において、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部にカラーフィルタ7の赤、緑,青の色要素7R,7G,7Bとして赤、緑、青の各色の着色材料を埋め込むことにより、各色の色要素7R,7G,7Bを形成する。この実施例では、各色の着色材料として、その色の顔料を添加した着色フォトレジストを用いている。
【0048】
赤、緑,青の色要素7R,7G,7Bは、例えば、赤色要素7R、緑色要素7G、青色要素7Bの順で形成する。
【0049】
まず、図8のように、第一の遮光フィルタ9及び第二の遮光フィルタ10が形成された基板4上に、赤色のポジ型着色フォトレジスト(以下、赤色フォトレジストという)をスピンコート法等により前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布する。そして、塗布した赤色フォトレジスト膜7Raを乾燥させて基板4に密着させた後に、この赤色フォトレジスト膜7Raを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの赤色要素7Rを埋め込む開口部に対応する遮光部23aを形成した第三の露光マスク23を用いて露光処理する。
【0050】
次に、露光処理した赤色フォトレジスト膜7Raを現像処理することにより、この赤色フォトレジスト膜7Raの露光部分、つまり画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの赤色要素7Rを埋め込む開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去し、図9のように、前記第一の遮光フィルタ9の開口部に残された赤色フォトレジスト膜7Raからなる赤色要素7Rを形成する。
【0051】
次に、図10のように、第一の遮光フィルタ9及び第二の遮光フィルタ10と赤色要素7Rが形成された基板4上に、緑色のポジ型着色フォトレジスト(以下、緑色フォトレジストという)を、スピンコート法等により前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布する。そして、塗布した緑色フォトレジスト膜7Gaを乾燥させて基板4に密着させた後に、この緑色フォトレジスト膜7Gaを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの緑色要素7Gを埋め込む開口部に対応する遮光部24aを形成した第三の露光マスク24を用いて露光処理する。
【0052】
次に、露光処理した緑色フォトレジスト膜7Gaを現像処理することにより、この緑色フォトレジスト膜7Gaの露光部分、つまり画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの緑色要素7Gを埋め込む開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去し、図11のように、前記第一の遮光フィルタ9の開口部に残された赤色フォトレジスト膜7Raからなる赤色要素7Rを形成する。
【0053】
次に、図12のように、第一の遮光フィルタ9及び第二の遮光フィルタ10と赤色要素7R及び緑色要素Gが形成された基板4上に、青色のポジ型着色フォトレジスト(以下、青色フォトレジストという)を、スピンコート法等により前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布する。そして、塗布した青色フォトレジスト膜7Baを乾燥させて基板4に密着させた後に、この青色フォトレジスト膜7Baを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの青色要素7Bを埋め込む開口部に対応する遮光部25aを形成した第三の露光マスク25を用いて露光処理する。
【0054】
次に、露光処理した青色フォトレジスト膜7Baを現像処理することにより、この青色フォトレジスト膜7Baの露光部分、つまり画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部のうちの青色要素7Bを埋め込む開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去し、図13のように、前記第一の遮光フィルタ9の開口部に残された青色フォトレジスト膜7Baからなる青色要素7Bを形成する。
【0055】
このように、赤、緑,青の色要素7R,7G,7Bは、基板4上のうちの画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に赤、緑、青の着色フォトレジストを埋め込むことにより、図14のように配列させて形成される。
【0056】
この色要素7R,7G,7Bの形成においても、各色の着色フォトレジストを、乾燥による膜厚の減少分を見込んで、形成する色要素7R,7G,7Bの厚さよりも所定の割合だけ厚く塗布することにより、所望の厚さ(例えば1.4μm)の色要素7R,7G,7Bを形成することができる。
【0057】
この製造方法では、各色の着色フォトレジストをそれぞれ、前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布することにより、第一の遮光フィルタ9よりも薄い厚さ(例えば1.3μm)の色要素7R,7G,7Bを形成している。
【0058】
さらに、この製造方法では、赤、緑、青の着色フォトレジストをそれぞれ、前記第二の黒色フォトレジストの塗布厚と同じ厚さに塗布することにより、第二の遮光フィルタ10と赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bとを同じ厚さに形成している。
【0059】
(第4の工程)
次に、第4の工程において、図15のように、第一及び第二の遮光フィルタ9,10と色要素7R,7G,7Bの上に、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って、透明樹脂の塗布膜からなるオーバーコート膜11を形成する。
【0060】
このオーバーコート膜11は、ポリイミド樹脂またはアクリル樹脂等の透明樹脂をスピンコート法等により塗布し、塗布された透明樹脂を硬化させることにより形成する。なお、このオーバーコート膜11の形成においても、前記透明樹脂は、溶剤の蒸発等による膜厚の減少分を見込んで、形成するオーバーコート膜11の厚さよりも所定の割合だけ厚く塗布する。
【0061】
前記オーバーコート膜11を形成した後は、このオーバーコート膜11の上にITO膜を成膜して共通電極6を形成し、さらにその上に例えばポリイミド等を塗布して第二の配向膜13を形成する。
【0062】
この後は、第一の基板3と第二の基板4とを枠状のシール材14を介して貼り合わせ、これらの基板3,4間の間隙に液晶を充填するとともに、第一の基板3の外面に第一の偏光板15を貼り付け、第二の基板4の外面に第二の偏光板16を貼り付けて、図1に示した液晶表示素子1を製造する。
【0063】
このように、上記製造方法では、第二の基板4上に画面エリア20aから画面外領域20bに亘って、第一の遮光フィルタ9を格子形状に形成した後、第二の遮光フィルタ10を、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込んで形成し、赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bを、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込んで形成している。
【0064】
そのため、上記製造方法によれば、形成されたカラーフィルタ7及び遮光フィルタ8の表面が、画面エリア20aにおいて第一の遮光フィルタ9と色要素7R,7G,7Bとが交互に並び、画面エリア20aを囲む画面外領域20bにおいて第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10とが交互に並んだ形状の面になる。
【0065】
即ち、上記実施例では、基板4上に第一の黒色フォトレジストを所定の厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜9aを格子形状にパターニングすることにより第一の遮光フィルタ9を形成した後、前記基板4上に第二の黒色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第二の黒色フォトレジスト膜10aのうちの画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより第二の遮光フィルタ10を形成しているため、第二の遮光フィルタ10は、第一の遮光フィルタ9よりも薄い厚さに形成される。
【0066】
また、上記実施例では、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10を形成した基板4上に、着色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した着色フォトレジスト膜7Ra,7Ga,7Baのうちの画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより色要素7R,7G,7Bを形成しているため、色要素7R,7G,7Bは、第一の遮光フィルタ9よりも薄い厚さに形成される。
【0067】
さらに、上記実施例では、前記第二の黒色フォトレジストと各色の着色フォトレジストとを同じ厚さに塗布しているため、第二の遮光フィルタ10と色要素7R,7G,7Bは同じ厚さに形成される。
【0068】
従って、形成されたカラーフィルタ7及び遮光フィルタ8の表面は、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って、色要素7R,7G,7B及び第二の遮光フィルタ10の表面に対して第一の遮光フィルタ9の表面が僅かに突出した微細な凹凸面になる。
【0069】
このように、上記製造方法で形成されたカラーフィルタ7及び遮光フィルタ8は、その表面が、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って同じ形状の微細な凹凸面になっている。
【0070】
そのため、オーバーコート膜11を形成する面の透明樹脂に対する表面張力が、画面エリア20aにおいても画面外領域20bにおいても同じであり、従って透明樹脂を、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って均等に塗布し、膜面が平坦なオーバーコート膜11を形成することができる。
【0071】
前記オーバーコート膜11は、第二の遮光フィルタ10及び色要素7R,7G,7Bの上の部分の厚さが、第一の遮光フィルタ9の表面と第二の遮光フィルタ10及び色要素7R,7G,7Bの表面との段差の20倍程度になる厚さに形成するのが望ましい。
【0072】
上記実施例では、第一の遮光フィルタ9を1.4μmの厚さに形成し、第二の遮光フィルタ10と色要素7R,7G,7Bをそれぞれ1.3μmの厚さに形成しているため、第一の遮光フィルタ9の表面と第二の遮光フィルタ10及び色要素7R,7G,7Bの表面との段差は0.1μmである。
【0073】
従って、前記オーバーコート膜11は、第二の遮光フィルタ10上及び色要素7R,7G,7B上の厚さが2μm程度になる厚さに形成するのが望ましく、このようにすることにより、膜厚が比較的薄く、しかも画面エリア20aから画面外領域20bに亘って膜面が平坦なオーバーコート膜11を得ることができる。
【0074】
そのため、上記製造方法で製造された液晶表示素子1は、図1のように、第一の基板3と第二の基板4との間の液晶層2の層厚が、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って均一である。
【0075】
一方、図16に示した比較例の液晶表示素子1aは、第二の基板4上の画面エリア20aに格子形状遮光フィルタ8aを形成し、画面エリア20aの周囲の画面外領域20bにベタ膜状遮光フィルタ8bを形成し、カラーフィルタ7の赤、緑,青の色要素7R,7G,7bを、前記基板4上の格子形状遮光フィルタ8aの開口部に埋め込んで形成したものである。なお、図16において、図1に示した液晶表示素子1と同じものについては、図に同符号を付してその説明を省略する。
【0076】
この比較例の液晶表示素子1aの製造において、格子形状遮光フィルタ8aとベタ膜状遮光フィルタ8bは、基板4上に黒色フォトレジストを塗布し、塗布された黒色フォトレジストを露光及び現像処理することにより、一括して同じ厚さに形成されている。また、色要素7R,7G,7bは、上記実施例と同じ方法により、格子形状遮光フィルタ8a及びベタ膜状遮光フィルタ8bよりも薄い厚さに形成されている。
【0077】
そして、前記色要素7R,7G,7bが配列したカラーフィルタ7と格子形状遮光フィルタ8a及びベタ膜状遮光フィルタ8bの上には、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って、透明樹脂の塗布膜からなるオーバーコート膜11が、色要素7R,7G,7b上の部分の厚さが2μmになるように形成されており、その上に共通電極6及び第二の配向膜13が形成されている。
【0078】
この比較例の液晶表示素子1aは、カラーフィルタ7及び遮光フィルタ8a,8bの表面が、画面エリア20aでは、格子形状遮光フィルタ8aと色要素7R,7G,7bとが交互に並んだ微細な凹凸面になっているのに対し、画面エリア20aを囲む画面外領域20bでは、ベタ膜状遮光フィルタ8bの膜面からなる平坦面になっている。
【0079】
そして、微細な凹凸面になっている表面と、平坦になっている表面とでは、その表面形状の違いにより、透明樹脂に対する表面張力が異なるため、透明樹脂の塗布性も異なることになる。
【0080】
そのため、比較例の液晶表示素子1aは、透明樹脂の塗布性の異なる2つの領域の境界部付近、つまり画面エリア20aと画面外領域20bとの境界部付近において膜面が大きく波打ったような形状のオーバーコート膜11が形成されてしまう。
【0081】
従って、比較例の液晶表示素子1aは、画面エリア20aと画面外領域20bの境界部付近に液晶層厚の異なる部分ができ、その部分に表示ムラが発生する。
【0082】
前記比較例の液晶表示素子1aに対して、上記実施例の製造方法で製造された液晶表示素子1は、図1のように、第一の基板3と第二の基板4との間の液晶層2の層厚が、画面エリア20aから画面外領域20bに亘って均一であるため、表示ムラの無い良好な表示品質を得ることができる。
【0083】
また、上記実施例では、第一の遮光フィルタ9を第一の黒色フォトレジストにより形成し、第二の遮光フィルタ10を前記第一の黒色フォトレジストと同じ黒色フォトレジストからなる第二の黒色フォトレジストにより形成しているため、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10とが交互に並んでいる画面外領域20bが平面的にはベタ膜のように見える。なお、同じ黒色フォトレジストにより形成された遮光フィルタでも、その厚さによって黒色の濃さが異なるが、形成された第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10の厚さの差が0.1μm程度であれば、第一の遮光フィルタ9と第二の遮光フィルタ10は同じ濃さの黒色に見える。そのため、画面外領域20bの平面的な外観を、ベタ膜からなる遮光フィルタが形成されているような外観にすることができる。
【0084】
但し、前記第一の黒色フォトレジストと第二の黒色フォトレジストは、濃さの異なる黒色フォトレジストでもよい。その場合は、画面外領域20bの平面的な外観が、格子形状に形成された第一の遮光フィルタ9と、その開口部に埋め込まれた第二の遮光フィルタ10とが交互に並んだ外観になる。
【0085】
なお、上記実施例の製造方法では、第1の工程により、画面エリア20a及び画面外領域20bに第一の遮光フィルタ9として第一の遮光材料を格子形状に形成した後、第2の工程により、画面外領域20bにおける第一の遮光フィルタ9の開口部に第二の遮光フィルタ10として第二の遮光材料を埋め込み、その後に、第3の工程により、画面エリア20aにおける第一の遮光フィルタ9の開口部にカラーフィルタ7の色要素7R,7G,7Bとして着色材料を埋め込んでいるが、前記第3の工程による着色材料の埋め込みは、前記第2の工程に先立って行ってもよい。
【0086】
また、上記実施例の製造方法で製造された液晶表示素子1は、各色の画素を、行方向においては赤色画素、緑色画素、青色画素の順に交互に並ぶように、列方向においては同色の画素が連続して並ぶように配置したものであるが、この発明は、列方向の画素配列(同じデータ信号線からデータ信号を供給される同色の画素の配列を、行毎に行方向に1.5ピッチずらして配列したデルタ配列型の液晶表示素子の製造にも適用することができる。
【0087】
さらに、上記実施例では、第一の遮光フィルタ9を格子形状に形成しているが、第一の遮光フィルタ9は、カラーフィルタの配列領域から前記画面外領域20bに亘って、各行の色要素間に対応する横縞形状または各列の色要素間に対応する縦縞形状のパターンに形成してもよい。
【0088】
また、上記実施例では、第一の遮光フィルタ9及び第二の遮光フィルタと赤、緑、青の色要素7R,7G,7Bをポジ型のフォトレジストにより形成しているが、これらはネガ型のフォトレジストにより形成してもよい。
【0089】
また、この発明は、図1に示した液晶表示素子1に限らず、例えば、各画素の液晶分子の配向状態を、第一の基板3に互いに絶縁させて設けられた第一電極と第二電極との間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて制御する横電界制御型の液晶表示素子の製造にも適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1…液晶表示素子、3,4…基板、5…画素電極、6…共通電極、7…カラーフィルタ、7R…赤色要素、7G…緑色要素、7B…青色要素、8…遮光フィルタ、9…第一の遮光フィルタ、10…第二の遮光フィルタ、9a…第一の黒色フォトレジスト膜、10a…第二の黒色フォトレジスト膜、7Ra,7Ga,7Ba…着色フォトレジスト膜、11…オーバーコート膜、20a…画面エリア、20b…画面エリアを囲む領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色要素を有しているとともに画面エリアに配置されたカラーフィルタと、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタと、を備え、
前記カラーフィルタが一つの画素に対して一つの色要素が対応するように配置されているとともに、前記遮光フィルタが前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成されているフィルタの製造方法であって、
前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に第一の遮光フィルタとして第一の遮光材料を格子形状または縞形状に形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記画面エリアを囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に第二の遮光フィルタとして第二の遮光材料を埋め込む第2の工程と、
前記第2の工程の後、または前記第2の工程に先立って、前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に前記カラーフィルタの色要素として着色材料を埋め込む第3の工程と、
を含むことを特徴とするフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記第一の遮光フィルタは、前記第一の遮光材料として第一の黒色フォトレジストを所定の厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜を格子形状または縞形状にパターニングすることにより形成し、
前記第二の遮光フィルタは、前記第二の遮光材料として第二の黒色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第二の黒色フォトレジスト膜のうちの前記画面を囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより形成し、
前記カラーフィルタの色要素は、前記着色材料として着色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した着色フォトレジスト膜のうちの前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより形成することを特徴とする請求項1に記載のフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記第二の黒色フォトレジストと前記着色フォトレジストは、同じ厚さに塗布することを特徴とする請求項2に記載のフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記第二の黒色フォトレジストは、前記第一の黒色フォトレジストと同じ黒色フォトレジストであることを特徴とする請求項2に記載のフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記第2の工程及び前記第3の工程の後に、前記第一及び第二の遮光フィルタと前記色要素の上に、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に亘って透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成する第4の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のフィルタの製造方法。
【請求項6】
画面エリアに複数の画素が行方向及び列方向に配列され、液晶層を挟んで対向配置された第一の基板と第二の基板の何れか一方の基板に、複数の色要素を有しているとともに画面エリアに配置されたカラーフィルタと、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタとが設けられ、前記カラーフィルタが一つの画素に対して一つの色要素が対応するように配置されているとともに、前記遮光フィルタが前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成されている液晶表示素子の製造方法であって、
前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に第一の遮光フィルタとして遮光材料を格子形状または縞形状に形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記画面エリアを囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に第二の遮光フィルタとして遮光材料を埋め込む第2の工程と、
前記第2の工程の後、または前記第2の工程に先立って、前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に前記カラーフィルタの色要素として着色材料を埋め込む第3の工程と、
前記第2の工程及び前記第3の工程の後に、前記第一及び第二の遮光フィルタと前記色要素の上に、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に亘って透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成する第4の工程と、
を含むことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
【請求項1】
複数の色要素を有しているとともに画面エリアに配置されたカラーフィルタと、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタと、を備え、
前記カラーフィルタが一つの画素に対して一つの色要素が対応するように配置されているとともに、前記遮光フィルタが前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成されているフィルタの製造方法であって、
前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に第一の遮光フィルタとして第一の遮光材料を格子形状または縞形状に形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記画面エリアを囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に第二の遮光フィルタとして第二の遮光材料を埋め込む第2の工程と、
前記第2の工程の後、または前記第2の工程に先立って、前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に前記カラーフィルタの色要素として着色材料を埋め込む第3の工程と、
を含むことを特徴とするフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記第一の遮光フィルタは、前記第一の遮光材料として第一の黒色フォトレジストを所定の厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第一の黒色フォトレジスト膜を格子形状または縞形状にパターニングすることにより形成し、
前記第二の遮光フィルタは、前記第二の遮光材料として第二の黒色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した第二の黒色フォトレジスト膜のうちの前記画面を囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより形成し、
前記カラーフィルタの色要素は、前記着色材料として着色フォトレジストを前記第一の黒色フォトレジストの塗布厚よりも薄い厚さに塗布し、露光及び現像処理により、塗布した着色フォトレジスト膜のうちの前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に埋め込まれた部分以外の部分を除去することにより形成することを特徴とする請求項1に記載のフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記第二の黒色フォトレジストと前記着色フォトレジストは、同じ厚さに塗布することを特徴とする請求項2に記載のフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記第二の黒色フォトレジストは、前記第一の黒色フォトレジストと同じ黒色フォトレジストであることを特徴とする請求項2に記載のフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記第2の工程及び前記第3の工程の後に、前記第一及び第二の遮光フィルタと前記色要素の上に、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に亘って透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成する第4の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のフィルタの製造方法。
【請求項6】
画面エリアに複数の画素が行方向及び列方向に配列され、液晶層を挟んで対向配置された第一の基板と第二の基板の何れか一方の基板に、複数の色要素を有しているとともに画面エリアに配置されたカラーフィルタと、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に配置された遮光フィルタとが設けられ、前記カラーフィルタが一つの画素に対して一つの色要素が対応するように配置されているとともに、前記遮光フィルタが前記画面エリアにおいて、隣接する二つの色要素間に位置するように格子形状または縞形状に形成されている液晶表示素子の製造方法であって、
前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に第一の遮光フィルタとして遮光材料を格子形状または縞形状に形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記画面エリアを囲む領域における前記第一の遮光フィルタの開口部に第二の遮光フィルタとして遮光材料を埋め込む第2の工程と、
前記第2の工程の後、または前記第2の工程に先立って、前記画面エリアにおける前記第一の遮光フィルタの開口部に前記カラーフィルタの色要素として着色材料を埋め込む第3の工程と、
前記第2の工程及び前記第3の工程の後に、前記第一及び第二の遮光フィルタと前記色要素の上に、前記画面エリア及び前記画面エリアを囲む領域に亘って透明樹脂を塗布してオーバーコート膜を形成する第4の工程と、
を含むことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
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【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−257652(P2011−257652A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133303(P2010−133303)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【出願人】(591182824)甲府カシオ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【出願人】(591182824)甲府カシオ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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