説明

フィルタインサート及び袋状のフィルタインサートを製造するための方法

【課題】フィルタインサート並びに袋状のフィルタインサートを製造するための方法において、フィルタインサートが別の機能性を有しているものを提供する。
【解決手段】フィルタボディ内に、マーキング(12)及び/又は香料を有する少なくとも1つのストリップ(3)が配置されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にコーヒーを抽出するためのフィルタインサートであって、袋状のフィルタボディが設けられており、このフィルタボディが底部、側壁及び抽出材料を充填するための開口を有している形式のもの、並びに袋状のフィルタインサートを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーを抽出するためには、袋状のフィルタペーパインサートが公知である。これらのフィルタペーパインサートにはコーヒー粉末を充填することができるようになっており、底部及び側方エッジではエンボス継ぎ目により閉じられており、これによりフィルタペーパは縁部側で互いに堅固に結合される。さらにフィルタペーパには、例えば宣伝目的でエンボスが提供されている場合があり、この場合にはエンボスはたいてい見えにくくなっている。
【0003】
さらに芳香をつけられたフィルタインサートを製造する試みがなされた。しかしながら、湿式塗布法でフィルタインサートを製造することは困難であると判明した。
【0004】
ヨーロッパ特許庁特許第1172054号明細書により、フィルタペーパインサートを製造するための方法が公知である。この方法ではフィルタ材料ウェブのフィルタペーパインサートが切り取られる。この場合にフィルタペーパインサートの底部及び側壁には二重のエンボス継ぎ目が形成される。フィルタ特性のほかにはこれらの公知のフィルタペーパインサートはさらなる機能性を有していない。
【特許文献1】ヨーロッパ特許庁特許ダイ1172054号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の課題は、フィルタインサート並びに袋状のフィルタインサートを製造するための方法において、フィルタインサートが別の機能性を有しているものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、フィルタボディ内に、マーキング及び/又は香料を有する少なくとも1つのストリップが配置されているフィルタインサートにより解決され、さらにフィルタ材料ウェブを搬送し、少なくとも1つのストリップをフィルタ材料ウェブに載置し、少なくとも1つのストリップが折り畳まれたフィルタ材料ウェブの間に配置されているようにフィルタ材料ウェブを折り畳み、折り畳まれたフィルタ材料ウェブを、フィルタインサートを製造するために切断し、エンボスする、袋状のフィルタインサートを製造するための方法により解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるフィルタインサートはフィルタボディを有しており、このフィルタボディ内には、マーキング及び/又は香料を有する少なくとも1つのストリップが配置されている。これにより、フィルタインサートは、フィルタ機能の他にさらに別の機能を提供することができる。これらの別の機能においては、フィルタボディ内のストリップは、例えばフィルタインサートの充填量に関して使用者に利用可能な情報を与えるか、又は香料が設けられていてよい。この香料は濾過された液体、有利には抽出されたコーヒーに特に味覚的な特色(Note)を付与する。
【0008】
フィルタインサートの簡単な製造のためには、ストリップは有利にはフィルタボディのエンボス継ぎ目に固定されている。この場合にエンボス継ぎ目から離隔されて、ストリップはフィルタボディ内に緩く配置されていてよい。このことは、使用者が特別な場合に望まれる機能を利用したくない場合、例えばストリップに芳香がつけられていて、このことが望ましくない場合には、フィルタボディからストリップを簡単に除去することをも可能にする。フィルタボディの内部に緩く配置されることにより、ストリップはとりわけ良く見ることができ、フィルタインサートの材料から際立つ。
【0009】
本発明の有利な構成によれば、ストリップは充填量を把握するためのマーキングを有している。この場合にマーキングは容量又は重量に関して具体的な量表示を行うものであってもよい。この場合、有利にはマーキングは、コーヒー粉末を相応に充填した場合に何カップ分のコーヒーを抽出することができるかについての指標を使用者に与える。
【0010】
本発明の別の有利な構成によれば、ストリップには香料が設けられている。この場合に香料は保護層により被覆されていてよい。この保護層は液体、有利には熱湯と接触した場合に溶解する。この場合、香料は長い間芳香を保持することができる。なぜならば、香料は保護層の下方に保護されて配置されており、抽出工程の間にのみ周辺の液体に放出されるからである。
【0011】
ストリップの良好な可視性のためには、このストリップは有利にはフィルタ材料とは別の色で構成されている。これにより、ストリップは利用者によってすぐに認識され、この場合に特にフィルタ材料としてフィルタペーパが使用される場合には外側からも材料を透過して見ることができるようになっていてよい。
【0012】
袋状のフィルタインサートを製造するための本発明による方法では、材料ウェブが搬送され、次いで少なくとも1つのストリップが載置される。続いてフィルタ材料ウェブは、少なくとも1つのストリップが折り畳まれた材料ウェブの間に配置されているように折り畳まれる。次いで折り畳まれた材料ウェブは切断され、エンボスされ、これによりフィルタインサートが製造される。従って、この製造方法は実質的な手間なしに実施することができ、この場合、フィルタインサートとの関連で既に説明したようにフィルタインサートの内部のストリップにより付加的な機能性が提供される。
【0013】
この方法では、有利にはフィルタ材料ウェブは、少なくとも1つのストリップがフィルタインサートのエンボス継ぎ目で固定されるようにエンボスされる。この場合にストリップは有利にはフィルタ材料ウェブの折りエッジに対して平行に延びており、これにより、フィルタ材料ウェブ及びストリップの搬送方向は等しくなっており、高速で走行され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明の実施の形態を図面に基づきさらに詳しく説明する。
【0015】
有利にはフィルタペーパ又はフリース素材から成るフィルタ材料ウェブ1が、一方向に搬送される。このフィルタ材料ウェブ1はほぼ未加工品2の幅を有しており、この未加工品2からはのちにフィルタインサートが製造される。2つの未加工品2が互いに隣接して配置されていることができるようにフィルタ材料ウェブ1をより広幅に形成することも可能である。フィルタ材料ウェブ1に対して平行にストリップ3が偏心的に載置される。未加工品2は、製造方法をより良く説明することができるためにのみフィルタ材料ウェブ1内に図示されている。特に開放補助がフィルタインサートに設けられていることが望ましい場合には、未加工品2の切断輪郭の少なくとも一部を既に設けることももちろん可能である。
【0016】
次のステップではフィルタ材料ウェブ1が折り畳まれ、これにより、中央に折りエッジ5が形成され、フィルタ材料ウェブ1のこれらの折りエッジ5は互いに重ね合わされる。これにより、ストリップ3は折り畳まれたフィルタ材料ウェブ内に収容されている。
【0017】
1つ又は複数のストリップ3’及び30を側方からフィルタ材料ウェブ内へ挿入することも可能である。このためには、フィルタ材料ウェブ1の折り畳み前に、変向ローラ31がフィルタ材料ウェブ1の運動方向に対してほぼ角度45°で配置されており、これにより、供給される1つ又は複数のストリップ3’及び/又は30は側方から、又は上方から供給される。ストリップ3’及び30は種々異なった幅及び機能することができる。
【0018】
次いでこのようにして折り畳まれたフィルタ材料ウェブはエンボスされ、切断される。この場合に側方エッジにはエンボス継ぎ目7、及び底部にはエンボス継ぎ目8がフィルタ材料を結合するために設けられており、底部に向かい合って切断エッジ6が設けられている。エンボス継ぎ目7及び8に隣接して同様に切断され、これにより、完成したフィルタインサート11が製造される。このフィルタインサート11は濾過したい材料を充填するための開口9を有している。この場合、側方のエンボス継ぎ目7、底部のエンボス継ぎ目8並びに側方の折りエッジ10を有するフィルタボディが形成される。フィルタボディ内には、折りエッジ10に対して離隔されてストリップ3が配置されており、このストリップ3はフィルタインサート11の機能性を高める。
【0019】
図2に見ることができるように、ストリップ3にはマーキング12が施されている。これらのマーキング12は、どのくらいの充填量がフィルタボディの内部に収容されているかについて使用者に指標を与えることができる。さらにマーキング12は、所定数のカップ分のコーヒーを抽出するためにどれくらいの量のコーヒー粉末が不可欠であるかを使用者が見られるように形成されていてもよい。この場合に、ストリップ3はよく見えるようにフィルタボディ内に収容されていてよい。特にストリップは、色により周辺のフィルタ材料から際立たせられていてよい。例えばフィルタ材料として白いフィルタペーパが使用された場合には、ストリップ3は茶色のフィルタペーパから成っていてよい。この場合、使用者にはフィルタボディの開放時にすぐにストリップ3が見え、さらに外側からも透けて見える。ストリップ3はフィルタ材料又は別の材料から成っていてよい。さらにストリップ3にはマーキング12が印刷されているか、かつ/又はエンボスされていてよい。
【0020】
ストリップ3はフィルタインサート11の底部に設けられたエンボス継ぎ目8に沿って固定されており、それ以外ではフィルタ材料の両方の層の間に緩く収容されている。ストリップ3を付加的にフィルタ材料に接着することももちろん可能である。
【0021】
有利な構成によれば、ストリップ3には1つ又は複数の香料が設けられていてよい。これらの香料は保護層により被覆もされており、これにより、香料は長い間新鮮に保たれる。この場合に保護層は水溶性に形成されていてよく、これにより、コーヒーの抽出時には保護層は溶解し、香料が放出され得るようになっている。ストリップ3がこの場合にエンボス継ぎ目7若しくは8にのみ固定されている場合には、ストリップは必要に応じて、例えば香料の調量のために完全に、又は部分的に取り除くこともできる。
【0022】
図示の実施例では、ストリップ3は底部に設けられたエンボス継ぎ目で固定されており、フィルタボディの内部に収容されている。さらにより広幅なストリップが側方のエンボス継ぎ目7に固定されていてよい。この場合にこのストリップは上述のように同様にマーキング、香料などを有していることができる。
【0023】
1つ又は複数のストリップ3若しくは30をフィルタボディ内に設けることももちろん可能である。この場合には、ストリップ3若しくは30は種々異なった箇所でエンボス継ぎ目7及び/又は8に結合されていてよい。
【0024】
ストリップ3を底部領域内でエンボス継ぎ目8に固定する代わりに、ストリップ3はエンボス継ぎ目7にむしろ側方で固定されていてもよい。これにより、ストリップ3はより短く形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】袋状のフィルタインサートを製造するための方法を示す概略図である。
【図2】本発明によるフィルタインサートの側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 フィルタ材料ウェブ、 2 未加工品、 3,3’,30 ストリップ、 5 フィルタエッジ、 6 切断エッジ、 7,8 エンボス継ぎ目、 9 開口、 10 折りエッジ、 11 フィルタインサート、 12 マーキング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にコーヒーを抽出するための、フィルタインサート(11)であって、該フィルタインサート(11)に袋状のフィルタボディが設けられており、該フィルタボディが、底部と、側壁と、抽出材料を充填するための開口(9)とを有している形式のものにおいて、フィルタボディ内に、マーキング(12)及び/又は香料を有する少なくとも1つのストリップ(3)が配置されていることを特徴とする、フィルタインサート(11)。
【請求項2】
ストリップ(3)が、フィルタボディのエンボス継ぎ目(7,8)に固定されている、請求項1記載のフィルタインサート。
【請求項3】
ストリップ(3)が、エンボス継ぎ目(7,8)から離隔されてフィルタボディ内に緩く配置されている、請求項2記載のフィルタインサート。
【請求項4】
ストリップ(3)に、充填量を把握するためのマーキング(12)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のフィルタインサート。
【請求項5】
マーキング(12)が、コーヒー粉末が相応に充填された場合に何カップ分のコーヒーを抽出することができるかについての表示を形成している、請求項4記載のフィルタインサート。
【請求項6】
ストリップ(3)に、香料が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のフィルタインサート。
【請求項7】
香料に保護層が被覆されており、該保護層が、液体と接触した場合に溶解する、請求項6記載のフィルタインサート。
【請求項8】
ストリップ(3)が、フィルタ材料とは別の色を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のフィルタインサート。
【請求項9】
フィルタインサートが、フィルタペーパから製造されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のフィルタインサート。
【請求項10】
袋状のフィルタインサート(11)を製造するための方法において、該方法に、次のステップ、すなわち、
フィルタ材料ウェブ(1)を搬送し、少なくとも1つのストリップ(3)をフィルタ材料ウェブに載置し、
少なくとも1つのストリップ(3)が折り畳まれたフィルタ材料ウェブの間に配置されているようにフィルタ材料ウェブ(1)を折り畳み、
折り畳まれたフィルタ材料ウェブ(1)を、フィルタインサート(11)を製造するために切断し、エンボスする
ステップを設けることを特徴とする、袋状のフィルタインサート(11)を製造するための方法。
【請求項11】
フィルタ材料ウェブ(1)をエンボスする場合に少なくとも1つのストリップ(3)をフィルタインサート(11)のエンボス継ぎ目(7,8)に固定する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのストリップ(3)を、フィルタ材料ウェブ(1)の折りエッジ(4)に対して平行に供給する、請求項10又は11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−275597(P2007−275597A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100879(P2007−100879)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(390014155)メリタ ハウスハルツプロドウクテ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシヤフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Melitta Haushaltsprodukte GmbH & Co. KG