フィルタエレメント成型用治具及びフィルタエレメントの製造方法。
【課題】 フィルタエレメントを製造するに際して、濾材を破損する恐れが無く、手で取り扱った場合でも火傷を負うなどの安全上の問題がなく取り扱いやすいフィルタエレメント成型用治具を提供する。また、このフィルタエレメント成型用治具を用いたフィルタエレメントの製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも一つの長辺110が櫛歯形状101を有する略長方形の板状体であって、前記板状体の少なくとも櫛歯形状部分102が樹脂から形成されていることを特徴とするフィルタエレメント成型用治具、およびこのフィルタエレメント成型用治具を用いたフィルタエレメントの製造方法。
【解決手段】 少なくとも一つの長辺110が櫛歯形状101を有する略長方形の板状体であって、前記板状体の少なくとも櫛歯形状部分102が樹脂から形成されていることを特徴とするフィルタエレメント成型用治具、およびこのフィルタエレメント成型用治具を用いたフィルタエレメントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリーツ形状を有する濾材に枠材を取り付けてフィルタエレメントを製造する際に、プリーツ形状を保持するために用いる櫛歯形状をした治具に関する。またこの治具を用いたフィルタエレメントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図13に示すように、プリーツ折り加工された濾材105の幅方向両端部に枠材106を固着してフィルタエレメントを製造する方法が知られている。例えば特開平6−218208号公報には、濾材の折り目線方向の枠辺について合成樹脂材料の成形を先に行い時間をおいて後他の枠辺を成形する枠付フィルターの製造方法が本出願人により開示されている。また特開2004−89758号公報には、長手方向にプリーツ折り加工された圧縮弾性を有する濾材を長手方向に圧縮させた状態で前記濾材の幅方向両端部に抗張力を有するテープを固着する方法が本出願人により開示されている。さらに、この公報では、図13に示すように、加熱した加圧板107を矢印Eの方向に押し当てることにより、プリーツ折り加工された濾材105の幅方向両端部に枠材106を固着する方法が記載されている。
【0003】
また、具体的な枠材の固着方法としては、ボール紙、プラスチック板、不織布などの枠素材を接着剤によって接着固定する方法が知られており、接着剤として予め枠素材にホットメルトシートを附着した接着剤も知られている。また、接着固定に際しては、例えば接着剤を加熱したり、加圧することで、確実に固着することが重要である。
【0004】
一方、固着に際しては、プリーツ折り加工された濾材のプリーツ間隔を一定に保つ必要があり、そのためプリーツ折りの形状に対応する櫛歯形状を有する略長方形の板状体からなる治具104を検討した。このような治具としては、加熱や加圧に対して耐久性のある金属製の素材が好ましいと考えられるが、金属製であると、濾材を破損したり、加熱後に手で取り扱うと火傷を負うなどの問題があった。また、繰り返し使用していると加熱した加圧板の輻射熱などによって、金属に熱が蓄積して濾材を破損するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平6−218208号公報
【特許文献2】特開2004−89758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決して、フィルタエレメントを製造するに際して、濾材を破損する恐れが無く、手で取り扱った場合でも火傷を負うなどの安全上の問題がなく取り扱いやすいフィルタエレメント成型用治具を提供することを目的とする。また、このフィルタエレメント成型用治具を用いたフィルタエレメントの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフィルタエレメント成型用治具にかかる解決手段は、図1に例示するように少なくとも一つの長辺110が櫛歯形状101を有する略長方形の板状体であって、前記板状体の少なくとも櫛歯形状部分102が樹脂から形成されていることを特徴とするフィルタエレメント成型用治具100である。また、本発明のフィルタエレメントの製造方法にかかる解決手段は、本発明のフィルタエレメント成型用治具100を用いることを特徴とするフィルタエレメントの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィルタエレメント成型用治具は、櫛歯形状部分が樹脂からなるので、フィルタエレメントを製造するに際して、濾材を破損したり、加熱後に手で取り扱った場合でも火傷を負うなどの安全上の問題がない。また、繰り返し使用しても、加熱した加圧板の輻射熱などによって、熱が蓄積して濾材を破損するという問題がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明にかかるフィルタエレメント成型用治具の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1に示すように、本発明のフィルタエレメント成型用治具100は、少なくとも一つの長辺110が櫛歯形状101を有する略長方形の板状体であって、前記板状体の少なくとも櫛歯形状部分102が樹脂から形成されている。
【0011】
前記櫛歯形状は成型するフィルタエレメントに応じた形状であればよく、必ずしも同じ櫛歯が並んでいる必要は無い。例えば図6のように、最端にある櫛歯の山幅が他の櫛歯の山幅よりも小さくなっている形状であることが可能であり、また図7のように、最端にある櫛歯の山幅が他の櫛歯の山幅よりも小さくなっていると共に、最端にある櫛歯の山高さも小さくなっていることも可能である。また図7のように、端から2番目の櫛歯の山幅が他より大きくなっていることも可能である。
【0012】
また、櫛歯形状は少なくとも一つの長辺に形成されていることが必要であるが、二つの長辺に形成されていることも可能である。
【0013】
略長方形の板状体の寸法は、成型するフィルタエレメントに応じた寸法であればよく、例えば、長辺は好ましくは、50〜600mmであり、より好ましくは100〜300mmである。また、短辺は好ましくは、20〜100mmであり、より好ましくは30〜70mmである。また、厚さは好ましくは、1〜5mmであり、より好ましくは1.5〜3mmである。
【0014】
また、櫛歯形状の寸法は、成型するフィルタエレメントに応じた寸法であればよく、例えば、櫛歯の山高さは好ましくは、10〜70mmであり、より好ましくは15〜40mmである。また、櫛歯の山ピッチは好ましくは、1〜40mmであり、より好ましくは2〜20mmである。
【0015】
櫛歯形状部分102を形成する樹脂としては非金属であり有機物であれば限定されず適用可能であり、例えば天然樹脂及び合成樹脂などが適用可能である。合成樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、などの熱可塑性樹脂が適用可能であり、またエポキシ系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの熱硬化性樹脂が適用可能である。また、例えばポリフェニレンスルファミド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ケトン系ポリマーなどのエンジニアリング樹脂が適用可能である。これらの中で、熱硬化性樹脂やエンジニアリング樹脂などの耐熱性を有する樹脂であれば、治具の形状が安定しているので好ましい。また、熱可塑性樹脂であれば櫛歯形状に加工する上で研削加工などが容易であるなどの利点がある。また、以上述べた樹脂を用いたFRPなどの複合材も適用可能であり、FRPなどの複合材であれば治具として耐久性が特に優れているので好ましい。
【0016】
本発明のフィルタエレメント成型用治具では、図2〜4に例示するように、前記板状体の櫛歯形状101を有する長辺110を含む樹脂からなる本体部分102以外の部分103が金属によって形成され、該金属によって補強されていることが好ましい。例えば図2では、櫛歯形状101を有する長辺110と反対側の長辺を含む端部分103が金属によって形成されている。また図4では、前記板状体の短辺を含む両端部分103が金属によって形成されている。このような形態によれば、特に手で治具を扱う必要のある場合、中央部分に金属がないので火傷防止に好適である。また図3では、櫛歯形状101を有する長辺110と反対側の長辺を含む端部分、および短辺を含む両端部分103が金属によって形成されている。そして、これらの金属によってフィルタエレメント成型用治具100が補強されている。また、端部分103は、略長方形の板状体の一つの辺の大部分を含んでいることが好ましい。
【0017】
このように、本体部分102以外の部分103は金属からなり、金属としては例えば鉄、銅、アルミニウム、ステンレス、すず、ニッケルなどの金属、およびこれらの合金などが適用されるが、中でも腐食し難く、また耐久性のあるステンレスが好ましい。
【0018】
図2〜4に例示するような、板状体が樹脂からなる本体部分102と、金属からなる本体部分以外の部分103とから構成されている場合、このような構成とする方法としては、例えば本体部分となる樹脂粉末と本体部分以外の部分となる金属片を最終の形状になるように配置した後、成型用の型に入れ、熱成型する方法がある。また、他の方法として、例えば本体部分と本体部分以外の部分とを接合する方法がある。
【0019】
上記の接合の形態としては、例えば本体部分102以外の部分を端部分103とした場合、図2〜8及び図9(a)に示すように、本体部分102に形成された凹部に、端部分103に形成された凸が嵌合して接合されている形態がある。また、図8及び図9(a)に示すように、本体部分に形成された凸部に、端部分に形成された凹が嵌合して接合されている形態がある。図8及び図9(a)では、本体部分に形成した凹部に、端部分に形成した凸が嵌合され、且つ本体部分に形成した凸部に、端部分に形成した凹が嵌合して接合されたフィルタエレメント成型用治具が示されている。
【0020】
接合の方法としては、例えば図9(b)に示すように、本体部分102と端部分103とを予め作製しておき、長辺の長手方向と垂直方向に本体部分と端部分とを矢印A及び矢印Bの方向へ相対的に移動させて嵌合する方法がある。このような方法であれば、嵌合部分の形態が複雑でも嵌合することができる。予め、本体部分及び/又は端部分に接着剤を塗布しておき、嵌合させた後嵌合部分を接着して確実に接合することも好ましい。また、本体部分にABS樹脂などの熱可塑性樹脂を用いて、嵌合の後に加熱して熱可塑性樹脂を溶融させて確実に接合することも好ましい。
【0021】
また例えば図10に示すように、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂からなる本体部分102の嵌合部分に予め角型形状の凹部を設けておき、端部分103にはツリー状の先の尖った形状の凸部を設けておき、端部分を熱可塑性樹脂の融点以上に加熱した後、端部分の凸部を本体部分の凹部に、矢印Cの方向へ挿入すると同時に嵌合部分周辺の熱可塑性樹脂を溶融させて、嵌合する方法がある。この方法であれば、本体部分102の加工も手間がかからず、容易に接合が可能でありより好ましい。
【0022】
本発明のフィルタエレメントの製造方法は、本発明のフィルタエレメント成型用治具100を用いることを特徴とするフィルタエレメントの製造方法である。
【0023】
本発明のフィルタエレメントの製造方法として、本発明のフィルタエレメント成型用治具100の使用方法の一例を示して説明すると、図11または図12に例示するように、プリーツ折り加工された濾材105のプリーツ形状を保つため2枚のフィルタエレメント成型用治具100を濾材105のプリーツ山にはめ込み、加熱した加圧板107を矢印Eの方向に押し当てることにより、プリーツ折り加工された濾材105の幅方向両端部にホットメルト樹脂が塗布された枠材106を固着してフィルタエレメントを製造することができる。
【0024】
上記のフィルタエレメントの製造方法の一例からも明らかなように、本発明によって、フィルタエレメントを製造するに際して、濾材を破損したり、加熱後に治具を手で取り扱った場合でも火傷を負うなどの安全上の問題がなく、治具を繰り返し使用しても、加熱した加圧板の輻射熱などによって、熱が蓄積して濾材を破損するという問題がなく、また治具の端部分が破損するという問題がないフィルタエレメント成型用治具を提供することが可能となった。また、このようなフィルタエレメント成型用治具を用いた、優れたフィルタエレメントの製造方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のフィルタエレメント成型用治具を示す図である。
【図2】本発明の別のフィルタエレメント成型用治具を示す図である。
【図3】本発明の別のフィルタエレメント成型用治具を示す図である。
【図4】本発明の別のフィルタエレメント成型用治具を示す図である。
【図5】図1の要部拡大図である。
【図6】最端にある櫛歯の山幅が他の櫛歯の山幅よりも小さくなっている形状を示す図である。
【図7】最端にある櫛歯の山幅が他の櫛歯の山幅よりも小さくなっており、最端にある櫛歯の山高さも小さくなっており、端から2番目の櫛歯の山幅が他より大きくなっている形状を示す図である。
【図8】本体部分に形成された凹部に、端部分に形成された凸が嵌合しており、本体部分に形成された凸部に、端部分に形成された凹が嵌合している形状を示す図である。
【図9】図5の別例を示す図である。また、接合の方法を示す図である。
【図10】接合の別の方法を示す図である。
【図11】本発明のフィルタエレメントの製造方法の一例を説明する図である。
【図12】本発明のフィルタエレメントの製造方法の別の一例を説明する図である。
【図13】従来のフィルタエレメントの製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
100 フィルタエレメント成型用治具
101 櫛歯又は櫛歯形状
102 本体部分
103 端部分
105 濾材
106 枠材
107 加圧板
110 長辺
120 短辺
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリーツ形状を有する濾材に枠材を取り付けてフィルタエレメントを製造する際に、プリーツ形状を保持するために用いる櫛歯形状をした治具に関する。またこの治具を用いたフィルタエレメントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図13に示すように、プリーツ折り加工された濾材105の幅方向両端部に枠材106を固着してフィルタエレメントを製造する方法が知られている。例えば特開平6−218208号公報には、濾材の折り目線方向の枠辺について合成樹脂材料の成形を先に行い時間をおいて後他の枠辺を成形する枠付フィルターの製造方法が本出願人により開示されている。また特開2004−89758号公報には、長手方向にプリーツ折り加工された圧縮弾性を有する濾材を長手方向に圧縮させた状態で前記濾材の幅方向両端部に抗張力を有するテープを固着する方法が本出願人により開示されている。さらに、この公報では、図13に示すように、加熱した加圧板107を矢印Eの方向に押し当てることにより、プリーツ折り加工された濾材105の幅方向両端部に枠材106を固着する方法が記載されている。
【0003】
また、具体的な枠材の固着方法としては、ボール紙、プラスチック板、不織布などの枠素材を接着剤によって接着固定する方法が知られており、接着剤として予め枠素材にホットメルトシートを附着した接着剤も知られている。また、接着固定に際しては、例えば接着剤を加熱したり、加圧することで、確実に固着することが重要である。
【0004】
一方、固着に際しては、プリーツ折り加工された濾材のプリーツ間隔を一定に保つ必要があり、そのためプリーツ折りの形状に対応する櫛歯形状を有する略長方形の板状体からなる治具104を検討した。このような治具としては、加熱や加圧に対して耐久性のある金属製の素材が好ましいと考えられるが、金属製であると、濾材を破損したり、加熱後に手で取り扱うと火傷を負うなどの問題があった。また、繰り返し使用していると加熱した加圧板の輻射熱などによって、金属に熱が蓄積して濾材を破損するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平6−218208号公報
【特許文献2】特開2004−89758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決して、フィルタエレメントを製造するに際して、濾材を破損する恐れが無く、手で取り扱った場合でも火傷を負うなどの安全上の問題がなく取り扱いやすいフィルタエレメント成型用治具を提供することを目的とする。また、このフィルタエレメント成型用治具を用いたフィルタエレメントの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフィルタエレメント成型用治具にかかる解決手段は、図1に例示するように少なくとも一つの長辺110が櫛歯形状101を有する略長方形の板状体であって、前記板状体の少なくとも櫛歯形状部分102が樹脂から形成されていることを特徴とするフィルタエレメント成型用治具100である。また、本発明のフィルタエレメントの製造方法にかかる解決手段は、本発明のフィルタエレメント成型用治具100を用いることを特徴とするフィルタエレメントの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィルタエレメント成型用治具は、櫛歯形状部分が樹脂からなるので、フィルタエレメントを製造するに際して、濾材を破損したり、加熱後に手で取り扱った場合でも火傷を負うなどの安全上の問題がない。また、繰り返し使用しても、加熱した加圧板の輻射熱などによって、熱が蓄積して濾材を破損するという問題がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明にかかるフィルタエレメント成型用治具の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1に示すように、本発明のフィルタエレメント成型用治具100は、少なくとも一つの長辺110が櫛歯形状101を有する略長方形の板状体であって、前記板状体の少なくとも櫛歯形状部分102が樹脂から形成されている。
【0011】
前記櫛歯形状は成型するフィルタエレメントに応じた形状であればよく、必ずしも同じ櫛歯が並んでいる必要は無い。例えば図6のように、最端にある櫛歯の山幅が他の櫛歯の山幅よりも小さくなっている形状であることが可能であり、また図7のように、最端にある櫛歯の山幅が他の櫛歯の山幅よりも小さくなっていると共に、最端にある櫛歯の山高さも小さくなっていることも可能である。また図7のように、端から2番目の櫛歯の山幅が他より大きくなっていることも可能である。
【0012】
また、櫛歯形状は少なくとも一つの長辺に形成されていることが必要であるが、二つの長辺に形成されていることも可能である。
【0013】
略長方形の板状体の寸法は、成型するフィルタエレメントに応じた寸法であればよく、例えば、長辺は好ましくは、50〜600mmであり、より好ましくは100〜300mmである。また、短辺は好ましくは、20〜100mmであり、より好ましくは30〜70mmである。また、厚さは好ましくは、1〜5mmであり、より好ましくは1.5〜3mmである。
【0014】
また、櫛歯形状の寸法は、成型するフィルタエレメントに応じた寸法であればよく、例えば、櫛歯の山高さは好ましくは、10〜70mmであり、より好ましくは15〜40mmである。また、櫛歯の山ピッチは好ましくは、1〜40mmであり、より好ましくは2〜20mmである。
【0015】
櫛歯形状部分102を形成する樹脂としては非金属であり有機物であれば限定されず適用可能であり、例えば天然樹脂及び合成樹脂などが適用可能である。合成樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、などの熱可塑性樹脂が適用可能であり、またエポキシ系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの熱硬化性樹脂が適用可能である。また、例えばポリフェニレンスルファミド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ケトン系ポリマーなどのエンジニアリング樹脂が適用可能である。これらの中で、熱硬化性樹脂やエンジニアリング樹脂などの耐熱性を有する樹脂であれば、治具の形状が安定しているので好ましい。また、熱可塑性樹脂であれば櫛歯形状に加工する上で研削加工などが容易であるなどの利点がある。また、以上述べた樹脂を用いたFRPなどの複合材も適用可能であり、FRPなどの複合材であれば治具として耐久性が特に優れているので好ましい。
【0016】
本発明のフィルタエレメント成型用治具では、図2〜4に例示するように、前記板状体の櫛歯形状101を有する長辺110を含む樹脂からなる本体部分102以外の部分103が金属によって形成され、該金属によって補強されていることが好ましい。例えば図2では、櫛歯形状101を有する長辺110と反対側の長辺を含む端部分103が金属によって形成されている。また図4では、前記板状体の短辺を含む両端部分103が金属によって形成されている。このような形態によれば、特に手で治具を扱う必要のある場合、中央部分に金属がないので火傷防止に好適である。また図3では、櫛歯形状101を有する長辺110と反対側の長辺を含む端部分、および短辺を含む両端部分103が金属によって形成されている。そして、これらの金属によってフィルタエレメント成型用治具100が補強されている。また、端部分103は、略長方形の板状体の一つの辺の大部分を含んでいることが好ましい。
【0017】
このように、本体部分102以外の部分103は金属からなり、金属としては例えば鉄、銅、アルミニウム、ステンレス、すず、ニッケルなどの金属、およびこれらの合金などが適用されるが、中でも腐食し難く、また耐久性のあるステンレスが好ましい。
【0018】
図2〜4に例示するような、板状体が樹脂からなる本体部分102と、金属からなる本体部分以外の部分103とから構成されている場合、このような構成とする方法としては、例えば本体部分となる樹脂粉末と本体部分以外の部分となる金属片を最終の形状になるように配置した後、成型用の型に入れ、熱成型する方法がある。また、他の方法として、例えば本体部分と本体部分以外の部分とを接合する方法がある。
【0019】
上記の接合の形態としては、例えば本体部分102以外の部分を端部分103とした場合、図2〜8及び図9(a)に示すように、本体部分102に形成された凹部に、端部分103に形成された凸が嵌合して接合されている形態がある。また、図8及び図9(a)に示すように、本体部分に形成された凸部に、端部分に形成された凹が嵌合して接合されている形態がある。図8及び図9(a)では、本体部分に形成した凹部に、端部分に形成した凸が嵌合され、且つ本体部分に形成した凸部に、端部分に形成した凹が嵌合して接合されたフィルタエレメント成型用治具が示されている。
【0020】
接合の方法としては、例えば図9(b)に示すように、本体部分102と端部分103とを予め作製しておき、長辺の長手方向と垂直方向に本体部分と端部分とを矢印A及び矢印Bの方向へ相対的に移動させて嵌合する方法がある。このような方法であれば、嵌合部分の形態が複雑でも嵌合することができる。予め、本体部分及び/又は端部分に接着剤を塗布しておき、嵌合させた後嵌合部分を接着して確実に接合することも好ましい。また、本体部分にABS樹脂などの熱可塑性樹脂を用いて、嵌合の後に加熱して熱可塑性樹脂を溶融させて確実に接合することも好ましい。
【0021】
また例えば図10に示すように、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂からなる本体部分102の嵌合部分に予め角型形状の凹部を設けておき、端部分103にはツリー状の先の尖った形状の凸部を設けておき、端部分を熱可塑性樹脂の融点以上に加熱した後、端部分の凸部を本体部分の凹部に、矢印Cの方向へ挿入すると同時に嵌合部分周辺の熱可塑性樹脂を溶融させて、嵌合する方法がある。この方法であれば、本体部分102の加工も手間がかからず、容易に接合が可能でありより好ましい。
【0022】
本発明のフィルタエレメントの製造方法は、本発明のフィルタエレメント成型用治具100を用いることを特徴とするフィルタエレメントの製造方法である。
【0023】
本発明のフィルタエレメントの製造方法として、本発明のフィルタエレメント成型用治具100の使用方法の一例を示して説明すると、図11または図12に例示するように、プリーツ折り加工された濾材105のプリーツ形状を保つため2枚のフィルタエレメント成型用治具100を濾材105のプリーツ山にはめ込み、加熱した加圧板107を矢印Eの方向に押し当てることにより、プリーツ折り加工された濾材105の幅方向両端部にホットメルト樹脂が塗布された枠材106を固着してフィルタエレメントを製造することができる。
【0024】
上記のフィルタエレメントの製造方法の一例からも明らかなように、本発明によって、フィルタエレメントを製造するに際して、濾材を破損したり、加熱後に治具を手で取り扱った場合でも火傷を負うなどの安全上の問題がなく、治具を繰り返し使用しても、加熱した加圧板の輻射熱などによって、熱が蓄積して濾材を破損するという問題がなく、また治具の端部分が破損するという問題がないフィルタエレメント成型用治具を提供することが可能となった。また、このようなフィルタエレメント成型用治具を用いた、優れたフィルタエレメントの製造方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のフィルタエレメント成型用治具を示す図である。
【図2】本発明の別のフィルタエレメント成型用治具を示す図である。
【図3】本発明の別のフィルタエレメント成型用治具を示す図である。
【図4】本発明の別のフィルタエレメント成型用治具を示す図である。
【図5】図1の要部拡大図である。
【図6】最端にある櫛歯の山幅が他の櫛歯の山幅よりも小さくなっている形状を示す図である。
【図7】最端にある櫛歯の山幅が他の櫛歯の山幅よりも小さくなっており、最端にある櫛歯の山高さも小さくなっており、端から2番目の櫛歯の山幅が他より大きくなっている形状を示す図である。
【図8】本体部分に形成された凹部に、端部分に形成された凸が嵌合しており、本体部分に形成された凸部に、端部分に形成された凹が嵌合している形状を示す図である。
【図9】図5の別例を示す図である。また、接合の方法を示す図である。
【図10】接合の別の方法を示す図である。
【図11】本発明のフィルタエレメントの製造方法の一例を説明する図である。
【図12】本発明のフィルタエレメントの製造方法の別の一例を説明する図である。
【図13】従来のフィルタエレメントの製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
100 フィルタエレメント成型用治具
101 櫛歯又は櫛歯形状
102 本体部分
103 端部分
105 濾材
106 枠材
107 加圧板
110 長辺
120 短辺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの長辺が櫛歯形状を有する略長方形の板状体であって、前記板状体の少なくとも櫛歯形状部分が樹脂から形成されていることを特徴とするフィルタエレメント成型用治具。
【請求項2】
前記樹脂が耐熱性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項3】
前記樹脂がFRPからなることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項4】
前記板状体の櫛歯形状を有する長辺を含む樹脂からなる本体部分以外の部分が金属によって形成され、該金属によって補強されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項5】
前記板状体が樹脂からなる本体部分と、金属からなる少なくとも一つの辺を含む端部分とから構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項6】
本体部分と本体部分以外の部分とが接合されていることを特徴とする請求項4または5に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項7】
本体部分に形成された凹部に、本体部分以外の部分に形成された凸が嵌合して接合されていることを特徴とする請求項6に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項8】
本体部分に形成された凸部に、本体部分以外の部分に形成された凹が嵌合して接合されていることを特徴とする請求項6または7に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項9】
前記樹脂が熱可塑性樹脂からなり、本体部分と本体部分以外の部分との接合箇所において、接合箇所が熱可塑性樹脂の熱溶融により接合されてなることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項10】
請求項1〜9に記載のフィルタエレメント成型用治具を用いることを特徴とするフィルタエレメントの製造方法。
【請求項1】
少なくとも一つの長辺が櫛歯形状を有する略長方形の板状体であって、前記板状体の少なくとも櫛歯形状部分が樹脂から形成されていることを特徴とするフィルタエレメント成型用治具。
【請求項2】
前記樹脂が耐熱性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項3】
前記樹脂がFRPからなることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項4】
前記板状体の櫛歯形状を有する長辺を含む樹脂からなる本体部分以外の部分が金属によって形成され、該金属によって補強されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項5】
前記板状体が樹脂からなる本体部分と、金属からなる少なくとも一つの辺を含む端部分とから構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項6】
本体部分と本体部分以外の部分とが接合されていることを特徴とする請求項4または5に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項7】
本体部分に形成された凹部に、本体部分以外の部分に形成された凸が嵌合して接合されていることを特徴とする請求項6に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項8】
本体部分に形成された凸部に、本体部分以外の部分に形成された凹が嵌合して接合されていることを特徴とする請求項6または7に記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項9】
前記樹脂が熱可塑性樹脂からなり、本体部分と本体部分以外の部分との接合箇所において、接合箇所が熱可塑性樹脂の熱溶融により接合されてなることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のフィルタエレメント成型用治具。
【請求項10】
請求項1〜9に記載のフィルタエレメント成型用治具を用いることを特徴とするフィルタエレメントの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−247479(P2006−247479A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64734(P2005−64734)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000229542)日本バイリーン株式会社 (378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000229542)日本バイリーン株式会社 (378)
【Fターム(参考)】
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