説明

フィルタトウベール梱包用の多層シート

【課題】イージーピール性を有する梱包性と開封作業性の良いフィルタトウベール用の梱包方法。
【解決手段】フィルタトウベール梱包用の多層シート1であって、多層シートが、少なくとも基材層2とシール層3を有するものであり、シール層が、ベース樹脂4中にポリブテン5〜15質量%を含んでおり、ベース樹脂とポリブテン5が海島構造を形成している、フィルタトウベール梱包用の多層シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタトウベールの梱包用の多層シートと、それを用いたフィルタトウベールの梱包方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
糸状体、トウ、フィラメント等は嵩密度が低いものである。例えば酢酸セルロースのフィラメントから成るフィルタトウは、嵩密度が100kg/m3程度と小さく、輸送効率やタバコのフィルタに加工する際の横持ちでの取り扱いを考慮して、梱包時においてプレス等の加圧手段により、高い圧力で圧縮して300〜600kg/m3に嵩密度を上げて梱包したものにしている。このような梱包体はベール(トウベール)と称されている。
【0003】
このように高圧縮されたベールのプレス圧縮圧力は、最大で5000kPa(500t/m2)に達し、たとえ圧縮圧力が低い場合でも、1000kPa(100t/m2)を下回ることは無い。このため、梱包されたフィルタトウ内には、圧縮に反発する応力により、20kPa〜400kPaの反発内圧が残存する。このような反発内圧に耐える梱包体とするために、従来フィルタトウの梱包は鉄等の金属製又はプラスチック製のバンドから成るバンド(これらを「結束バンド」と称する)で結束されていた。
【0004】
従来の技術では、通常の梱包体は、腹部の梱包材と天井又は底の梱包材が結束バンドによって一体化されている。これによりトウベールは破裂することを避けられるが、トウベールの膨張に伴い、膨張できない結束バンドの部分以外の部分だけが膨らむことになる。
【0005】
その結果、結束バンドがトウベールの表層に食い込み、トウベールに括れが生じる。括れの部分では、部分的に高い圧力でトウベールが圧縮されるため、トウベールからフィルタトウを連続した糸状体として取り出す場合に、その部分でフィルタトウが破断する可能性もある。また、開梱時に結束バンドを切断する必要があるが、この時に切断した結束バンドが弾け飛ぶため、作業者が負傷する危険性が存在していた。このため、結束バンドを省く梱包形態が検討されてきた。
【0006】
例えばDE 76-U35849号公報(特許文献1)には、これらのバンドによるフィルタトウ結束の問題を改善するため、圧縮したフィルタトウ(プレスベール)を、内側にアルミ蒸着したポリプロピレンと紙のラミネートシートで包み、その外側を溶剤型の接着剤(具体的にはクロロプレンゴムの溶剤型接着剤)で結合したダンボールで包んでいる梱包体が記載されている。
【0007】
特開平7-215338号公報(特許文献2)には、面ファスナテープを用い、接着剤を用いないで、収集コンテナの上部部品と中心部品を接合する技術が開示されている。この技術では、収集コンテナの外周を取り囲み、境界を定める数個の直立可能な側部部品を備えており、この側部部品により、結束バンドがなくても反発内圧に耐えることが可能となっている。
【0008】
一方、このような形態であるため、側部部品は収集コンテナの反発内圧に耐えられる剛性や強度を有することが求められることから、梱包形態は大掛かりになり、コストも高いものとなっている。このため、これらの梱包体では、梱包材料を回収し、再使用することが可能な範囲内でしか、使用することができない。
【0009】
特表平9-508880号公報(特許文献3)には、天部、底部、胴部の3枚のプラスチックシートあるいはシートからなる包装材切片による密封梱包が開示されている。この梱包方法では、包装材切片は互いにオーバラップさせられてベールの上にあてられ、接着及び又は溶着で互いに結合される。
【0010】
包装材切片としては、プラスチックシートあるいはシートとして、ポリエチレンシートからなる多層シートが開示されている。
【0011】
特に有利な様態として、せん断強度がきわめて大きいが、他面においては手又は機械で容易に引き剥して解離できるストライプ又は点状の結合を行うことであることが記載されている。
【0012】
このようなストライプ又は点状の接合を行った場合には、完全にベールを密封することはできず、外気の影響を受け、特に高湿度の環境下での防湿の問題が解決できない。
【0013】
更に、ストライプ又は点状の接合を行うためには、ヒートシールをするしかない。ヒートシールは、シールバーがヒートシール可能な高温に常に保たれているため、剥き出しのヒートシールバーに作業者が誤って接触した場合には、火傷の危険がある。
【0014】
本来であればヒートシール直後にはほぼ常温に戻るインパルスシールや、高温とならない高周波シールが梱包作業の作業者の安全のためには好ましいが、ストライプ又は点状の結合を行うためには、このような安全なシール方法を採用できなかった。
【0015】
特開2010−6379号公報(特許文献4)は、フィルタトウの圧縮された梱包体の梱包方法及び梱包体に関するものであり、天部、底部の2枚のプラスチックシートあるいはシートによる密封梱包が開示されている。
【0016】
この文献には、プラスチックシートあるいはシートの特に好適な材質として、ポリエチレン(PE)を外層とし、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を中心層とするPE/EVA/PEの多層シート、ポリアミド(PA)を中心層とするPE/PA/PEの多層シートが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】DE 76-U35849号公報
【特許文献2】特開平7-215338号公報
【特許文献3】特表平9-508880号公報
【特許文献4】特開2010−6379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記のとおり、結束バンドを使用しないで、梱包材で被覆されたフィルタトウは、フィルタトウに結束バンドが食い込むことによる課題、結束バンドを切断するときに作業員の安全を確保するという課題は解決されている。
【0019】
しかし、梱包材の開封の際にカッター等の切断具を使用したとき、製品であるフィルタトウが損傷する場合がある。このため、切断具を使用することなく、作業者が手で簡単に開封できること(イージーピール性を有すること)が望ましいが、上記の従来技術は、前記イージーピール性の点で改善の余地がある。
【0020】
本発明は、シール性とイージーピール性を併せ持つ、梱包性と開封作業性の良いフィルタトウベール用の多層シートと、それを用いたフィルタトウベールの梱包方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、課題の解決手段として、
フィルタトウベール梱包用の多層シートであって、
前記多層シートが、少なくとも基材層とシール層を有するものであり、
前記シール層が、ベース樹脂中にポリブテン5〜15質量%を含んでおり、前記ベース樹脂とポリブテンが海島構造を形成している、フィルタトウベール梱包用の多層シートを提供する。
【0022】
本発明は、他の課題の解決手段として、
フィルタトウベールを請求項1記載の多層シートで覆う工程、
前記多層シートのシール法を合わせた状態でヒートシールして一体化する工程、を有するフィルタトウベールの梱包方法を提供する。
【0023】
本発明は、他の課題の解決手段として、
フィルタトウベールを請求項1記載の多層シートで覆う工程、
前記多層シートのシール法を合わせた状態で、高周波ウエルダーで一体化する工程、を有するフィルタトウベールの梱包方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のフィルタートウベール梱包用の多層シートは、フィルタートウベールを梱包後に保管輸送する際にシートの損傷や接合部の剥離が発生し難い。そして、梱包した多層シートを人の手で剥がすとき、シール部を容易に剥がすことができるので、作業性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のフィルタトウベール梱包用の多層シートの使用方法の説明図。
【図2】実施例1のシール層の相構造の顕微鏡写真。ポリブテンは顕微IRで同定。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<フィルタトウベール梱包用の多層シート>
本発明の多層シートは、少なくとも基材層とシール層を有するものである。
【0027】
基材層は、防湿性の付与、強度付与等の目的から、2層又は3層以上にすることができる。基材層を2層以上にしたときは、全ての層が同じ熱可塑性樹脂からなるものでもよいし、異なる熱可塑性樹脂の組み合わせからなるものでもよい。また、アルミ等の金属箔膜の貼り合わせ又は蒸着をしてもよい。
【0028】
基材層は、ポリエチレンからなるもの、ポリエチレンと他の熱可塑性樹脂との組み合わせからなるものを用いることができる。他の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンプロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリカーボネート、シリコーン等を挙げることができる。
【0029】
基材層の厚みは20〜300μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。
【0030】
シール層は、ベース樹脂と、ベース樹脂に対して非相溶であるポリブテンを含んでおり、ベース樹脂が「海」で、ポリブテンが「島」である「海島構造」が形成されている。
【0031】
ベース樹脂は、ポリブテンと非相溶であれば、基材層と同じ熱可塑性樹脂からなるものでもよいし、異なる熱可塑性樹脂からなるものでもよいが、適度なシール性を得るためには、融点が比較的低いポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0032】
更に適度なシール剥離強度を得るには、低密度ポリエチレンやエチレン・プロピレンランダム共重合体が特に好ましい。
【0033】
結晶化度の高い高密度ポリエチレン、メタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレンのブロック共重合体は、材料破壊が容易でなくなり、シール強度が過度になるため良好な易開封性が得られない場合がある。しかし、低密度ポリエチレンやエチレン・プロピレンランダム共重合体との混合物にすることで、前記課題を解決することができる場合がある。前記混合物にする場合には、好ましくは低密度ポリエチレンやエチレン・プロピレンランダム共重合体の含有量を80質量%以上にすることが好ましい。
【0034】
シール層に含まれるポリブテンの含有割合は5〜15質量%が好ましく、5〜12質量%がより好ましい。ポリブテンの比率が上記の範囲より低いと接着強度が高くなりすぎて良好な易開封性(イージーピール性)が得られず、また比率が高いと十分な接着強度が得られず、梱包材料としての密封性が満足できない。
【0035】
シール層の厚みは、10〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
【0036】
本発明の多層シートは、二軸押出機等で溶融混練した後、基材層及びシール層を共押出して製造する方法、基材層となるシートにシール層となるシートを溶着又は融着して一体化する方法、基材層となるシートおよびシール層となるシートを、接着剤を介して一体化する方法等を適用して製造することができる。
【0037】
なお、シール層に海島構造を形成させるためには、ベース樹脂とポリブテンを充分に溶融混練すればよいが、例えば二軸押出機(L/D=40,スクリュー径=20mm,スクリューの回転数=200r/m)にて、1〜4分間撹拌する方法を適用できる。
【0038】
<フィルタトウベールの梱包方法>
本発明の梱包方法は、フィルタトウベールを上記の梱包用多層シートで包み込んだ後、接合箇所のシール層同士を合わせた状態にて、ヒートシール等の手法で接合して一体化する。このときヒートシールの機構はどのようなものを使用しても構わない。例えば、ヒーターバー、インパルスヒーター、高周波溶着、超音波シーラー、電磁誘導加熱等が使用できる。
【0039】
次に、図1(a)、(b)により、本発明の多層シート1の使用方法を説明する。なお、図1では、理解し易いように、海島構造の島となるポリブテンを粒子状に示している。
【0040】
図1(a)では、2枚の多層シート1同士が接合された状態で示されている。多層シート1は、基材層2上にシール層3を有しており、シール層3は、ベース樹脂4からなる「海」に、ポリブテン5が「島」状に分散されて含有されている。
【0041】
2枚の多層シート1同士は、シール層3同士を合わせた状態にて、ヒートシールにより接合一体化されている。
【0042】
次に、図1(b)に示すように、2枚の多層シート1同士を剥がすとき、作業員の手により、基材層2を両側から引っ張ると(或いは一方の基材層2を手で押さえて固定して、他方の基材層2を矢印方向に引っ張ると)、シール部3に存在している島部分(ポリブテン)5に応力が集中し、凝集破壊が生じて、容易に剥がすことができる。
【0043】
本発明の多層シートでフィルタトウベール(圧縮されたフィルタトウ)を梱包したとき、梱包作業中には剥がれにくく、作業員が手で剥がし易いレベルにすることができる。具体的には、実施例1又は2に記載した条件でシールしたとき、剥離強度は500〜2500g/15mmの範囲にすることができ、より好ましくは1000〜2000g/15mmの範囲にすることができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、シートについての種々の測定及び評価は、次のようにして行った。
【0045】
(1)T剥離強度
2枚の多層シートのシール面同士を貼りあわせ、巾5mm、長さ30cmのインパルス式ヒートシーラーで2枚の多層シートを挟んで溶着した。溶着した2枚のシートの短軸辺を剥し、引張試験機で長軸側に300mm/minの速度で引き剥がし、剥離強度を測定し、15mm幅の強度に換算した。
【0046】
(2)シール保持試験
フィルタトウのベール圧縮装置の上ベースに袋状の多層シートを置き、下ベースに平面状の多層シートを置いた。
【0047】
下ベースの平面状の多層シート上に600Kgのフィルタトウを置き、上下のベースにより圧縮した。
【0048】
その後、圧縮したフィルタトウを袋状の多層シートと平面状の多層シートを合わせて包み込み、2つのシートの合わせ部分をヒートシーラーで溶着し、コンベヤ及びクランプフォークで運搬した後にシール面の異常の有無を目視で評価した。
【0049】
○:シールを保持している
×:シールが破れている
(3)開梱作業性
上記「(2)シール保持試験」で得られた600Kgの密封したフィルタトウベールを用い、袋状の多層シートと平面状の多層シートのヒートシール部を1人の作業員の手により開封したときの作業性を以下の基準で評価した。
【0050】
○:1人の作業員の手で、簡単にヒートシール部に沿って開封できるレベル
△:1人の作業員の手で開封できるが、○評価に比べると、明らかに大きな力が必要であるレベル
×:1人の作業者の手ではヒートシール部が剥がれないレベル
実施例1
基材層を2層構造とした。下層の材料として、メタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(mLLDPE,宇部丸善ポリエチレン社製、「ユメリット1520F」)を用い、上層(シール層に接触している層)の材料として、メタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(mLLDPE,宇部丸善ポリエチレン社製、「ユメリット520F」)を用いた。
【0051】
シール層として、低密度ポリエチレン(LD,宇部丸善ポリエチレン社製、「R300」)とポリブテン(ライオネルバゼル社製「PB8640M」シール層中の含有量5質量%)を用いた。
【0052】
それらを別々に二軸押出機にて溶融混練した後、共押出して、基材層(下層;厚さ50μm)、基材層(上層;厚さ50μm)とシール層(厚さ50μm)の3層からなるフィルタトウベール梱包用の多層シートを製造した。
【0053】
なお、シール層において、海島構造が形成されていることを図2により確認した。ポリエチレンシートをパラフィンで固定し、ミクロトームで2μmの厚さに裁断し、200倍の光学顕微鏡で断面を撮影した。ポリエチレン及びポリブテンの同定は顕微IRで行った。
【0054】
次に、図1(a)に示すようにして、多層シートのシール層同士を合わせた状態にて、インパルス式ヒートシーラー(富士インパルス製OPL60−5W)にて、140℃、3秒間、圧着圧力147kPa(1.5kgf/cm2)の条件でシールした。
【0055】
次に、図1(b)に示すようにして、図面下側の基材層を固定した状態で、図面上側の基材層を矢印方向に引っ張って剥がしたところ、剥離強度は2000g/15mmであった。
【0056】
さらにこの多層シートで上下を覆い、ヒートシーラーでシールした600Kgのフィルタートウのベールは、コンベヤやクランプフォークで運搬後もシール面に異常は無く、作業者がシール面を手で引っ張ると容易に剥がすことができた。
【0057】
実施例2
基材層としてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA,宇部丸善ポリエチレン社製、「V210」)を用い、シール層として低密度ポリエチレン(LD,宇部丸善ポリエチレン社製、「R300」)とポリブテン(ライオネルバゼル社製「PB8640M」シール層中の含有量10質量%)を用いた。
【0058】
それらを別々に二軸押出機にて溶融混練した後、基材層(厚さ100μm)とシール層(厚さ50μm)の2層からなるフィルタトウベール梱包用の多層シートを製造した。
【0059】
次に、図1(a)に示すようにして、多層シートのシール層同士を合わせた状態にて、自走式高周波ウエルダー(サンケイコーポレーション製ZL3000T)にて、3KW、圧着圧力147kPa(1.5kgf/cm2)、溶着スピード3m/minの条件でシールした。
【0060】
次に、図1(b)に示すようにして、図面下側の基材層を固定した状態で、図面上側の基材層を矢印方向に引っ張って剥がしたところ、剥離強度は1000g/15mmであった。
【0061】
この多層シートで上下を覆い、自走式高周波ウエルダーでシールした600Kgのフィルタートウのベールは、コンベヤやクランプフォークで運搬後もシール面に異常は無く、作業者がシール面を手で引っ張ると容易に剥がすことができた。
【0062】
実施例3
表1に示す基材層の成分とシール層の成分を用いて、実施例2と同様にして多層シートを得た。さらに得られた多層シートを用い、実施例2と同様にして各試験をした。結果を表1に示す。
【0063】
比較例1
シール層に含有するポリブテンの添加量を20質量%に変更した以外は実施例2と同様にして、2層からなる多層シートを得た。
【0064】
さらに実施例2と同様にして試験を行ったところ、剥離強度は300g/15mmであった。
【0065】
この多層シートで上下を覆い、ヒートシーラーでシールした600Kgのフィルタートウのベールは、梱包後にコンベヤ運搬中にシール面が剥がれた。
【0066】
比較例2
シール層に含有するポリブテンの添加量を3質量%に変更した以外は実施例2と同様にして、2層からなる多層シートを得た。
【0067】
さらに実施例2と同様にして試験を行ったところ、剥離強度は3000g/15mmであった。
【0068】
この多層シートで上下を覆い、ヒートシーラーでシールした600Kgのフィルタートウのベールは、梱包後に作業者がシール面を手で剥すことはできなかった。
【0069】
比較例3
表1に示す基材層の成分とシール層の成分を用いて、実施例2と同様にして2層からなる多層シートを得た。さらに得られた多層シートを用い、実施例2と同様にして各試験をした。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【符号の説明】
【0071】
1 フィルタトウベール梱包用の多層シート
2 基材層
3 シール層
4 海(ベース樹脂)
5 島(ポリブテン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタトウベール梱包用の多層シートであって、
前記多層シートが、少なくとも基材層とシール層を有するものであり、
前記シール層が、ベース樹脂中にポリブテン5〜15質量%を含んでおり、前記ベース樹脂とポリブテンが海島構造を形成している、フィルタトウベール梱包用の多層シート。
【請求項2】
フィルタトウベールを請求項1記載の多層シートで覆う工程、
前記多層シートのシール法を合わせた状態でヒートシールして一体化する工程、を有するフィルタトウベールの梱包方法。
【請求項3】
フィルタトウベールを請求項1記載の多層シートで覆う工程、
前記多層シートのシール法を合わせた状態で、高周波ウエルダーで一体化する工程、を有するフィルタトウベールの梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−207520(P2011−207520A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78210(P2010−78210)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】