説明

フィルタープレス

【課題】枠部材のある濾板と枠部材の無い濾板を組み合わせることで、ケーキ厚さを調整することが容易にできるフィルタープレスを提供すること。
【解決手段】複数の濾板を重ね合わせて圧締し、隣接する濾板間に形成される濾室に濾布を介して被濾過物を圧送し、脱水するフィルタープレスで、濾板を、標準濾板11と、この標準濾板11の間に介装される中子濾板13とで構成し、標準濾板11は、周囲に枠部材11bを備えるとともに、被濾過物の供給孔11dおよび濾液の排出路11fを備えて構成され、中子濾板13は、周囲の枠部材がなく、被濾過物の供給孔13dおよび濾液の排出路13fを備えるとともに、濾布および排水材を備えて構成される。そして、濾室によるケーキ厚を中子濾板13の着脱により調整可能に構成してある。これにより、2台分など複数台分の濾板を用意することなく、標準の濾板を共通に使用して簡単にケーキ厚さを調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルタープレスに関し、濾板の間隔によるケーキの厚さの調整が容易にできるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
工場廃液や各種作業現場からの汚泥等を含むスラリーの無害化処理のため固液分離を図り、液分は無害化して清澄水として河川等に排水し、有害な固形部分は焼却埋立て処理したり、回収してリサイクル的に有効再利用すること等が行なわれている。
【0003】
このようなスラリーの処理を確実に行うことができる装置のひとつとしてフィルタープレスが用いられている。
【0004】
このフィルタープレスでは、例えば特許文献1に開示されたものを図6に示すように、ベース1に一対のスタンド2,2を立設し、これらスタンド2、2間に複数の濾板3,3…をガイドレール4に沿って往復移動自在に支持するとともに、一方のスタンド2側に油圧シリンダ5を設けて各濾板3を圧締状態にしたり、離間状態にできるようにし、圧締した状態で隣接する濾板3,3間に形成される濾室内に濾布を介して被濾過物を圧送し、固液分離された濾液を排液シュート6を介して排出するとともに、各濾板3を離間させた状態で脱水された固化分のケーキを濾布から剥離落下させて排出除去するようになっている。
【0005】
このようなフィルタープレスの各濾板3は、例えば図7および図8に示すように、略正方形状の鉄板製の濾板本体3aを備え、濾板本体3aの表裏の周囲に枠部材3bが設けられて額縁状とされ、枠部材3bの内側の凹部が濾室3cとされてその中央部に被濾過物の供給孔3dが設けてある。この濾室3cには、荷重支持用のボス部3eが複数形成され、圧締状態で隣接するボス部3e同士を当接させて荷重を支持するようにしてある。
【0006】
そして、これら濾板本体3a、枠部材3b、濾室3c、ボス部3eの表面が図示しない弾性材料からなる被覆部材で被覆してあり、これらの腐食を防止するとともに、圧締時の密着性の確保や衝撃緩和を図るようにしてある。
【0007】
さらに、この濾板3には、分離した濾液を外部に排出するため排出路3fが濾板本体3a内に設けられて被覆部材の表面に開口するとともに、被覆部材の表面には、ネット部材3gが設けてあり、濾布7と濾板3との間の濾過液を排出路3fに導くようにしてある。
【0008】
この濾板3の表裏両面に設けるネット部材3gは、合成樹脂製あるいは金属製とされており、ゴムなどの弾性材料の被覆部材上に配置されることから、通常、接着剤などで固定することが行なわれている。
【特許文献1】国際公開WO2005/097288A1公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようなフィルタープレスでは、排水能力は、隣接する濾板同士によって形成される濾室の深さ(ケーキ厚)、圧搾圧力および排水用のネット部材の種類によって大きく左右され、圧搾圧力は、通常、1.5〜4MPaにすることで、ケーキの含水率、体積が大幅に小さくなり、減容化に大きく寄与することが知られている。
【0010】
また、濾室の深さにより脱水ケーキの厚みが決定されるが、被濾過物によって含水率が変化し、例えば実験的には、有機汚泥はケーキを薄くしなければ含水率を下げることができないが、浚渫汚泥などの無機汚泥は、比較的厚いケーキでも含水率を下げることができ、容易に所定の含水率にすることができる。
【0011】
ところが、従来のフィルタープレスでは、含水率を調整しようとすると、濾板の枠部材の厚さを変えて濾室の深さを調整しなければならず、枠部材の厚さの異なる複数種類の濾板を用意しておかねばならず、簡単に対応することができず、対応しようとすると、少なくとも複数台分以上の枚数の濾板を必要とするという問題がある。
【0012】
また、濾板の枠部分の厚さを変える場合に、その厚みが標準の規格材の厚さに無い特殊な厚さになると、加工工数が増大したり、材料の無駄や材料の入手困難などの問題が生じる。
【0013】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、枠部材のある濾板と枠部材の無い濾板を組み合わせることで、ケーキ厚さを調整することが容易にできるフィルタープレスを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる従来技術の課題を解決するこの発明の請求項1記載のフィルタープレスは、複数の濾板を重ね合わせて圧締し、隣接する濾板間に形成される濾室に濾布を介して被濾過物を圧送し、脱水するフィルタープレスであって、前記濾板を、標準濾板と、この標準濾板の間に介装される中子濾板とで構成し、前記標準濾板は、周囲に枠部材を備えるとともに、被濾過物の供給孔および濾液の排出路を備えて構成され、前記中子濾板は、周囲の枠部材がなく、被濾過物の供給孔および濾液の排出路を備えて構成され、前記濾室によるケーキ厚を前記中子濾板の着脱により調整可能に構成してなることを特徴とするものである。
【0015】
このフィルタープレスによれば、複数の濾板を重ね合わせて圧締し、隣接する濾板間に形成される濾室に濾布を介して被濾過物を圧送し、脱水するフィルタープレスで、濾板を、周囲に枠部材を備える標準濾板と、この標準濾板の間に介装され周囲の枠部材がない中子濾板とで構成し、濾室によるケーキ厚を中子濾板の着脱により調整可能に構成してあり、標準のケーキ厚に対して中子濾板を挟むことで、ケーキ厚さを約半分にでき、中子濾板を挟んだ状態を標準のケーキ厚さとすれば、中子濾板を取り外すことでケーキ厚さを約2倍にすることができるようになり、2台分など複数台分の濾板を用意することなく、標準の濾板を共通に使用して簡単にケーキ厚さを調整できるようにしている。
【0016】
また、この発明の請求項2記載のフィルタープレスは、請求項1記載の構成に加え、前記標準濾板には、前記枠部材の内側の両面に複数の荷重支持ボス部を備えてなることを特徴とするものである。
【0017】
このフィルタープレスによれば、前記標準濾板には、前記枠部材の内側の両面に複数の荷重支持ボス部を備えており、荷重支持ボス部を備えた標準濾板を用いることで、圧搾圧力に対する荷重を均一に分散させて一層強度を高めることができるようにしている。
【0018】
さらに、この発明の請求項3記載のフィルタープレスは、請求項1または2記載の構成に加え、前記中子濾板の濾液の排出路を、当該中子濾板に形成した排水溝および排水路で構成してなることを特徴とするものである。
【0019】
このフィルタープレスによれば、前記中子濾板の濾液の排出路を、当該中子濾板に形成した排水溝および排水路で構成してあり、中子濾板からも濾液を排出することができ、効率的に脱水できるようにしている。
【0020】
また、この発明の請求項4記載のフィルタープレスは、請求項1または2記載の構成に加え、前記中子濾板の濾液の排出路を、隣接する前記標準濾板の前記排出路につながる連絡孔で構成してあり、中子濾板からも濾液を排出することができ、効率的に脱水できるようにしている。
【0021】
さらに、この発明の請求項5記載のフィルタープレスは、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、前記中子濾板を、ゴムライニング鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、強化プラスチック板のいずれかで構成したことを特徴とするものである。
【0022】
このフィルタープレスによれば、前記中子濾板を、ゴムライニング鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、強化プラスチック板のいずれかで構成しており、被濾過物などに応じてこれら材料の中子濾板を使用して脱水できるようにしている。
【発明の効果】
【0023】
この発明の請求項1記載のフィルタープレスによれば、複数の濾板を重ね合わせて圧締し、隣接する濾板間に形成される濾室に濾布を介して被濾過物を圧送し、脱水するフィルタープレスで、前記濾板を、標準濾板と、この標準濾板の間に介装される中子濾板とで構成し、前記標準濾板は、周囲に枠部材を備えるとともに、被濾過物の供給孔および濾液の排出路を備えて構成され、前記中子濾板は、周囲の枠部材がなく、被濾過物の供給孔および濾液の排出路を備えて構成され、前記濾室によるケーキ厚を前記中子濾板の着脱により調整可能に構成してあるので、標準のケーキ厚に対して中子濾板を挟むことで、ケーキ厚さを約半分にすることができ、中子濾板を挟んだ状態を標準のケーキ厚さとすれば、中子濾板を取り外すことでケーキ厚さを約2倍にすることができる。
【0024】
これにより、2台分など複数台分の濾板を用意することなく、標準の濾板を共通に使用して簡単にケーキ厚さを調整することができる。
【0025】
また、この発明の請求項2記載のフィルタープレスによれば、前記標準濾板には、前記枠部材の内側の両面に複数の荷重支持ボス部を備えてあるので、荷重支持ボス部を備えた標準濾板を用いることで、圧搾圧力に対する荷重を均一に分散させて一層強度を高めることができる。
【0026】
さらに、この発明の請求項3記載のフィルタープレスによれば、前記中子濾板の濾液の排出路を、当該中子濾板に形成した排水溝および排水路で構成したので、中子濾板からも濾液を排出することができ、効率的に脱水することができる。
【0027】
また、この発明の請求項4記載のフィルタープレスによれば、前記中子濾板の濾液の排出路を、隣接する前記標準濾板の前記排出路につながる連絡孔で構成したので、中子濾板からも濾液を排出することができ、効率的に脱水することができる。
【0028】
さらに、この発明の請求項5記載のフィルタープレスによれば、前記中子濾板を、ゴムライニング鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、強化プラスチック板のいずれかで構成したので、被濾過物などに応じて適した材料の中子濾板を使用して脱水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1〜図4は、この発明のフィルタープレスの一実施の形態にかかり、図1は標準濾板に対して中子濾板を用いてケーキ厚さを小さくする場合の原理説明図、図2は標準濾板と中子濾板とを用いてケーキ厚さを厚くする場合の原理説明図、図3は中子濾板を使用した状態の閉枠脱水状態の断面図および開枠状態の上部のみの断面図、図4は閉枠状態の下部拡大断面図および中子濾板の排水孔の説明図である。
【0031】
この発明のフィルタープレス10では、標準濾板11と、標準濾板11の間に介装するケーキ厚さ調整用の中子濾板13とが濾板として使用される。
【0032】
標準濾板11は、すでに説明した濾板3と基本構造が同一であり、略正方形状の鉄板製の濾板本体11aを備え、濾板本体11aの表裏の周囲に枠部材11bが溶接等で設けられて額縁状とされ、枠部材11bの内側の凹部が濾室11cとされる。この濾室11cの中央部に被濾過物の供給孔11dが設けてある。なお、スライド用のガイド部は図示省略してある。
【0033】
また、この濾室11cには荷重支持用のボス部11eが複数形成され(図1,2では、ボス部のないものを示してある。)、例えば4個のボス部11eが設けてあり、圧締状態で隣接する標準濾板11のボス部11e同士を対向させて当接すること、あるいはボス部11eを中子濾板13に直接当てることで、荷重を分散して均一に支持するようにしてある。
【0034】
さらに、この標準濾板11には、分離した濾液を外部に排出するため排出路11fが濾板本体11aおよび枠部材11bの下部内に設けられて下端が底部に開口し、上端部に複数の排水孔を介して濾室11cの表面上に開口している。
【0035】
そして、これら濾板本体11a、枠部材11b、濾室11c、供給孔11d、ボス部11eの表面がゴムなどの弾性材料からなる被覆部材12で被覆されてゴムライニング状態としてあり、これらの腐食を防止し、耐薬品性を確保するとともに、圧締時の密着性の確保や衝撃緩和を図り、濾布16の損傷を防止して寿命を延ばすようにしてある。
【0036】
なお、この標準濾板11は、これまでの被覆部材12の表面に設けて濾布16(図8中の符号7参照)と標準濾板11との間の濾液を排出路11fに導くためネット部材14(図8中の符号3g参照)に代えて、弾性被覆部材12に排水用の溝部を互いが連通するように設けて構成したものとしても良く、溝部として、濾室11cの表面上に、例えばネット部材の場合と同様に網目状に形成され、濾室11cのどの部分からでも濾液を排水路11fに導くことができるようにすれば良い。
【0037】
このような標準濾板11の間に介装される中子濾板13は、略正方形状の鉄板製の濾板本体13aを備えるが、その表裏の周囲に溶接等で設けられて額縁状とする枠部材を備えていない構成で標準濾板11と異なるもので、濾板本体13aが標準濾板11の枠部材11bの外側形状と同一の大きさの平板状に形成してある。この中子濾板13の表裏の周囲の内側が平坦な濾室面13cとされ、この濾室面13cの中央部に被濾過物の供給孔13dが設けてあるが、この濾室面13cには、荷重支持用のボス部は設けられていない。なお、この中子濾板13でもスライド用のガイド部は図示省略してある。
【0038】
さらに、この中子濾板13には、分離した濾液を外部に排出するため排出路13fが濾板本体13aの下部内に設けられて下端が底部に開口し、排出路13fに連続した上側に複数の排水孔を介して濾室面13cの表面上に開口している。
【0039】
そして、これら濾板本体13a、濾室面13c、供給孔13dの表面がゴムなどの弾性材料からなる被覆部材12で被覆されてゴムライニング状態としてあり(図1,2では、被覆部材を省略してある。)、これらの腐食を防止し、耐薬品性を確保するとともに、圧締時の密着性の確保や衝撃緩和を図り、濾布16の損傷を防止して寿命を延ばすようにしてある。
【0040】
なお、この中子濾板13でも、これまでの被覆部材12の表面に設けて濾布16(図8中の符号7参照)と標準濾板11や中子濾板13との間の濾液を排出路13fに導くためネット部材14(図8中の符号3g参照)に代えて、弾性被覆部材12に排水用の溝部を互いが連通するように設けて構成したものとしても良く、溝部として、濾室面13cの表面上に、例えばネット部材の場合と同様に網目状に形成され、濾室面13cのどの部分からでも濾液を排水路13fに導くことができるようにすれば良い。
【0041】
このように標準濾板11や中子濾板13のゴムなどの弾性被覆部材12と一体に溝部を形成するようにすれば、従来のネット部材を接着したり結束する場合に比べ、煩雑な取り付け作業が必要なく、簡単に排水促進用の溝部を形成することができるとともに、最適な溝部の形状(パターン)として排水性能を確保することができる。
【0042】
なお、中子濾板13としては、ゴムライニング鋼板とした場合を例に説明したが、これに限らず、ステンレス鋼板、アルミニウム板、強化プラスチック樹脂板などを用いることもでき、圧搾圧力などに応じて選択すれば良い。
【0043】
また、中子濾板13では、図4に示したように、排水路13fを形成して濾液を外部に排水するようにしているが、必ずしも排水路13fを形成する必要はなく、図5に示すように、排水連絡孔13gを設けて標準濾板11の排水路11fと繋がるようにして外部に排水するようにしても良い。
【0044】
次に、このような標準濾板11および中子濾板13を用いるフィルタープレス10でのケーキ厚さの調整について、具体的に説明する。
【0045】
まず、このフィルタープレス10では、図3に示すように、標準濾板11の濾室11cの表面に排水メッシュ14を配置してボス部11eにメッシュ固定リング15を被せるようにして固定するとともに、各標準濾板11,11を覆って濾布16が設けられている。
【0046】
そして、このフィルタープレス10で、通常の設計ケーキ厚さWに対して、小さなケーキ厚さwで脱水する場合には、図1に示すように、枠部材11bを備えた標準濾板11のみを用いてフィルタープレス10の濾板11を構成し、図6に示したように、ベース1に立設した一対のスタンド2,2間に濾板3に代えて所定枚数の標準濾板をガイドレール4に沿って往復移動自在に支持するとともに、一方のスタンド2側に油圧シリンダ5を設けて各標準濾板を圧締状態にしたり、離間状態にできるようにし、圧締した状態で隣接する標準濾板間に形成される濾室内に濾布を介して被濾過物を圧送し、固液分離された濾液を排液シュート6を介して排出するとともに、各標準濾板を離間させた状態で脱水された固化分のケーキを濾布から剥離落下させて排出除去するようにする。
【0047】
このような標準濾板11,11、…を用いることで、図1(a)に示すように、濾室11cによるケーキ厚さをWとすることができる。
【0048】
一方、このフィルタープレス10でケーキ厚さWを小さくしてケーキ厚さwとする場合には、図1(b)および図3に示すように、標準濾板11の濾室11cの表面に排水メッシュ14を配置してボス部11eにメッシュ固定リング15をかぶせるようにして固定するとともに、各標準濾板11,11の間に中子濾板13を挟んだ状態とし、これら標準濾板11および中子濾板13を濾布15で覆った状態として閉枠状態とする。
【0049】
すると、これまでの標準濾板11,11で形成される濾室11cに対して中子濾板13で仕切られることになり、約1/2の深さの濾室となり、ケーキ厚さwも約1/2の厚さにすることができる(w=約1/2W)。
【0050】
なお、このケーキ厚さの関係は、図1(a)のように、標準濾板11だけを使用した場合を基準に、図1(b)のように、中子濾板13を挟む場合には、ケーキ厚さをWからwに小さくできることになるが、この関係は、例えば図2(a)、(b)に示すように、中子濾板13を使用する場合の小さなケーキ厚さwを基準とすれば、中子濾板13を取り外すことでケーキ厚さをwからWに厚くできることになる。
【0051】
したがって、このフィルタープレス10によれば、上記のケーキ厚さの関係W⇔wを利用することで、簡単にケーキ厚さを調整することが可能となる。
【0052】
また、このフィルタープレス10では、ケーキ厚さをW,wに調整する場合でも、2組の濾板を用意する必要がなく、標準濾板11を兼用して2種類のケーキ厚さでの脱水を行うことができ、標準濾板11に比べ、構造が簡素化された中子濾板13を用いることで、コスト低減を図ることもできる。
【0053】
さらに、図1および図2に示すように、標準濾板11だけを用いる場合でも、表裏の枠部材11bの厚さT、T1を変えた標準濾板11を用意することで、基準となるケーキ厚さWやケーキ厚さwの絶対値を変えることができる。
【0054】
したがって、被濾過物に要求される含水率に応じてケーキ厚さを定め、これにより、標準濾板11の枠部材11bの厚さを設定すれば良く、ケーキ厚さを調整・変更する場合の被濾過物の種類や含水率、あるいは、濾板の必要枚数の製作コストなどによって中子濾板13を挟んだ状態を通常運転状態とするか臨時運転状態とするかを決定すれば良い。
【0055】
また、中子濾板13を介在させてフィルタープレス10を構成する場合には、中子濾板13の濾室面13cを覆う濾布16にひだを多く形成するようにして、ケーキを標準濾板11側に付着させずに中子濾板13に付着させるようにすることで、平坦な濾室面13cから簡単に掻き落とすことができるとともに、機械式掻き取り装置の適用も容易となる。
【0056】
なお、上記実施の形態では、濾板の形状を略正方形状とした場合を例に説明したが、円板状など他の形状の濾板であっても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明のフィルタープレスの一実施の形態にかかる標準濾板に対して中子濾板を用いてケーキ厚さを小さくする場合の原理説明図である。
【図2】この発明のフィルタープレスの一実施の形態にかかる標準濾板と中子濾板とを用いてケーキ厚さを厚くする場合の原理説明図である。
【図3】この発明のフィルタープレスの一実施の形態にかかる中子濾板を使用した状態の閉枠脱水状態の断面図および開枠状態の上部のみの断面図である。
【図4】この発明のフィルタープレスの一実施の形態にかかる閉枠状態の下部拡大断面図および中子濾板の排水孔の説明図である。
【図5】この発明のフィルタープレスの他の一実施の形態にかかる閉枠状態の下部拡大断面図である。
【図6】この発明が適用されるフィルタープレスの概略構成図である。
【図7】従来のフィルタープレスの濾板の一部分を切り欠いた部分正面図である。
【図8】従来のフィルタープレスの濾板構造の一部分の概略断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ベース
2 スタンド
3,3 濾板
4 ガイドレール
5 油圧シリンダ
6 排液シュート
7 濾布
10 フィルタープレス
11 標準濾板
11a 濾板本体
11b 枠部材
11c 濾室
11d 供給孔
11e ボス部
11f 排出路
12 弾性被覆部材
13 中子濾板
13a 濾板本体
13c 濾室
13d 供給孔
13f 排出路
13g 排水連絡孔
14 排水メッシュ(ネット部材)
15 メッシュ固定リング
16 濾布
W、w ケーキ厚さ(例えば、W=2・w)
T、T1 枠部材の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の濾板を重ね合わせて圧締し、隣接する濾板間に形成される濾室に濾布を介して被濾過物を圧送し、脱水するフィルタープレスであって、
前記濾板を、標準濾板と、この標準濾板の間に介装される中子濾板とで構成し、
前記標準濾板は、周囲に枠部材を備えるとともに、被濾過物の供給孔および濾液の排出路を備えて構成され、
前記中子濾板は、周囲の枠部材がなく、被濾過物の供給孔および濾液の排出路を備えて構成され、
前記濾室によるケーキ厚を前記中子濾板の着脱により調整可能に構成してなることを特徴とするフィルタープレス。
【請求項2】
前記標準濾板には、前記枠部材の内側の両面に複数の荷重支持ボス部を備えてなることを特徴とする請求項1記載のフィルタープレス。
【請求項3】
前記中子濾板の濾液の排出路を、当該中子濾板に形成した排水溝および排水路で構成してなることを特徴とする請求項1または2記載のフィルタープレス。
【請求項4】
前記中子濾板の濾液の排出路を、隣接する前記標準濾板の前記排出路につながる連絡孔で構成してなることを特徴とする請求項1または2記載のフィルタープレス。
【請求項5】
前記中子濾板を、ゴムライニング鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、強化プラスチック板のいずれかで構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィルタープレス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−264621(P2008−264621A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107865(P2007−107865)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000196624)西武ポリマ化成株式会社 (60)
【出願人】(500277467)東福商事有限会社 (11)
【Fターム(参考)】