説明

フィルター構造体

【課題】 レンジフードの内部に配置されたシロッコファン等の汚れを防止するためのフィルター構造体を提供する。
【解決手段】 フィルター構造体21は、可撓性を有するシート形状の材料よりなり、広げた状態で吸気口14の全体を覆うことができるフィルター22と、フィルター22に取り付けられフィルター22を広げた状態に保持する枠体23と、枠体23と一体化したフィルター22をシロッコファン12に固定する固定具17a〜17dとを備えている。枠体23は、その枠部25a〜25dの各々に取り付けられたフィルター保持具29またはフィルター保持具37を介してフィルター22に脱着自在に取り付けられ、フィルター22とシロッコファン12の前面部13との間に配置されている。フィルター22は、枠体23によって広げた状態で吸気口14を覆うように保持されるため、シロッコファン12の内部の汚れを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はフィルター構造体に関し、特にレンジフードの内部に配置されたシロッコファン等の吸気口の外方側に取り付けて使用するフィルター構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来のレンジフードの使用状態の概略を示した斜視図である。
【0003】
図を参照して、調理時の排気を行うために、台所のキッチンレンジの上方に取り付けられたレンジフード70が一般に使用されている。
【0004】
このレンジフード70は、その内部の前面側に取り付けられた一対の金属フィルター71a及び71bと、金属フィルター71a及び71bの内方側に取り付けられたシロッコファン72とを備えている。シロッコファン72は、前面部分に吸気口73が形成され、その上方部分は図示しないダクトに接続されている。
【0005】
レンジフード70はこのように構成されているため、シロッコファン72の運転によって、金属フィルター71a及び71b外方の空気を吸気口73から吸い込んで、図示しないダクトを通じて屋外へと排出する。そして、使用時には、金属フィルター71a及び71bによって、吸気口73からシロッコファン72の内部へと異物等が入り込んでしまうことが防止されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来のレンジフードの使用状態では、金属フィルターの目より大きな異物の侵入は確実に阻止されるが、調理時に生じる油煙の多くは金属フィルターを通過するため、シロッコファンの内部に付着してしまう。
【0007】
油煙等の付着によってシロッコファンが汚れた場合、シロッコファンの羽根体を取り外して洗浄することも考えられるが、シロッコファンの羽根構造はその形態上、洗浄し難いという問題がある。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、レンジフードの内部に配置されたシロッコファン等の汚れを防止するためのフィルター構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、吸気口を有する被取付体の外方側に取り付けられるフィルター構造体であって、可撓性を有するシート形状の材料よりなり、広げた状態で吸気口の全体を覆うことができるフィルターと、フィルターに取り付けられ、フィルターを広げた状態に保持する保持手段と、保持手段が取り付けられたフィルターを被取付体に固定する固定手段とを備えたものである。
【0010】
このように構成すると、フィルターは、保持手段によって広げた状態で吸気口を覆うように保持される。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、保持手段は、その一部が吸気口の外方側に位置するように、フィルターと被取付体との間に配置される枠体を含むものである。
【0012】
このように構成すると、フィルターに枠体が吸気口側から接することによって、吸気時のフィルターの撓みを軽減する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、枠体は、吸気口の周縁部における一部と、一部と対向する他の一部とを架け渡すことができるように形成されるものである。
【0014】
このように構成すると、吸気時に枠体は吸気口の周縁部によって支持されるため、被取付体に対する枠体の配置が安定する。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、保持手段は、枠体とフィルターとを脱着自在に取り付けることができる少なくとも1つの保持具を更に含むものである。
【0016】
このように構成すると、フィルターは保持具を介して枠体に脱着自在に取り付けられる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、固定具は、フィルターの外周部分を被取付体に脱着自在に取り付けるように複数配置されるものである。
【0018】
このように構成すると、フィルターの外周部分が被取付体に固定される。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、吸気口は円形状を有し、フィルターはほぼ円形状に形成され、枠体は、フィルターのほぼ中央に配置される中央部と、中央部に接続され、平面視において各々が中央部からフィルターの外周部分までほぼ十字方向に伸びる4つの枠部とからなり、保持具は、枠部の各々の端部に取り付けられ、固定具は、枠体が取り付けられたフィルターの外周部分において、枠部の各々の端部のほぼ中間に対応する位置に配置されるものである。
【0020】
このように構成すると、フィルターは、吸気口の周縁部においてほぼ等間隔の8カ所の部分で保持される。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、被取付体は、金属フィルターを有するレンジフードにおいて、金属フィルターの内方に取り付けられたシロッコファンとしたものである。
【0022】
このように構成すると、レンジフード内部のシロッコファンの吸気口がフィルターにより覆われた状態となる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、フィルターは、保持手段によって広げた状態で吸気口を覆うように保持されるため、吸気口内部の汚れを防止することが可能となる。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、フィルターに枠体が吸気口側から接することによって、吸気時のフィルターの撓みを軽減するため、フィルターの保持が安定する。また、フィルターと被取付体との間に枠体が配置されるため、フィルターの外方面の全体が有効に利用される。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、被取付体に対する枠体の配置が安定するため、フィルターの広げた状態がより安定し、吸気口内の汚れを確実に防止することが可能となる。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、フィルターは保持具を介して枠体に脱着自在に取り付けられるため、フィルターのみを交換することが可能となる。
【0027】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、フィルターの外周部分が被取付体に固定されるため、フィルターの取り付けだけで、同時に枠体を所定位置に配置することが可能となる。
【0028】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、フィルターは、吸気口の周縁部においてほぼ等間隔の8カ所の部分で保持されるため、吸気時のフィルターの撓みが軽減され、フィルターを広げた状態がより一層安定する。
【0029】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、レンジフード内部のシロッコファンの吸気口がフィルターにより覆われた状態となるため、シロッコファンの汚れを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の使用状態の概略を示した分解斜視図である。
【0031】
図を参照して、台所のガスレンジ等の上方に取り付けて使用されるレンジフード10は、その前面側の二点鎖線で示した位置に脱着自在に取り付けられる金属フィルター11a及び11bと、金属フィルター11a及び11bの内方に固定されたシロッコファン12とを備えている。このシロッコファン12はその前面部13に吸気口14を有し、その上方部分が図示しないダクトに接続されている。そして、シロッコファン12の吸気口14を覆うようにフィルター構造体21が取り付けられている。
【0032】
まず、このフィルター構造体21の構成について説明する。
【0033】
図2は、図1で示したシロッコファン部分の拡大正面図であり、図3は、図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【0034】
これらの図を参照して、フィルター構造体21は、可撓性を有するシート形状の材料よりなり、広げた状態で吸気口14の全体を覆うことができるフィルター22と、フィルター22に取り付けられフィルター22を広げた状態に脱着自在に保持する枠体23と、枠体23と一体化したフィルター22をシロッコファン12に固定する固定具17a〜17dとを備えている。
【0035】
フィルター22は、例えば不織布の打ち抜き加工によって外郭がほぼ円形状に形成され、その外周部分には平面視においてほぼ矩形形状を有する4つの取付部27が等間隔に接続されると共に、隣接する取付部27の中間部分にほぼ半円形状の切欠28a〜28dが形成されている。この4つの取付部27の各々は、取り付け時における固定具17a〜17dの配置の目安として設けられているものであり、切欠28a〜28dの各々はフィルター22への枠体23の取り付け時の目安として設けられているものである。尚、この点の更なる詳細については後述する。
【0036】
枠体23は、例えばポリプロピレンの射出成形により形成され、フィルター22のほぼ中央に配置される中央部24と、各々が中央部24に接続され、平面視において中央部24からほぼ十字方向に伸びる枠部25a〜25dとから構成されている。これらの中央部24及び枠部25a〜25dの各々は、シロッコファン12の運転時の通気性を確保するために、平面視において中空形状となるように形成されている。また、枠部25a及び25cの端部の各々の距離と、枠部25b及び25dの端部の各々の距離とは、いずれも吸気口14の直径より大きくなるように設定されている。
【0037】
このように形成された枠体23は、シロッコファン12の前面部13とフィルター22との間において、吸気口14の外周縁にネジ16a〜16dを介して取り付けられた保護リング15の外方面と接した状態で配置されている。尚、図3に示されるように、ネジ16a〜16dは、保護リング15の外方面から突出した状態で取り付けられている。
【0038】
更に、枠体23の枠部25a及び25cの各々の端部には、フィルター22を貫通した状態で保持することができる一対のフィルター保持具37が枠体23と一体的に形成され、枠部25b及び25dの各々の端部には面状ファスナーよりなる一対のフィルター保持具29が取り付けられている。これらのフィルター保持具29及びフィルター保持具37によって、フィルター22は枠体23に脱着自在に取り付けられている。
【0039】
固定具17aは、図3に示されるように、磁石18とヨーク19とから構成され、金属板よりなるシロッコファン12の前面部13への吸着効果によって、フィルター22の外周部分における取付部27が脱着自在に固定されている。また、他の固定具17b〜17dも固定具17aと同一構成を有し、フィルター22の外周部分における取付部の各々が、固定具17b〜17dの各々によって脱着自在にシロッコファン12に取り付けられている。
【0040】
次に、上記のフィルター保持具の各々について更に説明する。
【0041】
図4は、図2で示したIV−IVラインの拡大端面図である。
【0042】
図を参照して、枠体23の枠部25bの端部の上部に取り付けられたフィルター保持具29は、その横断面がほぼ一定形状を有する面状ファスナーよりなり、その下面の幅方向における両端から下方に伸びる一対の脚部30a及び30bと、その下面のほぼ中央から下方に伸び、その下端に鉤状部32a及び32bが形成された脚部31とを備えている。
【0043】
一方、枠体23の枠部25bの上部には、上方に突出した形状の凸部34が形成され、更に凸部34の中央部分には、枠部25bと同方向に伸びるスリット33が形成されている。この凸部34の横断面形状はフィルター保持具29の下面の横断面と対応する形状に形成され、スリット33の幅はフィルター保持具29の脚部31の幅とほぼ同じ寸法に設定されている。
【0044】
フィルター保持具29は、その脚部31を枠部25bのスリット33に、スリット33の軸方向(紙面と直交する方向)から嵌め込んだ状態で取り付けられている。これにより、鉤状部32a及び32bを有する脚部31と凸部34とが係合し、フィルター保持具29の上方向への抜け出しが阻止された状態となる。
【0045】
このようにして面状ファスナーよりなるフィルター保持具29と枠体23とが嵌め込みによって接続されているため、枠体23を油煙が付着しやすい場所で使用しても、フィルター保持具29が枠体23から脱落する虞はなく、安定してフィルター22を保持することができる。
【0046】
図5は、図2で示した”Y”部分の拡大図であり、図6は、図5で示したVI−VIラインの拡大断面図であり、図7は、図5で示したVII−VIIラインの拡大断面図である。
【0047】
これらの図を参照して、フィルター保持具37は、その先端41から枠部25a側へと広がる形状を有する第1係合部38と、第1係合部38の枠部25a側に接続され、枠部25a側へと広がる形状を有する第2係合部39と、第2係合部39の枠部25a側に接続され、その軸方向が枠部25a側へ伸びる胴部40とを備えている。尚、このフィルター保持具37は、枠部25aと一体的に形成されており、胴部40の下端が枠部25aに接続されている。そして、胴部40の軸方向と直交する平面への第1係合部38及び第2係合部39の各々の投影面積が、当該平面に対する胴部40の投影面積より大きく、且つ当該平面に対するフィルター保持具37全体の投影面積より小さくなるように設定されている。また、この実施の形態におけるフィルター保持具37では、更に、胴部40の側壁42aから第1係合部38の下端までの水平距離と、胴部40の側壁42bから第2係合部39の下端までの水平距離とがいずれも等しく、距離dとなるように設定されている。
【0048】
更に、フィルター保持具37は、第1係合部38の先端41が尖るように形成されると共に、第1係合部38及び第2係合部39の各々の枠部25a側の部分が返し形状となるように形成されている。
【0049】
フィルター22の取り付け時には、図6及び図7の破線で示した位置のフィルター22に対して、第1係合部38の尖った先端41を突き刺した後、フィルター保持具37でフィルター22を突き破るようにして、図の二点鎖線で示した位置までフィルター22を貫通させる。このフィルター22の取り付け過程においては、一旦第1係合部38がフィルター22を貫通すると、フィルター22には第1係合部38の突き破りによって、図6における左右方向の寸法がdの開口が形成されることになる。そのため、続いて第2係合部39を貫通させる際には、第2係合部39は、フィルター22を新たに突き破ることなく第1係合部38によって形成された開口を通過することができる。
【0050】
このように、第1係合部38及び第2係合部39を段違いに形成することによって、第1係合部38及び第2係合部39の両方を貫通させる際にフィルター22に生じる開口の大きさが小さくなるため、フィルター22を突き破るために要する力が軽減され、フィルター22を容易に取り付けることが可能となる。また、一旦フィルター22を図の二点鎖線で示した位置に取り付けた後は、フィルター22に生じた開口の大きさに対して、第1係合部38及び第2係合部39のフィルター22への投影面積の方が大きいため、フィルター22を安定してフィルター保持具37に保持することが可能となる。更に、第1係合部38及び第2係合部39の各々の下面が返し形状に形成されているため、フィルター22は、図の二点鎖線で示した位置から先端41側へと抜け出そうしても、第1係合部38及び第2係合部39の下端部分に引っ掛かりやすく、フィルター22のフィルター保持具37からの脱落が一層防止されている。
【0051】
ここで、上記のように構成されたフィルター構造体のシロッコファンへの取り付け方法について説明する。
【0052】
図8は、図1で示したフィルター構造体のシロッコファンへの取り付け過程の一例を示した概略工程図である。
【0053】
図8の(1)を参照して、まず、図の実線で示したフィルター22を、枠体23のフィルター保持具29及びフィルター保持具37が取り付けられた側(紙面の上方側)に取り付ける。このとき、図の二点鎖線で示すように、枠体23の中央部とフィルター22の中央とをほぼ一致させると共に、枠部25a〜25dの各々の先端が、フィルター22の外周部分に形成された切欠28a〜28dの各々と対応する位置となるようにフィルター22と枠体23との位置関係を調整する。次に、位置合わせされたフィルター22の外周部分を、枠部25b及び25dの端部に取り付けられたフィルター保持具29(面状ファスナー)の各々に取り付ける。更に、枠部25a及び25cの端部に形成されたフィルター保持具37の各々をフィルター22に突き刺して貫通させると、フィルター22と枠体23とが4点で接続されて一体化された状態となる。
【0054】
次に、図8の(2)の破線で示すように、枠体23と一体化されたフィルター22がシロッコファン12の吸気口14を覆うと共に、枠体23がシロッコファン12とフィルター22との間において、吸気口14に架け渡された状態となるように仮置きする。このとき、外方へと突出した保護リング15のネジ16a及び16bを避けて安定して枠体23を配置するために、フィルター22を図における時計回り方向等に回転させ、図の実線で示すように取り付け位置を調整する。尚、このようなフィルター22の位置調整は、保護リング15のネジ16及び16bが突出しておらず、枠体23の配置に支障がない場合には、必ずしも必要な操作ではない。また、保護リング15やネジ16a及び16bの形状やネジの数は、レンジフードの機種毎に異なるが、枠体23と保護リング15との重なりが少なくなるように枠体23の形状が設定されているため、位置調整の際に枠体23の回転の程度を適宜調節すれば、様々な機種のレンジフードのシロッコファン12に取り付けることが可能である。
【0055】
そして、図8の(3)に示すように、4つの固定具17a〜17dで、位置決めされたフィルター22の取付部27の各々をシロッコファン12の前面部13に固定すると、フィルター構造体21の取り付けが完了する。
【0056】
以上のようにすると、フィルター22は、枠体23とフィルター保持具29及びフィルター保持具37とによって、広げた状態で吸気口14を覆うように保持されるため、シロッコファン12の吸気口14内部の汚れを防止することが可能となる。そして、フィルター22は、フィルター保持具29及びフィルター保持具37によって脱着自在に枠体23に取り付けられているため、使用によってフィルター22に油煙等が付着した場合には、フィルター22のみを交換すれば、持続してシロッコファン12の汚れを防止することができる。
【0057】
特に、この実施の形態においては、枠体23はフィルター22とシロッコファン12との間に配置されている。したがって、枠体23が吸気口側からフィルター22に接することによって、吸気時のフィルター22の撓みが軽減されているため、フィルター22を安定して保持することが可能である。また、フィルター22とシロッコファン12との間に枠体が配置されているため、フィルター22の外方面全体が汚れ防止のために有効に利用されることになる。
【0058】
また、枠体23は、上述したように平面視ほぼ十字形状を有し、吸気口14の外周縁の一部と、当該一部と対向する他の一部とを縦横に架け渡すことができる大きさに形成されている。これにより、被取付体であるシロッコファン12に対する枠体23の配置が安定するため、フィルター22の広げた状態がより安定し、吸気口14内の汚れを確実に防止することが可能である。
【0059】
更に、フィルター22はその外周縁部分のみが固定具17a〜17dによって固定されるため、シロッコファン12へのフィルター22の取り付けだけで、同時に枠体23を所定の位置に配置することが可能となる。この取り付けの際には、固定具17a〜17dの各々は、フィルター22の外周部分に形成された4つの取付部27、すなわち、枠部25a〜25dの各々の端部のほぼ中間に対応した位置に配置されている。このようにすると、フィルター22は、一対のフィルター保持具29と一対のフィルター保持具37と4つの固定具17a〜17dとによって、吸気口14の周縁部においてほぼ等間隔の合計8カ所の部分で保持されることになる。したがって、吸気時のフィルター22の撓みが軽減され、フィルター22を広げた状態がより一層安定する。
【0060】
尚、上記の第1の実施の形態では、レンジフードのシロッコファンの円形状の吸気口に適用しているが、レンジフードのシロッコファン以外や異なった形状の吸気口を有する被取付体にも同様に適用することが可能である。
【0061】
また、上記の第1の実施の形態では、フィルターを保持するための保持手段を構成する枠体は、フィルターとシロッコファンとの間に配置されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、フィルターを広げた状態に保持することができれば、フィルターの外方面に枠体を配置しても良い。または、フィルターの内方面と外方面との両方に枠体を配置しても良い。
【0062】
更に、上記の第1の実施の形態では、枠体は、吸気口の周縁部の一部と、当該一部と対向する他の一部とを架け渡すことができる形状に形成されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、枠体はフィルターを広げた状態に保持できる形状であれば良い。
【0063】
更に、上記の第1の実施の形態では、枠体とフィルターとは脱着自在に取り付けられているが、枠体とフィルターとを一体的に形成しても良い。
【0064】
更に、上記の第1の実施の形態では、固定具によって、フィルターの外周部分がシロッコファンに取り付けられているが、フィルターに取り付けられた枠体の部分をシロッコファンに、例えば面状ファスナー、粘着剤、粘着テープ等を介して直接固定できるように構成しても良い。
【0065】
更に、上記の第1の実施の形態では、枠体には2種類の特定のフィルター保持具が取り付けられているが、フィルターを枠体に脱着自在に取り付けることができれば、例えば粘着剤や粘着テープのような他の形状の保持具を取り付けても良い。また、枠体の4つの枠部には、必ずしも2種類の保持具を用いる必要はなく、枠部の各々に同一の保持具を取り付けても良い。
【0066】
更に、上記の第1の実施の形態では、4つのフィルター保持具が枠体における枠部の各々の端部に取り付けられているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、枠体の他の部分にフィルター保持具を取り付けても良い。また、フィルター保持具の構造や数量は適宜変更しても良い。
【0067】
更に、上記の第1の実施の形態では、枠体をポリプロピレンの射出成形によって平面視ほぼ十字形に形成しているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、枠体を他の材質で他の形状となるように形成しても良い。
【0068】
更に、上記の第1の実施の形態では、フィルターとして不織布を用いているが、フィルターの材質や形状は、これに限定されるものではなく、使用可能であれば公知のフィルターの材質や形状を採用したり、適宜設計することもできる。
【0069】
更に、上記の第1の実施の形態では、磁石とヨークとからなる4つの固定具によってフィルターが固定されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、フィルターを被取付体に固定することができれば、固定具の構造や数量は変更しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の使用状態の概略を示した分解斜視図である。
【図2】図1で示したシロッコファン部分の拡大正面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【図4】図2で示したIV−IVラインの拡大端面図である。
【図5】図2で示した”Y”部分の拡大図である。
【図6】図5で示したVI−VIラインの拡大断面図である。
【図7】図5で示したVII−VIIラインの拡大断面図である。
【図8】図1で示したフィルター構造体のシロッコファンへの取り付け過程の一例を示した概略工程図である。
【図9】従来のレンジフードの使用状態の概略を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
10…レンジフード
11…金属フィルター
12…シロッコファン
14…吸気口
17…固定具
21…フィルター構造体
22…フィルター
23…枠体
24…中央部
25…枠部
29、37…フィルター保持具
尚、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口を有する被取付体の外方側に取り付けられるフィルター構造体であって、
可撓性を有するシート形状の材料よりなり、広げた状態で前記吸気口の全体を覆うことができるフィルターと、
前記フィルターに取り付けられ、前記フィルターを前記広げた状態に保持する保持手段と、
前記保持手段が取り付けられた前記フィルターを前記被取付体に固定する固定手段とを備えた、フィルター構造体。
【請求項2】
前記保持手段は、その一部が前記吸気口の外方側に位置するように、前記フィルターと前記被取付体との間に配置される枠体を含む、請求項1記載のフィルター構造体。
【請求項3】
前記枠体は、前記吸気口の周縁部における一部と、前記一部と対向する他の一部とを架け渡すことができるように形成される、請求項2記載のフィルター構造体。
【請求項4】
前記保持手段は、前記枠体と前記フィルターとを脱着自在に取り付けることができる少なくとも1つの保持具を更に含む、請求項3記載のフィルター構造体。
【請求項5】
前記固定具は、前記フィルターの外周部分を前記被取付体に脱着自在に取り付けるように複数配置される、請求項4記載のフィルター構造体。
【請求項6】
前記吸気口は円形状を有し、
前記フィルターはほぼ円形状に形成され、
前記枠体は、前記フィルターのほぼ中央に配置される中央部と、前記中央部に接続され、平面視において各々が前記中央部から前記フィルターの前記外周部分までほぼ十字方向に伸びる4つの枠部とからなり、
前記保持具は、前記枠部の各々の端部に取り付けられ、
前記固定具は、前記枠体が取り付けられた前記フィルターの前記外周部分において、前記枠部の各々の端部のほぼ中間に対応する位置に配置される、請求項5記載のフィルター構造体。
【請求項7】
前記被取付体は、金属フィルターを有するレンジフードにおいて、前記金属フィルターの内方に取り付けられたシロッコファンである、請求項1から請求項6のいずれかに記載のフィルター構造体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−175339(P2006−175339A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370336(P2004−370336)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000222107)東洋アルミホイルプロダクツ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】