説明

フィルター複合材料、その製造方法およびフィルター複合材料から製造されたフラットフィルター部材

フィルター複合材料(10)は、第一および第二濾過メンブラン(1、5)、およびそれらの間に配置された排出材料(3)を含んでなる。排出材料(3)および濾過メンブラン(1、5)は、接着性ネット(2、4)により貼り合わされる。フラットフィルター部材は、このフィルター複合材料からブランクとして製造され、それぞれの用途に適した幾何学的形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、排液織布と、その排液織布の上下側に貼り合わせた第一および第二の濾過メンブランとを含んでなるフィルター複合材料、そのフィルター複合材料の製造方法、およびその方法により製造されたフラットフィルター部材に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター複合材料は、先行技術として公知であり、フラットフィルター部材、巻き上げたフィルター等の製造に使用されている。従来の廃水浄化用のフィルター装置は、間隔を置いて平行に配置されたフラットフィルター部材を備えている。フラットフィルター部材は、クッションまたはカセットとして形成され、そこでは、可とう性の織布または剛性プレートとして形成された排出構造の両側が濾過メンブランにより取り囲まれている。濾過メンブランは、典型的には、支持体不織層および多孔質メンブラン層から形成された2層複合構造として形成される。隣接するフラットフィルター部材間の区域は、濾過すべき液体用の通路を形成し、その液体は、交差流濾過の原理に従い、フラットフィルター部材の表面に対して平行に、従って、濾過方向に対して直角に流れる。
【0003】
欧州特許EP0730490B1は、多孔質フィルター媒体、多孔質支持体媒体および排出機構を包含する基材を備えたフィルター複合構造、ならびに、その複合構造の形成方法も開示している。多孔質フィルター媒体および多孔質支持体媒体は、フィルター媒体の透過性が実質的に減少しない方法で基材に溶剤接着されている。好ましい実施態様では、基材が重合体材料からなり、溝を含み、隣接する溝間の区域が、多孔質支持体媒体に接着している。別の実施態様では、基材は、対向する平坦な表面を有するシートまたはプレートとして形成され、各平坦な表面が、多孔質支持体媒体および多孔質フィルター媒体に溶剤接着されている。この複合構造は、下記の工程、すなわち、
多孔質フィルター媒体、多孔質支持体媒体および基材を重ね合わせて配置する工程、
基材を僅かに溶解させるだけで、多孔質支持体媒体および多孔質フィルター媒体中に流れ込む接着組成物を導入し、この工程中に導入された溶解した基材が、結合組成物を除去した後に固化し、3層を一つに接着する工程、を含んでなる方法により、形成される。
【0004】
独国特許公開DE3712872A1には、メンブランと中を通して流れることができる排出構造とから構成されたフィルター部材が記載されている。この排出構造は、織布、不織布、有孔またはエンボス加工されたホイル、またはこれらの層材料の組合せからなる。n角形または丸形状の実質的に平坦なフィルター部材は、流体伝導用の開口部を含み、それらの縁部および開口部の周縁部で漏れを防止するように接着または溶接されている。特別な実施態様では、メンブランが、片側または両側で、ラミネートの形態で織布および/または不織布に区域−接着される。それぞれ場合、その中の織布/不織布は1個のメンブランにのみ接着される。
【0005】
独国実用新案DE202005012047U1は、流体の流れから粒子を除去するための、メンブラン濾過層および少なくとも一個の上流深(depth)濾過層を備えた、2層以上の複合フィルター媒体を開示している。所望により、この複合フィルター媒体は、メンブラン濾過層の上流または下流に配置された支持層を備えることができる。所望により、支持層は、メンブランと貼り合わせることができる。好ましくは、深濾過層、メンブラン濾過層および所望により使用する支持層は、それぞれ重合体状繊維メルトブロー織布、膨脹PTFE(ePTFE)メンブラン濾過媒体およびスパンボンデッド不織布からなる。所望により使用する支持体層は、それぞれの場合、1個のメンブラン濾過層にのみ接着されている。
【0006】
欧州特許EP1554028B1は、多層ひだ支持体を含むフィルター部材を開示している。このフィルター部材は、上流ひだ支持体、フィルター媒体、第一下流支持体層および第二下流支持体層を含む多層下流支持体を備えている。フィルター媒体は、典型的には細孔径が約0.1μm〜約10μmであり、従来のフィルター材料、例えば膨脹テフロン、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリ二フッ化ビニリデン等からなる微細孔質フィルター媒体である。支持体層は、好ましくは重合体状不織繊維材料から製造され、第一支持体層は、フィルター媒体に貼り合わせることができる。貼り合わせは、先行技術で公知の従来の貼り合わせ技術により行うことができる。
【0007】
欧州特許EP0417287B1は、フェニレンスルフィド系共重合体からなり、重合体状織布または不織布上に貼り合わせた、細孔質の不均質メンブランを記載している。
【0008】
フィルター装置の作動中、メンブラン層の細孔を通過するには大きすぎる直径を有する粒子は、メンブラン表面に保持され、それらの一部はそこに付着したまま止まる。そのような粒子は長期間にわたって蓄積し、フィルターケーキを形成し、メンブラン表面を次第に詰まらせ、装置の濾過性能を低下させる。装置保守業務の一部として、濾過メンブランの表面は、定期的に機械的および/または化学的に清掃し、例えばブラシ掛け、水ジェットおよび清掃溶液を使用してフィルターケーキを取り除く。さらに、これらの、一般的にフィルター部材の取り外しを必要とする、不都合で、経費のかかる清掃方法に加えて、その場でバックフラッシングにより清掃を行うこともある。バックフラッシングでは、液体がフィルター部材の内部から濾過メンブランを通して外側に流れ、濾過メンブランの表面に付着している粒子が離脱するように、フィルター部材を、低圧ではなく、内圧を増加させることにより、短時間作動させる。このバックフラッシングは、操作が進行している最中に定期的に行い、時間間隔および濾過時間とバックフラッシング時間の比は、その時の濾過条件によって異なり、時間間隔は典型的には1〜300分間、好ましくは5〜100分間、より好ましくは8〜30分間である。バックフラッシングの清掃効果は、主として、付着している粒子に作用する力によって異なる。この力は、フィルター部材における内部圧の関数である。内部圧を増加させると、濾過メンブラン中における亀裂およびメンブランの剥離を引き起こすことが多いので、濾過メンブランの損傷を引き起こすことがある。剥離は、濾過メンブラン中で、支持体不織布と細孔質メンブラン層との間で、または濾過メンブランと排出構造との間で起こることがある。剥離の結果、濾過メンブランまたは細孔質メンブラン層が、隣接するフィルター部材を圧迫する程度に膨らみ、バックフラッシングが、作用する点で完全に停止し、付着したフィルターケーキがある程度メンブラン表面の中に押し込まれることが多い。
【0009】
そのような問題および損傷を回避するために、バックフラッシングにおける内部圧は、典型的には、0.05bar未満の値に制限する。内部圧を0.05barを超える値に増加させると、バックフラッシングによる清掃の効果が改良され、経費が掛かりる不都合な化学的−機械的清掃の間隔を長くすることができよう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、先行技術と比較仕手、安価に製造でき、バックフラッシング性能が改良されたフィルター複合材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の目的が、排液織布と、その排液織布の上側および下側に貼り合わせた第一および第二濾過メンブランとを含んでなるフィルター複合材料であって、前記排液織布と前記濾過メンブランとの間のラミネーションが、0.15 barを超える動的圧力安定性を有する、フィルター複合材料により達成されることを見出した。本発明の別の態様においては、前記排液織布と前記濾過メンブランとの間のラミネーションが、0.2barを超える、好ましくは0.25barを超える、より好ましくは0.3barを超える動的圧力安定性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】フィルター複合材料の部分的に切り取った透視図を分解組立図で示したものである。
【図2】フィルター複合材料の製造装置を図式的に示したものである。
【図3】フラットフィルター部材の断面透視図を示したものである。
【発明の詳細な説明】
【0013】
以下、用語「動的圧力安定性」とは、フィルター部材が、その寿命サイクル中に受ける濾過(低圧)とバックフラッシング(内部圧の増加)との間の様々な圧力条件下における、バックフラッシング内部圧の振幅を意味する。対照的に、本発明によるフィルター複合材料の、内部圧増加による単調な、または静止負荷下での破裂圧(=静止圧力安定性)は、明らかに1barを超える。
【0014】
有利な実施態様では、フィルター複合材料が、リボン形状を有し、長さが5〜500m、好ましくは10〜100m、より好ましくは20〜60mであり、幅が0.5〜20m、好ましくは0.8〜10m、より好ましくは0.9〜2mである。
【0015】
好ましくは、排液織布は、ループを形成するように編んだスペーサ布地である。先行技術のループを形成するように編んだスペーサ布地は、第一および第二のシート状ループ構造からなり、第一および第二ループ構造の間にパイルスレッドの機構(system)が配置されている。パイルスレッドは、互いに、およびループ構造の縦糸または横糸方向で規則的に間隔を置いて配置され、各パイルスレッドは、パイルスレッドが鋸刃またはらせん形状のコースを描くように、第一および第二ループ構造のループを交互に通過する。ループを形成するように編んだスペーサ布地用の材料は、プラスチック、特にポリエステル、および無機材料、例えばガラス繊維または金属、を含んでなるのが好適である。ループ構造の厚さは0.1〜4mm、パイルスレッドの機構は高さが0.3〜10mmである。パイルスレッド機構の縫い目密度は100〜300cm−2であり、パイルスレッドは、直線密度が30〜100dtexである。好ましくは、ループを形成するように編んだスペーサ布地は、熱硬化した状態にある。熱硬化したループを形成するように編んだスペーサ布地は、2工程で製造される。第一に、ループを形成するように編む機械を使用し、熱可塑性重合体のパイルスレッドを含み、パイルスレッドが単に弾性的に変形する、ループを形成するように編んだスペーサ布地を製造する。次いで、ループを形成するように編んだスペーサ布地を、熱可塑性重合体のガラス転移温度より高い温度に短時間加熱し、パイルスレッドを、ループを形成するように編んだパターンにより予め決められた鋸刃またはらせん形状でエンボス加工する。硬化したループを形成するように編んだスペーサ布地に対して機械的負荷を与えることにより、パイルスレッドが弾性的に変形し、負荷を取り除いた時に、エンボス加工された鋸刃またはらせん形状に戻る。従って、熱硬化したループを形成するように編んだスペーサ布地は、高い剛性および一種の形状記憶を有するのが特徴である。
【0016】
排液織布および濾過メンブランは、好ましくは接着性ネットにより一つに面接着する。より詳しくは、接着性ネットは、融点が80〜200℃、好ましくは100〜180℃、より好ましくは120〜160℃の熱可塑性重合体からなる。熱可塑性重合体の接着性ネットは、例えば、彫刻ロールにより成形する。それによって、様々な形状のメッシュパターンを製造することができる。接着性ネットを使用して製造したラミネーションの接着強度および圧力安定性は、実質的に接着性ネットのメッシュ密度および坪量により決定される。メッシュ密度とは、接着性ネットの単位面積あたりの開口部の数を意味する。
【0017】
本発明のフィルター複合材料は、メッシュ密度が10000〜400000m−2、好ましくは100000〜350000m−2、より好ましくは200000〜300000m−2、のメッシュ密度を有する接着性ネットを使用してラミネーション加工する。接着性ネットの坪量は、10〜80g・m−2、好ましくは20〜60g・m−2、より好ましくは30〜50g・m−2である。
【0018】
本発明の別の実施態様により、濾過メンブランは、支持体不織層および細孔質メンブラン層からなり、支持体不織層は、排液織布に隣接して配置される。細孔質メンブラン層は、支持体不織層に湿式凝固またはラミネーション加工により接着する。
【0019】
湿式凝固では、細孔質メンブラン層を支持体不織層上に堆積させるか、または支持体不織層上にラミネーション加工する。
【0020】
好ましくは、細孔質メンブラン層は、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、セルロースアセテート、再生セルロース、ポリオレフィンまたはフルオロ重合体からなる。細孔質メンブラン層は、例えば重合体溶液で被覆し、重合体をその後に続く転相工程で析出させた不織布または織布により製造する。あるいは、重合体状シートを適切に延伸し、重合体状シート中に細孔を製造する。次いで、延伸した重合体状シートを支持体不織層上にラミネーション加工し、機械的に安定化させる。これらの方法により製造された濾過メンブランは、例えばNADIR(登録商標)メンブラン(MICRODYN−NADIR GmbH, Wiesbaden)またはCelgard(登録商標)Flat Sheet Membranes(Celgard Inc, Charlotte, NC, USA)として市販されている。
【0021】
本発明の別の目的は、上に記載するフィルター複合材料の製造方法を提供することである。我々は、上記の目的が、第一のリボン形状を有する濾過メンブラン、第一のリボン形状を有する熱可塑性重合体の接着性ネット、リボン形状を有する排液織布、第二のリボン形状を有する熱可塑性重合体の接着性ネット、および第二のリボン形状を有する濾過メンブランを、それぞれ別の原料貯蔵リールから供給し、一対の圧力ロールの中で組み合わせ、リボン形状を有する積重構造を形成し、リボン形状を有する積重構造をその上側および下側で、第一および第二の接着性ネットが融解し、続いて冷却するように、加熱した一対のロールの中で加熱し、続いて冷却し、排液織布を濾過メンブランに耐久性良く接着させる方法により、達成されることを見出した。
【0022】
本発明の別の目的は、先行技術と比較して、バックフラッシング性能が改良されたフラットフィルター部材を提供することである。本発明者らは、上記の目的が、前記フィルター複合材料から、特定用途に適切な幾何学的構造、好ましくは正方形、長方形、六角形、長円形または円形を有するブランクを加工し、縁部全体にわたって液体を通さないように密封することにより、達成されることを見出した。
【0023】
縁部密封は、公知の方法、例えば
排液織布を濾過メンブランに、熱的または超音波溶接により接着させること、
フラットフィルター部材の縁部区域において接着させること、この場合、液体接着剤を排出織布と濾過メンブランとの間に導入し、硬化/架橋させる、
浸積接合すること、この場合、フラットフィルター部材の縁部区域の上側および下側、および切断面/突き合わせ縁部にも接着剤を塗布する、
糸で機械縫いすること、または
機械的固定装置を使用すること
により行う。
【0024】
次いで、機械的切断工具またはレーザーを使用して濾過メンブランの一部を切り取り、除去することにより、一個以上の流出開口部を形成する。一個以上のフラットフィルター部材を通して相互に平行な(積重)配置で流出ラインを導くのが有利であることが多い。これには、フラットフィルター部材が、両側に、合同の等面積幾何学的構造の流出開口部を有する必要がある。この目的には、第一および第二濾過メンブランおよび間にある全ての排液織布を、必要な幾何学的構造で切り取り、除去する。
【0025】
最後に、流出開口部を流出ラインに、好ましくは接着により、接続する。
【0026】
このようにして得られるフラットフィルター部材は、濾過およびバックフラッシングの作業工程に対応する様々な圧力負荷下で、0.15barを超える、好ましくは0.2barを超える、より好ましくは0.3barを超える内部圧に無傷で耐える。
【0027】
ここで、添付の図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【0028】
図1は、第一濾過メンブラン1、熱可塑性重合体からなる第一接着性ネット2、排液織布3、熱可塑性重合体の第二接着性ネット4、および第二濾過メンブラン5を備えたフィルター複合材料10を示す。濾過メンブラン1および5は、排液織布3に、例えば熱的または超音波溶接、接着、機械的縫い合わせまたは機械的固定により結合する。結合ライン/シームは、参照番号6、7により図式的に示す。
【0029】
図1のフィルター複合材料は、図2に図式的に示す装置により製造した連続的シート材料20から形成する。これには、第一濾過メンブランリボン11、第一接着性ネットリボン12、排液織布リボン13、第二接着性ネットリボン14、および第二濾過メンブランリボン15を、それぞれの原料貯蔵リールから繰り出し、一対の圧力ロール16、17で一つに貼り合わせ、リボン形状原料を形成する。この原料は、それぞれのロールが加熱されている加熱ロール対31、32、および別の圧力ロール対41、42を通る。加熱されたロール対で、リボン形状原料は、その上側および下側表面で、第一および第二接着性ネットリボン12、14が、点および/または線状に融解する/粘着性になるまで加熱される。圧力ロール対は、十分な圧力を積重構造に加え、一時的に融解した/粘着性になった接着性ネットリボン12、14を介して、排液織布リボン13と濾過メンブランリボン11、15とを結合させる。接着性ネットリボン12、14は、ロール対41、42のニップから出た後、冷却し、それによって、排液織布リボン13を濾過メンブランリボンに、耐久性良く、面接触で結合させ、連続的なリボン材料20を形成する。連続的なリボン材料20は、特定用途に適切な幾何学的構造を有するブランクを製造するのに使用される。ブランクは、全ての周縁部で、液体を通さないように閉鎖/密封される。そのような長方形ブランクを図1に示す。
【0030】
排液織布リボン13と濾過メンブランリボン11、15の間の、融解した/粘着性の接着性ネットリボン12、14を介した、両側の点および/または線形状結合により、結合点/線の数が非常に大きいので、複合フィルター材料に、非常に高い圧力安定性が付与される。この複合フィルター材料から製造されたフィルター部材に内部圧が作用すると、この種の結合がフィルター部材の部分に対する膨らみを阻止し、フィルター部材の近くでバックフラッシングにより清掃を行っても、隣接するフィルター部材に損傷を与えず、互いにブロックさせることもない。
【0031】
図3は、準連続的製法により製造した連続的リボン材料20から切り取ったブランクから安価に製造されるフラットフィルター部材100の透視断面図を示す。フラットフィルター部材100は、流れに対する抵抗が非常に低いフレーム120からなる。フレーム120は、外側から内側に対称的に、2個の濾過メンブラン101、105、2個の接着性ネット102、104および排液織布103を収容している。
【0032】
フラットフィルター部材100の全区域は、フィルター部材100の厚さを通って伸びる1個の流出開口部140を含む。全区域の、等しいサイズの小区域の中にそれぞれ設けた2個以上の流出開口部140を備えていてもよい。その場合、そのような流出開口部のそれぞれが、対応する小区域の中央に位置する。
【0033】
流出開口部140は、縁部141に沿って、フィルター部材100の個々の層に対して液体を通さないように密封/閉鎖する。流出開口部140の両側には、流出ライン130、131があり、フィルター部材100全体にわたる透過液(permeate)の実質的に一定の、メンブランを横断する差圧を確保する。これによって、一様なフィルターケーキ成長、従って、経済的なフィルター利用が確保される。この効果は、例えば、流動抵抗が流出開口部/ラインからの距離が減少するにつれて減少する排液織布により増大する。排液織布の流動抵抗は、排液織布の厚さおよび/または排液織布層の数を小さくすることにより、さらに低下させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排液織布(3)と、前記排液織布の上側および下側にラミネーション加工した第一および第二濾過メンブラン(1、5)と、を含んでなるフィルター複合材料(10)であって、前記排液織布(3)と前記濾過メンブラン(1、5)との間のラミネーションが、0.15barを超える動的圧力安定性を有する、フィルター複合材料。
【請求項2】
前記排液織布(3)と前記濾過メンブラン(1、5)との間のラミネーションが、0.2barを超える、好ましくは0.25barを超える、より好ましくは0.3barを超える動的圧力安定性を有する、請求項1に記載のフィルター複合材料。
【請求項3】
前記フィルター複合材料が、リボン形状を有し、長さが5〜500m、好ましくは10〜100m、より好ましくは20〜60mである、請求項1に記載のフィルター複合材料。
【請求項4】
前記フィルター複合材料の幅が0.5〜20m、好ましくは0.8〜10m、より好ましくは0.9〜2mである、請求項3に記載のフィルター複合材料。
【請求項5】
前記排液織布(3)が、ループを形成するように編んだスペーサ布地として形成される、請求項1に記載のフィルター複合材料。
【請求項6】
前記排液織布(3)および前記濾過メンブラン(1、5)が、接着性ネット(2、4)により互いにラミネーション加工される、請求項1に記載のフィルター複合材料。
【請求項7】
前記接着性ネット(2、4)が、融点が80〜200℃、好ましくは100〜180℃、より好ましくは120〜160℃である熱可塑性重合体からなる、請求項6に記載のフィルター複合材料。
【請求項8】
前記接着性ネット(2、4)の坪量が、10〜80g・m−2、好ましくは20〜60g・m−2、より好ましくは30〜50g・m−2である、請求項6に記載のフィルター複合材料。
【請求項9】
前記接着性ネット(2、4)のメッシュ密度が10000〜400000m−2、好ましくは100000〜350000m−2、より好ましくは200000〜300000m−2である、請求項1に記載のフィルター複合材料。
【請求項10】
前記濾過メンブラン(1、5)が、支持体不織層および細孔質メンブラン層からなり、前記支持体不織層が、前記排液織布(3)に隣接して配置される、請求項1に記載のフィルター複合材料。
【請求項11】
前記細孔質メンブラン層が、前記支持体不織層に、湿式凝固により接着される、請求項9に記載のフィルター複合材料。
【請求項12】
前記細孔質メンブラン層が前記支持体不織層上にラミネーション加工される、請求項9に記載のフィルター複合材料。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルター複合材料の製造方法であって、第一のリボン形状を有する濾過メンブラン(11)、第一のリボン形状を有する熱可塑性重合体の接着性ネット(12)、リボン形状を有する排液織布(13)、第二のリボン形状を有する熱可塑性重合体の接着性ネット(14)、および第二のリボン形状を有する濾過メンブラン(15)を、それぞれ別の原料貯蔵リールから供給し、圧力ロール対(16、17)中で組み合わせ、リボン形状を有する積重構造(20)を形成し、前記リボン形状を有する積重構造(20)をその上側および下側で、前記第一および第二の接着性ネット(12、14)が融解、続いて冷却するように、加熱したロール対(31、32)の中で加熱し、続いて冷却し、前記排液織布(13)を前記濾過メンブラン(11、15)に耐久性良く接着させる、方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルター複合材料の、前記フィルター複合材料から特定用途に適切な幾何学的構造を有するブランクを加工し、縁部全体にわたって液体を通さないように密封することによる、フラットフィルター部材の製造における使用。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルター複合材料から形成された、正方形、長方形、六角形、長円形または円形のフラットフィルター部材。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルター複合材料から形成された、液体を通さないように縁部が密封され、前記フィルター複合材料中の一個以上の流出開口部(140)を経由して一個以上の流出ライン(130、131)に接続された、中を通って流れることができる内側空間を有するフラットフィルター部材。
【請求項17】
様々な圧力負荷条件下で、0.15barを超える、好ましくは0.2barを超える、より好ましくは0.3barを超える内部圧に無傷で耐える、請求項16に記載のフラットフィルター部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−519716(P2011−519716A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504351(P2011−504351)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002543
【国際公開番号】WO2009/127345
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(510273570)マイクロダイン‐ナディア、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】MICRODYN−NADIR GMBH
【Fターム(参考)】