説明

フィルタ収納構造

【課題】既設の筐体であっても追加加工せずにフィルタを取り付けることが可能であり、又、スリットが増えた場合や換気部材と併用する場合であっても容易な作業によって対応が可能なフィルタ収納構造を提供する。
【解決手段】筐体1、11に取り付けられるフィルタ収納構造であって、板材を折曲加工して断面を略コ字状に形成すると共に筐体1、11への取付手段3、13を設けた枠体2、12と、枠体2、12に伸縮可能に嵌合されると共に枠体2、12への固定手段5、15を設けたレール部材4、14と、レール部材4、14又は枠体2、12、若しくはレール部材4、14及び枠体2、12に嵌合されるフィルタ部材6、16とを備え、一対のレール部材4、14又は枠体2、12、若しくはレール部材4、14及び枠体2、12によってフィルタ部材6、16が保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に取り付けるフィルタ収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体にフィルタを取り付ける場合には、特許文献1に記載されているようなキャビネット外壁より外側に位置する外側本体部と、キャビネット外壁より内側に位置する内側本体部とを備えた本体部と、外側本体部を覆うルーバーカバーとからなり、ルーバーの内側端から隙間を設けて内側本体部にフィルタ26を収納するフィルタ収納部を配置するような、筐体21に施した穴加工にルーバー等と共に取り付ける方法が用いられていた。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、既設のキャビネットに対してルーバーを実装する場合には換気口を拡大加工する必要があり、加工のためのコストがかかるという欠点がある。
【0004】
又、フィルタを取り付ける際には、キャビネットを屋内へ設置する場合であってもルーバーカバーが必要であり、部品点数が増えてコストがかかる恐れがあるという欠点がある。
【0005】
又、フィルタを交換する際にはルーバーカバーを完全に取り外さなければ交換作業を行えないという欠点がある。又、換気部材の併設が困難であり、換気部材を併設する場合であってもフィルタ交換時にファン及びルーバーカバーを取り外す作業を行うこととなり、そのために作業スペースが必要となるという欠点がある。
【0006】
又、スリットが増えた場合には新しく部材を用意して対応する必要があるという欠点がある。
【0007】
この改善策として、特許文献2に記載されているような、筐体31の取付開口の外面に固定される基枠と、基枠に開口した通気口を塞ぐルーバー板と、ルーバー板に収納される防塵用のフィルタ36とを備え、ルーバー板は基枠に軸で軸支されて上開き揺動開閉可能とし、ルーバー板を開放した状態において、ルーバー板の内面に設けたガイド枠に対してフィルタ36を上方から出し入れ可能とした方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−305885号公報
【特許文献2】特開2004−342804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の発明では、フィルタを交換する際には軸支されているルーバー板を開放する必要があるという欠点があり、ルーバーを構成する部品点数が多いためコストがかかる恐れがあり、組立作業の効率が低下する恐れもあるという欠点がある。
【0010】
又、特許文献2に記載の発明においても、換気部材の併設が困難であり、換気部材を併設する場合であってもフィルタ交換時に換気部材及びルーバーカバーを取り外す作業を行うこととなり、そのために作業スペースが必要となるという欠点は解決されない。
【0011】
又、既設のキャビネットに対してルーバーを実装する場合には換気口を拡大加工する必要があり、加工のためのコストがかかるという欠点も解決されず、又、スリットが増えた場合には新しく部材を用意して対応する必要があるという欠点も解決されない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するためになされた本発明のフィルタ収納構造は、筐体に取り付けられるフィルタ収納構造であって、このフィルタ収納構造は板材を折曲加工して断面を略コ字状に設けると共に筐体への取付手段を設けた枠体と、枠体に伸縮可能に嵌合されると共に固定手段を設けたレール部材と、レール部材又は枠体、若しくはレール部材及び枠体、に嵌合されるフィルタ部材とを備え、一対のレール部材又は枠体、又はレール部材及び枠体、によってフィルタ部材が保持される。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフィルタ収納構造によれば、既設の筐体に取付穴の追加工を施さずに筐体へフィルタの取り付けを行うことが可能である。
又、フィルタ部材は撓ませてレール部材のスペースに差し込む構造であり、交換を容易に行うことが可能である。
【0014】
又、ルーバーカバーを使用しなくてもフィルタの取り付けが可能となるため、少ない部品点数及び低いコストでの取り付けが可能である。又、ルーバーカバーを使用しないため換気部材の併設が可能であり、換気部材を併設した場合であっても換気部材を取り付けたレール部材をスライドさせることでフィルタの交換を行うため、ルーバーカバーや換気部材自体を取り外すことなく少ない作業スペースでのフィルタ部材の交換が可能である。
【0015】
又、筐体のスリットが増えた場合でも、レール部材をスライドさせて延ばすことにより同じ部材での対応が可能となり、新しく部材を追加する必要がないためコストの低下を図ることが可能である。
【0016】
又、レール部材の伸縮方向が縦方向になるように取り付けることで奥行き方向にスペースがない場合であっても使用が可能である。又、2個並べた場合であっても、フィルタの交換は1個の場合と同じように行うことが可能である。
【0017】
又、レール部材の固定手段に対して止め具による固定を行うことにより、止め具を緩めることで枠体に嵌合させたままレール部材をスライドさせることが可能となり、任意の位置で再度止め具を締めることにより必要に応じたサイズ変更が可能である。又、止め具の押圧により、フィルタ部材の脱落を防ぐことが可能である。
【0018】
又、フィルタ部材交換後にレール部材を枠体へスライドさせても、フィルタ部材の端部がレール部材の端部に嵌合されているためフィルタ部材を圧迫して枠体の端部へ偏る恐れを少なくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の実施例1におけるフィルタ収納構造の斜視図である。
【図2】図2は図1におけるフィルタ収納構造の分解斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施例1におけるフィルタ部材を取り外してレール部材を引き出した際の斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施例1におけるフィルタ収納構造を横に2個並べた際の斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施例1におけるフィルタ収納構造を縦方向への引き出しが可能な状態で2個並べた際の斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施例2における換気部材を取り付けた際の斜視図である。
【図7】図7は図6における換気部材を取り付けたままレール部材を引き出した際の正面図である。
【図8】図8は特許文献1における電気機器収納キャビネット用ルーバーの側面断面図である。
【図9】図9は特許文献2における電気機器ボックスの換気用通風装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明では、筐体に取り付けるフィルタを枠構造とすることで作業性の向上とコストの低減を可能にした。
【実施例1】
【0021】
筐体1に取り付けられるフィルタ収納構造であって、板材を折曲加工して断面を略コ字状に形成すると共に前面に第一長孔7及び第一切欠部8を設け背面に筐体1への取付手段3としてネジ孔を設けた枠体2と、枠体2に伸縮可能に嵌合されると共に略コ字状に形成し、前面に枠体2への固定手段5として止め具9による固定部を設け、背面に第二長孔7及び第二切欠部8を設けたレール部材4と、レール部材4及び枠体2に嵌合されるフィルタ部材6とを備え、レール部材4を嵌合させた一対のレール部材4及び枠体2を配し、その間にフィルタ部材6を撓ませて差し込むことで保持される。枠体2の背面において、枠体2のネジ孔とレール部材4の第二長孔7及び第二切欠部8とのそれぞれをネジを用いて、枠体2とレール部材4を共に筐体1のスリット30へ取り付ける。枠体2の前面において、レール部材4の固定部に枠体2の第一長孔7を貫通して止め具を設ける。
【0022】
枠体2からレール部材4の伸縮を行う際には、止め具9を緩めてレール部材4を移動させ、任意の位置で第一長孔7の止め具9を締めて固定する。フィルタ部材6は指で摘むなどして撓ませることで、一対のレール部材4又は枠体2、若しくはレール部材4及び枠体2から取り外し、同様にして一対のレール部材4又は枠体2、若しくはレール部材4及び枠体2の間へ取り付ける。これにより、既設の筐体1に取付穴の拡大加工を施さずにフィルタ部材6の取り付けを行うことが可能となり、且つ、筐体1のスリット30が増えた場合でも、レール部材4を伸縮させることにより同じ部材で対応でき、新しく部材を追加する必要がないためコストの低下を図ることが可能となる。又、ルーバーカバーを使用せずにフィルタ部材6を取り付けるため、少ない部品点数及び低いコストでの取り付けが可能となる。又、固定部に第一長孔7を貫通して止め具9を設けているため、止め具9を緩めることで枠体2に嵌合させたままレール部材4をスライドさせ、任意の位置で再度ネジを締めることにより必要に応じたサイズ変更が可能となり、且つ、止め具9によってレール部材4の脱落を防止することが可能となる。又、止め具9の押圧により、フィルタ部材6の脱落を防ぐことが可能となる。又、フィルタ部材6は撓ませてレール部材4のスペースに差し込む構造であるため、交換を容易に行うことが可能となる。又、レール部材4のスライド方向が縦方向になるように取り付けることで筐体1の奥行き方向にスペースがない場合であっても使用でき、且つ、本発明によるフィルタ収納構造を2個並べた場合であっても、フィルタ部材6の交換は1個の場合と同じように行うことが可能となる。
【実施例2】
【0023】
筐体11に取り付けられるフィルタ収納構造であって、板材を折曲加工して断面を略コ字状に形成されると共に前面に第一長孔17及び第一切欠部18を設け背面に筐体11への取付手段13としてネジ孔を設けた枠体12と、枠体12に伸縮可能に嵌合されると共に略コ字状に形成し、前面に枠体12への固定手段15として止め具19による固定部を設け、背面に第二長孔17及び第二切欠部18を設けたレール部材14と、レール部材14及び枠体12に嵌合されるフィルタ部材16とを備え、レール部材14を嵌合させた一対のレール部材14及び枠体12を配し、その間にフィルタ部材16を撓ませて差し込むことで保持される。一対のレール部材14に亘り、換気部材20を枠体12に嵌合させたレール部材14の固定部に第一長孔17を貫通して止め具19によって設ける。枠体12の背面において、枠体12のネジ孔とレール部材14の第二長孔17及び第二切欠部18とのそれぞれをネジを用いて、枠体12とレール部材14を共に筐体11のスリットへ取り付ける。枠体12の前面において、枠体にレール部材14を嵌合させ、固定部に第一長孔17を貫通して止め具19を設ける。
【0024】
枠体12からレール部材14の伸縮を行う際には、止め具19を緩めてレール部材14を移動させ、任意の位置で第一長孔17の止め具19を締めて固定する。換気部材20を取り付けた状態でのフィルタ部材16の交換は、レール部材14の伸縮を行う際と同様に第一長孔17の止め具19を緩めて換気部材20と共にレール部材14をスライドさせ、フィルタ部材16を指で摘むなどして撓ませることで、一対のレール部材14又は枠体12、若しくはレール部材14及び枠体12の間から取り外し、同様にして一対のレール部材14又は枠体12、若しくはレール部材14及び枠体12の間へ取り付ける。これにより、既設の筐体11に取付穴の拡大加工を施さずにフィルタ部材16の取り付けを行うことが可能となる。又、ルーバーカバーを使用せずにフィルタ部材16を取り付けることが可能となり、少ない部品点数及び低いコストでの取り付けが可能となる。又、固定部に第一長孔17を貫通して止め具19を設けているため、止め具19を緩めることで枠体12に嵌合させたまま換気部材20を取り付けたレール部材14をスライドさせてのフィルタ部材16の交換が可能となり、且つ、止め具19によってレール部材14の脱落を防止することが可能となる。又、止め具19の押圧により、フィルタ部材16の脱落を防ぐことが可能となる。又、フィルタ部材16は撓ませてレール部材14のスペースに差し込む構造であるため、交換を容易に行うことが可能となる。又、レール部材14のスライド方向が縦方向になるように取り付けることで筐体11の奥行き方向にスペースがない場合であっても使用でき、且つ、本発明によるフィルタ収納構造を2個並べた場合であっても、フィルタ部材16の交換は1個の場合と同じように行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
既設の筐体であっても追加工せずにフィルタを取り付けることが可能であり、又、スリットが増えた場合やファンと併設する場合であっても容易な作業によって対応が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1、11、21、31 筐体
2、12 枠体
3、13 取付手段
4、14 レール部材
5、15 固定手段
6、16、26、36 フィルタ部材
7、17 長孔
8、18 切欠部
9、19 止め具
20 換気部材
30 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に取り付けられるフィルタ収納構造であって、板材を折曲加工して断面を略コ字状に形成すると共に前記筐体への取付手段を設けた枠体と、該枠体に伸縮可能に嵌合されると共に前記枠体への固定手段を設けたレール部材と、該レール部材又は前記枠体、若しくは前記レール部材及び前記枠体に嵌合されるフィルタ部材とを備え、一対の前記レール部材又は前記枠体、若しくは前記レール部材及び前記枠体によって前記フィルタ部材が保持されることを特徴とするフィルタ収納構造。
【請求項2】
前記フィルタ収納構造において、前記枠体の側面に、前記固定手段の移動を可能にする長孔、及び前記固定手段を保持する切欠部を設け、前記レール部材の前記固定手段に対してそれぞれ止め具により固定したことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ収納構造。
【請求項3】
前記フィルタ収納構造において、一対の前記レール部材又は前記枠体、又は前記レール部材及び前記枠体、に換気部材を取り付けたことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のフィルタ収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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