フィルタ装置
【課題】高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを、簡単に交換でき、扉を閉めるだけでフィルタを締め付けて固定することができるフィルタ装置を提供する。
【解決手段】フィルタ装置1は、開口部4を開閉可能に閉鎖し押さえ部材70を有する扉5と、フィルタ3を挿入する際にフィルタ挿入方向X1に沿って案内するフィルタ保持手段100と、フィルタ3をケーシング2内の当接用部材23に押し付けて密着させるフィルタ装着機構30を有し、このフィルタ装着機構30は、フィルタ保持手段100に沿って配置されフィルタ挿入方向X1と平行に移動可能な可動部材51と、扉5によりケーシング2の開口部4を閉鎖して扉5の押さえ部材70により可動部材51を移動させることでフィルタ3に対して押し付けられる押付部材55を有する。
【解決手段】フィルタ装置1は、開口部4を開閉可能に閉鎖し押さえ部材70を有する扉5と、フィルタ3を挿入する際にフィルタ挿入方向X1に沿って案内するフィルタ保持手段100と、フィルタ3をケーシング2内の当接用部材23に押し付けて密着させるフィルタ装着機構30を有し、このフィルタ装着機構30は、フィルタ保持手段100に沿って配置されフィルタ挿入方向X1と平行に移動可能な可動部材51と、扉5によりケーシング2の開口部4を閉鎖して扉5の押さえ部材70により可動部材51を移動させることでフィルタ3に対して押し付けられる押付部材55を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタを内蔵するフィルタ装置に関し、特にビル空調、工場空調などの空調に用いられ数ヶ月の交換サイクルで交換される交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを簡単に締め付けて固定することができ、容易に交換することができるフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタ装置のチャンバーは、フィルタ特性を維持するため、フィルタの保持を確実に行え、しかも内部にかかる風圧力に耐えうる材質、板厚、構造からなる箱体である。フィルタ装置のチャンバー内にはフィルタからの空気の漏洩を防止するフィルタの締付固定装置が必要である。
従来の締付固定装置としては、特許文献1に開示されているフィルタ取付フレームに対してスタッドボルトを立てて金具をナットで締め付けするスタッドボルト方式や、特許文献2に開示されている箱体の外部からフィルタと平行に伸びたシャフトに偏心カムを上下2個取り付けて、これらの偏心カムを回転させてフィルタを圧着するカム方式のものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−141758号公報
【特許文献2】特開平7−136436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、チャンバー内においてフィルタを一度締め付けて固定して、半年、1年またはそれ以上の期間、フィルタの交換しない高性能フィルタを適用する場合がる。すなわち原子力産業分野における放射性同位元素(RI)を含んだ汚染ガスなどをフィルタに通す対象とする場合には、漏洩防止の信頼性が高い方法として特許文献1と特許文献2に記載された締付固定装置が有益である。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された締付固定装置では、ナットにより金具に対して強く締め付ける。特許文献2に記載された締付固定装置では、偏心カムを回転させるには大きなトルクが必要である。従って、特許文献1と特許文献2に記載された締付固定装置を用いて、ビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを締付して固定する場合には、フィルタの交換に時間がかかりすぎ、大掛かりな締付機構が必要で作業が面倒であるといった課題があった。
【0006】
従来、高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを固定する場合には、単にフィルタをチャンバー内に差し込んでいただけでフィルタのガスケットはチャンバー側に密着されておらず、フィルタは使用時に空気圧でガスケット側にある程度変形されていた。このため、フィルタのシールが不足し、密着性が不十分であった。
そこで、本発明は、上記課題を解消するために、高性能フィルタや原子力産業分野における放射性同位元素(RI)を含んだ汚染ガスなどのような高気密化が要求されるフィルタ装置とは異なり、高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを、簡単に交換でき、扉を閉めるだけでフィルタを締め付けて固定することができるフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフィルタ装置は、ケーシング内にフィルタが着脱可能に装着されるフィルタ装置であって、前記ケーシング内に前記フィルタを出し入れするための開口部を開閉可能に閉鎖し、押さえ部材を有する扉と、前記ケーシング内で前記フィルタを保持するフィルタ保持手段と、前記フィルタ保持手段に沿って挿入された前記フィルタを前記ケーシング内の当接用部材に押し付けて密着させるフィルタ装着機構と、を有し、前記フィルタ装着機構は、前記フィルタ保持手段に沿ってフィルタ挿入方向と平行に移動可能な可動部材と、前記扉により前記ケーシングの前記開口部を閉鎖して前記扉の前記押さえ部材により前記可動部材を移動させることで、前記フィルタ側に押し付けられる押付部材と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、高性能フィルタや原子力産業分野における放射性同位元素(RI)を含んだ汚染ガスなどのような高気密化が要求されるフィルタ装置とは異なり、高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを、簡単に交換でき、扉を閉めるだけでフィルタを締め付けて固定することができる。
【0009】
本発明のフィルタ装置では、前記フィルタ保持手段は、前記フィルタの第1端部を保持する第1保持部材と、前記フィルタの前記第2端部を保持する第2保持部材を有し、前記可動部材と前記押付部材は、前記フィルタの第1端部と、前記フィルタの前記第1端部とは反対側の第2端部に対応してそれぞれ配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、フィルタの第1端部と第2端部は、第1保持部材と第2保持部材によりフィルタをフィルタ挿入方向に沿って容易に挿入し、あるいは容易に取り出すことができる。そして、フィルタの第1端部と第2端部は、チャンバー内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0010】
本発明のフィルタ装置では、前記フィルタ装着機構は、前記フィルタ保持手段に固定されて、前記可動部材に重ね合わせられる固定部材と、第1リンク部材と第2リンク部材と、を有し、前記押付部材は、前記第1リンク部材の第1端部と前記第2リンク部材の第1端部に取り付けられ、前記第1リンク部材の第2端部と前記第2リンク部材の第2端部は、前記可動部材と前記固定部材に取り付けられており、前記扉の前記押さえ部材により押して前記可動部材を、前記固定部材に対して移動させて、前記第1リンク部材の前記第2端部と前記第2リンク部材の前記第2端部の間隔を減少させることで、前記押付部材が前記フィルタ側に前進して前記フィルタに押し付けられることを特徴とする。
上記構成によれば、簡単な構造でありながら、フィルタをチャンバー内にフィルタ挿入方向に沿って挿入して扉を閉めるだけで、フィルタは、チャンバー内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0011】
本発明のフィルタ装置では、前記扉を前記チャンバーに対して開閉可能に取り付けるヒンジと、前記扉により前記チャンバーの前記開口部を閉鎖した状態で前記扉を前記チャンバーに固定する扉固定部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、扉固定部は、扉を閉めた状態を維持することができ、フィルタは、チャンバー内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定する状態を維持できる。
【0012】
本発明のフィルタ装置では、前記チャンバー内の前記当接用部材は、前記フィルタの下流側に配置されているフィルタ取付フレームであることを特徴とする。
上記構成によれば、フィルタはチャンバー内のフィルタ取付フレームに対して密着した状態を維持でき、フィルタのシール性を確保できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高性能フィルタや原子力・RI用フィルタのような高気密化が要求されるフィルタ装置とは異なり、高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを、簡単に交換でき、扉を閉めるだけでフィルタを締め付けて固定することができるフィルタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のフィルタ装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すフィルタ装置のケーシング内にフィルタを挿入しようとしている状態を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、ケーシングの正面部を示し、図3(B)は、背面部を示す図である。
【図4】図4(A)は、ケーシングの側面部を示し、図4(B)は、ケーシングの側面部を示す図である。
【図5】図3(A)に示す扉固定部の構造例を示す図である。
【図6】図2に示すケーシングの内部構造と、ケーシング内に配置されたフィルタを示す図である。
【図7】代表例として、第2操作部と第2保持部材と第2収納ボックスから成るユニットを示す斜視図である。
【図8】第2操作部から第2収納ボックスを取り除いた状態を示す斜視図である。
【図9】リンク固定板と、リンク可動レバーと、2つのリンクフレームと、スプリングと、押付リングと、スペーサを示す分解斜視図である。
【図10】下側の第2操作部と第2保持部材と第2収納ボックスから成るユニットと点検扉を代表して示す斜視図である。
【図11】フィルタを締め付ける前の状態を示す図である。
【図12】フィルタを締め付けた後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明のフィルタ装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示すフィルタ装置のケーシング内にフィルタをフィルタ挿入方向X1に沿って挿入しようとしている状態を示す斜視図である。
図1に示すフィルタ装置1は、直方体形状を有するケーシング(もしくはチャンバーともいう)2と、フィルタ3を有している。このフィルタ3は、ケーシング2内に挿入して、着脱可能に固定される。
【0016】
図1に示すケーシング2の材質としては、例えばガルバニウム鋼板、メッキ鋼板(亜鉛、アルミ合金)、ステンレスを使用し、無溶接でリベット構造とすることで無塗装とすることができる。図1と図2に示すように、ケーシング2は、正面部2A、背面部2B、側面部2C、2D、2E、2Fと点検扉5を有している。正面部2Aと背面部2Bは対面しており、Y−Z平面と平行である。側面部2Cと側面部2Dは対面しており、X−Y平面と平行である。側面部2Eと側面部2Fは対面しており、X−Z平面と平行である。側面部2Eは気流の上流側であり、側面部2Fは気流の下流側である。
【0017】
図3(A)は、ケーシング2の正面部2Aを示し、図3(B)は、背面部2Bを示している。図4(A)は、ケーシング2の側面部2Eを示し、図4(B)は、ケーシング2の側面部2Cを示している。
図1と図2と図3(A)に示すように、正面部2Aには、長方形状の開口部である点検扉収納空間部4と、この点検扉収納空間部4を開閉自在に閉鎖するための点検扉5が設けられている。この点検扉5は、扉の一例であり、点検扉5は図1と図3(A)に示す回転軸CLを中心として、点検扉収納空間部4を図1に示すR方向に沿って開閉可能に支持されている。回転軸CLはZ方向に平行である。図3(A)に示す点検扉5は、扉固定部6を用いて、ケーシング2の正面部2Aに対して確実に固定できるようになっている。この扉固定部6の構造例は、後で説明する。
【0018】
図1と図2と図4(A)に示すように、側面部2Eは矩形の開口部7を有し、図1と図2に示すように、側面部2Fは矩形の開口部8を有している。図示しないが、開口部7は、上流側のダクトと接続するための接続口であり、開口部8は、下流側のダクトを接続するための接続口である。
図2に示す直方体形状を有するフィルタ3は、好ましくは高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタである。フィルタ3は、プレフィルタ3Aと、中性能フィルタ3Bと、ガスケットパッキン3Cと、プレフィルタ3Aの枠体3Ap,3Ac,3Aq,3Adと、中性能フィルタ3Bの枠体3Bp,3Bc,3Bq,3Bdを有している。プレフィルタ3Aの枠体3Ap,3Ac,3Aq,3Adは、プレフィルタ3Aの4つの側面部に密着するようにして保持している。同様にして、中性能フィルタ3Bの枠体3Bp,3Bc,3Bq,3Bdは、中性能フィルタ3Bの4つの側面部に密着するようにして保持している。
ガスケットパッキン3Cは、枠状の部材であり、中性能フィルタ3Bの他方の面側に配置されている。これにより、プレフィルタ3Aは上流側のダクトに近い位置にあり、ガスケットパッキン3Cは下流側のダクトに近い位置にある。
【0019】
図5は、図1と図3(A)に示す扉固定部6の構造例を示している。
図5に示す扉固定部6は、ハンドル9と、このハンドル9を受けるハンドル受け10を有している。ハンドル9は、把持部12と挿入部13を有している。把持部12は、中心軸11を介して点検扉5に対して回転操作可能に取り付けられている。ハンドル受け10は、正面部2Aに固定されている。
図5において、作業者が把持部12を持って中心軸11を中心としてW1方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内にはめ込んで固定することができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を閉鎖した状態を保持できる。逆に、作業者が把持部12を持って中心軸11を中心としてW2方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内から外すことができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を開放できる。
【0020】
図6は、図2に示すケーシング2の内部構造と、ケーシング2内に配置されたフィルタ3を示す図である。
図2に示すように、ケーシング2内には、フィルタ保持手段100と、フィルタ取付フレーム23と、フィルタ装着機構部30が配置されている。
【0021】
フィルタ保持手段100は、ケーシング2内にフィルタ3を挿入する際にフィルタ挿入方向X1(図1を参照)に沿って案内するために設けられている。フィルタ保持手段100は、第1保持部材21と、第2保持部材22を有している。第1保持部材21と第2保持部材22は、X方向に沿って平行に配置され、しかも第1保持部材21と第2保持部材22は、Z方向に関して間隔をおいて配置されている。
【0022】
第1保持部材21は上部側の側面部2Cの内面側に配置されている上側ガイド部材であり、フィルタ3の第1端部である枠体3Ap,3Bpをフィルタ挿入方向X1に沿って案内して保持する。しかも、第2保持部材22は下部側の側面部2Dの内面側に配置されている下側ガイド部材であり、フィルタ3の第2端部である枠体3Aq,3Bqをフィルタ挿入方向X1に沿って案内して保持する。これにより、フィルタ3の枠体3Ap,3Bpと枠体3Aq,3Bqは、第1保持部材21と第2保持部材22によりフィルタ挿入方向X1に沿って容易に挿入し、あるいは容易に取り出すことができる。
【0023】
図6に示すフィルタ取り付けフレーム23は、フィルタ3のガスケットパッキン3Cを当接して密着させるための当接用部材の一例であり、四角形の枠状に形成されており、フィルタ3の装着時には、フィルタ3のガスケットパッキン3Cを押しつけて気密性を上げることができるようになっている。フィルタ取り付けフレーム23は下流側に位置されており、側面部2Fの開口部8の周囲に形成されている。これにより、フィルタ3はケーシング2内のフィルタ取付フレーム23に対して密着した状態を維持でき、フィルタ3のシール性を確保できる。
【0024】
次に、フィルタ装着機構30について、図2、図6〜図12を参照して説明する。
図2と図6に示すように、フィルタ装着機構30は、第1操作部31と、第2操作部32と、第1収納ボックス41と、第2収納ボックス42を有している。
図6に示すように、第1操作部31は第1保持部材21の下面側に設けられ、第2操作部32は第2保持部材22の上面側に設けられている。第1操作部31と第1保持部材21のユニットと、第2操作部32と第2保持部材22のユニットは、水平線HLに関して上下対称形状を有しており、実質的に同じ構造を有している。第1操作部31と第2操作部32は対応する位置において向かい合っている。これにより、フィルタ3の枠体3Ap,3Bpと枠体3Aq,3Bqは、ケーシング2内においてそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0025】
図7は、第1操作部31と第2操作部32を代表する例として、第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットを示す斜視図である。図8は、第2操作部32から第2収納ボックス42を取り除いた状態を示す斜視図である。第1総長部31と第2操作部32と第1収納ボックス41と第2収納ボックス42は、フィルタ挿入方向X1に平行に配置されている。
図6に示す第1操作部31と第1保持部材21と第1収納ボックス41から成るユニットは、第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットと実質的に同じ構成であるので、第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットの構造を、図7と図8を参照して説明する。
【0026】
図8に示すように、第2操作部32は、リンク固定板50と、リンク可動レバー51と、2つのリンクフレーム52,53と、スプリング54と、押付リング55とを備えている。ここで、リンク固定板50は固定部材の一例である。リンク可動レバー51は可動部材の一例である。押付リング55は押付部材の一例である。リンク固定板50と、リンク可動レバー51は、フィルタ挿入方向X1に平行に配置されている。
【0027】
第2操作部32は、図7に示すようにカバーとしての第2収納ボックス42内に収納されている。これにより、塵埃等が第2操作部32のリンク固定板50と、リンク可動レバー51と、2つのリンクフレーム52,53と、スプリング54に付着するのを防止している。また、第2収納ボックス42を配置することで、使用者の手がフィルタ装着機構30に当たらないようにすることができ、フィルタ装着機構30の破損を防止できる。さらに、第2収納ボックス42は、フィルタの挿入を行う場合のガイド部材としても機能する。
この第2収納ボックス42は、ほぼ箱型の部材であり、図6に示すように第2保持部材22の上面においてX方向に配置されている。図7に示すように、第2収納ボックス42は押付リング55を外部に露出させるための開口42Pを有している。これにより、押付リング55は第2収納ボックス42から外側に出して、フィルタ3Aの枠体3Ap,3Aqに対して直接当接することができる。
【0028】
図9は、リンク固定板50と、リンク可動レバー51と、2つのリンクフレーム52,53と、スプリング54と、押付リング55と、スペーサ56を示す分解斜視図である。
図9に示すように、リンク固定板50とリンク可動レバー51は、帯状部材であり同じ幅Kを有しているが、リンク固定板50の長さL2は、リンク可動レバー51の長さL1に比べて短い。長さL1と長さL2の差の部分は、リンク可動レバー51の延長部57である。リンクフレーム52,53は、ほぼ同じ長さを有している。
押付リング55とスペーサ56はリング状部材である。リンク固定板50は、図8に示すように、第2保持部材22の上面22Fに対して固定されているが、リンク可動レバー51はリンク固定板50上に積層され、しかもリンク可動レバー51はリンク固定板50上をX方向に移動可能である。
【0029】
図9に示すように、リンク固定板50は、3つの穴50A,50B,50Cを有している。これらの穴50A,50B,50Cは、ネジ61,62,63を通すための穴であり、ネジ径に対応する内径を有する丸穴である。リンク固定板50は、さらに1つの長丸穴50Dを有している。長丸穴50Dは、3つの穴50A,50B,50Cとは異なり、ネジ64をX方向に動かせるように長穴になっている。
【0030】
これに対して、リンク可動レバー51は、1つの穴51Dを有している。この穴51Dは、ネジ64を通すための穴であり。ネジ径に対応する内径を有する丸穴である。リンク可動レバー51は、さらに3つの長丸穴51A、51B、51Cを有している。これらの長丸穴51A、51B、51Cは、それぞれネジ61,62,63が通って、それぞれネジ61,62,63を相対的にX方向に動かせるようにするために長穴になっている。
【0031】
長丸穴50Dと長丸穴51A、51B、51Cは、X方向に沿って形成されており、同じストロークを有している。リンクフレーム(第1リンクフレーム)52は、第1端部52Pと第2端部52Qを有している。第1端部52Pには穴52Aを有し、第2端部52Qには穴52Bを有している。同様にして、リンクフレーム(第2リンクフレーム)53は、第1端部53Pと第2端部53Qを有している。第1端部53Pには穴53Aを有し、第2端部53Qには穴53Bを有している。
また、図9に示すように、第2保持部材22は、ネジを通すための丸い穴21A、21B、21Cと長丸穴21Dを有している。
【0032】
これにより、図9に示すように、ネジ65は、リンクフレーム53の穴53Aと押付リング55の穴55Aとリンクフレーム52の穴52に通して、ナット65Nにねじ込まれている。ネジ64は、第2保持部材22の長丸穴21Dとリンク固定板50の長丸穴50Dとリンク可動レバー51の穴51Dとスペーサ56の穴56Aとリンクフレーム52の穴52Bを通して、ナット64Nにねじ込まれている。ネジ63は、第2保持部材22の穴21Cとリンク固定板50の穴50Cとリンク可動レバー51の長丸穴51Cとリンクフレーム53の穴53Bを通して、ナット63Nにねじ込まれている。
【0033】
ネジ61は、第2保持部材22の穴21Aとリンク固定板50の穴50Aとリンク可動レバー51の長丸穴51Aを通して、ナット61Nにねじ込まれている。ネジ62は、第2保持部材22の穴21Bとリンク固定板50の穴50Bとリンク可動レバー51の長丸穴51Bを通して、ナット62Nにねじ込まれている。
また、スプリング54は、リング可動レバー51の付勢部材の一例であり、スプリング54は、リンク可動レバー51の内端部と、第2保持部材22の上面22Fに固定されたピン22Pと、の間に取り付けられている。
【0034】
これにより、図8に示すように、リンク可動レバー51の延長部57が、フィルタ挿入方向X1に沿って押されることにより、リンク可動レバー51はスプリング54の力に抗して、リンク固定板50に対して移動可能である。リンク可動レバー51がリンク固定板50に対して移動することにより、図9に示すネジ64がフィルタ挿入方向X1に押されるので、リンクフレーム52,53の間隔が縮まる。従って、図8に示すように、押付リング55が所定ストローク分だけY1方向に移動できるようになっている。また、リンク可動レバー51の延長部57がフィルタ挿入方向X1に押されなくなり開放されると、スプリング54の力がリンク可動レバー51をX2方向に押し戻して、図8に示す初期の状態に戻すことができる。
【0035】
次に、図10を参照して、リンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押すための押圧部材70について説明する。図10は、下側の第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットを代表して示す斜視図である。しかし、図6に示すように、上側の第1操作部31と第1保持部材21と第1収納ボックス41から成るユニットは、下側の第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットと同様な構造を有している。
これにより、フィルタ3の第1端部である枠体3Ap,3Bpと第2端部である枠体3Aq,3Bqは、第1保持部材21と第2保持部材22によりフィルタ挿入方向X1に沿って容易に挿入し、あるいは容易に取り出すことができる。そして、フィルタ3の第1端部である枠体3Ap,3Bpと第2端部である枠体3Aq,3Bqは、ケーシング2内において押付部材である押付リング55によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0036】
図4(A)に示すように、点検扉5は、上部側の押圧部材70と、下部側の押圧部材70を有している。図10では、下部側の押圧部材70を代表して示しており、上部側の押圧部材70と下部側の押圧部材70は同じ形状を有する突起である。図10に示すように、押圧部材70は、Y−Z平面に平行に突出して形成されている。一方、リンク可動レバー51の延長部57は、X−Y平面に平行に突出して形成されている。これにより、押圧部材70がリンク可動レバー51の延長部57に当接する場合には互いに直交する状態で当たることになり、押圧部材70は確実に延長部57を押すことができる。
【0037】
点検扉5は、ヒンジ71により回転軸CLを中心としてR方向に回転可能に支持されている。
使用者が点検扉5をR方向に回転させて点検扉収納空間部4を閉鎖すると、この押圧部材70が、対応する位置にあるリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押圧することができる。このように下部側の押圧部材70が、対応する位置にあるリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押圧する構造は、図4(A)に示す上部側の押圧部材70が、対応する位置にあるリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押圧する構造と同じである。
【0038】
次に、上述したフィルタ装置1のケーシング2内にフィルタ3を挿入して締め付けて固定する操作と、さらにフィルタ3の交換操作について順に説明する。
まず、ケーシング2内にフィルタ3を挿入して締め付けて固定する操作を説明する。
図1に示すように点検扉5が点検扉収納空間部4を閉鎖している状態から、図2に示すように、作業者が点検扉5をR方向に開けて点検扉収納空間部4を開いて、ケーシング2内を開放する。すなわち、作業者が、図5に示す把持部12を持って中心軸11を中心としてW2方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内から外して、点検扉5は点検扉収納空間部4を開放することができる。
そして、作業者はフィルタ3を、点検扉収納空間部4を通じて第1保持部材21と第2保持部材22との間に、フィルタ挿入方向X1に沿って挿入する。このように、点検扉5が開いている状態では、図2と図10に示す点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下位置のリンク可動レバー51の延長部57から離れている。
【0039】
図11は、フィルタ3を締め付ける前の状態を示している。図12は、フィルタ3を締め付けた後の状態を示している。
図11では、点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下位置のリンク可動レバー51の延長部57から離れている状態を示しており、リンク可動レバー51の延長部57は、スプリング54の押す力により、X2方向に押されて、各長丸穴51A,51B,51C,50Dの長さ分(フィルタ挿入方向X1のストローク分)だけ最も突出した状態に位置されている。
図11に示すように、フィルタ3を第1保持部材21と第2保持部材22との間に挿入した状態では、フィルタ3のプレフィルタ3Aの枠体3Ap、3Aqの前面3Afと押付リング55との間には、初期のスペースSSが形成されている。また、フィルタ3のガスケットパッキン3Cがフィルタ取付フレーム23に接している。この初期の設定スペースSSは、例えば3mmである。
【0040】
次に、作業者が、図12に示すように、点検扉5を閉めて点検扉収納空間部4を閉鎖すると同時に、点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下のリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押すことで、リンク可動レバー51は、ストロークSKだけスプリング54の力に抗して、リンク固定板50に対してフィルタ挿入方向X1に移動する。このストロークSKは、例えば4.9mmであり、上記設定スペースSSよりも大きく設定されている。ストロークSKは、各長丸穴51A,51B,51C,50Dの長さ分に相当する。
【0041】
これにより、図11に示すリンクフレーム52の第2端部52Qと,リンクフレーム53の第2端部53Qとの間隔G1が図12に示すように間隔G2に縮まるので、押付リング55が所定ストローク分だけY1方向に前進移動できる。これにより、押付リング55はフィルタ3のプレフィルタ3Aの枠体3Ap、3AqをY1方向に押し付けるので、フィルタ3のガスケットパッキン3Cがフィルタ取り付けフレーム23に対して密着される。
このように、作業者が点検扉5を開けてフィルタ3を挿入した後に点検扉5を閉めて、図5に示すように、作業者が把持部12を持って中心軸11を中心としてW1方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内にはめ込むことができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を閉鎖できる。
【0042】
そして、作業者は把持部12を持って回動して固定するだけで、フィルタ3は、ケーシング2内においてワンタッチで締め付けて固定することができ、構造が簡単化でき部品点数の削減が図れるとともに、装着作業の簡易化を図ることができる。
従来例のように高性能フィルタをスタッドボルト方式あるいは偏心カム方式で強く締め付けるのに比べて、本発明のフィルタ装置1では、フィルタ3のガスケットパッキン3Cを押しつぶして気密性を確保する必要はなく、ガスケットパッキン3Cがフィルタ3の装着面であるフィルタ取付フレーム23に対して密着できる程度とするだけで十分な気密性が得られる。
【0043】
上述したのはフィルタ装置1のケーシング2内にフィルタ3を締め付けて固定する操作であるが、さらに使用済みのフィルタ3を新しいフィルタ3に交換する操作について説明する。
図1に示すフィルタ装置1のケーシング2内にフィルタ3を締め付けて固定する場合には、作業者が、図5に示す把持部12を持って中心軸11を中心としてW2方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内から外すことができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を開放する。点検扉5を開けることで、図12の状態から図11の状態で示すように、点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下のリンク可動レバー51の延長部57から離れる。従って、リンク可動レバー51は、スプリング54の力により、リンク固定板50に対してストロークSKだけX2方向に移動する。
【0044】
このため、図11に示すように、フィルタ3を第1保持部材21と第2保持部材22との間に挿入した状態で、押付リング55はフィルタ3から後退して離れて、フィルタ3のプレフィルタ3Aの枠体3Ap、3Aqの前面3Afと押付リング55との間には、初期のスペースSSが再び形成される。従って、作業者が、ケーシング2内の使用済みのフィルタ3を、第1保持部材21と第2保持部材22との間から簡単に取り出すことができる。
【0045】
その後、すでに説明したよう要領に従って、作業者は新しいフィルタ3を、点検扉収納空間部4を通じて第1保持部材21と第2保持部材22との間に、フィルタ挿入方向X1に沿って挿入する。このように、点検扉5が開いている状態では、図2と図10に示す上下の押圧部材70,70は、対応する上下のリンク可動レバー51の延長部57から離れている。
図11に示すように、フィルタ3を第1保持部材21と第2保持部材22との間に挿入した状態では、フィルタ3の枠体3Dの前面3Fと押付リング55との間には、初期のスペースSSが形成されている。また、フィルタ3のガスケットパッキン3Cがフィルタ取付フレーム23に接している。
【0046】
次に、作業者が、図12に示すように、点検扉5を閉めて点検扉収納空間部4を閉鎖すると同時に、点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下のリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押すことで、リンク可動レバー51は、ストロークSKだけスプリング54の力に抗して、リンク固定板50に対してフィルタ挿入方向X1に移動可能である。
これにより、リンクフレーム52,53の間隔が縮まるので、押付リング55が所定ストローク分だけY1方向に移動できる。押付リング55はフィルタ3の枠体3DをY1方向に押し付けるので、フィルタ3のガスケットパッキン3Cがフィルタ取付フレーム23に密着される。
【0047】
このように、作業者が点検扉5を開けてフィルタ3を挿入して、点検扉5を閉めて、図5に示すように、作業者が把持部12を持って中心軸11を中心としてW1方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内にはめ込むことができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を閉鎖できる。
【0048】
上述した本発明の実施形態では、フィルタの第1端部と第2端部は、第1保持部材と第2保持部材によりフィルタ挿入方向に沿って容易に挿入し、あるいは容易に取り出すことができる。そして、フィルタの第1端部と第2端部は、ケーシング内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
簡単な構造でありながら、フィルタをケーシング内にフィルタ挿入方向に沿って挿入して扉を閉めるだけで、フィルタは、ケーシング内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0049】
扉固定部は、扉を閉めた状態を維持することができ、フィルタは、ケーシング内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定する状態を維持できる。フィルタはケーシング内のフィルタ取付フレームに対して密着した状態を維持でき、フィルタのシール性を確保できる。
本発明のフィルタ装置1では、ビル空調、工場空調などの数ヶ月サイクルと交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタ3が容易に着脱でき、フィルタの交換作業性が向上できる。しかも、多数のフィルタ装置1が工場等の取り付け対象建物に装着されている場合には、特にフィルタの交換作業性が向上できる。
【0050】
本発明の各実施形態は、任意に組み合わせることができる。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用することができる。
フィルタ装着機構30のネジとナットに代えて、リベットを用いることもできる。複数のフィルタがフィルタ挿入方向にそって縦列に配置される場合には、押付リングは、フィルタ挿入方向に沿って間隔をおいて2つ以上配置して、各押付リングが対応するフィルタを押し付けるようにしても良い。
フィルタ装置のケーシングは、例えば上流側のダクトと、このダクトに直交する方向に空気を流す下流側のダクトの間に配置するようにしても良い。フィルタ装置のケーシングは、ダクトの途中に配置するのではなく、ダクトの先端部に配置するようにしても良い。フィルタ装置のケーシングの上流側には、ダクトを接続し、しかもフィルタ装置のケーシングの下流側には、ファンを配置しても良い。
例えば、本発明の実施形態では、図6に示すフィルタ3はプレフィルタ3Aと中性能フィルタ3Bを組み合わせて構成されているが、これに限定されることなく中性能フィルタ3Bだけを使用することもできる。
本発明のフィルタ装置1は、主にビル空調、工場空調などのプレフィルタ3Aと中性能フィルタ3Bをユニットすることで構成されたフィルタ3を装着するのに適用できるが、フィルタ装着機構の圧着力や気密性能等を適宜調整することによって、本発明のフィルタ装置は、高性能フィルタを装着するのにも適用することができる。
【0051】
また、フィルタ装着機構30は、図2等に示す例では、上側の第1操作部31と下側の第2操作部32を備えているが、これに限らず構造の簡単化のために、どちらか一方だけを採用するようにしても良い。
本発明のフィルタ装置の実施形態で使用される点検扉5のような扉である扉としての点検扉2、ケーシング2、フィルタ装着機構30、フィルタ取付フレーム23等の部品の材質としては、例えばガルバニウム鋼板、メッキ鋼板(亜鉛、アルミ合金)、ステンレスを使用し、無溶接でリベット構造とすることで無塗装とすることができる。
本発明のフィルタ装置は、図示例では例えば建物の壁部に対して垂直に設定されている例を示しているが、これに限らず例えば建物の天井に水平に設定されても良い。図8に示す付勢部材であるスプリング54は、取り除くこともできる。
【0052】
本発明のフィルタ装置の実施形態で使用するガスケットパッキン3Cは、通常使用される単独気泡タイプのクロロプレンゴムなど使用できるが、50%圧縮応力が80kPa未満(JIS K6767準拠)であり、かつ、開放気泡率が90%以下(ASTM D2856−94準拠)の発泡体を含むガスケットを用いることができる。
これにより、低圧力で締付けを行いフィルタ取付フレーム(フィルタ取付枠)23に対して取り付ける場合でも、フィルタ取付枠の形状に沿ってガスケットパッキン3Cが変形するので、従来のクロロプレンゴム製ガスケットを使用したスタッドボルト方式や偏心カム方式のように大きいトルクで変形しなくても、締付の際にはガスケットパッキン3Cとフィルタ取付フレーム23との間の気密性が確保できる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・フィルタ装置、2・・・ケーシング、3・・・フィルタ、4・・・点検扉収納空間部(開口部の一例)、5・・・点検扉(扉の一例)、6・・・扉固定部、21・・・第1保持部材、22・・・第2保持部材、23・・・フィルタ取付フレーム(当接用部材の一例)、30・・・フィルタ装着機構部、31・・・第1操作部、32・・・第2操作部、41・・・第1収納ボックス、42・・・第2収納ボックス、50・・・リンク固定板(固定部材の一例)、51・・・リンク可動レバー(可動部材の一例)、52,53・・・リンクフレーム、54・・・スプリング、55・・・押付リング(押付部材の一例)、70・・・押さえ部材、100・・・フィルタ保持手段、X1・・・フィルタ挿入方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタを内蔵するフィルタ装置に関し、特にビル空調、工場空調などの空調に用いられ数ヶ月の交換サイクルで交換される交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを簡単に締め付けて固定することができ、容易に交換することができるフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタ装置のチャンバーは、フィルタ特性を維持するため、フィルタの保持を確実に行え、しかも内部にかかる風圧力に耐えうる材質、板厚、構造からなる箱体である。フィルタ装置のチャンバー内にはフィルタからの空気の漏洩を防止するフィルタの締付固定装置が必要である。
従来の締付固定装置としては、特許文献1に開示されているフィルタ取付フレームに対してスタッドボルトを立てて金具をナットで締め付けするスタッドボルト方式や、特許文献2に開示されている箱体の外部からフィルタと平行に伸びたシャフトに偏心カムを上下2個取り付けて、これらの偏心カムを回転させてフィルタを圧着するカム方式のものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−141758号公報
【特許文献2】特開平7−136436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、チャンバー内においてフィルタを一度締め付けて固定して、半年、1年またはそれ以上の期間、フィルタの交換しない高性能フィルタを適用する場合がる。すなわち原子力産業分野における放射性同位元素(RI)を含んだ汚染ガスなどをフィルタに通す対象とする場合には、漏洩防止の信頼性が高い方法として特許文献1と特許文献2に記載された締付固定装置が有益である。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された締付固定装置では、ナットにより金具に対して強く締め付ける。特許文献2に記載された締付固定装置では、偏心カムを回転させるには大きなトルクが必要である。従って、特許文献1と特許文献2に記載された締付固定装置を用いて、ビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを締付して固定する場合には、フィルタの交換に時間がかかりすぎ、大掛かりな締付機構が必要で作業が面倒であるといった課題があった。
【0006】
従来、高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを固定する場合には、単にフィルタをチャンバー内に差し込んでいただけでフィルタのガスケットはチャンバー側に密着されておらず、フィルタは使用時に空気圧でガスケット側にある程度変形されていた。このため、フィルタのシールが不足し、密着性が不十分であった。
そこで、本発明は、上記課題を解消するために、高性能フィルタや原子力産業分野における放射性同位元素(RI)を含んだ汚染ガスなどのような高気密化が要求されるフィルタ装置とは異なり、高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを、簡単に交換でき、扉を閉めるだけでフィルタを締め付けて固定することができるフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフィルタ装置は、ケーシング内にフィルタが着脱可能に装着されるフィルタ装置であって、前記ケーシング内に前記フィルタを出し入れするための開口部を開閉可能に閉鎖し、押さえ部材を有する扉と、前記ケーシング内で前記フィルタを保持するフィルタ保持手段と、前記フィルタ保持手段に沿って挿入された前記フィルタを前記ケーシング内の当接用部材に押し付けて密着させるフィルタ装着機構と、を有し、前記フィルタ装着機構は、前記フィルタ保持手段に沿ってフィルタ挿入方向と平行に移動可能な可動部材と、前記扉により前記ケーシングの前記開口部を閉鎖して前記扉の前記押さえ部材により前記可動部材を移動させることで、前記フィルタ側に押し付けられる押付部材と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、高性能フィルタや原子力産業分野における放射性同位元素(RI)を含んだ汚染ガスなどのような高気密化が要求されるフィルタ装置とは異なり、高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを、簡単に交換でき、扉を閉めるだけでフィルタを締め付けて固定することができる。
【0009】
本発明のフィルタ装置では、前記フィルタ保持手段は、前記フィルタの第1端部を保持する第1保持部材と、前記フィルタの前記第2端部を保持する第2保持部材を有し、前記可動部材と前記押付部材は、前記フィルタの第1端部と、前記フィルタの前記第1端部とは反対側の第2端部に対応してそれぞれ配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、フィルタの第1端部と第2端部は、第1保持部材と第2保持部材によりフィルタをフィルタ挿入方向に沿って容易に挿入し、あるいは容易に取り出すことができる。そして、フィルタの第1端部と第2端部は、チャンバー内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0010】
本発明のフィルタ装置では、前記フィルタ装着機構は、前記フィルタ保持手段に固定されて、前記可動部材に重ね合わせられる固定部材と、第1リンク部材と第2リンク部材と、を有し、前記押付部材は、前記第1リンク部材の第1端部と前記第2リンク部材の第1端部に取り付けられ、前記第1リンク部材の第2端部と前記第2リンク部材の第2端部は、前記可動部材と前記固定部材に取り付けられており、前記扉の前記押さえ部材により押して前記可動部材を、前記固定部材に対して移動させて、前記第1リンク部材の前記第2端部と前記第2リンク部材の前記第2端部の間隔を減少させることで、前記押付部材が前記フィルタ側に前進して前記フィルタに押し付けられることを特徴とする。
上記構成によれば、簡単な構造でありながら、フィルタをチャンバー内にフィルタ挿入方向に沿って挿入して扉を閉めるだけで、フィルタは、チャンバー内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0011】
本発明のフィルタ装置では、前記扉を前記チャンバーに対して開閉可能に取り付けるヒンジと、前記扉により前記チャンバーの前記開口部を閉鎖した状態で前記扉を前記チャンバーに固定する扉固定部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、扉固定部は、扉を閉めた状態を維持することができ、フィルタは、チャンバー内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定する状態を維持できる。
【0012】
本発明のフィルタ装置では、前記チャンバー内の前記当接用部材は、前記フィルタの下流側に配置されているフィルタ取付フレームであることを特徴とする。
上記構成によれば、フィルタはチャンバー内のフィルタ取付フレームに対して密着した状態を維持でき、フィルタのシール性を確保できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高性能フィルタや原子力・RI用フィルタのような高気密化が要求されるフィルタ装置とは異なり、高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタを、簡単に交換でき、扉を閉めるだけでフィルタを締め付けて固定することができるフィルタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のフィルタ装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すフィルタ装置のケーシング内にフィルタを挿入しようとしている状態を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、ケーシングの正面部を示し、図3(B)は、背面部を示す図である。
【図4】図4(A)は、ケーシングの側面部を示し、図4(B)は、ケーシングの側面部を示す図である。
【図5】図3(A)に示す扉固定部の構造例を示す図である。
【図6】図2に示すケーシングの内部構造と、ケーシング内に配置されたフィルタを示す図である。
【図7】代表例として、第2操作部と第2保持部材と第2収納ボックスから成るユニットを示す斜視図である。
【図8】第2操作部から第2収納ボックスを取り除いた状態を示す斜視図である。
【図9】リンク固定板と、リンク可動レバーと、2つのリンクフレームと、スプリングと、押付リングと、スペーサを示す分解斜視図である。
【図10】下側の第2操作部と第2保持部材と第2収納ボックスから成るユニットと点検扉を代表して示す斜視図である。
【図11】フィルタを締め付ける前の状態を示す図である。
【図12】フィルタを締め付けた後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明のフィルタ装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示すフィルタ装置のケーシング内にフィルタをフィルタ挿入方向X1に沿って挿入しようとしている状態を示す斜視図である。
図1に示すフィルタ装置1は、直方体形状を有するケーシング(もしくはチャンバーともいう)2と、フィルタ3を有している。このフィルタ3は、ケーシング2内に挿入して、着脱可能に固定される。
【0016】
図1に示すケーシング2の材質としては、例えばガルバニウム鋼板、メッキ鋼板(亜鉛、アルミ合金)、ステンレスを使用し、無溶接でリベット構造とすることで無塗装とすることができる。図1と図2に示すように、ケーシング2は、正面部2A、背面部2B、側面部2C、2D、2E、2Fと点検扉5を有している。正面部2Aと背面部2Bは対面しており、Y−Z平面と平行である。側面部2Cと側面部2Dは対面しており、X−Y平面と平行である。側面部2Eと側面部2Fは対面しており、X−Z平面と平行である。側面部2Eは気流の上流側であり、側面部2Fは気流の下流側である。
【0017】
図3(A)は、ケーシング2の正面部2Aを示し、図3(B)は、背面部2Bを示している。図4(A)は、ケーシング2の側面部2Eを示し、図4(B)は、ケーシング2の側面部2Cを示している。
図1と図2と図3(A)に示すように、正面部2Aには、長方形状の開口部である点検扉収納空間部4と、この点検扉収納空間部4を開閉自在に閉鎖するための点検扉5が設けられている。この点検扉5は、扉の一例であり、点検扉5は図1と図3(A)に示す回転軸CLを中心として、点検扉収納空間部4を図1に示すR方向に沿って開閉可能に支持されている。回転軸CLはZ方向に平行である。図3(A)に示す点検扉5は、扉固定部6を用いて、ケーシング2の正面部2Aに対して確実に固定できるようになっている。この扉固定部6の構造例は、後で説明する。
【0018】
図1と図2と図4(A)に示すように、側面部2Eは矩形の開口部7を有し、図1と図2に示すように、側面部2Fは矩形の開口部8を有している。図示しないが、開口部7は、上流側のダクトと接続するための接続口であり、開口部8は、下流側のダクトを接続するための接続口である。
図2に示す直方体形状を有するフィルタ3は、好ましくは高気密化が要求されないビル空調、工場空調などの交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタである。フィルタ3は、プレフィルタ3Aと、中性能フィルタ3Bと、ガスケットパッキン3Cと、プレフィルタ3Aの枠体3Ap,3Ac,3Aq,3Adと、中性能フィルタ3Bの枠体3Bp,3Bc,3Bq,3Bdを有している。プレフィルタ3Aの枠体3Ap,3Ac,3Aq,3Adは、プレフィルタ3Aの4つの側面部に密着するようにして保持している。同様にして、中性能フィルタ3Bの枠体3Bp,3Bc,3Bq,3Bdは、中性能フィルタ3Bの4つの側面部に密着するようにして保持している。
ガスケットパッキン3Cは、枠状の部材であり、中性能フィルタ3Bの他方の面側に配置されている。これにより、プレフィルタ3Aは上流側のダクトに近い位置にあり、ガスケットパッキン3Cは下流側のダクトに近い位置にある。
【0019】
図5は、図1と図3(A)に示す扉固定部6の構造例を示している。
図5に示す扉固定部6は、ハンドル9と、このハンドル9を受けるハンドル受け10を有している。ハンドル9は、把持部12と挿入部13を有している。把持部12は、中心軸11を介して点検扉5に対して回転操作可能に取り付けられている。ハンドル受け10は、正面部2Aに固定されている。
図5において、作業者が把持部12を持って中心軸11を中心としてW1方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内にはめ込んで固定することができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を閉鎖した状態を保持できる。逆に、作業者が把持部12を持って中心軸11を中心としてW2方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内から外すことができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を開放できる。
【0020】
図6は、図2に示すケーシング2の内部構造と、ケーシング2内に配置されたフィルタ3を示す図である。
図2に示すように、ケーシング2内には、フィルタ保持手段100と、フィルタ取付フレーム23と、フィルタ装着機構部30が配置されている。
【0021】
フィルタ保持手段100は、ケーシング2内にフィルタ3を挿入する際にフィルタ挿入方向X1(図1を参照)に沿って案内するために設けられている。フィルタ保持手段100は、第1保持部材21と、第2保持部材22を有している。第1保持部材21と第2保持部材22は、X方向に沿って平行に配置され、しかも第1保持部材21と第2保持部材22は、Z方向に関して間隔をおいて配置されている。
【0022】
第1保持部材21は上部側の側面部2Cの内面側に配置されている上側ガイド部材であり、フィルタ3の第1端部である枠体3Ap,3Bpをフィルタ挿入方向X1に沿って案内して保持する。しかも、第2保持部材22は下部側の側面部2Dの内面側に配置されている下側ガイド部材であり、フィルタ3の第2端部である枠体3Aq,3Bqをフィルタ挿入方向X1に沿って案内して保持する。これにより、フィルタ3の枠体3Ap,3Bpと枠体3Aq,3Bqは、第1保持部材21と第2保持部材22によりフィルタ挿入方向X1に沿って容易に挿入し、あるいは容易に取り出すことができる。
【0023】
図6に示すフィルタ取り付けフレーム23は、フィルタ3のガスケットパッキン3Cを当接して密着させるための当接用部材の一例であり、四角形の枠状に形成されており、フィルタ3の装着時には、フィルタ3のガスケットパッキン3Cを押しつけて気密性を上げることができるようになっている。フィルタ取り付けフレーム23は下流側に位置されており、側面部2Fの開口部8の周囲に形成されている。これにより、フィルタ3はケーシング2内のフィルタ取付フレーム23に対して密着した状態を維持でき、フィルタ3のシール性を確保できる。
【0024】
次に、フィルタ装着機構30について、図2、図6〜図12を参照して説明する。
図2と図6に示すように、フィルタ装着機構30は、第1操作部31と、第2操作部32と、第1収納ボックス41と、第2収納ボックス42を有している。
図6に示すように、第1操作部31は第1保持部材21の下面側に設けられ、第2操作部32は第2保持部材22の上面側に設けられている。第1操作部31と第1保持部材21のユニットと、第2操作部32と第2保持部材22のユニットは、水平線HLに関して上下対称形状を有しており、実質的に同じ構造を有している。第1操作部31と第2操作部32は対応する位置において向かい合っている。これにより、フィルタ3の枠体3Ap,3Bpと枠体3Aq,3Bqは、ケーシング2内においてそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0025】
図7は、第1操作部31と第2操作部32を代表する例として、第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットを示す斜視図である。図8は、第2操作部32から第2収納ボックス42を取り除いた状態を示す斜視図である。第1総長部31と第2操作部32と第1収納ボックス41と第2収納ボックス42は、フィルタ挿入方向X1に平行に配置されている。
図6に示す第1操作部31と第1保持部材21と第1収納ボックス41から成るユニットは、第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットと実質的に同じ構成であるので、第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットの構造を、図7と図8を参照して説明する。
【0026】
図8に示すように、第2操作部32は、リンク固定板50と、リンク可動レバー51と、2つのリンクフレーム52,53と、スプリング54と、押付リング55とを備えている。ここで、リンク固定板50は固定部材の一例である。リンク可動レバー51は可動部材の一例である。押付リング55は押付部材の一例である。リンク固定板50と、リンク可動レバー51は、フィルタ挿入方向X1に平行に配置されている。
【0027】
第2操作部32は、図7に示すようにカバーとしての第2収納ボックス42内に収納されている。これにより、塵埃等が第2操作部32のリンク固定板50と、リンク可動レバー51と、2つのリンクフレーム52,53と、スプリング54に付着するのを防止している。また、第2収納ボックス42を配置することで、使用者の手がフィルタ装着機構30に当たらないようにすることができ、フィルタ装着機構30の破損を防止できる。さらに、第2収納ボックス42は、フィルタの挿入を行う場合のガイド部材としても機能する。
この第2収納ボックス42は、ほぼ箱型の部材であり、図6に示すように第2保持部材22の上面においてX方向に配置されている。図7に示すように、第2収納ボックス42は押付リング55を外部に露出させるための開口42Pを有している。これにより、押付リング55は第2収納ボックス42から外側に出して、フィルタ3Aの枠体3Ap,3Aqに対して直接当接することができる。
【0028】
図9は、リンク固定板50と、リンク可動レバー51と、2つのリンクフレーム52,53と、スプリング54と、押付リング55と、スペーサ56を示す分解斜視図である。
図9に示すように、リンク固定板50とリンク可動レバー51は、帯状部材であり同じ幅Kを有しているが、リンク固定板50の長さL2は、リンク可動レバー51の長さL1に比べて短い。長さL1と長さL2の差の部分は、リンク可動レバー51の延長部57である。リンクフレーム52,53は、ほぼ同じ長さを有している。
押付リング55とスペーサ56はリング状部材である。リンク固定板50は、図8に示すように、第2保持部材22の上面22Fに対して固定されているが、リンク可動レバー51はリンク固定板50上に積層され、しかもリンク可動レバー51はリンク固定板50上をX方向に移動可能である。
【0029】
図9に示すように、リンク固定板50は、3つの穴50A,50B,50Cを有している。これらの穴50A,50B,50Cは、ネジ61,62,63を通すための穴であり、ネジ径に対応する内径を有する丸穴である。リンク固定板50は、さらに1つの長丸穴50Dを有している。長丸穴50Dは、3つの穴50A,50B,50Cとは異なり、ネジ64をX方向に動かせるように長穴になっている。
【0030】
これに対して、リンク可動レバー51は、1つの穴51Dを有している。この穴51Dは、ネジ64を通すための穴であり。ネジ径に対応する内径を有する丸穴である。リンク可動レバー51は、さらに3つの長丸穴51A、51B、51Cを有している。これらの長丸穴51A、51B、51Cは、それぞれネジ61,62,63が通って、それぞれネジ61,62,63を相対的にX方向に動かせるようにするために長穴になっている。
【0031】
長丸穴50Dと長丸穴51A、51B、51Cは、X方向に沿って形成されており、同じストロークを有している。リンクフレーム(第1リンクフレーム)52は、第1端部52Pと第2端部52Qを有している。第1端部52Pには穴52Aを有し、第2端部52Qには穴52Bを有している。同様にして、リンクフレーム(第2リンクフレーム)53は、第1端部53Pと第2端部53Qを有している。第1端部53Pには穴53Aを有し、第2端部53Qには穴53Bを有している。
また、図9に示すように、第2保持部材22は、ネジを通すための丸い穴21A、21B、21Cと長丸穴21Dを有している。
【0032】
これにより、図9に示すように、ネジ65は、リンクフレーム53の穴53Aと押付リング55の穴55Aとリンクフレーム52の穴52に通して、ナット65Nにねじ込まれている。ネジ64は、第2保持部材22の長丸穴21Dとリンク固定板50の長丸穴50Dとリンク可動レバー51の穴51Dとスペーサ56の穴56Aとリンクフレーム52の穴52Bを通して、ナット64Nにねじ込まれている。ネジ63は、第2保持部材22の穴21Cとリンク固定板50の穴50Cとリンク可動レバー51の長丸穴51Cとリンクフレーム53の穴53Bを通して、ナット63Nにねじ込まれている。
【0033】
ネジ61は、第2保持部材22の穴21Aとリンク固定板50の穴50Aとリンク可動レバー51の長丸穴51Aを通して、ナット61Nにねじ込まれている。ネジ62は、第2保持部材22の穴21Bとリンク固定板50の穴50Bとリンク可動レバー51の長丸穴51Bを通して、ナット62Nにねじ込まれている。
また、スプリング54は、リング可動レバー51の付勢部材の一例であり、スプリング54は、リンク可動レバー51の内端部と、第2保持部材22の上面22Fに固定されたピン22Pと、の間に取り付けられている。
【0034】
これにより、図8に示すように、リンク可動レバー51の延長部57が、フィルタ挿入方向X1に沿って押されることにより、リンク可動レバー51はスプリング54の力に抗して、リンク固定板50に対して移動可能である。リンク可動レバー51がリンク固定板50に対して移動することにより、図9に示すネジ64がフィルタ挿入方向X1に押されるので、リンクフレーム52,53の間隔が縮まる。従って、図8に示すように、押付リング55が所定ストローク分だけY1方向に移動できるようになっている。また、リンク可動レバー51の延長部57がフィルタ挿入方向X1に押されなくなり開放されると、スプリング54の力がリンク可動レバー51をX2方向に押し戻して、図8に示す初期の状態に戻すことができる。
【0035】
次に、図10を参照して、リンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押すための押圧部材70について説明する。図10は、下側の第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットを代表して示す斜視図である。しかし、図6に示すように、上側の第1操作部31と第1保持部材21と第1収納ボックス41から成るユニットは、下側の第2操作部32と第2保持部材22と第2収納ボックス42から成るユニットと同様な構造を有している。
これにより、フィルタ3の第1端部である枠体3Ap,3Bpと第2端部である枠体3Aq,3Bqは、第1保持部材21と第2保持部材22によりフィルタ挿入方向X1に沿って容易に挿入し、あるいは容易に取り出すことができる。そして、フィルタ3の第1端部である枠体3Ap,3Bpと第2端部である枠体3Aq,3Bqは、ケーシング2内において押付部材である押付リング55によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0036】
図4(A)に示すように、点検扉5は、上部側の押圧部材70と、下部側の押圧部材70を有している。図10では、下部側の押圧部材70を代表して示しており、上部側の押圧部材70と下部側の押圧部材70は同じ形状を有する突起である。図10に示すように、押圧部材70は、Y−Z平面に平行に突出して形成されている。一方、リンク可動レバー51の延長部57は、X−Y平面に平行に突出して形成されている。これにより、押圧部材70がリンク可動レバー51の延長部57に当接する場合には互いに直交する状態で当たることになり、押圧部材70は確実に延長部57を押すことができる。
【0037】
点検扉5は、ヒンジ71により回転軸CLを中心としてR方向に回転可能に支持されている。
使用者が点検扉5をR方向に回転させて点検扉収納空間部4を閉鎖すると、この押圧部材70が、対応する位置にあるリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押圧することができる。このように下部側の押圧部材70が、対応する位置にあるリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押圧する構造は、図4(A)に示す上部側の押圧部材70が、対応する位置にあるリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押圧する構造と同じである。
【0038】
次に、上述したフィルタ装置1のケーシング2内にフィルタ3を挿入して締め付けて固定する操作と、さらにフィルタ3の交換操作について順に説明する。
まず、ケーシング2内にフィルタ3を挿入して締め付けて固定する操作を説明する。
図1に示すように点検扉5が点検扉収納空間部4を閉鎖している状態から、図2に示すように、作業者が点検扉5をR方向に開けて点検扉収納空間部4を開いて、ケーシング2内を開放する。すなわち、作業者が、図5に示す把持部12を持って中心軸11を中心としてW2方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内から外して、点検扉5は点検扉収納空間部4を開放することができる。
そして、作業者はフィルタ3を、点検扉収納空間部4を通じて第1保持部材21と第2保持部材22との間に、フィルタ挿入方向X1に沿って挿入する。このように、点検扉5が開いている状態では、図2と図10に示す点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下位置のリンク可動レバー51の延長部57から離れている。
【0039】
図11は、フィルタ3を締め付ける前の状態を示している。図12は、フィルタ3を締め付けた後の状態を示している。
図11では、点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下位置のリンク可動レバー51の延長部57から離れている状態を示しており、リンク可動レバー51の延長部57は、スプリング54の押す力により、X2方向に押されて、各長丸穴51A,51B,51C,50Dの長さ分(フィルタ挿入方向X1のストローク分)だけ最も突出した状態に位置されている。
図11に示すように、フィルタ3を第1保持部材21と第2保持部材22との間に挿入した状態では、フィルタ3のプレフィルタ3Aの枠体3Ap、3Aqの前面3Afと押付リング55との間には、初期のスペースSSが形成されている。また、フィルタ3のガスケットパッキン3Cがフィルタ取付フレーム23に接している。この初期の設定スペースSSは、例えば3mmである。
【0040】
次に、作業者が、図12に示すように、点検扉5を閉めて点検扉収納空間部4を閉鎖すると同時に、点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下のリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押すことで、リンク可動レバー51は、ストロークSKだけスプリング54の力に抗して、リンク固定板50に対してフィルタ挿入方向X1に移動する。このストロークSKは、例えば4.9mmであり、上記設定スペースSSよりも大きく設定されている。ストロークSKは、各長丸穴51A,51B,51C,50Dの長さ分に相当する。
【0041】
これにより、図11に示すリンクフレーム52の第2端部52Qと,リンクフレーム53の第2端部53Qとの間隔G1が図12に示すように間隔G2に縮まるので、押付リング55が所定ストローク分だけY1方向に前進移動できる。これにより、押付リング55はフィルタ3のプレフィルタ3Aの枠体3Ap、3AqをY1方向に押し付けるので、フィルタ3のガスケットパッキン3Cがフィルタ取り付けフレーム23に対して密着される。
このように、作業者が点検扉5を開けてフィルタ3を挿入した後に点検扉5を閉めて、図5に示すように、作業者が把持部12を持って中心軸11を中心としてW1方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内にはめ込むことができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を閉鎖できる。
【0042】
そして、作業者は把持部12を持って回動して固定するだけで、フィルタ3は、ケーシング2内においてワンタッチで締め付けて固定することができ、構造が簡単化でき部品点数の削減が図れるとともに、装着作業の簡易化を図ることができる。
従来例のように高性能フィルタをスタッドボルト方式あるいは偏心カム方式で強く締め付けるのに比べて、本発明のフィルタ装置1では、フィルタ3のガスケットパッキン3Cを押しつぶして気密性を確保する必要はなく、ガスケットパッキン3Cがフィルタ3の装着面であるフィルタ取付フレーム23に対して密着できる程度とするだけで十分な気密性が得られる。
【0043】
上述したのはフィルタ装置1のケーシング2内にフィルタ3を締め付けて固定する操作であるが、さらに使用済みのフィルタ3を新しいフィルタ3に交換する操作について説明する。
図1に示すフィルタ装置1のケーシング2内にフィルタ3を締め付けて固定する場合には、作業者が、図5に示す把持部12を持って中心軸11を中心としてW2方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内から外すことができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を開放する。点検扉5を開けることで、図12の状態から図11の状態で示すように、点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下のリンク可動レバー51の延長部57から離れる。従って、リンク可動レバー51は、スプリング54の力により、リンク固定板50に対してストロークSKだけX2方向に移動する。
【0044】
このため、図11に示すように、フィルタ3を第1保持部材21と第2保持部材22との間に挿入した状態で、押付リング55はフィルタ3から後退して離れて、フィルタ3のプレフィルタ3Aの枠体3Ap、3Aqの前面3Afと押付リング55との間には、初期のスペースSSが再び形成される。従って、作業者が、ケーシング2内の使用済みのフィルタ3を、第1保持部材21と第2保持部材22との間から簡単に取り出すことができる。
【0045】
その後、すでに説明したよう要領に従って、作業者は新しいフィルタ3を、点検扉収納空間部4を通じて第1保持部材21と第2保持部材22との間に、フィルタ挿入方向X1に沿って挿入する。このように、点検扉5が開いている状態では、図2と図10に示す上下の押圧部材70,70は、対応する上下のリンク可動レバー51の延長部57から離れている。
図11に示すように、フィルタ3を第1保持部材21と第2保持部材22との間に挿入した状態では、フィルタ3の枠体3Dの前面3Fと押付リング55との間には、初期のスペースSSが形成されている。また、フィルタ3のガスケットパッキン3Cがフィルタ取付フレーム23に接している。
【0046】
次に、作業者が、図12に示すように、点検扉5を閉めて点検扉収納空間部4を閉鎖すると同時に、点検扉5の上下の押圧部材70,70は、対応する上下のリンク可動レバー51の延長部57をフィルタ挿入方向X1に押すことで、リンク可動レバー51は、ストロークSKだけスプリング54の力に抗して、リンク固定板50に対してフィルタ挿入方向X1に移動可能である。
これにより、リンクフレーム52,53の間隔が縮まるので、押付リング55が所定ストローク分だけY1方向に移動できる。押付リング55はフィルタ3の枠体3DをY1方向に押し付けるので、フィルタ3のガスケットパッキン3Cがフィルタ取付フレーム23に密着される。
【0047】
このように、作業者が点検扉5を開けてフィルタ3を挿入して、点検扉5を閉めて、図5に示すように、作業者が把持部12を持って中心軸11を中心としてW1方向に回転することで、挿入部13はハンドル受け10内にはめ込むことができ、点検扉5は点検扉収納空間部4を閉鎖できる。
【0048】
上述した本発明の実施形態では、フィルタの第1端部と第2端部は、第1保持部材と第2保持部材によりフィルタ挿入方向に沿って容易に挿入し、あるいは容易に取り出すことができる。そして、フィルタの第1端部と第2端部は、ケーシング内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
簡単な構造でありながら、フィルタをケーシング内にフィルタ挿入方向に沿って挿入して扉を閉めるだけで、フィルタは、ケーシング内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定できる。
【0049】
扉固定部は、扉を閉めた状態を維持することができ、フィルタは、ケーシング内において押付部材によりそれぞれ確実に押し付けることで締め付けて固定する状態を維持できる。フィルタはケーシング内のフィルタ取付フレームに対して密着した状態を維持でき、フィルタのシール性を確保できる。
本発明のフィルタ装置1では、ビル空調、工場空調などの数ヶ月サイクルと交換頻度の高い粗塵・中性能フィルタ3が容易に着脱でき、フィルタの交換作業性が向上できる。しかも、多数のフィルタ装置1が工場等の取り付け対象建物に装着されている場合には、特にフィルタの交換作業性が向上できる。
【0050】
本発明の各実施形態は、任意に組み合わせることができる。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用することができる。
フィルタ装着機構30のネジとナットに代えて、リベットを用いることもできる。複数のフィルタがフィルタ挿入方向にそって縦列に配置される場合には、押付リングは、フィルタ挿入方向に沿って間隔をおいて2つ以上配置して、各押付リングが対応するフィルタを押し付けるようにしても良い。
フィルタ装置のケーシングは、例えば上流側のダクトと、このダクトに直交する方向に空気を流す下流側のダクトの間に配置するようにしても良い。フィルタ装置のケーシングは、ダクトの途中に配置するのではなく、ダクトの先端部に配置するようにしても良い。フィルタ装置のケーシングの上流側には、ダクトを接続し、しかもフィルタ装置のケーシングの下流側には、ファンを配置しても良い。
例えば、本発明の実施形態では、図6に示すフィルタ3はプレフィルタ3Aと中性能フィルタ3Bを組み合わせて構成されているが、これに限定されることなく中性能フィルタ3Bだけを使用することもできる。
本発明のフィルタ装置1は、主にビル空調、工場空調などのプレフィルタ3Aと中性能フィルタ3Bをユニットすることで構成されたフィルタ3を装着するのに適用できるが、フィルタ装着機構の圧着力や気密性能等を適宜調整することによって、本発明のフィルタ装置は、高性能フィルタを装着するのにも適用することができる。
【0051】
また、フィルタ装着機構30は、図2等に示す例では、上側の第1操作部31と下側の第2操作部32を備えているが、これに限らず構造の簡単化のために、どちらか一方だけを採用するようにしても良い。
本発明のフィルタ装置の実施形態で使用される点検扉5のような扉である扉としての点検扉2、ケーシング2、フィルタ装着機構30、フィルタ取付フレーム23等の部品の材質としては、例えばガルバニウム鋼板、メッキ鋼板(亜鉛、アルミ合金)、ステンレスを使用し、無溶接でリベット構造とすることで無塗装とすることができる。
本発明のフィルタ装置は、図示例では例えば建物の壁部に対して垂直に設定されている例を示しているが、これに限らず例えば建物の天井に水平に設定されても良い。図8に示す付勢部材であるスプリング54は、取り除くこともできる。
【0052】
本発明のフィルタ装置の実施形態で使用するガスケットパッキン3Cは、通常使用される単独気泡タイプのクロロプレンゴムなど使用できるが、50%圧縮応力が80kPa未満(JIS K6767準拠)であり、かつ、開放気泡率が90%以下(ASTM D2856−94準拠)の発泡体を含むガスケットを用いることができる。
これにより、低圧力で締付けを行いフィルタ取付フレーム(フィルタ取付枠)23に対して取り付ける場合でも、フィルタ取付枠の形状に沿ってガスケットパッキン3Cが変形するので、従来のクロロプレンゴム製ガスケットを使用したスタッドボルト方式や偏心カム方式のように大きいトルクで変形しなくても、締付の際にはガスケットパッキン3Cとフィルタ取付フレーム23との間の気密性が確保できる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・フィルタ装置、2・・・ケーシング、3・・・フィルタ、4・・・点検扉収納空間部(開口部の一例)、5・・・点検扉(扉の一例)、6・・・扉固定部、21・・・第1保持部材、22・・・第2保持部材、23・・・フィルタ取付フレーム(当接用部材の一例)、30・・・フィルタ装着機構部、31・・・第1操作部、32・・・第2操作部、41・・・第1収納ボックス、42・・・第2収納ボックス、50・・・リンク固定板(固定部材の一例)、51・・・リンク可動レバー(可動部材の一例)、52,53・・・リンクフレーム、54・・・スプリング、55・・・押付リング(押付部材の一例)、70・・・押さえ部材、100・・・フィルタ保持手段、X1・・・フィルタ挿入方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内にフィルタが着脱可能に装着されるフィルタ装置であって、
前記ケーシング内に前記フィルタを出し入れするための開口部を開閉可能に閉鎖し、押さえ部材を有する扉と、
前記ケーシング内で前記フィルタを保持するフィルタ保持手段と、
前記フィルタ保持手段に沿って挿入された前記フィルタを前記ケーシング内の当接用部材に押し付けて密着させるフィルタ装着機構と、を有し、
前記フィルタ装着機構は、
前記フィルタ保持手段に沿ってフィルタ挿入方向と平行に移動可能な可動部材と、
前記扉により前記ケーシングの前記開口部を閉鎖して前記扉の前記押さえ部材により前記可動部材を移動させることで、前記フィルタ側に押し付けられる押付部材と、を有することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記フィルタ保持手段は、前記フィルタの第1端部を保持する第1保持部材と、前記フィルタの前記第2端部を保持する第2保持部材を有し、
前記可動部材と前記押付部材は、前記フィルタの第1端部と、前記フィルタの前記第1端部とは反対側の第2端部に対応してそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記フィルタ装着機構は、
前記フィルタ保持手段に固定されて、前記可動部材に重ね合わせられる固定部材と、
第1リンク部材と第2リンク部材と、を有し、
前記押付部材は、前記第1リンク部材の第1端部と前記第2リンク部材の第1端部に取り付けられ、
前記第1リンク部材の第2端部と前記第2リンク部材の第2端部は、前記可動部材と前記固定部材に取り付けられており、
前記扉の前記押さえ部材により押して前記可動部材を、前記固定部材に対して移動させて、前記第1リンク部材の前記第2端部と前記第2リンク部材の前記第2端部の間隔を減少させることで、前記押付部材が前記フィルタ側に前進して前記フィルタに押し付けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記扉を前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けるヒンジと、
前記扉により前記ケーシングの前記開口部を閉鎖した状態で前記扉を前記ケーシングに固定する扉固定部と、を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記ケーシング内の前記当接用部材は、前記フィルタの下流側に配置されているフィルタ取付フレームであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載のフィルタ装置。
【請求項1】
ケーシング内にフィルタが着脱可能に装着されるフィルタ装置であって、
前記ケーシング内に前記フィルタを出し入れするための開口部を開閉可能に閉鎖し、押さえ部材を有する扉と、
前記ケーシング内で前記フィルタを保持するフィルタ保持手段と、
前記フィルタ保持手段に沿って挿入された前記フィルタを前記ケーシング内の当接用部材に押し付けて密着させるフィルタ装着機構と、を有し、
前記フィルタ装着機構は、
前記フィルタ保持手段に沿ってフィルタ挿入方向と平行に移動可能な可動部材と、
前記扉により前記ケーシングの前記開口部を閉鎖して前記扉の前記押さえ部材により前記可動部材を移動させることで、前記フィルタ側に押し付けられる押付部材と、を有することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記フィルタ保持手段は、前記フィルタの第1端部を保持する第1保持部材と、前記フィルタの前記第2端部を保持する第2保持部材を有し、
前記可動部材と前記押付部材は、前記フィルタの第1端部と、前記フィルタの前記第1端部とは反対側の第2端部に対応してそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記フィルタ装着機構は、
前記フィルタ保持手段に固定されて、前記可動部材に重ね合わせられる固定部材と、
第1リンク部材と第2リンク部材と、を有し、
前記押付部材は、前記第1リンク部材の第1端部と前記第2リンク部材の第1端部に取り付けられ、
前記第1リンク部材の第2端部と前記第2リンク部材の第2端部は、前記可動部材と前記固定部材に取り付けられており、
前記扉の前記押さえ部材により押して前記可動部材を、前記固定部材に対して移動させて、前記第1リンク部材の前記第2端部と前記第2リンク部材の前記第2端部の間隔を減少させることで、前記押付部材が前記フィルタ側に前進して前記フィルタに押し付けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記扉を前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けるヒンジと、
前記扉により前記ケーシングの前記開口部を閉鎖した状態で前記扉を前記ケーシングに固定する扉固定部と、を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記ケーシング内の前記当接用部材は、前記フィルタの下流側に配置されているフィルタ取付フレームであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載のフィルタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−20095(P2011−20095A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169384(P2009−169384)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】
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