説明

フィルム処理装置

【課題】 インデックスプリント等、別の媒体を作製しなくとも、ネガフィルムの内容を簡単に確認することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、ネガフィルム4のコマ画像非形成領域におけるフィルムベースから乳剤層等の積層体を剥離する剥離手段14と、該剥離領域に対して該ネガフィルム4の内容に関する情報を印刷する印刷手段17とを備えてなるフィルム処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像を終えたネガフィルムに対して該ネガフィルムの内容に関する情報(例えば、コマ画像そのもの、撮影タイトル、撮影日、撮影場所等)を付与するためのフィルム処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影に使ったネガフィルムの写真プリントをラボ店に依頼すると、ラボ店は、まず、ネガフィルムの現像を行い、次に、写真プリントを行う。また、写真プリントが完了すれば、ネガフィルムを一定の寸法(通常は6コマの長さ)にカットして、ネガシートへ挿入し、このネガシートを写真プリントと共にプリント袋に挿入して、依頼者に渡すようにしている。これがいわゆる同時プリントの一般的なサービス形態である。
【0003】
一方、依頼者は、現像されたネガフィルムをネガシートに挿入したままの状態で保管しておくが、後日、写真プリントの焼き増しが必要となれば、保管されているネガフィルムをラボ店に渡し、焼き増しを所望するコマ画像をラボ店に指示して、その写真プリントを行ってもらう。これがいわゆる再プリントの一般的なサービス形態である。
【0004】
ここで、再プリントをラボ店に依頼するに際し、依頼者は、ネガフィルムの各コマ画像を実際に目視で観察し、所望するコマ画像を選定しておく必要がある。しかし、ネガフィルムに撮影されているコマ画像は、目視で観察してもどのような被写体が撮影されているかを把握しづらい。そのため、最近では、同時プリントのサービスを提供するに当たり、フィルムの各コマ画像を一つの印刷対象物に印刷したいわゆるインデックスプリントを作製して、これも合わせて依頼者に渡すようにするラボ店が増えてきている。このインデックスプリントを用いて再プリントを依頼すれば、わざわざネガフィルムの内容を確認せずとも、焼き増しを所望するコマ画像を簡単且つ的確に指示できるというメリットがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インデックスプリントを元のプリント袋に戻すのを忘れたり、インデックスプリントを他のプリント袋に間違って入れてしまう等、管理が悪いと、そのインデックスプリントのメリットを享受し得なくなる。即ち、インデックスプリントという、ネガフィルムとは別の保管アイテムが存在することに従来は問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、135サイズフィルム等、視認可能な状態で保管する形態のネガフィルムに対してインデックスプリント等の別の媒体を作製しなくとも、ネガフィルムの内容を簡単に確認することができるようにするフィルム処理装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るフィルム処理装置は、ネガフィルムのコマ画像非形成領域におけるフィルムベースから乳剤層等の積層体を剥離する剥離手段と、該剥離領域に対して該ネガフィルムの内容に関する情報を印刷する印刷手段とを備えてなることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、剥離手段がネガフィルムのコマ画像非形成領域におけるフィルムベースから乳剤層等の積層体を剥離し、次に、印刷手段が剥離領域に対してネガフィルムの内容に関する情報を印刷する。
【0009】
また、本発明に係るフィルム処理装置は、ネガフィルムのコマ画像を撮像する撮像手段をさらに備え、前記印刷手段は、該撮像手段により取得された画像データを用いてポジ画像を印刷する構成を採用することができる。かかる構成によれば、ネガフィルムのコマ画像(の少なくとも一つ)がポジ画像として表示されるので、ネガフィルムの内容をより素早く把握することができる。
【0010】
さらに、本発明に係るフィルム処理装置は、前記撮像手段により、剥離されるべきコマ画像非形成領域が検出される構成を採用して、自動化を図るのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明に係るフィルム処理装置によれば、乳剤層等の積層体が剥離されて無色となった部分(フィルムベース)に、ネガフィルムの内容に関する情報が付与されるようになっているため、ネガフィルムの内容を簡単に確認することができるようになる。また、その結果、インデックスプリント等、ネガフィルムとは別の保管アイテムが要らなくなる分、管理が楽になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に示す如く、本実施形態に係るフィルム処理装置10は、フィルム現像装置1にて現像されたネガフィルムを処理対象とするものである。そこで、フィルム処理装置10の説明に先立ち、フィルム現像装置1について簡単に説明しておく。
【0013】
フィルム現像装置1は、フィルム供給部2にフィルム収容体(パトローネ)3がセットされると、該フィルム収容体3内の撮影済みのネガフィルム4を自動的にフィルム収容体3外に引き出すようになっている。また、このネガフィルム4は、現像部5に設けられた処理液タンク6内に保持されている現像液、漂白液、定着液等の各種処理液中を蛇行しつつ搬送されて現像された後、乾燥部7で乾燥させられ、最終的に取出部8から装置外に排出される。そして、このネガフィルムがフィルム処理装置10の筐体11の一方側に設けられた挿入部12にセットされる。
【0014】
フィルム処理装置10は、ネガフィルム4を撮像する撮像手段(例えば、CCDラインセンサ)13と、ネガフィルム4におけるフィルムベースから乳剤層等を剥離する剥離手段14と、ネガフィルム4を水洗する水洗タンク15と、水洗されたネガフィルム4を乾燥させる乾燥部16と、ネガフィルム4に対して印刷を施す印刷手段(例えば、インクジェットプリンタ)17とを備えている。
【0015】
撮像手段13は、ネガフィルム4を搬送しながら走査し、ネガフィルム4の画像を取得する。画像処理部(図示しない)は、取得された画像を処理し、各コマ画像を抽出する。次に、剥離手段14は、画像処理部での処理結果に基づき特定されたネガフィルム4のコマ画像非形成領域における乳剤層等を剥離してフィルムベースを剥き出しにするためのもので、ネガフィルム4のベース面側に配置されるローラ14aと、ネガフィルム4の乳剤面側に配置されるブラシローラ14bとで構成される。
【0016】
かかる構成からなるフィルム処理装置は、挿入部12にセットされたネガフィルム4に対し、コマ画像非形成領域の有無をチェックしつつ、各コマ画像を順次撮像していく。また、ある程度の大きさのコマ画像非形成領域が見つかれば、制御部(図示しない)は、該コマ画像非形成領域が剥離手段14に到達するまでの時間を、撮像手段13及び剥離手段14間の距離と搬送速度とから求め、且つ該時間が経過した時点でネガフィルム4の搬送を一旦停止させる。
【0017】
そして、ネガフィルム4が停止した状態で、ブラシローラ14bが所定時間回転する。その結果、図2(イ)に示す如く、フィルムベース4aの上に順に積層された赤感乳剤層4b、緑感乳剤層4c、青感乳剤層4d及び保護層4eからなる積層体が、図2(ロ)に示す如く、剥離され、該剥離領域は、フィルムベース4aのみとなる。尚、剥離されるべきコマ画像非形成領域は、図2(ハ)に示す如く、最後のコマ画像Eよりも後端側の余剰部分Aや、図2(ニ)に示す如く、最初のコマ画像Sよりも先端側の余剰部分Aに設定される。
【0018】
剥離が完了すると、ネガフィルム4の搬送が開始されて、残りのコマ画像の撮像が再開される。また、ネガフィルム4は、水洗タンク15内を搬送され、剥離された滓を水洗した後、乾燥部16で乾燥させられ、最終的に取出部18から装置外に排出される。
【0019】
また、乾燥後、排出されるまでの段階において、ネガフィルム4は、剥離領域Aに対して該ネガフィルム4の内容に関する情報が印刷される。印刷される情報としては、図2(ハ)に示す如く、該ネガフィルム4のコマ画像(図では、最終のコマ画像E)と同じポジ画像P1であったり、あるいは図2(ニ)に示す如く、撮影タイトルP2であったりする。
【0020】
ポジ画像P1を印刷する場合は、撮像手段13により取得されたコマ画像の画像データを用いて印刷を行う。しかも、図2(ハ)に示すような単一の画像ではなく、複数の画像を整列配置してインデックスプリント状に印刷するようにしてもよい。さらに、選択されるコマ画像は、オペレータや依頼者が指定できるようにしてもよい。撮影タイトルP2を印刷する場合は、その文字情報を予め入力しておく必要がある。但し、ネガフィルムの内容に関する情報を記録可能な例えば磁気層を備えたネガフィルムであれば、その情報を読み取って印刷手段17がネガフィルム4に出力するようにしてもよい。
【0021】
このように、本実施形態に係るフィルム処理装置10によれば、現像後にネガフィルム4に付与されたポジのコマ画像P1や撮影タイトルP2を見ることにより、ネガフィルム4の内容を簡単に確認することができ、しかも、インデックスプリント等、ネガフィルム4とは別の保管アイテムが要らなくなる分、管理が楽になるのである。
【0022】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0023】
例えば、上記実施形態においては、撮像手段13が剥離されるべきコマ画像非形成領域を検出するようにしているが、例えば135サイズフィルムであれば、フィルムの側縁にコマ番号を示すバーコードが表示されているので、バーコードリーダを設け、これにより、剥離されるべきコマ画像非形成領域を特定するようにしてもよい。
【0024】
また、上記実施形態においては、剥離手段14として、ブラシローラ14bを使用しているが、剥離剤(溶剤)をネガフィルムの該当箇所に噴霧又は塗布したり、ネガフィルムの該当箇所を剥離剤(溶剤)中に浸漬させたり、あるいは、水分を含んだ弾性体をネガフィルムの該当箇所に押し当て、弾性体との相対摩擦により剥ぎ落とすようにしてもよい。
【0025】
また、上記実施形態においては、剥離工程において、ネガフィルム4の搬送を一旦停止するようにしているが、ネガフィルムの搬送中に剥離するようにしてもよい。例えば、ブラシローラ14bであれば、該ブラシローラ14bがネガフィルムに対して接離する構成にし、ネガフィルムの該当箇所が通過する際に、ブラシローラ14bをネガフィルムに接触させ、すぐさま離間させるような方法によっても、剥離領域Aを適切に形成することができる。
【0026】
また、上記実施形態においては、印刷手段17として、インクジェット方式のプリンタを使用しているが、熱転写方式等、既に公知となっている印刷手段の全てを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係るフィルム処理装置と、これに連携されるフィルム現像装置の概略構成図を示す。
【図2】(イ)は、ネガフィルムの断面図、(ロ)は、乳剤層等が剥離された状態のネガフィルムの断面図、(ハ)は、後端に情報が付与されたネガフィルムの平面図、(ニ)は、先端に情報が付与されたネガフィルムの平面図、をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0028】
10 写真フィルム処理装置
13 撮像手段(CCDラインセンサ)
14 剥離手段
14b ブラシローラ
17 印刷手段(インクジェットプリンタ)
A 剥離領域
1 ポジ画像(ネガフィルムの内容に関する情報)
2 撮影タイトル(ネガフィルムの内容に関する情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネガフィルムのコマ画像非形成領域におけるフィルムベースから乳剤層等の積層体を剥離する剥離手段と、該剥離領域に対して該ネガフィルムの内容に関する情報を印刷する印刷手段とを備えてなることを特徴とするフィルム処理装置。
【請求項2】
ネガフィルムのコマ画像を撮像する撮像手段をさらに備え、前記印刷手段は、該撮像手段により取得された画像データを用いてポジ画像を印刷することを特徴とする請求項1に記載のフィルム処理装置。
【請求項3】
前記撮像手段により、剥離されるべきコマ画像非形成領域が検出されることを特徴とする請求項2に記載のフィルム処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−53327(P2006−53327A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234614(P2004−234614)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】