説明

フィルム包装バター

【課題】 バターは冷蔵庫に保存されていることが多く、そのため室内にしばらく放置して柔らかくしないと、取り出し直後は低温のため硬く、パンに均一に塗布することは困難であった。オーブントースター等で焼いた食パンの上にのせるだけで、その余熱で食パン面に一様に塗布した状態にすることができるバターを提供する。
【解決手段】 薄板状のバターを可食性フィルムで包装してなる。前記可食性フィルムで包装されたバターを複数個積層してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バターの包装技術に係わり、特に可食性フィルムで包装されたフィルム包装バターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食パンをオーブントースター等で焼いた後にバターナイフ等で均一になるようバターを表面に塗布していた。
【0003】
通常、バターは冷蔵庫に保存されていることが多く、そのため室内にしばらく放置して柔らかくしないと、取り出し直後は低温のため硬く、パンに均一に塗布することは困難であった。
【0004】
このため、特許文献1では、バターを、表面に凹凸面を設けたアルミ箔又はプラスチック等の耐熱シートと剥離シートで挟み、1度焼いたパンの焼いた面に前記耐熱シート付きバターの剥離シートを剥がしてから乗せ再度軽く焼くか、又は焼いた直後のパンに乗せ余熱によって耐熱シート内部のバターを溶かし、パンにバターを浸透させてから耐熱シートを取り去り食していた。
【特許文献1】実用新案公開平7−7473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、調理時間と食事時間が極めて限定される朝食時には、2度焼くための時間や、焼いた直後のパンに剥離シートを剥がして上に乗せ、溶けた時間を見計らって耐熱シートを取り去りさるなど手間と時間がかかり不便であった。また剥離シートにバターが付着してしまうなど不具合を生じる恐れがあった。
【0006】
このほかに、バターは調理用の油として利用することが多いが、レシピ指定の量をバターナイフですくい取ることは困難で、また、バターナイフ又はスプーンで取り出したバターがフライパンや鍋底の熱で溶け出すまで待つのは火傷するなど危険であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、上記に鑑み鋭意研究の結果、次の手段によりこの課題を解決した。
(1)バターを、可食性フィルムで包装してなることを特徴とするフィルム包装バター。
【0008】
(2)前記バターが薄板状のものであることを特徴とする前項(1)に記載のフィルム包装バター。
【0009】
(3)前記可食性フィルムで包装されたバターを複数個積層してなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載のフィルム包装バター。
【0010】
(4)前記複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に離型剤が塗布されてなるなることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【0011】
(5)前記複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に可撓性保護フィルムが狭装されてなるなることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフィルム包装バター
【0012】
(6)前記可食性フィルムで包装されたバターをさらに可撓性保護フィルムで包装処理してなることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【0013】
(7)前記可食性フィルムが、タンパク質、炭水化物、有機酸、ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した材料を含むことを特徴とする前項(1)〜(6)のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【0014】
(8)前記可食性フィルムが、着色料、着香料、香味料、酸化防止剤、抗菌物質、酵素、臭気吸収剤、及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した調節剤を含むことを特徴とする前項(1)〜(7)のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【0015】
(9)前記可撓性保護フィルムが、前記可食性フィルムと接触する面に熱接着性樹脂層を積層した樹脂製フィルムであることを特徴とする前項(6)〜(8)のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【0016】
(10)前記離型剤が、可食性界面活性剤、植物油、シリコン油、動物油、及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した材料を含むことを特徴とする前項(4)〜(9)のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【発明の効果】
【0017】
本願発明によれば、次のような効果が発揮される。
1.本願発明の請求項1の発明によれば、
バターを、可食性フィルムで包装しているので、例えば、1cm立方角状等(約大さじ1杯等)に包装しておけば、計量することなくそのままフライパンなどに加えて調理用油として簡便に使用することができる。
【0018】
2.本願発明の請求項2の発明によれば、
前記請求項1の効果に加えて、例えば、スライスした4角形の食パンの大きさに合わせて前記バターを薄板状に成形し可食性フィルムで包装されたものは、従来のように堅いバターをバターナイフ等で塗布する手間が省け、かつ手を汚すことなく可食性フィルムで包装されたバターをオーブントースター等で焼いた食パン面上に乗せるだけで、その余熱で一様に塗布した状態にすることができる。そして、補強材として作用するため、バターがちぎれたり、切れたりすることがない。
また、薄板状に成形し包装した可食性フィルムの周囲を封止しているので形状維持が容易であり、かつ、温度上昇・乾燥等多少の環境変化にあってもバターの漏出・枯渇を防止することができる。
【0019】
3.本願発明の請求項3の発明によれば、
前記請求項1及び2の効果に加えて、前記可食性フィルムで包装されたバターを複数個積層して保存できるので、例えば、200〜450gの収容ケースにまとめて収容することができる。
【0020】
4.本願発明の請求項4の発明によれば、
前記請求項1〜3の効果に加えて、前記複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に離型剤が塗布されているので、人の手で1個ずつ容易に剥離して使用できる。
【0021】
5.本願発明の請求項5の発明によれば、
前記請求項1〜3の効果に加えて、前記複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に可撓性保護フィルムが狭装されているので、温度、湿度等環境変化及び長期間の保存後であっても人の手で1個ずつ容易に剥離して使用できる。
【0022】
6.本願発明の請求項6の発明によれば、
前記請求項1〜3の効果に加えて、前記可食性フィルムで包装されたバターをさらに可撓性保護フィルムで包装処理しているので、必要枚数を取り出した後放置しても可食性フィルム面に他の物が付着することなく衛生的であり、さらに、温度、湿度等環境変化及び長期間の保存後であっても溶け出すことなく人の手で1個ずつ容易に剥離して使用でき、さらに温度、湿度等環境変化に対応した包装状態が期待できる。
また、可撓性保護フィルムで包装されたバターを複数個積層して保存できるので、例えば、200〜450gの収容ケースにまとめて収容することができる。
【0023】
7.本願発明の請求項7の発明によれば、
前記請求項1〜6の効果に加えて、前記可食性フィルムが、タンパク質、炭水化物、有機酸、ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した材料を使用しているので、可食性フィルムで包装されたバターは長期保存しても固形状体を維持し、常温中で半流動状又は流動状になっても密閉性が保持され、加熱処理してパンなど食品に浸透しても人体に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0024】
8.本願発明の請求項8の発明によれば、
前記請求項1〜7の効果に加えて、前記可食性フィルムが、着色料、着香料、香味料、酸化防止剤、抗菌物質、酵素、臭気吸収剤、及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した調節剤を含むことができるので、衛生的で、長期保存性に優れ、商品性を高めることができる。
【0025】
9.本願発明の請求項9の発明によれば、
前記請求項6〜8の効果に加えて、前記可撓性保護フィルムが、前記可食性フィルムと接触する面に熱接着性樹脂層を積層した樹脂製フィルムであるため、可食性フィルムで包装されたバターをさらに前記可撓性保護フィルムで包装処理した後に、例えばヒートシール加工処理によって簡単に密封することができる。
【0026】
10.本願発明の請求項10の発明によれば、
前記請求項4〜9の効果に加えて、前記離型剤が、可食性界面活性剤、植物油、シリコン油、動物油、及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した材料を含むことができるので、複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に離型剤を塗布すれば、可食性フィルム同士が付着することなく、また、一個一個個別に剥離しやすく、剥離した状態でフィルム包装バターの形状が保たれ商品性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本願発明を実施するための最良の形態を実施例図に基づいて説明する。
図1は本願発明の可食性フィルムで包装されたフィルム包装バター実施例外観図(a)及び断面図(b)、図2は同発明の複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの実施例断面図、図3は同発明の複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に離型剤が塗布された実施例断面図、図4は同発明の複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に可撓性保護フィルムが狭装された実施例断面図、図5は同発明の可食性フィルムで包装されたバターをさらに可撓性保護フィルムで包装処理された実施例断面図、である。
1は可食性フィルムで包装されたバター、2はバター、3は可食性フィルム、4は離型剤、5、6は可撓性保護フィルム、7は可撓性保護フィルムの合わせ面である。
【0028】
図1外観図(a)及びA−A’断面図(b)において、可食性フィルムで包装されたバター1は、例えば、チューブ状の薄い可食性フィルム3に溶解したバター2を注入し、板状に成形し冷却後、任意の長さ位置で加圧又はヒートシール等の手法で接着し包装したものである。
【0029】
可食性フィルムで包装されたバター1は、オーブントースター等でトーストした食パンの上にそのままの状態で乗せれば、その余熱によって可食性フィルム3が溶けると同時に内部のバター2も溶け出し、食パン上に均一に塗布したようになる。
【0030】
バター2の形状は、1斤の食パンが4つ切り乃至8つ切りされたトーストすべき面の大きさより若干小さめの面積で、その厚さは0.5〜2.0mmの平板状であるが、個人の好みに合わせて0.5〜2.0mm間で数種類の厚さに成形し提供することが好ましい。
【0031】
図2において、前記可食性フィルムで包装されたバター1を同一形状に揃えて収容ケース等に収容しやすいようにその状態のまま複数個積層したものである。
図3において、前記可食性フィルムで包装されたバター1を複数個積層し、その層間に離型剤4を塗布し、人の手で1個ずつ容易に剥離して使用できるようにしたものである。
【0032】
図4において、前記可食性フィルムで包装されたバター1を複数個積層し、その層間に可撓性保護フィルム5を狭装し、温度、湿度等環境変化及び長期間の保存後であっても人の手で1個ずつ容易に剥離して使用できるようにしたものである。
【0033】
前記可撓性保護フィルム5の形状は、可食性フィルムで包装されたバター1より若干大きめとして引き剥がしやすくすることが好ましい。
【0034】
図5において、前記可食性フィルムで包装されたバター1をさらに可撓性保護フィルム6で包装処理しているので、必要枚数を取り出した後放置しても可食性フィルム3面に他の物が付着することなく衛生的である。
【0035】
なお、可撓性保護フィルムの合わせ面7は、可食性フィルムで包装されたバター1を取り出した後、可撓性保護フィルム5を容易に剥離しやすいように図のように重ね合わせて接着し、その端面側のみは容易に手で引き剥がせるよう接着剤が除かれていることが好ましい。
【0036】
上記実施例では、平板状の形状としたが、これに限定されることなく、例えば、バター2を大さじ1〜2程度の量の立方体形状として可食性フィルム3で包装してもよい。このようにして立方体形状の可食性フィルム3で包装されたバター2をレシピに指定された量に従って、計量することなくそのままフライパンなどに加えて調理用油として簡便に使用することができる。
【0037】
可食性フィルム3は、適切な可食性材料、すなわち、タンパク質(例えば、カゼイン、コラーゲン、又はホエー)、炭水化物(カラギナンのような多糖類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含む)、有機酸(例えば、乳酸ポリマー)、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシド)、ポリビニルアルコールのいずれかで形成することが可能である。
【0038】
可食性フィルム3は、必要とする任意の調節剤を含むことが可能である。すなわち、着色料(例えば、染料、又はβ−カロテンのような色素)、着香料、香味料、酸化防止剤(酸敗防止用)、抗菌物質、酵素、臭気吸収剤、及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した調節剤を含むことができる。
【0039】
前記複数個積層された可食性フィルムのみで包装されたバターを人の手で1個ずつ容易に剥離して使用できるようにするため、層間に離型剤4を塗布することが好ましい。
【0040】
前記離型剤4としては、グリセリン、ショ糖などの中鎖脂肪酸エステル、レシチン、キトサンなど可食性界面活性剤、大豆油、パーム油、紅花油など植物油、シリコン油、豚脂、ラードなどの動物油、及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した材料を含むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
スライスした4角形の食パンの大きさに合わせて前記バターを薄板状に成形し可食性フィルムで包装しておけば、従来のように堅いバターをバターナイフ等で塗布する手間が省け、オーブントースター等でトーストした食パンの上にそのままの状態で乗せれば、その余熱で可食フィルムとバターが溶け、食パン面に一様に塗布した状態にすることができるので、家庭用、業務用として役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願発明の可食性フィルムで包装されたフィルム包装バター実施例外観図(a)及び断面図(b)
【図2】同発明の複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの実施例断面図
【図3】同発明の複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に離型剤が塗布された実施例断面図
【図4】同発明の複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に可撓性保護フィルムが狭装された実施例断面図
【図5】同発明の可食性フィルムで包装されたバターをさらに可撓性保護フィルムで包装処理された実施例断面図
【符号の説明】
【0043】
1:可食性フィルムで包装されたバター
2:バター
3:可食性フィルム
4:離型剤
5、6:可撓性保護フィルム
7:可撓性保護フィルムの合わせ面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バターを、可食性フィルムで包装してなることを特徴とするフィルム包装バター。
【請求項2】
前記バターが薄板状ものであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム包装バター。
【請求項3】
前記可食性フィルムで包装されたバターを複数個積層してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム包装バター。
【請求項4】
前記複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に離型剤が塗布されてなるなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム包装バター
【請求項5】
前記複数個積層された可食性フィルムで包装されたバターの層間に可撓性保護フィルムが狭装されてなるなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【請求項6】
前記可食性フィルムで包装されたバターをさらに可撓性保護フィルムで包装処理してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【請求項7】
前記可食性フィルムが、タンパク質、炭水化物、有機酸、ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した材料を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【請求項8】
前記可食性フィルムが、着色料、着香料、香味料、酸化防止剤、抗菌物質、酵素、臭気吸収剤、及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した調節剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【請求項9】
前記可撓性保護フィルムが、前記可食性フィルムと接触する面に熱接着性樹脂層を積層した樹脂製フィルムであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。
【請求項10】
前記離型剤が、可食性界面活性剤、植物油、シリコン油、動物油、及びこれらの材料の混合物からなるグループから選択した材料を含むことを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載のフィルム包装バター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−228810(P2007−228810A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50907(P2006−50907)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(506068139)
【Fターム(参考)】