説明

フィルム包装体と包装方法

【課題】帯電防止処理が施されたフィルム、または塗装や表面印刷されたフィルムでも、熱収縮により、フィルムの重ね合わせ箇所が開かずに、確実に商品を包装可能なフィルム包装体と包装方法を提供す。
【解決手段】熱収縮性フィルム12は帯電防止機能が付加され、熱収縮性フィルム12の一側縁部に熱可塑性樹脂から成る接着剤18が塗布されている。熱収縮性フィルム12により商品14を筒状に巻いて、熱収縮フィルム12の側縁部12a同士が重なり合う部分では、接着剤18により熱収縮性フィルム12の側縁部12a同士が接着されて商品14が包装されている。熱収縮性フィルム12の表面には、一部分または全面に、印刷や塗装が施されているものでも良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルム成形器を用いて熱収縮性フィルムにより商品を包装したフィルム包装体と包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂から成る熱収縮性フィルムを用いて商品を包装する包装装置は、特許文献1に開示されているように、ロール状に巻き取られた二つ折り状態の包装用フィルムの間に商品を包み込ませるため、フィルムを筒状に成形するフィルム成形器を用いていた。このフィルム包装方法は、筒状に成形されたフィルムの長手方向の両側縁部を、互いに重ね合わせ、筒状のフィルム内に商品が挿入され、フィルムの前後端部を溶断溶着して包装が完了する。この後、熱収縮性フィルムにより包装された商品は、ヒートトンネル内で熱収縮によりフィルムが商品に密着して包装され、フィルム端縁部を重ね合わせた箇所も密着して隙間なく包装される。
【特許文献1】特開2003−54502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のフィルム包装体に用いられるフィルムは、帯電性を有し、筒状に形成され側縁部が重ね合わされた箇所は、商品を搬送するベルトコンベアの下側に設けられた帯電装置によりフィルムに帯電され、互いに確実に重ね合わせた箇所が密着するようにしている。しかし、帯電性を有した包装用フィルムは、商品の陳列中に帯電による埃が付着しやすいという問題があった。
【0004】
また、帯電防止剤が配合され、帯電性を抑えた包装用フィルムがあるが、このようなフィルムを収縮包装に使用する場合、筒状に形成した重ね合わせ部の密着性がなく、ヒートトンネル内で熱収縮させると、重ね合わせ箇所が開いてしまう問題があった。
【0005】
この発明は、上記従来の技術に鑑みて成されたもので、帯電防止処理が施されたフィルム、または塗装や表面印刷されたフィルムでも、熱収縮により、フィルムの重ね合わせ箇所が開かずに、確実に商品を包装可能なフィルム包装体と包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、熱収縮性フィルムにより商品を筒状に巻いて包装したフィルム包装体であって、前記熱収縮性フィルムは帯電防止機能が付加され、前記熱収縮性フィルムの一側縁部の表面又は裏面に熱可塑性樹脂から成る接着剤が設けられ、前記熱収縮フィルムの側縁部同士が重なり合う部分で、前記接着剤により前記熱収縮性フィルムの側縁部同士が接着状態で前記商品が包装されているフィルム包装体である。
【0007】
また、前記熱収縮性フィルムの表面には、一部分または全面に、印刷や塗装が施されているフィルム包装体である。
【0008】
前記接着剤は、前記熱収縮フィルムの側縁部同士が重なり合う部分で、上側に位置する前記熱収縮性フィルム側縁部裏面に設けられているものである。
【0009】
前記接着剤は、重なり合う前記熱収縮性フィルム側縁部の一方の側端に沿って一定パターンにより部分的に設けられ、前記熱収縮性フィルム側縁部同士が接着されている。
【0010】
またこの発明は、熱収縮性フィルムにより商品を筒状に巻いて包装するフィルム包装方法において、前記熱収縮性フィルムは帯電防止機能が付加され、前記熱収縮性フィルムの一側縁部に熱可塑性樹脂から成る接着剤を塗布し、前記熱収縮フィルムの側縁部同士を重ね合わせ、この後加熱して、前記接着剤により前記熱収縮性フィルムの側縁部同士を接着させるとともに前記熱収縮性フィルムを熱収縮させ、前記商品を包装する包装方法である。
【発明の効果】
【0011】
この発明のフィルム包装体と包装方法によれば、帯電防止処理が施されたフィルムや、塗装または表面印刷されたフィルムでも、熱収縮によりフィルムの重ね合わせ箇所が開かず、確実に且つきれいに商品を包装可能なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明のフィルム包装体と包装方法の一実施形態について、図1、図2に基づいて説明する。この実施形態のフィルム包装体10は、図1に示すように、熱可塑性樹脂からなる熱収縮性フィルム12により商品14を包み、熱収縮性フィルム12を熱により収縮させて形成される。このフィルム包装体10の熱収縮フィルム12は、帯電防止処理が施されたものや、一部分または全面に塗装や表面印刷が施された熱収縮性フィルム12を用いるものである。このフィルム包装体10には、熱収縮性フィルム12を溶断溶着した溶着部16が、相対する一対の側面に形成されている。そして、相対する溶着部16をつなぐように、フィルム包装体10の一表面を横断する状態に熱収縮性フィルム12の側縁部12a同士が重ね合わされている。
【0013】
この重ね合わせた箇所には、熱可塑性の接着剤18が印刷又は塗布され、重ね合わせ部20が接着されている。なお、重ね合わせ部20では、接着剤18が設けられていない側の側縁部12aの重ね合わせ端には、僅かに接着されない隙間20aが形成される。
【0014】
商品14の包装には、図2に示すような包装装置22を用いる。包装に使用する熱収縮性フィルム12は、二つ折りにされている。また、熱収縮性フィルム12の側縁部12a同士が重なり合う際に、下側に位置する方の表面側の側縁部12aに沿って、熱可塑性の接着剤18が印刷または塗布されている。そして、熱収縮性フィルム12は、ロール状に巻かれた図示しないフィルムロールから繰り出されるもので、図示しないフィルム送り装置に取り付けられている。図示しないフィルムロールに平行な位置には、フィルム転向用ローラ24を備える。フィルム転向用ローラ24の下方には、筒状をしたフィルム成形器26が設けられている。このフィルム成形器26の中を貫通するように、ベルトコンベア28が設置されており、ベルトコンベア28の終端近傍の下方には、図示しないフィルム繰り出しローラと一対の受けローラが設けられている。このフィルム繰り出しローラは、図示しないモータにより駆動され、熱収縮性フィルム12をベルトコンベア28と等しい速度で引いて、熱収縮性フィルム12を繰り出し可能に形成されている。また、フィルム繰り出しローラは、重ねられた熱収縮性フィルム12の側縁部12aを受けローラに押圧可能に形成されている。
【0015】
ベルトコンベア28の終端には、溶断溶着装置30が位置している。溶断溶着装置30は、例えば細い柱体が互いに平行に対向した状態で、熱収縮性フィルム12を挟むように設置され、互いに対向した柱体相対面の一方には発熱体と溶断溶着刃等が設けられている。そして、包装装置22の先には、図示しないヒートトンネルが設けられている。
【0016】
次に、この実施形態の包装方法について、以下に説明する。この実施形態の包装方法では、図2に示す包装装置22を用いて商品14が包装される。この包装装置22では、包装に使用する二つ折りにされた熱収縮性フィルム12が、図示しないフィルムロールより送られて、フィルム転向用ローラ24により熱収縮性フィルム12が90°転向される。フィルム転向用ローラ24のフィルム送り方向下流側では、その送り方向下流側のフィルム成形器26により表裏が反転され、筒状に成形される。この筒状に成形された熱収縮性フィルム12内に、ベルトコンベア28により商品14が搬入され、商品14を筒状の熱収縮性フィルム12で包み込んだ状態にする。筒状に成形され、商品14を包んだ熱収縮性フィルム12の長手方向の両側縁部12aは、互いに重ね合わせられる。そして、図示しないフィルム繰り出しローラと受けローラにより挟まれ、重ね合わせ部20が形成される。ベルトコンベア28の終端に商品14が来ると、商品14の前端部が熱収縮性フィルム12の溶着部16を押し、商品14が溶断溶着装置30を通過すると、商品14の後端部の熱収縮性フィルム12が溶断溶着される。次に、図示しないヒートトンネル内を通過させると、商品14を包装した熱収縮性フィルム12が熱収縮する。同時に、熱可塑性の接着剤18により重ね合わせ部20が接着される。これにより、ヒートトンネル内で熱収縮性フィルム12が商品14に密着し、熱収縮性フィルム12の重ね合わせ部20も隙間なく接着状態を維持し、商品14の包装が完了する。
【0017】
この実施形態のフィルム包装体と包装方法によれば、帯電防止処理が施された熱収縮性フィルム12や、一部分または全面に帯電防止剤を含む塗装や表面印刷が施された熱収縮性フィルム12により商品14を包み、熱収縮させて包装しても、重ね合わせ部20が熱可塑性の接着剤18により接着されているので、熱収縮に際して、熱収縮性フィルム12の重ね合わせ部20が開いたりせず、確実にきれいに商品14を包装することができるものである。
【0018】
接着剤18は、印刷により設けることによって、薄く形成することができ、目立たず外観が良いものとなる。また、接着剤18を、熱収縮性フィルム12の印刷が施された表面側に形成することにより、他の印刷工程と同様に印刷することができ、効率良く設けることができる。
【0019】
その他、重ね合わせる側縁部12aに印刷又は塗布する接着剤18は、図3に示すように、一定のパターンを描くように塗布しても良い。この場合、熱収縮性フィルム12を重ね合わせて接着する接着剤18を節約でき、効率よく熱収縮性フィルム12の側縁部12a同士を接着でき、より容易に剥離可能にしたい場合に好ましいものである。さらに、図3に示すように、熱収縮性フィルム12の側縁部12aに接着剤18を印刷又は塗布する場合、重ね合わせ部20上側の裏面側縁部12aに沿って、熱可塑性の接着剤18を設けると、側縁部12a同士の接着後、捲れが発生し難くなお良い。
【0020】
なお、この発明のフィルム包装体と包装方法は上記実施形態に限定されるものではなく、帯電防止効果を有するフィルムであっても、包装装置のベルトコンベア下方に帯電装置などを設け帯電させて側縁部を重ね合わせると、接着剤が接着するまで静電的な密着性が僅かながら発揮され、さらに良い。また、熱収縮性フィルムの重ね合わせ部分に、熱可塑性接着剤をパターン塗布する場合のパターンは、適宜設定可能なものである。フィルムの形態も、二つ折りフィルムではないフィルムでも良く、ロール状に巻かれたフィルムをフィルム成形器により筒状に形成して、商品を包装可能なものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の第一実施形態のフィルム包装体を示す概略斜視図である。
【図2】この実施形態の包装方法に用いる包装装置の概略斜視図である。
【図3】この実施形態のフィルム包装体の変形例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10 フィルム包装体
12 熱収縮性フィルム
12a 側縁部
14 商品
16 溶着部
18 接着剤
20 重ね合わせ部
20a 隙間
22 溶断溶着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性フィルムにより商品を筒状に巻いて包装したフィルム包装体において、前記熱収縮性フィルムは帯電防止機能が付加され、前記熱収縮性フィルムの一側縁部の表面又は裏面に熱可塑性樹脂から成る接着剤が設けられ、前記熱収縮フィルムの側縁部同士が重なり合う部分で、前記接着剤により前記熱収縮性フィルムの側縁部同士が接着状態で前記商品が包装されていることを特徴とするフィルム包装体。
【請求項2】
前記熱収縮性フィルムの表面には、一部分または全面に、印刷や塗装が施されていることを特徴とする請求項1記載のフィルム包装体。
【請求項3】
前記接着剤は、前記熱収縮フィルムの側縁部同士が重なり合う部分で、上側に位置する前記熱収縮性フィルム側縁部裏面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項4】
前記接着剤は、重なり合う前記熱収縮性フィルム側縁部の一方の側端に沿って一定パターンにより部分的に設けられ、前記熱収縮性フィルム側縁部同士が接着されていることを特徴とする請求項1または3記載の包装体。
【請求項5】
熱収縮性フィルムにより商品を筒状に巻いて包装するフィルム包装方法において、前記熱収縮性フィルムは帯電防止機能が付加され、前記熱収縮性フィルムの一側縁部に熱可塑性樹脂から成る接着剤を塗布し、前記熱収縮フィルムの側縁部同士を重ね合わせ、この後加熱して、前記接着剤により前記熱収縮性フィルムの側縁部同士を接着させるとともに前記熱収縮性フィルムを熱収縮させ、前記商品を包装することを特徴とする包装方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−106469(P2007−106469A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300645(P2005−300645)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000135575)株式会社ハナガタ (8)
【Fターム(参考)】