説明

フィルム包装体

【課題】 刃物でフィルムをカットして開封されるフィルム包装体において、開封時に刃物によってフィルム内部の被包装物に傷がつくことを防止することができるフィルム包装体を提供する。
【解決手段】 複数の被包装物2がフィルム5で一括包装され、刃物でフィルム5がカットされて開封されるフィルム包装体において、被包装物2とフィルム5との間には、開封時に刃物から被包装物2を保護するための保護部材6が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被包装物がフィルムで一括包装されたフィルム包装体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ポリエチレンテレフタレート製ボトル(PETボトル)入りの飲料は、例えば4本や6本まとめてシュリンク包装(マルチパック包装)されて販売されることがある。かかるPETボトルのマルチパック包装体を輸送する際には、コンテナ(パレット)上にマルチパック包装体を整列配置しながら順次仕切板を介して段積みしていく。そして、コンテナ上に段積みされた複数段のマルチパック包装体を仕切板を含めてまとめてストレッチフィルムで巻回して一体化して輸送することが行われる。そして、開封時には巻回されているストレッチフィルムをカッターナイフで縦方向に切断し、個々のマルチパック包装体に分離して配送、陳列、販売等する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、伸縮性を有し密着性の良いストレッチフィルムをシュリンク包装されたマルチパック包装体の表面に巻回しているため、シュリンクフィルムとストレッチフィルムが密着した部分が多く、開封時にカッターナイフでストレッチフィルムをカットする際、誤ってカッターナイフを深く入れると内部のマルチパック包装体のシュリンク包装にも傷が入るため、マルチパック包装体のシュリンク包装に傷を入れることなく開封する作業は難しく時間を要するものであった。
【0004】
また、このような問題は、6本入りのマルチパック包装体についても同様であって、マルチパック包装体のシュリンク包装をカッターナイフで切断して個々のPETボトルに分離して販売する際に、誤ってカッターナイフでPETボトル自体に傷を入れるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされ、カッターナイフ等の刃物でフィルムをカットして開封されるフィルム包装体において、開封時に刃物によってフィルム内部の被包装物に傷がつくことを防止することができるフィルム包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係るフィルム包装体は、複数の被包装物がフィルムで一括包装され、刃物でフィルムがカットされて開封されるフィルム包装体において、被包装物とフィルムとの間には、開封時に刃物から被包装物を保護するための保護部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
該構成のフィルム包装体にあっては、被包装物とフィルムとの間に保護部材が設けられているので、開封時に刃物でフィルムをカットする際には保護部材が設けられている位置に刃物を押し当ててフィルムをカットすることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明に係るフィルム包装体にあっては、保護部材が設けられている位置にカッターナイフ等の刃物を押し当ててフィルムをカットすることができるため、開封時に刃物によって被包装物が傷つくということが確実に防止されるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係るフィルム包装体の一実施形態について、図1を図面を参酌しつつ説明する。
図1に示すフィルム包装体は、例えば6本のPETボトル1(飲料入りPETボトル)がシュリンク包装されたマルチパック包装体2(縦二列横三列)を被包装物とし、そのマルチパック包装体2が、コンテナ3上に配置された仕切板4上に平面視略正方形となるように縦横整列して集積配置され、その上に更に仕切板4が置かれ、その仕切板4上に一段目と同様にして二段目が集積配置され、以下同様に合計四段、段積みにされたものである。尚、最上段のマルチパック包装体2上にも仕切板4が置かれており、各段のマルチパック包装体2は、それぞれ仕切板4で上下に挟み込まれた状態となっている。尚、仕切板4は、各PETボトル1のキャップ上に載置されている。
【0010】
このように輸送用に段積みされたマルチパック包装体2は、仕切板4と共に周囲をストレッチフィルム5を引き伸ばしながら複数回巻回されるようにしてその弾性力によって一括包装され一体化されている。ストレッチフィルム5で巻回する際に、段積みしたマルチパック包装体2の周囲の所定位置に、開封時にカッターナイフ等の刃物からマルチパック包装体2のシュリンクフィルムを保護するための保護部材6をおき、その外側からストレッチフィルム5を巻回している。
【0011】
この保護部材6は、最も上の仕切板4から最も下の仕切板4まで橋渡しするように上下に延びており、形状や材質は種々のものを使用できるが、例えば、幅一定の板状であって、厚紙や段ボールやプラスチック板や金属板等から構成される。尚、図2(イ),(ロ)のように、板状の保護部材6の外面にカッターナイフのガイドとなる凹溝10を長手方向に沿って形成してもよい(刃物の案内構造)。該凹溝10は、図2(イ)のように水平断面視矩形の他、図2(ロ)のようなV字状であってもよい。また、凹溝10の個数も一つに限らず図2(ロ)のように複数(例えば二箇所)設けてもよい。更に、凹溝10に代えて、図2(ハ)のように、凸条11を一条あるいは複数条形成してカッターナイフのガイドとしてもよい。また更に、図2(ニ)のように、保護部材6の一面に段差部12を設けてその段差部12をカッターナイフのガイドとしてもよい。また、保護部材6は、平板状の他にも例えば図2(ホ)のように水平断面視コの字状のものとすることができ、ストレッチフィルム5をコの字状のくぼみで浮かせてカッターナイフの刃入れがしやすくして作業負担を軽減できる。更に、図2(ヘ)のように保護部材6を水平断面視三角形としてもよく、カッターナイフの刃入れを矢印のように二方向から行うことができる。尚、保護部材6の材質に関しても、各マルチパック包装体2や仕切板4の表面(側面)の凹凸に沿って変形可能なフレキシブル材料(例えば、凹溝を有する樹脂製の棒状体であってその凹溝の底にカッターナイフの刃で切れない金属板があるもの)でもよく、このようなフレキシブル材料によりストレッチフィルム5の弾性力による一体包装(結束力)が損なわれない。
【0012】
また、保護部材6は種々の箇所に設けることができ、図1に示すように平面視略正方形状に段積みしたマルチパック包装体2の一側面中央の他にも、側面のうちのコーナーに近い箇所等であってもよい。更に、例えば、図3(イ)のように水平断面視三角形の保護部材6をコーナーに設置することもできる。図3(イ)の場合、直角二等辺三角形の直角の頂点6aがコーナーに位置するように保護部材6を設置することで、矢印のように二方向から刃入れを行うことができる。また、図3(ロ)も同様であるが、保護部材6の二面にそれぞれ刃入れの際のガイドとなる凹溝10を形成したものである。また更に、図3(ハ)のように保護部材6の二面の間の角度を例えば60度としてストレッチフィルム5と保護部材6の二面との間に隙間をあけるようにしてもよい。これらの形態では保護部材6の異なる二面に刃物が入れられ開封性を向上できる。
【0013】
また、保護部材6の裏面に貼着層を設ける構成とし、被包装物である段積みしたマルチパック包装体2に保護部材6を貼着層にて仮固定した状態で全体をストレッチフィルム5で巻回することもできる。この形態では保護部材6の設置作業が容易となる。
【0014】
以上のように構成されるフィルム包装体にあっては、巻回されたストレッチフィルム5の内側に保護部材6が設けられているので、開封時にはこの保護部材6にカッターナイフ等の刃物が当たるようにしてストレッチフィルム5を上下方向にカットすることができる。従って、保護部材6がカッターナイフ等の刃物からマルチパック包装体2を保護し、マルチパック包装体2のシュリンクフィルムが傷つくことを防止できる。
【0015】
尚、本実施形態においては、6本入りのマルチパック包装体2を被包装物としてそれを一括包装するストレッチフィルム5をカットする場合について説明したが、マルチパック包装体2の個々のPETボトル1を被包装物とし、それをシュリンク包装するシュリンクフィルムをカッターナイフ等の刃物でカットする場合も同様である。その場合、マルチパック包装体2においてシュリンクフィルムとPETボトル1との間に保護部材6を介在させておけば、その保護部材6の位置にカッターナイフ等の刃物を押し当ててシュリンクフィルムをカットすることでPETボトル1の傷つきを防止できる。このように、被包装物としては上述したもののには限定されず種々のものを被包装物とすることができる。
【0016】
尚、板状の保護部材6を正面から見て斜めに配置して開封性を向上させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルム包装体を示し、(イ)は平面図、(ロ)は正面から見た断面図。
【図2】(イ)乃至(ヘ)は、本発明の他の実施形態に係るフィルム包装体に使用される保護部材を示す水平断面図。
【図3】(イ)乃至(ハ)は、本発明の他の実施形態に係るフィルム包装体の要部水平断面図。
【符号の説明】
【0018】
1…PETボトル、2…マルチパック包装体、3…コンテナ、4…仕切板、5…ストレッチフィルム、6…保護部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被包装物がフィルムで一括包装され、刃物でフィルムがカットされて開封されるフィルム包装体において、
被包装物とフィルムとの間には、開封時に刃物から被包装物を保護するための保護部材が設けられていることを特徴とするフィルム包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−62679(P2006−62679A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244941(P2004−244941)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】