説明

フィルム巻取用ガイド

【課題】フィルムの付着や損傷の発生を抑え、フィルム巻き取りの歩留まりを向上させることができるフィルム巻取用ガイドを提供する。
【解決手段】フィルム巻取用ガイド1では、円板状の本体部2の一方面2a側に離型性を有するシート材3が設けられている。これにより、フィルムFの巻き取りに際し、フィルムFがガイド1,1間の内側面に付着することを抑制できる。また、フィルム巻取用ガイド1では、シート材3の外周縁3bが本体部2の外周縁2cからはみ出た状態となっている。これにより、本体部2においてフィルムF側に位置する外周縁2cがシート材3のはみ出し部分によって隠れることとなり、外周縁2cに巻き取り中のフィルムFが当たったとしても、フィルムFに損傷が生じることを抑制できる。したがって、フィルム巻き取りの歩留まりを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを巻き取る際に用いられるフィルム巻取用ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムを巻き取る際には、巻取装置が用いられている(例えば特許文献1参照)。巻取装置の巻取軸には、フィルムの幅に応じて複数のフィルム巻取用ガイドが複数固定されており、巻取軸が高速で回転することによって、フィルム巻取用ガイド間でフィルムの巻重体が形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3627155号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したフィルム巻取用ガイドの形成には、ある程度の強度を確保する観点からアクリル板が用いられてきた。しかしながら、このようなフィルム巻取用ガイドでは、巻き取り中のフィルムが内側面に付着し、巻き取り不良が発生する場合があった。また、フィルム巻取用ガイドの外周縁に巻き取り中のフィルムが当たると、フィルムの損傷(粘着層の剥離など)が生じる場合があった。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、フィルムの付着や損傷の発生を抑え、フィルム巻き取りの歩留まりを向上させることができるフィルム巻取用ガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係るフィルム巻取用ガイドは、巻取装置の巻取軸に取り付けられ、フィルムの巻き取りに用いられるフィルム巻取用ガイドであって、巻取軸を通す開口部が形成された円板状の本体部と、離型性を有すると共に、本体部の外周縁からはみ出るように本体部の少なくとも一方面側に設けられたシート材と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このフィルム巻取用ガイドでは、円板状の本体部の少なくとも一方面側に離型性を有するシート材が設けられている。これにより、フィルムの巻き取りに際し、巻き取り中のフィルムが内側面に付着することを抑制できる。さらに、タック性を有するフィルムを巻き取る際にも、フィルムが内側面に付着することを十分に抑制することが可能となる。また、このフィルム巻取用ガイドでは、シート材が本体部の外周縁からはみ出るように本体部の一方面側に設けられている。これにより、本体部の外周縁がシート材のはみ出し部分によって隠れることとなり、本体部の外周縁に巻き取り中のフィルムが当たったとしても、フィルムに損傷が生じることを抑制できる。したがって、このフィルム巻取用ガイドを用いてフィルムの巻き取りを行えば、フィルム巻き取りの歩留まりを向上させることができる。
【0008】
また、シート材の摩擦抵抗が前記本体部の摩擦抵抗よりも小さいことが好ましい。この場合、フィルム巻取用ガイドを長期間使用した場合であっても、シート材の離型性が損なわれにくくなる。
【0009】
また、シート材の硬度が前記本体部の硬度よりも小さいことが好ましい。この場合、フィルム巻取用ガイドの外周縁に巻き取り中のフィルムが当たったとしても、フィルムに損傷が生じることをより確実に抑制できる。
【0010】
また、本体部の外周縁からのシート材のはみ出し量が本体部の厚さと略同等であることが好ましい。シート材のはみ出し量が過剰になると、フィルムを巻き取る際のガイドとしての機能が損なわれるおそれがある。したがって、シート材のはみ出し量を本体部の厚さと略同等とすることによって、ガイドとしての機能を維持しつつ、フィルムの損傷を抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィルムの付着や損傷の発生を抑え、フィルム巻き取りの歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルム巻取用ガイドの使用状態を示す図である。
【図2】図1に示したフィルム巻取用ガイドの平面図である。
【図3】図2の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るフィルム巻取用ガイドの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルム巻取用ガイドの使用状態を示す図である。同図に示すように、フィルム巻取用ガイド1は、巻取装置の巻取軸Kに取り付けられている。フィルム巻取用ガイド1は、フィルムFの幅に応じた間隔で、各フィルムFの両側に配置されている。これにより、巻取軸Kが高速で回転すると、フィルム巻取用ガイド1,1間でフィルムFの巻重体が形成される。
【0015】
フィルムFは、タック性を有する長尺幅細のフィルムである。このようなフィルムとしては、例えばフィルム基材の一方面に接着剤層を備えてなるダイボンディングフィルム・異方導電フィルム等が挙げられる。フィルムFの長さは、例えば100m程度となっており、フィルムの幅は、例えば2.0mm〜15.0mm程度となっている。
【0016】
図2は、上述したフィルム巻取用ガイド1の平面図である。また、図3は、その側面図である。図2及び図3に示すように、フィルム巻取用ガイド1は、円板状の本体部2と、本体部2の一方面2a側に設けられたシート材とによって構成されている。
【0017】
本体部2は、フィルムFをガイドするために十分な強度を有すると共に、加工容易性を有する材料によって形成されている。このような材料としては、例えばアクリルなどが挙げられる。本体部2の中央部分には、巻取軸Kを挿通させる円形の開口部2bが設けられている。本体部2の直径は、例えば14cm〜16cmとなっており、本体部2の厚さは例えば1mm程度となっている。
【0018】
シート材3は、離型性を有すると共に、本体部2よりも摩擦抵抗が小さく、更に本体部2よりも硬度が小さい材料によって形成されている。このような材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。シート材3は、本体部2よりも直径が1mm程度大きい円形状をなしている。また、シート材3の厚さは、例えば0.05mm〜0.15mm程度となっている。シート材3の中央部分には、例えば本体部2の開口部2bと略同径の円形の開口部3aが形成されている。このシート材3は、本体部2と同心となるように、本体部2の一方面2a側に貼り付けられている。これにより、シート材3の外周縁3bは、その全周にわたって、本体部2の厚さと略同等の長さで本体部2の外周縁2cからはみ出た状態となっている。
【0019】
このようなフィルム巻取用ガイド1では、円板状の本体部2の一方面2a側に離型性を有するシート材3が設けられている。このフィルム巻取用ガイド1を巻取装置の巻取軸Kに装着することにより、フィルムFの巻き取りに際し、巻き取り中のフィルムFがガイド1,1間の内側面に付着することを抑制できる。
【0020】
また、このフィルム巻取用ガイド1では、シート材3の外周縁3bが本体部2の外周縁2cからはみ出た状態となっている。これにより、本体部2においてフィルムF側に位置する外周縁2cがシート材3のはみ出し部分によって隠れることとなり、外周縁2c(特に角部)に巻き取り中のフィルムFが当たったとしても、フィルムFに損傷が生じることを抑制できる。したがって、このフィルム巻取用ガイド1を用いてフィルムFの巻き取りを行えば、フィルム巻き取りの歩留まりを向上させることができる。
【0021】
また、フィルム巻取用ガイド1では、シート材3の摩擦抵抗が本体部2の摩擦抵抗よりも小さくなっている。これにより、フィルム巻取用ガイドを長期間使用した場合であっても、シート材の離型性が損なわれにくくなっている。また、フィルム巻取用ガイド1では、シート材3の硬度が本体部2の硬度よりも小さくなっている。したがって、外周縁2cに巻き取り中のフィルムFが当たったとしても、フィルムFに損傷が生じることをより確実に抑制できる。
【0022】
また、フィルム巻取用ガイド1では、本体部2の外周縁2cからのシート材3のはみ出し量が本体部2の厚さと略同等となっている。シート材3のはみ出し量が過剰になると、フィルムFを巻き取る際のガイドとしての機能が損なわれるおそれがある。したがって、シート材3のはみ出し量を本体部2の厚さと略同等とすることによって、ガイドとしての機能を維持しつつ、フィルムFの損傷を抑制できる。
【0023】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では本体部2の一方面2aのみにシート材3を設けているが、本体部2の両面にシート材3を設けるようにしてもよい。また、上述した実施形態では、シート材3の外周縁3bが全周にわたって本体部2の外周縁2cからはみ出た状態となっているが、シート材3の外周縁3bの一部だけが本体部2の外周縁2cからはみ出ていてもよい。また、本体部2の外周縁2cからはみ出たシート材3の外周縁3bの全周にわたって所定の間隔で切り込みを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1…フィルム巻取用ガイド、2…本体部、2a…一方面、2b…開口部、2c…外周縁、3…シート材、3a…開口部、3b…外周縁、F…フィルム、K…巻取軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取装置の巻取軸に取り付けられ、フィルムの巻き取りに用いられるフィルム巻取用ガイドであって、
前記巻取軸を通す開口部が形成された円板状の本体部と、
離型性を有すると共に、前記本体部の外周縁からはみ出るように前記本体部の少なくとも一方面側に設けられたシート材と、を備えたことを特徴とするフィルム巻取用ガイド。
【請求項2】
前記シート材の摩擦抵抗が前記本体部の摩擦抵抗よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のフィルム巻取用ガイド。
【請求項3】
前記シート材の硬度が前記本体部の硬度よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2記載のフィルム巻取用ガイド。
【請求項4】
前記本体部の外周縁からの前記シート材のはみ出し量が前記本体部の厚さと略同等であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のフィルム巻取用ガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−213449(P2011−213449A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83218(P2010−83218)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】