説明

フィルム接合装置

【課題】 準備作業の安全性を高め、また稼働効率を高める。
【解決手段】 フィルム接合ユニット3は、供給部P1にセットしたフィルムカートリッジ12のリールRからフィルムFを引出してラミネート装置1に給送しながらその残量が減ると、待機部P2にセットしたフィルムカートリッジ12からフィルムFを引出して先行フィルムFaに接合するように構成されている。フィルムカートリッジ12には、フィルム押えユニット24が設けられており、リールRから後続フィルム先端を引出してこのフィルム押えユニット24により仮止めしておくと、フィルム接合時には、フィルム引出し装置15のエアチャック46によりこのフィルム先端が挟持されて所定の接合作業高さ位置まで後続フィルムFbが引出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リールに巻回された帯状フィルムを引出しながら包装等に使用し、その残存量が減少した際に別途待機しているフィルムを現在引出し中のフィルムに接合するフィルム接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、帯状フィルムを巻回したリールを支持し、このリールからフィルムを引出しながら包装機等に給送するようにし、当該リールの残存量が減少すると、別途待機しているリールから引出したフィルムの先端を先行フィルムに重ね合わせて加熱融着することにより連続的にフィルムを供給できるようにしたフィルム接合装置が一般に知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平5−51853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の装置では、フィルムの接合作業に先立ち、予め後続フィルムの先端を加熱融着装置が配置されている接合作業位置まで引出して配置しておく必要がある。
【0004】
この点に関し、上記特許文献1に開示される従来装置では、オペレータが後続フィルムをリールから引出しつつ多数のガイドローラに掛け渡し、さらに手動のエアバルブを操作しながらフィルム先端にエアを吹き付けることにより該先端を一対のシーラ(加熱融着装置)の間に送り込むように構成されており、次のような問題がある。すなわち、オペレータが装置内にアクセスする機会が多く、作業の安全性を確保する上で好ましいと言い難い。また、後続フィルムの準備作業の間は装置を停止させて行うが、多数のガイドローラに先行フィルムを引き回す必要がある従来装置では停止時間が長くなり、これが稼働効率を低下させる1つの原因となる。その上、シーラ(加熱融着装置)間に送り込まれる後続フィルムの先端がフリーな状態のため、例えば先端部分が折れ曲がったりシワを伴うなどして接合不良を誘発するおそれもある。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、先行フィルムと後続フィルムの接合動作を確実、かつ適切に行わせる一方で、準備作業の安全性を高め、また稼働効率を高めることができるフィルム接合装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のフィルム接合装置は、フィルムが巻回された一対のリールをそれぞれ支持する支持部と、前記各支持部に支持されるリールから引出されるフィルム同士を接合する接合手段とを有し、前記各支持部のうち一方側から引出されて給送される先行フィルムに対して、他方側の支持部から前記先行フィルムと同じ向きに、かつ該先行フィルムとほぼ平行に引出される後続フィルムを重ね合わせて前記接合手段により両フィルムを接合するフィルム接合装置において、フィルムを保持可能なチャックとこのチャックを移動させる移動機構とを具備したフィルムの引出し手段を有し、この引出し手段は、前記チャックにより後続フィルムの先端部分を保持し、この状態で当該チャックが移動することにより前記支持部から後続フィルムを引出しつつ当該後続フィルムのうち先行フィルムに対する接合箇所を前記接合手段による接合作業位置まで移動させるように構成されているものである(請求項1)。
【0007】
このフィルム接合装置によると、支持部にリールをセットして後続フィルムの先端を前記チャックにより保持させれば、このチャックの移動に伴い後続フィルムが所定の接合作業位置まで引出されることとなる。そのため、オペレータは、後続フィルムの準備として、支持部にリールをセットし、当該フィルムの先端を引出してチャックに保持させるという簡単な作業を行うだけで済むようになる。
【0008】
この装置においては、前記支持部のうち後続フィルムを引出す側の支持部に、リールから引出した後続フィルムの先端部分を仮止めする仮止手段が設けられ、前記引出し手段が、この仮止手段に仮止めされている後続フィルムの先端部分を前記チャックにより保持して当該仮止手段から取外した後、当該後続フィルムを前記支持部から引出すように構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0009】
この構成によれば、後続フィルムの先端を仮止手段により仮止めしておけば、前記チャックが後続フィルムの先端部分を保持して当該フィルムを支持部から引出すこととなる。そのため、オペレータは、チャックの作動位置等に囚われることなく後続フィルムの準備を進めることが可能となる。
【0010】
また、上記装置においては、前記引出し手段により支持部から引出された後続フィルムを前記先行フィルム側とは反対側から負圧吸着することにより保持する吸着部とこの吸着部を移動させる移動機構とを具備した吸着保持手段を有し、この吸着保持手段は、前記接合手段によるフィルム接合の際に、前記吸着部により後続フィルムを吸着保持し、この状態で当該吸着部が移動することにより後続フィルムを先行フィルムに重ね合わせるように構成されているのがより好ましい(請求項3)。
【0011】
後続フィルムは、先行フィルムに対してより接近した位置に引出す方が、両フィルムを接合する上で都合がよい。ところが、上記のような引出し手段を設ける場合、移動機構との関係で先行フィルムに対して後続フィルムを接近させた状態で引出すことが難しい場合が生じる。この点、上記のような構成によると、引出された後続フィルムと先行フィルムとが離間しているような場合でも、両フィルム接合の際には、引出された後続フィルムが吸着保持手段により吸着保持されて先行フィルムに近づけられるので、両フィルムを適切、かつ確実に重ね合わせてフィルム同士を接合することが可能となる。
【0012】
また、上記装置においては、前記一対の支持部からそれぞれ上下方向にフィルムを引出すように構成されているのが好ましい(請求項4)。
【0013】
このような構成によると、後続フィルムを引出す際には、その自重によりフィルムの長手方向に張力が働くため、撓みやシワを伴うことなく良好に後続フィルムを引出すことが可能となる。
【0014】
また、前記引出し手段のチャックは一対の平行爪を有し、これら平行爪で後続フィルムをその厚み方向に挟持することにより該後続フィルムを保持するように構成されているのが好ましい(請求項5)。
【0015】
この構成によると、シワなどを伴うこなく後続フィルムの先端部分を確実に保持した状態で該フィルムを引出すことが可能となる。
【0016】
なお、このフィルム接合装置においては、前記リールを支持するリール支持軸と前記仮止手段とを一体に備えたフィルムカートリッジを有し、このフィルムカートリッジが前記支持部に対して着脱可能に設けられているのが好ましい(請求項6)。
【0017】
この構成では、フィルムカートリッジが支持部に装着されることにより、前記を支持するためのリール支持軸および前記仮止手段が支持部に設けられる。従って、リール支持軸にリールを装着し、さらにフィルムの先端部分を仮止手段により仮止めした状態のフィルムカートリッジを装置外で事前に準備しておけば、リール交換が必要な場合には、カートリッジごと交換するだけでリールの交換作業を速やかに進めることが可能となる。
【0018】
この場合、前記リール支持軸にリールが装着され、かつフィルムの先端部分が引出されて前記仮止手段により仮止めされた状態の未使用フィルムカートリッジを収納するカートリッジ収納部と、前記支持部に装着され、かつフィルムの残存量が一定量以下まで減少した状態の使用済みフィルムカートリッジを前記カートリッジ収納部に収納されている未使用フィルムカートリッジと入れ替える入れ替え手段とを備えているのが好ましい(請求項7)。
【0019】
この構成によれば、フィルムカートリッジの入れ替え作業の自動化を進めることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜7に係るフィルム接合装置によると、後続フィルムの準備作業として、オペレータは支持部にリールをセットし、このリールからフィルム先端を僅かに引出してチャックに保持させる、あるいは仮止手段により仮止めするといういたって簡単な作業を行うだけで済む。そのため、オペレータが装置内にアクセスする機会が大幅に軽減されることとなり、後続フィルムの準備作業をより安全に行うことができるようになる。また、後続フィルムの準備のために装置を停止させておく時間を短縮でき、あるいは装置を全く停止させることなく後続フィルムの準備を進めることが可能となるため、フィルム接合装置の稼働効率を高めることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係るフィルム接合装置について図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本発明のフィルム接合装置が適用されるフィルム貼付装置の全体構成を模式的に示している。この図に示すフィルム貼付装置は、アルコール飲料や清涼飲料用のアルミ缶に商品名称等の表示が印刷されたフィルムをラミネート加工する装置であって、大別するとラミネート装置1とラミネートフィルム供給装置2とから構成されている。
【0023】
ラミネート装置1は、ラミネートフィルム供給装置2から給送される帯状のラミネートフィルムF(以下、フィルムFと略す)、具体的には、商品名称等の表示が連続して印刷され、かつ裏面に熱可塑性の接着層が形成されたフィルムFを缶に巻付けて貼付けるものである。すなわち、このラミネート装置1は、具体的には図示していないが、フィルムFを一缶分毎に定寸切断する切断機構、貼付け機構、およびワークである缶の加熱機構等を有しており、切断されたフィルムと缶とを同期させて前記貼付け機構に供給することにより缶の表面にフィルムを貼付けるように構成されている。
【0024】
前記ラミネートフィルム供給装置2は、フィルムFが巻回されたリールRを支持し、このリールRからフィルムFを引出しながら前記ラミネート装置1に供給するものである。
【0025】
このラミネートフィルム供給装置2には、フィルム接合ユニット3が組込まれるとともにリール交換ユニット4が付設されている。そして、フィルム貼付装置の稼動中は、同図に示すようにフィルム接合ユニット3に2つのリールRを支持し、一方側のリールRからフィルムFを略鉛直上方に引出しながらラミネート装置1に給送しつつ当該リールRの残存量が減少すると、待機している他方側のリールRからフィルムFを引出して先行フィルムFに接合するとともに、リール交換ユニット4により使用済みのリールRを未使用のものと自動交換し、これによりラミネート装置1に対してフィルムFを連続的に給送し得るように構成されている。なお、当実施形態では、フィルム接合ユニット3およびリール交換ユニット4が本発明のフィルム接合装置に相当する。
【0026】
以下、このフィルム接合ユニット3およびフィルム交換ユニット4の構成について図2〜図5を用いて説明する。
【0027】
図2は、前記フィルム接合ユニット3の構成を示す概略正面図、図3は、フィルム接合ユニット3およびリール交換ユニット4の構成を示す概略平面図である。なお、図2,3には、方向性を明確にするためにX軸、Y軸を表示している。このX軸は、図1に示すようにラミネート装置1とラミネートフィルム供給装置2の並び方向で、Y軸は、水平面上でX軸と直交する方向(図1,2では紙面に直交する方向)である。
【0028】
フィルム接合ユニット3は、その基台上に櫓状に設けられる図外のフレーム本体を有しており、このフレーム本体に、リールRを支持するフィルムカートリッジ12(図2にのみ図示)と、フィルムFを接合するための第1〜第3の単位ユニット11A〜11C(第1ユニット11A,第2ユニット11B,第3ユニット11Cという)とを備えている。
【0029】
フィルムカートリッジ12は、図4に示すように略正方形のベース20を有し、このベース20上に立設される支持板21に、水平に延びるY軸方向のフィルムリールシャフト22(本発明のリール支持軸に相当;以下、シャフト22と略す)を有している。そして、このシャフト22によりリールRを着脱可能に支持するようになっている。
【0030】
支持板21には、リールRから引出されたフィルムFを案内するための3つのガイドローラ23a〜23cが前記シャフト22の上方に設けられている。これらのガイドローラ23a〜23cのうち、下側2つのガイドローラ23a,23bは僅かの段差を持ってX軸方向に並べて設けられており、残りのガイドローラ23cは、それらの上方に離間して設けられている。そして、下側のガイドローラ23a,23bと上側のガイドローラ23cとの間に本発明の仮止手段に相当するフィルム押えユニット24が設けられている。
【0031】
フィルム押えユニット24は、リールRから引出したフィルムFの先端を仮止めするものである。このフィルム押えユニット24は、前記支持板21に略水平に固定されるテーブル25と、その一端(図4では右端)に設けられる押え部材26とを備えている。そして、リールRから引出されたフィルムFの先端を上記テーブル25上に載せた状態で押え部材26によりクランプすることによって該フィルム先端を仮止めするように構成されている。なお、押え部材26によるフィルムFの仮止め(クランプ)力は、フィルム接合時、後記フィルム引出し装置15の作動によりフィルムFの先端を容易に引き抜くことができる程度に設定されている。
【0032】
図示を省略しているが、上記フィルムカートリッジ12にはさらに、前記シャフト22のブレーキ機構が設けられている。このブレーキ機構は、シャフト22に対して一定の回転負荷を与えるもので、これにより後述するフィルム引出し装置15によるリールRからのフィルムFの引出しの際には、フィルムFに微小な張力を付与し得るようにしている。
【0033】
図2に示すように、フィルム接合ユニット3には、本発明に係る支持部に相当する供給部P1と待機部P2、つまりフィルムFを給送する際にリールRをセットする位置(供給部P1)と次のリールRを待機させる位置(待機部P2)とがX軸方向に横並びに設けられおり、これら供給部P1および待機部P2に前記フィルムカートリッジ12が配置されている。そして、供給部P1にセットされたリールRからフィルムFが引出されつつ前記ラミネート装置1に供給され、この供給部P1のリールRによるフィルムFの供給が終了すると、供給部P1のフィルムカートリッジ12が後述するリール交換ユニット4の可動テーブル78上に引出すとともに待機部P2の次のフィルムカートリッジ12をカートリッジスライド装置131(図5参照)により供給部P1へ移動させるように構成されている。すなわち、供給部P1および待機部P2に対してフィルムカートリッジ12が着脱可能に設けられている。
【0034】
前記第1ユニット11Aは、待機部P2の上方に設けられている。
【0035】
この第1ユニット11Aは、供給部P1のフィルムカートリッジ12から給送されているフィルムF(以下、先行フィルムFaという)に対して待機部P2にあるフィルムカートリッジ12のリールRから引出されたフィルムF(以下、後続フィルムFbという)を接合すべく、当該後続フィルムFbをフィルムカートリッジ12から引出すとともに、後述する第2ユニット11Bと協働して先行フィルムと後続フィルムFbの幅方向の位置合わせ、およびフィルムFa,Fbの接合を行うものである。
【0036】
具体的に説明すると、この第1ユニット11Aは、フィルム接合ユニット3のフレーム本体に対してX軸方向およびY軸方向に移動可能に支持され、かつ第1ユニット駆動装置111A(図5参照)により駆動される第1可動フレーム30を有しており、この第1可動フレーム30に、フィルム吸着・加圧装置14およびフィルム引出し装置15を備えた構成となっている。
【0037】
フィルム引出し装置15は、待機部P2にあるフィルムカートリッジ12から後続フィルムFbを引出すもので、図2及び図3に示すように、Y軸方向に延びる一対の平行爪47を備えた昇降可能なエアチャック46を有し、後続フィルムFbの先端部分を平行爪47によりその厚み方向に挟持することにより保持し、この状態で所定の接合作業高さ位置まで供給部P1から鉛直上方に後続フィルムFbを引出すようになっている。
【0038】
すなわち、第1可動フレーム30には、サーボモータ44により回転駆動される上下方向に延びるボールねじ42と、これと平行なガイドレール(図示省略)が設けられ、前記エアチャック46がこのガイドレールにスライド可能に装着されるとともに、エアチャック46の図外のナット部分が前記ボールねじ42に螺合装着されている。そして、前記サーボモータ44によるボールねじ42の回転に伴いエアチャック46が前記ガイドに沿って昇降し、例えば下降端位置において後続フィルムFbを前記平行爪47により挟持した後、その状態でエアチャック46が上昇することによりフィルムカートリッジ12から後続フィルムFbを引出すようになっている。
【0039】
フィルム吸着・加圧装置14は、フィルム引出し装置15により所定の接合作業高さ位置まで引出された後続フィルムFbのうち接合箇所(先行フィルムFaに接合させる箇所)を吸着保持して先行フィルムFaに押付けるもので、移動可能なヘッド31を有している。
【0040】
このヘッド31は、垂直な加圧面をもつ加圧テーブル32とその上下両側に設けられる一対のバキュームボックス33とを有し、バキュームボックス33により後続フィルムFbを負圧吸着して保持するとともに、フィルム接合時には、加圧テーブル32により後続フィルムFbを先行フィルムFaに対して押圧するように構成されている。
【0041】
このヘッド31は、第1可動フレーム30に対してX軸方向に二段階に移動可能に支持されている。すなわち、第1可動フレーム30には、X軸方向のレール34が設けられ、このレール34に可動テーブル35が移動可能に支持され、第1可動フレーム30に固定されたエアシリンダ39のロッドがこの可動テーブル35に接続されている。また、可動テーブル35に、X軸方向に延びるとともにその軸方向に移動可能に支持される軸状のラック36が設けられ、このラック36の先端(図2では左端)に前記ヘッド31が設けられるとともに、このラック36に、サーボモータ37により回転駆動されるピニオン38が噛合している。そして、前記サーボモータ37によりピニオン38が回転駆動されると、これに伴いヘッド31がラック36と一体に可動テーブル35に対してX軸方向に移動し、他方、エアシリンダ39が作動すると、これに伴い第1可動フレーム30に対して可動テーブル35がX軸方向に移動し、その結果、ヘッド31がX軸方向に二段階に移動するようになっている。なお、当実施形態では、バキュームボックス33(吸着部)および可動テーブル35等(移動機構)が本発明の吸着保持手段に相当する。
【0042】
前記ヘッド31には、さらにフィルム接合時に先行フィルムFaと後続フィルムFbの幅方向(Y軸方向)のずれを検出するための一対のセンサ40a,40bがY軸方向に間隔を隔てて設けられている。これらのセンサ40a,40bは、レーザ光(Y軸方向に幅をもつ平行光)の照射部と受光部とを一体に備えたラインセンサで、前記照射部から後述する第2ユニット11Bに向ってレーザ光を照射し、第2ユニット11Bの後記ミラー54で反射したレーザ光を受光することにより、その検出信号を後記制御装置65に出力するようになっている。
【0043】
これらのセンサ40a,40bは、それぞれ先行フィルムFaと後続フィルムFbとの重ね合わせ部分の端部を含む一定の領域にレーザ光を照射し得るように間隔設定されており、ヘッド31の下側のバキュームボックス33の斜め下後方に配置されている。なお、センサ40a,40bは、例えばフィルムFの幅に基づき、そのエッジが蛇行しても検出が可能となるように間隔設定されている。
【0044】
第2ユニット11Bは、前記フレーム本体に固定的に設けられ、供給部P1の上方であって第1ユニット11Aに対してX軸方向に対向する箇所に配置されている。
【0045】
この第2ユニット11Bには、フィルム接合時に、供給部P1のフィルムカートリッジ12から供給されている先行フィルムFaを、その表面側(図2では左側)から支えながら加熱するためのフィルム加熱装置16と、前記センサ40a,40bから照射されるレーザ光の反射用ミラー54とが搭載されている。
【0046】
前記フィルム加熱装置16は、前記ヘッド31の加圧テーブル32に対向し、かつその加圧面と平行な加熱面をもつ加熱テーブル50と、この加熱テーブル50をフィルム接合ユニット3のフレーム本体に対してX軸方向に進退駆動するエアシリンダ52とを有している。加熱テーブル50の前記加熱面にはヒーターが内蔵されており、フィルム接合時には、加熱テーブル50と前記ヘッド31の加圧テーブル32とによりフィルムFa,Fbを挟持した状態で前記加熱面がヒーター加熱されることにより、フィルムFa,Fbを加熱接着(融着)するように構成されている。
【0047】
つまり、当実施形態では、前記フィルム吸着・加圧装置14およびフィルム加熱装置16等が本発明のフィルム接合手段に相当する。なお、このフィルム接合ユニット3では、前記供給部P1からラミネート装置1に給送される先行フィルムFaは、図2に示すように供給部P1から上方に引出されつつ一定の区間で略鉛直に案内されるようになっており、この鉛直方向の案内部分が接合作業位置とされ、この高さ位置にフィルム加熱装置16等が配置されている。そして、フィルム接合時には、この接合作業位置において後続フィルムFbと先行フィルムFaとがX軸方向に並ぶように上記フィルム引出し装置15により待機部P2から後続フィルムFbが鉛直上方に真っ直ぐに引出されるようになっている。
【0048】
第3ユニット11Cは、上記第2ユニット11Bの下側に設けられている。
【0049】
この第3ユニット11Cは、フィルム接合ユニット3の本体フレームに対してY軸方向に移動可能に支持され、かつ第3ユニット駆動装置111C(図5参照)により駆動される第2可動フレーム55を有しており、このフレーム55に、フィルム切断装置17とブレーキ装置18とを搭載した構成となっている。
【0050】
フィルム切断装置17は、フィルム接合後、不要な先行フィルムFaを切断するもので、詳しく図示していないが、カッターとこれを進退駆動するエアシリンダとを有し、フィルム切断時には、カッターを前進させてその刃先を先行フィルムFaに押し当てることにより先行フィルムFaを切断するように構成されている。
【0051】
ブレーキ装置18は、先行フィルムFaの切断時に該フィルムFaの不要な引出しを阻止してフィルムFaにテンションを与えるもので、先行フィルムFaを挟んで互いに反対側に配置される従動ローラ57aおよび固定ローラ57bからなるブレーキローラ対57と、このブレーキローラ対57のうち固定ローラ57bを従動ローラ57aに対して進退駆動するエアシリンダ58とを備えており、従動ローラ57aに対して固定ローラ57bを進退駆動することにより、両ローラ57a,57bが離間するブレーキ停止状態と、両ローラ57a,57bが密着するブレーキ作動状態とに切換えられるように構成されている。すなわち、フィルム切断時以外は、ブレーキ装置18がブレーキ停止状態とされることにより両ローラ57a,57bの間を通じて先行フィルムFaの給送が可能となる一方、フィルム切断時には、ブレーキ装置18がブレーキ作動状態に切換えられることにより先行フィルムFaが両ローラ57a,57bに挟持され、その結果、先行フィルムFaの不要な引出しが阻止されるとともに、フィルム貼付けおよび切断に必要な適切なテンションを先行フィルムFaに与えるようになっている。
【0052】
一方、リール交換ユニット4は、図3に示すように、上述したフィルム接合ユニット3に対してY軸方向に隣接して設けられている。このリール交換ユニット4は、リールストッカ4aと、このリールストッカ4aとフィルム接合ユニット3との間でフィルムカートリッジ12の入れ替えを行うカートリッジ搬送装置4bとを有している。
【0053】
リールストッカ4aには複数の収納部が設けられており、当実施形態では、同図に示すように4つの収納部75がX軸方向に並べて設けられている。これら収納部75のうち3つの収納部75には、それぞれ未使用のリールRを支持したフィルムカートリッジ12が収納されており、各フィルムカートリッジ12において、リールRからはフィルムFが引出されてその先端が前記フィルム押えユニット24によって仮止めされている。
【0054】
各フィルムカートリッジ12は、それぞれ収納部75に敷設された一対の固定レール76上に載せられた状態で収納されており、この固定レール76に沿って移動させることにより収納部75からフィルム接合ユニット3側(図3では上側)に出し入れできるように構成されている。
【0055】
カートリッジ搬送装置4bは、リールストッカ4aとフィルム接合ユニット3との間の部分に設けられている。このカートリッジ搬送装置4bは、詳しく図示していないが、サーボモータ等の駆動により一対の固定レール77に沿ってX軸方向に移動する可動テーブル78を有している。
【0056】
この可動テーブル78は、リールストッカ4aの各収納部75に対向する位置と、フィルム接合ユニット3の前記供給部P1および待機部P2に対向する位置とに亘って移動可能に設けられている。また、可動テーブル78には、前記収納部75の両固定レール76と等間隔でY軸方向に延びる一対の案内レール79と、エアシリンダ等を駆動源として作動する図外のカートリッジ出入れ機構とが搭載されており、後に詳述するように可動テーブル78とリールストッカ4aの各収納部75又はフィルム接合ユニット3(供給部P1および待機部P2)との間でフィルムカートリッジ12を受け渡しつつ、フィルム接合ユニット3に対してリールRを入れ替えるように構成されている。
【0057】
なお、当実施形態では、上記リールストッカ4aが本発明に係るカートリッジ収納部に相当し、カートリッジ搬送装置4bが本発明に係る入れ替え手段に相当する。
【0058】
図5は、上記のように構成されたフィルム貼付装置の制御系のうち、主にラミネートフィルム供給装置2における前記フィルム接合ユニット3およびリール交換ユニット4を制御する部分の構成をブロック図で示している。
【0059】
この図に示すように、前記フィルム貼付装置は、ラミネート装置1およびラミネートフィルム供給装置2等の動作を制御する制御装置65を有している。
【0060】
この制御装置65は、制御装置本体66(本発明に係る制御手段に相当する)、CRT72およびキーボード73等を備えており、必要に応じてハードディスクや光磁気ディスク等の外部記憶装置が設けられる。
【0061】
前記制御装置本体66は、論理演算を実行する周知のCPU67、そのCPU67を制御する種々のプログラムなどを予め記憶するROM68、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM69、フィルム貼付処理や、後述するフィルム接合処理等を含む種々のプログラムやOSその他のプログラム、さらにフィルム接合処理等に必要な各種データを記憶するHDD70およびI/Oコントローラ(IOC)71等を備え、これらCPU67等が互いに内部バス72により接続された構成となっている。
【0062】
IOC71には、第1〜第3の各ユニット11A〜11Cに搭載される各装置14〜18、第1および第3のユニット駆動装置111A,111C、カートリッジスライド装置131およびカートリッジ搬送装置4b等が接続されており、CPU67からの指令に従い、各装置14〜18と制御装置本体66との間の各種制御信号および各種データ(センサ40a,40bによる検出信号等)の入力がこのIOC71により制御されることにより、前記フィルム接合ユニット3の各装置14〜18等の動作およびリール交換ユニット4の前記カートリッジ搬送装置4bの動作が制御装置本体66により制御されるようになっている。
【0063】
次に、上記制御装置65の制御に基づくフィルム接合ユニット3およびリール交換ユニット4の動作について、図6〜図10を参照しながら説明する。
【0064】
まず、前提としてフィルム接合ユニット3の各装置14〜18およびフィルムカートリッジ12等は図2に示す状態に制御されているものとする。具体的には、
(1)供給部P1のフィルムカートリッジ12から略真上に先行フィルムFaが引出されつつラミネート装置1に給送されている。
【0065】
(2)待機部P2のフィルムカートリッジ12については、リールRから後続フィルムFbが引出されてその先端がフィルム押えユニット24により保持されている。
【0066】
(3)第1ユニット11A
・ フィルム引出し装置15は、所定の高さ位置であって、かつ平行爪47により後続フィルムFbの先端部分をチャック可能な位置、すなわち平行爪47の間に後続フィルムFbが介在するような位置にエアチャック46がセットされている。
【0067】
・ フィルム吸着・加圧装置14は、ヘッド31が進退ストロークの最も後端(図2では右方端)に引き下がった位置にセットされている。
【0068】
(4)第2ユニット11B
・ フィルム加熱装置16は、加熱テーブル50が進退ストロークの最も後端(図2では左方端)に引き下がった位置にセットされている。
【0069】
(5)第3ユニット11C
・ フィルム切断装置17は、給送中の先行フィルムFaに対してカッターが後方(図2では左方)に退避した状態にある。
【0070】
・ ブレーキ装置18は、ブレーキ停止状態とされ、かつフィルムカートリッジ12から引出される先行フィルムFaが両ローラ57a,57bの間を走行し得る位置にセットされている。
【0071】
以上のような状態においてまず供給部P1のフィルムカートリッジ12の残量が予め設定されたリール交換残量に達すると、待機部P2にセットされている待機中のフィルムカートリッジ12から後続フィルムFbが上方に引出されてその長手方向に位置決めされる。
【0072】
詳しくは、図6(a)に示すように、エアチャック46が作動することにより後続フィルムFbの先端が保持され(つまり、後続フィルムFbが平行爪47により挟持され)、その後、ボールねじ42の駆動に伴いエアチャック46が上昇し、これにより後続フィルムFbがリールRから引出されつつその先端がフィルム吸着・加圧装置14の前記ヘッド31よりも上方の高さ位置まで引上げられる。この際、上述したようにフィルムカートリッジ12に組込まれたブレーキ機構によりシャフト22に回転負荷が与えられることにより後続フィルムFbに微小な張力が付与され、その結果、弛みを伴うことなく後続フィルムFbが引出されることとなる。また、この引出しに際しては、エアチャック46によるフィルム保持後、同図の二点鎖線に示すように、第1ユニット駆動装置111Aの作動により第1ユニット11A全体が待機部P2からX軸方向(図6(a)では右方)に移動し、この状態でエアチャック46がフィルムカートリッジ12の所定高さまで上昇する。そして、第1ユニット11AがX軸方向の元の位置にリセットされた後、エアチャック46が最終地点まで上昇する。つまり、このようにエアチャック46(平行爪47)をフィルム押えユニット24に対して迂回させながら上昇させることにより、フィルム押えユニット24と平行爪47との干渉を回避しつつ後続フィルムFbをフィルムカートリッジ12から引出すようになっている。
【0073】
なお、フィルムF(Fa,Fb)にはその縁部に一定間隔でカットマークが記されており、例えばフィルム先端部分の最初のカットマークが図外のセンサに検出される高さ位置までエアチャック46が上昇することにより後続フィルムFbの長手方向の位置決めが行われる。
【0074】
後続フィルムFbの引出しが完了すると、先行フィルムFaの給送が停止されるとともに、第3ユニット11Cのブレーキ装置18がブレーキ停止状態からブレーキ作動状態に切換えられ、先行フィルムFaの長手方向の位置決めが行われる。この位置決めは、後続フィルムFbの場合と同様に、上記カットマークを図外のセンサにより検出することにより行われる。
【0075】
次いで、フィルム吸着・加圧装置14が作動することにより先行フィルムFaに対して後続フィルムFbが重ね合わされ、前記センサ40a,40bにより両フィルムFa,Fbの重ね合わせ部分の検出が行われる。
【0076】
詳しくは、前記サーボモータ37が作動してラック36が前進駆動されることによりヘッド31が可動テーブル35に対して前進し、図6(b)に示すようにバキュームボックス33によりフィルムFが負圧吸着される。吸着後、エアチャック46からフィルム先端が開放され、さらにヘッド31が前進する。これにより図7(a)に示すように、後続フィルムFbの先端部分が先行フィルムFaに重ね合わされる所定の接合待機位置にセットされる。そして、この状態で、前記各センサ40a,40bの照射部から照射されているレーザ光のうち、両フィルムFa,Fbを透過してミラー54で反射した光が受光部で受光されることにより、両フィルムFa,Fbの重ね合わせ部分両端部位におけるレーザ光の受光幅が検出される。
【0077】
そして、これらの受光幅(総受光幅)と予め記憶されている基準値との比較に基づき、両フィルムFa,Fbの幅方向のずれの有無が判別されるとともに、ずれがあると判別された場合には、その補正が行われる。補正は、まず、第1ユニット11AがY軸方向の予め定められた向きに微小時間だけ移動することにより先行フィルムFaに対して後続フィルムFbをそれらの幅方向に相対的に移動させ、移動後、再度両フィルムFa,Fbの重ね合わせ部分における各センサ40a,40bによる受光幅の検出を行わせる。そして、今回の総受光幅と前回の総受光幅との差に基づき先行フィルムFaに対する後続フィルムFbのずれ方向およびずれ量を求め、このずれを是正する方向に第1ユニット11Aを移動させることにより行う。
【0078】
次いで、フィルム接合動作および先行フィルムFaの切断動作が実行される。
【0079】
具体的には、まず、フィルム加熱装置16において加熱テーブル50が前進駆動されることにより、先行フィルムFaに対して加熱テーブル50が押付けられる一方、第1ユニット11Aのフィルム吸着・加圧装置14において、可動テーブル35が前進駆動されることにより加圧テーブル32が後続フィルムFbに押付けられる。これにより図7(b)に示すように両フィルムFa,Fbがテーブル32,50により挟持されるとともに、この状態で加熱テーブル50が加熱され、その結果、後続フィルムFbに形成された接着層により両フィルムFa,Fbが互いに加熱接着される。そして、フィルム切断装置17が作動することにより、同図に示すように、両フィルムFa,Fbの接合部分の若干下側で先行フィルムFaが切断される。
【0080】
こうして先行フィルムFaに対する後続フィルムFbの接合が完了すると、フィルム吸着・加圧装置14およびフィルム加熱装置16が元の状態にリセットされるとともに、ブレーキ装置18がブレーキ停止状態に切換えられ、その後、供給部P1のフィルムカートリッジ12が前記カートリッジ出入れ機構の作動により可動テーブル78上に引出されるともに、図8に示すように待機部P2のフィルムカートリッジ12がカートリッジスライド装置131の作動により供給部P1へと移動させられる。この際、第3ユニット駆動装置111Cの作動により第3ユニット11CがY軸方向(図8では紙面奥側)に一旦退避し、その後、フィルムカートリッジ12が待機部P2から供給部P1に移動し、この移動が完了した後、第3ユニット11Cが元の位置にリセットされることにより、新たな先行フィルムFaがブレーキ装置18のブレーキローラ対57の間に挿入される。
【0081】
なお、フィルムカートリッジ12が待機部P2から供給部P1に移動すると、供給部P1に配置される図外の巻出しモータがフィルムカートリッジ12の前記シャフト22に連結されるとともに、これに伴いフィルムカートリッジ12における前記ブレーキ機構とシャフト22とが遮断される。つまり、新たな先行フィルムFaを給送する際には巻出しモータによる回転補助力が前記シャフト22を介してリールRに与えられ、これにより先行フィルムFaがフィルムカートリッジ12からスムーズに給送されるようになっている。
【0082】
そして、新たなフィルムカートリッジ12が待機部P2に搬入されることによりフィルム接合ユニット3における一連のフィルム接合動作が完了することとなる。
【0083】
このようなフィルム接合ユニット3における一連のフィルム接合動作において、使用済みフィルムカートリッジ12の搬出、および新たなフィルムカートリッジ12の搬入はリール交換ユニット4によって以下のようにして行われる。
【0084】
まず、供給部P1のフィルムカートリッジ12からフィルムFが引出されつつラミネート装置1に給送されている最中(図2に示す状態)に、図3に示すように、カートリッジ搬送装置4bの可動テーブル78が供給部P1に対応する位置にセットされる。
【0085】
そして、両フィルムFa,Fbの接合が完了(図7(b)参照)すると、図9(a)に示すように、カートリッジ出入れ機構の作動により供給部P1のフィルムカートリッジ12が案内レール79に沿って可動テーブル78上に引出される。そしてさらに、図9(b)に示すように、可動テーブル78の移動に伴い前記収納部75のうち空きスペースに対応する位置にフィルムカートリッジ12がセットされた後、カートリッジ出入れ機構の作動により当該フィルムカートリッジ12が可動テーブル78から固定レール76に沿って収納部75に移載される。これによって使用済みのフィルムカートリッジ12がフィルム接合ユニット3から搬出されてリールストッカ4a内に収納される。
【0086】
使用済みのフィルムカートリッジ12が収納部75に収納されると、次いで、図10(a)に示すように、未使用のフィルムカートリッジ12が収納された収納部75に対応する位置に可動テーブル78が移動し、カートリッジ出入れ機構の作動により当該フィルムカートリッジ12が案内レール79に沿って収納部75から可動テーブル78上に引出される。そして、図10(b)に示すように、可動テーブル78がフィルム接合ユニット3の前記待機部P2に対応する位置に移動した後、カートリッジ出入れ機構の作動により可動テーブル78上のフィルムカートリッジ12が待機部P2に移載され、これによって未使用の新たなフィルムカートリッジ12が待機部P2に搬入されることとなる。
【0087】
そして、以降、フィルムFa,Fbの接合が完了する度に上記の動作が繰り返されることにより、フィルム接合ユニット3に対するフィルムカートリッジ12の出し入れが自動的に行われるようになっている。
【0088】
以上のような本発明に係るフィルム接合装置(すなわちフィルム接合ユニット3およびリール交換ユニット4)によると、フィルムカートリッジ12に装着したリールRのフィルム先端をフィルム押えユニット24により仮止めしておけば、フィルム接合時には、フィルム引出し装置15の作動により自動的に後続フィルムFbが接合作業高さ位置まで引出されて先行フィルムFaに接合される。そのため、オペレータは、後続フィルムの準備として、フィルムカートリッジ12にリールRを装着し、その先端を僅かに引出してフィルム押えユニット24により仮止めするといったいたって簡単な作業を行うだけで済む。
【0089】
しかも、この装置では、リールRを装着してフィルム先端を仮止めした状態のフィルムカートリッジ12を予めリールストッカ4aにストックしておき、このフィルムカートリッジ12をカートリッジ搬送装置4bの作動により自動的にリールストッカ4aからフィルム接合ユニット3に搬入するように構成されているので、オペレータによる上記準備作業はフィルム接合ユニット3の外部、つまりリールストッカ4aの各収納部75において実施することとなる。そのため、オペレータがフィルム接合ユニット3の内部に直接アクセスして上記準備作業を行う必要がなく、また、当該準備作業を安全に行うためにフィルム接合ユニット3を停止させるといった必要もない。
【0090】
従って、後続フィルムの準備作業として、オペレータが装置内にアクセスしてフィルムをリールから引出しながら多数のガイドローラに掛け渡し、さらにフィルム先端を手動のエアバルブを操作しながら接合作業位置まで送り込むといった作業が要求されるばかりか、この作業を安全に行うために当該作業中に装置を停止させることが要求される従来のこの種の装置に比べると、上記の準備作業を行う上での安全性を著しく向上させることができ、また、接合準備のためにフィルム接合ユニット3を停止させる必要が無い分、ラミネートフィルム供給装置2の稼働効率を格段に向上させることができるという利点がある。
【0091】
また、この装置では、上記の通りリールストッカ4aに複数のフィルムカートリッジ12をストックし、フィルム接合ユニット3に対するフィルムカートリッジ12の入れ替えをカートリッジ搬送装置4bの作動により自動的に行うため、オペレータは、リールRを装着しフィルム先端をフィルム押えユニット24により仮止めした状態の複数のフィルムカートリッジ12を事前にまとめて準備しておけば、フィルム接合時毎に準備作業を行う必要がなくなり、従ってフィルム接合作業の自動化を好適に進めることができる。
【0092】
また、この装置では、フィルム接合ユニット3に供給部P1と待機部P2とを横並びに設け、各部P1,P2から略真上にフィルムFを引出した状態で先行フィルムFaに対して後続フィルムFbを接合するように構成されているので、後続フィルムFbをフィルムカートリッジ12から引出す際には、その自重によりフィルム長手方向に張力が働き、撓みやシワを伴うことなく良好に後続フィルムFbを引出すことができる。そのため、両フィルムFa,Fbの接合に際して後続フィルムFbに撓みやシワを伴い難く、その結果、両フィルムFa,Fbの接合を適切に行うことができるという利点がある。特に、フィルム引出し装置15については、上述のように仮止めされた後続フィルムFbの先端部分をエアチャック46の一対の平行爪47で挟持して引出すように構成されているので、撓みやシワを伴うことなく後続フィルムFbの先端部分を適切に、かつ確実に接合作業高さ位置まで引出すことが可能であり、従って、先端フリーな状態で後続フィルムの当該先端部分をエアの圧力により接合作業位置まで送り込む従来のこの装置と比較すると、両フィルムFa,Fbの接合を適切に、かつ確実に行うことができるという利点もある。
【0093】
ところで、以上説明したフィルム貼付装置に適用されているフィルム接合ユニット3およびリール交換ユニット4は、本発明に係るフィルム接合装置の一の実施形態であって、その具体的な構成および制御は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0094】
例えば、上記の実施形態では、供給部P1のフィルムカートリッジ12の残量が予め設定されたリール交換残量に達した後に、待機中のフィルムカートリッジ12から後続フィルムFbが引出されるようにしているが、勿論、待機中のフィルムカートリッジ12から後続フィルムFbを予め引出した状態(図6(b)又は図7(a)の状態;但し、ブレーキ装置18はブレーキ停止状態)で待機させておき、先行フィルムFaの残量が予め設定されたリール交換残量に達した時点で、直ちにフィルム接合動作(図7(b)参照)を実行するようにしてもよい。このようにすれば、先行フィルムFaの残量がリールRの交換残量に達したことが検知されてから後続フィルムFbの接合が完了するまでの時間を短縮することができるという利点がある。
【0095】
また、実施形態では、フィルム接合後、残りの先行フィルムFaをフィルム切断装置17により切断するようにしているが、例えば、先行フィルムFaを使い切るように構成してもよい。この場合には、第3ユニット11C等に先行フィルムFaの末端を検出可能な端末センサを設け、先行フィルムFaの末端部分がちょうどブレーキ装置18のブレーキローラ対57にニップされた状態で先行フィルムFaの給送を停止させ、この状態で先行フィルムFaに対して後続フィルムFbを接合するようにすればよい。このような構成によると、リールRに巻回されたフィルムFを無駄なく使用することが可能になる。
【0096】
また、実施形態においてリール交換ユニット4を省略することにより、フィルム接合ユニット3に対するフィルムカートリッジ12の出し入れをオペレータが手動で行うように構成してもよい。これによるとリール交換ユニット4を省略できる分、装置構成を簡素化してコストの低廉化を図ることが可能となる。この場合、さらに後続フィルムFbを仮止めするためのフィルム押えユニット24を待機部P2に固定的に設け、フィルムカートリッジ12の構成を簡略化するようにしてもよい。つまり、フィルムカートリッジ12を待機部P2にセットする際に、オペレータがリールRから後続フィルム先端を引出してフィルム押えユニット24にセットするように構成してもよい。また、フィルム押えユニット24そのものを省略してもよい。この場合には、例えばリールRの装着後、オペレータがマニュアル操作でエアチャック46をリールR近傍に移動させてフィルム先端部分を該エアチャック46により保持させ、その後、自動操作でエアチャック46を移動させて後続フィルムFbをリールRから引出すように構成すればよい。
【0097】
また、この実施形態では、フィルム吸着・加圧装置14のヘッド31にバキュームボックス33を設け、フィルム引出し装置15により引出した後続フィルムFbをこのヘッド31により吸着保持して移動させることにより該後続フィルムFbを先行フィルムFaに重ね合わせるようにしているが、これはフィルム引出し装置15の構成(機構部分)との関係で先行フィルムFaと後続フィルムFbとの間が離間するためであり、例えば両フィルムFa,Fbを接近させた状態で後続フィルムFbを引き出せる場合には、バキュームボックス33を省略して構成の簡略化を図るようにしても構わない。
【0098】
また、この実施形態では、フィルムカートリッジ12をフィルム接合ユニット3に対して出し入れ(着脱)するように構成されているが、例えば、フィルムカートリッジ12に相当する構成をもつフィルム支持部をフィルム接合ユニット3に2つ並べて固定的に設け、これらフィルム支持部の一方側を供給側、他方側を待機側として交互に供給側と待機側とを入れ替えながらフィルムFを接合するように構成してもよい。つまり、一方側のフィルム支持部のリールからラミネート装置にフィルムを給送し、この先行フィルムに他方側のフィルム支持部から引出した後続フィルムを接合し、次のフィルム接合時には、上記一方側のフィルム支持部から後続フィルムを引出し、上記他方側のフィルム支持部から給送されている先行フィルムに接合するように構成してもよい。この場合、何れのフィルム支持部からもフィルムFを引出して接合できるようにフィルム引出し装置15やフィルム吸着・加圧装置14等を構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係るフィルム接合装置が適用されるフィルム貼付装置を示す模式図である。
【図2】ラミネートフィルム供給装置のフィルム接合ユニットを示す正面概略図である。
【図3】フィルム接合ユニットおよびリール交換ユニットを示す平面概略図である。
【図4】フィルムカートリッジを示す斜視図である。
【図5】フィルム貼付装置の制御系を示すブロック図である。
【図6】フィルム接合ユニットにおけるフィルム接合動作を説明する概略図である((a)はフィルムカートリッジから後続フィルムが引出された状態、(b)はヘッド(バキュームボックス)によりフィルム先端部分が負圧吸着された状態をそれぞれ示す)。
【図7】フィルム接合ユニットにおけるフィルム接合動作を説明する概略図である((a)は先行フィルムに後続フィルムが重ね合わされた状態、(b)は両フィルムを加熱接着し、先行フィルムを切断した状態をそれぞれ示す)。
【図8】フィルム接合後、待機位置のフィルムカートリッジが供給位置に移された状態を示すフィルム接合ユニットの概略図である。
【図9】リール交換ユニットによるフィルムカートリッジの入れ替え動作を説明する概略図である((a)は使用済みのフィルムカートリッジが供給部から可動テーブル上に搬出された状態、(b)は可動テーブルがリールストッカの空きスペースに収納された状態をそれぞれ示す)。
【図10】リール交換ユニットによるフィルムカートリッジの入れ替え動作を説明する概略図である((a)は可動テーブルが次にフィルム接合ユニットに搬入するフィルムカートリッジの収納位置に移動した状態、(b)は可動テーブル上に引出されたフィルムカートリッジが供給部に対応する位置に配置された状態をそれぞれ示す)。
【符号の説明】
【0100】
1 ラミネート装置
2 ラミネートフィルム供給装置
4 リール交換ユニット
4a リールストッカ
4b カートリッジ搬送装置
10 フィルム接合ユニット
12 フィルムカートリッジ
14 フィルム吸着・加圧装置
15 フィルム引出し装置
16 フィルム加熱装置
17 フィルム切断装置
18 ブレーキ装置
R リール
F フィルム
Fa 先行フィルム
Fb 後続フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムが巻回された一対のリールをそれぞれ支持する支持部と、前記各支持部に支持されるリールから引出されるフィルム同士を接合する接合手段とを有し、前記各支持部のうち一方側から引出されて給送される先行フィルムに対して、他方側の支持部から前記先行フィルムと同じ向きに、かつ該先行フィルムとほぼ平行に引出される後続フィルムを重ね合わせて前記接合手段により両フィルムを接合するフィルム接合装置において、
フィルムを保持可能なチャックとこのチャックを移動させる移動機構とを具備したフィルムの引出し手段を有し、この引出し手段は、前記チャックにより後続フィルムの先端部分を保持し、この状態で当該チャックが移動することにより前記支持部から後続フィルムを引出しつつ当該後続フィルムのうち先行フィルムに対する接合箇所を前記接合手段による接合作業位置まで移動させるように構成されていることを特徴とするフィルム接合装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム接合装置において、
前記支持部のうち後続フィルムを引出す側の支持部に、リールから引出した後続フィルムの先端部分を仮止めする仮止手段が設けられ、
前記引出し手段は、この仮止手段に仮止めされている後続フィルムの先端部分を前記チャックにより保持して当該仮止手段から取外した後、当該後続フィルムを前記支持部から引出すように構成されていることを特徴とするフィルム接合装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフィルム接合装置において、
前記引出し手段により支持部から引出された後続フィルムを前記先行フィルム側とは反対側から負圧吸着することにより保持する吸着部とこの吸着部を移動させる移動機構とを具備した吸着保持手段を有し、この吸着保持手段は、前記接合手段によるフィルム接合の際に、前記吸着部により後続フィルムを吸着保持し、この状態で当該吸着部が移動することにより後続フィルムを先行フィルムに重ね合わせるように構成されていることを特徴とするフィルム接合装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のフィルム接合装置において、
前記一対の支持部からそれぞれ上下方向にフィルムを引出すように構成されていることを特徴とするフィルム接合装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のフィルム接合装置において、
前記引出し手段のチャックは一対の平行爪を有し、これら平行爪で後続フィルムをその厚み方向に挟持することにより該後続フィルムを保持することを特徴とするフィルム接合装置。
【請求項6】
請求項2乃至4の何れかに記載のフィルム接合装置において、
前記リールを支持するリール支持軸と前記仮止手段とを一体に備えたフィルムカートリッジを有し、このフィルムカートリッジが前記支持部に対して着脱可能に設けられていることを特徴とするフィルム接合装置。
【請求項7】
請求項6に記載のフィルム接合装置において、
前記リール支持軸にリールが装着され、かつフィルムの先端部分が引出されて前記仮止手段により仮止めされた状態の未使用フィルムカートリッジを収納するカートリッジ収納部と、前記支持部に装着され、かつフィルムの残存量が一定量以下まで減少した状態の使用済みフィルムカートリッジを前記カートリッジ収納部に収納されている未使用フィルムカートリッジと入れ替える入れ替え手段とを備えていることを特徴とするフィルム接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−143351(P2006−143351A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332362(P2004−332362)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000191180)新日本工機株式会社 (51)
【Fターム(参考)】