フィルム状物の浮揚搬送装置
【課題】フィルム状物を噴出する流体によって浮揚させつつ螺旋状に搬送する場合に、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようにする。
【解決手段】チャンバ2の搬送面3は長尺な円筒面で、この円筒面の略全体に渡って開口部が形成されているが、このうちの図1中のA部で説明すると、このA部における搬送面3を中央域P、また、この中央域Pの両側部を右方域Q及び左方域Rとする区画域において、中央域P1には無方向性の流れを形成する開口部が、また、右方域Qには図1中で多数の左向きの矢印で示す流れを形成する開口部が、更にまた、左方域Rには図1中で多数の右向きの矢印で示す流れを形成する開口部がそれぞれ設けられ、これら中央域P、右方域Q及び左方域Rは、チャンバ2の円筒軸に対し所定の角度をなし、したがって、搬送面3上では螺旋状をなして形成されており、しかも、このA部が円筒面の略全体に渡って形成される。
【解決手段】チャンバ2の搬送面3は長尺な円筒面で、この円筒面の略全体に渡って開口部が形成されているが、このうちの図1中のA部で説明すると、このA部における搬送面3を中央域P、また、この中央域Pの両側部を右方域Q及び左方域Rとする区画域において、中央域P1には無方向性の流れを形成する開口部が、また、右方域Qには図1中で多数の左向きの矢印で示す流れを形成する開口部が、更にまた、左方域Rには図1中で多数の右向きの矢印で示す流れを形成する開口部がそれぞれ設けられ、これら中央域P、右方域Q及び左方域Rは、チャンバ2の円筒軸に対し所定の角度をなし、したがって、搬送面3上では螺旋状をなして形成されており、しかも、このA部が円筒面の略全体に渡って形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムや、金属箔、織物、紙、テープなどのフィルム状物を流体によって浮揚しつつ螺旋状に搬送する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルム状物をその搬送面に設けられた開口部から噴出するエアなどの流体によって搬送面の所望位置で浮揚しつつ、しかも、当該搬送面に螺旋状をなして搬送する装置はあるが(特許文献1,2)、これら装置はセンターリング機能を有していない。
例えば特許文献1の弦巻型乾燥装置100は、図11(A)に示すように、各乾燥ユニット101〜104のブロア105のインバータモータ106の回転量をコントローラ107で制御し、この装置100の下流側でウェブWに掛けられたテンションの減衰に合わせて各乾燥ユニット101〜104に供給する乾燥用エアの風量を加減して、各乾燥ユニット101〜104のパイプ101a〜104aの外周面に対するウェブWの浮上量を一定にするようにしたものである。この装置100では、ウェブWは、単にパイプ101a〜104aの外周面上で浮上されつつ、この外周面に螺旋状をなして搬送されているだけであり、ウェブWが蛇行した場合にこれを修正する手段、即ち、センターリング機能が備わっていない。
しかるに、搬送対象をウェブでなく帯鋼とする装置にはセンターリング機能が備わっているものがある(特許文献3)。
この特許文献3の装置は、図11(B)に示すように、静圧パット200を構成する円筒体201には、周面に等間隔で長さ方向に複数個のガス噴出スリット202が形成され、円筒体201の軸中心に導入された静圧ガス203がこのスリット202から噴出され、その外周面に沿って螺旋状に巻回された帯鋼Sを浮き上がらせるようにしたもので、この装置には、円筒体201に螺旋状に巻回される帯鋼Sの外側面に沿って仕切り板204が取り付けられている。
【特許文献1】特開2002−128342
【特許文献2】特開平9−161780
【特許文献3】特開平6−10063
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1の装置については、装置自体にセンターリング機能が備わっていないので、ウェブが当該ウェブに作用する張力変動などにより振動したりして蛇行したような場合にこれを修正することができず、安定した搬送が困難になって品質不良を生ぜしめる。一方、上述した特許文献3の装置については、搬送対象を帯鋼としているので、蛇行防止のための手段として仕切り板が採用されていると推察されるが、仕切り板をウェブとする場合には、ウェブが振動したりして蛇行したようなときに当該仕切り板と接触などしたりすると、品質不良を生ぜしめる恐れが多分にある。
【0004】
解決しようとする課題は、フィルム状物を噴出する流体によって搬送面で浮揚しつつ当該搬送面に螺旋状をなして搬送する場合に、かかる流体にフィルム状物を所望位置に復帰させる機能、例えばセンターリング機能を持たせ、フィルム状物の搬送のときに生ずる蛇行を自動的に修正できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する、エアや水などの流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、前記第1搬送面は、横断面視円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な円筒面で形成され、このような第1搬送面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記円筒面の前記長尺な方向に前記螺旋状をなして設けられるものであり、かかる装置によれば、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることはなく、加えて、フィルム状物の、非接触状態での高速で安定した浮揚搬送、及び螺旋状をなした周回搬送が可能になることにより品質を確保しつつ生産性の向上を図ることができる。
ここで、中央区画域、一方端区画域及び他方端区画域の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物の幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、本装置に適するフィルム状物の種類(幅長)が選定される。
【0006】
また、本発明の請求項2に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する、エアや水などの流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、前記第1搬送面は、横断面視半円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な湾曲面と、この湾曲面の両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面とで形成され、このような第1搬送面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記第1搬送面の長尺な方向に前記螺旋状をなして設けられるものであり、これにより、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることはなく、加えて、フィルム状物の、非接触状態での高速で安定した浮揚搬送、及び螺旋状をなした周回搬送が可能になることにより品質を確保しつつ生産性の向上を図ることができる。
ここで、中央区画域、一方端区画域及び他方端区画域の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物の幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、本装置に適するフィルム状物の種類(幅長)が選定される。
【0007】
また、本発明の請求項3に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する、エアや水などの流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、前記前記第1搬送面は、横断面視半円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な湾曲面と、この湾曲面の両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面とで形成され、このような第1搬送面の前記湾曲面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記湾曲面の前記長尺な方向に螺旋状をなして設けられ、また、前記第1搬送面の平面には、当該平面部に設けられた開口部からの前記流体の流れが前記平面に沿う態様で前記湾曲面側に向く流れをなすように、前記開口部が前記平面に渡って設けられるものであり、これにより、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることはなく、加えて、フィルム状物の、非接触状態での高速で安定した浮揚搬送、及び螺旋状をなした周回搬送が可能になることにより品質を確保しつつ生産性の向上を図ることができる。更に、この装置によれば、 フィルム状物Fの搬入及び搬出側の平面で形成される搬送面において安定した状態での搬送を行うことができるようになるので、フィルム状物のバタツキに起因する品質不良の発生を無くすことができる利点がある。
ここで、中央区画域、一方端区画域及び他方端区画域の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物の幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、本装置に適するフィルム状物の種類(幅長)が選定される。
【0008】
また、本発明の請求項4に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、前記請求項2又は3に係る浮揚搬送装置を一対として、前記第1搬送面の、前記湾曲面に連設されない側の前記平面の両端辺を対向辺とする矩形面同士を所定間隔を隔てて対向させて配置した浮揚搬送装置であって、このようにして組合わすことによって形成される前記第1搬送面間に、前記フィルム状物を螺旋状をなして搬送するようにしたもので、請求項2又は3に係る浮揚搬送装置が備えた利点を有することは言うまでもない。本装置の用い方の一例としては、例えば図8(A)や図9(A)のようにして用いることができる。
【0009】
また、本発明の請求項5に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、前記請求項2又は3に係る浮揚搬送装置を一対として、前記第1搬送面の、前記湾曲面に連設されない側の前記平面の両端辺を対向辺とする矩形面同士を所定間隔を隔てて対向させて配置し、これら矩形面間に挟まれる位置に、前記対向する平面の両端辺にそれぞれ連設される態様で第2搬送面を設け、これら第2搬送面に設けられた開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなす浮揚搬送装置であって、このようにして組合わすことによって形成される前記第1搬送面及び当該第1搬送面間に連設される前記第2搬送面間に、前記フィルム状物を螺旋状をなして搬送するようにしたもので、請求項2又は3に係る浮揚搬送装置が備えた利点を有することは言うまでもない。本装置の用い方の一例としては、例えば図8(B)や図9(B)のようにして用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフィルム状物の浮揚搬送装置は、フィルム状物を噴出する流体によって浮揚させつつ螺旋状に搬送する場合に、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることはなく、加えて、フィルム状物の、非接触状態での高速で安定した浮揚搬送、及び螺旋状をなした周回搬送が可能になることにより品質を確保しつつ生産性の向上を図ることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置を図1〜6を参照して説明する。
本装置1は、図1に示すように、その搬送面(第1搬送面)3に後述する開口部6a等が多数設けられた中空の円筒形状をなす長尺のエアチャンバ2を本体とし、このチャンバ2の両端面中央に圧縮エアを取り込むための供給口が設けられ、かかる供給口に、本実施の形態では円筒状の供給管4a,4bがそれぞれ取り付けられるとともに、これら供給管4a,4bにはブロア装置(図示せず)が接続され、ブロア装置からの圧縮エアがチャンバ2に供給されるようになっている。そして、本装置1は、フィルム状物F(図5参照)を、チャンバ2の搬送面3に設けられた開口部6a等から噴出するエアによって浮揚しつつ螺旋状をなして搬送するものである。
【0012】
ここで、チャンバ2の搬送面3に設けられた開口部について説明する。
チャンバ2の搬送面3は長尺な円筒面で、かかる円筒面の略全体に渡って開口部が形成されているが、ここでは、この円筒面の略全体のうちの、図1中のA部に形成されている開口部について説明する。
このA部における搬送面3を区画域に分け、そのうちの中央域(図1中、実線でハッチングされたところの中央区画域)Pとして、また、この中央域Pを隔てて当該中央域Pの一方側部が右方域(図1中、エアの噴出方向を示す左向きの矢印が多数描かれたところの一方端区画域)Q及びその他方側部が左方域(図1中、エアの噴出方向を示す右向きの矢印が多数描かれたところの他方端区画域)Rとして説明する。但し、これら中央域P、右方域Q及び左方域Rは、チャンバ2の円筒軸に対し所定の角度をなし、したがって、搬送面3上では螺旋状をなして形成されており、しかも、このA部が円筒面の略全体に渡って形成されている。
尚、本実施の形態では、少なくとも右方域Qと左方域Rの区画幅は同一にされ、右方域Qとチャンバ2の右端面との間、及び左方域Rとチャンバ2の左端面との間にいくらかスペース(開口部が設けられていないところ)がそれぞれ設けられている。但し、中央域P、右方域Q及び左方域Rの区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物Fの幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、後述するように、本装置1に適するフィルム状物Fの種類(幅長)が選定される。
【0013】
本実施の形態では、特に図示しないが、フィルム状物Fを搬送面3上に浮揚させたときに、中央域Pが当該フィルム状物Fの中央部と重なるように、また、右方域Q及び左方域Rの略中央部が、フィルム状物Fの搬送方向(例えば、図5の矢印で示す)に臨んで当該フィルム状物Fの幅端部付近とそれぞれ重なる(ズレの許容度はフィルム状物Fの幅長の略3%)ように上述した区画幅で設けられている。尚、中央域Pの区画幅は、フィルム状物Fの幅長の50〜70%となるように設けられることが好ましい。
ところで、上述したように、本装置1ではフィルム状物F(この幅長をWとする)のみならず、図5に示すような幅長W1(略W1=2W)のフィルム状物や幅長W2(略B2=3W)のフィルム状物などについても後述するセンターリング機能を働かせて浮揚搬送させることができる。因みに、このセンターリングされているときの、例えば幅長W1のフィルム状物においては、2つの中央域Pに挟まれた右方域Qと左方域Rとの境界付近が当該フィルム状物の略中央部と重なり、一方の中央域Pの一方側部に位置する右方域Qの略中央部が、また、他方の中央域Pの他方側部に位置する左方域Rの略中央部が当該フィルム状物の幅端部付近と重なるようにセンターリングされる。
【0014】
そして、中央域Pに設けられた開口部6aは、所定の大きさで矩形状をなし、本実施の形態では、図2(A)に示すように、この中央域Pで区画される搬送面3の裏面に突設された半円柱状の突状部6の、当該突状部6の突設の際に形成される半円型スリット状の吐出孔6b,6cと連通されるように形成されている。このような吐出孔6b,6cを備えたものにあっては、これら吐出孔6bからのエアと吐出孔6cからのエアとが開口部6aの直下でぶつかり合って流速が弱められ、流速が弱められたエアは、開口部6aから四方八方に拡散する流れを形成して(矢印はエアの流れを示す)、フィルム状物Fを押し上げることになる。このように中央域Pにおいては、言わば、搬送面3から無方向に四方八方に拡散する、無方向性の流れ(基本的には、フィルム状物Fの面に対し垂直な流れを主体とする)が形成される。但し、上記開孔率における全吐出孔の面積は、全吐出孔6bと全吐出孔6cとの和であり、これに基づく開孔率が3%を越えないもの、好ましくは1%以下のものとされることが好ましい。
尚、ここでの開孔率とは、
開孔率≒(搬送面に対向する全気体噴出孔面積/搬送面積)x100
としている。
【0015】
尚、図2(A)の場合では、長方形状をなす開口部6aは、半円柱状の突状部6の半円型スリット状の吐出孔6b,6cと連通する態様のものであったが、これに限らず同図(B)や(C)の態様のものであってもよい。同図(B)の場合は、突状部7が三角柱状をなし、吐出孔7b,7cが三角形型スリット状をなすもので、開口部7aは、突状部7の、当該突状部7の突設の際に形成される吐出孔7b,7cと連通するように形成される。また、同図(C)の場合は、突状部8が四角柱状をなし、吐出孔8b,8cが長方形型スリット状をなすもので、開口部8aは、突状部8の、当該突状部8の突設の際に形成される吐出孔8b,8cと連通するように形成される。
【0016】
一方、右方域Qに設けられた開口部9aは、本実施の形態では、所定の大きさで二等辺三角形状をなし、図3(A)に示すように、この右方域Qで区画される搬送面3の裏面に突設された三角錐状の突状部9の、当該突状部9の突設の際に形成される三角錐型スリット状の吐出孔9bと連通されるように形成されている。尚、開口部9aは、図4に示すように、三角錐をなす突状部9の底面に相当するところであることは言うまでもないが、その頂点9cが中央域P側の方に配置され、且つ、この頂点9cから当該頂点9cの対辺9dに垂直に下した仮想直線がフィルム状物Fの搬送方向と垂直をなすような態様で、突状部9の底面として形成されている。したがって、このような吐出孔9bを備えたものにあっては、この吐出孔9bから開口部9aを介して右方域Qにおいて噴出するエアの流れは、右方域Qの搬送面に沿って、フィルム状物Fの搬送方向と垂直な方向で、中央域Pに向かう流れになっている(図1参照)。ここで、上記開孔率における全吐出孔9bの面積は、これに基づく開孔率が3%を越えないもの、好ましくは1%以下のものとされることが好ましい。
【0017】
尚、本実施の形態では、三角形状をなす開口部9aは、三角錐状の突状部9に形成された三角型スリット状の吐出孔9bと連通する態様のものであったが、これに限らず図3(B)や(C)の態様のものであってもよい。同図(B)の場合は、突状部10が変形された三角錐状をなし、吐出孔10bが円弧型スリット状をなすもので、開口部10aは、突状部10の、当該突状部10の突設の際に形成される吐出孔10bと連通するように形成される。また、同図(C)の場合は、突状部11が変形された三角錐状をなし、吐出孔11bが長方形型スリット状をなすもので、開口部11aは、突状部11の、当該突状部11の突設の際に形成される吐出孔11bと連通するように形成される。
【0018】
ところで、左方域Rに設けられた開口部、及び当該開口部や吐出孔が設けられる突状部は、本実施の形態では、右方域Qに設けられた開口部9a、及び当該開口部9aや吐出孔9bが設けられた突状部9と同一形状をなしているが、両者の異なるところは、左方域Rに設けられた突状部が右方域Qに設けられた突状部9に対向する態様で、換言すれば、左方域Rに設けられた開口部の頂点側が右方域Qに設けられた開口部9aの頂点9c側と互いに向き合う態様で設けられる点である。したがって、左方域Rにおける突状部の吐出孔から開口部を介して噴出するエアの流れは、左方域Rの搬送面に沿って、フィルム状物Fの搬送方向と垂直な方向で、中央域Pに向かう流れとなり、上述した右方域Qにおけるエアの流れとは互いに対向する流れであり、エアの流量は、本実施の形態では、上述の右方域Qにおける流量と互いに等しくなる(図1参照)。ここで、上記開孔率における全吐出孔の面積は、これに基づく開孔率が3%を越えないもの、好ましくは1%以下のものとされることが好ましい。
尚、左方域Rの、三角形状をなす開口部もまた、三角錐状の突状部に形成された三角型スリット状の吐出孔と連通する態様のものに限らず、図3(B)や(C)の態様のものであってもよいことはもちろんである。
【0019】
次に、本装置1の、浮揚搬送されるフィルム状物Fの蛇行を自動的に修正して当該フィルム状物Fを所望位置に復帰させる動作について、図1,5を参照して説明する。尚、図5において、図1中の構成要素と同一のものについては同一番号を付し、その説明は割愛する。
図5は、フィルム状物Fが本装置1の搬送面3上に浮揚されつつ、且つ、当該搬送面3に螺旋状をなして搬送されているところを示しており、本装置1への搬入は、ガイドローラ12を介して、また、本装置1からの搬出はガイドローラ13を介して行われている。
フィルム状物Fの浮揚搬送に際しての理想的な搬送状態を、例えば上述した図1のA部におけるところで説明すると、搬送面3の中央域Pが当該フィルム状物Fの中央部と重なり、また、搬送面3の右方域Q及び左方域Rの略中央部が、フィルム状物Fの幅端部付近とそれぞれ重なるような位置での浮揚搬送が行われている(以下、この位置を搬送面の中央位置(所望位置)と称することにする)。しかるに、何らかの原因によりフィルム状物Fが右方域Q側に蛇行して搬送面3に対するフィルム状物Fの相対位置が、例えば、フィルム状物Fが右方域Qにおいて当該右方域Qのおよそ80%(中央位置では50%)を占め、左方域Rにおいて当該左方域Rのおよそ20%(中央位置では50%)を占める状態になってしまったとする。このような状態のときには、右方域Qからの噴出エアと左方域Rからの噴出エアとの差分に相当する摩擦力が、フィルム状物Fに作用するので、フィルム状物Fに対し当初の中央位置への復帰動作を生ぜしめる。そして、フィルム状物Fが中央位置に近づくに従って上記差分に相当する摩擦力も漸次減少して行き、最終的には中央位置に復帰する。即ち、本装置1のように、フィルム状物Fを浮揚しつつ螺旋状をなして搬送する場合、フィルム状物Fの蛇行を自動的に修正して当該フィルム状物Fを所望位置に復帰させる機能、本実施の形態ではセンターリング機能が備わっていることになる。尚、フィルム状物Fが左方域Rにおいて当該左方域Rのおよそ80%を占め、右方域Qにおいて当該右方域Qのおよそ20%を占めている状態のときにも、上述同様の復帰動作が行われフィルム状物Fの蛇行が自動的に修正されることは言うまでもない。
【0020】
ところで、上述した装置1は、その搬送面3に開口部6a等が多数設けられた中空の円筒形状をなす長尺のエアチャンバ2を本体とするものであったが、図6のような横断面視略かまぼこ型をなす長尺のエアチャンバ16を本体とする装置15であってもよい。
このエアチャンバ16に形成される搬送面(第1搬送面)17は、上述した横断面視略かまぼこ型の、半円形状の湾曲面17a及び当該湾曲面17aの両端辺(図6中、2点鎖線で示すところ)に滑らかにそれぞれ連設された平面17bで形成されており、この搬送面17に、上述したチャンバ2の搬送面3と同様な開口部6a等が当該搬送面3に準ずる区画域を以って形成されている。例えば、図6中のB部における搬送面17を区画域に分け、そのうちの中央域(同図中、実線でハッチングされたところの中央区画域)P1として、また、この中央域P1を隔てて両側部が右方域(同図中、エアの噴出方向を示す左向きの矢印が多数描かれたところの一方端区画域)Q1及び左方域(同図中、エアの噴出方向を示す右向きの矢印が多数描かれたところの他方端区画域)R1として形成されている。そして、これら中央域P1、右方域Q1及び左方域R1は、チャンバ16の長手方向軸に対し所定の角度をなし、したがって、搬送面17上では螺旋状をなして形成されており、このB部が搬送面17の略全体に渡って形成されている。
尚、本実施の形態では、少なくとも右方域Q1と左方域R1の区画幅は同一にされ、右方域Q1とチャンバ16の右端面との間、及び左方域R1とチャンバ16の左端面との間にいくらかスペース(開口部が設けられていないところ)がそれぞれ設けられている。但し、中央域P1、右方域Q1及び左方域R1の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物Fの幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、上述したように、本装置15に適するフィルム状物Fの種類(幅長)が選定される。
この装置15は、例えば、後述する図8のような用い方でフィルム状物Fを搬送する場合に利用できる。
【0021】
また、上述した装置1や15に代えて、図7のような横断面視略かまぼこ型をなす長尺のエアチャンバ21を本体とする装置20であってもよい。但し、装置20におけるエアチャンバ21の搬送面22と、装置15におけるエアチャンバ16の搬送面17とは、これら搬送面22,17に設けられる開口部6a等の設け方が異なっている。
このエアチャンバ21に形成される搬送面(第1搬送面)22は、上述した横断面視略かまぼこ型の、半円形状の湾曲面22a及び当該湾曲面22aの両端辺22a1に滑らかにそれぞれ連設された平面22bで形成されており、この搬送面22のうちの湾曲面22aにおいては、上述したチャンバ16の搬送面17と同様な開口部6a等が当該搬送面17に準ずる区画域を以って形成されている。例えば、図7中のC部における搬送面22を区画域に分け、そのうちの中央域(同図中、実線でハッチングされたところの中央区画域)P2として、また、この中央域P2を隔てて両側部が右方域(同図中、エアの噴出方向を示す左向きの矢印が多数描かれたところの一方端区画域)Q2及び左方域(同図中、エアの噴出方向を示す右向きの矢印が多数描かれたところの他方端区画域)R2として形成されている。そして、これら中央域P2、右方域Q2及び左方域R2は、チャンバ21の長手方向軸に対し所定の角度をなし、したがって、搬送面22上では螺旋状をなして形成されており、このC部が円筒面の略全体に渡って形成されている。
尚、本実施の形態では、少なくとも右方域Q2と左方域R2の区画幅は同一にされ、右方域Q2とチャンバ21の右端面との間、及び左方域R2とチャンバ21の左端面との間にいくらかスペース(開口部が設けられていないところ)がそれぞれ設けられている。但し、中央域P2、右方域Q2及び左方域R2の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物Fの幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、上述したように、本装置20に適するフィルム状物Fの種類(幅長)が選定される。
【0022】
一方、この搬送面22のうちの平面22bにおいては、例えば上記開口部9aのような形状で、そのエア噴出方向が搬送面22に沿う態様で湾曲面22a側に向いてなるような開口部(図示せず)を設け、詳細には、フィルム状物Fの、搬送面22への搬入側に位置する平面22bにおいてはフィルム状物Fの搬入方向(同図中の平面22bに描かれたエア噴出方向を示す矢印方向)と同一方向に向いてなる開口部を、また、フィルム状物Fの、搬送面22からの搬出側に位置する平面22bにおいてはフィルム状物Fの搬出方向とは逆方向に向いてなる開口部を設けてなるものである。
この装置20は、例えば、後述する図9のような用い方でフィルム状物Fを搬送する場合に利用できる。
【0023】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置を図8を参照して説明する。但し、図8中において、図1〜7の構成要素と同一の部材には同一番号を付し、その説明は割愛する。
図8(A)の装置30は、上述した装置15を一対として、これら装置15の搬送面17の、湾曲面17aに連設されない側の平面17bの両端辺17b1を対向辺とする矩形面17c同士を所定間隔を隔てて対向させて配置した浮揚搬送装置であり、このように一対にして組合わすことによって形成される両搬送面17間に、フィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送するものである。本装置30は、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に特に有用である。
【0024】
また、図8(B)の装置35は、上述した装置15を一対として、これら装置15の搬送面17の、湾曲面17aに連設されない側の平面17bの両端辺17b1を対向辺とする矩形面17c同士を所定間隔を隔てて対向させて配置し、これら矩形面17c間に挟まれる位置に、対向する平面17bの両端辺17b1にそれぞれ連設される態様で搬送面(第2搬送面)42を設けてなる浮揚搬送装置であり、これら搬送面42は、本実施の形態では、中空の直方体形状をなす長尺のエアチャンバ41を本体とする一対の装置40の、これらエアチャンバ41の一方面にそれぞれ形成されているものであり、これら装置40は、両装置15間に所定間隔を隔てて、上述のように、当該エアチャンバ41の一方面(搬送面42側)が装置15の平面17bの両端辺17b1にそれぞれ連設される態様で配置される。尚、このチャンバ41の両端面中央に圧縮エアを取り込むための供給口が設けられ、かかる供給口に、円筒状の供給管41a,41b(41bは図示されていない。)がそれぞれ取り付けられるとともに、これら供給管41a,41bにはブロア装置(図示せず)が接続され、ブロア装置からの圧縮エアがチャンバ2に供給されるようになっている。そして、これら搬送面42には、流体の流れが無方向性の流れを形成する上記開口部6a等と同様な開口部が設けられている。
このように装置15及び装置40を組合わすことによって形成される搬送面17及び当該搬送面17に連設される搬送面42間に、フィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送する。本装置35も、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に特に有用である。
【0025】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置を図9を参照して説明する。但し、図9中において、図1〜8の構成要素と同一の部材には同一番号を付し、その説明は割愛する。
図9(A)の装置50において、図8(A)の装置30と異なるところは、装置30を構成する装置15に代えて装置20を配置するようにした点である。即ち、装置50は、装置20を一対として、これら装置20の搬送面22の、湾曲面22aに連設されない側の平面22bの両端辺22b1を対向辺とする矩形面22c同士を所定間隔を隔てて対向させて配置した浮揚搬送装置であり、このように一対にして組合わすことによって形成される両搬送面22間に、フィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送するものである。本装置50も、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に特に有用である。
【0026】
また、図9(B)の装置55において、図8(B)の装置35と異なるところは、装置35を構成する装置15に代えて装置20を配置するようにした点である。即ち、装置55は、装置20を一対として所定間隔を隔てて対向配置し、且つ、この両装置20間に一対の装置40を所定間隔を隔てて配置した浮揚搬送装置であり、装置55を構成する両装置20の搬送面22の平面22bが両装置40の搬送面42に連設される態様をなす。
このような装置20及び装置40を組合わすことによって形成される搬送面22及び当該搬送面22に連設される搬送面42間に、フィルム状物Fが螺旋状に周回して搬送する。本装置55も、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に特に有用である。
【0027】
次に、上記装置35や装置55に対し変形型に属する浮揚搬送装置60について図10を参照して説明する。
この装置60は、装置35の装置15や装置55の装置20に代えて装置65を配置し、また、装置35や装置55の装置40に代えて装置70を配置してなるものである。
このうち装置65は、図10(A)に示すような横断面視略かまぼこ型をなす長尺のエアチャンバ66を本体とする装置で、このエアチャンバ66に形成される搬送面(第1搬送面)67は、上述した横断面視略かまぼこ型の、半円形状の湾曲面67a及び当該湾曲面67aの両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面67bで形成されており、この搬送面67のうちの湾曲面67aには、当該湾曲面67a全体に渡って、無方向性の流れを形成する上記開口部6a等と同様な開口部が設けられ、一方、この平面67bには、上記開口部9aのような形状で、そのエア(流体)噴出方向が搬送面67に沿う態様で湾曲面67a側に向いてなるような開口部(図示せず)が設けられ、詳細には、フィルム状物Fの、搬送面67への搬入側に位置する平面67bにおいてはフィルム状物Fの搬入方向と同一方向に向いてなる開口部が、また、フィルム状物Fの、搬送面67からの搬出側に位置する平面67bにおいてはフィルム状物Fの搬出方向とは逆方向に向いてなる開口部が設けられている。
【0028】
また、装置70は、図10(B)に示すように、中空の直方体形状をなす長尺のエアチャンバ71を本体とする装置で、このエアチャンバ71の一方面に搬送面72が形成されている。そして、この搬送面72に、上述した例えばチャンバ2の搬送面3と同様な開口部6a等が当該搬送面3に準ずる区画域を以って形成されている。具体的には、例えば図10(B)中のD部における搬送面72を区画域に分け、そのうちの中央域(同図中、実線でハッチングされたところの中央区画域)P4として、また、この中央域P4を隔てて両側部が右方域(同図中、エアの噴出方向を示す左向きの矢印が多数描かれたところの一方端区画域)Q4及び左方域(同図中、エアの噴出方向を示す右向きの矢印が多数描かれたところの他方端区画域)R4として形成されている。そして、これら中央域P4、右方域Q4及び左方域R4は、チャンバ71の長手方向軸に対し所定の角度をなして形成されており、このD部が搬送面72の略全体に渡って形成されている。
このような装置65及び装置70を組合わすことによって形成される搬送面67及び当該搬送面67に連設される搬送面72間に、フィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送するものである。本装置60も、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に有用である。
【0029】
ところで、上述した装置15や20,70は、圧縮エアを取り込むための供給管がチャンバ2の両端面に取り付けられ、この供給管からエアが供給されるものであったが、例えば、装置15について述べれば、上述の図6中のB部において区画域に分けした搬送面17の、右方域(一方端区画域)Q1、中央域(中央区画域)P1、左方域(他方端区画域)R1に応じてチャンバ16を仕切る仕切板を、右方域Q1と中央域P1との間及び中央域P1と左方域R1との間にそれぞれ設け、これら仕切板で区画されたチャンバ16のそれぞれにエアが供給されるようにして、それぞれのエア供給量等を各別に制御するようにしてもよい(この場合、仕切板はチャンバ16の長手方向軸に対し所定の角度をなして配設されることになる)。
【0030】
更には、上述した装置15や20において、例えば装置15のチャンバ16に第2のチャンバを付設し、この第2のチャンバの搬送面がチャンバ16の搬送面17に対し所定の隙間を隔てて対向する態様で配設されるようにし、そして、このチャンバの搬送面には、チャンバ16の搬送面17に対向させ、図6中のB部で分けられた区画域に対応させて言えば、この搬送面17の中央域P1に対して中央域(中央区画域)を、また、この中央域P1を隔てて両側部に、右方域Q1に対して右方域(一方端区画域)及び左方域R1に対して左方域(他方端区画域)をそれぞれ区画して設け、中央域には無方向性の流れを形成する開口部を、また、右方域及び左方域にはフィルム状物Fの搬送方向と垂直な噴出方向で、且つ、互いに対向する流れを形成する開口部を設けるようにして、これらチャンバ16の搬送面17と第2のチャンバの搬送面との隙間を通ってフィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送するようにしてもよい。このような態様を採るとフィルム状物Fに対する流体からの摩擦力が増すので、蛇行を自動的に修正するセンターリング効果を上げることができる、という更なる利点が備わる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本浮揚搬送装置は、フィルム状物を噴出する流体によって浮揚させつつ螺旋状に搬送する場合に、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることがない点において利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図2】図1の中央域Pに設けられる突状部の斜視図である。
【図3】図1の右方域Q及び左方域Rに設けられる突状部の斜視図である。
【図4】図3(A)の突状部の詳細断面図である。
【図5】図1の装置の使用例図である。
【図6】図1の装置のチャンバと異なるチャンバで構成される装置の外観斜視図である。
【図7】図6の装置の搬送面と異なる搬送面で構成される装置の外観斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図10】図8や図9の装置に対し変形型に属する浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図11】従来の浮揚搬送装置の外観図である。
【符号の説明】
【0033】
1,15,20 浮揚搬送装置
30,35,40,50,55 浮揚搬送装置
2,16,21,41 エアチャンバ
3,17,22 搬送面(第1搬送面)
9,10,11 突状部
9a,10a,11a 開口部
42 搬送面(第2搬送面)
F フィルム状物
P,P1〜P4 中央域(中央区画域)
Q,Q1〜Q4 右方域(一方端区画域)
R,R1〜R4 左方域(他方端区画域)
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムや、金属箔、織物、紙、テープなどのフィルム状物を流体によって浮揚しつつ螺旋状に搬送する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルム状物をその搬送面に設けられた開口部から噴出するエアなどの流体によって搬送面の所望位置で浮揚しつつ、しかも、当該搬送面に螺旋状をなして搬送する装置はあるが(特許文献1,2)、これら装置はセンターリング機能を有していない。
例えば特許文献1の弦巻型乾燥装置100は、図11(A)に示すように、各乾燥ユニット101〜104のブロア105のインバータモータ106の回転量をコントローラ107で制御し、この装置100の下流側でウェブWに掛けられたテンションの減衰に合わせて各乾燥ユニット101〜104に供給する乾燥用エアの風量を加減して、各乾燥ユニット101〜104のパイプ101a〜104aの外周面に対するウェブWの浮上量を一定にするようにしたものである。この装置100では、ウェブWは、単にパイプ101a〜104aの外周面上で浮上されつつ、この外周面に螺旋状をなして搬送されているだけであり、ウェブWが蛇行した場合にこれを修正する手段、即ち、センターリング機能が備わっていない。
しかるに、搬送対象をウェブでなく帯鋼とする装置にはセンターリング機能が備わっているものがある(特許文献3)。
この特許文献3の装置は、図11(B)に示すように、静圧パット200を構成する円筒体201には、周面に等間隔で長さ方向に複数個のガス噴出スリット202が形成され、円筒体201の軸中心に導入された静圧ガス203がこのスリット202から噴出され、その外周面に沿って螺旋状に巻回された帯鋼Sを浮き上がらせるようにしたもので、この装置には、円筒体201に螺旋状に巻回される帯鋼Sの外側面に沿って仕切り板204が取り付けられている。
【特許文献1】特開2002−128342
【特許文献2】特開平9−161780
【特許文献3】特開平6−10063
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1の装置については、装置自体にセンターリング機能が備わっていないので、ウェブが当該ウェブに作用する張力変動などにより振動したりして蛇行したような場合にこれを修正することができず、安定した搬送が困難になって品質不良を生ぜしめる。一方、上述した特許文献3の装置については、搬送対象を帯鋼としているので、蛇行防止のための手段として仕切り板が採用されていると推察されるが、仕切り板をウェブとする場合には、ウェブが振動したりして蛇行したようなときに当該仕切り板と接触などしたりすると、品質不良を生ぜしめる恐れが多分にある。
【0004】
解決しようとする課題は、フィルム状物を噴出する流体によって搬送面で浮揚しつつ当該搬送面に螺旋状をなして搬送する場合に、かかる流体にフィルム状物を所望位置に復帰させる機能、例えばセンターリング機能を持たせ、フィルム状物の搬送のときに生ずる蛇行を自動的に修正できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する、エアや水などの流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、前記第1搬送面は、横断面視円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な円筒面で形成され、このような第1搬送面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記円筒面の前記長尺な方向に前記螺旋状をなして設けられるものであり、かかる装置によれば、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることはなく、加えて、フィルム状物の、非接触状態での高速で安定した浮揚搬送、及び螺旋状をなした周回搬送が可能になることにより品質を確保しつつ生産性の向上を図ることができる。
ここで、中央区画域、一方端区画域及び他方端区画域の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物の幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、本装置に適するフィルム状物の種類(幅長)が選定される。
【0006】
また、本発明の請求項2に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する、エアや水などの流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、前記第1搬送面は、横断面視半円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な湾曲面と、この湾曲面の両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面とで形成され、このような第1搬送面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記第1搬送面の長尺な方向に前記螺旋状をなして設けられるものであり、これにより、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることはなく、加えて、フィルム状物の、非接触状態での高速で安定した浮揚搬送、及び螺旋状をなした周回搬送が可能になることにより品質を確保しつつ生産性の向上を図ることができる。
ここで、中央区画域、一方端区画域及び他方端区画域の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物の幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、本装置に適するフィルム状物の種類(幅長)が選定される。
【0007】
また、本発明の請求項3に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する、エアや水などの流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、前記前記第1搬送面は、横断面視半円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な湾曲面と、この湾曲面の両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面とで形成され、このような第1搬送面の前記湾曲面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記湾曲面の前記長尺な方向に螺旋状をなして設けられ、また、前記第1搬送面の平面には、当該平面部に設けられた開口部からの前記流体の流れが前記平面に沿う態様で前記湾曲面側に向く流れをなすように、前記開口部が前記平面に渡って設けられるものであり、これにより、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることはなく、加えて、フィルム状物の、非接触状態での高速で安定した浮揚搬送、及び螺旋状をなした周回搬送が可能になることにより品質を確保しつつ生産性の向上を図ることができる。更に、この装置によれば、 フィルム状物Fの搬入及び搬出側の平面で形成される搬送面において安定した状態での搬送を行うことができるようになるので、フィルム状物のバタツキに起因する品質不良の発生を無くすことができる利点がある。
ここで、中央区画域、一方端区画域及び他方端区画域の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物の幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、本装置に適するフィルム状物の種類(幅長)が選定される。
【0008】
また、本発明の請求項4に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、前記請求項2又は3に係る浮揚搬送装置を一対として、前記第1搬送面の、前記湾曲面に連設されない側の前記平面の両端辺を対向辺とする矩形面同士を所定間隔を隔てて対向させて配置した浮揚搬送装置であって、このようにして組合わすことによって形成される前記第1搬送面間に、前記フィルム状物を螺旋状をなして搬送するようにしたもので、請求項2又は3に係る浮揚搬送装置が備えた利点を有することは言うまでもない。本装置の用い方の一例としては、例えば図8(A)や図9(A)のようにして用いることができる。
【0009】
また、本発明の請求項5に係るフィルム状物の浮揚搬送装置は、前記請求項2又は3に係る浮揚搬送装置を一対として、前記第1搬送面の、前記湾曲面に連設されない側の前記平面の両端辺を対向辺とする矩形面同士を所定間隔を隔てて対向させて配置し、これら矩形面間に挟まれる位置に、前記対向する平面の両端辺にそれぞれ連設される態様で第2搬送面を設け、これら第2搬送面に設けられた開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなす浮揚搬送装置であって、このようにして組合わすことによって形成される前記第1搬送面及び当該第1搬送面間に連設される前記第2搬送面間に、前記フィルム状物を螺旋状をなして搬送するようにしたもので、請求項2又は3に係る浮揚搬送装置が備えた利点を有することは言うまでもない。本装置の用い方の一例としては、例えば図8(B)や図9(B)のようにして用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフィルム状物の浮揚搬送装置は、フィルム状物を噴出する流体によって浮揚させつつ螺旋状に搬送する場合に、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることはなく、加えて、フィルム状物の、非接触状態での高速で安定した浮揚搬送、及び螺旋状をなした周回搬送が可能になることにより品質を確保しつつ生産性の向上を図ることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置を図1〜6を参照して説明する。
本装置1は、図1に示すように、その搬送面(第1搬送面)3に後述する開口部6a等が多数設けられた中空の円筒形状をなす長尺のエアチャンバ2を本体とし、このチャンバ2の両端面中央に圧縮エアを取り込むための供給口が設けられ、かかる供給口に、本実施の形態では円筒状の供給管4a,4bがそれぞれ取り付けられるとともに、これら供給管4a,4bにはブロア装置(図示せず)が接続され、ブロア装置からの圧縮エアがチャンバ2に供給されるようになっている。そして、本装置1は、フィルム状物F(図5参照)を、チャンバ2の搬送面3に設けられた開口部6a等から噴出するエアによって浮揚しつつ螺旋状をなして搬送するものである。
【0012】
ここで、チャンバ2の搬送面3に設けられた開口部について説明する。
チャンバ2の搬送面3は長尺な円筒面で、かかる円筒面の略全体に渡って開口部が形成されているが、ここでは、この円筒面の略全体のうちの、図1中のA部に形成されている開口部について説明する。
このA部における搬送面3を区画域に分け、そのうちの中央域(図1中、実線でハッチングされたところの中央区画域)Pとして、また、この中央域Pを隔てて当該中央域Pの一方側部が右方域(図1中、エアの噴出方向を示す左向きの矢印が多数描かれたところの一方端区画域)Q及びその他方側部が左方域(図1中、エアの噴出方向を示す右向きの矢印が多数描かれたところの他方端区画域)Rとして説明する。但し、これら中央域P、右方域Q及び左方域Rは、チャンバ2の円筒軸に対し所定の角度をなし、したがって、搬送面3上では螺旋状をなして形成されており、しかも、このA部が円筒面の略全体に渡って形成されている。
尚、本実施の形態では、少なくとも右方域Qと左方域Rの区画幅は同一にされ、右方域Qとチャンバ2の右端面との間、及び左方域Rとチャンバ2の左端面との間にいくらかスペース(開口部が設けられていないところ)がそれぞれ設けられている。但し、中央域P、右方域Q及び左方域Rの区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物Fの幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、後述するように、本装置1に適するフィルム状物Fの種類(幅長)が選定される。
【0013】
本実施の形態では、特に図示しないが、フィルム状物Fを搬送面3上に浮揚させたときに、中央域Pが当該フィルム状物Fの中央部と重なるように、また、右方域Q及び左方域Rの略中央部が、フィルム状物Fの搬送方向(例えば、図5の矢印で示す)に臨んで当該フィルム状物Fの幅端部付近とそれぞれ重なる(ズレの許容度はフィルム状物Fの幅長の略3%)ように上述した区画幅で設けられている。尚、中央域Pの区画幅は、フィルム状物Fの幅長の50〜70%となるように設けられることが好ましい。
ところで、上述したように、本装置1ではフィルム状物F(この幅長をWとする)のみならず、図5に示すような幅長W1(略W1=2W)のフィルム状物や幅長W2(略B2=3W)のフィルム状物などについても後述するセンターリング機能を働かせて浮揚搬送させることができる。因みに、このセンターリングされているときの、例えば幅長W1のフィルム状物においては、2つの中央域Pに挟まれた右方域Qと左方域Rとの境界付近が当該フィルム状物の略中央部と重なり、一方の中央域Pの一方側部に位置する右方域Qの略中央部が、また、他方の中央域Pの他方側部に位置する左方域Rの略中央部が当該フィルム状物の幅端部付近と重なるようにセンターリングされる。
【0014】
そして、中央域Pに設けられた開口部6aは、所定の大きさで矩形状をなし、本実施の形態では、図2(A)に示すように、この中央域Pで区画される搬送面3の裏面に突設された半円柱状の突状部6の、当該突状部6の突設の際に形成される半円型スリット状の吐出孔6b,6cと連通されるように形成されている。このような吐出孔6b,6cを備えたものにあっては、これら吐出孔6bからのエアと吐出孔6cからのエアとが開口部6aの直下でぶつかり合って流速が弱められ、流速が弱められたエアは、開口部6aから四方八方に拡散する流れを形成して(矢印はエアの流れを示す)、フィルム状物Fを押し上げることになる。このように中央域Pにおいては、言わば、搬送面3から無方向に四方八方に拡散する、無方向性の流れ(基本的には、フィルム状物Fの面に対し垂直な流れを主体とする)が形成される。但し、上記開孔率における全吐出孔の面積は、全吐出孔6bと全吐出孔6cとの和であり、これに基づく開孔率が3%を越えないもの、好ましくは1%以下のものとされることが好ましい。
尚、ここでの開孔率とは、
開孔率≒(搬送面に対向する全気体噴出孔面積/搬送面積)x100
としている。
【0015】
尚、図2(A)の場合では、長方形状をなす開口部6aは、半円柱状の突状部6の半円型スリット状の吐出孔6b,6cと連通する態様のものであったが、これに限らず同図(B)や(C)の態様のものであってもよい。同図(B)の場合は、突状部7が三角柱状をなし、吐出孔7b,7cが三角形型スリット状をなすもので、開口部7aは、突状部7の、当該突状部7の突設の際に形成される吐出孔7b,7cと連通するように形成される。また、同図(C)の場合は、突状部8が四角柱状をなし、吐出孔8b,8cが長方形型スリット状をなすもので、開口部8aは、突状部8の、当該突状部8の突設の際に形成される吐出孔8b,8cと連通するように形成される。
【0016】
一方、右方域Qに設けられた開口部9aは、本実施の形態では、所定の大きさで二等辺三角形状をなし、図3(A)に示すように、この右方域Qで区画される搬送面3の裏面に突設された三角錐状の突状部9の、当該突状部9の突設の際に形成される三角錐型スリット状の吐出孔9bと連通されるように形成されている。尚、開口部9aは、図4に示すように、三角錐をなす突状部9の底面に相当するところであることは言うまでもないが、その頂点9cが中央域P側の方に配置され、且つ、この頂点9cから当該頂点9cの対辺9dに垂直に下した仮想直線がフィルム状物Fの搬送方向と垂直をなすような態様で、突状部9の底面として形成されている。したがって、このような吐出孔9bを備えたものにあっては、この吐出孔9bから開口部9aを介して右方域Qにおいて噴出するエアの流れは、右方域Qの搬送面に沿って、フィルム状物Fの搬送方向と垂直な方向で、中央域Pに向かう流れになっている(図1参照)。ここで、上記開孔率における全吐出孔9bの面積は、これに基づく開孔率が3%を越えないもの、好ましくは1%以下のものとされることが好ましい。
【0017】
尚、本実施の形態では、三角形状をなす開口部9aは、三角錐状の突状部9に形成された三角型スリット状の吐出孔9bと連通する態様のものであったが、これに限らず図3(B)や(C)の態様のものであってもよい。同図(B)の場合は、突状部10が変形された三角錐状をなし、吐出孔10bが円弧型スリット状をなすもので、開口部10aは、突状部10の、当該突状部10の突設の際に形成される吐出孔10bと連通するように形成される。また、同図(C)の場合は、突状部11が変形された三角錐状をなし、吐出孔11bが長方形型スリット状をなすもので、開口部11aは、突状部11の、当該突状部11の突設の際に形成される吐出孔11bと連通するように形成される。
【0018】
ところで、左方域Rに設けられた開口部、及び当該開口部や吐出孔が設けられる突状部は、本実施の形態では、右方域Qに設けられた開口部9a、及び当該開口部9aや吐出孔9bが設けられた突状部9と同一形状をなしているが、両者の異なるところは、左方域Rに設けられた突状部が右方域Qに設けられた突状部9に対向する態様で、換言すれば、左方域Rに設けられた開口部の頂点側が右方域Qに設けられた開口部9aの頂点9c側と互いに向き合う態様で設けられる点である。したがって、左方域Rにおける突状部の吐出孔から開口部を介して噴出するエアの流れは、左方域Rの搬送面に沿って、フィルム状物Fの搬送方向と垂直な方向で、中央域Pに向かう流れとなり、上述した右方域Qにおけるエアの流れとは互いに対向する流れであり、エアの流量は、本実施の形態では、上述の右方域Qにおける流量と互いに等しくなる(図1参照)。ここで、上記開孔率における全吐出孔の面積は、これに基づく開孔率が3%を越えないもの、好ましくは1%以下のものとされることが好ましい。
尚、左方域Rの、三角形状をなす開口部もまた、三角錐状の突状部に形成された三角型スリット状の吐出孔と連通する態様のものに限らず、図3(B)や(C)の態様のものであってもよいことはもちろんである。
【0019】
次に、本装置1の、浮揚搬送されるフィルム状物Fの蛇行を自動的に修正して当該フィルム状物Fを所望位置に復帰させる動作について、図1,5を参照して説明する。尚、図5において、図1中の構成要素と同一のものについては同一番号を付し、その説明は割愛する。
図5は、フィルム状物Fが本装置1の搬送面3上に浮揚されつつ、且つ、当該搬送面3に螺旋状をなして搬送されているところを示しており、本装置1への搬入は、ガイドローラ12を介して、また、本装置1からの搬出はガイドローラ13を介して行われている。
フィルム状物Fの浮揚搬送に際しての理想的な搬送状態を、例えば上述した図1のA部におけるところで説明すると、搬送面3の中央域Pが当該フィルム状物Fの中央部と重なり、また、搬送面3の右方域Q及び左方域Rの略中央部が、フィルム状物Fの幅端部付近とそれぞれ重なるような位置での浮揚搬送が行われている(以下、この位置を搬送面の中央位置(所望位置)と称することにする)。しかるに、何らかの原因によりフィルム状物Fが右方域Q側に蛇行して搬送面3に対するフィルム状物Fの相対位置が、例えば、フィルム状物Fが右方域Qにおいて当該右方域Qのおよそ80%(中央位置では50%)を占め、左方域Rにおいて当該左方域Rのおよそ20%(中央位置では50%)を占める状態になってしまったとする。このような状態のときには、右方域Qからの噴出エアと左方域Rからの噴出エアとの差分に相当する摩擦力が、フィルム状物Fに作用するので、フィルム状物Fに対し当初の中央位置への復帰動作を生ぜしめる。そして、フィルム状物Fが中央位置に近づくに従って上記差分に相当する摩擦力も漸次減少して行き、最終的には中央位置に復帰する。即ち、本装置1のように、フィルム状物Fを浮揚しつつ螺旋状をなして搬送する場合、フィルム状物Fの蛇行を自動的に修正して当該フィルム状物Fを所望位置に復帰させる機能、本実施の形態ではセンターリング機能が備わっていることになる。尚、フィルム状物Fが左方域Rにおいて当該左方域Rのおよそ80%を占め、右方域Qにおいて当該右方域Qのおよそ20%を占めている状態のときにも、上述同様の復帰動作が行われフィルム状物Fの蛇行が自動的に修正されることは言うまでもない。
【0020】
ところで、上述した装置1は、その搬送面3に開口部6a等が多数設けられた中空の円筒形状をなす長尺のエアチャンバ2を本体とするものであったが、図6のような横断面視略かまぼこ型をなす長尺のエアチャンバ16を本体とする装置15であってもよい。
このエアチャンバ16に形成される搬送面(第1搬送面)17は、上述した横断面視略かまぼこ型の、半円形状の湾曲面17a及び当該湾曲面17aの両端辺(図6中、2点鎖線で示すところ)に滑らかにそれぞれ連設された平面17bで形成されており、この搬送面17に、上述したチャンバ2の搬送面3と同様な開口部6a等が当該搬送面3に準ずる区画域を以って形成されている。例えば、図6中のB部における搬送面17を区画域に分け、そのうちの中央域(同図中、実線でハッチングされたところの中央区画域)P1として、また、この中央域P1を隔てて両側部が右方域(同図中、エアの噴出方向を示す左向きの矢印が多数描かれたところの一方端区画域)Q1及び左方域(同図中、エアの噴出方向を示す右向きの矢印が多数描かれたところの他方端区画域)R1として形成されている。そして、これら中央域P1、右方域Q1及び左方域R1は、チャンバ16の長手方向軸に対し所定の角度をなし、したがって、搬送面17上では螺旋状をなして形成されており、このB部が搬送面17の略全体に渡って形成されている。
尚、本実施の形態では、少なくとも右方域Q1と左方域R1の区画幅は同一にされ、右方域Q1とチャンバ16の右端面との間、及び左方域R1とチャンバ16の左端面との間にいくらかスペース(開口部が設けられていないところ)がそれぞれ設けられている。但し、中央域P1、右方域Q1及び左方域R1の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物Fの幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、上述したように、本装置15に適するフィルム状物Fの種類(幅長)が選定される。
この装置15は、例えば、後述する図8のような用い方でフィルム状物Fを搬送する場合に利用できる。
【0021】
また、上述した装置1や15に代えて、図7のような横断面視略かまぼこ型をなす長尺のエアチャンバ21を本体とする装置20であってもよい。但し、装置20におけるエアチャンバ21の搬送面22と、装置15におけるエアチャンバ16の搬送面17とは、これら搬送面22,17に設けられる開口部6a等の設け方が異なっている。
このエアチャンバ21に形成される搬送面(第1搬送面)22は、上述した横断面視略かまぼこ型の、半円形状の湾曲面22a及び当該湾曲面22aの両端辺22a1に滑らかにそれぞれ連設された平面22bで形成されており、この搬送面22のうちの湾曲面22aにおいては、上述したチャンバ16の搬送面17と同様な開口部6a等が当該搬送面17に準ずる区画域を以って形成されている。例えば、図7中のC部における搬送面22を区画域に分け、そのうちの中央域(同図中、実線でハッチングされたところの中央区画域)P2として、また、この中央域P2を隔てて両側部が右方域(同図中、エアの噴出方向を示す左向きの矢印が多数描かれたところの一方端区画域)Q2及び左方域(同図中、エアの噴出方向を示す右向きの矢印が多数描かれたところの他方端区画域)R2として形成されている。そして、これら中央域P2、右方域Q2及び左方域R2は、チャンバ21の長手方向軸に対し所定の角度をなし、したがって、搬送面22上では螺旋状をなして形成されており、このC部が円筒面の略全体に渡って形成されている。
尚、本実施の形態では、少なくとも右方域Q2と左方域R2の区画幅は同一にされ、右方域Q2とチャンバ21の右端面との間、及び左方域R2とチャンバ21の左端面との間にいくらかスペース(開口部が設けられていないところ)がそれぞれ設けられている。但し、中央域P2、右方域Q2及び左方域R2の区画幅は、浮揚搬送されるフィルム状物Fの幅長などによって適宜選定される。そして、かかる区画幅が選定されると、上述したように、本装置20に適するフィルム状物Fの種類(幅長)が選定される。
【0022】
一方、この搬送面22のうちの平面22bにおいては、例えば上記開口部9aのような形状で、そのエア噴出方向が搬送面22に沿う態様で湾曲面22a側に向いてなるような開口部(図示せず)を設け、詳細には、フィルム状物Fの、搬送面22への搬入側に位置する平面22bにおいてはフィルム状物Fの搬入方向(同図中の平面22bに描かれたエア噴出方向を示す矢印方向)と同一方向に向いてなる開口部を、また、フィルム状物Fの、搬送面22からの搬出側に位置する平面22bにおいてはフィルム状物Fの搬出方向とは逆方向に向いてなる開口部を設けてなるものである。
この装置20は、例えば、後述する図9のような用い方でフィルム状物Fを搬送する場合に利用できる。
【0023】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置を図8を参照して説明する。但し、図8中において、図1〜7の構成要素と同一の部材には同一番号を付し、その説明は割愛する。
図8(A)の装置30は、上述した装置15を一対として、これら装置15の搬送面17の、湾曲面17aに連設されない側の平面17bの両端辺17b1を対向辺とする矩形面17c同士を所定間隔を隔てて対向させて配置した浮揚搬送装置であり、このように一対にして組合わすことによって形成される両搬送面17間に、フィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送するものである。本装置30は、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に特に有用である。
【0024】
また、図8(B)の装置35は、上述した装置15を一対として、これら装置15の搬送面17の、湾曲面17aに連設されない側の平面17bの両端辺17b1を対向辺とする矩形面17c同士を所定間隔を隔てて対向させて配置し、これら矩形面17c間に挟まれる位置に、対向する平面17bの両端辺17b1にそれぞれ連設される態様で搬送面(第2搬送面)42を設けてなる浮揚搬送装置であり、これら搬送面42は、本実施の形態では、中空の直方体形状をなす長尺のエアチャンバ41を本体とする一対の装置40の、これらエアチャンバ41の一方面にそれぞれ形成されているものであり、これら装置40は、両装置15間に所定間隔を隔てて、上述のように、当該エアチャンバ41の一方面(搬送面42側)が装置15の平面17bの両端辺17b1にそれぞれ連設される態様で配置される。尚、このチャンバ41の両端面中央に圧縮エアを取り込むための供給口が設けられ、かかる供給口に、円筒状の供給管41a,41b(41bは図示されていない。)がそれぞれ取り付けられるとともに、これら供給管41a,41bにはブロア装置(図示せず)が接続され、ブロア装置からの圧縮エアがチャンバ2に供給されるようになっている。そして、これら搬送面42には、流体の流れが無方向性の流れを形成する上記開口部6a等と同様な開口部が設けられている。
このように装置15及び装置40を組合わすことによって形成される搬送面17及び当該搬送面17に連設される搬送面42間に、フィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送する。本装置35も、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に特に有用である。
【0025】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置を図9を参照して説明する。但し、図9中において、図1〜8の構成要素と同一の部材には同一番号を付し、その説明は割愛する。
図9(A)の装置50において、図8(A)の装置30と異なるところは、装置30を構成する装置15に代えて装置20を配置するようにした点である。即ち、装置50は、装置20を一対として、これら装置20の搬送面22の、湾曲面22aに連設されない側の平面22bの両端辺22b1を対向辺とする矩形面22c同士を所定間隔を隔てて対向させて配置した浮揚搬送装置であり、このように一対にして組合わすことによって形成される両搬送面22間に、フィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送するものである。本装置50も、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に特に有用である。
【0026】
また、図9(B)の装置55において、図8(B)の装置35と異なるところは、装置35を構成する装置15に代えて装置20を配置するようにした点である。即ち、装置55は、装置20を一対として所定間隔を隔てて対向配置し、且つ、この両装置20間に一対の装置40を所定間隔を隔てて配置した浮揚搬送装置であり、装置55を構成する両装置20の搬送面22の平面22bが両装置40の搬送面42に連設される態様をなす。
このような装置20及び装置40を組合わすことによって形成される搬送面22及び当該搬送面22に連設される搬送面42間に、フィルム状物Fが螺旋状に周回して搬送する。本装置55も、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に特に有用である。
【0027】
次に、上記装置35や装置55に対し変形型に属する浮揚搬送装置60について図10を参照して説明する。
この装置60は、装置35の装置15や装置55の装置20に代えて装置65を配置し、また、装置35や装置55の装置40に代えて装置70を配置してなるものである。
このうち装置65は、図10(A)に示すような横断面視略かまぼこ型をなす長尺のエアチャンバ66を本体とする装置で、このエアチャンバ66に形成される搬送面(第1搬送面)67は、上述した横断面視略かまぼこ型の、半円形状の湾曲面67a及び当該湾曲面67aの両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面67bで形成されており、この搬送面67のうちの湾曲面67aには、当該湾曲面67a全体に渡って、無方向性の流れを形成する上記開口部6a等と同様な開口部が設けられ、一方、この平面67bには、上記開口部9aのような形状で、そのエア(流体)噴出方向が搬送面67に沿う態様で湾曲面67a側に向いてなるような開口部(図示せず)が設けられ、詳細には、フィルム状物Fの、搬送面67への搬入側に位置する平面67bにおいてはフィルム状物Fの搬入方向と同一方向に向いてなる開口部が、また、フィルム状物Fの、搬送面67からの搬出側に位置する平面67bにおいてはフィルム状物Fの搬出方向とは逆方向に向いてなる開口部が設けられている。
【0028】
また、装置70は、図10(B)に示すように、中空の直方体形状をなす長尺のエアチャンバ71を本体とする装置で、このエアチャンバ71の一方面に搬送面72が形成されている。そして、この搬送面72に、上述した例えばチャンバ2の搬送面3と同様な開口部6a等が当該搬送面3に準ずる区画域を以って形成されている。具体的には、例えば図10(B)中のD部における搬送面72を区画域に分け、そのうちの中央域(同図中、実線でハッチングされたところの中央区画域)P4として、また、この中央域P4を隔てて両側部が右方域(同図中、エアの噴出方向を示す左向きの矢印が多数描かれたところの一方端区画域)Q4及び左方域(同図中、エアの噴出方向を示す右向きの矢印が多数描かれたところの他方端区画域)R4として形成されている。そして、これら中央域P4、右方域Q4及び左方域R4は、チャンバ71の長手方向軸に対し所定の角度をなして形成されており、このD部が搬送面72の略全体に渡って形成されている。
このような装置65及び装置70を組合わすことによって形成される搬送面67及び当該搬送面67に連設される搬送面72間に、フィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送するものである。本装置60も、例えば、片面が塗布された長尺のフィルム状物Fを、省スペース内で連続して乾燥させたいような場合に有用である。
【0029】
ところで、上述した装置15や20,70は、圧縮エアを取り込むための供給管がチャンバ2の両端面に取り付けられ、この供給管からエアが供給されるものであったが、例えば、装置15について述べれば、上述の図6中のB部において区画域に分けした搬送面17の、右方域(一方端区画域)Q1、中央域(中央区画域)P1、左方域(他方端区画域)R1に応じてチャンバ16を仕切る仕切板を、右方域Q1と中央域P1との間及び中央域P1と左方域R1との間にそれぞれ設け、これら仕切板で区画されたチャンバ16のそれぞれにエアが供給されるようにして、それぞれのエア供給量等を各別に制御するようにしてもよい(この場合、仕切板はチャンバ16の長手方向軸に対し所定の角度をなして配設されることになる)。
【0030】
更には、上述した装置15や20において、例えば装置15のチャンバ16に第2のチャンバを付設し、この第2のチャンバの搬送面がチャンバ16の搬送面17に対し所定の隙間を隔てて対向する態様で配設されるようにし、そして、このチャンバの搬送面には、チャンバ16の搬送面17に対向させ、図6中のB部で分けられた区画域に対応させて言えば、この搬送面17の中央域P1に対して中央域(中央区画域)を、また、この中央域P1を隔てて両側部に、右方域Q1に対して右方域(一方端区画域)及び左方域R1に対して左方域(他方端区画域)をそれぞれ区画して設け、中央域には無方向性の流れを形成する開口部を、また、右方域及び左方域にはフィルム状物Fの搬送方向と垂直な噴出方向で、且つ、互いに対向する流れを形成する開口部を設けるようにして、これらチャンバ16の搬送面17と第2のチャンバの搬送面との隙間を通ってフィルム状物Fを螺旋状に周回して搬送するようにしてもよい。このような態様を採るとフィルム状物Fに対する流体からの摩擦力が増すので、蛇行を自動的に修正するセンターリング効果を上げることができる、という更なる利点が備わる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本浮揚搬送装置は、フィルム状物を噴出する流体によって浮揚させつつ螺旋状に搬送する場合に、浮揚搬送されるフィルム状物の蛇行を自動的に修正できるようになるので、従来装置のような仕切り板との接触による品質不良を生ぜしめることがない点において利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図2】図1の中央域Pに設けられる突状部の斜視図である。
【図3】図1の右方域Q及び左方域Rに設けられる突状部の斜視図である。
【図4】図3(A)の突状部の詳細断面図である。
【図5】図1の装置の使用例図である。
【図6】図1の装置のチャンバと異なるチャンバで構成される装置の外観斜視図である。
【図7】図6の装置の搬送面と異なる搬送面で構成される装置の外観斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るフィルム状物の浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図10】図8や図9の装置に対し変形型に属する浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図11】従来の浮揚搬送装置の外観図である。
【符号の説明】
【0033】
1,15,20 浮揚搬送装置
30,35,40,50,55 浮揚搬送装置
2,16,21,41 エアチャンバ
3,17,22 搬送面(第1搬送面)
9,10,11 突状部
9a,10a,11a 開口部
42 搬送面(第2搬送面)
F フィルム状物
P,P1〜P4 中央域(中央区画域)
Q,Q1〜Q4 右方域(一方端区画域)
R,R1〜R4 左方域(他方端区画域)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、
前記第1搬送面は、横断面視円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な円筒面で形成され、このような第1搬送面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記円筒面の前記長尺な方向に前記螺旋状をなして設けられてなることを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【請求項2】
フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、
前記第1搬送面は、横断面視半円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な湾曲面と、この湾曲面の両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面とで形成され、このような第1搬送面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記円筒面及びこれに連設される平面の前記長尺な方向に前記螺旋状をなして設けられてなることを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【請求項3】
フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、
前記前記第1搬送面は、横断面視半円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な湾曲面と、この湾曲面の両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面とで形成され、このような第1搬送面の前記湾曲面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記湾曲面の前記長尺な方向に螺旋状をなして設けられ、また、前記第1搬送面の平面には、当該平面部に設けられた開口部からの前記流体の流れが前記平面に沿う態様で前記湾曲面側に向く流れをなすように、前記開口部が前記平面に渡って設けられてなることを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【請求項4】
前記請求項2又は3に係る浮揚搬送装置を一対として、前記第1搬送面の、前記湾曲面に連設されない側の前記平面の両端辺を対向辺とする矩形面同士を所定間隔を隔てて対向させて配置した浮揚搬送装置であって、
このようにして組合わすことによって形成される前記第1搬送面間に、前記フィルム状物を螺旋状をなして搬送することを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【請求項5】
前記請求項2又は3に係る浮揚搬送装置を一対として、前記第1搬送面の、前記湾曲面に連設されない側の前記平面の両端辺を対向辺とする矩形面同士を所定間隔を隔てて対向させて配置し、これら矩形面間に挟まれる位置に、前記対向する平面の両端辺にそれぞれ連設される態様で第2搬送面を設け、これら第2搬送面に設けられた開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなす浮揚搬送装置であって、
このようにして組合わすことによって形成される前記第1搬送面及び当該第1搬送面間に連設される前記第2搬送面間に、前記フィルム状物を螺旋状をなして搬送することを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【請求項1】
フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、
前記第1搬送面は、横断面視円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な円筒面で形成され、このような第1搬送面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記円筒面の前記長尺な方向に前記螺旋状をなして設けられてなることを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【請求項2】
フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、
前記第1搬送面は、横断面視半円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な湾曲面と、この湾曲面の両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面とで形成され、このような第1搬送面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記円筒面及びこれに連設される平面の前記長尺な方向に前記螺旋状をなして設けられてなることを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【請求項3】
フィルム状物をその第1搬送面に設けられた開口部から噴出する流体によって前記第1搬送面の所望位置で浮揚しつつ前記第1搬送面に螺旋状をなして搬送するとともに、前記フィルム状物が蛇行して前記所望位置から外れたとき、又は外れようとしたときに前記開口部から噴出する前記流体が、前記フィルム状物を前記所望位置に自動的に復帰させつつ浮揚搬送する浮揚搬送装置であって、
前記前記第1搬送面は、横断面視半円形状をなし、且つ、前記搬送方向に垂直な方向に長尺な湾曲面と、この湾曲面の両端辺に滑らかにそれぞれ連設された平面とで形成され、このような第1搬送面の前記湾曲面には、当該第1搬送面の、前記フィルム状物の搬送方向に臨んで当該フィルム状物の両幅端部付近に位置する一方端区画域及び他方端区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが、前記第1搬送面に沿う態様で、且つ、互いに対向する、前記搬送方向に垂直な流れをなす一方、前記一方端区画域と他方端区画域とに挟まれる中央区画域に設けられた前記開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなすように、前記開口部が前記湾曲面の前記長尺な方向に螺旋状をなして設けられ、また、前記第1搬送面の平面には、当該平面部に設けられた開口部からの前記流体の流れが前記平面に沿う態様で前記湾曲面側に向く流れをなすように、前記開口部が前記平面に渡って設けられてなることを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【請求項4】
前記請求項2又は3に係る浮揚搬送装置を一対として、前記第1搬送面の、前記湾曲面に連設されない側の前記平面の両端辺を対向辺とする矩形面同士を所定間隔を隔てて対向させて配置した浮揚搬送装置であって、
このようにして組合わすことによって形成される前記第1搬送面間に、前記フィルム状物を螺旋状をなして搬送することを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【請求項5】
前記請求項2又は3に係る浮揚搬送装置を一対として、前記第1搬送面の、前記湾曲面に連設されない側の前記平面の両端辺を対向辺とする矩形面同士を所定間隔を隔てて対向させて配置し、これら矩形面間に挟まれる位置に、前記対向する平面の両端辺にそれぞれ連設される態様で第2搬送面を設け、これら第2搬送面に設けられた開口部からの前記流体の流れが無方向性の流れをなす浮揚搬送装置であって、
このようにして組合わすことによって形成される前記第1搬送面及び当該第1搬送面間に連設される前記第2搬送面間に、前記フィルム状物を螺旋状をなして搬送することを特徴とするフィルム状物の浮揚搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−121724(P2011−121724A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281070(P2009−281070)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(508176061)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(508176061)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]