説明

フィルム被嵌装置

【課題】複数の整形杆を有するマンドレルによって所定の開口状態に整形した筒状フィルムを被嵌体に安定した状態で確実に被嵌することができるフィルム被嵌装置を提供する。
【解決手段】
シート状に折り畳まれた筒状のラベルLを予備的に開口するラベルオープナー12と、ラベルオープナー12によって開口された筒状フィルムを所定の開口形状に整形する複数の開閉可能な整形杆13dを有するマンドレル13bと、マンドレル13bによって整形されたラベルLを押し下げることで、マンドレル13bの直下に位置しているボトルBにラベルLを被嵌させるフィルム押下手段14と、ラベルLをボトルBに被嵌する際にラベルLを拡開するラベル拡開手段20とを備え、ラベル拡開手段20は、ラベルLをボトルBに被嵌する際にラベルLを取り囲み、ラベルLがボトルBに被嵌される直前位置において、ラベルLの外側に上向きまたは下向きの空気流を生じさせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボトル容器等の嵌挿体にラベル等の筒状フィルムを嵌挿する筒状フィルムの嵌挿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、シュリンクフィルムによって形成された筒状のラベルをPETボトルの胴部に被嵌するラベル被嵌システムとしては、シート状に折り畳まれた状態のラベル及びPETボトルを受け取って、そのラベルを開口しながらPETボトルに被嵌する複数のラベル被嵌ヘッドを有するロータリ型のラベル被嵌装置を搭載したものがあり、各ラベル被嵌ヘッドは、図9(a)〜(c)に示すように、シート状に折り畳まれた状態のラベルLを予備的に開口するラベルオープナー61と、このラベルオープナー61によって筒状に開口されたラベルLに閉じた状態で挿入され、開くことによって、ラベルLを外側に押し広げて所定の開口形状に整形する4本の開閉可能な整形杆62aを有するマンドレル62と、このマンドレル62によって所定の開口形状に整形されたラベルLを、マンドレル62から押し下げることによって、マンドレル62の直下に位置しているPETボトルBに被嵌するラベル押下板63とを備えている。
【0003】
上述したような4本の開閉可能な整形杆62aを有するマンドレル62を採用すると、ラベルLの折径が変化しても、マンドレル62全体を交換することなく、整形杆62aの開閉量を調整するだけで対応することができるので、型替えを容易に行うことができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−227730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したようなラベル被嵌装置では、マンドレル62によってラベルLをPETボトルBの胴部形状に近づけているが、マンドレル62は4本の整形杆62aによってラベルLを外側に押し広げているだけなので、整形杆62aに案内されていない部分は、PETボトルBの肩部に接触することになる。
【0006】
マンドレル62によって整形されたラベルLは、図10に示すように、4本の整形杆62aの接触部分cp及びラベルLの折り返しに伴う4カ所の折り目部分fpがそれぞれ外側に張り出した略8角形状となるので、特に、PETボトルBが丸ボトルの場合は、同図に示すように、4本の整形杆62aによって案内されていない箇所のPETボトルBとの接触面積が大きくなり、ラベルL自体にある程度の座屈強度がなければ、PETボトルBに接触した箇所が容易に座屈してしまい、被嵌不良に繋がるおそれがある。
【0007】
複数本の整形杆を備えたマンドレルに替えて、砲弾型のマンドレルを採用すれば、ラベルLを円筒状に整形することができ、安定した状態で、ラベルLをPETボトルBの胴部に被嵌することができるが、こういった砲弾型のマンドレルを採用すると、ラベルLの折径によって随時型替えが必要となり、型替えコストと型替え時間が大幅にアップしてしまうという新たな問題が発生する。
【0008】
そこで、この発明の課題は、複数の整形杆を有するマンドレルによって筒状フィルムを所定の開口状態に整形する場合でも、筒状フィルムを被嵌体に安定した状態で確実に被嵌することができるフィルム被嵌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、シート状に折り畳まれた状態で供給される筒状フィルムを予備的に開口するフィルム開口手段と、前記フィルム開口手段によって予備的に開口された筒状フィルムに、閉じた状態で挿入され、開くことによって、筒状フィルムを外側に押し広げて所定の開口形状に整形する複数の開閉可能な整形杆を有するフィルム整形手段と、前記マンドレルによって所定の開口形状に整形された筒状フィルムを押し下げることによって、前記マンドレルの直下に位置している被嵌体に筒状フィルムを被嵌させるフィルム押下手段とを備えたフィルム被嵌装置において、前記フィルム押下手段が筒状フィルムを押し下げて被嵌体に被嵌する際に、筒状フィルムを拡開するフィルム拡開手段を設け、前記フィルム拡開手段は、筒状フィルムを押し下げて被嵌体に被嵌する際に、筒状フィルムを取り囲み、少なくとも、筒状フィルムが被嵌体に被嵌される直前位置において、筒状フィルムの外側に形成された、筒状フィルムとの間の隙間に、上向きまたは下向きの空気流を生じさせるようにしたことを特徴とするフィルム被嵌装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、請求項1に係る発明のフィルム被嵌装置は、フィルム押下手段が筒状フィルムを押し下げて被嵌体に被嵌する際に、フィルム拡開手段が筒状フィルムを取り囲み、少なくとも、筒状フィルムが被嵌体に被嵌される直前位置において、筒状フィルムの外側に形成された、筒状フィルムとの間の隙間に、上向きまたは下向きの空気流を生じさせるようになっているので、この空気流によって、マンドレルによって所定の開口形状に整形された筒状フィルムが全体的に外側に引っ張られて、被嵌体よりも大径の略円形状に拡開される。従って、筒状フィルムを被嵌体に被嵌する際、筒状フィルムが被嵌体に接触することがなく、常に安定した状態で確実に被嵌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係るフィルム被嵌装置の一実施形態であるラベル被嵌装置が搭載されたラベル被嵌システムを示す概略平面図である。
【図2】同上のラベル被嵌装置(ラベル被嵌ヘッド)を示す概略図である。
【図3】同上のラベル被嵌装置(ラベル被嵌ヘッド)に搭載されている開口補助手段を示す部分縦断面図である。
【図4】同上の開口補助手段を示す底面図である。
【図5】(a)〜(c)は同上のラベル被嵌装置(ラベル被嵌ヘッド)によるラベル被嵌動作を説明するための動作図である。
【図6】(a)〜(c)は同上のラベル被嵌装置(ラベル被嵌ヘッド)によるラベル被嵌動作を説明するための動作図である。
【図7】(a)〜(c)は同上のラベル被嵌装置(ラベル被嵌ヘッド)によるラベル被嵌動作を説明するための動作図である。
【図8】(a)は同上の開口補助手段によってラベルを拡開した状態を示す部分断面図、(b)は同上の開口補助手段によってラベルを拡開した状態を示す平面図である。
【図9】(a)〜(c)は従来のラベル被嵌装置を説明するための説明図である。
【図10】同上のラベル被嵌装置を構成しているマンドレルによってラベルを所定の開口形状に整形した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のフィルム被嵌装置に相当するラベル被嵌装置が搭載されたラベル被嵌システム1を示している。このラベル被嵌システム1は、同図に示すように、PETボトル(以下、ボトルという。)Bにポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる熱収縮性フィルムによって形成された筒状のシュリンクラベル(以下、ラベルという。)Lを被嵌するものであり、同図に示すように、ベルトコンベア8、スターホイール2a、スクリューコンベア2b及びスターホイール2cからなるボトル供給装置2と、基材繰出装置3によって基材ロールから繰り出された長尺のラベル形成基材Mを順次切断しながらラベルLを形成し、そのラベルLを第1のラベル受渡位置αに順次供給するラベル供給装置4と、このラベル供給装置4によって第1のラベル受渡位置αに供給されたラベルLを受け取って第2のラベル受渡位置βに搬送するラベル受渡装置5と、ボトル供給位置γにおいて前記ボトル供給装置2から供給されたボトルBを受け取り、ボトル送出位置δまで搬送すると共に、前記ラベル受渡装置5によって搬送されてきたラベルLを第2のラベル受渡位置βにおいて受け取り、ボトルBをボトル供給位置γからボトル送出位置δまで搬送する間に、ラベルLをボトルBに被嵌するロータリ型のラベル被嵌装置6と、このラベル被嵌装置6によってラベルLが被嵌されたボトルBを搬出する、スターホイール7a及びベルトコンベア8からなるボトル搬送装置7とから構成されている。
【0013】
前記ラベル受渡装置5は、図1及び図2に示すように、第1のラベル受渡位置αと第2のラベル受渡位置βとを通るように、回転する複数本のテイクアップ部材5aを備えており、シート状に折り畳まれた状態で第1のラベル受渡位置αに供給されるラベルLを、櫛歯状の保持部を有するテイクアップ部材5aが受け取って、ラベル被嵌装置6に送出するようになっている。
【0014】
前記ラベル被嵌装置6は、図1及び図2に示すように、回転軸(図示せず)に取り付けられた複数の支持円盤10a、10b、10cを介して、回転軸を中心とした同心円上に一定間隔で取り付けられた多数のラベル被嵌ヘッド10を備えており、各ラベル被嵌ヘッド10によって、第2のラベル受渡位置βにおいて受け取ったシート状に折り畳まれた筒状のラベルLがボトルBの外径より大きく拡開され、この拡開されたラベルLが、ボトル供給位置γにおいて受け取ったボトルBがボトル送出位置δまで搬送される途中で、ボトルBの胴部に被嵌されるようになっている。
【0015】
前記ラベル被嵌ヘッド10は、図2に示すように、ボトル供給位置γにおいて受け取ったボトルBをボトル保持台11aに載置した状態に保持するボトル保持手段11と、第2のラベル受渡位置βにおいて受け取ったシート状に折り畳まれたラベルLを筒状に開口するラベルオープナー12と、このラベルオープナー12によって予備的に開口された筒状のラベルLを所定の開口形状に整形するラベル整形手段13と、このラベル整形手段13によって所定の開口形状に整形されたラベルLを押し下げることで、ラベル整形手段13の直下に位置しているボトルBにラベルLを被嵌させるラベル押下手段14と、このラベル押下手段14がラベルLを押し下げてボトルBに被嵌する際に、ラベルLをボトルBの外径より大きく拡開するラベル拡開手段20とから構成されている。
【0016】
前記ラベルオープナー12は、図2に示すように、テイクアップ部材5aの櫛歯状の保持部と噛み合う櫛歯状の把持部が先端に取り付けられた開閉可能な一対の吸引把持アーム12aと、把持面に形成された吸引口から吸引することで、シート状に折り畳まれた状態のラベルLの両面をそれぞれ把持部に吸引保持させる図示しない吸引手段と、一対の吸引把持アーム12aを開閉させる開閉駆動手段12bとから構成されており、ラベル受渡装置5のテイクアップ部材5aに片面が吸引保持された状態で搬送されてきたシート状に折り畳まれたラベルLを、図5(a)に示すように、第2のラベル受渡位置βにおいて、一方の吸引把持アーム12aの把持部が引っかけるようにして受け取り、同図(b)に示すように、ラベルLの両面を双方の把持部が把持することで吸引保持した後、同図(c)に示すように、その吸引把持アーム12aを開いてラベルLの両面を相互に離間させることにより、ラベルLを筒状に開口するようになっている。
【0017】
前記ラベル整形手段13は、図2に示すように、支持円盤10cに昇降可能に支持された円筒状の支持部材13aと、この支持部材13aの下端部に取り付けられたマンドレル13bと、支持部材13aを昇降させるためのカム機構13hとから構成されており、支持部材13aが降下することにより、ラベルオープナー12によって開口されたラベルLにマンドレル13bが挿入されるようになっている。
【0018】
前記マンドレル13bは、支持部材13aの下端部に固定された基台部13cと、この基台部13cに、先端側(下端側)が開閉するように、基端部(上端部)が支持された4本の整形杆13dと、この整形杆13dの先端側を閉方向に付勢する図示しないばねと、このばねによって閉方向に付勢された整形杆13dを開閉させる、支持部材13aに挿通され、支持部材13aに沿って昇降する操作棒13e及び図示しないカム機構と、操作棒13eを昇降させるためのカム機構13fとから構成されており、図5(c)に示すように、ラベルオープナー12によって開口されたラベルLに、閉じた状態の整形杆13dが挿入された後、図6(a)に示すように、整形杆13dが開くことによって、ラベルLが所定の開口形状に整形されるようになっている。
【0019】
前記操作棒13eを昇降させるカム機構13fは、図2に示すように、ラベル被嵌ヘッド10の上部を取り囲む円筒体15に形成された第1のカム溝15aと、このカム溝15aに嵌り込む、支持部材13aの上端部に支持されたカムフォロア13gとから構成されており、ラベル被嵌ヘッド10が回転軸を中心に回転することによって、カムフォロア13gがカム溝15aに沿って昇降しながら移動し、これに伴って、カムフォロア13gが支持されている操作棒13eが昇降するようになっている。
【0020】
また、支持部材13aを昇降させるカム機構13hは、図2に示すように、前記円筒体15に形成された第2のカム溝15bと、このカム溝15bに嵌り込む、支持部材13aの上端部に支持されたカムフォロア13iとから構成されており、ラベル被嵌ヘッド10が回転軸を中心に回転することによって、カムフォロア13iがカム溝15bに沿って昇降しながら移動し、これに伴って、カムフォロア13iが支持されている支持部材13aが昇降するようになっている。
【0021】
前記ラベル押下手段14は、支持円盤10cに昇降可能に支持された支持棒14aと、この支持棒14aの下端部に取り付けられたラベル押下板14bと、支持棒14aを昇降させるためのカム機構14cとから構成されており、ラベル押下板14bには、4本の整形杆13d全体を挿通するための図示しない穴が形成されている。
【0022】
前記カム機構14cは、ラベル被嵌ヘッド10の中間部を取り囲む円筒体16に形成されたカム溝16aと、このカム溝16aに嵌り込む、支持棒14aの中間部に支持されたカムフォロア14dとから構成されており、ラベル被嵌ヘッド10が回転軸を中心に回転することによって、カムフォロア14dがカム溝16aに沿って昇降しながら移動し、これに伴って、カムフォロア14dが支持されている支持棒14aが昇降するようになっている。
【0023】
従って、図6(a)に示すように、ラベル整形手段13の整形杆13dによってラベルLが拡開された後、同図(b)、(c)及び図7(a)に示すように、ラベル押下板14bが整形杆13dに沿って降下すると、ラベル押下板14bによってラベルLが下方側に押し下げられ、その直下に位置しているボトルBの胴部にラベルLが嵌挿される。
【0024】
前記ラベル拡開手段20は、図3及び図4に示すように、図示しない支持部材に支持された、上下方向に延びるスライドレール21と、このスライドレール21に沿って昇降するスライダ22と、このスライダ22に連結部材23を介して連結された、内径がボトルBの胴部の外径よりも大きい環状の拡開ユニット24と、スライダ22を昇降させるカム機構28とを備えており、拡開ユニット24は、マンドレル13bによって所定の開口形状に整形されたラベルLとの間に15mm程度の隙間が形成されるような内径に設定されている。
【0025】
前記拡開ユニット24は、円筒状の基部25と、この基部25の上端部に嵌入され、上部内周面に形成された段部で位置決めされた状態で固定された、基部25の上部内周面との間にエア供給路arを形成する環状の隔壁部26とから構成されており、隔壁部26の下面には、エア供給路arに連通する内径φが0.5〜2.0mmのエア吹出孔26aが所定間隔で多数形成されている。
【0026】
前記拡開ユニット24のエア供給路arは、基部25の上部外周面に接続された一対のタッピング27a、27a及びそのタッピング27a、27aに接続されたチューブ27b、27bを介して、図示しないコンプレッサに接続されており、コンプレッサからチューブ27b、27b及びタッピング27a、27aを通って圧縮空気がエア供給路arに供給され、隔壁部26の吹出孔26aから下向きにエアが吹き出されるようになっている。なお、コンプレッサによるエアの供給圧は、コンプレッサの吐出配管内の圧力が0.1MPaに設定されており、拡開ユニット24によるエアの吹出動作は、図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
【0027】
前記カム機構28は、ラベル被嵌ヘッド10の中間部を取り囲む円筒体17に形成されたカム溝17aと、このカム溝17aに嵌り込む、連結部材23に支持されたカムフォロア29とから構成されており、ラベル被嵌ヘッド10が回転軸を中心に回転することによって、カムフォロア29がカム溝17aに沿って昇降しながら移動し、これに伴って、拡開ユニット24が、ラベルオープナー12の直下において、昇降するようになっている。
【0028】
以下、ラベル拡開手段20の動作について、図5〜図7に示す動作図を参照しながら説明する。図5(a)〜(c)及び図6(a)に示すように、ラベルオープナー12がラベルLを受け取り、ラベル整形手段13のマンドレル13bがラベルLを所定の開口形状に整形するまでの間に、ラベル被嵌ヘッド10は、ラベルLが被嵌されたボトルBをボトル搬送装置7に引き渡したり、新しいボトルBをボトル供給装置2から受け取ったりすることになるので、その間は、拡開ユニット24がボトルBの搬出、搬入の障害にならないように、拡開ユニット24はボトルBよりも上方の位置に待避している。
【0029】
マンドレル13bによってラベルLが所定の開口形状に整形されると、図6(b)に示すように、拡開ユニット24がボトルBの肩部周辺から上側を取り囲む位置まで降下すると共に、ラベルLを所定の開口形状に整形しているマンドレル13bも降下し、その整形杆13dの先端が拡開ユニット24の上端部、即ち、ボトルBのスクリューキャップの位置まで進入した状態で停止する。
【0030】
続いて、同図(c)に示すように、ラベル押下手段14のラベル押下板14bがラベルLをマンドレル13bの整形杆13dから押し下げ始めるが、拡開ユニット24は、同図(b)に示すように、ラベル押下板14bによるラベルLの押下動作の開始直前から、エアの吹出動作を開始し、同図(c)に示すように、ラベルLの下端部がボトルBの胴部に半分程度被嵌された時点でエアの吹出動作を停止するようになっている。
【0031】
拡開ユニット24がエアの吹出動作を開始する直前は、マンドレル13bの4本の整形杆13dの接触部分及びラベルLの折り返しに伴う4カ所の折り目部分がそれぞれ外側に張り出した略8角形状となっており、整形杆13dに案内されていない部分がボトルBの肩部に接触するような状態となっているが(図10参照)、拡開ユニット24がエアの吹出動作を開始すると、図8(a)、(b)に示すように、拡開ユニット24から吹き出されたエアの流れによって、マンドレル13bによって所定の開口形状に整形されたラベルLが全体的に径方向外側に引っ張られて、ボトルBの胴部よりも大径の略円形状に拡開される。
【0032】
従って、ラベル押下手段14のラベル押下板14bがラベルLをマンドレル13bの整形杆13dから押し下げることで、ラベルLをボトルBに被嵌する際、ラベルLがボトルBの肩部に接触することがなく、常に安定した状態で確実に被嵌することができる。
【0033】
その後、図7(a)に示すように、ラベルLをボトルBの所定の高さ位置まで押し下げるために、ラベル押下手段14のラベル押下板14bが、ボトルBの肩部当りまで降下することになるので、拡開ユニット24がラベル押下板14bに衝突しないように、拡開ユニット24もさらに降下し、ボトルBの胴部の中間部分を取り囲む高さ位置で停止する。
【0034】
この時点で、拡開ユニット24によるエアの吹出動作が停止されるが、ラベルLの下端部がボトルBの肩部を越えて胴部に既に被嵌されているので、その後は、拡開ユニット24がラベルLを拡開しなくても、ラベルLがボトルBの胴部外周面に沿って押し下げられるので、ラベルLが座屈することがなく、特に問題となることはない。
【0035】
その後は、図7(b)、(c)に示すように、マンドレル13b、ラベル押下板14b及び拡開ユニット24がそれぞれ上昇して、図5(a)に示す初期位置で停止し、同様の動作を繰返すことになる。
【0036】
以上のように、このラベル被嵌システム1では、ラベル被嵌装置6が、複数の整形杆13dを有するマンドレル13bによってラベルLを所定の開口状態に整形するラベル整形手段13を備えているが、ラベル拡開手段20を設けることによって、ラベルLをボトルBに安定した状態で確実に被嵌することができるので、ラベルLの折径によって随時型替えが必要で、型替えコストと型替え時間が大幅にアップしてしまう砲弾型のマンドレルを採用する必要がなく、良好な被嵌性能と型替えの容易性の双方が実現される。
【0037】
なお、上述した実施形態では、拡開ユニット24が、マンドレル13bによって整形されたラベルLとの間に15mm程度の隙間が形成されるような内径に設定されているが、これに限定されるものではなく、拡開ユニット24の内径は、マンドレル13bによって整形されたラベルLとの間に15mm〜5mm程度の隙間が形成されるように適宜設定すればよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、拡開ユニット24にエアを供給するコンプレッサの吐出配管内の圧力が0.1MPaに設定されているが、これに限定されるものではなく、コンプレッサの吐出配管内の圧力は、0.1MPa〜1.0MPaの範囲内で適宜設定すればよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、拡開ユニット24は、基部25の内周面に沿って下向きにエアが吹き出されるようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば、基部の下部内周面にエア供給路を形成する環状の隔壁部を設け、その隔壁部の上面にエアの吹出孔を形成することで、基部の内周面に沿って上向きにエアを吹き出すようにしても、同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、上述した実施形態では、ラベル押下板14bによるラベルLの押下動作の開始直前から、エアの吹出動作を開始し、ラベルLの下端部がボトルBの胴部に半分程度被嵌された時点でエアの吹出動作を停止するようになっているが、これに限定されるものではなく、少なくとも、ラベルLをボトルBの肩部に被嵌する際に、エアの吹出動作が実行されていればよく、常時、エアの吹出動作を行っていてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、PETボトルBにシュリンクラベルLを装着する場合について説明したが、被嵌体は上述したようなPETボトルBに限定されるものではなく、本発明のフィルム受渡装置は、瓶、缶等の種々の容器や筒状体にシュリンクラベル等のシート状に折り畳まれた筒状のフィルムを被嵌する場合に適用することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のフィルム被嵌装置は、肩部が張ったボトル容器等の嵌挿体にラベル等の筒状フィルムを嵌挿する種々の筒状フィルムの嵌挿装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ラベル被嵌システム
2 ボトル供給装置
3 基材繰出装置
4 ラベル供給装置
5 ラベル受渡装置
5a テイクアップ部材
6 ラベル被嵌装置(フィルム被嵌装置)
7 ボトル搬送装置
8 ベルトコンベア
10 ラベル被嵌ヘッド
11 ボトル保持手段
11a ボトル保持台
12 ラベルオープナー(フィルム開口手段)
12a 吸引把持アーム
12b 開閉駆動手段
13 ラベル整形手段
13b マンドレル
13d 整形杆
14 ラベル押下手段(フィルム押下手段)
14b ラベル押下板
20 ラベル拡開手段(フィルム拡開手段)
21 スライドレール
22 スライダ
23 連結部材
24 拡開ユニット
25 基部
26 隔壁部
26a 吹出孔
27a タッピング
27b チューブ
28 カム機構
B PETボトル
L シュリンクラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に折り畳まれた状態で供給される筒状フィルムを予備的に開口するフィルム開口手段と、
前記フィルム開口手段によって予備的に開口された筒状フィルムに、閉じた状態で挿入され、開くことによって、筒状フィルムを外側に押し広げて所定の開口形状に整形する複数の開閉可能な整形杆を有するマンドレルと、
前記マンドレルによって所定の開口形状に整形された筒状フィルムを押し下げることによって、前記マンドレルの直下に位置している被嵌体に筒状フィルムを被嵌させるフィルム押下手段と
を備えたフィルム被嵌装置において、
前記フィルム押下手段が筒状フィルムを押し下げて被嵌体に被嵌する際に、筒状フィルムを拡開するフィルム拡開手段を設け、
前記フィルム拡開手段は、筒状フィルムを押し下げて被嵌体に被嵌する際に、筒状フィルムを取り囲み、少なくとも、筒状フィルムが被嵌体に被嵌される直前位置において、筒状フィルムの外側に形成された、筒状フィルムとの間の隙間に、上向きまたは下向きの空気流を生じさせるようにしたことを特徴とするフィルム被嵌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−178399(P2011−178399A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41347(P2010−41347)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】