説明

フィルム複合材料を製造するための方法および装置

本発明は、フィルム複合材料を製造するための方法および装置に関する。一方法ステップでは、第1の個々のフィルム(2)を少なくとも1つの第1の把持装置(8)によって捕え、該把持装置(8)を該フィルムと共に第1の移動方向(4)に移動させる。さらなる方法ステップでは、該第1の移動方向(4)における該フィルム(2)の位置を決定し、該フィルム(2)を第1の移動方向(Y)の所定位置に固定する。さらなる方法ステップでは、第2の移動方向(X)における該第1のフィルム(2)の位置を決定し、該第2の移動方向は、該第1の移動方向に略垂直であって、該第1のフィルム(2)を、該第2の移動方向(X)に移動させる。本発明にしたがうと、該第2の移動方向(X)への搬送のために、該フィルム(2)を第2の把持装置(4)によって把持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム複合材料を製造するための方法および装置に関する。そのようなフィルム複合材料は、例えば、チェックカードまたは他のIDカードの製造に使用される。このためには、1つ以上のフィルムは、キャリア材料に接合させたり、または互いに接合させたりし、最終的に個々のカードを複合材料から型抜きすることによって形成される。該複合材料は、特に、印刷または非印刷形態で存在する、1つ以上のプラスチックフィルムを備える。製造中、これらのフィルムを、順に重ねて配置し、互いに対して位置合わせする必要がある。これらのフィルムは、通常、非常に小さい厚さを有するため、特に、フィルムを互いに対して位置合わせする工程は、非常に複雑である。
【背景技術】
【0002】
所定方向にフィルムを移動させる搬送装置を用いてフィルムを配置し、さらなる方向にフィルムを移動させる搬送ベルト上に2つの把持部を用いてフィルムを配置することは、従来技術から公知である。この第2の搬送は、電動で搬送方向に引っ張られるエンドレスフィルムを備える。従来技術におけるさらなるステップでは、フィルムまたはシートは、印刷マークのXY位置(第1のシートとしてのX搬送の搬送フィルム上、あるいは既存の位置合わせされるシートまたは既存の位置合わせされるシートの組上に、2つのカメラによって決定される)にしたがって、把持され、配置される。最後に、シートの組は溶接される。すべての関連したフィルムを配置、位置合わせ、および溶接するまで、この手順が繰り返される。その後、さらなるエンドレスフィルムが上方から供給され、結果として得られた組に溶接される。さらなるステップでは、シートの組が切断され、切断片が積層(stack)に配置される。したがって、従来技術では、個々のフィルムを互いに対して位置合わせするためには、コストの大きいカメラシステムを使用する必要がある。
【0003】
さらに、従来技術で公知の方法は、比較的時間がかかる。また、第1の方向またはY方向、およびそれに垂直である第2の方向またはX方向に、シートまたはフィルムの搬送を実行する方法も、従来技術から公知である。この場合、一方向への搬送のための搬送装置が、他の方向への搬送装置上に配置される。一例として、Yサーボ軸をXサーボ軸上に取り付けることが公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、本発明にしたがう製造装置および方法のコストを削減すること、さらに、サイクルタイムを減少させることによって、処理量を増加させることである。最後に、異なるシートフォーマット、シート番号、およびエンドレスフィルムを用いる(または用いない)処理に関連した、より柔軟な方法も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明を、請求項1にしたがう方法と請求項8にしたがう装置とによって、本発明にしたがって実現する。有利な実施形態とさらなる展開は、従属請求の範囲の内容を形成する。
【0006】
フィルム複合材料を製造するための本発明にしたがう方法では、第1の方法ステップにおいて、少なくとも1つの第1の把持装置によって、第1の個々のフィルムを捕え、把持装置をフィルムと共に、第1の移動方向に移動させる。さらなる方法ステップでは、第1の移動方向におけるフィルムの位置を決定し、次に、フィルムを第1の移動方向の所定位置に固定する。さらなる方法ステップでは、第2の移動方向における第1のフィルムの位置を決定し(該第2の移動方向は、第1の移動方向に略垂直である)、第1のフィルムを第2の移動方向に移動させる。
【0007】
本発明にしたがうと、第2の移動方向への搬送のために、第2の把持装置によってフィルムを把持する。したがって、本発明にしたがうと、まず初めに、第1の方向への移動が行われ、この第1の移動方向における位置が決定される。次に、第2の移動方向における位置が決定され、この第2の移動方向における対応する移動が行われる。個々の移動工程のこの分離により、従来技術と比較して、光学的位置検出を大幅に単純化することができる。より具体的には、フィルムのそれぞれの位置を決定するために、複雑なカメラシステムを必要とせず、代わりに、単純な印刷マークセンサおよび表面センサを介して、この位置決定を実行することができる。したがって、例えば、フィルム上の特定のマークを検出する光ファイバまたはレーザーを使用し、それによって、その位置を決定することが可能である。
【0008】
好ましくは、一度フィルムのそれぞれの位置が両方の移動方向で決定されると、このフィルムが位置合わせされ、好ましくはフィルムを引っ張ることによって位置合わせされる。この引っ張りによって、それぞれの極薄フィルムのいかなる屈曲も防止することが可能である。フィルムおよびシートという用語を、以下に同意語として使用する。
【0009】
したがって、好ましい一方法では、いずれの場合でも、フィルムがそのそれぞれの標的位置にまだ達していない場合に標的位置に向かって引っ張ることができるように、フィルムの正確な位置の決定が、実行される。フィルムの位置を決定するためのセンサを適切に配置することによって、これを実現し得る。
【0010】
好ましい一方法では、第1の把持装置は、第1の移動方向にのみ移動することができ、第2の把持装置は、第2の移動方向にのみ移動することができる。この場合、特に好ましくは、2つの把持装置を互いから独立して移動することができ、特に、把持装置を互いから独立して移動することができる独立したサーボ軸がある。
【0011】
さらなる有利な方法では、第1のフィルムは、第2のフィルムの上または下に少なくとも部分的に押され、フィルムは、それらのそれぞれの決定位置に基づいて、互いに対して位置合わせされる。複数の個々のフィルムから成る積層を形成するとき、それに応じてこの工程を繰り返し得る。この場合、異なる方法ステップでは、まず初めに、例えば、2つの第1のフィルムが互いに対して位置合わせされ、次にこれらが、さらなるフィルム等に対して位置合わせされる。
【0012】
さらなる好ましい方法では、第1のフィルムと第2のフィルムとを、第2の移動方向に互いに対して位置合わせする。ここで、2つのフィルムは、好ましくは、それらの第1の方向にそれぞれ既に位置合わせされている。この位置合わせの後、特に好ましくは保持装置によって、フィルムを互いに固定する。これは例えば、フィルム面に垂直に互いに2つのフィルムを押圧するプランジャ装置であり得る。
【0013】
さらなる有利な方法では、一度フィルムを位置合わせすると、フィルムから、または複数のフィルムから把持装置を取り外す。この取り外しの後、それぞれの把持装置の再設定または戻り動作が可能である。好ましくは、これらは、例えば、フィルムの2つの間隙を介した領域で、2つの反対側の縁部を把持する把持装置であり、それぞれ互いから独立して制御し得る。したがって、2つの把持装置の適切な相対移動によって、フィルムの回転も、ある程度可能である。
【0014】
一度把持装置をフィルムから取り外すと、フィルムまたはフィルムの組の搬送が、例えばコンベアベルト上で可能である。
【0015】
本発明にしたがうさらなる方法では、さらなる方法ステップにおいて、フィルムもしくはフィルムの積層を、少なくとも1つのフィルムキャリアに接合(特に溶接)する。
【0016】
本発明はまた、フィルム複合材料を製造するための装置に関し、フィルムを把持し、第1の移動方向にフィルムを移動させる第1の移動装置と、第1の移動装置上に配置された少なくとも1つの把持装置とを備える。また、第1の移動方向におけるフィルムの位置を決定する第1の位置決定装置、および第1の位置決定装置によって決定された位置を受けて第1の移動装置の移動を制御する制御装置も提供する。
【0017】
また、第2の移動装置も提供され、この第2の移動装置は、フィルムを把持してそれを第2の移動方向に移動させるために第2の移動装置上に配置された少なくとも1つの第2の把持装置を有する。また、第2の移動方向における第1のフィルムの位置を決定する第2の位置決定装置も提供する。この場合、好ましくは、第2の位置決定装置によって決定された位置に応じて、制御装置を介して第2の移動装置の制御を行う。本発明にしたがうと、第1の把持装置は、本質的に第1の移動方向にのみ移動することができ、第2の把持装置は、本質的に第2の移動方向にのみ移動することができ、2つの把持装置は、互いから独立して移動することができる。
【0018】
本発明はまた、上述の方法を実行する装置に関し、この装置は、フィルムを把持してそれを第1の移動方向に移動するために第1の移動装置上に配置された第1の移動装置と、少なくとも1つの把持装置とを備える。また、第1の移動方向におけるフィルムの位置を決定する第1の位置決定装置と、第1の位置決定装置によって決定された位置に応じて第1の移動装置の移動を制御する制御装置とを提供する。また、フィルムを把持してそれを第2の移動方向に移動するために第2の移動装置上に配置された少なくとも1つの第2の把持装置を有する、第2の移動装置も提供する。また、第2の移動方向における第1のフィルムの位置を決定する第2の位置決定装置も提供する。
【0019】
さらなる好ましい実施形態では、さらなる第1の移動装置を提供し、フィルムを把持してそれを第1の移動方向に移動するために、さらなる第1の把持装置を配置する。このようにして、複数のフィルムを順に重ねて配置し得る。好ましくは、このさらなる第1の移動装置上に、さらなる位置決定装置を提供する。第1の移動装置という用語は、第1の移動方向にフィルムを移動させる移動装置を意味するものとして以下で理解される。第2の移動装置は、第2の移動方向にフィルムを移動させる移動装置を意味するものとして理解される。順に重ねて配置される異なるフィルムの個数に応じて、複数の第1の移動装置を提供することもまた可能である。本発明にしたがう装置は、個々の第1の移動装置のスイッチをオンおよびオフにすることによって、多数または少数のフィルムを含むフィルム複合材料を製造するように設定することが可能である。
【0020】
移動装置は、好ましくはサーボ軸である。
【0021】
さらなる好ましい実施形態では、第1の位置決定装置は、印刷マークセンサである。特に好ましくは、第2の位置決定装置は、表面センサである。したがって、第1の位置決定装置は、第1の方向におけるフィルムの位置を決定する位置決定装置を意味すると理解され、第2の位置決定装置は、第2の移動方向におけるフィルムの位置を決定する装置を意味すると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明にしたがう方法を図解するための概略図を示す。
【図2】図2は、第1の動作位置における、本発明にしたがう装置の概略図を示す。
【図3】図3は、第2の動作位置における、本発明にしたがう装置の概略図を示す。
【図4】図4は、第3の動作位置における、本発明にしたがう装置の概略図を示す。
【図5】図5は、処理されるフィルムの図を示す。
【図6】図6は、本発明にしたがう装置の全体概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
さらなる利点および実施形態は、添付図面から明らかとなる。
【0024】
図1は、本発明にしたがう方法を図解する概略図を示す。この方法では、2つの巻き戻し装置またはローラ21および22を介して、エンドレスフィルム24、25をそれぞれ巻き戻し、次にX方向に搬送する。ここに示す実施形態では、順に重ねて配置されるフィルム2、6、7を含む3つの積層27を提供する。本発明にしたがう装置を用いることによって、個々のフィルム2、6、7は、それぞれの積層から取り出され、印刷マークを決定することによって(より具体的には、印刷マークセンサと、照合部分毎にそれぞれの視覚センサを使用することによって)、規定位置に配置される。次に、2つのエンドレスフィルム間で、方向搬送を行う。これに関し、本発明にしたがう別の製造方法では、エンドレスフィルムの使用を省いてもよいことが指摘されよう。
【0025】
参照番号29および31は、巻き戻しローラの速度を制御するのに役立つ、2つのバッファ装置を示す。より具体的には、バッファ装置29、31の充填レベルに応じて、巻き戻し装置の速度を制御する。個々の処理ステーションI、II、およびIIIでは、まず初めに、第1のフィルム2を配置し、次に第2のフィルム6をこの第1のフィルム上に配置、次にさらなるフィルム7を第2のフィルム上に同様に配置する。個々の方法ステップにおいて、これらのフィルムを互いに対して位置合わせする。最後に、フィルムまたはフィルムの組、すなわち照合されたフィルムを、それぞれのフィルム始まりとフィルム終わりで、エンドレスフィルム24および25に溶接する。さらなる方法ステップ(詳細に図示せず)では、フィルム2、6、7のサイズに応じて溶接フィルム束を切断する。搬送中、フィルムサイズに応じて、同様にエンドレスフィルム24、25を取り外す。エンドレスフィルムを使用しない場合、それぞれの溶接フィルム束を取り外す。
【0026】
最後に溶接および切断したフィルム束を、順に積層32に配置する。
【0027】
本明細書中に示される束にされたそれぞれ3つのフィルムの代わりに、多数または少数のフィルムを束にすることも可能であり、唯1つのフィルムを、例えばエンドレスフィルム24に接合することも可能である。
【0028】
さらなる工程では、個々のカード部分は、フィルム束から型抜きされることによって製造され、該カード部分は、既にフィルム上に画定されている。
【0029】
図2〜4は、異なる方法ステップにおける、本発明にしたがう装置を示す。ここでは、それぞれ3つのフィルムを順に重ねて配置するように、3つのワークステーションI、II、およびIIIが提供されている。これらのワークステーションのそれぞれは、第1の移動方向Yにフィルムを移動させるために、第1の移動装置3を備える。ここでは、互いに並行に配置された2つのサーボ軸3a、3b(それぞれのフィルム2、6、7を把持するためのそれぞれの第1の把持装置8が、その上に配置される)の形態で、これらの移動装置が提供されている。ここで、2つの把持装置8の間の最大距離を実現するために、把持装置は、好ましくはそれぞれ、2つのサーボ軸3a、3bの外側に配置される。2つのサーボ軸3a、3bは、互いから独立して制御され得る。それぞれの把持装置は、2つの把持要素8a、8bを備える。
【0030】
参照番号9は、支持部に対してフィルムを固定する固定装置を意味し、特に該フィルムは、すでに位置合わせされている。該支持部は、例えば圧力プランジャ等であり得る。
【0031】
参照番号11a、11bは、位置マークセンサを示し、該位置マークセンサはそれぞれ、サーボ軸3a、3b上に配置され、好ましくは光スイッチを考慮して設計され、共に第1の位置決定装置を形成する。
【0032】
これらの印刷マークセンサ11a、11bは、第1の移動方向Yにおけるフィルムの位置を決定するのに役立つ。
【0033】
参照番号5は、フィルムをX方向に移動させることができる第2の移動装置を意味する。ここでは、これらをサーボ軸5a、5bとして設計する。さらに、移動装置5にそれぞれ機械的に連結された、リニアガイド13を提供する。本実施形態では、2つのサーボ軸5a、5bが提供され、これらは同様に互いから独立しており、X方向へのフィルムの移動を可能にする。
【0034】
把持要素4a、4bを有する対応する第2の把持装置も同様に、X方向へのその移動のために、フィルムを把持するのに役立つ。これらの把持要素4a、4bはまた、可能な限り互いから遠く離れて離間する。
【0035】
装置から束になったフィルムを取り出すために、装置1を偏向ロール19によって接合する。参照番号12a、12b、12cは、ここでは光学表面センサとして設計される、第2の位置決定装置を示す。そのような第2の位置決定装置を、個々のステーションのそれぞれに提供する。個々のサーボ軸3a、3b上のステーションI、II、IIIのそれぞれにおいて、それぞれの第1の位置決定装置も提供する。
【0036】
本発明にしたがう方法を、図2〜4を参照して以下に説明する。第1の方法ステップでは、2つのサーボ軸3a、3b上に配置された2つの把持要素8a、8bによって、個々のフィルムを捕える。この把持されたフィルムをY方向に搬送し、同時に、Y方向への2つのサーボ軸3a、3bの移動によって位置合わせする。さらに、フィルムが通過すると、2つの印刷マークセンサ11a、11bによって、フィルムの2つの印刷マーク位置を調べる。この調査は、Y方向におけるフィルムの正確な位置を決定することができる。
【0037】
さらなる方法ステップでは、フィルムの決定位置に基づいて画定される所定位置で、Y方向への移動を停止する。この時点で、2つの移動装置またはサーボ軸3a、3bを停止する。
【0038】
したがって、フィルム2はY方向において既に位置合わせされ、移動装置3上で把持要素8a、8bによって保持する。さらなる方法ステップでは、フィルム上のさらなる印刷マークの位置を、X方向におけるその位置を決定する目的で読み取る。この印刷マークは、例えば、十字または円であり得て、その正確な位置を、公称位置に対して決定する。この位置を決定するために、表面センサの形での第2の位置決定装置12を使用する。
【0039】
さらなる方法ステップでは、第2の移動装置5上の把持要素4a、4bが閉じられ、さらなる方法ステップでは、把持装置8または把持要素8a、8bが開かれる。そしてこの時点から、X方向への搬送が可能であり、Y方向への移動を担う第1の把持要素は、もはやフィルムの移動にいかなる影響も与えなくなる。
【0040】
さらなる方法ステップでは、フィルムは、第2の把持要素4a、4bによって一定の路程にわたって第2のステーションIIに移送され、第2の把持装置4によって保持され続ける。しかしながら、X方向における位置の読み取りは、フィルムの移動中も行われ得る。
【0041】
さらなる方法ステップでは、ステーションIIにおいて、第2のフィルム6が、Y方向に第1のフィルム2上に引っ張られ、そこに保持される。この第2のフィルムもまた、上述のように、第2のステーションIIにおいて、位置決定装置11a、11bによってY方向に位置合わせされる。同時に、第1のステーションIにおいて、さらなるフィルムもまたY方向に引っ張られる。さらなる方法ステップでは、第2のフィルム6のX方向における位置に対する印刷マークの位置も同様に、表面センサ12bを用いて読み取られる。同時にこの工程は、第1のステーションIにおいて、さらなるフィルム2上で行われる。ここで既知の2つのフィルム2および6のX位置を考慮して、フィルム2が、フィルム6の下に引っ張られ、固定した状態で保持される。ここでもこれは、フィルムを引っ張ることによって位置合わせが可能となるように、位置合わせ前の位置が必ずX方向における標的位置の正面に位置するような方法で、装置が設定されるということを意味する。
【0042】
より具体的には、この方法のステーションにおいては、2つのフィルム2および6の既知のX位置にしたがって、保持されるフィルム6の下にフィルム2を引っ張ることによって、移動装置5またはXサーボ軸5a、5bの位置合わせ動作を行う。
【0043】
さらなる方法ステップでは、ここで位置合わせされた2つのフィルムは、固定装置9によって固定される。さらなる方法ステップでは、2つの移動装置3、5の把持要素が開かれ、2つの移動装置が、それらの開始位置に(すなわち、第1の移動装置の場合は図1において上方に、第2の移動装置の場合は左側に)それぞれ戻される。さらなるステップでは、ここで位置合わせされた2つのフィルムがX方向に搬送され、固定装置は、フィルムの互いへのいかなる移動も防止する。より具体的には、2つのフィルムは、第3のステーションIIIに搬送され、次に固定装置9が開かれる。同時に、さらなる第1のフィルム2が、ステーションIIに移送され、上述のようなさらなるフィルム6が、Y搬送および同時にY位置合わせによって、フィルム2の上に引っ張られ、そこに保持される。ここで、第3のフィルム7が、すでに位置合わせされた2つのフィルム2、6の上に引っ張られるが、ステーションIIIにおいて並行手順が行われる。
【0044】
さらなる方法ステップでは、この場合も、2つのフィルムの既知のX位置にしたがって、保持されたフィルム6の下にフィルム2を移動させることによって、移動装置5の位置合わせ移動を行う。ステーションIIIにおいて、並行手順を行う。すなわちここで、フィルム2および6から成る束を、第3のフィルム7の下に適宜に引っ張る。この時点から、固定装置12aおよび12bによるフィルムの位置合わせされた組の固定から始まる個々の方法ステップが繰り返される。例えば、真空吸引カップおよび送風空気を用いて、個々のフィルムの上述の分離を行い得る。図3は、フィルムのY印刷マークの既知の位置にしたがって既にフィルムがY方向に引っ張られて位置合わせされた状態、または位置合わせされたフィルムが第1の移動装置3の把持要素8a、8bによって保持された状態を示す。図4は、フィルムのすべての組を位置合わせおよび固定した後に、一度X移動装置5の戻り動作を行った状態、および一度フィルムの組を除去ロール19によって離した状態を示す。
【0045】
ここで、X方向における個々のステーション間の移動が結合されること、すなわち、ステーションIから第2のステーションIIへのフィルム2の移動、およびステーションIIからステーションIIIへのフィルム6の移動が、互いに結合されることがわかる。しかしながら、すでに記載したように、それぞれの新しく追加されたフィルム、例えば、第2のステーションIIのフィルム6、または第3のステーションIIIのフィルム7の移動を介して、位置合わせが行われる。ここで、制御装置が、それぞれの最下部のフィルムもしくはフィルムの組の位置を認識しているという事実を、考慮しなければならない。
【0046】
図5は、本発明にしたがう方法に対する、フィルムの図を示す。このフィルムは、複数のカード要素20を備え、一度個々のフィルムを溶接および接合すると、複合材料から型抜きされる。フィルムの右側および左側縁部にそれぞれ、Y印刷マーク14を提供し、Y印刷マークは、第1の位置決定装置11a、11bによる、Y方向におけるフィルムの位置合わせを可能にする。したがって、Y印刷マーク14は、印刷マークセンサによる検出に役立つ。参照番号15は、X印刷マーク、すなわち、X方向における位置決定に役立つ印刷マークを意味する。ここでは十字に設計されるこのX印刷マークを、光学表面決定センサ12a、12b、および12cによって読み出す。
【0047】
図6は、本発明にしたがう装置のさらなる全体図を示す。記載のように、ここでのこの装置は、3つのフィルムをエンドレスフィルム24上に順に重ねて配置するために、3つのステーションを備える。このエンドレスフィルムも同様に、X方向に移動する。この図でも同様に、個々の移動装置3a、3b、5a、5bを見ることができる。
【0048】
出願書類に開示される特性のすべては、それらが単独で、または従来技術との組み合わせて新規である限りにおいて、本発明に不可欠であるとして請求される。
【符号の説明】
【0049】
1 装置
2、6、7 フィルム
3 移動装置
3a、3b サーボ軸
4 第2の把持装置
4a、4b 把持要素
5 第2の移動装置
5a、5b サーボ軸
8 第1の把持装置
8a、8b 把持要素
9 固定装置
11 第1の位置決定装置
11a、11b 印刷マークセンサ
12 位置決定装置
12a、12b、12c 第2の位置決定装置
13 リニアガイド
14 Y印刷マーク
15 X印刷マーク
19 偏向ロール
20 カード要素
21、22 巻き戻し装置またはローラ
24、25 エンドレスフィルム
27 積層
29、31 バッファ装置
32 積層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム複合材料のフィルムを製造する方法であって、
少なくとも1つの第1の把持装置(8)によって、第1の個々のフィルム(2)を捕えるステップと、
前記把持装置(8)を前記フィルム(2)と共に、第1の移動方向(Y)に移動させるステップと、
前記第1の移動方向(Y)における前記フィルムの位置を決定し、前記フィルムを前記第1の移動方向(Y)の所定位置に固定するステップと、
第2の移動方向(X)における前記第1のフィルム(2)の位置を決定するステップであって、前記第2の移動方向は、前記第1の移動方向(Y)に略垂直である、ステップと、
前記第1のフィルム(2)を前記第2の移動方向(X)に移動させるステップと
を含み、
前記フィルム(2)は、前記第2の移動方向(X)への搬送のために、第2の把持装置(4)によって把持されること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1の把持装置(8)は、前記第1の移動方向(Y)にのみ移動することができ、前記第2の把持装置(4)は、前記第2の移動方向(X)にのみ移動することができること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のフィルム(2)は、前記第2のフィルム(6)の上または下に少なくとも部分的に引っ張られ、前記フィルム(2、6)は、それらのそれぞれの決定位置に基づいて、互いに対して位置合わせされること
を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のフィルム(6)は、前記第1のフィルム(2)の上または下に少なくとも部分的に引っ張られ、前記フィルム(2、6)は、それらのそれぞれの決定位置に基づいて、互いに対して位置合わせされること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のフィルム(2)と前記第2のフィルム(6)とは、前記第2の移動方向(X)に関して互いに対して位置合わせされること
を特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
一度前記フィルム(2)が位置合わせされると、前記把持装置(8)が前記フィルム(2)から取り外されること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
さらなる方法ステップにおいて、前記フィルム(2、6)が、少なくとも1つのフィルムキャリア(24、25)に接合されること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
フィルム複合材料を製造するための装置であって、
第1の移動装置(3)および前記第1の移動装置(3、3a、3b)上に配置された少なくとも1つの把持装置(8)であって、フィルム(2)を把持し、それを第1の方向(Y)に移動させる、第1の移動装置(3)および少なくとも1つの把持装置(8)と、
前記第1の方向(Y)における前記フィルム(2)の位置を決定する第1の位置決定装置(11a、11b)と、
前記第1の位置決定装置(11a、11b)によって決定された位置に応じて、前記第1の移動装置(3、3a、3b)の移動を制御する制御装置と、
第2の移動装置(5、5a、5b)および前記第2の移動装置(5、5a、5b)上に配置された少なくとも1つの第2の把持装置(4)であって、前記フィルムを把持し、それを第2の方向(X)に移動させる、第2の移動装置(5、5a、5b)および少なくとも1つの第2の把持装置(4)と、
前記第2の方向(X)における前記フィルム(2)の位置を決定する第2の位置決定装置(12a、12b、12c)と
を備え、
前記第1の把持装置(8)は、本質的に前記第1の移動方向(Y)にのみ移動することができ、前記第2の把持装置(4)は、本質的に前記第2の移動方向(X)にのみ移動することができること
を特徴とする、装置。
【請求項9】
第1の移動装置(3、3a、3b)および前記第1の移動装置(3、3a、3b)上に配置された少なくとも1つの把持装置(8)であって、フィルム(2)を把持し、それを第1の方向(Y)に移動させる、第1の移動装置(3、3a、3b)および少なくとも1つの把持装置(8)と、
前記第1の方向(Y)における前記フィルム(2)の位置を決定する第1の位置決定装置(11a、11b)と、
前記第1の位置決定装置(11a、11b)によって決定された位置に応じて、前記第1の移動装置(3、3a、3b)の移動を制御する制御装置と、
第2の移動装置(5、5a、5b)および前記第2の移動装置(5、5a、5b)上に配置された少なくとも1つの第2の把持装置(4)であって、前記フィルムを把持し、それを第2の方向(X)に移動させる、第2の移動装置(5、5a、5b)および少なくとも1つの第2の把持装置(4)と、
前記第2の方向(X)における前記フィルム(2)の位置を決定する第2の位置決定装置(12a、12b、12c)と
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法を実行する装置。
【請求項10】
前記装置は、さらなる第1の移動装置(3)を備え、そこにフィルムを把持し、それを前記第1の移動方向(Y)に移動させるために、第1の把持装置(8)を配置すること
を特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の位置決定装置(11a、11b)は、印刷機のインプリントセンサであること
を特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第2の位置決定装置(12a、12b、12c)は、表面センサであること
を特徴とする、請求項8〜11のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−538749(P2009−538749A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512543(P2009−512543)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054856
【国際公開番号】WO2007/137956
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508110962)ミュールバウアー アーゲー (10)
【Fターム(参考)】