説明

フィルム除去装置

【課題】フィルム除去装置において、フィルムを搬送するための搬送路が容器によって塞がれることを防止する。
【解決手段】容器からフィルムを除去するフィルム除去装置1000は、容器10からフィルム12を剥離する剥離部20と、剥離部20によって剥離されたフィルム12をエアーで搬送するエアー搬送路30と、エアー搬送路30の途中かつ下方に配置され、フィルム12及び容器10のうち容器10を回収する容器回収部40とを備える。容器回収部40は、容器10を落下させる一方、フィルム12を落下させないフィルタ44を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器からフィルムを除去するフィルム除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール瓶は、市場から回収され、洗浄・殺菌等が施されて再利用されうる。一般に小瓶、中瓶、大瓶と呼ばれるビール瓶は、フィルムでラッピングされることなく出荷されるが、より大きな特大瓶と呼ばれる瓶の中には、フィルムでラッピングされて出荷されるものがある。
フィルムでラッピングされた瓶は、一般には、市場から回収された後にデシュリンンカーと呼ばれるフィルム除去装置によってフィルムが剥がされた後に洗浄・殺菌されて再利用される。
なお、ここでは、一例として特定のビール瓶について説明したが、フィルムでラッピングされる容器は、小瓶、中瓶、大瓶と呼ばれるようなビール瓶であってもよいし、ビール瓶以外の容器であってもよい。
【特許文献1】特開2002−068149号公報
【特許文献2】特開平10−263495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フィルム除去装置によって剥離されたフィルムは、エアー搬送路を通して減溶機に送られて処理される。エアー搬送路には、通常は、容器から剥離されたフィルムのみが送り込まれるが、容器に対してキャップが斜めに付されていたり、異種の容器がフィルム除去装置に提供されたりすると、容器がフィルム除去装置のコンベアから落下してエアー搬送路に進入してしまうことがある。
容器がエアー搬送路に進入すると、容器はエアー搬送路の下流側の絞り部まで搬送されて絞り部を塞ぎうる。すると、その後に送り込まれるフィルムによってエアー搬送路が詰まることになる。このような状況では、フィルム除去装置の停止は避けられず、生産性が大きく低下する。しかも、フィルムによってエアー搬送路が長距離にわたって詰まってしまうと、それを除去するために多大な時間が必要となる。
【0004】
本発明は、上記の課題認識を基礎としてなされたものであり、フィルムを搬送するためのエアー搬送路が容器によって塞がれることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のフィルム除去装置は、容器からフィルムを除去するフィルム除去装置として構成され、容器からフィルムを剥離する剥離部と、前記剥離部によって剥離されたフィルムをエアーで搬送するエアー搬送路と、前記エアー搬送路の途中かつ下方に配置され、フィルム及び容器のうち容器を回収する容器回収部とを備え、前記容器回収部が、容器を落下させる一方、フィルムを落下させないフィルタを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の好適な実施形態によれば、前記エアー搬送路が、湾曲部を有し、前記容器回収部が、前記湾曲部、又は、前記湾曲部の近傍かつ前記搬送路における上流側に配置されていることが好ましい。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記フィルタは、間隔をもって配置された複数本の伸縮性部材を含むことが好ましい。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記複数本の伸縮性部材は、前記エアー搬送路によるフィルムの搬送方向に対してほぼ平行に配置されていることが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記エアー搬送路の水平方向における幅が容器の高さよりも短いことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フィルムを搬送するためのエアー搬送路が容器によって塞がれることが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の好適な実施形態のフィルム除去装置の概略構成を示す図である。本発明の好適な実施形態のフィルム除去装置1000は、例えば、ビール瓶等の容器10からフィルムを除去するように構成されうる。フィルム除去装置1000は、容器10からシュリンクフィルム等のフィルム12を剥離する剥離部20を備えている。剥離部20は、例えば、ウォータージェットノズル22と、複数の容器10を図1においてX方向に連続的に搬送するコンベア24と、容器10の転倒又はコンベア24からの落下を防止するように容器10の口部等をガイドするガイド26と、ウォータージェットノズル22から噴射されるウォータージェットによって破断されたフィルム12を下方に吹き飛ばすためのブロアー28等を含んで構成されうる。
【0013】
フィルム除去装置1000は、更に、剥離部20によって剥離されたフィルム12をエアーで搬送するエアー搬送路30と、エアー搬送路30の途中かつ下方に配置され、フィルム12及び容器10のうち容器10を回収する容器回収部40とを備えている。
【0014】
エアー搬送路30の下流には、減溶機50が配置され、吸引装置60によってエアー搬送路30内のフィルム12が減溶機50に引き込まれる。エアー搬送路30の上流側かつ剥離部20の下方には、剥離されたフィルム12をエアー搬送路30の下流方向に送り込むためのブロアー70が設けられている。このような構成において、ブロアー70及び吸引装置60によってフィルム12がエアー搬送される。更に、エアー搬送路30の途中にも、エアー搬送路30の下流方向にフィルム12を搬送するためのブロアーを設けてもよい。
【0015】
一般には、エアー搬送路30には、容器10から剥離されたフィルム12のみが送り込まれる。しかしながら、例えば、容器10に対してキャップが斜めに付されていたり、異種の容器10がフィルム除去装置1000(より具体的には、剥離部20)に提供されたりすると、容器10がガイド26によって適正にガイドされず、コンベア24から落下することがありうる。このような場合には、エアー搬送路30に容器10が進入することになる。
エアー搬送路30は、典型的には遠隔位置に配置された減溶機50にフィルム12を搬送する。剥離部20と減溶機50との距離は、100メートル以上にも及ぶ場合がある。したがって、エアー搬送路30による搬送能力(典型的には、吸引装置60の吸引能力)は、そのように長い経路を通してフィルム12を搬送することができるように設計され、容器10までもエアー搬送路30を通して十分に搬送されうる。
容器回収部40は、このようにしてエアー搬送路30を搬送されうる容器10を回収するために設けられている。容器回収部40は、容器10を回収するための箱又は容器搬送路42と、容器10を箱又は容器搬送路42に落下させる一方、フィルム12を落下させないフィルタ44を含む。
【0016】
図2及び図3は、容器回収部40の構成例を示す図である。フィルタ40は、例えば、間隔をもって配置された複数本のゴム紐(伸縮性部材)44aを含んで構成されることが好ましい。複数本のゴム紐44aは、互いにほぼ平行に配置された部分を含むことが好ましい。フィルタ40上に容器10が搬送されてくると、図3に模式的に示すように、容器10の自重によって複数本のゴム紐44aの間に相応の隙間が形成され、その隙間を通して容器10が自重によって箱又は容器搬送路42に落下する。一方、フィルタ44上に容器10が搬送されてこない正常な状態においては、複数本のゴム紐44a間の間隔を広げる力が作用しないので、図2に例示的に示すように、複数本のゴム紐44aは、正常な状態を維持する。
【0017】
ここで、ゴム紐44aに代えて、他の伸縮性部材を採用することもできる。他の伸縮性部材としては、例えば、コイルバネ、又は、コイルバネを一部に含む部材が好適である。
【0018】
フィルム12は、容器10に比べて極めて重量が小さいので、容器10に比べて極めて高速にエアー搬送路30内を直線的に搬送される。また、フィルム12がその自重によって複数本のゴム紐44aの間隔を広げることもない。したがって、フィルム12は、箱又は容器搬送路42に落下することはない。
複数本のゴム紐44aは、エアー搬送路30によるフィルム12の搬送方向にほぼ平行に配置されていることが好ましい。これは、通常は、容器10は、その口部又は底部が概ね搬送方向の下流に向いた状態でエアー搬送路30を搬送されるからである。このように口部又は底部が概ね搬送方向の下流に向いた状態で容器10がエアー搬送路30を通して搬送されると、搬送方向にほぼ平行に配置された複数本のゴム紐44aの間隔が容器10の円筒状の胴部によって容易に広げられ、これによって容器10が落下する。
容器10がその口部又は底部が概ね搬送方向の下流に向いた状態でエアー搬送路30を搬送されることをより確実にするためには、エアー搬送路30の水平方向における幅Dは、容器10の高さHよりも短いことが好ましい。
【0019】
エアー搬送路30は、搬送経路を湾曲させる湾曲部32を有しうる。この場合、容器回収部40は、湾曲部32、又は、図1に例示的に示すように湾曲部32の近傍かつエアー搬送路30における上流側(ブロアー70側)に配置されることが好ましい。このような位置に容器回収部40を配置することによって、湾曲部32によって減速させられる容器10を効果的に容器回収部40によって回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適な実施形態のフィルム除去装置の概略構成を示す図である。
【図2】容器回収部の構成例を示す図である(容器がない状態)。
【図3】容器回収部の構成例を示す図である(容器が回収される状態)。
【符号の説明】
【0021】
10 容器
12 フィルム
20 剥離部
22 ウォータージェットノズル
24 コンベア
26 ガイド
28 ブロアー
30 エアー搬送路
32 湾曲部
40 容器回収部
42 箱又は容器搬送路
44 フィルタ
44a ゴム紐
50 減溶機
60 吸引装置
70 ブロアー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器からフィルムを除去するフィルム除去装置であって、
容器からフィルムを剥離する剥離部と、
前記剥離部によって剥離されたフィルムをエアーで搬送するエアー搬送路と、
前記エアー搬送路の途中かつ下方に配置され、フィルム及び容器のうち容器を回収する容器回収部とを備え、
前記容器回収部は、容器を落下させる一方、フィルムを落下させないフィルタを含む、
ことを特徴とするフィルム除去装置。
【請求項2】
前記エアー搬送路は、湾曲部を有し、
前記容器回収部は、前記湾曲部、又は、前記湾曲部の近傍かつ前記搬送路における上流側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルム除去装置。
【請求項3】
前記フィルタは、間隔をもって配置された複数本の伸縮性部材を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルム除去装置。
【請求項4】
前記複数本の伸縮性部材は、前記エアー搬送路によるフィルムの搬送方向に対してほぼ平行に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のフィルム除去装置。
【請求項5】
前記エアー搬送路の水平方向における幅は、容器の高さよりも短いことを特徴とする請求項4に記載のフィルム除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−335387(P2006−335387A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159885(P2005−159885)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】