説明

フェルトマット及びその製造方法

【課題】任意な形状のマットを簡単に製造できるとともに、吸水性に優れ、密度が均一で品質の高いフェルトマット及びその製造方法を提供できるようにする。
【解決手段】繊維長が10〜40mmの単繊維を多数の繊維を相互に三次元に絡合させ、交絡した少なくとも一部を接合手段により接合してシート状のフェルト素材を形成した後、このフェルト素材を所望する形状にカットして形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンの床部分、浴室の出入り口や洗面所の床部分、トイレの便器の近傍の床部分に敷設されるマット、またはフロアマットやクッションとして広く使用されるフェルトマット及びその製造方法に関する
【背景技術】
【0002】
一般に、フロアマットでは重厚な刺繍入りの段通が用いられ、クッションでは中綿を入れたものがよく知られている。
一方、キッチンの床部分、浴室の出入り口や洗面所の床部分、トイレの便器の近傍の床部分に敷設されるマット等では表面にカットパイルやループパイルを形成したものが多く市販されている。
上記トイレ用マットに関しては、不織布の裁断屑(細片)を利用してマットを形成するようにしたものも先に提案されている(特許文献1)。
【0003】
ところが、上記重厚な刺繍入りの段通からなるフロアマットや中綿を入れるクッションでは、製造に多大の手間がかかり、その製造コストが高くなる問題があり、大量生産に適さないという問題があった。
中綿を入れるクッションでは、人気キャラクタの形状や愛玩動物等の形状にしようとすると更に手間がかかり、その製造コストが高くなる問題がある。
【0004】
一方、表面にカットパイルやループパイルを形成した上記トイレ用マットでは、カットパイルやループパイルを形成する工程を必要とするために、生産性が低下し、その分高価になってしまうという問題があるだけでなく、カットパイルやループパイル部分に付着した小便等の水分は表面に残留しやすいために、後の使用者に不快感を与えてしまうという問題があった。
【0005】
一方、不織布の裁断屑(細片)を利用してマットを形成するようにしたものでは、裁断屑に折れ込みや巻き癖があったりするために密度が均一なマット素材のシートが形成することが難しく、表面が波打ち易くなるとともに、品質の低下を招くだけでなく吸水性が斑になってしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2003−301360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み提案されたもので、任意な形状のマットを簡単に製造できるとともに、吸水性に優れ、密度が均一で品質の高いフェルトマット及びその製造方法を提供できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかるフェルトマットの製造方法は、繊維長が10〜40mmの単繊維を多数の繊維を相互に三次元に絡合させ、交絡した少なくとも一部を接合手段により接合してシート状のフェルト素材を形成した後、このフェルト素材を所望する形状にカットして形成するようにしたことを最も主要な特徴とするものである。
【0008】
本発明のかかるフェルトマットは、繊維長が10〜40mmの単繊維を多数の繊維を相互に三次元に絡合させ、交絡した少なくとも一部を接合手段により接合したフェルト素材を所望する形状にカットして形成したことを最も主要な特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のフェルトマットは、接合手段が接着剤若しくはニードルパンチであることや、フェルトマットがそのフェルト素材の下面に滑り止め部が設けてあることも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかるフェルトマットの製造方法によれば、繊維長が10〜40mmの単繊維を多数の繊維を相互に三次元に絡合させ、交絡した少なくとも一部を接合手段により接合してシート状のフェルト素材を形成した後、このフェルト素材を所望する形状にカットして形成するようにしてあるので、任意な形状、例えば人気キャラクタの形状や愛玩動物等の形状をしたフェルトマットを簡単で安価に、且つ大量に製造することができる。
【0011】
更に、本発明にかかるフェルトマットの製造方法によれば、10〜40mmの単繊維を略均一なラップ状にすることができ、密度等が均一で表面に波打ちがなく品質の高いフェルトマットを製造することができるので、例えば人気キャラクタの形状や愛玩動物等の顔や絵柄を精密に印雑することができる利点もある。
【0012】
また、上記フェルトマット方法により形成されたフェルトマットによれば、繊維長が10〜40mmの単繊維を多数の繊維を相互に三次元絡合させ、交絡した少なくとも一部を接合手段により接合してシート状のフェルト素材を形成し、このフェルト素材を所望する形状にカットして形成するようにしてあるので、10〜40mmの単繊維を略均一なラップ状にして、吸水性に優れ、衛生的で、使用感のよいフェルトマットにすることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかるフェルトマット及びその製造方法の最も好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は屋内の水周り部分の一例である洗面部を備えたウォータクローゼットの斜視図であって、図中符号1はウォータクローゼットを全体的に示す。
【0014】
このウォータクローゼット1は、コーナ部分2に床面から側壁3・3に沿って配設された収納庫4の上面部分の一方(図上左方)には側壁3に取り付けられた鏡5と温水混合栓6を備えた洗面容器7からなる洗面ユニット8が設置され、収納庫4の他方(図上右方)寄り部分の床面9には洋式の便器10が設けてあり、洗面容器7及び洋式の便器10の各前面部分にはフェルトマット(洗面用マット11、トイレ用マット12)Mが敷設されている。
【0015】
上記洗面用マット11、トイレ用マット12は、形状が異なるだけで、略同一素材で、且つ同一の製造方法で形成されているもので、以下には図2に示すトイレ用マット12を例に説明する。
このトイレ用マット12は、後述するシート状のフェルト素材13を図2に示すように長方形の一側部に洋式の便器10の脚部14が入り込む凹入部15を設けて形成されたものである。
上記シート状のフェルト素材13は、合成樹脂製繊維(アクリル繊維)でその繊維長が10〜40mmの単繊維をラップ状にして繊維を相互に三次元絡合させるとともに、交絡した少なくとも一部を接合手段(図示せず)により接合して図3に示すようなシート状に形成したものである。
【0016】
ここで、繊維長を10〜40mmとしたのは、繊維長が10mm未満では交絡性が悪く、シート状のフェルト素材13の保形性が十分でなくなるために、使用時に繊維が分離してしまい耐久性に問題を生じるという問題を生じる。
一方、繊維長が40mmを越えた長繊維になると、繊維自体のコストが高くなるだけでなく、絡み易いためにカード等でラップを形成するときに手間を要し、その分、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
【0017】
また、上記接合手段は、ウォータジェットやニードルパンチ、あるいはホットメルト等の接着剤等が考えられるが、高周波により部分的に溶解して繊維同士を溶着することも可能である。
【0018】
上記のようにしてシート状のフェルト素材13が形成されると、このシート状のフェルト素材13を上述したように形抜き装置(トムソン)や鋏乃至カッタ等の成形手段(図示せず)により図2に示すような長方形の一側部に洋式の便器10の脚部14が入り込む凹入部15を設けた形状に成形すると、表面及び裏面が平滑なトイレ用マット12が完成する。
【0019】
因みに、成形手段で形成されたトイレ用マット12の周縁の切り口部分は切り放しとなっていても、交絡と接合手段により接合されており、解れだすことはないが、この周縁部分にテープを縫着して意匠感を高めることもできる。
また、トイレ用マット12の平滑な表面には種々の細かな絵や図柄でも高精度にプリントすることもできるし、トイレ用マット12の裏面にはシリコン樹脂を設けて滑り止め部を施すことにより安全性を高めることもできる。
【0020】
上記方法により製造されたトイレ用マッ12を図1に示すように、その凹入部15を洋式の便器10の脚部14に合致させた状態にして床面9に設置して使用する。
洋式の便器10の使用にあたり、特に便座16を跳ね上げて使用する男性の小用時には撥ね返りが多く発生するが、この跳ね返った小便を含んだ水分がトイレ用マット12の表面に付着したとき、その水分はトイレ用マット12を構成するフェルト素材13の繊維の毛細管現象により表面から内方に即座に吸引されるので、表面に溜まることが無い。
これにより、その後にこの洋式の便器10を使用する者に不快感を与えることが無くなる。
【0021】
尚、上述のようにトイレ用マット12の表面に付着した水分がトイレ用マット12の内方に吸引されるので、フェルト素材13を形成する合成樹脂製繊維(アクリル繊維)に銅や銀の金属を混練したり、当該金属繊維を入れてフェルト素材13を形成したりすると、これらの殺菌機能を有する金属イオンにより、トイレ用マット12の内方に吸引された上記水分中の雑菌の繁殖を防止したり殺菌効果を期待でき、衛生上にも優れた効果を発揮させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明にかかるフェルトマットM及びその製造方法は図示した洗面用マット11やトイレ用マット12に限られず、キッチン用マットや浴室の出入り口に敷設して使用されるバス用マット等の水周り部分に敷設される水周り用マットとしては勿論のこと、フロアマットやクッション等にも広く実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】は本発明にかかるフェルトマットの使用状態を示す斜視図である。
【図2】は本発明にかかるフェルトマットの一例であるトイレ用マットの斜視図である。
【図3】は本発明にかかるフェルトマットを構成するフェルト素材の一部を示す斜視図で ある。
【符号の説明】
【0024】
10・・・洋式の便器
11・・・洗面用マット
12・・・トイレ用マット
13・・・フェルト素材
M・・・フェルトマット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維長が10〜40mmの単繊維を多数の繊維を相互に三次元に絡合させ、交絡した少なくとも一部を接合手段により接合してシート状のフェルト素材を形成した後、このフェルト素材を所望する形状にカットしてフェルトマットを形成するようにしたことを特徴とするフェルトマットの製造方法。
【請求項2】
繊維長が10〜40mmの単繊維を多数の繊維を相互に三次元に絡合させ、交絡した少なくとも一部を接合手段により接合したフェルト素材を所望する形状にカットしてフェルトマットを形成してなるフェルトマット。
【請求項3】
接合手段が接着剤若しくはニードルパンチである請求項2に記載のフェルトマット。
【請求項4】
フェルトマットが、そのフェルト素材の下面に滑り止め部が設けてある請求項2又は請求項3に記載のフェルトマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−50721(P2008−50721A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228806(P2006−228806)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(597169018)有限会社橋爪商店 (1)
【Fターム(参考)】