説明

フォトマスク用基板、フォトマスク、フォトマスクの製造方法、及びパターン転写方法

【課題】近接露光を行う際にパターンの転写精度を向上させる。
【解決手段】第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすための、厚さT(mm)のフォトマスク用基板であって、第1主表面の裏面にある第2主表面において、10(mm)離間した任意の2点の高低差がΔZb(μm)であるとき、第1主表面のパターン形成領域に対応する第2主表面の領域内のΔZbが、ΔZb≦(1/T)×3.0を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスク用基板、フォトマスク、フォトマスクの製造方法、及びパターン転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや携帯端末等が備える液晶表示装置は、透光性基材上にTFT(薄膜トランジスタ)アレイを形成したTFT基板(以下、TFTともいう)と、透光性基材上にRGBパターンを形成したカラーフィルタ(以下、CFともいう)とが貼り合わせられ、その間に液晶が封入された構造を備えている。カラーフィルタは、透光性基材の一主表面上に、色の境界部を構成するブラックマトリックス層を形成する工程と、ブラックマトリックス層に区切られた透光性基材の一主表面上へ赤フィルタ層、緑フィルタ層、青フィルタ層等のカラーフィルタ層(以下、色層或いは色版ともいう)を形成する工程とを、順次実施することで製造される。上記TFTも、カラーフィルタも、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィを適用して製造することができる。
【0003】
一方、フォトマスクを露光機にセットし、パターン転写を行う際に、フォトマスクが自重により若干撓むことから、この撓みを軽減するための露光機の支持機構が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−306832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置に求められる性能向上の期待は益々大きくなっている。特に、携帯端末など、寸法が小さく、高精細画像を必要とする表示装置は、いくつかの点で従来品を超えた性能を求められる。色彩の鮮鋭性(色濁りが無いこと)、反応速度、解像性などである。こうした要請のため、TFTやCFを製造するフォトマスクには、パターン形成の精度が従来に増して求められる。
【0006】
例えば、TFT形成用のフォトマスクにおいては、液晶表示装置の反応速度を上げるために、TFTパターンそのものが微細になったり、主TFTとともにより微細なTFTを組み合わせて用いたりするなど、フォトマスクへのパターン形成に際しては、微細寸法の線幅を精緻に形成しなければならない。また、TFTとCFとは、重ね合わせて使用されるものであるところ、フォトマスク上のそれぞれのパターンの座標精度とともに、転写時の位置決めが極めて精緻に制御されなければ、両者の間に位置ずれが生じ、液晶の動作不良が生じるリスクがある。
【0007】
他方、CF形成用のフォトマスクにおいても、以下の点でやはり難題がある。上記のとおり、ブラックマトリックス層と色層とは重ね合わせて使用されるものであるところ、マスク上のパターン形成が精緻になされるとともに、転写時のパターン面形状の変動やばらつきなどにより座標ずれが生じると、色濁り等の不都合が生じる。
【0008】
フォトマスクを用いて、透光性基材上にブラックマトリックス層やカラーフィルタ層を形成するには、近接(プロキシミティ)露光を適用することが最も有利である。これは、投影(プロジェクション)露光に比べて露光機の構造に複雑な光学系を必要とせず、装置コストも低いことから、生産効率が高いためである。しかしながら、近接露光を適用すると、転写の際に歪みの補正を施すことが困難であるため、投影露光に比べて転写精度が劣化しやすい。
【0009】
近接露光では、レジスト膜が形成された被転写体とフォトマスクのパターン面とを対向させて保持し、パターン面を下方に向け、フォトマスクの裏面(パターン面とは反対側の面)側から光を照射することで、レジスト膜にパターンを転写する。このとき、フォトマスクと被転写体との間には所定の微小間隔(プロキシミティギャップ)を設ける。なお、フォトマスクは、透明基板の主表面に形成された遮光膜に所定のパターニングがなされてなる転写用パターンを備えている。
【0010】
一般に、フォトマスクを近接露光用露光機にセットする場合、転写用パターンが形成された主表面上であって、転写用パターンが形成された領域(パターン形成領域ともいう)の外側を、露光機の保持部材によって保持する。
【0011】
ここで、露光機に搭載されたフォトマスクは自身の重量によって撓むことから、これを露光機の保持機構によってある程度補正することができる。例えば、特許文献1の方法では、フォトマスクを下方から支える保持部材と、該保持部材の支持点の外側において、マスクの上方から所定圧の力を加えることが記載されている。
【0012】
しかしながら、フォトマスクの撓みによる、パターン転写上の影響を軽減することが有用であっても、それだけでは、上記用途の精密な表示装置の製造には十分でないことが本発明者等によって見出された。
【0013】
例えば、上述の近接露光を行うと、フォトマスクが備える転写用パターンの形成精度は充分に高く基準範囲内であるにも関わらず、被転写体上に形成される、転写用パターンの重ね合わせ精度が不十分となり、液晶表示装置の動作上の不都合や、色濁りなどが生じる可能性があることが判明した。液晶表示装置の高精細化が進むにつれ、こうした転写用パターンの重ね合わせ精度の劣化が許容できなくなりつつある。
【0014】
本願発明は、フォトマスク上に形成された転写用パターンを被転写体に転写する際の転写精度を向上させ、転写用パターン全面にわたる座標精度を高めることが可能なフォトマスク用基板、フォトマスク、該フォトマスクの製造方法およびパターン転写方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすための、厚さT(mm)のフォトマスク用基板であって、
前記第1主表面の裏面にある第2主表面において、10(mm)離間した任意の2点の高低差がΔZb(μm)であるとき、前記第1主表面のパターン形成領域に対応する前記第2主表面の領域内のΔZbが、
ΔZb≦(1/T)×3.0を満たすフォトマスク用基板が提供される。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンが形成された、厚さT(mm)のフォトマスクであって、
前記第1主表面の裏面にある第2主表面において、10(mm)離間した任意の2点の高低差がΔZb(μm)であるとき、前記第1主表面のパターン形成領域に対応する前記第2主表面の領域内のΔZbが、
ΔZb≦(1/T)×3.0を満たすフォトマスクが提供される。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、
近接露光用である第2の態様に記載のフォトマスクが提供される。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、
カラーフィルタ製造用である第2又は第3の態様に記載のフォトマスクが提供される。
【0019】
本発明の第5の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、
厚さT(mm)のフォトマスク用基板であって、前記第1主表面の裏面にある第2主表面上の、10(mm)離間した任意の2点の高低差がΔZb(μm)であるとき、前記第1主表面のパターン形成領域に対応する前記第2主表面の領域内のΔZbが、
ΔZb≦(1/T)×3.0
を満たすフォトマスク用基板を用意し、
前記フォトマスクの前記第1主表面に光学膜を形成し、
前記光学膜にパターニングを施すことにより、前記転写用パターンを形成することを含むフォトマスクの製造方法が提供される。
【0020】
本発明の第6の態様によれば、
第1主表面に転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、
厚さT(mm)のフォトマスク用基板の、前記第1主表面の裏面にある第2主表面上に所定の離間距離P(mm)をおいて等間隔に複数の測定点を設定し、
該複数の測定点における、前記第2主表面の基準面に対する高さZをそれぞれ求め、
前記複数の測定点における高さZの最大値と最小値の差を高さ変動の最大値ΔZbmaxとするとき、
ΔZbmax≦(P/T)×0.3
を満たす前記フォトマスク用基板を用意し、
前記用意したフォトマスク用基板の前記第1主表面に、光学膜を形成し、
前記光学膜上にレジスト膜を形成し、
前記フォトマスク用基板を、描画装置のステージ上に載置して、所定の転写用パターンを描画し、
描画後の前記フォトマスク用基板に対し、レジスト現像と光学膜のパターニングを施して、前記転写用パターンを形成することを含むフォトマスクの製造方法が提供される。
【0021】
本発明の第7の態様によれば、
前記離間距離Pを5≦P≦15(mm)とする
第6の態様に記載のフォトマスクの製造方法が提供される。
【0022】
本発明の第8の態様によれば、
前記フォトマスクは、近接露光用である
第5又は第6の態様に記載のフォトマスクの製造方法が提供される。
【0023】
本発明の第9の態様によれば、
前記転写用パターンは、カラーフィルタ製造用である
第5〜第8のいずれかの態様に記載のフォトマスクの製造方法が提供される。
【0024】
本発明の第10の態様によれば、
フォトマスクの有する転写用パターンを、プロキシミティ露光機を用いて、被転写体に転写するパターン転写方法において、
第2〜第4のいずれかの態様に記載のフォトマスク又は第5〜第9のいずれかの態様に記載の製造方法にかかるフォトマスクを、前記プロキシミティ露光機により露光する
パターン転写方法が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、フォトマスク上に形成された転写用パターンを被転写体に転写する際の転写精度を向上させ、転写用パターン全面にわたる座標精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係るカラーフィルタの製造工程の概略を例示するフロー図である。
【図2】(a)は本実施形態に係るカラーフィルタの製造工程において近接露光を行う様子を例示する側面図であり、(b)はその平面図である。
【図3】(a)は本実施形態に係るフォトマスクの平面構成を例示する平面図であり、(b)はその変形例を例示する平面図である。
【図4】描画時と露光時とに変形を伴う透明基板を用いた場合のフォトマスクの製造工程を示すフロー図である。
【図5】描画時と露光時との透明基板の形状変化を示す図である。
【図6】レーザ光を入射することで平坦度を測定する様子を例示する模式図である。
【図7】フォトマスクの重ね合わせと座標ずれとの関係を示す図である。
【図8】本実施形態に係る透明基板を用いた場合のフォトマスクの製造工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
【0028】
(1)カラーフィルタの製造工程
まず、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの製造工程について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るカラーフィルタの製造工程の概略を例示するフロー図である。図2(a)は、本実施形態に係るカラーフィルタの製造工程において近接露光を行う様子を例示する側面図であり、図2(b)はその平面図である。図3(a)は、本実施形態に係るフォトマスクの平面構成を例示する平面図であり、図3(b)は、その変形例を例示する平面図である。
【0029】
図1に示すように、液晶表示装置用のカラーフィルタ10は、透光性基材11の一主表面上へ色の境界部を構成するブラックマトリックス層12pを形成する工程(図1(a)〜(e))と、ブラックマトリックス層12pに区切られた透光性基材11の一主表面上へ赤フィルタ層14p、緑フィルタ層15p、青フィルタ層16p等のカラーフィルタ層を形成する工程(図1(f)〜(j))とを、順次実施することで製造される。以下に、各工程ついて説明する。
【0030】
(ブラックマトリックス層の形成)
まず、透光性樹脂やガラス等からなる透光性基材11を用意し、透光性基材11の一主表面上に遮光材膜12を形成し、遮光材膜12上にレジスト膜13を形成する(図1(a))。
【0031】
そして、ブラックマトリックス形成用の第1フォトマスク100と、被転写体としての遮光材膜12及びレジスト膜13が形成された透光性基材11とを、近接露光用の露光機500内に配置する(図1(b)、図2)。
【0032】
なお、図3(a)に平面構成を例示するように、第1フォトマスク100は、透明基板101の第1主表面(図1(b)では下側の面)に形成された遮光膜が所定のパターニングをなされて形成された転写用パターン112pをもつパターン形成領域133を備えている(以下、転写用パターン112pが形成された領域のほか、形成される予定領域もパターン形成領域133とすることがある)。転写用パターン112pの形状は、後述のブラックマトリックス層12pを形成するように例えば格子状とされる。また、第1フォトマスク100の透明基板101の第1主表面には、パターン形成領域133の外側であって、透明基板101の第1主表面外周を構成する対向する二辺のそれぞれの近傍に露光機500の保持(支持)部材503と当接する保持部(支持領域)103が設けられている。保持部103には、遮光膜が形成されていてもよく、透明基板101の第1主表面が露出していてもよい。
【0033】
図2(a)に示すように、保持部103が、露光機500の保持部材503によってそれぞれ下方から支持されることで、第1フォトマスク100は水平姿勢で露光機500内に配置される。そして、第1フォトマスク100が備える転写用パターン112pと、透光性基材11上に形成されたレジスト膜13とが対向し、例えば10μm以上300μm以内のプロミキシミティギャップ距離に近接して配置される。
【0034】
第1フォトマスク100と、遮光材膜12及びレジスト膜13が形成された透光性基材11とが近接露光用の露光機500内に配置され、それぞれ位置合わせが完了したら、光源501及び照射系502を用い、第1フォトマスク100の裏面側(すなわち透明基板101の第2主表面側)から紫外線などの光を照射し、転写用パターン112pを介してレジスト膜13を露光して、レジスト膜13の一部を感光させる(図1(c)、図2(a))。露光にはi線、h線、g線を含む波長域の光源を用いることができる。
【0035】
そして、第1フォトマスク100と、遮光材膜12及びレジスト膜13が形成された露光後の透光性基材11と、を露光機500から取り外す。そして、レジスト膜13を現像し、遮光材膜12を部分的に覆うレジストパターン13pを形成する(図1(d))。
【0036】
そして、形成したレジストパターン13pをマスクとして遮光材膜12をエッチングし、透光性基材11の一主表面上にブラックマトリックス層12pを形成する。ブラックマトリックス層12pが形成されたら、レジストパターン13pを除去する(図1(e))。
【0037】
(赤フィルタ層の形成)
続いて、ブラックマトリックス層12pが形成された透光性基材11の一主表面上に、例えば感光性樹脂材料からなる赤レジスト膜14を形成する(図1(f))。
【0038】
そして、赤フィルタ層形成用の第2フォトマスク200と、ブラックマトリックス層12p及び赤レジスト膜14が形成された被転写体としての透光性基材11とを、近接露光用の上述の露光機500内に配置する(図1(g))。
【0039】
なお、図3(a)に平面構成を例示するように、第2フォトマスク200は、透明基板201の第1主表面(図1(g)では下側の面)に、遮光膜が加工されてなる転写用パターン212pを備えている。転写用パターン212pの形状は、赤フィルタ層14pを形成するための形状とされ、第1フォトマスク100の転写用パターン112pとは異なる形状となる。また、第2フォトマスク200の透明基板201の第1主表面には、パターン形成領域133外側であって、透明基板201の外周を構成する対向する二辺のそれぞれの近傍に、露光機500の保持部材が当接する保持部(支持領域)203が設けられている。保持部203には、遮光膜が形成されていてもよく、透明基板201の主表面が露出していてもよい。
【0040】
図2(a)に示すように、保持部203が、露光機500の保持部材503によってそれぞれ下方から支持されることで、第2フォトマスク200は水平姿勢で露光機500内に配置される。そして、第2フォトマスク200が備える転写用パターン212pと、透光性基材11上に形成された赤レジスト膜14とが対向し、上述のプロキシミティギャップ距離に近接して配置される。
【0041】
第2フォトマスク200と、ブラックマトリックス層12p及び赤レジスト膜14が形成された透光性基材11とが近接露光用の露光機500内に配置され(図2(a))、それぞれ位置合わせが完了したら、光源501及び照射系502を用い、第2フォトマスク200の裏面側(すなわち透明基板201の第2主表面側)から紫外線などの光を照射し、転写用パターン212pを介して赤レジスト膜14を露光して、赤レジスト膜14の一部を感光させる(図1(h))。
【0042】
そして、第2フォトマスク200と、赤レジスト膜14が露光された透光性基材11と、を露光機500から取り外す。そして、赤レジスト膜14を現像して余分な赤レジスト膜14を除去し、残留している赤レジスト膜14をベークして硬化させることで赤フィルタ層14pを形成する(図1(i))。
【0043】
(緑フィルタ層及び青フィルタ層の形成)
続いて、緑フィルタ層15p及び青フィルタ層16pの形成を赤フィルタ層14pの形成と同様に行い、ブラックマトリックス層12pに区切られた透光性基材11の一主表面上へ赤フィルタ層14p、緑フィルタ層15p、青フィルタ層16p等のカラーフィルタ層を形成する工程を終了する(図1(j))。
【0044】
(ITO電極の形成)
その後、図示しないがブラックマトリックス層12p、赤フィルタ層14p、緑フィルタ層15p、青フィルタ層16p等のカラーフィルタ層の上面を覆うようにITO膜を形成して透明電極とし、カラーフィルタ10の製造を終了する。
【0045】
(2)パターンの転写精度について
上述の第1、第2フォトマスク100,200の転写用パターンは、後述するように、遮光膜上に形成されたレジスト膜に対し、所定のパターンデータを描画する描画工程を経ることにより形成される。すなわち、該描画工程後、現像によりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングすることで形成される。しかしばがら、描画装置の精度は充分に高いにも関わらず、最終製品において転写時のパターンの座標精度が不十分であり、結果としてブラックマトリックス層やカラーフィルタ層の位置ずれが生じる(転写精度が劣化する)懸念が見出された。
【0046】
発明者等の鋭意研究によれば、係る転写精度の劣化は、フォトマスクが備える透明基板の第2主表面(転写用パターンが形成された第1主表面に対する裏面)の平坦度に関係していることが判明した。以下に、透明基板の裏面の平坦度が転写精度の劣化に影響を与えるメカニズムについて、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、第2主表面の平坦度が不十分な透明基板101’を用いた場合の描画時と露光時とに変形を伴うフォトマスク100’の製造工程を示すフロー図である。図5は、描画時と露光時との透明基板101’の形状変化を示す図である。
【0047】
まず、透明基板101’を用意する(図4(a))。透明基板101’の第1主表面(図4(a)では上側の面)には、後述の転写用パターン112p’が形成される。透明基板101’の第1主表面及び第2主表面(図4(b)では下側の面)は、それぞれ研磨されて平坦且つ平滑に加工されているものの、少なくとも第2主表面が上向きに凸形状をもっている(中央部周辺が凹形状となっている)。尚、図4(a)の第2主表面の形状は、透明基板101’の変形を説明するための形状の1例である。
【0048】
続いて、透明基板101’の第1主表面上に、例えばCrを主成分とする遮光膜112’を形成し、さらに、遮光膜112’上にレジスト膜113’を形成する(図4(b))。遮光膜112’及びレジスト膜113’が形成された透明基板101’を、以下ではフォトマスクブランクス100b’とも呼ぶ。
【0049】
続いて、製造したフォトマスクブランクス100b’を描画装置(レーザ描画機又は電子線描画機)のステージ603上に配置する。この際、透明基板101’の裏面(第2主表面)を、描画装置のステージ603の載置面上に載置する。このためフォトマスクブランクス100b’は自重によりステージ603の載置面に沿って水平になる(図4(c))。これにより、フォトマスクブランクス100b’の第1主表面側にも変形が生じる。この状態で、レジスト膜113’に対して描画を行い、レジスト膜113’の一部を感光させる(図4(d))。
【0050】
続いて、描画が完了したフォトマスクブランクス100b’を描画装置から取り外す。そして、レジスト膜113’を現像し、レジストパターン113p’を形成する(図4(e))。そして、レジストパターン113p’をマスクとして遮光膜112’の一部をエッチングすることで転写用パターン112p’を形成し、その後、レジストパターン113p’を除去することでフォトマスク100’が完成する(図4(f))。
【0051】
上述した描画は、透明基板101’の第2主表面を描画装置のステージ603によって下方から支持した状態、すなわち、透明基板101’が変形した状態で行われることとなる。一方、描画が完了したフォトマスクブランクス100b’は、描画装置から取り外されるが、この際、上述の透明基板101’の変形は解消することとなる。
【0052】
その結果、レジスト膜113’に対する上述の描画の精度が充分に高い場合であっても、転写用パターンが描画されるときと、転写用パターン形成後のフォトマスク100’が露光機500のステージ603上に配置されるときとでは、透明基板101’の第1主表面の形状が異なり、この形状変化によって、第1主表面上の座標が相互にずれることとなる。この座標のずれは、転写用パターンが形成されていない、第2主表面の平坦度に起因するのである。
【0053】
発明者等は、上述の考察に基づき鋭意研究を行った。その結果、転写用パターンの転写精度を向上させるには、描画装置のステージ603上に載置されたときの透明基板の上記変形が、パターン転写時の座標ずれを許容範囲内に制御できる範囲内のものとする、透明基板を用意することが必要と判明した。
【0054】
透明基板101’の上記変形による座標ずれのずれ量dは、図5に示すとおりである。すなわち、厚さがT(mm)の透明基板101’が角度θで屈曲したとき、第1主表面上の座標に生じる水平方向のズレ量dは、d=(T×10)/2×sinθ(μm)となる。このdの数値が最終製品に許容される座標ずれの許容範囲内となるように、制御すればよい。
【0055】
ところで、液晶表示装置のデバイスパターンは、微細化が進んでいる。カラーフィルタに使用されるブラックマトリックス(BM)にも、細線化の要望が特に強い。従来、10μm程度で十分と見なされていたBM幅が、最近では8μm、或いは6μm程度を期待されるようになり、製造技術の難度は一層大きくなっている。
【0056】
例えば、6μm又はそれ以下のBM幅を有するBMを形成しようとする場合を考える(図7(a))。BMに色版を重ね合わせたときに、一方に(たとえばBMに。以下同様)許容される座標ずれの最大値は3μmである(図7(b))。これは、色版同士(たとえばレッドとブルー)の境界がBMの幅をはみ出すと、色濁り等の不都合が生じるからである。更に、色版自身の線幅誤差があること、およびBM自身の線幅誤差があることを考慮すると、一方の座標ずれは(3μm×1/2×1/2=)0.75μm以内としなければならない(図7(c))。
【0057】
ところで、描画装置のもつ描画再現性は0.15μm程度であるから、フォトマスク用基板側のマージンは(0.75−0.15=)0.60μmである。これが、フォトマスク起因の座標ずれの許容値である(図7(d))。
【0058】
但し、フォトマスク用基板に起因する座標ずれの要因は、フォトマスクの第2主表面の平坦度によるものだけではない。発明者等の検討によると複数の因子があり、有意なもの(因子として無視できないもの)として、他に、露光機の保持部材とフォトマスクとの当接による転写用パターンの歪みや、第1主表面の平坦度といった要素がある。
【0059】
従って、許容できる座標ずれ量を、上記した主要3因子に分配し(図7(e))、かつ、Cpk(工程能力指数)1.3を満たすためには、パターン形成領域の高さ変動に起因する許容ずれ量は、単品のフォトマスクにおいて0.15μm以内(従って、2枚のフォトマスクの組み合わせによって生じるずれ量は0.3μm以内)としなければならない(図7(f))。
【0060】
ここで、厚さT(mm)の透明基板の第2主表面において、P(mm)離間した、任意の2点の高低差がΔZb(μm)であるとき、上記したように、ずれ量d(μm)は
d=(T×10)/2×sinθ(μm)
である(θは、図5に示す透明基板の屈曲角度)。
【0061】
更に、
sinθ=ΔZb/(P×10
と近似することができるので、
0.15(μm)≧d=(T×10)/2×(ΔZb/(P×10))
が成り立つ。
【0062】
従って、
ΔZb≦(P/T)×0.3
である。
【0063】
P=10mmとすると、
ΔZb≦(1/T)×3.0
である。
【0064】
すなわち、透明基板の第2主表面であって、第1主表面のパターン形成領域に対応する領域においては、ΔZb≦(1/T)×3.0を満たす透明基板であれば、描画時と露光時との間で基板変形に起因する座標ずれが生じたとしても、最終製品の性能に影響を与えないものとすることができる。
【0065】
尚、上記で2点の離間距離Pを10mmとしたが、離間距離Pの値については、後述の方法で、第2主表面上の点の高さ測定を行うときの、測定点の離間距離とすることができる。
【0066】
測定点は、少なくとも第1主表面のパターン転写領域に対応する第2主表面上の領域内の任意の位置に設定することができる。
【0067】
更に、測定点は、パターン転写領域に対応する領域を含み、より広い領域(以下、測定領域ともよぶ)に設定し、該領域内において
ΔZb≦(P/T)×0.3
を満たすものとすることが好ましい。
【0068】
測定領域は、四角形の透明基板の第2主表面において、少なくともパターン転写領域を含むことができる。好ましくは、該透明基板の外縁となる4辺の近傍であって外縁から20mmの領域を除いた領域とすることができる。該領域内において、離間距離Pだけ離間した任意の2点を設定したときに、
ΔZb≦(P/T)×0.3
であることができる。
【0069】
尚、露光時に、露光機500の保持部材503が当接する保持部103が第2主表面側に設けられる場合には、上記測定領域は、該保持部103を含む領域とすることが好ましい。この場合、例えば、測定領域は、第2主表面の外縁となる4辺の近傍であって外縁から10mmの領域を除いた領域において、上記ΔZbの不等式が充足されるようにすることがより好ましい。
【0070】
すなわち、透明基板の裏面(第2主表面)の平坦度を上述の範囲内とすることで、フォトマスクブランクスを描画装置に設置した時の透明基板の変形を抑制することができ、これにより、露光機500に設置されるフォトマスクの転写用パターンの変形を抑制でき、パターンの転写精度を向上できるとの知見を得た。
【0071】
(3)フォトマスクの製造方法
以下、上述の知見が適用された本実施形態に係るフォトマスクの製造方法について、図8、図6を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係る透明基板101を用いた場合のフォトマスク100の製造工程を示すフロー図である。図6は、レーザ光を入射することで透明基板101の主表面の平坦度を測定する様子を例示する模式図である。なお、以下の説明では、ブラックマトリックス形成用の第1フォトマスク100を製造する場合を例に挙げて説明するが、カラーフィルタ層形成用の第2〜第4フォトマスクの製造も、第1フォトマスク100の製造と同様に行うことができる。
【0072】
(透明基板の用意及び平坦度の検査)
まず、フォトマスク用基板としての透明基板101を用意する(図8(a))。なお、図3(a)にも例示したように、透明基板101は、平面視が長方形の板状であり、その寸法は、例えば長辺L1が600〜1400mm、短辺L2が500〜1300mm、厚さTが5〜13mm程度とすることができる。透明基板101は、例えば石英(SiO)ガラスや、SiO,Al,B,RO,RO等を含む低膨張ガラス等から構成することができる。透明基板101の主表面のうち、転写用パターン112pを形成する側の主表面(図8(a)では上側の面)を第1主表面とする。第1主表面には、転写用パターン112pの形成予定領域が設定される。また、転写用パターン112pの形成予定領域の外側であって、透明基板101の外周を構成する対向する二辺(本実施形態では長辺L1)のそれぞれの近傍の領域内には、長辺L1にそれぞれ平行な一対の帯状の保持部103が設けられている。例えば、保持部103は、第1フォトマスク100の外周を構成する対向する長辺(L1)のそれぞれから10mm離間した直線と、長辺(L1)のそれぞれから50mm離間した直線とに挟まれた、長辺(L1)にそれぞれ平行な一対の帯状の領域として構成することができる。
【0073】
また、透明基板101の主表面のうち、第1主表面と反対側の主表面(図8(a)では下側の面)を第2主表面とする。ここで、第2主表面における高低差(μm)は、後述するように、平面度測定機を用いて測定することができ、本実施形態の平坦度を求める場合には、装置の規定する基準面を用いて求めることができる。尚、高低差を測定する際には、透明基板101を鉛直にし、自重による撓みの影響を実質的に排除した状況で行うことが好ましい。
【0074】
高低差を求める2点の位置の設定は、上記したとおりである。
【0075】
2点の離間距離Pが小さければ、第2主表面の微細な領域内の形状変化を捉えることが可能であるが、透明基板101の面積が大きくなるほど、測定点が膨大になり、透明基板101の良否判断に至る効率が下がる。Pが大きすぎれば、第2主表面の平坦度の基準が緩くなり、座標ずれの生じやすい透明基板を許容してしまう。
【0076】
好ましくは、離間距離Pを5≦P≦15(mm)とするのが好ましい。より好ましくはP=10mmとすることができる。
【0077】
たとえば、測定領域全体を離間距離P(mm)(例えば10mm)幅の格子で分割したときの各格子点を測定点とし、隣接する測定点の高低差を用いて、平坦度を求めることができる。すなわち、本発明における任意の2点は、パターン形成領域に対応する第2主表面上の領域(又は測定領域)を離間距離P(mm)幅の格子で分割したときの、各格子点を母集団としたときの、互いに離間距離P(mm)離間した任意の2点とすることができる。
【0078】
透明基板101の第1及び第2主表面は、研磨によりそれぞれ平坦且つ平滑に構成されている。また、透明基板101の第2主表面の平坦度は、上記方法により定めた任意の2点について、基準を満たすものとする。すなわち、少なくともパターン形成領域に対応する第2主表面において、
ΔZbmax(μm)≦(P/T)×0.3
である。更には、上述の測定領域内において、この関係が充足することが好ましい。
【0079】
P=10mmとすると、
ΔZbmax(μm)≦(1/T)×3.0
である。
【0080】
第2主表面の平坦度が上述の要件を満たしているか否かは、例えば、図6に示すように、透明基板101の第2主表面にレーザ光を入射する方法等を用いて検査することができる。例えば黒田精工株式会社製の平面度測定機FFT−1500(登録商標)や、特開2007−46946号公報記載のものを用いて行うことができる。
【0081】
(遮光膜及びレジスト膜の形成)
続いて、透明基板101の第1主表面上に、例えばCrを主成分とする光学膜としての遮光膜112を形成する(図8(b))。遮光膜112は、例えばスパッタリングや真空蒸着等の手法により形成することができる。遮光膜112の厚さは、露光機500の照射光を遮るのに十分な厚さであって、例えば100〜120(nm)程度とすることができる。なお、遮光膜112の上面には、例えばCrO等を主成分とする反射防止層を形成することができる。また、保持部103を第1主表面側に設定する場合、遮光膜112は、保持部103上には形成しなくてもよい。尚、本態様では、第1フォトマスク100に形成される転写用パターン112として、遮光膜によるものを用いて説明しているが、遮光膜以外の光学膜(所定の光透過率を有する半透光膜など)を用いても構わない。
【0082】
そして、遮光膜112上にレジスト膜113を形成する(図8(b))。レジスト膜113は、ポジ型フォトレジスト材料或いはネガ型フォトレジスト材料により構成することが可能である。以下の説明では、レジスト膜113がポジ型フォトレジスト材料より形成されているものとする。レジスト膜113は、例えばスピンコートやスリットコート等の手法により形成することができる。遮光膜112及びレジスト膜113が形成された透明基板101を、以下ではフォトマスクブランクス100bとも呼ぶ。
【0083】
(描画工程)
続いて、製造したフォトマスクブランクス100bを描画装置に配置する。この際、透明基板101の第2主表面を、描画装置が備えるステージ603の上面によって下方から支持し、フォトマスクブランクス100bが水平になるようにする(図8(c))。続いて、レジスト膜113に対して描画を行い、レジスト膜113の一部を感光させる(図8(d))。なお、ステージ603の上面は平坦に構成されているが、透明基板101の第2主表面の平坦度が上述の範囲内とされていることから、透明基板101は、上述の場合と異なりその自重により殆ど変形しない。
【0084】
(現像、エッチング工程)
続いて、描画が完了したフォトマスクブランクス100bを描画装置から取り外す。そして、現像液をレジスト膜113に供給して現像し、遮光膜112の一部を覆うレジストパターン113pを形成する(図8(e))。なお、保持部103上に遮光膜112を形成した場合には、保持部103上に形成された遮光膜112をエッチングにより除去してもよい。
【0085】
そして、形成したレジストパターン113pをマスクとして、遮光膜112の一部をエッチングする。遮光膜112のエッチングは、エッチング液を遮光膜112上に供給することで行うことが可能である。その結果、透明基板101の表面上に、遮光膜112がパターニングされてなる転写用パターン112pが形成される。そして、レジストパターン113pを除去して第1フォトマスク100の製造を終了する(図8(f))。
【0086】
尚、本発明の透明基板101を用いて作製したフォトマスクブランクス100b及びフォトマスク100は、その形状が実質的に維持されるため、やはりΔZbの数値は本発明の透明基板101と同様の範囲内となることができる。
【0087】
上述した描画では、透明基板101の第2主表面をステージ603によって下方から支持した状態で行うが、透明基板101の第2主表面の平坦度が上述の範囲内とされていることから、透明基板101が、描画中に自重により変形することに起因する、第1主表面の形状変化が抑止される。従って、透明基板101の表面上に形成された転写用パターン112pは、第1フォトマスク100が上述の露光機500に設置されている時にも、上記変形に由来する座標ずれが抑止される。そして、上述のパターンの転写精度を向上させることができる。
【0088】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0089】
例えば、保持部103,203は、上述の実施形態のように一対設けられる場合に限らず、フォトマスクの周囲に沿ってより多数設けられていてもよい。すなわち、図3(b)に示すように、平面視が長方形である透明基板101,201の一主表面に、パターン形成領域133の外側であって、透明基板101,201の外周を構成する4辺(L1,L2)のそれぞれの近傍の領域内に、4つの帯状の保持部103,203が設けられていてもよい。例えば、4つの保持部103,203は、パターン形成領域133の外側であって、フォトマスク100,200の外周を構成する4辺のそれぞれから10mm離間した直線と、4辺のそれぞれから50mm離間した直線とに挟まれた、4辺にそれぞれ平行な4つの帯状の領域として構成することができる。更に、保持部103,203は、透明基板101,201の第2主表面側に設けることもできる。
【0090】
また、ブラックマトリックス層12pは、Cr等の金属材料を主成分とする場合に限らず、遮光性を有する感光性樹脂等により形成してもよい。感光性樹脂を用いる場合、ブラックマトリックス層12pは、カラーフィルタ層のように、露光、現像、ベークを順次実施することにより形成可能である。
【符号の説明】
【0091】
100 第1フォトマスク
101 透明基板
112p 転写用パターン
200 第2フォトマスク
201 透明基板
212p 転写用パターン
603 ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主表面に転写用パターンを形成してフォトマスクとなすための、厚さT(mm)のフォトマスク用基板であって、
前記第1主表面の裏面にある第2主表面において、10(mm)離間した任意の2点の高低差がΔZb(μm)であるとき、前記第1主表面のパターン形成領域に対応する前記第2主表面の領域内のΔZbが、
ΔZb≦(1/T)×3.0を満たす
ことを特徴とするフォトマスク用基板。
【請求項2】
第1主表面に転写用パターンが形成された、厚さT(mm)のフォトマスクであって、
前記第1主表面の裏面にある第2主表面において、10(mm)離間した任意の2点の高低差がΔZb(μm)であるとき、前記第1主表面のパターン形成領域に対応する前記第2主表面の領域内のΔZbが、
ΔZb≦(1/T)×3.0を満たす
ことを特徴とするフォトマスク。
【請求項3】
近接露光用である
ことを特徴とする請求項2に記載のフォトマスク。
【請求項4】
カラーフィルタ製造用である
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のフォトマスク。
【請求項5】
第1主表面に転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、
厚さT(mm)のフォトマスク用基板であって、前記第1主表面の裏面にある第2主表面上の、10(mm)離間した任意の2点の高低差がΔZb(μm)であるとき、前記第1主表面のパターン形成領域に対応する前記第2主表面の領域内のΔZbが、
ΔZb≦(1/T)×3.0
を満たすフォトマスク用基板を用意し、
前記フォトマスクの前記第1主表面に光学膜を形成し、
前記光学膜にパターニングを施すことにより、前記転写用パターンを形成することを含む
ことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項6】
第1主表面に転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、
厚さT(mm)のフォトマスク用基板の、前記第1主表面の裏面にある第2主表面上に所定の離間距離P(mm)をおいて等間隔に複数の測定点を設定し、
該複数の測定点における、前記第2主表面の基準面に対する高さZをそれぞれ求め、
前記複数の測定点における高さZの最大値と最小値の差を高さ変動の最大値ΔZbmaxとするとき、
ΔZbmax≦(P/T)×0.3
を満たす前記フォトマスク用基板を用意し、
前記用意したフォトマスク用基板の前記第1主表面に、光学膜を形成し、
前記光学膜上にレジスト膜を形成し、
前記フォトマスク用基板を、描画装置のステージ上に載置して、所定の転写用パターンを描画し、
描画後の前記フォトマスク用基板に対し、レジスト現像と光学膜のパターニングを施して、前記転写用パターンを形成することを含む
ことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
前記離間距離Pを5≦P≦15(mm)とする
ことを特徴とする請求項6に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
前記フォトマスクは、近接露光用である
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項9】
前記転写用パターンは、カラーフィルタ製造用である
ことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項10】
フォトマスクの有する転写用パターンを、プロキシミティ露光機を用いて、被転写体に転写するパターン転写方法において、
請求項2〜4のいずれかに記載のフォトマスク又は請求項5〜9のいずれかに記載の製造方法にかかるフォトマスクを、前記プロキシミティ露光機により露光する
ことを特徴とするパターン転写方法。

【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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