説明

フォールトトレラント分散型光ファイバ侵入検知

構内をモニタする侵入検知システムが、少なくとも1本の光ファイバを収容していて構内の周りに延びる少なくとも1本の光ケーブルを有する。光時間領域後方散乱測定(OTDR)手段が、少なくとも1本の光ファイバの互いに反対側に位置する第1の端部及び第2の端部に動作可能に結合されている。OTDRは、構内の侵入を検知するために少なくとも1本の光ファイバの第1の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する第1の信号処理回路と、構内の侵入を検知するために少なくとも1本の光ファイバの第2の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する第2の信号処理回路とを有する。第1及び第2の信号処理回路により行われる侵入決定の重複を検証する。システムは、好ましくは、少なくとも1本の光ファイバの破断を検知する手段、破断の存在場所を突き止める手段、破断の存在場所をユーザに出力する手段、及び破断を指示する警報を発する手段を更に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、セキュリティシステム及びこのセキュリティシステムに用いられる侵入検知器に関する。本発明は、特に、光ファイバ侵入検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
人及び車両の存在、存在場所及び動きを検知するために明確に規定された領域の境界部をモニタする侵入検知器が、セキュリティシステムにおいて広く用いられている。かかる侵入検知器に関する例示の用途としては、国境、軍事施設、化学プラント、空港、鉄道駅及び教化施設の周囲のモニタが挙げられる。これら検知器に関する課題のうちの一つは、広範な温度並びに雨、雪及び汚れへの暴露を伴う過酷な環境において遠隔作動の必要があるということにある。
【0003】
侵入検知のための光ファイバセンサが開発された。光ファイバセンサは、可燃性の高い物質のある施設にとって特に重要であることとしての光ファイバ検出要素が受動式である(かかる光ファイバ検出要素には電気が流れない)という点において固有の利点を有している。光ファイバ検出要素は又、長い距離(例えば、数十キロメートル)に及ぶことができる。光ファイバ検出要素は、もしこれでなければ動作を損傷させ又は妨害する恐れのある電磁的影響を受けない。さらに、光ファイバ検出要素は、競合状態におかれた価格で且つ過酷な環境に耐えることができる頑丈なケーブルに入れた状態で容易に入手できる。
【0004】
光ファイバ侵入検知システムは、オーストラリア国ビクトリア州マルグレーブ所在のフューチャー・ファイバ・テクノロジーズ・ピイティーワイ・リミテッド(Future Fiber Technologies Pty Ltd)や米国オレゴン州ヒルズボロー所在のファイバ・センシーズ(Fiber Sensys)から市販されている。フューチャー・ファイバ・テクノロジーズ社のシステムは、フォワードパス(順方向経路)及びリターンパス(戻り経路)を備えた光ファイバループを用いて動作する。フォワードパスは、2本の別々の光ファイバを有する。リターンパスは、単一の光ファイバを有する。フォワードパスの2本の光ファイバは、干渉計のアームを形成する。連続レーザ光が、干渉計の2本のアームを下って送られる。リターンパスによって戻された光が分析される。干渉計の2本のアームに作用する外部干渉(動き、音又は振動)が存在しない場合、戻り光は、変化しない。干渉計の2本のアームに作用する外部干渉が存在する場合、戻り光は変化し、干渉パターンが生じる。コントローラは、この変化を検出し、その効果を侵入イベントか周囲条件かのいずれかとして解釈する。ファイバ・センシーズ社のシステムは、コヒーレント光をマルチモード光ファイバ中に注入する。光のモードは、その長さに沿って分散し、光ファイバの終点で混じり合い、その結果、スペックルと呼ばれる明るいしみ(splotch)と暗いしみから成る特徴的な又は固有のパターンが生じる。レーザスペックルは、光ファイバが動かない状態のままである限り安定しているが、光ファイバが環境からの影響(例えば、近くを通る人又は車両)に起因して振動した場合にちらつきを生じる。侵入検知は、スペックルパターンを経時的に分析することにより達成される。いずれのシステムにおいても、光ファイバセンサに破断が生じると、侵入検知システムは、完全に動作不能になる。さらに、いずれのシステムも、光ファイバ破断の位置の検出及び報告を行うことができない。
【0005】
別の方式が、テーラー等(Taylor et al.)に付与された米国特許第5,194,857号明細書に提案されている。テーラーのシステムでは、高コヒーレントパルスレーザからの光が検出用光ファイバ中に放出される。個々のパルスが光ファイバ内を順方向に伝搬しているとき、通常のレイリー散乱により、光の一部が一様に散乱され、僅かな部分が光ファイバによって再補足され、その後この僅かな部分は、受信器まで逆方向に伝搬する。放出されたパルスのコヒーレント性(線幅が狭いこと)により、検出可能な光干渉が散乱光の成分相互間で生じることができるようになる。システムは、検出用光ファイバに沿う局所外乱の空間分布を集めるために後方散乱信号の位相変化及びこれに対応した時間遅延を分析する。静的な場合、空間分布は、ランダムであるが安定している。動的な場合(例えば承認されていない侵入者又は車両による外乱によって引き起こされる場合がある)、局所パターンが変化する。かかる変化を利用すると、侵入の発生及び検出用光ファイバに沿う侵入のだいたい正確な(近似的)場所を指示することができる。このシステムでは、光ファイバに破断が生じると、破断を越えた箇所における侵入検知の能力が不能になる。かかる問題により、重大な意味を持つセキュリティ用途におけるかかるシステムの配備が妨げられると共に組織化されたグループ(テロリスト、盗賊及び他の望ましくない第三者)がこれらシステムをすぐに動作不能にする機会が生じる。
【0006】
かくして、当該技術分野において、光ファイバを利用した侵入検知システムの検出用光ファイバに破断が生じた場合であっても中断なく動作できる光ファイバ利用型侵入検知システムが要望されている。
【0007】
本発明の目的は、光ファイバを利用した侵入検知システムの検出用光ファイバに破断が生じた場合であっても中断なく動作できる光ファイバ利用型侵入検知システムを提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、かかる破断の位置を突き止めてこれを報告するかかる光ファイバ利用型侵入検知システムを提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,194,857号明細書
【発明の概要】
【0010】
以下に詳細に説明するこれら目的に合わせて、構内をモニタする侵入検知システムが、少なくとも1本の光ファイバを収容していて構内の周りに延びる少なくとも1本の光ケーブルを有する。光時間領域後方散乱測定(OTDR)手段が、少なくとも1本の光ファイバの互いに反対側に位置する第1の端部及び第2の端部に動作可能に結合されている。OTDRは、構内の侵入を検知するために少なくとも1本の光ファイバの第1の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する第1の信号処理回路と、構内の侵入を検知するために少なくとも1本の光ファイバの第2の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する第2の信号処理回路とを有する。第1及び第2の信号処理回路により行われる侵入決定の重複を検証する。システムは、好ましくは、少なくとも1本の光ファイバの破断を検知する手段、破断の存在場所を突き止める手段、破断の存在場所をユーザに出力する手段、及び破断を指示する警報を発する手段を更に有する。
【0011】
理解されるように、本明細書において説明する光ファイバ利用型侵入検知システムは、このシステムの検出用光ファイバに破断が生じた場合でも続行した動作を提供する。かかるシステムは又、かかる破断の位置を報告する。さらに、本明細書において説明する光ファイバ利用型侵入検知システムは、多種多様な用途、例えば国境、軍事施設、化学プラント、空港、鉄道駅、教化施設、電力ケーブル、トンネル、パイプライン、建物又は他の情報処理能力のある構造物のモニタに利用できる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、OTDR手段は、光パルスを発生させるレーザ源と、光検出器と、レーザ源と光ファイバ対との間に動作可能に結合された光スイッチ付き方向性結合器とを有する。方向性結合器と光スイッチは、光パルスを光ファイバ対により時分割多重化方式で方向づけると共に光ファイバ対に沿って伝搬して戻った散乱信号を光検出器に時分割多重化方式で方向づけるよう協働する。第1の信号処理回路は、構内の侵入を検知するために一方の光ファイバの第1の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する。第2の信号処理回路は、構内の侵入を検知するために他方の光ファイバの第2の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、OTDR手段は、光パルスを発生させる第1のレーザ源と、第1の光検出器と、第1のレーザ源と光ファイバ対の一方の光ファイバの第1の端部との間に動作可能に結合された第1の方向性結合器とを有する。第1の方向性結合器は、第1のレーザ源により発生した光パルスを一方の光ファイバにより方向づけると共に一方の光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を第1の光検出器に方向づける。第1の信号処理回路は、構内の侵入を検知するために一方の光ファイバを介して受け取った後方散乱信号を分析する。OTDR手段は、光パルスを発生させる第2のレーザ源と、第2の光検出器と、第2のレーザ源と光ファイバ対の他方の光ファイバとの間に動作可能に結合された第2の方向性結合器とを更に有する。第2の方向性結合器は、第2のレーザ源により発生した光パルスを他方の光ファイバにより方向づけると共に他方の光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を第2の光検出器に方向づける。第2の信号処理回路は、構内の侵入を検知するために他方の光ファイバを介して受け取った後方散乱信号を分析する。
【0014】
本発明の更に別の実施形態によれば、OTDR手段は、第1の波長の光パルスを発生させる第1のレーザ源と、第1の光検出器と、第1のレーザ源と光ファイバの第1の端部との間に動作可能に結合された第1の方向性結合器とを有する。第1の方向性結合器は、第1のレーザ源により発生した光パルスを光ファイバにより方向づけると共に光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を第1の光検出器に方向づける。第1の信号処理回路は、構内の侵入を検知するために光ファイバの第1の端部を介して受け取った第1の波長の後方散乱信号を分析する。OTDR手段は、第1の波長とは異なる第2の波長の光パルスを発生させる第2のレーザ源と、第2の光検出器と、第2のレーザ源と光ファイバの第2の端部との間に動作可能に結合された第2の方向性結合とを更に有する。第2の方向性結合器は、第2のレーザ源により発生した光パルスを光ファイバにより方向づけると共に光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を第2の光検出器に方向づける。第2の信号処理回路は、構内の侵入を検知するために光ファイバの第2の端部を介して受け取った第2の波長の後方散乱信号を分析する。
【0015】
本発明の追加の目的及び追加の利点は、添付の図面と関連して行われる以下の詳細な説明を読むと当業者には明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態としての光ファイバ侵入検知システムの略図である。
【図2】図1の光ファイバ侵入検知システムによって実行される例示の信号処理機能及び制御機能の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態としての光ファイバ侵入検知システムの略図である。
【図4】図3の光ファイバ侵入検知システムによって実行される例示の信号処理機能及び制御機能の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施形態としての光ファイバ侵入検知システムの略図である。
【図6】図5の光ファイバ侵入検知システムによって実行される例示の信号処理機能及び制御機能の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
今図1を参照すると、本発明の第1の実施形態としての侵入検知システム10が、光時間領域後方散乱測定装置(OTDR)(要素11,13,15,21,23)を有し、このOTDRは、一連の光パルスを2本の光ファイバ17A,17Bの互いに反対側の端部中に注入し、屈折率が変わる光ファイバ中の箇所から散乱して戻ると共に反射して戻った光をこれら同一の互いに反対側の端部から抽出する。後方散乱光を測定し、時間の関数として記憶し、そしてこれを分析して侵入に関する決定をフォールトトレラント(fault tolerant)方式で行う。
【0018】
具体的に説明すると、光時間領域後方散乱測定は、パルス化モードレーザ源11が一連の高コヒーレント光パルスを、方向性結合器13を介して光スイッチ15に放出することによって実現される。光スイッチ15は、レーザ源11によって生じた光パルスを時分割多重化方式で2本の光ファイバ17A,17Bに交互に差し向ける。光ファイバ17A,17Bは、システムの検出要素を形成し、光ファイバケーブル19内に収容されており、この光ファイバケーブルは、侵入が検知されたかどうかについてモニタされるべき構内20の周囲に沿って配備又は布設されている。これは、国境、軍事施設、化学プラント、空港、鉄道駅、教化施設、電力ケーブル、トンネル、パイプライン、建物又は他の情報処理能力のある構造物に沿うのが良い。パイプラインに関し、優先してパイプラインに入った構築機材をこれがパイプラインを損傷する恐れのある前に検出するためにパイプラインを優先してモニタするよう光ファイバケーブル19を配備するのが良い。光ファイバケーブル19の一端部のところで、光ファイバ17Aは、図示のように光スイッチ15に結合される。光ファイバケーブル19の他端部では、光ファイバ17Bは、図示のように光スイッチ15に結合される。この構成では、光ファイバ17Aは、時計回りの方向にモニタされるべき構内20の周囲に沿って延び、光ファイバ17Bは、これとは逆の反時計回りの方向にモニタされるべき構内20の周囲に沿って延びている。パルスが光ファイバ17Aか光ファイバ17Bかのいずれか一方に沿って伝搬しているとき、その光は、幾つかの機構によって散乱され、かかる機構は、密度及び組成の変動(レイリー散乱)並びに分子及びバルク振動(それぞれ、ラマン散乱及びブリュアン散乱)を含む。この散乱光のうちの何割かは、それぞれの光ファイバコア内に保持され、レーザ源11に向かって案内されて戻される。この戻り光は、光スイッチ15を通って方向性結合器13に至り、ここで、光検出器21に差し向けられる。
【0019】
光検出器21は、受け取った後方散乱光を電気信号に変換し、信号処理ブロック23に出力できるようこの電気信号を増幅する。光検出器21によって出力された信号は、光ファイバ17A及び光ファイバ17Bから後方散乱された光に関する移動‐時間‐窓(moving-time-window)干渉パターンを表す。かかる干渉パターンは、光ファイバ17A,17Bの互いに異なる部分からの後方散乱光の干渉状態を表している。光ファイバ17A,17Bのうちのいずれか一方(又は両方)が例えば承認されていない侵入者又は車両からの外乱によって引き起こされる場合のある衝突音響波(又は圧力)を受けた場合、それぞれの光ファイバの有効屈折率の局所変化が引き起こされ、それにより、外乱の場所に相当する時点でかかる干渉パターンの変化が生じる。光ファイバ17Aへの光スイッチ15の結合時間中、信号処理ブロック23は、光検出器21によって出力された信号をディジタル形態に変換し、かかるディジタルデータを時間分解方式で処理してかかるディジタルデータ中の干渉パターンの変化を突き止め、かかる干渉パターンの変化に基づいて侵入が発生したかどうかの判定を行う。同様に、光ファイバ17Bへの光スイッチ15の結合時間中、信号処理ブロック23は、光検出器21によって出力された信号をディジタル形態に変換し、かかるディジタルデータを時間分解方式で処理してかかるディジタルデータ中の干渉パターンの変化を突き止め、かかる干渉パターンの変化に基づいて侵入が発生したかどうかの判定を行う。システムコントローラ25は、信号処理ブロック23との間のデータ経路23によりこの信号処理ブロック23からデータを受け取る。かかるデータにより、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入時刻に対応したタイムスタンプが得られる。
【0020】
侵入が生じたときの通常の動作中、システムコントローラ25は、データ経路27により、光ファイバ17Aの干渉パターンの処理の結果として得られたかかる侵入に関するデータ並びに光ファイバ17Bの干渉パターンの処理の結果として得られたかかる侵入に関するデータを受け取る。システムコントローラ25は、場合によっては、かかるデータの重複を検証すると共にかかるデータに基づいて1つ又は2つ以上の警報信号を発生することができる。かかる警報信号をデータ経路29により出力して、可聴警報(例えば、スピーカ又はベルによりかけられる可聴警報メッセージ又は音色)、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては侵入の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。
【0021】
信号処理ブロック23(及び(又は)システムコントローラ25)は、データ処理作業を実行することができ、かかるデータ処理作業では、2本の光ファイバ17A,17Bからの後方散乱信号を分析して光ファイバ17A,17Bのうちの一方又は両方に破断が生じたかどうかを自動的に検出し、その破断の存在場所を突き止める。システムコントローラ25は、破断が検出された場合に1つ又は2つ以上の警報信号を発生するのが良い。かかる警報信号をデータ経路29により出力して可聴警報、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては破断の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)破断を表す任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。かかる警報信号は、それぞれの光ファイバ(17A又は17B)から破断箇所と光スイッチ13との間のその長さに沿って戻る後方散乱信号の信号処理作業に由来するであろう。
【0022】
システムコントローラ25は又、光源11、光スイッチ15及び信号処理ブロック23の時分割多重化作業を同期させるのに適したタイミング信号を発生させ、かかるタイミング信号は、制御経路31A,31B,31Cによりそれぞれ光源11、光スイッチ15及び信号処理ブロック23に送られる。
【0023】
図2は、信号処理ブロック23及びシステムコントローラ25の例示の実施形態を示している。信号処理ブロック23は、光検出器21の出力とインタフェースするアナログ‐ディジタル変換器区分51を有する。アナログ‐ディジタル変換器区分51は、光検出器21から検出された電気信号を指定されたサンプリングレートでサンプル採取し、これらサンプルをディジタル語に変換し、これらディジタル語は、検出された後方散乱信号をディジタル形式で表す。論理53A,54Bが、変換器区分51によって生じたディジタル語を2本の光ファイバ17A,17Bの互いに異なる区分に対応したタイムビンに時分割多重化方式で記憶する。かかる記憶作業に関するタイミングは、システムコントローラ25のタイミング信号発生器ブロック71によって生じ、制御経路31Cによりシステムコントローラ25に送られる制御信号に由来する。光ファイバ17Aについて55A1,55A2,...55ANと表示され、光ファイバ17Bについては、57B1,57B2,...57BNと表示されたタイムビンは、それぞれ、2本の光ファイバ17A,17Bの互いに異なる長さ分に対応している。論理ブロック59A1,59A2,...59ANは、対応のタイムビン55A1,55A2,...55ANに記憶されている後方散乱信号データに基づいて動作してそれぞれのタイムビン中の干渉パターンを経時的に分析する。同様に、論理ブロック61B1,61B2,...61BNは、対応のタイムビン57B1,57B2,...57BNに記憶されている後方散乱信号データに基づいて動作してそれぞれのタイムビン中の干渉パターンを経時的に分析する。タイムビン中の干渉パターンの変化は、そのタイムビンに対応した場所でモニタされている周囲を横切る幾分かのトラフィックを表している。好ましい実施形態では、論理ブロック59A1,59A2,...59AN及び論理ブロック61B1,61B2,...61BNは、対応のタイムビン中の干渉パターンと対応のタイムビンに関する定常状態の干渉パターンの差を分析する。かかる差に関する作業は、たたみ込み作業、位相差作業、FFT作業、フィルタリング作業及び(又は)光時間領域後方散乱測定法で通常用いられる他の作業に基づくのがよい。ブロック63は、論理ブロック59A1,59A2,...59ANの干渉パターン分析を利用して、侵入に関する決定を行い、この決定は、侵入が生じたか否かの決定である。同様に、ブロック65は、論理ブロック61B1,61B2,...61BNの干渉パターン分析を利用して侵入に関する決定を行う。ブロック63,65の論理は、侵入者のタイプを識別し、即ち、人か車両か動物かを区別するシグナチュアアナリシスを利用するのが良い。ブロック63かブロック65かのいずれかにより侵入が生じたことが判定されると、データがデータ経路27によりシステムコントローラ25に提供される。かかるデータは、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入の時刻に対応したタイムスタンプを提供する。
【0024】
システムコントローラ25は、かかるデータをデータ経路27により受け取り、このシステムコントローラは、かかるデータの重複を場合によっては検証すると共に(或いは)かかるデータに基づいて1つ又は2つ以上の警報信号を発生することができる論理ブロック73を有している。かかる警報信号をデータ経路29により出力して、可聴警報(例えば、スピーカ又はベルによりかけられる可聴警報メッセージ又は音色)、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては侵入の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。
【0025】
信号処理ブロック23(ブロック59,61,63,65の一部として)及び(又は)システムコントローラ25(論理ブロック73の一部として)は、データ処理作業を実行することができ、かかるデータ処理作業では、2本の光ファイバ17A,17Bからの後方散乱信号を分析して光ファイバ17A,17Bのうちの一方又は両方に破断が生じたかどうかを自動的に検出し、その破断の存在場所を突き止める。システムコントローラ25(論理ブロック25の一部として)は、破断が検出された場合に1つ又は2つ以上の警報信号を発生するのが良い。かかる警報信号をデータ経路29により出力して可聴警報、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては破断の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)破断を表す任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。かかる警報信号は、それぞれの光ファイバ(17A又は17B)から破断箇所と光スイッチ13との間のその長さに沿って戻る後方散乱信号の信号処理作業に由来するであろう。
【0026】
システムコントローラ25は、光源11、光スイッチ15及び信号処理ブロック23の時分割多重化作業を同期させるのに適したタイミング信号を発生させるタイミング信号発生器ブロック71を更に有し、かかるタイミング信号は、制御経路31A,31B,31Cによりそれぞれ光源11、光スイッチ15及び信号処理ブロック23に送られる。
【0027】
次に図3を参照すると、本発明の第2の実施形態としての侵入検知システム10′が、光時間領域後方散乱測定装置(OTDR)(要素11A′,13A′,15A′,21A′,23A′,11B′,13B′,15B′,21B′,23B′)を有し、このOTDRは、一連の光パルスを2本の光ファイバ17A′,17B′の互いに反対側の端部中に注入し、屈折率が変わる光ファイバ中の箇所から散乱して戻ると共に反射して戻った光をこれら同一の互いに反対側の端部から抽出する。後方散乱光を測定し、時間の関数として記憶し、そしてこれを分析して侵入に関する決定をフォールトトレラント方式で行う。
【0028】
具体的に説明すると、光時間領域後方散乱測定は、第1のパルス化モードレーザ源11A′が一連の高コヒーレント光パルスを、第1の方向性結合器13A′を介して光ファイバ17A′に放出することによって実現される。第2のパルス化モードレーザ源11B′が、一連の光パルスを、第2の方向性結合器13B′を介して光ファイバ17B′に放出することによって実現される。光ファイバ17A′,17B′は、システムの検出要素を形成し、光ファイバケーブル19′内に収容されており、この光ファイバケーブルは、侵入が検知されたかどうかについてモニタされるべき構内20′の周囲に沿って配備又は布設されている。これは、国境、軍事施設、化学プラント、空港、鉄道駅、教化施設、電力ケーブル、トンネル、パイプライン、建物又は他の情報処理能力のある構造物に沿うのが良い。パイプラインに関し、優先してパイプラインに入った構築機材をこれがパイプラインを損傷する恐れのある前に検出するためにパイプラインを優先してモニタするよう光ファイバケーブル19′を配備するのが良い。光ファイバケーブル19′の一端部のところで、光ファイバ17A′は、第1の方向性結合器13A′に結合される。光ファイバケーブル19′の他端部では、光ファイバ17B′は、図示のように第2の方向性結合器13B′に結合される。この形態では、光ファイバ17A′は、一方向に(左から右へ)モニタされるべき構内20′の周囲に沿って延び、光ファイバ17Bは、逆の方向に(右から左へ)モニタされるべき構内20′の周囲に沿って延びている。パルスが光ファイバ17A′か光ファイバ17B′かのいずれか一方に沿って伝搬しているとき、その光は、幾つかの機構によって散乱され、かかる機構は、密度及び組成の変動(レイリー散乱)並びに分子及びバルク振動(それぞれ、ラマン散乱及びブリュアン散乱)を含む。この散乱光のうちの何割かは、それぞれの光ファイバコア内に保持され、レーザ源11A′,11B′に向かって案内されて戻される。この戻り光は、それぞれの方向性結合器13A′,13B′を通り、ここで、光検出器21A′,21B′に差し向けられる。
【0029】
光検出器21A′,21B′は各々、受け取った後方散乱光を電気信号に変換し、信号処理ブロック23A′,23B′に出力できるようこの電気信号を増幅する。光検出器21A′,21B′によって出力された信号は、光ファイバ17A′及び光ファイバ17B′からそれぞれ後方散乱された光に関する移動‐時間‐窓干渉パターンを表す。かかる干渉パターンは、光ファイバ17A′,17B′の互いに異なる部分からの後方散乱光の干渉状態を表している。光ファイバ17A′,17B′のうちのいずれか一方(又は両方)が例えば承認されていない侵入者又は車両からの外乱によって引き起こされる場合のある衝突音響波(又は圧力)を受けた場合、それぞれの光ファイバの有効屈折率の局所変化が引き起こされ、それにより、外乱の場所に相当する時点でかかる干渉パターンの変化が生じる。信号処理ブロック23A′は、光検出器21A′によって出力された信号をディジタル形態に変換し、かかるディジタルデータを時間分解方式で処理してかかるディジタルデータ中の干渉パターンの変化を突き止め、かかる干渉パターンの変化に基づいて侵入が発生したかどうかの判定を行う。同様に、信号処理ブロック23B′は、光検出器21B′によって出力された信号をディジタル形態に変換し、かかるディジタルデータを時間分解方式で処理してかかるディジタルデータ中の干渉パターンの変化を突き止め、かかる干渉パターンの変化に基づいて侵入が発生したかどうかの判定を行う。
【0030】
システムコントローラ25B′は、信号処理ブロック23B′からデータを受け取り、かかるデータにより、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入時刻に対応したタイムスタンプが得られる。システムコントローラ25A′は、信号処理ブロック23A′からデータを受け取り、かかるデータにより、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入時刻に対応したタイムスタンプが得られる。システムコントローラ25A′は、システムコントローラ25B′にこれとの間の通信リンクによりかかるデータを伝送し、かかる通信リンクは、ワイヤード通信リンクであっても良く、ワイヤレス通信リンクであっても良い。
【0031】
侵入が生じたときの通常の動作中、システムコントローラ25B′は、光ファイバ17A′の干渉パターンの処理の結果として得られたかかる侵入に関するデータを信号処理ブロック23A′から受け取ると共に光ファイバ17B′の干渉パターンの処理の結果として得られたデータを信号処理ブロック23B′から受け取る。システムコントローラ25B′は、場合によっては、かかるデータの重複を検証すると共にかかるデータに基づいて1つ又は2つ以上の警報信号を発生することができる。かかる警報信号を出力して、可聴警報(例えば、スピーカ又はベルによりかけられる可聴警報メッセージ又は音色)、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては侵入の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。
【0032】
信号処理ブロック23A′,23B′(及び(又は)システムコントローラ25B′)は、データ処理作業を実行することができ、かかるデータ処理作業では、2本の光ファイバ17A′,17B′からの後方散乱信号を分析して光ファイバ17A′,17B′のうちの一方又は両方に破断が生じたかどうかを自動的に検出し、その破断の存在場所を突き止める。システムコントローラ25B′は、破断が検出された場合に1つ又は2つ以上の警報信号を発生するのが良い。かかる警報信号を出力して可聴警報、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては破断の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)破断を表す任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。かかる警報信号は、それぞれの光ファイバ(17A′又は17B′)から破断箇所とそれぞれの方向性結合器(13A′又は13B′)との間のその長さに沿って戻る後方散乱信号の信号処理作業に由来するであろう。
【0033】
図4は、信号処理ブロック23A′及びシステムコントローラ25A′並びに信号処理ブロック23B′及びシステムコントローラ25B′の例示の実施形態を示している。信号処理ブロック23A′は、光検出器21A′の出力とインタフェースするアナログ‐ディジタル変換器区分51A′を有する。アナログ‐ディジタル変換器区分51A′は、光検出器21A′から検出された電気信号を指定されたサンプリングレートでサンプル採取し、これらサンプルをディジタル語に変換し、これらディジタル語は、検出された後方散乱信号をディジタル形式で表す。論理53A′が、変換器区分51A′によって生じたディジタル語を2本の光ファイバ17A′の互いに異なる区分に対応したタイムビンに時分割多重化方式で記憶する。光ファイバ17Aについて55A1′,55A2′,...55AN′と表示されタイムビンは、光ファイバ17A′の互いに異なる長さ分に対応している。論理ブロック59A1′,59A2′,...59AN′は、対応のタイムビン55A1′,55A2′,...55AN′に記憶されている後方散乱信号データに基づいて動作してそれぞれのタイムビン中の干渉パターンを経時的に分析する。タイムビン中の干渉パターンの変化は、そのタイムビンに対応した場所でモニタされている周囲を横切る幾分かのトラフィックを表している。好ましい実施形態では、論理ブロック59A1′,59A2′,...59AN′は、対応のタイムビン中の干渉パターンと対応のタイムビンに関する定常状態の干渉パターンの差を分析する。かかる差に関する作業は、たたみ込み作業、位相差作業、FFT作業、フィルタリング作業及び(又は)光時間領域後方散乱測定法で通常用いられる他の作業に基づくのがよい。ブロック63′は、論理ブロック59A1′,59A2′,...59AN′の干渉パターン分析を利用して、侵入に関する決定を行い、この決定は、侵入が生じたか否かの決定である。
【0034】
同様に、信号処理ブロック23B′は、光検出器21B′の出力とインタフェースするアナログ‐ディジタル変換器区分51B′を有する。アナログ‐ディジタル変換器区分51B′は、光検出器21B′から検出された電気信号を指定されたサンプリングレートでサンプル採取し、これらサンプルをディジタル語に変換し、これらディジタル語は、検出された後方散乱信号をディジタル形式で表す。論理53B′が、変換器区分51B′によって生じたディジタル語を2本の光ファイバ17B′の互いに異なる区分に対応したタイムビンに時分割多重化方式で記憶する。光ファイバ17Bについて57B1′,57B2′,...57BN′と表示されタイムビンは、光ファイバ17B′の互いに異なる長さ分に対応している。論理ブロック61B1′,61B2′,...61BN′は、対応のタイムビン57B1′,57B2′,...57BN′に記憶されている後方散乱信号データに基づいて動作してそれぞれのタイムビン中の干渉パターンを経時的に分析する。タイムビン中の干渉パターンの変化は、そのタイムビンに対応した場所でモニタされている周囲を横切る幾分かのトラフィックを表している。好ましい実施形態では、論理ブロック61B1′,61B2′,...61BN′は、対応のタイムビン中の干渉パターンと対応のタイムビンに関する定常状態の干渉パターンの差を分析する。かかる差に関する作業は、たたみ込み作業、位相差作業、FFT作業、フィルタリング作業及び(又は)光時間領域後方散乱測定法で通常用いられる他の作業に基づくのがよい。ブロック63′は、論理ブロック61B1′,61B2′,...61BN′の干渉パターン分析を利用して、侵入に関する決定を行い、この決定は、侵入が生じたか否かの決定である。ブロック63′,65′の論理は、侵入者のタイプを識別し、即ち、人か車両か動物かを区別するシグナチュアアナリシスを利用するのが良い。
ブロック63′が、侵入を検出すると、データがシステムコントローラ25A′に提供され、かかるデータにより、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入時刻に対応したタイムスタンプが得られる。システムコントローラ25A′は、システムコントローラ25B′に、通信インタフェース66A′,66B′によってサポートされたこれとの通信リンクによりかかるデータを伝送する。同様に、ブロック65′が、侵入を検出すると、データがシステムコントローラ25B′に提供され、かかるデータにより、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入時刻に対応したタイムスタンプが得られる。
【0035】
システムコントローラ25B′は、かかるデータを受け取り、このシステムコントローラは、かかるデータの重複を場合によっては検証すると共に(或いは)かかるデータに基づいて1つ又は2つ以上の警報信号を発生することができる論理ブロック73′を有している。かかる警報信号を出力して、可聴警報(例えば、スピーカ又はベルによりかけられる可聴警報メッセージ又は音色)、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては侵入の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。
【0036】
信号処理ブロック23A′,23B′(ブロック59′,61′,63′,65′の一部として)及び(又は)システムコントローラ25B′(論理ブロック73′の一部として)は、データ処理作業を実行することができ、かかるデータ処理作業では、2本の光ファイバ17A′,17B′からの後方散乱信号を分析して光ファイバ17A′,17B′のうちの一方又は両方に破断が生じたかどうかを自動的に検出し、その破断の存在場所を突き止める。システムコントローラ25B′(論理ブロック73′の一部として)は、破断が検出された場合に1つ又は2つ以上の警報信号を発生するのが良い。かかる警報信号を出力して可聴警報、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては破断の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)破断を表す任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。かかる警報信号は、それぞれの光ファイバ(17A′又は17B′)から破断箇所とそれぞれの方向性結合器(13A′又は13B′)との間のその長さに沿って戻る後方散乱信号の信号処理作業に由来するであろう。
【0037】
システムコントローラ25A′,25B′は、それぞれのタイミング信号発生器ブロック71A′71B′を更に有し、かかるタイミング信号発生器ブロック71A′,71B′は、それぞれ、パルス化モード光源11A′,11B′を駆動するのに適したタイミング信号を発生する。
【0038】
次に図5を参照すると、本発明の第2の実施形態としての侵入検知システム10″が、光時間領域後方散乱測定装置(OTDR)(要素11A″,13A″,15A″,21A″,23A″,11B″,13B″,15B″,21B″,23B″)を有し、このOTDRは、一連の光パルスを2本の光ファイバ17A″,17B″の互いに反対側の端部中に注入し、屈折率が変わる光ファイバ中の箇所から散乱して戻ると共に反射して戻った光をこれら同一の互いに反対側の端部から抽出する。後方散乱光を測定し、時間の関数として記憶し、そしてこれを分析して侵入に関する決定をフォールトトレラント方式で行う。
【0039】
具体的に説明すると、光時間領域後方散乱測定は、第1のパルス化モードレーザ源11A″が一連の高コヒーレント光パルスを、第1の方向性結合器13A″を介して光ファイバ17A″に放出することによって実現される。第2のパルス化モードレーザ源11B″が、一連の光パルスを、第2の方向性結合器13B″を介して光ファイバ17B″に放出することによって実現される。レーザ源11A″は、第1の波長(λA)で動作し、レーザ源11B″は、第1の波長(λA)とは異なる第2の波長(λB)で動作する。光ファイバ17A″は、システムの検出要素を形成し、光ファイバケーブル19″内に収容されており、この光ファイバケーブルは、侵入が検知されたかどうかについてモニタされるべき構内20″の周囲に沿って配備又は布設されている。これは、国境、軍事施設、化学プラント、空港、鉄道駅、教化施設、電力ケーブル、トンネル、パイプライン、建物又は他の情報処理能力のある構造物に沿うのが良い。パイプラインに関し、優先してパイプラインに入った構築機材をこれがパイプラインを損傷する恐れのある前に検出するためにパイプラインを優先してモニタするよう光ファイバケーブル19″を配備するのが良い。光ファイバケーブル19″の一端部のところで、光ファイバ17A″は、第1の方向性結合器13A″に結合される。光ファイバケーブル19″の他端部では、光ファイバ17B″は、図示のように第2の方向性結合器13B″に結合される。パルスが光ファイバ17A″か光ファイバ17B″かのいずれか一方に沿って伝搬しているとき、その光は、幾つかの機構によって散乱され、かかる機構は、密度及び組成の変動(レイリー散乱)並びに分子及びバルク振動(それぞれ、ラマン散乱及びブリュアン散乱)を含む。この散乱光のうちの何割かは、それぞれの光ファイバコア内に保持され、レーザ源11A″,11B″に向かって案内されて戻される。この戻り光は、それぞれの方向性結合器13A″,13B″を通り、ここで、光検出器21A″,21B″に差し向けられる。
【0040】
光検出器21A″,21B″は各々、受け取った後方散乱光を電気信号に変換し、信号処理ブロック23A″,23B″に出力できるようこの電気信号を増幅する。光検出器21A″によって出力された信号は、第1の波長(λA)について光ファイバ17A″からそれぞれ後方散乱された光に関する移動‐時間‐窓干渉パターンを表す。光検出器21B″によって出力された信号は、第2の波長(λB)について光ファイバ17B″からそれぞれ後方散乱された光に関する移動‐時間‐窓干渉パターンを表す。かかる干渉パターンは、光ファイバ17A″,17B″の互いに異なる部分からの後方散乱光の干渉状態を表している。光ファイバ17A″,17B″のうちのいずれか一方(又は両方)が例えば承認されていない侵入者又は車両からの外乱によって引き起こされる場合のある衝突音響波(又は圧力)を受けた場合、それぞれの光ファイバの有効屈折率の局所変化が引き起こされ、それにより、外乱の場所に相当する時点でかかる干渉パターンの変化が生じる。信号処理ブロック23A″は、光検出器21A″によって出力された信号をディジタル形態に変換し、かかるディジタルデータを時間分解方式で処理して第1の波長(λA)について干渉パターンの変化を突き止め、かかる干渉パターンの変化に基づいて侵入が発生したかどうかの判定を行う。同様に、信号処理ブロック23B″は、光検出器21B″によって出力された信号をディジタル形態に変換し、かかるディジタルデータを時間分解方式で処理して第2の波長(λB)について干渉パターンの変化を突き止め、かかる干渉パターンの変化に基づいて侵入が発生したかどうかの判定を行う。
【0041】
システムコントローラ25B″は、信号処理ブロック23B″からデータを受け取り、かかるデータにより、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入時刻に対応したタイムスタンプが得られる。システムコントローラ25A″は、信号処理ブロック23A″からデータを受け取り、かかるデータにより、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入時刻に対応したタイムスタンプが得られる。システムコントローラ25A″は、システムコントローラ25B″にこれとの間の通信リンクによりかかるデータを伝送し、かかる通信リンクは、ワイヤード通信リンクであっても良く、ワイヤレス通信リンクであっても良い。
【0042】
侵入が生じたときの通常の動作中、システムコントローラ25B″は、光ファイバ17A″の干渉パターンの処理の結果として得られたかかる侵入に関するデータを信号処理ブロック23A″から受け取ると共に光ファイバ17B″の干渉パターンの処理の結果として得られたデータを信号処理ブロック23B″から受け取る。システムコントローラ25B″は、場合によっては、かかるデータの重複を検証すると共にかかるデータに基づいて1つ又は2つ以上の警報信号を発生することができる。かかる警報信号を出力して、可聴警報(例えば、スピーカ又はベルによりかけられる可聴警報メッセージ又は音色)、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては侵入の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。
【0043】
信号処理ブロック23A″,23B″(及び(又は)システムコントローラ25B″)は、データ処理作業を実行することができ、かかるデータ処理作業では、2本の光ファイバ17A″,17B″からの後方散乱信号を分析して光ファイバ17A″,17B″のうちの一方又は両方に破断が生じたかどうかを自動的に検出し、その破断の存在場所を突き止める。システムコントローラ25B″は、破断が検出された場合に1つ又は2つ以上の警報信号を発生するのが良い。かかる警報信号を出力して可聴警報、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては破断の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)破断を表す任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。かかる警報信号は、それぞれの光ファイバ(17A″又は17B″)から破断箇所とそれぞれの方向性結合器(13A″又は13B″)との間のその長さに沿って戻る後方散乱信号の信号処理作業に由来するであろう。
【0044】
図6は、信号処理ブロック23A″及びシステムコントローラ25A″並びに信号処理ブロック23B″及びシステムコントローラ25B″の例示の実施形態を示している。信号処理ブロック23A″は、光検出器21A″の出力とインタフェースするアナログ‐ディジタル変換器区分51A″を有する。アナログ‐ディジタル変換器区分51A″は、光検出器21A″から検出された電気信号を指定されたサンプリングレートでサンプル採取し、これらサンプルをディジタル語に変換し、これらディジタル語は、検出された後方散乱信号をディジタル形式で表す。論理53A″が、変換器区分51A″によって生じたディジタル語を2本の光ファイバ17A″の互いに異なる区分に対応したタイムビンに時分割多重化方式で記憶する。光ファイバ17Aについて55A1″,55A2″,...55AN″と表示されタイムビンは、光ファイバ17A″の互いに異なる長さ分に対応している。論理ブロック59A1″,59A2″,...59AN″は、対応のタイムビン55A1″,55A2″,...55AN″に記憶されている後方散乱信号データに基づいて動作してそれぞれのタイムビン中の干渉パターンを経時的に分析する。タイムビン中の干渉パターンの変化は、そのタイムビンに対応した場所でモニタされている周囲を横切る幾分かのトラフィックを表している。好ましい実施形態では、論理ブロック59A1″,59A2″,...59AN″は、対応のタイムビン中の干渉パターンと対応のタイムビンに関する定常状態の干渉パターンの差を分析する。かかる差に関する作業は、たたみ込み作業、位相差作業、FFT作業、フィルタリング作業及び(又は)光時間領域後方散乱測定法で通常用いられる他の作業に基づくのがよい。ブロック63″は、論理ブロック59A1″,59A2″,...59AN″の干渉パターン分析を利用して、侵入に関する決定を行い、この決定は、侵入が生じたか否かの決定である。
【0045】
同様に、信号処理ブロック23B″は、光検出器21B″の出力とインタフェースするアナログ‐ディジタル変換器区分51B″を有する。アナログ‐ディジタル変換器区分51B″は、光検出器21B″から検出された電気信号を指定されたサンプリングレートでサンプル採取し、これらサンプルをディジタル語に変換し、これらディジタル語は、検出された後方散乱信号をディジタル形式で表す。論理53B″が、変換器区分51B″によって生じたディジタル語を2本の光ファイバ17B″の互いに異なる区分に対応したタイムビンに時分割多重化方式で記憶する。光ファイバ17Bについて57B1″,57B2″,...57BN″と表示されタイムビンは、光ファイバ17B″の互いに異なる長さ分に対応している。論理ブロック61B1″,61B2″,...61BN″は、対応のタイムビン57B1″,57B2″,...57BN″に記憶されている後方散乱信号データに基づいて動作してそれぞれのタイムビン中の干渉パターンを経時的に分析する。タイムビン中の干渉パターンの変化は、そのタイムビンに対応した場所でモニタされている周囲を横切る幾分かのトラフィックを表している。好ましい実施形態では、論理ブロック61B1″,61B2″,...61BN″は、対応のタイムビン中の干渉パターンと対応のタイムビンに関する定常状態の干渉パターンの差を分析する。かかる差に関する作業は、たたみ込み作業、位相差作業、FFT作業、フィルタリング作業及び(又は)光時間領域後方散乱測定法で通常用いられる他の作業に基づくのがよい。ブロック63″は、論理ブロック61B1″,61B2″,...61BN″の干渉パターン分析を利用して、侵入に関する決定を行い、この決定は、侵入が生じたか否かの決定である。ブロック63″,65″の論理は、侵入者のタイプを識別し、即ち、人か車両か動物かを区別するシグナチュアアナリシスを利用するのが良い。
【0046】
ブロック63″が、侵入を検出すると、データがシステムコントローラ25A″に提供され、かかるデータにより、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入時刻に対応したタイムスタンプが得られる。システムコントローラ25A″は、システムコントローラ25B″に、通信インタフェース66A″,66B″によってサポートされたこれとの通信リンクによりかかるデータを伝送する。同様に、ブロック65″が、侵入を検出すると、データがシステムコントローラ25B″に提供され、かかるデータにより、侵入が生じたという指標、かかる侵入の発生場所及び好ましくは侵入時刻に対応したタイムスタンプが得られる。システムコントローラ25B″は、かかるデータを受け取り、このシステムコントローラは、かかるデータの重複を場合によっては検証すると共に(或いは)かかるデータに基づいて1つ又は2つ以上の警報信号を発生することができる論理ブロック73″を有している。かかる警報信号を出力して、可聴警報(例えば、スピーカ又はベルによりかけられる可聴警報メッセージ又は音色)、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては侵入の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。
【0047】
信号処理ブロック23A″,23B″(ブロック59″,61″,63″,65″の一部として)及び(又は)システムコントローラ25B″(論理ブロック73″の一部として)は、データ処理作業を実行することができ、かかるデータ処理作業では、2本の光ファイバ17A″,17B″からの後方散乱信号を分析して光ファイバ17A″,17B″のうちの一方又は両方に破断が生じたかどうかを自動的に検出し、その破断の存在場所を突き止める。システムコントローラ25B″(論理ブロック73″の一部として)は、破断が検出された場合に1つ又は2つ以上の警報信号を発生するのが良い。かかる警報信号を出力して可聴警報、可視警報(例えば、可視警報メッセージ及び場合によっては破断の発生場所の視覚的指標を提供する表示端末装置のアップデート)及び(又は)破断を表す任意他の適当な警報イベントをトリガするのが良い。かかる警報信号は、それぞれの光ファイバ(17A″又は17B″)から破断箇所とそれぞれの方向性結合器(13A″又は13B″)との間のその長さに沿って戻る後方散乱信号の信号処理作業に由来するであろう。
【0048】
システムコントローラ25A″,25B″は、それぞれのタイミング信号発生器ブロック71A″71B″を更に有し、かかるタイミング信号発生器ブロック71A″,71B″は、それぞれ、パルス化モード光源11A″,11B″を駆動するのに適したタイミング信号を発生する。
【0049】
有利には、本明細書において説明した光ファイバ利用侵入検知システムは、システムの検出用光ファイバに破断が生じた場合でも動作を続行することができる。かかるシステムは又、かかる破断の位置を報告する。さらに、本明細書において説明した光ファイバ利用侵入検知システムは、多種多様な用途、例えば国境、軍事施設、化学プラント、空港、鉄道駅、教化施設、電力ケーブル、トンネル、パイプライン、建物又は他の情報処理能力のある構造物のモニタに利用できる。
【0050】
本明細書において、OTDRサブシステムを採用したフォールトトレラント型侵入検知システム及びその作動方法の幾つかの実施形態を説明すると共に図示した。本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されることはない。というのは、本発明は、当該技術分野において可能なほど範囲が広く、明細書は、同様に読まれるべきだからである。かくして、特定の信号処理機能及び侵入検知に関する方法論を開示したが、他の信号処理機能及び侵入検知に関する方法論も又想到できることは理解されよう。加うるに、特定のシステムアーキテクチャを開示したが、他のシステムアーキテクチャを使用できることは理解されよう。例えば、本明細書において説明した信号処理ステップ及び(又は)制御及び警報通報ステップを周知である単一のコンピュータ処理プラットホームで又は分散型コンピュータ処理プラットホームで実施することができる。したがって、当業者であれば理解されるように、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、提供された本発明の更に別の改造例を想到できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構内をモニタする侵入検知システムであって、
前記構内の周りに延びる少なくとも1本の光ケーブルを有し、前記少なくとも1本の光ケーブルは、第1の端部及びこれと反対側の第2の端部を備えた少なくとも1本の光ファイバを有し、
前記少なくとも1本の光ファイバの前記第1の端部及び前記第2の端部に動作可能に結合された光時間領域後方散乱測定手段を有し、前記光時間領域後方散乱測定手段は、前記構内の侵入を検知するために前記少なくとも1本の光ファイバの前記第1の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する第1の信号処理回路と、前記構内の侵入を検知するために前記少なくとも1本の光ファイバの前記第2の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する第2の信号処理回路とを有する、侵入検知システム。
【請求項2】
前記第1の信号処理回路及び前記第2の信号処理回路に動作可能に結合されていて、前記第1の信号処理回路及び前記第2の信号処理回路によって行われた侵入決定の重複を検証する制御手段を更に有する、請求項1記載の侵入検知システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の信号処理手段に動作可能に結合された第1の部分と、前記第2の信号処理手段に動作可能に結合されていて、前記第1の部分から遠くに配置された第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間でデータを伝送する通信手段とを有する、請求項2記載の侵入検知システム。
【請求項4】
前記少なくとも1本の光ファイバの破断を検出する手段を更に有する、請求項1記載の侵入検知システム。
【請求項5】
前記少なくとも1本の光ファイバの前記破断の存在場所を突き止める手段を更に有する、請求項4記載の侵入検知システム。
【請求項6】
前記少なくとも1本の光ファイバの前記破断の前記存在場所をユーザに出力する手段を更に有する、請求項5記載の侵入検知システム。
【請求項7】
前記破断の検出に応答して動作し、前記少なくとも1本の光ファイバの前記破断を指示する警報を発する手段を更に有する、請求項4記載の侵入検知システム。
【請求項8】
前記第1の信号処理回路は、後方散乱信号データを前記少なくとも1本の光ファイバの互いに異なる長さ分に対応した第1の組をなすタイムビンに記憶し、第1の侵入決定を行うために前記第1の組のそれぞれのタイムビンに記憶された前記後方散乱信号データによって表された干渉パターンを経時的に分析し、
前記第2の信号処理回路は、後方散乱信号データを前記少なくとも1本の光ファイバの互いに異なる長さ分に対応した第2の組をなすタイムビンに記憶し、第2の侵入決定を行うために前記第2の組のそれぞれのタイムビンに記憶された前記後方散乱信号データによって表された干渉パターンを経時的に分析する、請求項1記載の侵入検知システム。
【請求項9】
各々が第1の端部及びこれと反対側の端部を備えた1対の光ファイバを収容した光ケーブルを有し、前記光ファイバ対に属する一方の光ファイバの前記第1の端部は、前記光時間領域後方散乱測定手段に動作可能に結合され、前記光ファイバ対に属する他方の光ファイバの前記第2の端部は、前記光時間領域後方散乱測定手段に動作可能に結合されている、請求項1記載の侵入検知システム。
【請求項10】
前記光時間領域後方散乱測定手段は、
光パルスを発生させるレーザ源と、
光検出器と、
前記レーザ源と前記光ファイバ対との間に動作可能に結合された光スイッチ付き方向性結合器とを有し、前記光スイッチ付き方向性結合器は、前記光パルスを前記光ファイバ対により時分割多重化方式で方向づけると共に前記光ファイバ対に沿って伝搬して戻った散乱信号を前記光検出器に時分割多重化方式で方向づけ、
前記第1の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記一方の光ファイバの前記第1の端部を介して受け取った前記後方散乱信号を分析し、
前記第2の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記他方の光ファイバの前記第2の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する、請求項9記載の侵入検知システム。
【請求項11】
前記光時間領域後方散乱測定手段は、
光パルスを発生させる第1のレーザ源を有し、
第1の光検出器を有し、
前記第1のレーザ源と前記光ファイバ対の前記一方の光ファイバの前記第1の端部との間に動作可能に結合された第1の方向性結合器を有し、前記第1の方向性結合器は、前記第1のレーザ源により発生した前記光パルスを前記一方の光ファイバにより方向づけると共に前記一方の光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を前記第1の光検出器に方向づけ、前記第1の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記一方の光ファイバを介して受け取った前記後方散乱信号を分析し、
光パルスを発生させる第2のレーザ源を有し、
第2の光検出器を有し、
前記第2のレーザ源と前記光ファイバ対の前記他方の光ファイバとの間に動作可能に結合された第2の方向性結合器を有し、前記第2の方向性結合器は、前記第2のレーザ源により発生した前記光パルスを前記他方の光ファイバにより方向づけると共に前記他方の光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を前記第2の光検出器に方向づけ、前記第2の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記他方の光ファイバを介して受け取った前記後方散乱信号を分析する、請求項9記載の侵入検知システム。
【請求項12】
第1の端部及びこれと反対側の第2の端部を備えた光ファイバを収容する光ケーブルを有する、請求項1記載の侵入検知システム。
【請求項13】
前記光時間領域後方散乱測定手段は、
第1の波長の光パルスを発生させる第1のレーザ源を有し、
第1の光検出器を有し、
前記第1のレーザ源と前記光ファイバの前記第1の端部との間に動作可能に結合された第1の方向性結合器を有し、前記第1の方向性結合器は、前記第1のレーザ源により発生した前記光パルスを前記光ファイバにより方向づけると共に前記光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を前記第1の光検出器に方向づけ、前記第1の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記光ファイバの第1の端部を介して受け取った前記第1の波長の前記後方散乱信号を分析し、
第1の波長とは異なる第2の波長の光パルスを発生させる第2のレーザ源を有し、
第2の光検出器を有し、
前記第2のレーザ源と前記光ファイバの前記第2の端部との間に動作可能に結合された第2の方向性結合器を有し、前記第2の方向性結合器は、前記第2のレーザ源により発生した前記光パルスを前記光ファイバにより方向づけると共に前記光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を前記第2の光検出器に方向づけ、前記第2の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記光ファイバの第2の端部を介して受け取った前記第2の波長の前記後方散乱信号を分析する、請求項12記載の侵入検知システム。
【請求項14】
構内の侵入を検知する方法であって、
前記構内の周りに延びる少なくとも1本の光ケーブルであって、第1の端部及びこれと反対側の第2の端部を備えた少なくとも1本の光ファイバを有する少なくとも1本の光ケーブルを用意するステップと、
光時間領域後方散乱測定手段を前記少なくとも1本の光ファイバの前記第1の端部及び前記第2の端部に結合するステップと、
前記光時間領域後方散乱測定手段を用いて前記構内の侵入を検知するために前記少なくとも1本の光ファイバの前記第1の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析すると共に前記少なくとも1本の光ファイバの前記第2の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析するステップとを有する、方法。
【請求項15】
前記少なくとも1本の光ファイバの前記第1の端部及び前記第2の端部を介して受け取った別々の後方散乱信号の分析に基づいて侵入決定の重複を検証するステップを更に有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1本の光ファイバの前記第1の端部及び前記第2の端部を介して受け取った別々の後方散乱信号の分析に基づいて少なくとも1本の光ファイバの破断を検出するステップを更に有する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1本の光ファイバの前記破断の存在場所を突き止めるステップを更に有する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1本の光ファイバの前記破断の前記存在場所をユーザに出力するステップを更に有する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記破断の検出に応答して、前記少なくとも1本の光ファイバの前記破断を指示する警報を発するステップを更に有する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記光時間領域後方散乱測定手段は、後方散乱信号データを前記少なくとも1本の光ファイバの互いに異なる長さ分に対応した一組のタイムビンに記憶し、侵入決定を行うために前記組のそれぞれのタイムビンに記憶された前記後方散乱信号データによって表された干渉パターンを経時的に分析する、請求項14記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1本の光ケーブルは、各々が第1の端部及びこれと反対側の第2の端部を備えた1対の光ファイバを収容した光ケーブルを含み、前記光ファイバ対に属する一方の光ファイバの前記第1の端部は、前記光時間領域後方散乱測定手段に動作可能に結合され、前記光ファイバ対に属する他方の光ファイバの前記第2の端部は、前記光時間領域後方散乱測定手段に動作可能に結合されている、請求項14記載の方法。
【請求項22】
前記光時間領域後方散乱測定手段は、
光パルスを発生させるレーザ源と、
光検出器と、
前記レーザ源と前記光ファイバ対との間に動作可能に結合された光スイッチ付き方向性結合器とを有し、前記光スイッチ付き方向性結合器は、前記光パルスを前記光ファイバ対により時分割多重化方式で方向づけると共に前記光ファイバ対に沿って伝搬して戻った散乱信号を前記光検出器に時分割多重化方式で方向づけ、
前記第1の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記一方の光ファイバの前記第1の端部を介して受け取った前記後方散乱信号を分析し、前記第2の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記他方の光ファイバの前記第2の端部を介して受け取った後方散乱信号を分析する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記光時間領域後方散乱測定手段は、
光パルスを発生させる第1のレーザ源を有し、
第1の光検出器を有し、
前記第1のレーザ源と前記光ファイバ対の前記一方の光ファイバの前記第1の端部との間に動作可能に結合された第1の方向性結合器を有し、前記第1の方向性結合器は、前記第1のレーザ源により発生した前記光パルスを前記一方の光ファイバにより方向づけると共に前記一方の光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を前記第1の光検出器に方向づけ、前記第1の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記一方の光ファイバを介して受け取った前記後方散乱信号を分析し、
光パルスを発生させる第2のレーザ源を有し、
第2の光検出器を有し、
前記第2のレーザ源と前記光ファイバ対の前記他方の光ファイバとの間に動作可能に結合された第2の方向性結合器を有し、前記第2の方向性結合器は、前記第2のレーザ源により発生した前記光パルスを前記他方の光ファイバにより方向づけると共に前記他方の光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を前記第2の光検出器に方向づけ、前記第2の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記他方の光ファイバを介して受け取った前記後方散乱信号を分析する、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1本の光ケーブルは、第1の端部及びこれと反対側の第2の端部を備えた光ファイバを収容した光ケーブルを含む、請求項14記載の方法。
【請求項25】
前記光時間領域後方散乱測定手段は、
第1の波長の光パルスを発生させる第1のレーザ源を有し、
第1の光検出器を有し、
前記第1のレーザ源と前記光ファイバの前記第1の端部との間に動作可能に結合された第1の方向性結合器を有し、前記第1の方向性結合器は、前記第1のレーザ源により発生した前記光パルスを前記光ファイバにより方向づけると共に前記光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を前記第1の光検出器に方向づけ、前記第1の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記光ファイバの第1の端部を介して受け取った前記第1の波長の前記後方散乱信号を分析し、
第1の波長とは異なる第2の波長の光パルスを発生させる第2のレーザ源を有し、
第2の光検出器を有し、
前記第2のレーザ源と前記光ファイバの前記第2の端部との間に動作可能に結合された第2の方向性結合器を有し、前記第2の方向性結合器は、前記第2のレーザ源により発生した前記光パルスを前記光ファイバにより方向づけると共に前記光ファイバに沿って伝搬して戻った散乱信号を前記第2の光検出器に方向づけ、前記第2の信号処理回路は、前記構内の侵入を検知するために前記光ファイバの第2の端部を介して受け取った前記第2の波長の前記後方散乱信号を分析する、請求項24記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−515094(P2010−515094A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543513(P2009−543513)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004673
【国際公開番号】WO2008/081157
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited
【Fターム(参考)】