説明

フック一体式履物

【課題】 履物の不使用時、場所にとらわれず履物自体が邪魔にならない保管・収納・常設を容易する。
【解決手段】 履物の安全性と機能性を維持し、履物のつま先部とかかと部の高低差を利用して、履物の裏側にフック機能を形成する。その履物のフック機能を使い壁や壁面に設置した紐やバーや突起物に履物を引っ掛けて、あらゆる壁面や中空間に履物を引っ掛けて保管・収納・常設を可能にする。なお、履物の男性用、女性用、男女兼用、大人用、子供用を問わずこのフック機能は形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は履物に関し、詳しくは、日常生活時に履かれている履物の不使用時に整理・収納・常設できる履物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日常に履かれている履物の不使用時の整理・収納は、下駄箱に入れるか箱に入れて積み上げるなどの手段が一般的である、しかし、これらの方法は下駄箱がない場所や箱を置くスペースがない場合では、収納ができないなどの問題があった。少なくともその場所がベランダやテラスや勝手口などのように、下駄箱や箱に入れて保管するスペースがない場所などでは、履物をその場にぬいだままにして置くことが多い。この場合、履物が家の外に放置されることになり雨に濡れて使用できないことや、風で運ばれたゴミやホコリで汚れしまいすぐには使用できないなどの問題があった。そこで提案されたのが、壁やドアなどに履物を収納するためのシューズラックやシューズケースを設置し、その中に履物を収納する方法である。
【特許文献1】特許公開2002−282062
【特許文献2】特許公開2005−344488
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記提案のシューズラックやシューズケースは、履物をラックやケースに入れて収納するもので、全体形状が大きくなり、ラックやケース自体が邪魔になるなどの問題や、前記提案のシューズラックやシューズケースが収納できる履物は、一組と限られており、多数の履物を収納するためには、履物と同じ数だけのシューズラックやシューズケースの設置が必要になり、設置スペースの確保が困難になるなどの問題もあった。さらには、前記提案のシューズラックやシューズケースは、壁やドアの壁面に設置して使用するもので、壁やドアなどの壁面がない場合は、設置して使用することができない問題もあった。そこで本発明は、邪魔になるシューズラックやシューズケースを設置することなく、壁やドアや中空間などに簡単に複数の履物を引っ掛けて収納・常設できる履物を、提案することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、履物本来の安全性や機能を損なわずに履物自体にフック機能を有する形状を特徴とする。
【0005】
また、本発明は、前記履物において、履物に有するフック機能を使い履物を引っ掛けて収納・常設することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記履物において、紐やバーや突起物など、履物に形成したフックが引っ掛かる物であれば、専用のラックやケースを使わずに、履物を引っ掛けて収納・常設できることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記履物において、履物の地面接地面の爪先部とかかと部の高低差を利用しフック機能の形状を形成することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記履物において、履物の底の部分に一定の厚みがあればフック機能の形状を形成できること特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本発明によれば、履物本来の役割以外に、新たに履物自体に収納や常設のための役割をはたすフック機能を備えた履物の発明であるが、通常人目に触れることの少ない履物の裏側を利用することにより、履物本来の役割である安全性・機能性を損なうことなく、シンプルでデザイン性にも優れた履物の発明である。さらには、専用のシューズラックやシューズケースを使わずに、履物だけを引っ掛けて収納・常設できるので専用のシューズラックやシューズケースの設置の必要がなくなるほか、シューズラックやシューズケース本体が邪魔になるなどの問題もなくなる。
【0010】
また、複数の履物を収納・常設する場合では、シューズラックやシューズケースでは、一組の履物しか収納できず、複数の履物を収納する場合には、履物の数のシューズラックやシューズケースの設置が必要であったが、本発明によれば、引っ掛けようとする履物が複数の場合、引っ掛けようとする履物の幅分の長さに、紐やバーや突起物などを設置し、その紐やバーや突起物に、履物のフックを引っ掛けて、複数の履物を横方向に収納・常設することができる。さらに、履物の数の紐やバーや突起物などを縦方向に、はしご状に設置して、縦長に複数の履物を収納・常設することも可能である。この縦長に履物を収納・常設する場合では、壁やドアなどの壁面に吊るして収納・常設するだけでなく、天井あるいは壁やドアなどから張り出したアームに吊るすなどの空間に収納・常設が可能なり、今までの履物になかった収納・常設の場所や方法が幅広く選択できる履物である。
【0011】
さらには、本発明の履物を洗って野外に干す場合などには、既存のハンガーや紐などを使い簡単に、物干竿や軒下などに吊るして干すことができる。この場合において、すでに市販されている履物を吊るすためのハンガーは、足を入れる部分にハンガーのフックを差し入れて吊るす形になっているため、差し入れたハンガーのフックが履物内部への通気や直射日光を阻害してしまう構造であった、だが本発明よれば履物の裏側のフックを使って干すことができるので、履物の足を入れる部分を阻害する物がなくなり、効率的な通気や直射日光の取り入れが可能になり、乾燥時間の短縮や日光消毒を効果的に実施できる履物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明に関わるフック一体式履物であるが、主に女性用として作られているヒール部分の高い履物の実施形態を示し、図(a)は、平面図、図(b)は、フック一体式履物の片方の右側面図、図(c)は、背面図である。図1の右側面図(b)において、裏側部4の爪先部2から、かかと部3かけての高低差を利用しフック部5を形成する。形成されたフック部5を紐やバーや突起物に引っ掛けて、履物1の爪先部2が上向きに収納・常設される。
【0013】
図2は、本発明に関わるフック一体式履物であるが、主に男性用にみられるヒール部分の低い履物の実施形態を示し、図(a)は、平面図、図(b)は、フック一体式履物の片方の右側面図、図(c)は、背面図である。図2の右側面図(b)において、裏側部4に形成されたヒール部6の爪先部2の方向側の側面にフック部5を形成する。形成されたフック部5を紐やバーや突起物に引っ掛けて、履物1のかかと部3が上向きに収納・常設される。
【0014】
図3は、本発明に関わるフック一体式履物であるが、二種類の使用例の形態を示し、図(a)は、斜視図、図(b)は、側面図である。図3の斜視図(a)は、二種類のフック一体式履物1を、設置したバーHにフック部5を引っ掛けて収納・常設した図である。バーH以外にも水平に張った紐の両端を釘などで固定し、その紐部に複数のフック一体式履物1を収納・常設することも可能である。さらに突起物としては広く市販されているマグネット式・粘着式・吸盤式・釘やビス式のフック類などや、単なる釘やビスなど(以下、単に市販されているフック類と称する。)を使用し外壁面・内壁面・鉄板面・ガラス面・モルタル面などにもフック一体式履物1のフック部5を、引っ掛けて簡単で手軽に収納・常設することも可能である。図(b)は、フック一体式履物1を、物干し竿と紐を使い引っ掛けた図である。一定の長さに切った紐Jの両端を結びリング状にして物干し竿Iに跨ぐように掛けて、リング状の紐の両端にフック一体式履物1のフック部5を引っ掛けて、簡単、手軽に室内や野外に収納・常設することや干すことを可能にする。また、物干し竿以外にも紐が引っ掛けられる物や市販されているフック類を使いあらゆる場所に収納・常設や干すことも可能である。
【0015】
図4は、本発明に関わるフック一体式履物であるが、使用例の形態を示し、図(a)は、平面図、図(b)は、右側面図、図(c)は、平面図である。図4の平面図(a)は、既存のハンガーに一対のフック一体式履物1を引っ掛けた平面図であるが、洗ったときや雨に濡れたフック一体式履物1を、既存のハンガーKの水平部Lに、一対のフック一体式履物1のフック部5を引っ掛けて、そのハンガーKを物干し竿や軒下などに吊るし天日乾燥を可能にする。図4の右側面図(b)は、既存のハンガーKにフック一体式履物1を引っ掛けた場合の右側面図であるが、このハンガーKを、物干し竿に吊るした場合フック一体式履物1の重心がフック部5となる、その結果、フック一体式履物1は、図(b)のように、足を入れる部分7が下方に傾いた上体になり、フック一体式履物1の内部に含まれている水分は、水滴Mのように外部へ流れ出し乾燥時間の短縮が可能になる。図4の平面図(c)は、フック一体式履物1の裏側を示したものであるが、11〜14の4種類のフック部5の平面視フック形状を示したものであり、平面視11のフック部5は、直線状にフック形状を形成したものである。平面視12のフック部5は、フック形状をかかと部3方向に山形の曲線にし、両端はフックとなる溝がないことを示している。平面視13のフック部5は、フック形状をかかと部3方向に山形の曲線にし,フックとなる溝も山形の曲線に平行して形成したものである。平面視14のフック部5は、フック形状の中間部を爪先部2方向に谷状にし、両端をかかと部3方向に山形の曲線状にして、フックとなる溝もそれに平行し形成したものである。平面視13のフック部5を実施したフック一体式履物1においては、柔軟性に優れている紐などに引っ掛けると、フック部5の曲線に紐が密着し、フック曲面全体でフック一体式履物1の重量を紐が平均して受け、安定した保持力を発揮する。平面視14のフック部5を実施したフック一体式履物1においては、市販されているフック類を使いフック一体式履物1を引っ掛けた場合、フック部5の爪先部2方向、谷状に形成したくぼみ部分で、市販されているフック類のフック部分を受け止め、安定した保持力を発揮する。
【0016】
図4、平面図(c)の平面視11〜14の4種類のフック部5を示した実施形態において、図2、右側面図(b)、主に男性用にみられるヒール部分の低いフック一体式履物1の、ヒール部6に形成されるフック部5においても、同様の形状が実施可能であり同様の効果も発揮する。
【0017】
図4、平面図(c)の平面視11〜14の4種類の平面フック部5を示した実施形態において、フック部5の形状は、平面図(c)、平面視11〜14の4種類に限定せず他の形状も考えられ、また、実施も可能である。
【0018】
図5は、本発明に関わるフック一体式履物の実施形態を示し、(a)(b)は、右側面図である。図5の右側面図(a)は、フック一体式履物1に形成されたフック部5の溝状の形状を示し、フックとなる溝が直線的に形成されることを示している。図5の右側面図(b)は、フック一体式履物1に形成されたフック部5の溝状の形状を示し、フックとなる溝が曲線的に形成されることを示している。また、図5、右側面図(a)(b)のフック部5の形状を、図2、右側面図(b)、主に男性用にみられるヒール部分の低いフック一体式履物1の、ヒール部6に形成されるフック部5においても、同様の形状が実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、日常履かれている履物に実施する以外に、工場作業員や工事現場作業員に履かれている安全靴、病院内で履かれているナースシューズ、あるいは、木・竹・プラスチック・ゴムなどで作られている下駄やサンダルなど、あらゆる履物に実施可能であり、実施時の費用は極めて少なく産業上の利用可能性は大である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に関わるフック一体式履物の実施形態を示し、図(a)は、平面図、 図(b)は、右側面図、図(c)は、背面図である。
【図2】本発明に関わるフック一体式履物の実施形態を示し、図(a)は、平面図、 図(b)は、右側面図、図(c)は、背面図である。
【図3】本発明に関わるフック一体式履物を収納・常設した状態を示し、図(a)は 、斜視図、図(b)は、側面図である。
【図4】本発明に関わるフック一体式履物を既存のハンガーに引っ掛けた状態を示し 、図(a)は、平面図、図(b)は、右側面図、図(c)は、本発明に関わるフック 一体式履物の実施形態の平面図である。
【図5】本発明に関わるフック一体式履物の実施形態を示し、図(a)(b)は、右 側面である。
【符号の説明】
【0021】
1 フック一体式履物
2 爪先部
3 かかと部
4 裏側部
5 フック部
6 ヒール部
7 足入れ部
11〜14 平面視
H バー
I 物干し竿
J 紐
K、L ハンガー
M 水滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の裏側面の所定箇所に、所定形状のフックを形成したことを特徴とする履物。
【請求項2】
請求項1に記載の履物において、
前記フックが、履物を掛けた場合に、爪先部が上になるようにフック機能を形成することを特徴とする履物。
【請求項3】
請求項1に記載の履物において、
前記フックが、履物を掛けた場合に、かかと部が上になるようにフック機能を形成することを特徴とする履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−124847(P2010−124847A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299194(P2008−299194)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(307010959)
【Fターム(参考)】