説明

フットマッサージャー

【課題】 大腿の希望する位置に正確にサブユニットを位置合わせでき、大腿の膝に近い部分から腰に近い部分までの広い範囲を確実にマッサージできるフットマッサージャーを提供する。
【解決手段】 ふくらはぎ及び足先を挿入可能な左右一対の凹部22を有する本体ケーシング21と、凹部22に配備された本体マッサージ手段32、33と、を有する本体ユニット20と、本体ユニット上に支持され、左右一対の凹部42を有するサブケーシング41と、凹部42に配備されたサブマッサージ手段35と、を有する有するサブユニット40とを具え、サブケーシング41を本体ケーシング21に対して前後にスライド可能に支持する。サブケーシング41を前後にスライドして大腿の希望する患部に位置合わせする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の脚部、具体的には、被施療者の膝から下と、膝関節周囲や大腿をマッサージすることのできるフットマッサージャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の脚部をマッサージするフットマッサージャーが知られている。この種フットマッサージャーとして、被施療者のふくらはぎと足先(くるぶしより下)を挿入する左右一対の凹部を有し、該凹部にエアバッグ等のマッサージ手段を配備したものが提案されており、マッサージ手段を作動させることで、被施療者のふくらはぎと足先にマッサージを施す。
【0003】
また、被施療者のふくらはぎ及び足先に加えて、被施療者の大腿をマッサージできるようにしたフットマッサージャーも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のフットマッサージャーは、ふくらはぎ及び足先を挿入する凹部を具えた本体ユニットと、該本体ユニットの上端に前後方向に平行な面内で回動可能に配備された凹部を具えたサブユニットを有しており、サブユニットを前方に回動させたときには、膝関節の周囲のマッサージを施すことができ、後方にサブユニットを回動させたときには、サブユニットの凹部で大腿のマッサージを施すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国実用新案公告第201342077号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、本体ユニットに対してサブユニットが前後に回動するので、回動に伴ってその高さが変化し、椅子に座った状態でほぼ水平になる被施療者の大腿の希望する位置に正確にサブユニットを位置合わせすることが難しかった。
また、例え、大腿にサブユニットを位置合わせできたとしても、サブユニットの揺動可能範囲は軸支部分を中心とした円弧範囲に限られるため、大腿の膝に近い部分から腰に近い部分までの広い範囲を自由に位置合わせしてマッサージすることはできなかった。
【0007】
本発明の目的は、大腿の希望する位置に正確にサブユニットを位置合わせすることができ、大腿の膝に近い部分から腰に近い部分までの広い範囲を確実にマッサージできるフットマッサージャーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明のフットマッサージャーは、
被施療者のふくらはぎ及び足先を挿入可能な左右一対の凹部の形成された本体ケーシングと、本体ケーシングの凹部に配備され、被施療者のふくらはぎ及び/又は足先にマッサージを施す本体マッサージ手段と、を有する本体ユニットと、
本体ユニット上に支持されるサブケーシングと、該サブケーシングに形成された左右一対の凹部と、該凹部に配備され、被施療者の患部をマッサージするサブマッサージ手段と、を有する有するサブユニットと、を具えたフットマッサージャーであって、
サブケーシングは本体ケーシングに対して前後にスライド可能に支持されたものである。
【0009】
そして、サブケーシングを本体ケーシングに対して前方へ位置させた場合には、サブケーシングの左右一対の凹部は、被施療者の大腿の前方を含む膝関節の周囲及び/又はふくらはぎの上位を囲み、後方へ位置させた場合は、被施療者の大腿の中央部から腰に近い部分を囲んで、夫々マッサージするようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によると、本体ユニットでふくらはぎや足先をマッサージできると共に、サブケーシングを本体ケーシングに対して後方へスライドさせることにより、サブユニットを大腿のマッサージを希望する患部に正確に位置合わせすることができ、大腿の膝に近い部分から腰に近い部分までの広い範囲を自由に位置合わせしてマッサージすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のフットマッサージャーを斜め前方から見た斜視図である。
【図2】同フットマッサージャーの側面図で、サブユニットが前方へ位置している状態を示す。
【図3】同フットマッサージャーの側面図で、サブユニットが後方へ位置している状態を示す。
【図4】図1のA−A線に基づいた断面図において、サブユニットを前方へ位置させ、マッサージしている状態を示す説明図である。
【図5】図1のA−A線に基づいた断面図において、サブユニットを後方へ位置させ、マッサージしている状態を示す説明図である。
【図6】スライド機構部の側面図である。
【図7】スライド機構部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図3は、本発明のフットマッサージャー10を示している。
【0013】
フットマッサージジャー10は、床面に載置されるベース11に被施療者の足先とふくらはぎをマッサージする本体ユニット20を搭載し、該本体ユニット20の上端にサブユニット40を本体ユニット20に対して前後方向にスライド可能に支持したものである。
【0014】
本発明において、脚部Lとは、被施療者の下肢全体を意味し、大腿とは脚部の膝よりも上の部分、膝関節とは膝の屈曲部分及びその周辺、ふくらはぎとは膝と足首の間であって、脛の裏側部分、足先とはくるぶしよりも下の部分を意味する。
【0015】
ベース11は、内部中空の樹脂製のベースケーシング12から形成され、上部にて本体ユニット20を支持し、下面にて安定してフットマッサージャー10を床面に載置する。
ベースケーシング12の内部には、図示しないが、エアポンプ、制御手段、商用電源へ接続するための電源ユニット等が収容される。
【0016】
本体ユニット20は、ベース11上に載置される。本体ユニット20は、内部中空の樹脂製の本体ケーシング21を有している。本体ケーシング21は、ベース11に対して、固定して配備してもよいし、後部上端が後方に向けて倒れる方向にリクライニング可能に配備することもできる。リクライニング方式の場合、リクライニング機構には、本体ケーシング21を任意の位置で静止させるためにロック機構(図示せず)が具えられる。
【0017】
本体ケーシング21は、図1及び図4に示すように、下側が前方に向けて突出し、後側が上向きに突出している。本体ケーシング21には、被施療者の足先及びふくらはぎを挿入する左右一対の凹部22、22が形成されている。各凹部22は、図1に示すように、本体ケーシング21がベース11に対してほぼ垂直に立設した状態で、底面23が床面とほぼ平行となり、底面23の後端から上方に向けてほぼ垂直に後面24を有し、底面23と後面24の側部を結ぶように内側面25と外側面26を有しており、前方及び上方が開口した形状を例示できる。
【0018】
本体ユニット20に被施療者が足を挿入したときに、各凹部22の底面23には、被施療者の足裏が当接し、後面24にはふくらはぎが当接し、内側面25及び外側面26には、ふくらはぎの内側及び外側が夫々当接する。
【0019】
各凹部22の底面23には、本体マッサージ手段として、被施療者の足裏をマッサージする足裏用マッサージ手段30(図4参照)を具える。足裏用マッサージ手段30は、底面23から出没可能な指圧子31を有している。指圧子31は、本体ケーシング21の内部に配備されたモータ(図示せず)により、ネジ推力等を利用して前後に往復移動可能なエアバッグ(図示せず)の上面に形成することができる。エアバッグを膨張、収縮させながら、モータにより前後に指圧子31を往復させることで、被施療者の足裏に押圧又は指圧マッサージが施される。
【0020】
各凹部22の後面24には、本体マッサージ手段として、膨張・収縮し、被施療者のふくらはぎをマッサージする、ふくらはぎ用後面エアバッグ(図示せず)が配備される。各凹部22の内側面25及び外側面26には、本体マッサージ手段として、被施療者のふくらはぎの側部をマッサージする、ふくらはぎ用の内側エアバッグ32と外側エアバッグ33が夫々配備される。
【0021】
なお、本体ユニット20の凹部22には、エアバッグ32、33、指圧子31を覆う布カバーが設けられている。
【0022】
本体ケーシング21上には、サブユニット40が本体ケーシング21に対してスライド機構60により前後方向にスライド可能に支持されている。
【0023】
スライド機構60は、本体ケーシング21の左右両側壁上面に固定された前後に延びるスライドレール61と、サブユニット40の左右両側壁下面に固定され、スライドレール61に前後にスライド自在に嵌るスライドフレーム62より構成される。スライドレール61は、図7のように内側に窪んだ断面コ字型で、その下端には上向き折曲片63を有しており、スライドフレーム62は外側に窪んだ断面コ字型で、その下端には下向き折曲片64が形成されており、下向き折曲片64が上向き折曲片63の内側で係合することにより、スライドフレーム62がスライドレール61内を外れることなく前後にスライドする。スライドレール61の前後両端には、スライドフレーム62のスライド範囲を規制するストッパー65が形成されている。
【0024】
サブユニット40は、内部中空の樹脂製のサブケーシング41を有しており、サブケーシング41の左右両側壁下面に、前記スライドフレーム62が固定されており、スライドフレーム62がスライドレール61内をスライドすることにより、サブユニット40は、本体ユニット20に対して前後方向にスライドする。
【0025】
またサブケーシング41には、左右一対の凹部42、42が形成されている。両凹部42、42は中央壁44で仕切られており、この中央壁44に、被施療者がフットマッサージジャー10を操作する操作部65が設けられている。
【0026】
各凹部42の左右両側面には、サブマッサージ手段として、膨張・収縮するサブ用側面エアバッグ35、35が配備され、この側面エアバッグ35、35が膨張することにより、凹部42に挿入されるふくらはぎの上部側面や膝関節の周囲、あるいは大腿を側面から押圧してマッサージする。
【0027】
各凹部42には、前記側面エアバッグ35の他に、凹部42の左右両側面を連結する凹部42の底面46にも、エアバッグ等のマッサージ手段を配備してもよい。
【0028】
サブユニット40の凹部42も、側面エアバッグ35を覆う布カバーが設けられている。
【0029】
前記各エアバッグ32、33、35は、ベースケーシング12内のエアポンプ(図示せず)から空気を供給されて膨張し、外部へ排出されることにより収縮する。サブケーシング41のエアバッグ35へは、例えば、スライドフレーム62内をパイプ(図示せず)を通し、このパイプを介して空気を供給すればよい。この場合、断面コ字型のスライドレール61の底面には前後方向の長孔を形成し、この長孔を介してパイプを本体ケーシング21側へ導くようにする。
【0030】
上記構成のフットマッサージジャー10は、被施療者が椅子等に腰掛けた状態で、脚部Lを挿入することにより使用する。
【0031】
具体的には、図1、図4に示すように、本体ユニット20に対してサブユニット40が前方に位置した状態で使用する場合、本体ユニット20の各凹部22に左右の脚部Lの足先及びふくらはぎを挿入し、サブユニット40の各凹部42に大腿の前方を含んだ膝関節の周囲及び/又はふくらはぎの上部を挿入する。
【0032】
この状態で、操作部65を操作して、被施療者が所望する足裏用マッサージ手段30や各エアバッグ32、33、35等を作動させ、又は予めプログラムされたコースに従って足裏用マッサージ手段30や各エアバッグ32、33、35等を作動させることにより、足裏を含む足先やふくらはぎ、膝関節の周囲(大腿の前方を含む)及び/又はふくらはぎの上部にマッサージを施すことができる。
【0033】
具体的には、ふくらはぎ用の内側エアバッグ32と外側エアバッグ33を膨張させつつ、足裏用マッサージ手段30を作動させることにより、被施療者の足裏に指圧の如き押圧マッサージが施される。
【0034】
また、ふくらはぎ用の内側エアバッグ32と外側エアバッグ33を膨張させることにより、ふくらはぎが側方から押圧され、これらエアバッグ32、33の膨張、収縮を繰り返すことで、ふくらはぎの血行を促進させることができる。
【0035】
また、これらエアバッグ32、33を交互に膨張、収縮させることにより、ふくらはぎを左右に動かすストレッチ効果のあるマッサージを施すことができる。
【0036】
ふくらはぎ用の内側エアバッグ32と外側エアバッグ33を膨張させた状態で、ふくらはぎ用後面エアバッグ(図示せず)を膨張させることで、ふくらはぎの血行の促進を図ることができる。
【0037】
さらに、サブユニット40のサブ用側面エアバッグ35、35を膨張、収縮させることにより、大腿の前方を含む膝関節の周辺及び/又はふくらはぎの上部の血行を促進させることができる。
【0038】
被施療者が大腿の中央から腰に近い部分をマッサージしたい場合は、図3、5のように、サブユニット40を本体ユニット20に対して後方へスライドさせることにより、マッサージしたい患部にサブ用側面エアバッグ35を当てて、マッサージすることができる。この場合、椅子に座った状態で被施療者の大腿はほぼ水平になっているが、サブユニット40は後方へ移動するだけでその高さは変化しない。従って、大腿の膝に近い位置から腰に近い位置までの希望する位置に、正確にサブ用側面エアバッグ35を当てることができ、希望するマッサージを得ることができ。
【0039】
また、本体ユニット20が、ベース11に対してリクライニング可能になっている場合は、本体ユニット20を後方へリクライニングすることにより、寝転んだ状態で、マッサージすることができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0041】
例えば、本体マッサージ手段やサブマッサージ手段としてエアバッグを用いているが、他のマッサージ手段、例えばバイブレータや、ローラにより刺激を与えるものでもよい。
【0042】
また、足裏マッサージ手段の指圧子を前後に移動するのに、モータを利用しているが、モータの代わりに、足裏の前後に指圧子を挟んでエアバッグを配置して、この前後のエアバッグの膨張収縮により、指圧子を前後に移動するようにしてもよい。この場合、駆動源として、マッサージ手段のエアバッグ32、33、35を膨張させるエアポンプを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明はサブユニットにより膝関節の周囲や大腿をマッサージできるフットマッサージャーとして広く利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 フットマッサージャー
20 本体ユニット
21 本体ケーシング
22 本体ユニット側の凹部
32 内側エアバッグ(本体マッサージ手段)
33 外側エアバッグ(本体マッサージ手段)
35 側面エアバッグ(サブマッサージ手段)
40 サブユニット
41 サブケーシング
42 サブユニット側の凹部
60 スライド機構
61 スライドレール
62 スライドフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者のふくらはぎ及び足先を挿入可能な左右一対の凹部の形成された本体ケーシングと、本体ケーシングの凹部に配備され、被施療者のふくらはぎ及び/又は足先にマッサージを施す本体マッサージ手段と、を有する本体ユニットと、
本体ユニット上に支持されるサブケーシングと、該サブケーシングに形成された左右一対の凹部と、該凹部に配備され、被施療者の患部をマッサージするサブマッサージ手段と、を有する有するサブユニットと、
を具えたフットマッサージャーであって、
サブケーシングは本体ケーシングに対して前後にスライド可能に支持されていることを特徴とするフットマッサージャー。
【請求項2】
前記サブケーシングを本体ケーシングに対して最も前方へ位置させた場合には、サブケーシングの左右一対の凹部は、被施療者の大腿の前方を含む膝関節の周囲及び/又はふくらはぎの上部を囲み、後方へ位置させた場合は、被施療者の大腿の中央部から腰に近い部分を囲んで、夫々マッサージするようにした請求項1に記載のフットマッサージャー。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−165985(P2012−165985A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31557(P2011−31557)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】