説明

フッ素原子含有ベンジルケトン化合物およびその製造方法

【課題】 液晶化合物の中間体として非常に有用な新規フッ素原子含有ベンジルケトン化合物を高収率および高選択性で製造する。
【解決手段】 不活性ガス雰囲気中、Pd触媒および亜鉛粉末の存在下にフッ素原子含有ハロゲン化ベンジルと、脂肪族炭化水素基を含有するシクロヘキシルカルボニルクロライドとを反応させて、下記式(1)で表される化合物を製造する。
【化1】


(式(1)中、Rはメチル、エチル、プロピル、メトキシまたはエトキシを示し、Xはフッ素原子またはトリフルオロメトキシを示し、Rは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、lは0または1の整数を表し、mは0または1の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子光学液晶表示材料のための液晶化合物の中間体として有用な新規のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物、および当該ケトン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、時計や計算機のみならず、現在、様々な種類の計測器、自動車用計器版、ワードプロセッサ、携帯情報端末、プリンタ、コンピュータ、およびテレビなどに広く使用されている。かかる液晶表示装置に用いられる液晶材料は複数の液晶化合物の混合物として用いられ、これまで多くの種類の化合物が合成されてきた。この液晶化合物の一つとして、フッ素原子をその芳香族環に有するテトラヒドロナフタレン誘導体は、アクティブマトリクス液晶表示システムに非常に有用であり、かつ、他の化合物との良好な相溶性を有する液晶材料として知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、テトラヒドロナフタレン誘導体は光学的および電気的異方性などの性質が良好であるが、テトラヒドロナフタレン誘導体を製造するためには極めて多くの合成工程が必要であり、特に出発材料として従来使用されているフェニル酢酸の合成には複雑かつ多数の工程が必要であるという点に重大な問題があった。
【0004】
その結果、この複雑なプロセスがこれまでテトラヒドロナフタレン誘導体を工業的規模で生産する上で障害となってきたのであり、テトラヒドロナフタレン誘導体の工程数が少なく簡便な製造方法が液晶化合物の分野において要求されてきた。
【0005】
工程数が少なく簡便な製造方法という観点からは、テトラヒドロナフタレン誘導体の最も好適なプロセスには、ウィッティヒ−ホルナー反応によってベンジルケトン化合物をテトラヒドロナフタレン化合物へ変換する方法が挙げられる。
【0006】
しかしながら、出発原料としてのフッ素置換ベンジルケトン化合物は、一般にそれ自体の合成が困難であるという問題を有している。即ち、従来のフッ素を含有しないベンジルケトン化合物はグリニヤール反応によって製造することが可能であるが、これに反してフッ素置換ベンジルケトン化合物の場合は、フッ素原子の電子求引的性質によってグリニャール化合物の形成が妨げられる。更に、例えグリニヤール化合物が得られたとしても、その化合物が容易に二量体になり、それ以上のグリニャール反応が進行しないという問題がある。
【0007】
一方、ベンジルカルボニル合成に関しては、亜鉛およびパラジウム触媒を使用した塩化アシルおよび臭化ベンジルの還元カップリングによるベンジルケトンの合成のための簡便な方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0008】
しかしながら、その文献ではその芳香族環にフッ素原子を持たない通常の臭化ベンジルを出発材料として使用することを開示しているに過ぎず、例えば、(CHCHCOClおよび(CHCCOClなどの分岐型脂肪族炭化水素基を有する塩化アシル類を用いた場合、目標とする化合物の収率が一層低くなってしまう他、さらに、その穏やかな反応条件に起因する副生成物の生成が避けられないものであった。
【0009】
【特許文献1】日本国出願公開第2001−010991号
【非特許文献1】「Chemistry Letters誌 1981年、1135〜1138ページ」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、液晶化合物の中間体として非常に有用な、新規フッ素原子含有ベンジルケトン化合物を提供すること、更に、かかる新規フッ素原子含有ベンジルケトン化合物を、高収率および高選択性で製造することができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、触媒として、Pd触媒および亜鉛粉末とを組合せ、更に、酸素を除去した不活性ガス雰囲気下で行うなど、反応条件を制御することによって、芳香族環に置換基としてフッ素原子を有し、かつ、その化学構造に脂環式構造を有していても高収率および高選択性を容易に提供することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記構造式(1)
【0013】
【化1】

で表される新規のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物を提供するものである。
【0014】
構造式(1)中、Rはメチル、エチル、プロピル、メトキシまたはエトキシを示し、Xはフッ素またはトリフルオロメトキシを示し、Rは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、lは0または1の整数を表し、mは0または1の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。
【0015】
また、本発明は、不活性ガス雰囲気中、Pd触媒および亜鉛粉末の存在下に、フッ素原子含有ハロゲン化アリールメチルと、脂肪族炭化水素基を含有するシクロヘキシルカルボニルハライドとを反応させることを特徴とするフッ素原子含有ベンジルケトン化合物の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、新規なフッ素原子含有ベンジルケトン化合物を高収率および高選択性の簡単な方法によって製造すること可能であり、それによって工業規模におけるテトラリン型液晶化合物の製造が大幅に改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施態様を以下に詳述する。本発明の新規のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物は、下記構造式(1)で表される。
【0018】
【化2】

【0019】
構造式(1)中、Rはメチル、エチル、メトキシまたはエトキシを示し、Xはフッ素原子またはトリフルオロメトキシを示し、Rは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示し、lは0または1の整数を表し、mは0または1の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。
【0020】
かかる新規フッ素原子含有ベンジルケトン化合物は、例えば置換基としてフッ素原子のみを有するベンジルケトン化合物、置換基としてフッ素原子に加えてアルキル基を有するベンジルケトン化合物、置換基としてトリフルオロメトキシ基のみを有するベンジルケトン化合物、および置換基としてフッ素原子に加えてアルコキシ基を有するベンジルケトン化合物などの化合物が挙げられる。
【0021】
置換基としてフッ素原子のみを有するベンジルケトン化合物の例は、以下の構造で表されるものが挙げられる。尚、該構造式中、Rは構造式(1)において定義されるものと同義である。
【0022】
【化3】

【0023】
【化4】

【0024】
【化5】

【0025】
置換基としてフッ素に加えてアルキル基を有するベンジルケトン化合物の例は、以下の構造で表される。ここで、Rは構造式(1)において定義されるものと同義である。
【0026】
【化6】

【0027】
置換基としてトリフルオロメトキシ基のみを有するベンジルケトン化合物の例は、以下の構造で表される。ここで、Rは構造式(1)において定義されるものと同義である。
【0028】
【化7】

【0029】
置換基としてフッ素原子に加えてアルコキシ基を有するベンジルケトン化合物の例は、以下の構造で表される。該構造式中、Rは構造式(1)において定義されるものと同義である。
【0030】
【化8】

【0031】
該構造式中、上述の構造式(1)において炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基として定義されるRは、線状または分鎖したアルキル基であってもよく、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、およびn−オクチルが挙げられる。これらのなかでも、最終的な化合物の異方性という観点から、特にメチルまたはプロピルが好ましい。
【0032】
また、これらの構造の中で、この化合物を正の誘電異方性(p型の)の液晶化合物に使用する場合、上記のA1〜A3、G1〜G3、およびK1〜K3の使用が好ましく、その最終的な液晶化合物製品の優れた異方性から、特に以下の構造式(2)で表される化合物が好ましい。
【0033】
【化9】

【0034】
構造式(2)中、Rは線状または分鎖した炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、lは0または1の整数を表す。
【0035】
前記構造式(2)で表される化合物の例には、上述のA1〜A3から成る基が挙げられる。さらに、特に構造式(2)で表される化合物は、高収率および高選択性で得られるという点からも好ましい化合物である。
【0036】
一方、この化合物を負の誘電異方性(n型の)の液晶化合物に使用する場合、上記のD1〜D3、F1〜F3、J1〜J3、L1〜L3、およびM1〜M3の使用が好ましく、その最終的な製品としての液晶化合物の優れた異方性から、特に以下の構造式(3)で表される化合物が好ましい。
【0037】
【化10】

【0038】
構造式(3)中、Rは水素原子、メチル、エチル、プロピル、メトキシまたはエトキシを示し、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、lは0または1の整数を表す。構造式(3)によって表される化合物の例には、上述のJ1、J2、L1、L2、M1、およびM2から成る基が挙げられる。
【0039】
上記の化合物は本発明の製法方法、即ち、不活性ガス雰囲気中、Pd触媒および亜鉛粉末の存在下で、フッ素原子含有ハロゲン化ベンジルと、脂肪族炭化水素基を含有するシクロヘキシルカルボニルクロライドとを反応させることを特徴とするフッ素原子含有ベンジルケトン化合物の製造方法によって製造することができる。
【0040】
本発明の製造方法における原料成分であるフッ素原子含有ハロゲン化ベンジルは、例えば以下の構造式(4)で表されるものが好ましい。
【0041】
【化11】

【0042】
該構造式中、R、nおよびmは構造式(1)において定義されるものと同義であり、Yは塩素原子および臭素原子から選択されるハロゲン原子を示す。
【0043】
さらに、構造式(4)の化合物の具体的な例には、下記に示す構造式A−b−1、B−b−1、C−b−1、D−b−1、E−b−1、F−b−1、G−b−1、H−b−1、I−b−1、J−b−1、K−b−1、L−b−1、M−b−1、A−b−2、B−b−2、C−b−2、D−b−2、E−b−2、F−b−2、G−b−2、H−b−2、I−b−2、J−b−2、K−b−2、L−b−2、及びM−b−2によって表されるものが挙げられる。
【0044】
【化12】

【0045】
【化13】

【0046】
これらの化合物の中でも、優れた反応性を有する点において、上述のA−b−1、B−b−1、C−b−1、D−b−1、E−b−1、F−b−1、G−b−1、H−b−1、I−b−1、J−b−1、K−b−1、L−b−1、及びM−b−1などの臭化ベンジルの化合物が好ましい。さらに、p型の液晶化合物を製造するには、A−b−1およびB−b−1が好適であり、その優れた反応性により特にA−b−1が好ましい。
【0047】
一方、n型の液晶化合物を製造するには、D−b−1、J−b−1、L−b−1、およびM−b−1が好ましい。
【0048】
本発明のもう一つの出発原料である、脂肪族炭化水素基を含有するシクロヘキシルカルボニルハライドは、以下の構造式(5)で表されるものが好ましい。該構造式中、R、R、およびlは構造式(1)で定義されるものと同義であり、Yは塩素および臭素などのハロゲンを示す。
【0049】
【化14】

【0050】
前記シクロヘキシルカルボニルクロライド化合物の例としては、例えば、下記に示す構造式ch−1〜ch−3によって表されるものが挙げられる。ここで、Rは構造式(1)で定義されるものと同義であり、Yは塩素および臭素などのハロゲンを示す。
【0051】
【化15】

【0052】
さらに、これらのch−1〜ch−3の中では、そのテトラリン化合物の異方性という目的から、ch−1およびch−2が特に好ましい。
【0053】
また、ch−1およびch−2の特に好適な化合物の例としては、具体的には下記に示す構造式ch−1−a、ch−1−b、ch−1−c、ch−1−d、ch−1−e、ch−1−f、ch−1−g、ch−1−h、ch−2−a、ch−2−b、ch−2−c、ch−2−d、ch−2−e、ch−2−f、ch−2−g、およびch−2−hで表されるものが挙げられる。
【0054】
【化16】

【0055】
上記のように、本発明の方法はPd触媒および亜鉛粉末の存在下で行われる。ここで、Pd触媒は、パラジウムハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩などの従来のPd触媒を任意に使用することができる。しかしながら、本発明において、配位子としてトリフェニルホスフィンを有するパラジウム−(II)触媒は、トリフェニルホスフィンが非常に低コスト材料であるにもかかわらず、当該触媒が優れた活性を示すという点で好ましい。
【0056】
配位子としてトリフェニルホスフィンを有するパラジウム−(II)触媒には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム−(II)−クロライド、およびトリフェニルホスフィンを有するパラジウム−(II)−アセテートが挙げられる。これらの触媒の中で、トリフェニルホスフィンを有するパラジウム−(II)−アセテートが特に好ましい。
【0057】
さらに、パラジウム−(II)触媒は、亜鉛粉末との複合体として使用される。本発明では、このように反応触媒を複合体として用いることにより、触媒活性を高度に活性化させることができる。
【0058】
また、亜鉛粉末は、高収率および高選択性を達成できる点からその直径が、5〜10μmの範囲であることが好ましい。
【0059】
前記反応は、窒素および二酸化炭素などの不活性ガス雰囲気中で行うことにより副生成物の生成を効果的に回避することができる。具体的には、この反応は系内の酸素含有率が1重量%未満を保つように、反応容器に窒素および二酸化炭素などの不活性ガスを供給しながら行うこと好ましい。
【0060】
さらに、反応温度を−5℃〜25℃の範囲内に制御して反応を行うことが好ましい。本発明の製造方法では、反応温度を前記範囲内に調節することによって、フッ素原子の強い電子求引的性質により反応性が非常に弱いものとして当業者に認識されているフッ素原子含有ハロゲン化ベンジルを使用しているにも拘わらず、目的とするベンジルケトン化合物を高収率および高選択性で得ることができる。また、必要に応じて、この反応には任意に溶媒を使用することができる。好適な溶媒の例には、エチレングリコールジメチルエーテルおよびエチレングリコールジエチルエーテルが挙げられる。
【0061】
かかる反応は、具体的には以下の方法によって好ましく行うことができる。即ち、反応容器内に所定量の触媒、および亜鉛粉末、更に必要に応じてトリフェニルホスフィンを入れておき、その後、その内容物をポンプによって真空状態にし、前述の不活性ガスによってパージする。好ましくは、酸素濃度が1容量%以下になるまで、真空排気およびパージを数回繰り返す。
【0062】
次に、乾燥した有機溶媒を反応容器に加えるが、好ましくは、その後内容物の温度が−5℃〜10℃の範囲内になるように反応容器を冷却する。
【0063】
フッ素原子含有ハロゲン化ベンジルおよびシクロヘキシルカルボニルクロライド化合物の混合物を、反応容器に滴下または継続的に加える。ここで、反応温度を一定に保つように、混合物の添加速度を制御することが好ましい。その後、反応が完了するまで同じ温度で混合物を攪拌することによって目的とする生成物を得ることができる。
【0064】
本発明の方法によって得られる生成物は、常法により精製することができる。例えば、生成物が冷えている場合は室温まで加温した後、固体成分を除去するために生成物を濾過し、その後適切な溶媒によって液体相を洗浄する。さらに、必要に応じて濾過および洗浄を繰返し、その後蒸留または再結晶化によって目的とする精製された化合物が得られる。
【0065】
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0066】
実施例1 (化合物A1−1の合成)
【化17】

【0067】
0.44mmolのPd−(II)−アセテート、0.88mmolのトリフェニルホスフィンおよび88mmolの亜鉛を反応容器に入れる。内容物を膜ポンプで真空にし、Nでパージする。酸素を完全に除去するために、この手順を2回繰り返す。
【0068】
ナトリウムおよびベンゾフェノンの存在下で青色に変化するまで還流することによって乾燥し、その後蒸留した30mlのエチレングリコールジメチルエーテルを加える。
その後、反応容器を0℃まで冷却する。
【0069】
30mlのエチレングリコールジメチルエーテルに、44mmolの3,4,5−トリフルオロベンジルブロミド、および44mmolの4−プロピルシクロヘキシルカルボニルクロライドを加えた混合物を混合物の温度が0℃を維持するようにゆっくりと加える。
【0070】
この混合物を同じ温度で1時間攪拌し、その後室温まで加温し、濾過し、触媒の混合物をジエチルエーテルで洗浄し、溶媒を留去し、ジエチルエーテルを加え、固体部分をフィルターで分離し、有機相を水で2回、NaCl水溶液で1回洗浄する。
【0071】
溶媒を留去し、固体をメタノールに溶解し、濾過し、その溶媒を留去する。固体を蒸留する。浴温度80℃、0.011ヘクトパスカルの条件で副生成物を除去し、本発明の目的とするベンジルケトン化合物を得た。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトル及びNMRの分析データを示す。
【0072】
MS [m/z] 297 [M−1], 153 (Pr−Cyc−CO), 145 (F−Aryl−CH), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (CH−NMR (300 MHz, CDCl, σ[ppm]): 0.80−1.05 (m, 5 H, CH/CH); 1.10−1.40 (m, 3H, CH/CH); 1.42−1.48 (m, 4H, CH); 1.76−1.99 (m, 4H CH); 2.39 (m, 1H, CH); 3.67 (d, 2H, CH); 6.81 (m, 2H, CHar
13C−NMR (75.4 MHz, CDCl, σ[ppm]): 14.6 (CH); 20.1 (CH); 28.7 (2xCH); 32.5 (2xCH); 36.9 (CH); 39.7 (CH); 46.6 (CH); 42.6 (CH); 51.3 (CH); 113.9 (2xCHar); 130.8 (Car); 139.3 (CFar; 151.3 (2xCFar) 209.8 (C=O)
19F−NMR (282.2 MHz, CDCl, σ[ppm]): −145.9 (2F, m); −174.3 (m)
【0073】
実施例2 (以下の化合物B1−1の合成)
【化18】

【0074】
出発材料として3,5−ジフルオロベンジルブロミドを使用する他は、実施例1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0075】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 127 (F−Aryl−CH), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0076】
実施例3 (化合物B1−1の合成)
出発材料として3,5−ジフルオロベンジルブロミドを使用すること、および反応容器内の温度を25℃に制御する他は、実施例1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0077】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 127 (F−Aryl−CH), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0078】
実施例4 (以下の化合物C1−1の合成)
【化19】

【0079】
出発材料として2,5−ジフルオロベンジルブロミドを使用する他は、実施例 1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0080】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 127 (F−Aryl−CH), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0081】
実施例5 (化合物C1−1の合成)
出発材料として2,5−ジフルオロベンジルブロミドを使用すること、および反応容器内の温度を25℃に制御する他は、実施例1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0082】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 127 (F−Aryl−CH), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0083】
実施例6 (化合物C1−1の合成)
出発材料として2,5−ジフルオロベンジルブロミドを使用すること、および触媒として0.44mmolのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム−(II)−クロライドおよび88mmolの亜鉛を使用する他は、実施例1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0084】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 127 (F−Aryl−CH), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0085】
実施例7 (以下の化合物D1−1の合成)
【化20】

【0086】
出発材料として2,3−ジフルオロベンジルブロミドを使用する他は、実施例1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0087】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 127 (F−Aryl−CH), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0088】
実施例8 (以下の化合物E1−1の合成)
【化21】

【0089】
0.02mmolのPd−(II)−アセテート、0.46mmolのトリフェニルホスフィンおよび4.5mmolの亜鉛を反応容器に入れる。内容物を膜ポンプで真空にし、Nでパージする。酸素を完全に除去するために、この手順を2回繰り返す。ナトリウムおよびベンゾフェノンの存在下で青色に変化するまで還流することによって乾燥し、その後蒸留した2mlのエチレングリコールジメチルエーテルを加える。その後、反応容器を0℃まで冷却する。3mlのエチレングリコールジメチルエーテルに、2.12mmolの2−フルオロベンジルブロミド、および2.13mmolの4−プロピルシクロヘキシルカルボニルクロライドを加えた混合物を混合物の温度が0℃を維持するようにゆっくりと加える。
【0090】
この混合物を同じ温度で1時間攪拌し、その後室温まで加温する。その後、実施例1と同じ方法によって本発明の目的とするベンジルケトン化合物を得る。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトル及びNMRの分析データを示す。
【0091】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 109 (F−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0092】
実施例9 (化合物E1−1の合成)
反応容器内の温度を25℃に制御する他は、実施例 8と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0093】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 109 (F−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0094】
実施例10 (化合物E1−1の合成)
触媒として0.44mmolのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム−(II)−クロライドおよび88mmolの亜鉛を使用する他は、実施例8と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0095】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 109 (F−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0096】
実施例11 (化合物E1−1の合成)
触媒として0.44mmolのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および88mmolの亜鉛を使用する他は、実施例8と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0097】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 109 (F−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0098】
実施例12 (以下の化合物F1−1の合成)
【化22】

【0099】
出発原料として2−フルオロ−3−メチルベンジルブロミドを使用することの他、実施例1と同様に本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0100】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 109 (F−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0101】
実施例13 (化合物E1−1の合成)
反応容器内の温度を25℃に制御する他は、実施例12と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0102】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 109 (F−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0103】
実施例14 (化合物E1−1の合成)
触媒として0.44mmolのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および88mmolの亜鉛を使用する他は、実施例12と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0104】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 109 (F−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0105】
実施例15 (以下の化合物G1−1の合成)
【化23】

【0106】
出発材料として4−フルオロベンジルブロミドを使用する他は、実施例1と同様に本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0107】
MS [m/z] 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 109 (F−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0108】
実施例16 (以下の化合物H1−1の合成)
【化24】

【0109】
出発材料として1−フルオロ−2−メチルベンジルブロミドを使用する他は、実施例1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0110】
MS [m/z] 276 [M], 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 123 (F(CH)−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0111】
実施例17 (化合物H1−1の合成)
反応容器内の温度を25℃に制御する他は、実施例16と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0112】
MS [m/z] 276 [M], 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 123 (F(CH)−Aryl−CH), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0113】
実施例18 (以下の化合物J1−1の合成)
【化25】

【0114】
出発材料として2,3−ジフルオロ−4−プロピルベンジルブロミドを使用し、触媒として2.2mmolのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム−(II)−クロライドおよび88mmolの亜鉛を使用する他は、実施例1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0115】
MS [m/z] 322 [M], 169 (F(C)−Aryl−CH) 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0116】
実施例19 (化合物J1−1の合成)
触媒として0.44mmolのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および88mmolの亜鉛を使用する他は、実施例18と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表 1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0117】
MS [m/z] 322 [M], 169 (F(C)−Aryl−CH) 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0118】
実施例20 (以下の化合物K1−1の合成)
【化26】

【0119】
出発材料として4−(トリフルオロ)メトキシ−ベンジルブロミドを使用する他は、実施例1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0120】
MS [m/z] 175 (FCO−Aryl−CH) 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0121】
実施例21 (化合物K1−1の合成)
反応容器内の温度を25℃に制御する他は、実施例20と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0122】
MS [m/z] 175 (FCO−Aryl−CH) 153 (Pr−Cyc−CO), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0123】
実施例22 (以下の化合物M1−1の合成)
【化27】

【0124】
出発材料として2,3−ジフルオロ−4−エトキシベンジルブロミドを使用すること、および触媒として0.44mmolのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム−(II)−クロライドおよび88mmolの亜鉛を使用し、反応容器内の温度を25℃に制御する他は、実施例1と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。
目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0125】
MS [m/z] 324 [M], 153 (Pr−Cyc−CO), 143 (OH=(F,F,O=)C), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0126】
実施例23 (化合物M1−1の合成)
触媒として2.2mmolのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および88mmolの亜鉛を使用する他は、実施例22と同じ方法で本発明のベンジル化合物を合成した。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトルの分析データを示す。
【0127】
MS [m/z] 324 [M], 153 (Pr−Cyc−CO), 143 (OH=(F,F,O=)C), 125 (Pr−Cyc), 83 (C11), 69 (C), 55 (C), 41 (C
【0128】
実施例24 (以下の化合物D2−1の合成)
【化28】

【0129】
1.0mmolのPd (II)−アセテート、2.0mmolのトリフェニルホスフィンおよび88mmolの亜鉛を反応容器に入れる。内容物を膜ポンプで真空にし、Nでパージする。酸素を完全に除去するために、この手順を2回繰り返す。
【0130】
ナトリウムおよびベンゾフェノンの存在下で青色に変化するまで還流することによって乾燥し、その後蒸留した80mlのエチレングリコールジメチルエーテルを加える。その後、反応容器を0℃まで冷却する。
【0131】
60mlのエチレングリコールジメチルエーテルに、65mmolの2,3−ジフルオロベンジルブロミド、および55mmolの4’−プロピルシクロヘキシル−4−シクロヘキシルカルボニルクロライドを加えた混合物を混合物の温度が0℃を維持するようにゆっくりと加える。この混合物を同じ温度で5時間攪拌し、その後室温まで加温する。
その後、混合物を希塩酸および水で急冷し、ジエチルエーテル中に3回抽出し、その槽を濾過して層の分離前に余分な亜鉛を除去する。有機層を回収し、乾燥し(NaSO)、溶媒の一部を除去し、−20℃に冷却して生成物を結晶化させる。
【0132】
この生成物を濾過し、少量の冷却したジエチルエーテルで洗浄し、乾燥する。この洗液を回収し、溶媒の一部を除去し、再度結晶化させて本発明の目的とするベンジルケトン化合物を得る。目的とするベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。尚、以下にマススペクトル及びNMRの分析データを示す。
【0133】
MS [m/z] (TMS deriv./TMS−enolether) 434 (M+TMS), 307 (C2332), 255 (C2035), 73 (TMS, base peak)
H−NMR (300 MHz, CDCl, σ[ppm]): 0.80−1.20 (m, 20H, CH/CH); 0.87 (t, 3H, HH=7.1 Hz, CH); 1.20−1.44 (m, 5H, CH/CH); 1.64−1.90 (m, 8H, CH/CH); 1.92−2.00 (m, 2H CH); 2.37−2.46 (m, 1H, CH); 2.79 (d, 2H, HF=1.46 Hz, CH); 6.86−6.94 (m, 1H, CHar); 6.98−7.11 (m, 2H, CHar
13C−NMR (75.4 MHz, CDCl, σ[ppm]): 14.4 (CH); 20.3 (CH); 28.8 (2xCH); 29.3 (2xCH); 30.0 (2xCH); 33.6 (2xCH); 37.5 (CH); 39.8 (CH); 40.5 (CH, t, J=2.23 Hz); 42.6 (CH); 43.2 (CH); 51.0 (CH); 116.0 (CHar, d, J=17.1); 123.9 (CHar, dd); 124.3 (Car, d); 126.4 (CHar, dd); 148.1 (CFar, dd, CF=120.4 Hz, CF=13.2 Hz); 151.3 (CFar, dd, CF=121.1 Hz, CF=13.1 Hz); 209.3 (C=O)
19F−NMR (282.2 MHz, CDCl, σ[ppm]): −149.6 (m); −153.5 (m)
【0134】
比較例1 (下記化合物の合成)
【化29】

【0135】
原料成分としてベンジルブロミドを使用すること、および反応容器内の温度を25℃に制御する他は、実施例1と同様に本発明のベンジル化合物を調製した。ベンジルケトン化合物の収率および選択性を表1に示す。
【0136】
比較例2(金属ニッケルの存在下での以下の構造化合物の合成)
【化30】

【0137】
25mlのエチレングリコールジメチルエーテルに0.2g(28.5mmol)のリチウムワイヤー、4.2g(13.4mmol)のNiI、および0.3g(2.3mmol)のナフタレンを加えた混合物をナトリウムおよびベンゾフェノンの存在下で青色に変化するまで還流することによって乾燥し、その後アルゴンを流しながら蒸留し、リチウムワイヤーが消滅して黒色の金属ニッケルが形成されるまで超音波槽にて50℃で加熱する。
【0138】
その後、その混合物を85℃まで加熱し、10mlのエチレングリコールジメチルエーテルに、1.8g(10.0mmol)の4,5−トリフルオロベンジルブロミド、および2.0g(10.6mmol)の4−プロピルシクロヘキシルカルボニルクロライドを加えた溶液を30分以内に滴下する。この混合物を同じ温度で30分間撹拌する。この混合物から少量のサンプルを取り出し、水を1滴加え、GC/MSで分析する。
【0139】
目標とする化合物の収率は69%であり、唯一の副生成物として、以下の構造で表される化合物が9%の収率で得られた。
【0140】
【化31】

【0141】
比較例3 (以下の構造式によって表される、0.8g(1.9mmol)のMg−アントラセン−THF複合体を使用した3,4,5−トリフルオロベンジルクロライドのグリニヤール化合物の合成)
【0142】
【化32】

【0143】
THF(分子篩上で乾燥)を0℃に冷却するときに、この混合物を通して窒素をバブリングさせる。その後、0.4g(2.2mmol)のトリフルオロベンジルクロライドをゆっくり滴下する。完了後、混合物を室温で2時間撹拌する。この混合物から少量のサンプルを取り出し、水を1滴加え、GC/MSで分析する。得られたサンプルの82%がトリフルオロベンジルクロライドのままで、残りはビス(トリフルオロフェニルメタン)であった。その結果、グリニャール試薬の生成は、少量が観測されただけであった。
【0144】
【表1】

1)TkPd: テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (0)
2)BPCl: ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム−(II)−クロライド
3)PdOAc: パラジウム−(II)−アセテート, TPP: トリフェニルホスフィン, PdOAc/TPP = 1/2
4) GC/MSによって検査; 100%に満たない部分は、少量の更なる副生成物である。
5) 単離収率



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)
【化1】


(式(1)中、Rはメチル、エチル、プロピル、メトキシまたはエトキシを示し、Xはフッ素原子またはトリフルオロメトキシを示し、Rは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、lは0または1の整数を表し、mは0または1の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。)
で表されることを特徴とするフッ素原子含有ベンジルケトン化合物。
【請求項2】
前記フッ素原子含有ベンジルケトン化合物が下記構造式(2)
【化2】


(式(2)中、Rは線状または分鎖した炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、lは0または1の整数を表す。)
によって表されるものである請求項1記載のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物。
【請求項3】
前記フッ素原子含有ベンジルケトン化合物が下記構造式(3)
【化3】

(式(3)中、Rはメチル、エチル、プロピル、メトキシまたはエトキシを示し、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、lは0または1の整数を表す。)
によって表されるものである請求項1記載のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物。
【請求項4】
不活性ガス雰囲気中、Pd触媒および亜鉛粉末の存在下で、フッ素原子含有ハロゲン化ベンジルと、脂肪族炭化水素基を含有するシクロヘキシルカルボニルハライドとを反応させることを特徴とするフッ素原子含有ベンジルケトン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記反応を−5℃〜25℃の範囲内の温度で行う請求項4記載のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物の製造方法。
【請求項6】
フッ素原子含有ハロゲン化アリールメチルが、トリフルオロベンジルブロミドである請求項4記載のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物の製造方法。
【請求項7】
Pd触媒が、Pd(II)化合物およびトリフェニルホスフィンを含むものである請求項4記載のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物の製造方法。
【請求項8】
前記Pd触媒が、Pd(II)アセテートおよびトリフェニルホスフィンを含むものである請求項7記載のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物の製造方法。
【請求項9】
前記Pd触媒の量が、原料成分の総モル数を基準として0.5〜5モル%の範囲内である請求項4〜8の何れか一つに記載のフッ素原子含有ベンジルケトン化合物の製造方法。

【公開番号】特開2006−8685(P2006−8685A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180529(P2005−180529)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】