説明

フッ素徐放性歯科用材料

【課題】従来の歯科矯正装置が不潔域を作ることから口腔内の衛生環境、特に歯牙に対して二次ウ蝕の発生しやすい環境となっていた問題を解決した歯科治療用口腔内装着装置を提供する。
【解決手段】歯科矯正装置、特にマウスピースを例にとるならば、歯面に接するマウスピースの内面にフッ素徐放性材料を配置して、本来のマウスピースの機能に加え、歯質の強化やウ蝕予防の機能を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療用口腔内装着装置が、本来の機能を損なうことなく、しかもウ蝕予防効果を高める機能を備えたフッ素除法性歯科用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歯科治療用口腔内装着装置、例えば歯科矯正治療装置等の矯正治療用マウスピース、矯正治療用ゴム、歯間離開用ゴムリング、及び各種結紮用ゴムバンドは、矯正治療などで使われていた。
しかしその多くはただ単に歯を動かすことが主目的であり、装置を長期間装着して歯を動かす間に口腔内の状態が不潔となり、二次カリエスの発生の可能性が高いという欠点があった。
【0003】
さらに、従来の技術では、口腔内の衛生環境が悪化しないようにブラッシングを行なっても、歯科矯正装置によって口腔内が不潔になりがちであり、特に矯正治療の対象となる患者は成長期にある者が多くウ蝕歯が増えることは好ましくなかった。
【0004】
本発明は、このようなう蝕の発生のしにくい環境を作るとともに、矯正治療を円滑に行なえることを目的としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第一の課題として、口腔内装着用マウスピース装着時に歯牙と口腔内装着用マウスピースとの間に、唾液が混在し停滞することにより、細菌等が増殖し、二次カリエスの原因となっていた。
【0006】
第二の課題として、歯科矯正治療において、歯牙と歯牙との間に歯間離開用ゴムリングを入れて歯牙離開中に、歯間離開用ゴムの周囲が不潔になり二次カリエスの発生の原因となっていた。
【0007】
第三の課題として、歯科矯正用結紮用ゴムバンドの周囲が二次ウ蝕発生環境になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の課題を解決するために、歯科用マウスピースの歯面と接する内面にフッ素徐放性材料を配置した。
【0009】
第二の課題を解決するために、歯間離開用ゴムリングにフッ素徐放性材料を配置した。
【0010】
第三の課題を解決するために、歯科矯正用結紮用ゴムバンドにフッ素徐放性材料を配置した。
【発明の効果】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0012】
図1は、図3のa断面である。フッ素徐放性マウスピース1は歯冠4及び歯肉5の一部に接する内面にはフッ素徐放性ゴム3と、外表面が軟質エラストマーの二艚構造となっている。フッ素徐放性マウスピース1装着時、フッ素徐放性ゴム3よりフッ素が徐々に溶出する構成となっている。
【0013】
図2は、図3のb断面である。
【0014】
図3は、フッ素徐放性マウスピース20を上方より見た図である。
【0015】
図4は、図3のa断面である。フッ素徐放性マウスピース31は、フッ素徐放性材料からなり、歯冠32と歯肉の一部を被覆している。
【0016】
図5は、フッ素徐放性材料からなるフッ素徐放性歯間離開用ゴムリングである。
【0017】
図6は、フッ素徐放性結紮用ゴムバンドである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態を示す歯科用マウスピースの断面図
【図2】フッ素徐放性マウスピースの断面図
【図3】フッ素徐放性マウスピースの断面図
【図4】フッ素徐放性マウスピースの断面図
【図5】フッ素徐放性歯間離開用ゴムリング
【図6】フッ素徐放性結紮用ゴムバンド
【符号の説明】
【0023】
1 フッ素徐放性マウスピース 20 フッ素徐放性マウスピース
2 硬質エラストマー a.断面線
3 フッ素徐放性ゴム b.断面線
4 歯冠 30 フッ素徐放性材料
5 歯肉 31 フッ素徐放性マウスピース
32 歯冠
10 フッ素徐放性マウスピース 33 歯肉
11 硬質エラストマー 40 フッ素徐放性歯間離開用ゴムリング
12 フッ素徐放性ゴム 41 歯冠
13 歯冠 42 フッ素徐放性歯間離開用ゴムリング
14 歯肉 43 歯冠
50 フッ素徐放性結紮用ゴムバンド
51 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素徐放性材料からなり歯の耐酸性の工場と、歯の矯正機能を有することを特徴とするポリウレタンエラストマー製のフッ素徐放性マウスピース。
【請求項2】
硬質ポリウレタンゴムからなるマウスピースの内面に取り替え可能なフッ素徐放性ゴムシートを有することを特徴とするフッ素徐放性マウスピース。
【請求項3】
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(ジ・イソシアネート/ポリオール)に0〜5wt%のフッ化物(NaF,SnF2,Na2SiF6,NH4F,M(BF4)など)を添加したフッ素徐放性ゴムシートを内面に、外側に同系の軟質ポリウレタンエラストマーを使用することを特徴とするフッ素徐放性マウスピース。
【請求項4】
フッ素徐放性材料からなることを特徴とするフッ素徐放性歯間離開用ゴムリング。
【請求項5】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーにNaF,SnF,TiF,NaSiF,NHF,M(BF)のフッ化物を含有することを特徴とするフッ素徐放性歯間離開用ゴムリング。
【請求項6】
フッ素徐放性材料からなることを特徴とするフッ素徐放性結紮用ゴムバンド。
【請求項7】
歯科矯正用結紮用ゴムバンドの材質が熱可塑性ポリウレタンエラストマーで、NaF,SnF2,TiF,Na2SiF6,NH4F,M(BF4)のフッ化物を含有することを特徴とするフッ素徐放性結紮用ゴムバンド。
【請求項8】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーにフッ化物を添加し、加熱成形によって自由な形状に成形が可能なことを特徴とするフッ素徐放性ゴムシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−175458(P2007−175458A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−381236(P2005−381236)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(396017899)
【Fターム(参考)】