説明

フラッシュを備えた集積回路

【課題】フラッシュメモリのアクセス時間よりも早いクロック時間で関連するマイクロプロセッサを動作させるときに全体の速度を向上させる。
【解決手段】フラッシュメモリ1がマイクロプロセッサ3とペースを保つために専用フラッシュ・バス2がフラッシュメモリ1をマイクロプロセッサ3へつなげる。前記フラッシュ・バス2がマイクロプロセッサのデータ・バス8の幅nより大きな幅mを有する。好ましくは、幅mは幅nの複数倍である。多数の中間記憶装置4は、幅変換の機能をもたらすためにフラッシュ・バス2をマイクロプロセッサ3のデータ・バス8に接続する。これらの中間記憶装置4は、付加的なタグ記憶装置5とともにマイクロプロセッサのデータ要求に対してキャッシュとして作用しICの潜在的速度を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、集積回路(ICs)の構造および設計に係り、特に、IC内への不揮発性フラッシュメモリの組込みまたは集積に関する。このような不揮発性メモリのマイクロプロセッサへの組込みまたは集積は、携帯電話、携帯情報端末や、自動車用または他のナビゲーション目的のためのGPSにおいてICが用いられるために、頻繁に望まれ、若しくは、要求すらある。
【0002】
フラッシュメモリをチップ内へ組み込むことで、そのような組込みによって期待された利点を発揮する前に、解決しなければならないある問題が導かれる。その問題の1つは、「特性(nature)」によって通常のフラッシュメモリもアクセス時間がIC上の他の要素のアクセス時間に対して非常に相違することである。
【0003】
従って、本発明は、与えられたIC上の多くの要素に比較して、特に、いずれの読み出し専用メモリ(ROM)や現代の高速マイクロプロセッサおよび/またはそれらのバスに比較して、フラッシュメモリの絶対速度(absolute speed)が極めて遅いという特有の問題となる特性に解決を与えようとするものである。
【0004】
IC内へ組み込まれたフラッシュまたは他の不揮発性メモリは、例えば、Feldman等によるPCT公開公報WO0025208およびOzcelik等によるWO0025250に示されている。しかしながら、これらの2つの特許公報のいずれも、上述のものと同様の問題、即ち、フラッシュメモリとIC上のプロセッサとの間のデータ・バスの幅の相違を指摘していない。Mokによる米国特許第5493534号は、いわばバッファによってプロセッサ・バスから分離されたチップ上のマイクロプロセッサとして電気的書き込みおよび消去可能メモリを示すことによって多少近いものである。しかし、まだ、Mokは、バスとフラッシュメモリのデータ幅(data widths)の相違についての問題の明確かつ説得力のある解決を提供していない。
【0005】
1またはそれ以上のマイクロプロセッサと集積されたフラッシュメモリの潜在能力を現実に利用するために、フラッシュメモリの全体のアクセス時間は、期待通りの性能を発揮するようにマイクロプロセッサのクロック速度にペースをあわせなければならない。上述のように、フラッシュメモリは、通常、比較的長いアクセス時間を有するので、問題は、フラッシュメモリのアクセス時間よりも早いクロック時間で関連するマイクロプロセッサを動作させるときに不可避となる。
【0006】
ここで、本発明は解決策を提供する。IC上のプロセッサ環境における組み込まれたフラッシュメモリの性能を、動作の混合(maximizing performance)に着目し、このようなICの全体の速度を向上させるように作用する多くの発明手段(inventive measures)を提案することによって、改善する方法を記載する。
【0007】
つまり、本発明は、上記で確認された問題を、2つの手段(measures)の一方または両方によって解決するものである。
1. 1の手段は、組み込まれたフラッシュメモリのデータワード幅をそのアクセス時間の動作を補正するために増加させることである。
2. 他の手段は、データ・キャッシュを、特に、中間データ記憶装置を単一または複数のデータ・ライン・キャッシュとして使用することによって、配設することである。
【0008】
フラッシュメモリを有するIC、専用フラッシュ・バスおよび多くのフラッシュメモリ補助ブロック、特に、プロセッサ(または、まさにマイクロプロセッサ)環境への接続またはブリッジ、を記述する実施の形態についての続く記載をもとに他の付加要素および予見できる変形は存在する。
【0009】
第1の上述した手段は、組み込んだフラッシュメモリのデータワード幅をプロセッサ・バスの幅の倍数にまで増大させることである。次に、フラッシュメモリをプロセッサ・バスに接続するフラッシュ・ブリッジは、プロセッサ・データ・ワードの全体のブロックを中間記憶装置内で一度に交換することによって、フラッシュメモリへアクセスする。すると、プロセッサは、フラッシュメモリに各プロセッサのフェッチ・サイクルごとにアクセスすることなく、中間記憶装置から一度にワードをフェッチすることができる。勿論のこと、複数の中間記憶装置が使用され得る。
【0010】
第2の上述した手段は、中間データ記憶装置をキャッシュとしての使用を可能とするアドレス・タグ記憶装置(address tag registers)を1またはそれ以上のラインに配設することである。最近に用いられたアクセスは、次に、マイクロプロセッサが厳密に連続していなくとも、フラッシュメモリがアクセスすることを回避し、中間記憶装置によって直接供給され得る。要求されたアドレスがキャッシュ内にない場合にのみ、フラッシュメモリはアクセスされなければならず、中間記憶装置は更新される。このキャッシュの概念は、フラッシュメモリのためだけに“第2のキャッシュ”として使用され、その程度において、汎用キャッシュ(common caches)と異なる。即ち、上述のフラッシュ・ブリッジはフラッシュメモリにだけアクセスするバッファのために第2のキャッシュとして使用される。いわゆる第2のキャッシュは、プロセッサに直接接続された第1のキャッシュと直列に位置付けられている。それらの原理は当業者に周知であって、さらに記述することは必要としない。
【0011】
次に、本発明の実施の形態を示す。3つの図面が組込み型フラッシュメモリを有するICの本実施の形態を示す。
【0012】
図1は、フラッシュメモリ1をマイクロプロセッサ3と接続するフラッシュ・ブリッジの読取りデータ・バスを示している。フラッシュメモリ1を出たデータ・バス2はmビットの幅であり、その幅mはマイクロプロセッサ8の幅nのp倍、即ち、m=p*n(pは記憶装置の数)である。記憶装置4(図1においてはReg.1からReg.p)のこの層(bank)は、中間記憶部として機能する。幅mのメモリラインが、一旦、記憶装置層(register bank)4内へ送信されると、マイクロプロセッサは、マルチプレクサ7およびデータ・バス8を介して一度にnビットを読み取ることができる。このことは、マイクロプロセッサのアクセスが連続している場合には、フラッシュメモリ1にプロセッサの読み取りサイクルごとにアクセスする必要がないので特に有利となる。
【0013】
さらに、上記した通り、記憶装置層4はキャッシュとして用いられ得る。これを達成させるためには、アドレス・バス9に送信される現マイクロプロセッサ・バス・アドレスはタグ記憶装置5に格納される。続くプロセッサのサイクルにおいて、前アドレスを含んでいるタグ記憶装置5内のタグ・ファイルは、比較器6によって現アドレスと比較され、前アクセスからのデータが記憶装置層4の記憶装置にすでに存在するか否かを確認する。存在する場合には、即ち、アドレスが合致すれば、要求されているデータはすでに記憶装置層4の記憶装置の1つにすでに存在するので、フラッシュメモリ1はアクセスされる必要がなく、マルチプレクサ7を介してマイクロプロセッサ3によってフェッチされ得る。
【0014】
図2および図3は、携帯端末用のベースバンドICにおける本発明の実施の形態を示し、本発明にとって重要なシステムのそれらの要素を図示している。
【0015】
キャッシュ制御器29は、フラッシュ・バスを介してフラッシュメモリ(図2では図示せず)へのフラッシュ・ブリッジの総ての読み取りアクセスを制御する。キャッシュ制御器29は状態マシーン(state machine)およびいくつかの論理比較器からなる。この状態マシーンの状態図が図3に示されている。
【0016】
リセットの間に、即ち、信号bres_nが活性(active)であるとき、または、待機しているマイクロプロセッサの読み込みサイクルがない場合に、状態マシーンはIDLE状態31にある(図3を参照)。
【0017】
キャッシュ制御器29がマイクロプロセッサからフラッシュ・ブリッジの記憶装置層(bank)28におけるいずれの読取りデータ記憶装置にも読取りアクセスの検出をする場合、即ち、信号dsel_dataが有効(active)かつ信号bwriteが無効(inactive)である場合に、キャッシュ制御器29は、その状態マシーンをREAD32へ進めることによって読取りサイクルを実行する。この読取りサイクルの間にフラッシュ・ブリッジは、そのタグ記憶装置25の値をマイクロプロセッサからのアドレス、即ち、address(23.4)と比較器において比較し、有効(valid)ビット24がセットされているかを確認する。比較器の出力およびセット有効ビット24においてヒット(hit)、即ち、fb_hit=’1’であることは、読取りデータ記憶装置層28におけるデータが有効であり、従って、マイクロプロセッサ・データ・バスuP_data(31..0)へ直ちにつながり(put)得る。この場合、待機状態はマイクロプロセッサ・バス・サイクル内に挿入されていない。
【0018】
しかし、fb_hitがキャッシュ制御器29のREAD状態の間に無効である場合には、若しくは、有効ビット24がセットされていない場合には、状態マシーンはFBREQ(Flash Bus Request)状態33(図3参照)へ移り、マイクロプロセッサ待機信号bwaitは直ちに有効化され、フラッシュ・バスはフラッシュ・バス読取りサイクルを実行することを要求される。これはフラッシュ・バス信号fbus_reqを有効にすることによってなされる。図3において図示したとおり、FBREQ状態33の後、状態マシーンは無条件にMISS状態35へ移行する。このMISS状態35の間に、キャッシュ制御器29はフラッシュメモリからのデータを待つ。フラッシュ・バスは、これらのデータが承認(acknowledge)信号fbus_ack(図2および図3参照)を有効化することによって有効になるときに、キャッシュ制御器29へ知らせる。データが有効になるのをキャッシュ制御器29が待機している間に、マイクロプロセッサ・バスはマイクロプロセッサ信号bwaitによって待機するために信号化される。フラッシュメモリからのデータが有効であるときには、キャッシュ制御器29は、記憶装置層28がフラッシュメモリからのデータにより更新される要因となる信号f_up(図2)を有効化し(activate)、並びに、記憶装置層28に格納されたデータが有効(valid)(有効ビット24)であることを示すビットがセットされる。
【0019】
次に、キャッシュ制御器の状態マシーンは、層28内のデータ記憶装置を読み取るために待機している他の読取りサイクルがない限りにおいて、IDLE状態31へ戻る。この場合、状態マシーンは直ちにREAD状態32へ移行する。
【0020】
読取りサイクルの間に、ミスが検出され、それによって、フラッシュ・バスが要求されなければならないが、しかし、それが他の処理でビジー状態であるために有効でない場合には、キャッシュ制御器の状態マシーンはHOLD状態34へ移行し、ここで、処理の待機が完了するまで待つ。フラッシュ・バス・ビジー信号fbus_busyは、キャッシュ制御器状態マシーンにとって、フラッシュ・バスが他の処理を行っておりビジーであることを意味する。
【0021】
示された実施の形態において、層28の4つの32ビット読取りデータ記憶装置Reg1からReg4をまとめた128ビットのフラッシュメモリ・データ幅は128ビットのキャッシュ・ラインを表している。マイクロプロセッサ・データ・バスは32ビット幅である。フラッシュ・データ・バスおよびマイクロプロセッサ・データ・バスは4to1マルチプレクサ(four-to-one multiplexer)27を介して接続されている。マイクロプロセッサ・アドレス・バスのAddress3および4は、4つの32ビット読取りデータ記憶装置Reg1からReg4のいずれがマイクロプロセッサ・データ・バスに接続するかを決定する。
【0022】
本発明は単一の実施の形態のみを示しているが、当業者は請求項に従った範囲および本発明から逸脱することなく上述した記載に従って容易に変更および変形を導出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】フラッシュ・ブリッジのデータ・バスを含む全体のシステムを示した図。
【図2】携帯端末用のIC内での実施の形態を示した図。
【図3】図2においてキャッシュ制御器の様々な状態を示した図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのマイクロプロセッサおよび少なくとも1つのメモリを備えた集積回路であって、
前記メモリは、前記マイクロプロセッサへ専用のフラッシュ・バスによって機能的に結合された不揮発性またはフラッシュメモリであり、
前記専用のフラッシュ・バスは、第1の幅mを有し、第1の幅mは前記マイクロプロセッサまたはそのデータ・バスのそれぞれの第2の幅n、特に第2の幅nのある倍数よりも大きい集積回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−198935(P2012−198935A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140982(P2012−140982)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2002−506443(P2002−506443)の分割
【原出願日】平成13年6月20日(2001.6.20)
【出願人】(306043703)エヌエックスピー ビー ヴィ (125)
【氏名又は名称原語表記】NXP B.V.
【Fターム(参考)】