説明

フラットケーブル及びワイヤハーネス

【課題】端末に容易にコネクタを取り付けることができるフラットケーブル及び当該フラットケーブルを備えたワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス1はコネクタ2とフラットケーブル3を備えている。コネクタ2はコネクタハウジング4と雌端子5を備えている。フラットケーブル3は複数の電線14と長尺の横糸15を備えている。電線14の端末には雌端子5が取り付けられる。横糸15は複数の電線14に直交しかつ複数の電線14に一定の規則により浮き沈みされて配置される交錯部15a,15cと交錯部15a,15cに連なりかつ複数の電線14のうち端に位置する電線14a,14bに重ねられた平行部15b,15d,15eとが設けられている。互いに隣り合う電線14が互いに間隔をあけて配置されかつ横糸15の互いに隣り合う交錯部15a,15cが互いに間隔をあけて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の電気機械に配索される複数の電線を有したフラットケーブル及び当該フラットケーブルを備えたワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などの各種の電気機械には、多種多様な電子機器同士を電気的に接続するためにワイヤハーネスが配索されている。このワイヤハーネスは、複数の同径の導体を等間隔毎に並列にそれぞれ配置すると共にこれらの導体を絶縁体で構成された被覆部でそれぞれ被覆し、この隣接する各被覆部同士を絶縁体で構成された連結部にて一体化してフラット状に形成したフラットケーブルと、このフラットケーブルの導体の端末に取り付けられるコネクタと、を備えて構成される場合がある。
【0003】
前述したフラットケーブルは、並列に配置された各導体の周りにポリオレフィン系樹脂等から成る絶縁体を押し出し成形機により連続的に押し出し被覆することにより一体押し出し成形されているため、導体の本数、および線径、あるいは絶縁体の連結部の幅が異なるごとに押し出し成形をするための口金を新設しなければならなかった。これにより、品番が増加し、製造コストを削減する妨げとなっていた。
【0004】
そこで、本発明の出願人は、製造コストを増大することなく、様々な形状の導体を一体にするフラットケーブル(例えば、特許文献1参照)を提案している。
【0005】
特許文献1に示されたフラットケーブルは、複数の被覆電線と、これら複数の被覆電線を束ねるテープ状の補強部材と、この補強部材に縫製されて複数の被覆電線を互いに固定する紐とを備えている。
【0006】
被覆電線は、導体と、当該導体を被覆する被覆部とを備えて、断面丸型に形成されている。被覆電線は、互いに間隔をあけて平行に配置されている。補強部材は、被覆電線の長手方向に間隔をあけて、互いに平行に複数設けられている。補強部材の長手方向は、被覆電線の長手方向に対して直交(交差)している。補強部材は、複数の被覆電線に重ねられている。
【0007】
前述した特許文献1に示されたフラットケーブルは、補強部材と紐とを複数の被覆電線の回りに縛ることで、複数の被覆電線を互いに平行な状態で固定している。そして、特許文献1に示されたフラットケーブルは、補強部材と紐とが縛る被覆電線の線径及び本数を適宜変更することで、製造コストを増大することなく、様々な形状の導体を一体にすることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−319272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した特許文献1に示された従来のフラットケーブルは、被覆電線の端末にコネクタを取り付ける際には、当該フラットケーブルの端末に位置する補強部材を切断して、被覆電線間の間隔を適宜変更して上で、当該被覆電線の端末に端子金具を取り付ける必要があった。一方、従来から用いられてきたフラットケーブルでは、端末の連結部を切断して、被覆電線間の間隔を適宜変更して上で、当該被覆電線の端末に端子金具を取り付ける必要があった。
【0010】
このように、前述した特許文献1に示されたフラットケーブルは、被覆電線の端末に端子金具を取り付ける際に、補強部材を切断する必要があるなどの作業にかかる工数が増加する傾向であった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、端末に容易にコネクタを取り付けることができるフラットケーブル及び当該フラットケーブルを備えたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のフラットケーブルは、端末に端子金具が取り付けられる互いに平行な複数の電線と、前記複数の電線に直交しかつこれら複数の電線に対して一定の規則により浮き沈みされて配置される交錯部と、この交錯部に連なりかつ前記複数の電線のうち端に位置する電線に重ねられた平行部とが設けられた長尺の横糸と、を備え、前記互いに隣り合う電線が、互いに間隔をあけて配置され、かつ、前記横糸の前記互いに隣り合う交錯部が、互いに間隔をあけて配置されたことを特徴している。
【0013】
請求項2に記載の本発明のフラットケーブルは、請求項1に記載のフラットケーブルにおいて、前記複数の電線のうち少なくとも二本の外径が、互いに異なることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の本発明のフラットケーブルは、請求項1又は請求項2に記載のフラットケーブルにおいて、前記複数の電線間に当該複数の電線と平行に設けられかつ当該横糸と同じ材料で構成された縦糸を備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の本発明のワイヤハーネスは、互いに平行な複数の電線を有したフラットケーブルと、前記フラットケーブルの端末に取り付けられるコネクタと、を備えたワイヤハーネスにおいて、前記フラットケーブルとして、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のフラットケーブルを備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項1に記載した本発明のフラットケーブルによれば、複数の電線と長尺の横糸とを一定の規則により交錯させて織って形成されているとともに、互いに隣り合う電線が互いに間隔をあけて配置され、かつ横糸の電線に直交する交錯部が互いに間隔をあけて配置されているので、横糸を複数の電線に対して相対的に当該電線の長手方向に沿って移動し易くなっている。このために、フラットケーブルの端末において、横糸を端末から離れる方向に移動させることで、電線の端末を互いに分離することができる。
【0017】
また、複数の電線と長尺の横糸とを一定の規則により交錯させて織って形成されているので、横糸で織る電線の外径、本数を、容易に変更することができる。
【0018】
請求項2に記載した本発明のフラットケーブルによれば、複数の電線のうちの少なくとも二本の外径が互いに異なっているので、適宜、必要な線径の電線を用いることができる。
【0019】
請求項3に記載した本発明のフラットケーブルによれば、複数の電線間に横糸と同じ材料で構成された縦糸を設けているので、フラットケーブルに作用する引っ張り応力や曲げ応力を縦糸で支えることができる。
【0020】
請求項4に記載した本発明のワイヤハーネスによれば、前述したフラットケーブルを備えているので、フラットケーブルの端末において、横糸を端末から離れる方向に移動させることで、電線の端末を互いに分離することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、フラットケーブルの端末において、横糸を端末から離れる方向に移動させることで、電線の端末を互いに分離することができるので、横糸を移動することのみによって、端末に端子金具即ちコネクタを取り付けることができるので、当該作業にかかる工数が増加することを防止できる。したがって、端末に容易にコネクタを取り付けることができる。
【0022】
また、複数の電線と長尺の横糸とを一定の規則により交錯させて織って形成されているので、横糸で織る電線の外径、本数を、容易に変更することができる。したがって、製造コストを増大することなく、様々な形状の導体を一体にすることができる。
【0023】
請求項2に記載の本発明は、適宜、必要な線径の電線を用いることができるので、製造コストを増大することなく、様々な形状の導体を確実に一体にすることができる。
【0024】
請求項3に記載の本発明は、フラットケーブルに作用する引っ張り応力や曲げ応力を縦糸で支えることができるので、フラットケーブル自体の機械的な強度を向上させることができる。
【0025】
請求項4に記載の本発明は、前述したフラットケーブルを備えているので、フラットケーブルの端末に容易にコネクタを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態にかかるワイヤハーネスの斜視図である。
【図2】図1に示されたワイヤハーネスのコネクタを分解して示す斜視図である。
【図3】図1に示されたワイヤハーネスのフラットケーブルの横糸を複数の電線に織った状態を示す平面図である。
【図4】図4に示されたフラットケーブルの端末の横糸を移動させた状態を示す平面図である。
【図5】図3に示されたフラットケーブルの変形例を示す平面図である。
【図6】図3に示されたフラットケーブルの他の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態にかかるワイヤハーネス及びフラットケーブルを、図1ないし図4を参照して説明する。
【0028】
本発明の一実施形態にかかるワイヤハーネス1は、電気機械としての自動車に配索されて、当該自動車に搭載される各種の電子機器同士を電気的に接続するものであって、図1及び図2に示すように、コネクタ2と、フラットケーブル3と、を備えている。
【0029】
コネクタ2は、図2に示すように、コネクタハウジング4と、複数の雌型の端子金具(以下、単に雌端子と記し、図2には、一本のみ示し、他を省略す)5とを備えている。なお、図1において、以下、後述の電線14及び端子収容室6の長手方向を奥行き方向と呼び、矢印Yで示す。奥行き方向Yと直交しかつ複数の後述する端子収容室6が並ぶ方向を幅方向と呼び、矢印Xで示す。奥行き方向Yと幅方向Xとの双方に直交する方向を厚み方向と呼び、矢印Zで示す。
【0030】
コネクタハウジング4は、絶縁性の合成樹脂からなり筒状(箱状)に形成されている。コネクタハウジング4は、その内側に複数の端子収容室6が設けられ、その外表面にロックアーム7が設けられている。端子収容室6は、直線状に延びた空間(孔)である。端子収容室6の長手方向は、前述した奥行き方向Yと平行である。複数の端子収容室6は、互いに平行に配されている。端子収容室6の両端は、コネクタハウジング4の外表面に開口している。ロックアーム7は、相手側のコネクタのコネクタハウジングと嵌合する。
【0031】
雌端子5は、後述の電線接続部8に電線14が取り付けられて、端子収容室6内に収容される。そして、雌端子5は、電線14の芯線即ち該電線14と電気的に接続する。
【0032】
雌端子5は、図2に示すように、導電性の板金からなり、電線接続部8と、電気接触部9とを一体に備えている。電線接続部8は、平板状の底板10と、一対の芯線かしめ片11と、一対の被覆かしめ片12とを一体に備えている。底板10は、平面形状が矩形状に形成されている。一対の芯線かしめ片11は、底板10の長手方向の中央部に設けられている。芯線かしめ片11は、底板10の幅方向の両縁から立設している。芯線かしめ片11は、底板10から離れた側の縁が底板10に近づくように曲げられて、芯線を底板10との間に挟んで、該芯線をかしめる。
【0033】
被覆かしめ片12は、底板10の長手方向の一端部に設けられている。被覆かしめ片12は、底板10の幅方向の両縁から立設している。被覆かしめ片12は、底板10から離れた側の縁が底板10に近づくように曲げられて、被覆部即ち電線14を底板10との間に挟んで、該電線14をかしめる。
【0034】
電線接続部8は、芯線かしめ片11が芯線をかしめ、被覆かしめ片12が被覆部をかしめて、電線14と電気的及び機械的に接続される。電線接続部8の長手方向と、該電線接続部8に接続される電線14の長手方向とは、平行である。
【0035】
電気接触部9は、図2に示すように、筒状の筒状部13と、この筒状部13内に設けられた図示しないばね片とを一体に備えている。筒状部13は、電線接続部8の底板10に連なっている。ばね片は、筒状部13内に侵入した相手方の雄型の端子金具(以下、雄端子と呼ぶ)のタブを筒状部13の内面との間に挟みこんで、雌端子5と雄端子とを電気的に接続する。
【0036】
前述したコネクタ2は、電線14の端末に取り付けられた雌端子5がコネクタハウジング4の端子収容室6内に収容されて、組み立てられる。そして、コネクタ2は、相手方のコネクタと嵌合する。なお、図示例では、フラットケーブル3の一方の端末に取り付けられたコネクタ2のみを示しているが、本発明では、コネクタ2は、他方の端末などの必要とされる箇所に適宜取り付けられる。
【0037】
フラットケーブル3は、図1ないし図4に示すように、互いに間隔をあけて平行に配置された複数の電線14と、長尺の横糸15とを備えている。即ち、複数の電線14のうち互いに隣り合う電線14は、互いに間隔をあけて配置されている。
【0038】
電線14は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えている。芯線は、複数の素線が束ねられて構成されている。素線は、銅などの金属からなる。被覆部は、例えば、ポリ塩化ビニルやポリオレフィン系樹脂などの絶縁性の合成樹脂からなり、芯線を被覆している。なお、本実施形態では、複数の電線14は互いに外径が等しくなっている。
【0039】
横糸15は、変形自在な長尺の線条に形成されている。横糸15の材料としては、ポリエステル、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、綿、カーボン、金属などの従来から織物(編み物)の繊維を構成するとして用いられる材料から1以上の材料を適宜選択して用いることができる。
【0040】
横糸15は、複数の電線14の端末において、図3に示すように、これら複数の電線14のうち図3中最も下側の端に位置する電線14(以下符号14aで示す)から交互に浮き沈みして交錯する交錯部15aが形成された後、図3中最も上側の端に位置する電線14(以下符号14bで示す)に重ねられて形成された平行部15bが形成され、前記電線14bから交互に複数の電線14,14aに対して浮き沈みして交錯する第2交錯部15c(交錯部に相当)が形成され、前記電線14aに重ねられた第2平行部15d(平行部に相当)が形成された後、前記交錯部15aに引っ掛けられて、再度、電線14aに重ねられた第3平行部15e(平行部に相当)が形成されて、電線14aから交互に浮き沈みして交錯する交錯部15aが形成される。横糸15は、前述した交錯部15aと平行部15bと第2交錯部15cと第2平行部15dと第3平行部15eと交錯部15aが順に繰り返して形成され、かつ第2平行部15dが交錯部15aとともに第2交錯部15cに引っ掛けられて、前述した複数の電線14,14a,14bに対して、一定の規則によって交錯されて織られる。
【0041】
このように、交錯部15a,15cは、複数の電線14,14a,14bに交互に浮き沈みされることで、一体の規則によって浮き沈みされて配置される。また、互いに隣り合う交錯部15a,15cは、互いに間隔をあけて配置され、それぞれの交錯部15a,15cでは、横糸15は、電線14,14a,14bの長手方向に対して直交(交差)している。横糸15は、複数の電線14,14a,14bのみに対して前述したように織られることで、複数の電線14,14a,14bを、同一平面上に互いに間隔をあけて平行に並べた状態で、互いに固定している。
【0042】
前述した電線14,14a,14bが、互いに間隔をあけて配置され、かつ、交錯部15a,15cが、互いに間隔をあけて配置されていることで、横糸15は、全体として、複数の電線14,14a,14bに対して相対的に当該電線14,14a,14bに対して移動自在に支持されている。なお、本発明でいう、複数の電線14,14a,14bが互いに間隔をあけて配置され、かつ、交錯部15a,15cが互いに間隔をあけて配置されているとは、横糸15が、電線14,14a,14bに対して相対的に当該電線14,14a,14bの長手方向に沿って移動自在となっていることを示している。
【0043】
前述したワイヤハーネス1は、以下のように、組み立てられる。まず、所定の長さの前述した複数の電線14,14a,14bを互いに平行に並べ、横糸15を前述した交錯部15aと平行部15bと第2交錯部15cと第2平行部15dと第3平行部15eと交錯部15aが順に繰り返して形成されるように、前述した複数の電線14,14a,14bに織る。こうして、図3に示すように、フラットケーブル3を得る。その後、このフラットケーブル3の端末において、横糸15を当該端末から離れる方向に移動させる。すると、図4に示すように、端末において、複数の電線14,14a,14bが互いに分離することとなる。そして、電線14,14a,14bの端末に雌端子5を取り付け、当該雌端子5をコネクタハウジング4の端子収容室6内に挿入する。こうして、前述したワイヤハーネス1が得られる。こうして構成されたワイヤハーネス1は、コネクタ2が自動車に搭載される電子機器に設けられた相手方のコネクタに嵌合するなどして、自動車に配索される。
【0044】
本実施形態によれば、複数の電線14,14a,14bと長尺の横糸15とを一定の規則により交錯させて織って形成されているとともに、互いに隣り合う電線14,14a,14bが互いに間隔をあけて配置され、かつ横糸15の電線14に直交する交錯部15a,15cが互いに間隔をあけて配置されているので、横糸15を複数の電線14,14a,14bに対して相対的に当該電線14,14a,14bの長手方向に沿って移動し易くなっている。このために、フラットケーブル3の端末において、横糸15を端末から離れる方向に移動させることで、電線14,14a,14bの端末を互いに分離することができる。このために、横糸15を移動することのみによって、端末に雌端子5即ちコネクタ2を取り付けることができるので、当該作業にかかる工数が増加することを防止できる。したがって、端末に容易にコネクタ2を取り付けることができる。
【0045】
また、複数の電線14,14a,14bと長尺の横糸15とを一定の規則により交錯させて織って形成されているので、横糸15で織る電線14,14a,14bの外径、本数を、容易に変更することができる。したがって、製造コストを増大することなく、様々な形状の導体を一体にすることができる。
【0046】
また、第2平行部15dが、交錯部15a,15cに引っ掛けられているので、横糸15が電線14,14a,14bの長手方向に移動自在となっていながらも、当該横糸15が複数の電線14,14a,14bから分離することを防止できる。
【0047】
本実施形態のワイヤハーネス1は、前述したフラットケーブル3を備えているので、フラットケーブル3の端末に容易にコネクタ2を取り付けることができ、容易にワイヤハーネス1を組み立てることができる。
【0048】
前述したフラットケーブル3は、互いに外径の等しい電線14,14a,14bを複数備えているが、本発明では、図5に示すように、フラットケーブル3を構成する電線14,14a,14bとして、外径の異なる電線14,14a,14bを適宜選択して用いてもよいことは勿論である。なお、図5では、図中最も上方に位置する一本の電線14bの外径が他の電線14,14aの外径よりも太くなっており、他の電線14,14aの外径が互いに等しい場合を示している。即ち、図5に示す場合では、複数の電線14,14a,14bのうちの少なくとも二本の外径が互いに異なっている。また、図5において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
この図5に示す場合では、複数の電線14,14a,14bのうちの少なくとも二本の外径が互いに異なっているので、適宜、必要な線径の電線14,14a,14bを用いることができる。したがって、製造コストを増大することなく、様々な形状の導体を確実に一体にすることができる。
【0050】
また、前述した実施形態のフラットケーブル3では、横糸15が織る対象として、複数の電線14,14a,14bのみを示しているが、本発明では、図6に示すように、複数の電線14,14a,14b間に縦糸16を設けてもよい。この図6に示す場合では、縦糸16は、横糸15と全く構成が等しいものであって、材料も同じもので構成されている。また、図6に示す場合では、交錯部15a,15cでは、複数の電線14,14a,14bと縦糸16に交互に浮き沈みされている。また、図6において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
この図6に示す場合では、複数の電線14,14a,14b間に横糸15と同じ材料で構成された縦糸16を設けているので、フラットケーブル3に作用する引っ張り応力や曲げ応力を縦糸16で支えることができる。したがって、フラットケーブル3自体の機械的な強度を向上させることができる。
【0052】
前述した実施形態では、自動車に配索されるワイヤハーネス1を示しているが、本発明では、ワイヤハーネス1を自動車に限らず、ポータブルコンピュータや携帯小型端末などの種々の電子機器や電気機械に用いてもよい。
【0053】
また、本発明では、前述した実施形態に示した織り方に限らず、平織り、綾織り(斜文織)、朱子織り、その他の織り方などの種々の織り方で、横糸15を複数の電線14,14a,14bに織っても良い。さらに、前述した実施形態に示された織り方の場合であっても、交錯部15a,15cでは、横糸15を複数の電線14,14a,14bや縦糸16に対して一定の規則として数毎に交互に浮き沈むように織ってもよい。
【0054】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ワイヤハーネス
2 コネクタ
3 フラットケーブル
5 雌端子(端子金具)
14,14a,14b 電線
15 横糸
15a 交錯部
15b 平行部
15c 第2交錯部
15d 第2平行部
15e 第3平行部
16 縦糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末に端子金具が取り付けられる互いに平行な複数の電線と、
前記複数の電線に直交しかつこれら複数の電線に対して一定の規則により浮き沈みされて配置される交錯部と、この交錯部に連なりかつ前記複数の電線のうち端に位置する電線に重ねられた平行部とが設けられた長尺の横糸と、
を備え、
前記互いに隣り合う電線が、互いに間隔をあけて配置され、かつ、
前記横糸の前記互いに隣り合う交錯部が、互いに間隔をあけて配置されたことを特徴とするフラットケーブル。
【請求項2】
前記複数の電線のうち少なくとも二本の外径が、互いに異なることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル。
【請求項3】
前記複数の電線間に当該複数の電線と平行に設けられかつ当該横糸と同じ材料で構成された縦糸を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフラットケーブル。
【請求項4】
互いに平行な複数の電線を有したフラットケーブルと、
前記フラットケーブルの端末に取り付けられるコネクタと、を備えたワイヤハーネスにおいて、
前記フラットケーブルとして、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のフラットケーブルを備えたことを特徴とするワイヤハーネス。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate