説明

フラットケーブル

【課題】折り返し部の折り曲げ信頼性や放熱性に優れ、大電力供給用途等に使用した場合でも損傷しにくく、信頼性に優れるフラットケーブルを提供すること。
【解決手段】導体パターンと、前記導体パターンを被覆するフィルム状の絶縁層とを有し、長手方向の少なくとも一部で折り返して使用されるフラットケーブルにおいて、前記フラットケーブルの折り返し部の表面に金属箔を接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器、電子機器等の配線に使用されるフラットケーブルに係り、特に折り返された状態で電気機器等に組み込まれて使用されるフラットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
産業機械・機器、自動車、航空機の機械・機器内(間)の電気配線システムの接続に使用されるケーブルにおいては、ワイヤーハーネスに替えて、軽量化、省スペース化、単純化、高機能化が可能なフラットケーブルが採用されつつある。しかしながら、このようなフラットケーブルについては、小型化や高密度化に伴い、通電時の放熱性が不十分となるという問題がある。
【0003】
通電時の放熱性を向上させるために、例えば従来のワイヤーハーネス等に用いられるシート電線では、特に折り畳まれた状態での通電による発熱対策として、折り畳まれたシート電線を放熱用テープで被包することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、複数のフラットケーブルを重ね合わせた多層フラットケーブルでは、例えば各フラットケーブルのうち、通電による回路の発熱量が他の回路よりも大きいフラットケーブルを該多層フラットケーブルの最表層に配置することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、多層フラットケーブルでは、例えばケーブル本体部と、このケーブル本体部から延出するように設けられる端子接続部とからなるものとし、該端子接続部に放熱部を設けることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平8−203336号公報
【特許文献2】特開2003−283132号公報
【特許文献3】特開2003−304070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにシート電線やフラットケーブルについては、通電時の放熱性を向上させるために、折り畳んだ部分を放熱用テープで被包したり、積層する際に特に発熱量の大きいものを表層に配置したり、また端子接続部に放熱部を設けたりすることが行われている。
【0007】
しかしながら、フラットケーブルについては、その特長である柔軟性を生かして折り返された状態で電気機器等に組み込まれる用途が増えており、このような折り返しにより重なり合った部分、特に内側部分の放熱性が不十分となっている。このため、大電力供給用途等に使用した場合、通電時の発熱による温度上昇が問題となる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、従来のフラットケーブルに比べ、折り返し部の折り曲げ信頼性や放熱性に優れ、大電力供給用途等に使用した場合にも損傷しにくく、信頼性に優れるフラットケーブルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフラットケーブルは、導体パターンと、前記導体パターンを被覆するフィルム状の絶縁層とを有し、長手方向の少なくとも一部で折り返して使用されるものであって、前記フラットケーブルの折り返し部の表面に金属箔が接着されていることを特徴としている。
【0010】
前記金属箔は、前記フラットケーブルを折り返した際、前記折り返し部の内側となる表面に設けられると共に、前記金属箔どうしが重なり合う部分の面積に対して、前記金属箔のそれ以外の部分の面積が2倍以上となるものであることが好ましい。また、前記金属箔は、厚さ18μm以上105μm以下の銅箔であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導体パターンと、この導体パターンを被覆するフィルム状の絶縁層とを有し、長手方向の少なくとも一部で折り返して使用されるフラットケーブルにおいて、折り返し部の表面に金属箔を接着することで、折り返し部の折り曲げ信頼性を向上させると共に、該折り返し部の放熱性を向上させ、大電力供給用途等に使用した場合でも損傷しにくく、信頼性に優れるものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のフラットケーブルについて図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のフラットケーブルの一例を示す模式的断面図である。また、図2は、図1に示すフラットケーブルの一部平面図である。なお、図1、2に示すフラットケーブルは、いずれも折り返された状態のものを図示している。
【0013】
図1に示すように、フラットケーブル1は、例えば長手方向の略中央部が折り返し部2aとなるケーブル本体2と、このケーブル本体2の両端部の外側に設けられる一対のコネクタ3と、この両端部の内側に設けられる補強板4と、ケーブル本体2の折り返し部2aの内側表面に設けられる金属箔5とを有している。
【0014】
このようなフラットケーブル1は、例えば図2に示すように、両端部の位置が幅方向に若干ずらすようにして折り返されて、図示しない他の電気部品、電子部品等に両端部のコネクタ3を接続して用いられる。なお、本発明のフラットケーブル1は、最終的には折り返された状態で電気機器等に組み込まれて使用されるものの、使用前の状態においては必ずしも折り返されていなくてもよく、使用の際に折り返しが予定される部分に金属箔5が設けられていればよい。
【0015】
図3に示すように、ケーブル本体2は、例えば導体パターン21と、この導体パターン21を被覆するフィルム状の絶縁層22とから構成されている。なお、ケーブル本体2は、必ずしも図3に示されるような導体パターン21が1層のものに限定されるものではなく、例えば2層以上の導体パターン21が絶縁層22を介して積層される構造のものであってもよい。
【0016】
導体パターン21は、例えば銅箔、アルミニウム箔などの金属箔からなるものであり、好ましくは銅箔からなるものである。銅箔は、電解箔でも圧延箔でもよいが、圧延箔が好ましく用いられる。導体パターン21を構成する金属箔の厚さは、通常5〜35μm程度である。金属箔の厚さを5μm以上とすることで、ピンホール等に対する信頼性を確保することができる。また、金属箔の厚さを35μm以下とすることで、ケーブル本体2の全体の厚さを抑制することができ、折り曲げて実装することが容易となると共に、折り曲げ信頼性も向上させることができる。導体パターン21は、例えば金属箔をエッチングによりパターン形成することにより形成することができる。
【0017】
絶縁層22は、例えばポリイミド(PI)フィルム、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)フィルム、ポリエーテルニトリル(PEN)フィルム、ポリエーテルスルホン(PES)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のプラスチックフィルムからなるものであり、コストの観点からはポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に用いられ、難燃性や耐熱性の観点からはポリフェニレンサルファイドフィルムが好適に用いられる。絶縁層22の厚みは、必ずしも限定されるものではないが、例えば5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0018】
このようなケーブル本体2は、例えばフレキシブルプリント配線板等と略同様にして製造することができ、具体的には絶縁層22となるベースフィルムの片面または両面に導体パターン21となる金属箔が接着された汎用の2層タイプまたは3層タイプの銅張板を用い、この銅張板に対してエッチングによりパターン形成して導体パターン21を形成し、さらにこの片面または両面の導体パターン21上に他の絶縁層22となるカバーレイフィルムを設けることにより製造することができる。
【0019】
コネクタ3は、上記したように他の電気部品、電子部品等と接続するために用いられるものであり、他の電気部品、電子部品等が有するコネクタと挿抜自在となるように構成されている。コネクタ3は、ケーブル本体2の端部に設けられ、ケーブル本体2の端部から露出する導体パターン21に自身の端子を接触させることで電気的に接続されている。
【0020】
補強板4は、ケーブル本体2の損傷を抑制すること等を目的として設けられるものであり、ケーブル本体2の端部におけるコネクタ3が設けられる主面と反対側の主面に設けられている。補強板4は、例えばポリイミド(PI)フィルム、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)フィルム、ポリエーテルニトリル(PEN)フィルム、ポリエーテルスルホン(PES)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のプラスチックフィルムからなるものであり、またガラスエポキシ等の繊維強化プラスチック(FRP)からなるものとすることもできる。
【0021】
金属箔5は、図1、2に示すようにケーブル本体2の折り返し部2aに接着されるものであり、特にこの折り返し部2aの内側表面に接着されていることが好ましい。このように折り返し部2a、特にこの内側部分に金属箔5を設けることで、折り返し部2aの折り曲げ信頼性を向上させると共に、放熱性を向上させ、大電力供給用途等に使用した場合でも損傷しにくく、信頼性に優れるものとすることができる。
【0022】
すなわち、フラットケーブル1については、ケーブル本体2の柔軟性を生かして、該ケーブル本体2が折り返された状態で電気機器等に組み込まれる用途が増えているが、このような折り返しによりケーブル本体2どうしが重なり合った部分、特に内側部分の放熱性が不十分となりやすい。このため、折り返し部2a、特に内側表面に金属箔5を設けることで、例えば図2に示すようにケーブル本体2どうしが重なり合った部分の熱をその両側の重なり合っていない部分へと導いて放熱させることができる。
【0023】
このような金属箔5の幅は、ケーブル本体2どうしが重なり合った部分の熱をその両側の重なり合っていない部分へと効率的に導いて放熱させる観点から、少なくともケーブル本体2の幅の半分以上とすることが好ましく、特に図2に示すようにケーブル本体2の幅と同程度とすることがより好ましい。
【0024】
また、ケーブル本体2どうしが重なり合った部分の熱をその両側の重なり合っていない部分において効率的に放熱させる観点から、金属箔5は、ケーブル本体2どうしが重なり合った部分だけでなく、その両側のケーブル本体2どうしが重なり合っていない部分に達するように設けられていることが好ましい。
【0025】
具体的には、図4に示すように、金属箔5が重なり合う三角形状の部分(以下、重なり部5aという。)の面積をSaとし、この重なり部5aの両側の重なり合わずに外部に露出する四角形状の部分(以下、それぞれ露出部5b、露出部5cという。)の面積をそれぞれSb、Scとした場合、下記式(1)に示すように、露出部5b、5cの面積Sb、Scの合計が重なり部5aの面積Saに対して2倍以上となっていることが好ましい。
Sb+Sc≧2×Sa ………(1)
【0026】
なお、重なり部5aについては金属箔5が2層となっているものの、ここでの重なり部5aの面積Saとは、このような重なり合った2層の金属箔5のそれぞれの面積を合計したものではなく、重なり合ったままで測定される面積、すなわち1層分の面積を意味する。
【0027】
露出部5b、5cの面積Sb、Scの合計が重なり部5aの面積Saの2倍未満の場合、重なり部5aの熱をその両側の露出部5b、5cで十分に放熱することができず、温度上昇を抑制することができないおそれがある。露出部5b、5cの面積Sb、Scの合計が重なり部5aの面積Saの2倍以上であれば、重なり部5aの熱をその両側の露出部5b、5cで十分に放熱することができ、温度上昇を抑制することができる。
【0028】
また、重なり部5aの熱を両側の露出部5b、5cで略均等に効率的に放熱する観点から、露出部5bの面積Sbと露出部5cの面積Scとを、下記式(2)、式(3)に示すように、両面積の合計に対する割合が0.3以上となるようにすることが好ましい。
Sb/(Sb+Sc)≧0.3 ………(2)
Sc/(Sb+Sc)≧0.3 ………(3)
【0029】
ケーブル本体2の長手方向における金属箔5の大きさは、上記したような各条件を満たすものであれば特に制限されるものではなく、ケーブル本体2の長手方向の略全面に設けてもよい。このようなものとすることで、さらに放熱性を向上することができると共に、電磁ノイズのシールド性にも優れるものとすることができる。
【0030】
金属箔5としては、ケーブル本体2の放熱部として機能するものであれば特に制限なく用いることができ、例えば銅箔、アルミニウム箔等を用いることができる。これらの中でも、熱伝導性、屈曲性、コストの観点から、銅箔を用いることが好ましい。このような銅箔としては、従来よりフレキシブルプリント配線板等の製造に用いられている汎用の電解銅箔、圧延銅箔を用いることができる。
【0031】
また、金属箔5の厚さは、18μm以上105μm以下とすることが好ましい。金属箔5の厚さが18μm未満の場合、ケーブル本体2の放熱性を向上させる効果が小さく、また折り返しの際に金属箔5にシワ、破れ等の不具合が発生する可能性がある。一方、金属箔5の厚さが105μmを超える場合、金属箔5が厚すぎるために折り返しが困難となるおそれがある。
【0032】
次に、このようなフラットケーブル1を製造する方法について説明する。
まず、ケーブル本体2は、例えば上記したように絶縁層22となるベースフィルムの片面または両面に導体パターン21となる銅箔が接着された汎用の2層タイプまたは3層タイプの銅張板を用い、この銅張板に対してエッチングによりパターン形成して導体パターン21を形成し、さらにこの片面または両面の導体パターン21上に他の絶縁層22となるカバーレイフィルムを設けることにより製造する。
【0033】
その後、得られたフラットケーブル1の所定の位置に金属箔5を接着する。この際、金属箔5としては、接着面に予め接着剤が塗布されたものを用いることが好ましい。接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤を含有するものであり、より好ましくは、合成ゴム、ゴム老化防止剤、トリアジンチオール誘導体、無機充填剤を含有するものである。このような接着剤によれば、例えば硬化後の弾性率を2GPa以上5GPa以下とすることができ、屈曲性とスティフネス性とが良好なものとすることができる。
【0034】
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル系の変性エポキシ樹脂及びその臭素物等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0035】
また、硬化剤としては、通常、エポキシ樹脂の硬化に使用されている化合物であれば特に限定されるものではなく、例えばアミン硬化系としてジシアンジアミド、芳香族ジアミン等、フェノール硬化系としてフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂等が挙げられ、これらは1種のみが含有されていてもよいし、2種以上が含有されていてもよい。
【0036】
硬化剤としては、例えば下記化学式(1)で示されるビス−p−アミノベンゾアートを用いることが好ましい。
【化1】

(但し、式中m、nはそれぞれ1〜12の整数を示し、m×nは6〜20である)
【0037】
このビス−p−アミノベンゾアートは、各環にはひとつのアミノ基を含むが他の置換基を含まないものであり、例えば塩化p−ニトロゼンゾイルを炭素数6〜20個のジオールと反応させ、生成した化合物をジアミンに還元させることにより任意に製造することができる。原料の具体的な商品例としては、例えば、エラストマー1000(イハラケミカル社製、商品名:ジオールの炭素数13)等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0038】
このようなビス−p−アミノベンゾアートの配合割合は、エポキシ樹脂のエポキシ基(a)とビス−p−アミノベンゾアートのアミノ基(b)との当量比[(b)/(a)]が0.3〜1.5の範囲内であることが望ましい。当量比が0.3未満では硬化が不十分となり、当量比が1.5を超えると未反応の官能基が多く残るため好ましくない。
【0039】
硬化促進剤としては、通常のエポキシ樹脂用の硬化促進剤として用いられる第三級アミン、2−エチル−4−イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、芳香族アミン、三フッ化ホウ素錯化合物、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。好ましくは三フッ化ホウ素錯化合物である。その三フッ化ホウ素錯化合物としては、三フッ化ホウ素モノメチルアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素ベンジルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体等が挙げられる。これらの硬化促進剤は単独又は2種以上混合して用いることができる。硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲であることが好ましい。
【0040】
合成ゴムとしては、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンメチルアクリレートアクリロニトリルゴム、ブタジエンゴム、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、ビニル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ポリビニルブチラール等が挙げられ、これらゴムは単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。合成ゴムの配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して10〜900質量部であることが好ましく、20〜150質量部であることがより好ましい。900質量部を超えると耐熱性が低下してしまい、10質量部未満になると引き剥がし強度が低下するおそれがある。
【0041】
ゴム老化防止剤は、金属箔5の表面を不活性化させて腐食を抑制する機能を有するものであれば公知のものを制限なく用いることができる。使用にあたっては、耐熱性・耐熱変色防止性等の物性から適宜選択すればよく、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン等の芳香族アミン類、ヒドロキノン類、ヒンダードフェノール類等のフェノール類、ヒンダードアミン、チオプロピオン酸誘導体、有機リン酸エステル、ヒドラジンとその誘導体、ヒドラジド誘導体、ジチオカルバミン酸塩とその誘導体、チオウレア誘導体、亜リン酸誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、サリチル酸誘導体、有機チオ酸、ヒドラジン誘導休、2,4−ジヒドロキシ安息香酸アニリド誘導体等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0042】
より具体的には、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス[2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジン]ドデカン二酸、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリオクタデシルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジチオフォスフェート、ジ−t−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
【0043】
ゴム老化防止剤の配合量は、合成ゴム100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部の割合で用いることがより好ましい。5.0質量部を超えると添加効果が小さくなり、材料の着色が起こったり、製品表面にブツが発生しやすくなったり、コストが嵩み、かつ、樹脂の物性が低下してしまい、0.01質量部未満になると良好な耐熱性、耐熱変色防止性が得られなくなるおそれがある。
【0044】
また、トリアジンチオール誘導体としては、下記化学式(2)で表される化合物が挙げられる。
【化2】

(式中、Rは、水素原子、アルキル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ア
ミノ基、−NR、−NHR、−OR又は−SRで表される基である。)
【0045】
ここで、アルキル基としては、炭素原子数が1〜25、好ましくは1〜18のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロビル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、デシル基、セチル基、ステアリル基、1−メンチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
【0046】
アルケニル基としては、炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜10のアルケニル基が挙げられる。このようなアルケニル基としては、例えば、プロパンジエニル基、イソプロペニル基、3−メチル−2−ブテニル基、アリル基、2−メチルアリル基等が挙げられ、イソプロペニル基であることが好ましい。
【0047】
アルキニル基としては、炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜10のアルキニル基が挙げられる。このようなアルキニル基としては、例えば、プロパルギル基、1−フェニルプロパルギル基等が挙げられ、プロパルギル基であることが好ましい。
【0048】
アラルキル基としては、炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜10のアラルキル基が挙げられる。このようなアラルキル基としては、例えば、4−フェニルブチル基等が挙げられる。
【0049】
アリール基としては、フェニル基(C−)、メトキシフェニル基、o−トリル基、p−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−アミノフェニル基、N−メチルアミノフェニル基、p−(ジメチルアミノ)フェニル基、4−アセチルフェニル基、p−ヨードフェニル基、p−クロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等が挙げられ、フェニル基であることが好ましい。
【0050】
−NRで表される置換アミノ基としては、置換基R及びRがそれぞれ同一又は異なって、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、アルキル基又はアルケニル基であることが好ましい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びアラルキル基としては、Rと同様の基が挙げられる。また、アルキル基としては、Rの説明で挙げた基の他に、2−ピペリジノエチル基、フッ素置換されたフルオロアルキル基、環状のシクロアルキル基であることも好ましく、フルオロアルキル基としては、テトラフルオロエチル基等、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基又は置換ベンジル基であることも好ましく、例えば、ベンジル基、メチルベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等が挙げられる。
【0051】
−NHRで表されるモノ置換アミノ基としては、置換基Rが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、アニリノ基、ヒドロキシアニリノ基、p−メチルアニリノ基及びモルホリノ基から選ばれる基を示し、これらのうちでは、アルキル基が好ましい。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基としては、Rで示した基と同様の基が例示される。ヒドロキシアニリノ基としては、o−,m−,p−ヒドロキシアニリン誘導体に由来する基が挙げられる。
【0052】
−ORで表される基としては、置換基Rがアルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基から選ばれる基を示す。ここで、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基は、Rと同様の基を挙げることができ、アラルキル基としては、例えば、4−フェニルブチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ハロゲノフェニル基等の置換フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。ハロゲノフェニル基としては、例えば、p−ヨードフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,4−ジヨードフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基等が挙げられる。
【0053】
−SRで表される基としては、置換基Rがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基又はアリール基から選ばれる基を示す。これらの基としては、Rで示した置換基と同様の基を挙げることができる。
【0054】
置換基Rとしては以上のような置換基を例示することができるが、水素原子、アルキル基又はフェニル基であることが好ましい。
【0055】
このような一般式(2)で表される化合物としては、具体的には、例えば、s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−メチル−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−フェニル−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−アミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジヘキシルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−[ビス(2−ヘキシル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジエチルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジシクロヘキシルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジフェニルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジベンジルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジアリルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジドデシルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジブチルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジメチルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−フェニルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ステアリルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−エチルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ヘキシルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(cis−9−オクタデセニルアミノ)−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−シクロヘキシルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(4−アニリノ−N−イソプロピルアニリノ)−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−メトキシ−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(1−ナフチルオキシ)−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(m−クロロフェノキシ)−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−s−トリアジン−2,4−ジチオール、6−フェノキシ−s−トリアジン−2,4−ジチオール等が挙げられる。
【0056】
トリアジンチオール誘導体は、ケーブル本体2と金属箔5との密着性を改良するために十分となる量で用いられ、通常、合成ゴム100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部の割合で用いることがより好ましい。5質量部よりも多量であると、コストが嵩み、かつ、接着剤の物性が低くなってしまい、0.01質量部よりも少量であると密着性を十分に改良することができなくなってしまう。
【0057】
無機充填剤は、難燃性を付与する等の補助添加剤として使用するものであり、接着剤としての諸特性を阻害しない範囲で添加可能である。これら充填剤には、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が含まれ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。無機充填剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、20〜40質量部であることがより好ましい。50質量部を超えると接着剤の流動性が低下するため作業性が低下してしまい、5質量部未満になると難燃性が低下するおそれがある。
【0058】
このような接着剤の金属箔5への塗布は、例えば上記した接着剤からなる塗工液を、ロールコーター、コンマコーター等を用いて金属箔5に塗布し、溶剤を乾燥させて除去することにより行うことができ、また例えばTダイ法等の溶融押出法によって行うこともできる。
【0059】
このようにして製造した接着剤付きの金属箔5はケーブル本体2の折り返し部2aの形状に合わせて切断する。この際、金属箔5の各部の面積が上記した所定の面積となるように切断することが好ましい。そして、切断された接着剤付きの金属箔5をケーブル本体2の折り返し部2aに重ね合わせて加熱・加圧プレスすることによりケーブル本体2の折り返し部2aに金属箔5を接着する。加熱・加圧プレスの条件は、必ずしも限定されるものではないものの、例えば130〜190℃の温度で、1〜10MPa程度の圧力を加えて15分〜5時間程度とすることが好ましい。
【0060】
そして、金属箔5が接着されたケーブル本体2には、さらに両端部にコネクタ3や補強板4を取り付けてフラットケーブル1とする。本発明のフラットケーブル1は、このようにして製造されたままの折り返されていない状態とし、実際に電気機器等に組み込んで使用する際に折り返すようにしてもよいし、また予め折り返した状態としてもよい。
【0061】
次に、本発明のフラットケーブル1の他の例について説明する。
図5は、本発明のフラットケーブル1の他の例を示す外観図である。なお、図5は、折り返す前の状態のものを図示したものである。
【0062】
このフラットケーブル1は、ケーブル本体2が略U字状とされ、この略U字状の底部にあたる部分が折り返し部2aとなる部分であり、該折り返し部2aとなる部分の表面に金属箔5が設けられている。金属箔5は、ケーブル本体2の底部と同様な形状とされており、例えば略U字状とされている。
【0063】
なお、図示を省略したが、この略U字状のケーブル本体2の両端部には、例えば図1に示すフラットケーブル1と同様にしてコネクタ3や補強板4を設けることができる。また、平面形状を除いた他の構造は図1に示すフラットケーブル1と略同様とすることができ、例えば図3に示すように、ケーブル本体2は、導体パターン21と、この導体パターン21を被覆するフィルム状の絶縁層22とから構成されるものとすることができる。
【0064】
このようなフラットケーブル1は、例えば折り返し部2aとなる部分における谷折り部2bで谷折りすると共に、山折り部2cで山折りして用いられる。具体的には、例えば図6に示すように、折り返し部2aとなる部分において、図中左側部分を図中右側部分に徐々に重ね合わせるようにして折り曲げていき、最終的に例えば図7に示すような略直角状となるようにする。このとき、図8に示すように、折り返し部2aでは、谷折り部2bで谷折りされると共に、山折り部2cで山折りされ、3層が重なった状態となっている。
【0065】
このように折り返し部2aが3層となるものについても、上記式(1)に示すように、露出部5b、5cの面積Sb、Scの合計が重なり部5aの面積Saに対して2倍以上となっていることが好ましく、さらには3倍以上となっていることが好ましい。なお、折り返し部2aが3層となる場合についても、重なり部5aの面積Saは3層が重なり合ったままで測定される面積、すなわち1層分の面積とする。
【0066】
また、図示しないが、2つの箇所で折り返す場合、折り返しの位置によっては必ずしも折り返し部2aが3層のみとならず、2層の部分と3層の部分とが混在する場合があるが、このように2層の部分と3層の部分とが混在するものについては、重なり部の面積は2層の部分と3層の部分との面積を合計したものとする。そして、このようなものについても、露出部の面積の合計が重なり部の面積に対して2倍以上となっていることが好ましく、さらには3倍以上となっていることが好ましい。
【0067】
以上、本発明のフラットケーブル1について図面を参照して説明したが、本発明のフラットケーブル1については、上記したように電気機器等に組み込む前の状態においては必ずしも折り返されていなくてもよく、少なくとも電気機器等に組み込んで使用する際に折り返しが予定される部分に金属箔5が設けられていればよい。
【0068】
また、フラットケーブル1を折り返した状態とする場合、フラットケーブル1を単に折り返した状態としてもよいし、折り返しによって重なり合う金属箔5どうしを接着剤で固定してもよい。さらに、この折り返しによって重なり合う金属箔5どうしの間には、例えばヒートシンクとして機能する金属部材を介在させてもよい。また、上記説明では折り返し部2aの内側表面のみに金属箔5を設ける例を示したが、必ずしもこのようなものに限られるものではなく、例えば折り返し部2aの内側および外側の両表面に金属箔5を設けてもよい。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例により説明する。
なお、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0070】
(実施例1)
京セラケミカル株式会社の片面フレキシブル銅張板(商品名:TFL−521GR−70/25)を用い、図9に示すように導体パターンを長手方向に5往復させて幅方向に10本の導体パターンがあるものとし、また導体パターン幅6mm、導体パターン間隔1.5mm、長さ1000mmとし、この導体パターンが形成された側に京セラケミカル株式会社製カバーレイ(商品名:TFA−577KH−2540)を貼り合わせ、幅100mm、長さ1000mmの直線状のケーブル本体を製造した。
【0071】
一方、接着剤付きの金属箔を以下のようにして製造した。まず、接着剤として、カルボキシル含有アクリロニトリルブタジエンゴムのニポール1072(日本ゼオン社製、商品名:ニトリル含有量27)200質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート1001(油化シェル社製、商品名、エポキシ当量470)320質量部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂のYDCN−703P(東都化成社製商品名、エポキシ当量210)147質量部、フェノールノボラック樹脂(昭和高分子社製商品名、水酸基価106)160質量部、ビス−p−アミノベンゾアートである商品名エラスマー−1000(イハラケミカル社製、アミン当量309.5質量部、n×m=13.6、Mw1238)90質量部、フェノキシホスファゼンオリゴマー(大塚化学社製、融点100℃)110質量部、トリアジンジチオール誘導体として6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール(三協化成社製、商品名、ZISNET−DB)4質量部、重金属不活性剤として3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール(アデカアーガス化学社製、商品名:MARK CDA−1)2質量部、水酸化アルミニウム220質量部、および三フッ化ホウ素モノメチルアミン5質量部からなる混合物に溶媒としてポロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)およびメチルエチルケトンを加えて固形分40質量%のエポキシ樹脂組成物を調整した。そして、このエポキシ樹脂組成物からなる接着剤を金属箔としての35μm電解銅箔(三井金属社製、商品名:3EC−HTE)の片面にロールコータを用いて、乾燥後の厚さが15μmとなるように塗布乾燥し、接着剤付き金属箔を得た。
【0072】
この接着剤付き金属箔を幅100mm、長さ300mmに切断し、予め製造したケーブル本体の略中央部に重ね合わせて、熱プレスにより160℃、4MPaの条件で1時間加熱加圧接着し、フラットケーブルを製造した。
【0073】
(実施例2)
金属箔として18μmの銅箔を用いた以外は実施例1と同様にしてフラットケーブルを製造した。
【0074】
(実施例3)
金属箔として105μmの銅箔を用いた以外は実施例1と同様にしてフラットケーブルを製造した。
【0075】
(比較例1)
実施例1と同様のケーブル本体、すなわち京セラケミカル株式会社の片面フレキシブル銅張板(商品名:TFL−521GR−70/25)を用い、図9に示すように導体パターンを長手方向に5往復させて幅方向に10本の導体パターンがあるものとし、また導体パターン幅6mm、導体パターン間隔1.5mm、長さ1000mmとし、この導体パターンが形成された側に京セラケミカル株式会社製カバーレイ(商品名:TFA−577KH−2540)を貼り合わせ、幅100mm、長さ1000mmとしたものを用い、金属箔を設けずに直線状のフラットケーブルとした。
【0076】
(比較例2)
AWG17のケーブルを用い、長さ1000mmで5往復し幅方向に10本の配線がある構造の直線状のフラットケーブルを製造した。
【0077】
次に、実施例および比較例のフラットケーブルを、図10(a)に示すように折り返していない状態から、図10(b)に示すように長手方向の略中央部で180度折り返すと共に、端部を90度方向転換させた。この折り返された状態のフラットケーブルについて、以下のようにして温度上昇、180度折り返し性、および耐折性を評価した。結果を表1に示す。
【0078】
[温度上昇]
室温23℃の恒温室において、実施例、比較例のフラットケーブルに10Aの電流を30分以上印加し、折り返し部の表面の温度上昇を熱電対を用いて測定した。
【0079】
[180度折り返し性]
実施例、比較例のフラットケーブルを図10(b)に示すような折り返された状態から図10(a)に示すような折り返されていない状態へと戻し、再び図10(b)に示すような折り返された状態へと戻す、いわゆる折り返し部を中心とする左右180度のはぜ折りを繰り返し、折り返し部における異常の有無を観察した。表1中、10回以上の繰り返しで変化のないものを○、10回未満の繰り返しで折り返し部に異常が発生したもの、あるいははぜ折りが不能であったものを×で示した。
【0080】
[耐折性]
JIS C 6471 フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法8.2 耐折性に準拠し、500gの荷重で試料に張力を与え、曲率半径0.8mmの条件で左右に135度の角度で折り曲げ、破断するまでの回数を測定した。表1中、500回まで破断しなかったものを○、300回まで破断しなかったものを△、300回未満で破断したもの、または測定不能であったものを×で示した。
【0081】
【表1】

【0082】
表1から明らかなように、折り返し部に金属箔を設けた実施例のフラットケーブルについては、発生する熱を内部に溜めることなく効率的に内部温度を下げることができ、かつ折り返し性や耐折性にも優れることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明のフラットケーブルの模式的断面図。
【図2】図1に示すフラットケーブルの一部平面図。
【図3】ケーブル本体の断面図。
【図4】折り返し部における金属箔の各部の面積を説明する説明図。
【図5】本発明の他のフラットケーブルの外観図。
【図6】図5に示すフラットケーブルの折り返し途中の状態を示す外観図。
【図7】図5に示すフラットケーブルの折り返し後の状態を示す外観図。
【図8】図7に示すフラットケーブルの折り返し部の構造を説明する説明図。
【図9】実施例で作製したケーブル本体における導体パターンの形状を示す模式的平面図。
【図10】実施例におけるフラットケーブルの折り返し方法を示す平面図。
【符号の説明】
【0084】
1…フラットケーブル、2…ケーブル本体、2a…折り返し部、3…コネクタ、4…補強板、5…金属箔、5a…重なり部、5b、5c…露出部、Sa…金属箔の重なり部の面積、Sb、Sc…金属箔の露出部の面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体パターンと、前記導体パターンを被覆するフィルム状の絶縁層とを有し、長手方向の少なくとも一部で折り返して使用されるフラットケーブルであって、
前記フラットケーブルの折り返し部の表面に金属箔が接着されていることを特徴とするフラットケーブル。
【請求項2】
前記金属箔は、前記フラットケーブルを折り返した際、前記折り返し部の内側となる表面に設けられると共に、前記金属箔どうしが重なり合う部分の面積に対して、前記金属箔のそれ以外の部分の面積が2倍以上となるものであることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル。
【請求項3】
前記金属箔は、厚さ18μm以上105μm以下の銅箔であることを特徴とする請求項1または2記載のフラットケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−129331(P2010−129331A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301959(P2008−301959)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】